【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1に記載の特徴を有するローター装置、又は請求項7に記載の特徴を有するローター装置によって解決される。
【0009】
本発明は、更に、真空ポンプの為の改善されたローター装置の製造の為の方法を提供することを課題とする。
【0010】
この課題は、請求項14に記載の特徴を有するローター装置の製造の為の方法、又は請求項15に記載の特徴を有するローター装置の製造の為の方法によって解決される。
【0011】
真空ポンプ、特にターボ分子ポンプの為の発明に係るローター装置は、ローター軸と少なくとも一つのローターディスクを有する。ローターディスクは、ローター軸の収容の為の中央の収容開口部を有している。その際、ローターディスクは、ローター軸上に設けられており、そしてローターディスクとローター軸の間には機械的な接続が形成されている。その際、機械的な接続は熱的な接合過程によって実現されている。
【0012】
よって発明に係るローター装置においては、ローター軸は、ローター軸上にプレス嵌め、焼き嵌め、又は挟み嵌めされておらず、熱的な接合過程によってローター軸と機械的に接続されている。これによって、ローターディスクとローター軸の間に材料負荷が生じないか、または僅かのみ生じ、これによって特にローター軸の高回転(特にターボ分子ポンプにおいて発生するような)における挙動も改善されることが可能である。ローターディスクとローター軸の間の熱的な接合過程によって実現される機械的な接続によって、ローター軸とローターディスクは長期にわたって解除不可能に一体に組み合わせられる。発明に係るローター装置は、よって少なくとも基本的に、特に内部応力挙動に関して、モノリス式に製造されたローター装置と同様の特性を有する。その際、発明に係るローター装置においては、ローターディスクは個々に製造されていることが可能であり、このことは、モノリス式のローター装置の製造に対して時間コスト及び製造コストが安価である。
【0013】
熱的な接合過程は、特に、溶接過程、好ましくはレーザー溶接、電子ビーム溶接、摩擦溶接、摩擦攪拌溶接、又はこれら溶接過程の組合せ、又ははんだ付け過程であることが可能である。
【0014】
本発明の形態に従い、収容開口部を縁取るローターディスクの内側壁部は、ローター軸の外側面を取り囲み、そして機械的な接続は、内側壁部と外側面の間に形成されている。よってローターディスクの内側面は、外周囲を形成するローター軸の外側面と機械的に接続されている。これは、機械的な接続が、特に簡単に熱的な接合過程によって内側壁部と外側面の間に形成されることが可能であるというメリットを有する。というのは、ローターディスクがローター軸に差し込まれているとき、内側壁部と外側面は互いに向き合っているからである。
【0015】
好ましくは、機械的な接続は、外側面と内側壁部の間でローター軸の全周にわたって形成されている。よってローター軸の周囲方向で見て、機械的接続は、ローター軸の全周にわたって、その外側面とローターディスクの内側壁部の間に形成されている。これによって、回転するローター装置の運転特性が向上されることが可能である。特に、ローターディスクとローター軸の間の機械的な接続によって引き起こされるアンバランスが防止される、または少なくとも低く保たれることが可能である。
【0016】
内側壁部と外側面の間の機械的な接続は、内側壁部の全軸方向長さにわたって形成されていることが可能である。これによって特に堅固な機械的接続が、ローター軸とローターディスクの間に達成されるので、極めて高い回転数と、これによってローターディスクに引き起こされる高い遠心力においても、ローターディスクはローター軸から外れることが無い。
【0017】
好ましくは、ローターディスクは(熱的な接合過程によって達成されるローターディスクとローター軸の間の機械的接続に追加的に)ローター軸にプレス嵌め、焼き嵌め、又は挟み嵌めされていない。プレス嵌め、焼き嵌め、又は挟み嵌めによって引き起こされる材料負荷は、よって防止されることが可能である。
【0018】
好ましくは、ローター軸は少なくとも一つの部分を有する。その外直径は、ローター軸の、軸方向でみて先行する領域の外直径よりも大きく、そしてローター軸の、方向でみて後続する領域の外直径よりも小さい。その際、少なくとも一つのローターディスクが該部分に差し込まれている。ローター軸は、よって段差状とされたローター軸の形式で形成されていることが可能であり、このローター軸は、その長さ方向延在でみて、異なる外直径を有する領域又は部分を有する。その際、少なくとも一つのローターディスク、好ましくはちょうど一つのローターディスクが、該部分に差し込まれている。一以上のローターディスク、例えば2または3のローターディスクが、該部分に差し込まれているとき、これは通常、比較的薄い又は平坦なローターディスクである。複数のローターディスクが、接合過程においてローター軸と接続されることが可能である。
