(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
体腔壁又は開創器と一体の又はこれに連結された内部リトラクターを含む手術用アクセスデバイスを提供するデバイス、方法、及びシステムを提供する。開創器は、体腔内に続く体腔壁の開口部を拡げ、内部リトラクターは、体腔内の内部構造の位置を使用者が制御できるようにし、これによって使用者が術野を形成できるようにする。内部リトラクターの実施例は、調節自在である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
幾つかの実施例は、手術用アクセスデバイスにおいて、近位端、遠位端、近位端から遠位端まで延びる長さ方向軸線、及びアクセスデバイスを貫通したアクセスチャンネルと、外リング、内リング、及び外リングと内リングとの間を延びるチューブ状シースを含む開創器と、手術用アクセスデバイスの作動状態で開創器に連結された内部リトラクターとを含み、作動状態において内部リトラクターの少なくとも一部が内リングから遠位方向に延びる、手術用アクセスデバイスを提供する。
【0008】
幾つかの実施例では、開創器の外リングは、その環状軸線を中心として回転でき、これによって、内リングと外リングとの間のチューブ状シースの有効長さを調節できる。
【0009】
幾つかの実施例では、内部リトラクター及び開創器は一体化されている。幾つかの実施例では、内部リトラクターは、作動状態において、使用者によって開創器に連結される。
【0010】
幾つかの実施例では、内部リトラクターの少なくとも一部を、曲げ、捩じり、延伸、圧縮、膨張、切断、破り、除去、及び摺動のうちの少なくとも一つによって調節できる。幾つかの実施例では、内部リトラクターは、可撓性カバー及びダム部分のうちの少なくとも一方を含む。幾つかの実施例では、内部リトラクターには少なくとも一つのウィンドウが貫通している。
【0011】
幾つかの実施例では、内部リトラクターは、複数の細長い遠位方向に延びる整形可能部材(shapeable member)を含む。幾つかの実施例では、整形可能部材は、開創器の内リングに連結されている。幾つかの実施例では、整形可能部材は、開創器の外リングに連結されている。幾つかの実施例では、内部リトラクターは、更に、整形可能部材を外リングに連結する連結特徴又はベースを含む。
【0012】
幾つかの実施例では、内部リトラクターは、複数の膨張可能な支持部材と、隣接した支持部材間を延びる複数のダム部分と、周囲リングとを含む。
【0013】
幾つかの実施例では、内部リトラクターは、ハブから延びる複数のセグメントを含み、セグメントは、ハブ上で扇子構造をなして摺動できる。
【0014】
幾つかの実施例では、内部リトラクターは、開創器から遠位方向に延びるスカート部材と、スカート部材の遠位端に連結された支持部材とを含む。幾つかの実施例では、支持部材は、弾性変形可能な材料、塑性変形可能な材料、及び複数の関連した部材のうちの少なくとも一つを含む。
【0015】
幾つかの実施例では、内部リトラクターは、作動状態において、開創器から遠位方向に延びるチューブ状スカートと、チューブ状スカートの遠位端に配置された保持リングとを含み、保持リングの直径は、開創器の内リング及び外リングのうちの少なくとも一方の直径よりも大きく、保持リングは、開創器を通過するのに十分に変形できる。
【0016】
幾つかの実施例では、内部リトラクターは、膨張可能なトーラスを含む。
【0017】
幾つかの実施例では、内部リトラクターは、半径方向に変形可能なチューブを含む。幾つかの実施例では、チューブは、実質的に円筒形、楕円形円筒形、又は截頭円錐形である。幾つかの実施例では、チューブは、積み重ねられた複数の環状セグメントを含む。幾つかの実施例では、環状セグメントの少なくとも一つは、チューブから取り外すことができる。
【0018】
幾つかの実施例では、内部リトラクターは、チューブを形成する半径方向に圧縮可能なフレームを含む。幾つかの実施例では、フレームは、周方向に蛇行した部材、長さ方向に蛇行した部材、及びラチスのうちの少なくとも一つを含む。
【0019】
幾つかの実施例では、フレームに被せたカバーを含む。
【0020】
幾つかの実施例では、内部リトラクターは、変形可能な平らなフレーム、フレームに被せたカバー、及び開創器に連結できる連結特徴を含む。
【0021】
幾つかの実施例では、内部リトラクターは本体を含み、本体の少なくとも一部に沿って溝が設けられ、溝は、開創器の内リングをその中に受け入れる寸法を備えている。幾つかの実施例では、本体は、更に、遠位縁部の少なくとも一部に沿って配置された連結特徴を含み、連結特徴は、近位縁部の少なくとも一部に沿って配置された相補的コネクタを含む延長器に連結できる。幾つかの実施例では、延長器のコネクタは第1コネクタであり、延長器の遠位縁部は、更に、その少なくとも一部に沿って配置された第2コネクタを含み、この第2コネクタは、第2延長器に連結できる。
【0022】
幾つかの実施例は、手術用アクセスデバイスにおいて、近位端と、遠位端と、近位端から遠位端まで延びる長さ方向軸線と、アクセスデバイスを貫通したアクセスチャンネルと、外リング、内リング、及び外リングと内リングとの間を延びるチューブ状シースを含む開創器と、開創器に連結された、体腔の内容物をどかすための手段とを含む、手術用アクセスデバイスを提供する。
【0023】
幾つかの実施例は、体腔内に術野を形成するための方法において、手術用アクセスデバイスの開創器の内リングを体腔壁の開口部を通して体腔内に挿入する工程と、体腔壁の開口部を拡げる工程と、調節可能な内部リトラクターを体腔内で展開し、術野を形成する工程とを含む、方法を提供する。
【0024】
幾つかの実施例は、近位端、遠位端、及び近位端から遠位端まで延びる長さ方向軸線を含み、近位部分、遠位保持部分、近位部分と遠位保持部分との間を延びる調節可能なチューブ状中間部分、近位部分、遠位保持部分、及びチューブ状中間部分を通って延びるアクセス開口部、及び遠位保持部分から遠位方向に延びる調節自在の延長部材を含み、展開状態では、延長可能な延長部材は、体腔内部構造をどかすように作動できる、手術用リトラクターを提供する。
【0025】
幾つかの実施例では、延長部材は、膨張可能な複数の支持部材、これらの部材間を延びる複数のダム部分、及び周囲リングを含む。
【0026】
幾つかの実施例では、延長部材は、近位端及び遠位端を含む複数のセグメントを含み、各セグメントの近位端は、遠位保持リングのトラックに配置され、これによってセグメントが互いを迂回できるようにする。
