(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284530
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】非平行な平面の中へ延在する歯車ラインを備えた駆動列から成るターボ機械の駆動ギアボックス
(51)【国際特許分類】
F02C 7/32 20060101AFI20180215BHJP
F01D 15/12 20060101ALI20180215BHJP
F16H 1/12 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
F02C7/32
F01D15/12
F16H1/12
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-529107(P2015-529107)
(86)(22)【出願日】2013年9月3日
(65)【公表番号】特表2015-532698(P2015-532698A)
(43)【公表日】2015年11月12日
(86)【国際出願番号】FR2013052021
(87)【国際公開番号】WO2014033416
(87)【国際公開日】20140306
【審査請求日】2016年9月1日
(31)【優先権主張番号】1258196
(32)【優先日】2012年9月3日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516227272
【氏名又は名称】サフラン・エアクラフト・エンジンズ
(73)【特許権者】
【識別番号】502150878
【氏名又は名称】イスパノ・シユイザ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペルティエ,ジョルダーヌ
(72)【発明者】
【氏名】アルマンジュ,フランツ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥムラン,ランベール・オリビエ・マリー
(72)【発明者】
【氏名】ガラッシーノ,アラン・ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ラマス・カストロ,ヌリア
(72)【発明者】
【氏名】プリュネラ−ウサ,ステファーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ワイシ,ベラル
【審査官】
松永 謙一
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2011/0289936(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0117982(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0145774(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0193688(US,A1)
【文献】
米国特許第8973465(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 15/12
F02C 7/32、7/36
F16H 1/14、1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボ機械に付随した少なくとも1つの機器(10)を駆動するようにターボ機械(4)に固定されるべきギアボックスにして、ケーシング(13)、ケーシングの内側にある、一連の歯車を備える駆動列(14)、ならびにターボ機械の伝動シャフトと噛み合うことを意図された駆動部材を備え、ケーシングは、ターボ機械および機器への締結点(12)を備える、ギアボックスであって、駆動列は、非平行な平面に位置付けられた少なくとも2つの歯車ラインであって、非平行な軸を備えた1対の歯車から構成された接合歯車による接合面において一緒に接続された、少なくとも2つの歯車ラインを備え、特徴として、少なくとも1つの端部歯車ライン(15、16)が、ギアボックスがターボ機械に固定されるときターボ機械の実質的に軸方向に主な延長部を有するケーシング端枝部(1、2)に収容され、他の歯車ライン(17)が、実質的に円の一部位であるケーシング中間枝部(3)に収容され、ケーシング中間枝部(3)は、端枝部に対して実質的に垂直となる軸方向面を備え、ギアボックスがターボ機械に固定されるとき、ターボ機械の外周の一部位を取り囲む、ギアボックス。
【請求項2】
互いに実質的に平行な延在方向であって前記他の歯車ライン(17)に対して実質的に垂直である延在方向、を有する2つの前記端部歯車ラインを備えることを特徴とする、請求項1に記載のギアボックス。
【請求項3】
端部歯車ラインは、ターボ機械(4)の母線であって直径方向に対向する線に延在することを特徴とする、請求項2に記載のギアボックス。
【請求項4】
駆動部材は、駆動ピニオンであり、
駆動列が連続的であり、伝動シャフトに属する駆動ピニオン(22)と噛み合う歯車を備え、駆動ピニオンは駆動列に隣接していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のギアボックス。
【請求項5】
駆動部材は、駆動ピニオンであり、
駆動ピニオンが駆動列に属することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のギアボックス。
【請求項6】
接合歯車が、駆動列の他の歯車と同軸である円錐ピニオンから構成されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のギアボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボ機械の駆動用ギアボックスにおいて、ターボ機械から発生する運動を、そこから出る半径方向シャフトの仲介によって伝達し、ターボ機械に付随した様々な機器、即ち、ターボ機械の作動にとって不可欠なものであるポンプ、発電機等に、あるいはこのターボ機械によって推進される航空機の他の装置に、運動を伝達することを目的とした駆動ギアボックスに関する。伝達は、連続した歯車から構成される駆動列を介して実施される。この駆動列は、本明細書では非平行な平面に位置付けられた歯車ラインから構成される。
【背景技術】
【0002】
本明細書では歯車ラインは、隣接し合った一式の歯車を指し、原則として歯車の間で噛み合い、大歯車が同一平面または平行な平面に位置付けられる。言い換えれば、大歯車の回転軸が全て平行である(この平面またはその平行な平面に対して垂直である)。直接共に噛み合う大歯車は同一平面の中へ延在すると考えられる。しかし、同一の歯車装置の同一回転軸または噛合いのオフセットに沿って位置合わせされた大歯車が存在する場合、歯車ラインは平行な平面の中へ連続してゆくことが可能である。
【0003】