【0019】
好ましくは、軸方向でみて先行する領域が直接該部分に続いている。これは後続する領域に対してもそうである。よって先行する領域から該部分及び該部分から後続する領域への移行部は、好ましくは唐突に推移している。
【0020】
好ましくは、ローター軸の部分の軸方向の長さは、少なくとも基本的に、少なくとも一つのローターディスクの軸方向の長さに相当する。好ましくは、ローター軸の部分の軸方向の長さは、少なくとも基本的に、差し込まれたローターディスクの軸方向の長さに相当する。後続する領域には、軸方向で見て、ローター軸の別の部分が引き続く。その外直径は、後続する領域の外直径よりも大きく、そしてここでもまた少なくとも一つのローターディスクが差し込まれていることが可能である。その際、好ましくは、後続する領域の軸方向の長さは、前記部分と前記別の部分に差し込まれたローターディスクの間に所望の間隔が生じるように選択される。
【0021】
本発明は、真空ポンプ、特にターボ分子ポンプの為のローター装置であって、二以上のローターディスクを有するものに関する。これらローターディスクは、回転軸に関して整列されており、そして回転軸の方向でみて連続して設けられている。その際、隣接するローターディスクの間には機械的接続が形成されている。この機械的接続は、直接、隣接するローターディスクの間に熱的な接合過程によって実現されている。
【0022】
ローター装置においては、隣接するローターディスクが、熱的な接合過程によって直接機械的に互いに接続される。これは、相並ぶローターディスクがそれ自体でローター軸を形成することが可能であるというメリットを有する。
【0023】
熱的な接合過程は、好ましくは、溶接過程、例えば、レーザー溶接、電子ビーム溶接、摩擦溶接、摩擦攪拌溶接、又はこれらの溶接過程の組合せ、又ははんだ付け過程である。
【0024】
ローターディスクの熱的接合過程による機械的接続によって、ローターディスクは個々に製造され、そして引き続いて一体に組み合わせられることができるので、これから形成されるローター装置は、基本的に、モノリス式のローター装置と同じ特性を有する。発明に係るローター装置は、モノリス式のローター装置に比較して少ないコストで製造可能であるにも関わらずである。
【0025】
本発明の一つの態様に従い、各ローターディスクは一つのディスク状体を有する。これには、回転軸に関して半径方向外側に向かって起立するローターブレードが設けられている。そして機械的接続は、隣接するローターディスクのディスク状体の間に形成されている。隣接するローターディスクのディスク状体は、よって、熱的接合過程によって直接互いに接続されている。これによってローターディスクの間の長期にわたる接続が簡単に達成されることが可能である。これは、ローターディスクを高回転時においても確実に組合わせる。
【0026】
好ましくは、ローターディスクは、ローターディスクのディスク状体の下面が、隣接するローターディスクのディスク状体の上面と向かい合っており、そして機械的接続が、一方のローターディスクの下面と他のローターディスクの上面の間に形成されているように連続して設けられている。これによって、隣接するローターディスクの間の直接的な機械的接続が達成されることが可能である。
【0027】
好ましくは、各ローターディスクのディスク状体の下面に、及び各ローターディスクのディスク状体の上面に、収容開口部に対して補完的に形成されたセンターピースが形成されている。その際、ローターディスクのディスク状体のセンターピースは、特に、差込み接続を形成しつつ、隣接するローターディスクのディスク状体の収容開口部内に差し込まれている。隣接するローターディスクは、よって簡単に重ね合わせて組合わせられることができる。特に、差込みのあと、ローターディスクは熱的な接合過程によって、その後、機械的に長期にわたって互いに接続されることが可能である。
【0028】
発明に係る一つの態様に従い、センターピースは、収容開口部の内直径に対してしまりばめの形式で形成されている外直径を有する。これによって、差し込まれたローターディスクが既に、収容開口部とセンターピースの間に実現された差込み接続によって互いに堅固に接続されているということが達成されることが可能である。このことは、例えば、ローターディスクの熱的な接合の為にも有利である。
【0029】
好ましくは、収容開口部とセンターピースは、回転軸に対して中央に、各ディスク状体の上面又は下面に設けられている。これによって、簡単に、回転軸又はローテーション軸に関するディスクの互いのセンタリングが達成されることが可能である。
【0030】