【0027】
幾つかの実施例では、延長部材は、遠位保持リングから遠位方向に延びる複数の整形可能部材を含む。
【0028】
幾つかの実施例では、延長部材は、整形可能な支持部材、及び支持部材と遠位保持リングとの間を延びるスカートを含む。
【0029】
幾つかの実施例では、延長部材は、変形可能な保持リング、及び遠位保持部材と保持リングとの間を延びるチューブ状可撓性シースを含み、保持リングは、保持リングが近位部分の近位側にあり、可撓性シースが中間部分を通って延びる未展開形態と、保持リングが遠位保持部材の遠位側にある展開形態との間で形態を変化できる。
【0030】
幾つかの実施例では、延長部材は遠位保持部材に連結できる。
【0031】
幾つかの実施例では、延長部材は開放領域を含む。
【0032】
幾つかの実施例は、手術用リトラクターにおいて、近位端、遠位端、及び近位端から遠位端まで延びる長さ方向軸線と、近位部分と、遠位保持部分と、近位部分と遠位保持部分との間を延びる調節可能なチューブ状中間部分と、近位部分、遠位保持部分、及びチューブ状中間部分を通って延びるアクセス開口部と、遠位保持部分に連結された、内部構造をどけるための手段とを含む、手術用リトラクターを提供する。
【0033】
幾つかの実施例は、体腔内で術野を形成するための方法において、リトラクターの遠位保持部分を切開創を通して体腔内に挿入する工程と、チューブ状中間部分の長さを調節し、これによって切開創を拡げる工程と、延長部材を展開することによって体腔内の構造をどける工程と、術野を形成する工程とを含む、方法を提供する。
【0034】
添付図面に亘り、同様の参照番号が同様の構成要素に付してある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1C】
図1Cは、腹部での開創器の配置を概略に示す、患者の部分正面断面図である。
【
図1D】
図1Dは、腹部での開創器の配置を示す、患者の部分側面断面図である。
【
図2】
図2は、複数の整形可能部材を含む内部リトラクターを含む、アクセスデバイスの一実施例の斜視図である。
【
図3】
図3は、膨張可能な部材を含む内部リトラクターを含む、アクセスデバイスの別の実施例の斜視図である。
【
図4】
図4は、扇子状デバイスを含む内部リトラクターを含む、アクセスデバイスの別の実施例の斜視図である。
【
図5】
図5は、整形可能又は変形可能な支持部材を含む内部リトラクターを含む、アクセスデバイスの別の実施例の斜視図である。
【
図6A】
図6Aは、未展開形態の整形可能な内部構造を含む、アクセスデバイスの別の実施例の斜視図である。
【
図7】
図7は、膨張可能なトロイド状内部リトラクターを含むアクセスデバイスの別の実施例の斜視図である。
【
図8】
図8は、半径方向に圧縮可能なチューブを含む内部リトラクターを含むアクセスデバイスの別の実施例の斜視図である。
【
図9】
図9は、チューブを形成する周方向に蛇行したフレームを含む内部リトラクターを含むアクセスデバイスの別の実施例の斜視図である。
【
図10A】
図10Aは、チューブを形成する長さ方向に蛇行したフレームを含む内部リトラクターの別の実施例の斜視図である。
【
図10B】
図10Bは、チューブを形成する長さ方向に蛇行したフレームを含む内部リトラクターの別の実施例の斜視図である。
【
図10C】
図10Cは、チューブを形成する長さ方向に蛇行したフレームを含む内部リトラクターの別の実施例の斜視図である。
【
図11】
図11は、チューブを形成するラチスフレームを含む内部リトラクターの別の実施例の斜視図である。
【
図12】
図12は、平らな変形可能なフレームを含む内部リトラクターの別の実施例の斜視図である。
【
図13A】
図13Aは、開創器に連結できる本体を持つ内部リトラクターを含むアクセスデバイスの別の実施例の側面図である。
【
図14】
図14は、複数の細長い整形可能部材を含む内部リトラクターの別の実施例の斜視図である。
【
図15】
図15は、複数の細長い整形可能部材を含む内部リトラクターの別の実施例の斜視図である。
【
図16A】
図16Aは、内部リトラクターを腹腔内で展開する前の患者の部分断面側面図である。
【
図16C】
図16Cは、内部リトラクターを腹腔内で展開した患者の部分断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1Aは、臍のところに切開創の場所22がある、腹部20の手術を行う患者10の正面図である。
図1Bは、体腔壁40によって閉じ込められた腹腔内容物30、様々な癒着、及び連結部を示す、患者の部分断面図である。内容物30は、水分を含み、掴み難く、うまく取り扱うのが困難であり、これは、特に小腸の場合にいえる。
図1Cに概略に示し、
図1Dに部分断面側面図で示すように、体腔壁40の切開創を通して腹腔42内に円形の開創器50を配置する。これによって、腹腔内容物30への明確なアクセスを外科医に提供する。
【0037】
図2は、手術用アクセスデバイス200の一実施例の斜視図である。手術用アクセスデバイス200は、開創器250と、調節可能な内部リトラクター270とを含む。開創器250は、デバイス200の近位端202に配置されており、内部リトラクター270は遠位端204に配置されている。長さ方向軸線206が近位端202から遠位端204まで延びている。アクセスチャンネル208がデバイス200を通って延びている。
例示の実施例では、開創器250は、近位リング即ち外リング252と、変形可能な遠位リング即ち内リング254と、外リング252と内リング254との間を延びるチューブ状可撓性シース256とを含む。
【0038】
内リング254は変形可能であり、即ち可撓性であり、そのため、使用者は、弛緩状態の内リング254の直径よりも小径の体腔壁の切開創即ち開口部を通して内リング254を体腔内に挿入できる。更に、内リング254は、体腔壁の内面に当てて配置され、切開創即ち開口部を通って延びるチューブ状シース256による張力の作用下で変形に抵抗するのに十分に剛性である。
【0039】
開創器250は、調節可能であってもよいし調節不能であってもよい。例示の実施例では、開創器250は調節可能な開創器である。例示の実施例では、外リング252はその環状軸線を中心として回転でき、これによりチューブ状シース256を外リング252の周囲に巻き付けたり巻き解すことにより、チューブ状シース256の有効長さ及び外リング252と内リング254との間の距離を調節する。このように調節できるため、使用者は体腔の開口部又は切開創を拡げることができる。例示の外リング252は、第1チューブ252a及び第2チューブ252bを含む。他の実施例では、外リング252は別の形状を有し、例えば、長軸又は長い方の軸線が長さ方向軸線206と平行であるか或いはこれに対して垂直な楕円形、長円形、及び/又は細長い断面を備えている。幾つかの実施例では、外リング252は、更に、一つ又はそれ以上の周方向内腔を含む。幾つかの実施例では、これらの内腔のうちの一つ又はそれ以上にワイヤ又はフープが配置されている。幾つかの実施例では、ワイヤ又はフープは、非コンプライアント(non-compliant) である。幾つかの実施例では、ワイヤ又はフープは、スプリットフープ(split hoop)である。
【0040】
外リング252、内リング254、及びチューブ状シース256は、夫々、任意の適当な生体親和性材料、例えば一つ又はそれ以上のポリマー樹脂で形成されている。外リング252がワイヤ又はフープで形成されている実施例では、ワイヤ又はフープは、金属、ステンレス鋼、ばね鋼、ニチノール、ポリマー、セラミック、ファイバ、その複合材料、等のうちの少なくとも一つで形成されている。
【0041】
幾つかの実施例では、開創器250は複数の大きさで製造され、例えば、外リング252、内リング254、及びシース256は様々な直径を備えていてもよく、及び/又はシース256の長さは様々であってもよい。アクセスデバイス200の幾つかの実施例では、更に、外リング252に連結できるキャップ又は蓋(図示せず)を含む。キャップ又は蓋は、アクセスチャンネル208を閉鎖及び/又はシールする。キャップ又は蓋の幾つかの実施例では、器具及び/又は手を、キャップ又は蓋を通して、アクセスチャンネル208内にアクセスできる。適当な開創器、キャップ、及び蓋は、米国特許第7,727,146号、米国特許第7,650,887号、及び米国特許出願公開第2010/0094227号にも開示されている。出典を明示することにより、これらの特許及び特許出願に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【0042】
例示の実施例の内部リトラクター270は、開創器250の内リング254に連結されており、内リング254から遠位方向に延びている。例示の実施例では、内部リトラクター270は複数の細長い整形可能部材(shapeable members) 272を含む。これらの部材の各々は、開創器250の内リング254から遠位方向に延びる。例示の実施例では、各整形可能部材272は長さ方向軸線206から遠ざかる方向に角度をなしているが、他の実施例では、一つ又はそれ以上の整形可能部材が別の方向に、例えば長さ方向軸線206と実質的に平行に及び/又は長さ方向軸線206に向かって延びている。
【0043】
例示の実施例の各整形可能部材272は、任意の適当な材料、例えばポリマー樹脂又は金属のうちの少なくとも一つでできた細長いセグメント及び/又はウィングを含む。整形可能部材272の幾つかの実施例は、弾性変形可能な「材料」、例えば金属、ステンレス鋼、ばね鋼、ポリマー、ファイバ、及びこれらの組み合わせでできている。整形可能部材272の幾つかの実施例は、展性材料及び/又は塑性変形可能な材料、例えば金属、ステンレス鋼、超弾性材料、形状記憶材料、クレー、クレー状材料、及びこれらの組み合わせでできている。幾つかの実施例では、整形可能部材272のうちの一つ又はそれ以上が、布、ガーゼ、及びフォームのうちの少なくとも一つで部分的に又は完全にコーティング及び/又はカバーされており、これによって牽引力及び/又は流体吸収性を改善する。幾つかの実施例では、一つ又はそれ以上の整形可能部材272が、撥水性材料及び/又は流体不透過性材料で部分的に又は完全にコーティング及び/又はカバーされている。幾つかの実施例では、一つ又はそれ以上の整形可能部材272は、テキスチャーを持つ表面及び/又は非スリップ表面を備えている。整形可能部材272の幾つかの実施例は、例えば、ワイヤ、ストリップ、シート、及び有孔シートでできている。
【0044】
幾つかの実施例では、一つ又はそれ以上の整形可能部材272は、横方向軸線に沿って湾曲しており、これによって、ベネシャンブラインドのスラットを補剛する原理を使用して整形可能部材272を補剛する。例示の実施例では、長さ方向軸線206に関する角度及び個々の整形可能部材272の各々の形状は調節可能であり、これによって、構造又は器官をどかし、及び/又は構造又は器官が選択された術野即ち手術領域に入らないようにし、これによって、術野内にある手術ターゲットへのアクセスを改善する。例えば、幾つかの実施例では、整形可能部材272の少なくとも一部をその局所的長さ方向軸線274に対して横方向に曲げることができる。幾つかの実施例では、整形可能部材272の少なくとも一部を局所的長さ方向軸線274を中心として曲げることができ、即ち捩じることができる。
【0045】
幾つかの実施例では、整形可能部材272のうちの少なくとも一つを内リング254と一体化する。幾つかの実施例では、整形可能部材272のうちの少なくとも一つを別に製造し、これを内リング254に連結する。例えば、内リング254の幾つかの実施例は、整形可能部材272が連結される少なくとも一つの連結特徴を含む。幾つかの実施例では、少なくとも一つの整形可能部材272の近位端は、整形可能部材272を内リング254に、長さ方向軸線206に関して所望の角度で固定する連結特徴を含む。適当な連結特徴には、例えば、機械的ファスナ、クリップ、クランプ、摩擦嵌め、フック−ループファスナ、スナップ、結着部、ねじ、ラッチ、継手、ヒンジ、ボール継手、一体丁番、等が含まれる。幾つかの実施例では、整形可能部材272は、内リング254にユニットをなして連結されており、例えば内部リトラクター270の近位端のところでウェブ及び/又はリングによって接合されている。幾つかの実施例では、整形可能部材272は、内リング254に個々に連結されている。幾つかの実施例では、整形可能部材272のうちの一つ又はそれ以上を、例えば切断、破断、等によって所望の通りに取り外すことができる。幾つかの実施例では、内部リトラクター270は取り外し可能であり、例えば外科手術の一部の完了後に取り外すことができる。内部リトラクター270の幾つかの実施例は、開創器に連結されておらず、開創器とは独立して使用される。
【0046】
例示の実施例では、各整形可能部材272の局所的軸線274は、内リング254に対して実質的に垂直である。他の実施例では、少なくとも一つの整形可能部材272の局所的軸線274は、内リング254に関して別の角度で全体に螺旋形態をなして延びている。例えば、幾つかの実施例では、全ての整形可能部材272が一緒に螺旋状内部リトラクター270を形成する。