本発明は、発明に係るローター装置、該ローター装置と組みわせられたステーター装置、及び、ローター装置の回転駆動の為の駆動部を有する真空ポンプにも関している。
【0031】
真空ポンプは、特にターボ分子ポンプであるか、又は他の形式の真空ポンプであって、高速に回転するローター、特に10,000回転/分より多くの回転数で回転するローターが使用される真空ポンプである。
【0032】
本発明は、また、真空ポンプ、特にターボ分子ポンプの為のローター装置の製造の為の方法に関する。この方法においては、ローター軸の収容の為の中央の収容開口部を有するローターディスクが、ローター軸上に設けられており、ローターディスクとローター軸の間に機械的な接続が形成される。その際、機械的な接続は、熱的な接合過程によって実現される。
【0033】
好ましくは、収容開口部を縁取る内側壁部は、ローター軸に差し込まれたローター軸の外側面を取り囲んでおり、そしてローターディスクの内側壁部とローター軸の外側面の間の機械的接続が形成される。機械的な接続は、好ましくはローター軸の全周囲にわたって見て、ローター軸の外側面とローターディスクの内側壁部の間に形成される。好ましくは、機械的な接続は、ローターディスクの内側壁部とローター軸の外側面の間の内側壁部の全ての長さにわたって形成される。
【0034】
ローターディスクは、特にローター軸にプレス嵌め、焼き嵌め、又は挟み嵌めされない。
【0035】
本発明の一つの好ましい態様に従い、ローター軸であって、その外直径が、ローター軸の、軸方向で見て先行する領域の外直径よりも大きく、そしてローター軸の、軸方向で見て後続する領域の外直径よりも小さい少なくとも一つの部分を有するローター軸が提供され、そしてローターディスクは該部分上に差し込まれ、そして該部分とローターディスクの間に熱的な接合過程によって機械的接続が作りだされる。
【0036】
本発明は、二以上のローターディスクを有する真空ポンプ、特にターボ分子ポンプの為のローター装置の製造のための方法にも関する。これらローターディスクは、回転軸にかんして整列されており、そして回転軸の方向でみて連続して設けられている。その際、隣接するローターディスクの間に機械的な接続が形成され、その際、機械的な接続は隣接するローターディスクの間に直接、熱的な接合過程によって実現される。
【0037】
本発明の一つの態様に従い、各一つのディスク状体を有するローターディスクが提供される。該ディスク状体には、回転軸に関して半径方向外側に起立する複数のローターブレードが設けられている。そして機械的な接続は、隣接するローターディスクのディスク状体の間に直接、形成される。
【0038】
ローターディスクは、特に一つのローターディスクのディスク状体の下面が、隣接するローターディスクのディスク状体の上面と向かい合っているよう連続して設けられている。そして、機械的な接続は、一方のローターディスクの下面と他方の隣接するローターディスクの上面の間に形成される。
【0039】
好ましくは、各ローターディスクのディスク状体の下面には、収容開口部が形成され、そして各ローターディスクのディスク状体の上面には、収容開口部に補完的に形成されたセンターピースが形成されており、その際、ローターディスクのディスク状体のセンターピースは、隣接するローターディスクのディスク状体の収容開口部内に差し込まれ、特にこれは両方のローターディスクの間の差込み接続を形成しつつ行われる。
【0040】
発明に係る方法において使用される接合過程は、特に溶接過程、特にレーザー溶接、電子ビーム溶接、摩擦溶接、摩擦攪拌溶接又はこれら溶接過程の組合せ、又ははんだ付け過程である。
【0041】
ローターディスクは、特に個々に、レーザーによって製造されていることが可能である。これは特にレーザー除去及び/又はレーザー切断によってである。
【0042】
本発明は、真空ポンプ、特にターボ分子ポンプの為のローター装置にも関する。該ローター装置は、ローター軸及びローターディスクを有し、ローターディスクは、ローター軸の収容の為の中央の収容開口部を有している。その際、ローターディスクは、ローター軸上に設けられ、そしてローターディスクとローター軸の間には機械的接続が形成されている。その際、機械的接続は接着によって実現されている。機械的接続の形成の為によって、接着剤が使用されることが可能である。
【0043】
本発明は、二以上のローターディスクを有する真空ポンプ、特にターボ分子ポンプの為のローター装置にも関する。該ローターディスクは、回転軸に関して整列されており、そして回転軸の方向でみて相連続して設けられている。その際、隣接するローターディスクの間には、機械的接続が形成されている。その際、機械的接続は、隣接するローターディスクの間に直接、接着によって実現されている。
【0044】
以下に本発明を添付の図面を参照しつつ、例示的に、有利な実施形に基づいて説明する。