【0047】
内部リトラクター270の幾つかの実施例は、更に、整形可能部材272のうちの一つ又はそれ以上に固定できるダム即ちカバー(図示せず)を含む。これによって、傘のような構造を形成する。これは内臓をどかすのを改善する。カバーは、以下に説明し、図示するダム部と同様であり、これらの同様のダム部は、単一の又は複数のピースで形成されており、同様の材料で形成されている。カバーは、例えば接着剤、感圧接着剤、機械式ファスナ、クリップ、クランプ、摩擦嵌め、フック−ループファスナ、スナップ、結着部、ねじ、ラッチ、等を使用して永久的に又は一時的に固定される。幾つかの実施例では、カバーは、整形可能部材272のうちの一つ又はそれ以上を受け入れる寸法の一つ又はそれ以上のポケットを含む。幾つかの実施例では、カバーの一つ又はそれ以上の部分は、使用者が、例えば切断等で除去できる。
【0048】
図3は、上文中に論じた手術用アクセスデバイスとほぼ同様の手術用アクセスデバイス300の一実施例の斜視図である。アクセスデバイス300は、近位端302と、遠位端304と、長さ方向軸線306と、アクセスチャンネル308と、近位端302に配置された開創器350と、遠位端304に配置された調節可能な内部リトラクター370とを含む。開創器350は、上文中に説明した開創器250の実施例とほぼ同じであり、外リング352と、内リング354と、可撓性シース356とを含む。内部リトラクター370は、開創器350と一体であってもよいし、別の構成要素として製造され、上文中に論じたように、これを開創器350に予備取り付けしてもよく、又は使用者が取り付けてもよく、又は開創器350に連結せずに使用してもよい。
【0049】
内部リトラクター370の例示の実施例は、長さ方向に延びる複数の膨張可能な支持部材372と、隣接した支持部材372間を延びる複数のダム部分374とを含む。他の実施例では、単一のダム部分374が複数の膨張可能な支持部材372に亘って延びていてもよい。例示の実施例は、更に、周囲リング376を含む。幾つかの実施例では、周囲リング376は少なくとも一つの支持部材372に流動学的に連結されており、従って、少なくとも一つの支持部材372で膨張させることができる。他の実施例では、周囲リング376は膨張可能でない。幾つかの実施例では、周囲リング376は、互いに関連した複数の部材、例えばボール−ソケットセグメントを含む。例示の実施例では、内部リトラクター370は、膨張状態で全体に截頭円錐形であり、長さ方向軸線306から遠位方向に末広がりになっている。
【0050】
例示の実施例では、内部リトラクター370は、内部リトラクター370の周囲の外側の組織及び/又は器官のアクセスを許容する開放領域即ちウィンドウ378を含む。開放領域即ちウィンドウ378により、外科医は、内部リトラクター370の上方の領域、側方の領域、及び/又は下方の領域に器具及び/又は手を置くことができる。これは、下腹部又は骨盤内で作業を行う場合に有用である。内部リトラクター370の幾つかの実施例は、開放領域即ちウィンドウを備えていない。幾つかの実施例では、内部リトラクター370は、開放領域即ちウィンドウ378なしで提供され、使用者が、例えば選択したダム部分374を除去することによって一つ又はそれ以上の開放領域即ちウィンドウを所望の通りに形成する。幾つかの実施例では、支持部材372の間隔は均等ではなく、これによって使用者は、開放領域即ちウィンドウ378の所望の大きさを選択できる。
【0051】
内部リトラクター370の実施例は、ゴム、ポリマー、樹脂、布、フォーム、及びエラストマーのうちの少なくとも一つの材料で形成されている。幾つかの実施例では、支持部材372、ダム部分374、及び周囲リング376が異なる材料で形成されていてもよい。ダム部分374の幾つかの実施例は、ポリマー、メンブレンフィルム、ゴム、ウェブ、ガーゼ、フィルム、布、織布、不織布、及びニット布のうちの少なくとも一つの材料で形成されていてもよい。幾つかの実施例では、ダム部分374は、スパンデックス(spandex) 等のエラストマー材料又は延伸可能材料でできている。内部リトラクター370の幾つかの実施例は、更に、例えば少なくとも一つの支持部材372上に、支持部材372を通して、又は支持部材372内に配置された一つ又はそれ以上のリブ等の少なくとも一つの可撓性強化部材、ダム部分374、及び/又は周囲リング376を含む。幾つかの実施例では、少なくとも一つの支持強化部材372は弾性変形可能である。幾つかの実施例では、少なくとも一つの支持部材372塑性変形可能である。支持部材に適した材料は、上文中に説明してある。強化部材372に適した材料には、少なくとも一つの金属、超弾性材料、形状記憶材料、ポリマー、ファイバ、及びこれらの複合材料が含まれる。幾つかの実施例では、強化部材には、ワイヤ、ストリップ、バンド、等が含まれる。
【0052】
幾つかの実施例では、内部リトラクター370が内臓に及ぼす、どかす力及び/又は保持力はその膨張の程度で決まる。従って、どかす力及び/又は保持力は、最終使用者が調節できる。内部リトラクターの実施例は、ガス、二酸化炭素、窒素、空気、液体、水、生理食塩水、リンゲル液、等張液、等で膨張できる。幾つかの実施例では、膨張流体は、所望の通りに冷却され、又は加熱される。
【0053】
図4は、上文中に論じた実施例とほぼ同様の手術用アクセスデバイス400の別の実施例の斜視図である。アクセスデバイス400は、近位端402から遠位端404まで延びる長さ方向軸線406と、デバイス400を通って延びるアクセスチャンネル408と、近位端402に設けられた開創器450と、遠位端404に設けられた内部リトラクター470とを含む。開創器450は、上文中に説明した開創器の実施例とほぼ同じであり、外リング452、内リング454、及び可撓性シース456を含む。内部リトラクター470の実施例は、上文中に説明したように、開創器450と一体化されており、これに予備取り付けされており、又は使用者が開創器450に取り付け、又は開創器に連結されない。
【0054】
例示の実施例では、内部リトラクター470は、扇子形状をなして配置された複数の個々のセグメント472を含む。例示の実施例では、各セグメント472は、長さ方向軸線406から角度をなして延びている。セグメント472のうちの少なくとも幾つかは、ハブ480に摺動可能に連結されており、これによって虹彩のような、少なくとも一つの折り畳んだ扇子構造を形成し、これにより、使用者は、内部リトラクターの開口部即ちウィンドウ478を所望の通りに調節でき、これによって内臓の保持及び/又はどかす程度を調節する。例示の実施例では、ハブ480は、少なくとも幾つかのセグメント472の近位端が摺動可能に連結された一つ又はそれ以上のトラックを含む。幾つかの実施例では、内部リトラクター470は、一方向にしか開放できない一方向機構を含む。幾つかの実施例では、幾つかのセグメント472の少なくとも一部が展性であり又は塑性変形可能である。例示の実施例では、上文中に説明したカバー即ちダムと同様の可撓性カバー即ちダム474が一つ又はそれ以上のセグメント472に配置されている。
【0055】
図5は、上文中に説明した実施例とほぼ同様の手術用アクセスデバイス500の別の実施例の斜視図である。手術用アクセスデバイス500は、近位端502から遠位端504まで延びる長さ方向軸線506と、デバイス500を通って延びるアクセスチャンネル508と、近位端502に配置された開創器550と、遠位端504に配置された内部リトラクター570とを含む。開創器550は、上文中に説明した開創器の実施例とほぼ同じであり、外リング552、内リング554、及び可撓性シース556を含む。内部リトラクター570の実施例は、上文中に説明したように、開創器550と一体化されており、これに予備取り付けされており、又は使用者が開創器550に取り付け、又は開創器に連結されないで使用される。
【0056】
内部リトラクター570は、遠位方向に延びるスカート部材574及びスカート部材574の遠位部分に連結された支持部材576を含む。スカート部材574の実施例は、カバー及びダム部分について上文中に論じた任意の材料で形成されていてもよい。支持部材576の実施例は、弾性、展性、及び/又は塑性変形可能な一つ又はそれ以上の部分を含み、例えば上文中に説明した一つ又はそれ以上の材料で形成されている。例示の実施例では、支持部材576は、アンダーカット即ち中空部分584を形成し、その上側を延びる、内方に延びる突出部582を含む。この突出部は、支持部材574に形状記憶特性を提供する。他の実施例では、支持部材574は、複数の関連した部材、例えばボール−ソケットセグメントを含む。
【0057】
例示の実施例は、更に、ウィンドウ578を含む。幾つかの実施例では、ウィンドウ578は予備成形されている。他の実施例では、使用者がウィンドウ578を形成してもよい。例示の実施例では、ウィンドウ578は、支持部材576の隙間を含む。他の実施例ではウィンドウ578は、スカート部材574だけを通って延び、支持部材576の隙間を含まない。
【0058】
図6Aは、上文中に説明した実施例とほぼ同じアクセスデバイス600の別の態様の斜視図である。手術用アクセスデバイス600は、近位端602から遠位端604まで延びる長さ方向軸線606と、デバイス600を通って延びるアクセスチャンネル608と、近位端602に配置された開創器650と、内部リトラクター670とを含む。開創器650は、上文中に説明した開創器の実施例とほぼ同じであり、外リング652、内リング654、及び可撓性シース656を含む。内部リトラクター670の実施例は、上文中に説明したように、開創器650と一体化されており、これに予備取り付けされており、又は使用者が開創器650に取り付け、又は開創器に連結されないで使用される。
【0059】
内部リトラクターは、開創器650に連結されたチューブ状スカート674及びスカート674の自由端に連結された保持リング676を含む。例示の実施例では、保持リング676の直径は、外リング652又は内リング654の直径よりも大きい。例示の実施例では、チューブ状スカート674は、開創器650の遠位端、例えば内リング654に連結されている。他の実施例では、チューブ状スカート674は、開創器650の近位端、例えば外リング652に連結されている。スカート674は、任意の適当な可撓性材料、例えばカバー又はダム部分について上文中に説明した材料でできている。保持リング676は、展性材料、変形可能な材料、整形可能材料、塑性変形可能な材料、及び/又は弾性変形可能な材料、例えば上文中に説明した任意の材料でできている。保持リング676の幾つかの実施例は、展性又は塑性変形可能な内部スパイン(spine) を含む。幾つかの実施例は、関連した複数の部材、例えばボール−ソケットセグメントを含む。従って、保持リングの幾つかの実施例は、一つの平面内で又は全ての方向で整形可能である。
【0060】
内部リトラクター670の例示の実施例は、ウィンドウを含まない。幾つかの実施例では、一つ又はそれ以上のウィンドウがスカート674に予備成形されている。幾つかの実施例では、使用者がスカート674にウィンドウを所望の通りに形成する。
【0061】
内部リトラクター670を
図6Aに未展開状態で示す。未展開状態では、保持リング676は開創器650の外リング652の近位側に配置されており、スカート674はアクセスチャンネル608を通って延びている。
図6B及び
図6Cは、内部リトラクター670を未展開状態即ち
図6Aに示す形状から展開状態即ち
図6Dに示す形状まで変化する中間の状態を示す。
図6Dに示す形状では、保持リング676は内リング654の遠位側にある。例示の方法では、保持リング676を開創器650のアクセスチャンネル606に通す。変換プロセスでは、大径の保持リング676を窄め、捩じり、及び/又は他の方法で変形し、アクセスチャンネル608を通る大きさにする。展開状態即ち
図6Dに示す形状では、大径の保持リング676は、内臓を体腔内の所望の領域からどかすような形状を有し、及び/又はそのように調節される。例えば、幾つかの実施例では、保持リング676は、内部構造30(
図1B、
図1C、及び
図1D参照)の下に入り込み、これらの構造30の重量で保持リング676を所定の場所に固定する。
【0062】
図7は、上文中に説明した実施例とほぼ同じ手術用アクセスデバイス700の別の実施例の斜視図である。手術用アクセスデバイス700は、近位端702から遠位端704まで延びる長さ方向軸線706と、デバイス700を通って延びるアクセスチャンネル708と、近位端702に配置された開創器750と、内部リトラクター770とを含む。開創器750は、上文中に説明した開創器の実施例とほぼ同じであり、外リング752、内リング754、及び可撓性シース756を含む。内部リトラクター770の実施例は、上文中に説明したように、開創器750と一体化されており、これに予備取り付けされており、又は使用者が開創器750に取り付け、又は開創器に連結されないで使用される。
【0063】
例示の実施例では、内部リトラクター770は、近位側にある短いチューブ状スカート774を含み、このスカートは、遠位側にある膨張可能なトーラス776に連結されている。内部リトラクター770の幾つかの実施例は、スカートを含まない。未展開状態では、トーラス776は膨張されておらず、展開状態では、トーラス776は選択的に膨張される。スカート774及び/又はトーラス776の幾つかの実施例は、補剛部材又は強化部材を含む。
【0064】
図8は、上文中に説明した実施例とほぼ同じアクセスデバイス800の別の実施例の斜視図である。手術用アクセスデバイス800は、近位端802から遠位端804まで延びる長さ方向軸線806と、デバイス800を通って延びるアクセスチャンネル808と、近位端802に配置された開創器850と、内部リトラクター870とを含む。開創器850は、上文中に説明した開創器の実施例とほぼ同じであり、外リング852、内リング854、及び可撓性シース856を含む。内部リトラクター870の実施例は、上文中に論じたように、開創器850と一体化されており、これに予備取り付けされており、又は使用者が開創器850に取り付け、又は開創器に連結されないで使用される。
【0065】
例示の実施例では、内部リトラクター870は、全体に中空の円筒体即ち開放端を持つチューブを含み、これを通ってアクセスチャンネルが延びている。他の実施例では、内部リトラクター870は、別の形状、例えば楕円形円筒体形状、又は大径端が遠位側にあり、又は小径端が遠位側にある截頭円錐形形状を備えている。内部リトラクター870の実施例は、様々な直径及び/又は長さで製造される。内部リトラクター870は、弾性変形可能であり、又は塑性変形可能である。幾つかの実施例では、内部リトラクター870の一つ又はそれ以上の部分が弾性変形可能であり、一つ又はそれ以上の部分が塑性変形可能である。塑性変形可能部分により、使用者は、内部リトラクター870を所望の通りの形状にできる。切開創及び/又は開創器850を通して挿入できるように、内部リトラクター870は半径方向に十分に変形できる。
【0066】
例示の実施例では、内部リトラクター870は、互いに積み重ねられた複数の環状セグメント872を含む。例示の実施例では、これらの環状セグメント872はトロイド状である。しかしながら、他の実施例では、環状セグメントはその他の形状及び/又はこれらの形状を混ぜ合わせた形状を備えている。幾つかの実施例では、環状セグメントは、例えば切断等によって互いから取り外すことができ、又は分離可能である。これにより、使用者は、内部リトラクターの長さを調節できる。内部リトラクター870の幾つかの実施例は、例えば一つ又はそれ以上の部分的な又は完全な長さ方向切断部を使用して長さ方向に分離できる。これにより、使用者は、開口部又はウィンドウを所望の通りに形成できる。内部リトラクター870の幾つかの実施例は、更に、上文中に論じたように、完全な又は部分的なカバーを備えている。
【0067】
幾つかの実施例では、内部リトラクター870は、内部リトラクター870が並進可能であるように開創器850に連結されている。これにより、使用者は、開創器850の真下にない術野を単離(isolate) できる。使用では、開創器850は患者に良好に固定され、これによって内部リトラクター870を固定する。適当な連結デバイスは当該技術分野で周知であり、これには、例えば、ロッド、バー、クランプ、クリップ、スイベル、ヒンジ、等が含まれる。幾つかの実施例では、内部リトラクター870は開創器850に連結されていない。
【0068】
図9は、上文中に説明した実施例と同様の内部リトラクター970の別の実施例の斜視図である。内部リトラクター970は、上文中に論じたように、開創器と一体化されており、これに連結されており、又は開創器とともに使用され、又は開創器とは別個に使用される。内部リトラクター970の例示の実施例は、長さ方向軸線906、アクセスチャンネル908、及び中空円筒体即ちチューブを形成する蛇行フレーム972を含む。他の実施例では、フレーム972は形状が異なっており、例えば截頭円錐形又は楕円形円筒体である。蛇行フレーム972は、複数の周方向空所即ち開口部982を円筒体の表面に形成し、例えば内部リトラクター970の挿入時にフレーム972が半径方向に圧縮されるとき、フレーム972によって形成された周方向フィンガ984が互いに組み合うことにより、開口部982に入り込む。他の実施例では、蛇行フレーム972は、形状が異なる空所982及びフィンガ984を形成する異なる形状を備えていてもよいということは当業者には理解されよう。フレーム972は、塑性変形可能な材料、弾性変形可能な材料、又はこれらの組み合わせで形成されている。塑性変形可能な材料で形成された実施例では、内部リトラクター970は再成形可能(reshapeable) であり即ち展開時に調節できる。
【0069】
例示の実施例では、内部リトラクター970は、更に、上文中に論じたように、カバー即ちダム部分974を含む。幾つかの実施例では、カバーは、空所領域986を通して切断でき、これにより展開状態で更に調節できる。他の実施例は、カバー即ちダム部分974を含んでいなくてもよい。
【0070】
図10Aは、上文中に説明した実施例と同様の内部リトラクター1070の別の実施例の斜視図である。内部リトラクター1070は、上文中に論じたように、開創器と一体化されており、開創器に連結されており、又は開創器とともに使用され、又は開創器とは別個に使用される。内部リトラクター1070の例示の実施例は、長さ方向軸線1006、アクセスチャンネル1008、及び中空円筒体即ちチューブを形成する蛇行フレーム1072を含む。他の実施例では、フレーム1072は形状が異なっており、例えば截頭円錐形又は楕円形円筒体である。蛇行フレーム1072は、複数の長さ方向空所即ち開口部1082を円筒体の表面に形成し、例えば内部リトラクター1070の挿入時に使用者がフレーム1072を半径方向に圧縮できる。他の実施例では、フレーム1072は、単一の蛇行部材即ち正弦波形部材でなく、複数の長さ方向部材を含むということは当業者には理解されよう。フレーム1072は、塑性変形可能な材料、弾性変形可能な材料、又はこれらの組み合わせでできていてもよい。塑性変形可能な材料でできた実施例では、内部リトラクター1070は、再成形可能であり即ち展開時に調節できる。
【0071】
例示の実施例は、更に、内部リトラクター1070の遠位端に配置された遠位支持部材1076を含む。
図10Bに示すように、未展開状態では、内部リトラクター1070は円錐形である。内部リトラクター1070の展開時に、遠位支持部材1076を、フレーム1072の遠位端、例えば
図10Cに示す一組のフック1086と係合するまでアクセスチャンネル1008に沿って前進する。
【0072】
内部リトラクター1070の幾つかの実施例は、カバー即ちダム部分(図示せず)を含む。幾つかの実施例は、例えば、遠位支持部材1076が存在する場合にこれと切断することによって、又はフレーム1072の部分を切断することによって開放できる。これは追加の調節自在性を可能にする。
【0073】
図11は、上文中に説明した実施例と同様の内部リトラクター1170の別の実施例の斜視図である。内部リトラクター1170は、上文中に論じたように、開創器と一体化されており、開創器に連結でき、又は開創器とともに使用され、又は開創器とは別個に使用される。内部リトラクター1170の例示の実施例は、長さ方向軸線1106、アクセスチャンネル1108、及び中空円筒体即ちチューブを形成するラチスフレーム1172を含む。他の実施例では、フレーム1172は形状が異なっており、例えば截頭円錐形又は楕円形円筒体である。ラチスフレーム1172は、円筒形表面に複数の空所即ち開口部1182を形成し、これらの空所即ち開口部により、使用者は、例えば内部リトラクター1170の挿入時にフレーム1172を半径方向に圧縮する。例示の実施例では、フレーム1172は菱形ラチスを含む。他の実施例では、フレーム1172は、異なるラチス、例えば六角形ラチスを含む。フレーム1172は、塑性変形可能な材料、弾性変形可能な材料、又はこれらの組み合わせでできていてもよい。塑性変形可能な材料でできた実施例では、内部リトラクター1170は、再成形可能であり即ち展開時に調節できる。
【0074】
例示の実施例では、内部リトラクター1170は、更に、上文中に論じたように、カバー即ちダム部分1174を含む。他の実施例は、カバー即ちダム部分を含んでいなくてもよい。幾つかの実施例は、フレーム1172の部分を切断することによって開放できる。これは追加の調節自在性を可能にする。
【0075】
図12は、上文中に説明した実施例と同様の内部リトラクター1270の別の実施例の斜視図である。内部リトラクター1270は、上文中に論じたように、開創器と一体化されており、開創器に連結でき、又は開創器とともに使用され、又は開創器とは別個に使用される。内部リトラクター1270の例示の実施例は、近位端1202と遠位端1204との間を延びる長さ方向軸線1206、変形可能なフレーム1272、及びカバー即ちダム部分1274を含む。例示の実施例は、更に、内部リトラクター1270を上文中に論じたように開創器に連結できる連結特徴1280を含む。例示の実施例では、フレーム1272は全体に矩形の内部リトラクター1270を形成する。他の実施例では、フレーム1272は、異なる形状、例えば台形又は長斜方形を形成する。フレーム1272は、例示の実施例では蛇行形状をなしている。他の実施例では、フレーム1272は、異なる形状、例えばラチス形状、メッシュ形状、中実シート形状、有孔シート形状、又はこれらの構造の組み合わせを備えている。フレーム1272は、塑性変形可能な材料、弾性変形可能な材料、又はこれらの組み合わせで形成されている。塑性変形可能な材料でできた実施例では、内部リトラクター1270は、再成形可能であり即ち展開時に調節できる。
【0076】
例示の実施例では、内部リトラクター1270は、更に、上文中に論じたように、カバー即ちダム部分1274を含む。他の実施例は、カバー即ちダム部分を含んでいなくてもよい。幾つかの実施例は、例えば、フレーム1272及び/又はカバー1274を切断することによって再成形できる。これは追加の調節自在性を可能にする。
【0077】
図13Aは、上文中に説明した実施例とほぼ同じ手術用アクセスデバイス1300の別の実施例の側面図である。手術用アクセスデバイス1300は、近位端1302から遠位端1304まで延びる長さ方向軸線1306、デバイス1300を通って延びるアクセスチャンネル1308、近位端1302に配置された開創器1350、及び内部リトラクター1370を含む。開創器1350は、上文中に説明した開創器の実施例とほぼ同じであり、外リング1352、内リング1354、及び可撓性シース1356を含む。内部リトラクター1370の実施例は、上文中に論じたように、開創器と一体化されており、開創器に予備連結されており、又は使用者が開創器1350に取り付け、又は開創器に連結されずに使用される。
【0078】
図13Bの詳細図で最もよくわかるように、内部リトラクターは本体1372を含み、この本体の近位縁部に沿って少なくとも部分的に溝1380が延びており、これは、開創器1350の内リング1354を受け入れる寸法を備えている。本体1372は、塑性変形可能な材料、弾性変形可能な材料、又はこれらの組み合わせで形成されている。塑性変形可能な材料でできた実施例では、本体1372は、再成形可能であり即ち展開時に調節できる。幾つかの実施例では、本体1372はチューブ状であり、内リング1354の直径に合わせて寸法が定められている。他の実施例では、本体1372は、細長いストリップとして供給される。いずれの場合でも、本体1372の幾つかの実施例には、所望の通りにトリミングを施してもよい。
【0079】
例示の実施例では、連結特徴1388が本体1372の遠位縁部に沿って少なくとも部分的に延びる。
図13Cの斜視図で最もよくわかるように、本体1372の連結特徴1388は、延長器1390に連結する。延長器1390は、その近位縁部に沿って少なくとも部分的に延びる相補的コネクタ1392aを含む。例示の実施例では、連結特徴1388及び相補的コネクタ1392aは、それ自体が相補的であり、即ち同じ形状を有する。本体1372と同様に、延長器1390は、塑性変形可能な材料、弾性変形可能な材料、又はこれらの組み合わせで形成されている。例示の実施例では、延長器1390は、更に、延長器1390の遠位縁部の少なくとも一部に沿って配置された第2の相補的コネクタ1392bを含む。これにより、使用者は、所望の数の延長器1390を追加できる。従って、例示の実施例では、内部リトラクター1370は、本体1372及び任意の所望の数の延長器1390を含む。
【0080】
他の実施例では、連結特徴1388は、開創器1350の内リング1354と同じ断面形状を有する。従って、これらの実施例では、本体1372もまた、延長器である。
【0081】
図14は、上文中に説明した実施例と同様の内部リトラクター1470の別の実施例の斜視図である。内部リトラクター1470の例示の実施例は、近位端1402と遠位端1404との間を延びる長さ方向軸線1406、アクセスチャンネル1408、及び複数の整形可能部材1472を含む。これらの整形可能部材は、例示の実施例の整形可能部材1472が開創器の内リングでなく外リング1452に連結されていることを除き、上文中に説明した整形可能部材272と同様である。
【0082】
例示の実施例では、各整形可能部材1472の近位端は、整形可能部材1472を外リング1452に連結する連結特徴1480を含む。例示の実施例では、使用者は、任意の特定の状況で使用された整形可能部材1472の数及び間隔を決定できる。一実施例では、使用者は、アクセスチャンネル1408を通して整形可能部材1472の遠位端を挿入した後、整形可能部材1472を外リング1452に連結する。
【0083】
他の実施例では、一つ又はそれ以上の整形可能部材1472を、ユニットとして、例えば共通の連結特徴1480を持つユニットとして展開する。共通の連結特徴1480を持つ幾つかの実施例では、整形可能部材1472は、アクセスチャンネル1408を通して挿入したとき、実質的に長さ方向に延び、即ち末広がりになり、次いで、外リング1452に連結した後に再成形する。
【0084】
図15は、上文中に説明した実施例と同様の内部リトラクター1570の別の実施例の斜視図である。内部リトラクター1570の例示の実施例は、近位端1502と遠位端1504との間を延びる長さ方向軸線1506、アクセスチャンネル1508、及び複数の整形可能部材1572を含む。これらの整形可能部材は、例示の実施例の整形可能部材1572が開創器の内リングでなく外リング1552に連結されていることを除き、上文中に説明した整形可能部材272と同様である。
【0085】
例示の実施例では、円弧状ベース1580が外リング1552と解放自在に噛み合っている。他の実施例では、連結特徴の円弧長さが異なり、例えば360°に亘って延びている。ベース1580は、整形可能部材1572に連結するコネクタ1582を含む。例示の実施例では、コネクタ1582はTトラックを有し、各整形可能部材1572の近位端に配置された相補的部分がTトラックに受け入れられる。他の実施例は、この他の形態のコネクタ、例えばレール、トラック、穴、ポスト、等のコネクタを使用するということは当業者には理解されよう。例示の実施例では、コネクタ1582は、ベースの内面に沿って配置される。他の実施例では、コネクタは、別の表面、例えば近位面、外面、長さ方向軸線1506に対して別の角度をなした面に配置される。整形可能部材1572は、Tトラックに沿って摺動自在である。Tトラックは、使用者が整形可能部材を挿入し又は取り出すことができる寸法の隙間1584を含む。例示の形態により、使用者は、任意の特定の状況で使用される整形可能部材1572の数及び間隔を決定できる。一実施例では、使用者は、ベース1580を外リング1552に連結し、アクセスチャンネル1508を通して整形可能部材1572の遠位端を挿入し、整形可能部材1572を隙間1584と整合し、整形可能部材1572をコネクタ1582に連結する。
【0086】
手術用アクセスデバイスを腹部手術で使用するための方法の一実施例を
図16A、
図16B、及び
図16Cに概略に示し、
図3に示すアクセスデバイス300の実施例を参照して説明するが、この方法は、本明細書中に説明したアクセスデバイスの全ての実施例に適用できるということは当業者には理解されよう。
図16Aは、患者の部分断面側面図であり、開創器350が体腔壁40を通して体腔42内に配置してある。体腔42は、この場合、腹腔である。先ず最初に、内リング354及び内部リトラクター370を体腔壁40の切開創を通して体腔42に挿入する。次いで、外リング352を返し、即ち外リング自体を中心として回転し、これによってチューブ状シース356を外リング352に巻き付け、切開創を拡げる。幾つかの実施例では、近位部分の外リング352は、スナップ動作(snap-over motion)で容易に返すことができる。スナップ動作では、開創プロセスで発生する張力が作用した状態で回転に抵抗する中立位置が提供される。この張力により開創器350を体腔壁40に固定する。
【0087】
例示の実施例では、腹腔42をガスで膨張させることにより、内部構造30へのアクセスを容易にする。幾つかの実施例では、キャップ又はカバー(図示せず)が開創器350の近位部分に固定されており、これによって、体腔42に対して実質的に気密の閉鎖体を形成し、その後、体腔42を膨張し、又は例えば二酸化炭素ガスを吹送する。
【0088】
次いで、内部リトラクター370を体腔42内で所望の通りに展開し、これによって、手術中、内部構造をどかす又は保持する。
図16Aは、内部リトラクター370を展開する前の術野70を示す。例えば例示の手術では、腹腔内容物30を小腸32の下側の手術について調節する。
図16Bは、内部リトラクター370が小腸32を保持して術野70から遠ざける保持パターンの部分断面正面図であり、
図16Cは部分断面側面図である。
【0089】
例示の実施例では、内部リトラクター370を展開する工程は、内部リトラクター370の周囲リング376を位置決めする工程と、膨張可能な支持部材372を、内部構造30を保持し即ちどかす所望の状態に膨張する工程とを含む。膨張した内部リトラクター370は、緩い構造が術野70に入り込まないようにせき止める。アクセスデバイス300を挿入する工程並びに内部リトラクター370を展開する工程では、内部リトラクター370は、手作業で及び/又は器具で操作される。例えば、幾つかの実施例では、アクセスデバイス300は、外科医の手100によってアクセスデバイス300のオリフィスアクセスチャンネル308を通して体腔42にアクセスするように寸法及び形状が定められている。他の実施例は、手ではなく内視鏡手術ツール等の手術用器具を受け入れる大きさ及び形状の比較的小さなアクセスデバイス300を使用する。幾つかの実施例では、単一の比較的小さなデバイス300は、腹腔鏡手術で必要とされる切開創の数を制限する。延長可能な部材についての特定の展開手順は、上文中に説明した各実施例について異なるということは当業者には理解されよう。
【0090】
特定の実施例をその例示の実施例を参照して詳細に図示し且つ説明したが、添付の特許請求の範囲に定義された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細における様々な変更を行うことができるということは当業者には理解されよう。