ギアボックスは主に、ケーシング内部で運動を伝達するように共に噛み合う全ての大歯車から構成される駆動列を備える。この駆動列は、ターボ機械の半径方向シャフトと、機器の駆動シャフトとに接続される。ギアボックスはターボ機械に所望位置で固定され、機器自体はギアボックスに固定される。知られている設計のギアボックスについて述べた文献に米国特許出願公開第2012/0006137号明細書がある。これは、正確に述べれば半径方向シャフト14およびギアボックスを備えた、ターボ機械の駆動シャフト12において、ケーシング10内の直歯噛合いの大歯車16から構成された駆動列を備えた、ターボ機械の駆動シャフト12を簡潔に表している。機器22は、ターボ機械への締結部の反対側のギアボックスに位置付けられる。大歯車16の全ての軸が平行であるため、従来技術のこの文献のギアボックスは、本発明の意味合いでは単一の歯車ラインを備える。
【0004】
ターボ機械のギアボックスおよび機器を備えるアセンブリに占められる空間を縮小することが求められる。この文献で述べられている設計または従来技術は、ギアボックスの駆動列が一方向に延ばされ、したがって大量の空間を占めることから、これらの視点からすると不充分である。
【0005】
より一般的には、既存のギアボックスは2つの異なったタイプに属する。即ち、機器がギアボックスの単一面に配置される単一面タイプと、それらが両面に配置される二面タイプとである。第1の設計では、ギアボックスの長さは大きくなければならず、ターボ機械のまわりに占められる空間の角度量は一般的に相当大きく(多くの場合200°)、第2の設計では、軸方向に占められる空間が相当大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0006137号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第2455597号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、これらの様々な局面下で改良されたギアボックスにおいて、とりわけ高度の設計自由度を提供し、ギアボックスとそれが担持する全ての機器とから構成されたアセンブリによって占められる空間の縮小を実現することが可能なギアボックスに関する。
【0008】
極めて一般的に述べると、米国特許出願公開第2012/0006137号明細書の場合のように、平面におそらくは単一方向で、または平行な平面に、あるいは欧州特許出願公開第2455597号明細書のように平行な枝部内に正割平面で延在する単一歯車ラインから駆動列が構成される従来式の設計は、否定されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一般的な形態では、本発明は、ターボ機械に付随した少なくとも1つの機器を駆動するようにターボ機械に固定されるべきギアボックスにおいて、ケーシング、ケーシングの内側にある、一連の歯車を備える駆動列、ならびにターボ機械の駆動シャフトと噛み合うことを意図された駆動部材を備え、ケーシングは、ターボ機械および機器への締結点を備える、ギアボックスであって、駆動列は、非平行な平面に位置付けられた、接合歯車によって一緒に接合面に接続された、非平行な軸を備えた1対の大歯車から構成された少なくとも2つの歯車ラインを備え、特徴として、少なくとも1つの端部歯車ラインが、ギアボックスがターボ機械に固定されるときターボ機械の実質的に軸方向に主な延長部を有するケーシング枝部に収容され、他の歯車ラインが、実質的に円の一部位である、端枝部に対して実質的に垂直である、ギアボックスがターボ機械に固定されるとき、ターボ機械の円周の一部位を取り囲むケーシング中間枝部に収容される、ギアボックスに関する。
【0010】
非平行の平面に位置付けられたいくつかの歯車ラインで駆動列を構築することは、ギアボックスが直線的でないことから、半径方向にも、軸方向にも、角度方向にも過剰な量の空間を占めることなく、大きな寸法のギアボックスをも完全にターボ機械のケーシングの近傍内に有することを可能にする。さらに、機器をギアボックスに配置するために極めて様々な方向に延在する、広範囲に選択できるギアボックスの面が存在する。このこともアセンブリによって取られる空間を制限するのに貢献する。
【0011】
特定の実施形態では、ギアボックスは前記歯車ラインを3つ備え、そのうちの2つの端部歯車ラインは、互いの間で実質的に平行である延在方向を有し、中間歯車ラインはこれらの端部歯車ラインを接合する。これらの端部歯車ラインは、ケーシングの実質的に直線的な枝部に収容されることが可能であり、ギアボックスがターボ機械に固定されるとき、実質的にターボ機械の軸方向に主延長部を有し、中間歯車ラインは、円の一部位に近い、端枝部に対して主に垂直である、ギアボックスがターボ機械に固定されるとき、ターボ機械の円周の一部位を取り囲む中間枝部であるカーターの他の枝部に収容されることが可能である。
【0012】
このような実施形態はとりわけ、ギアボックスの妨害がどれだけ本発明によって制限されることが可能かを示す。ギアボックスの軸方向の延在は、ターボ機械の両側に延在することが可能な2つのラインに駆動列を分割することによって縮小され、中間枝部自体は、極めて小さな軸方向の妨害しか有さず、その角度的な妨害は有利に半回転以下である。このことは、ターボ機械へのギアボックスの設置を大幅に容易にする。一方、知られている単一面のギアボックスは、より大幅な角度的延長を有して、アセンブリをより拘束的なものにする。
【0013】
ある他の設計でも、駆動列を主に平行な方向に延在する2つの歯車ラインに分割することを利用するが、これらの2つの歯車ラインは正割平面に属し、駆動列は歯車ラインの長手方向端部を備えた接合部位を有する。それらは、ケーシングのそれぞれの枝部に収容される。枝部は縁部で互いに取り付けられ、ギアボックスの主な延長方向に垂直な断面によるとV字形状の断面を一緒に有する。
【0014】
ギアボックスによって占められる角度的空間は本明細書ではさらに縮小される。程々の軸方向の妨害という代償を払うことによって、機器を配置するための広い表面を有するケーシングが、互いに極めて異なる配向を有する面で、利用可能である。
【0015】
駆動列を備える連続した歯車ラインは、円錐ピニオンによってこれらの歯車ラインの端部に接続されることが可能であり、必須ではないが交差可能である非平行の軸を備えた接合ギアを画定する。
【0016】
次に、本発明の一部の実施形態について、以下の図によって説明がなされる。他の実施形態も可能であること、この説明が純粋に例証する目的でなされることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図5】この実施形態または他の実施形態の可能な配置である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態について図によって説明がなされる。ギアボックスは
図1に示された全体形状を有し、これは、実質的に平行かつ直線である(
図3で示された僅かな湾曲も可能であるが)2つの端枝部1および2と、実質的にそれらを接続する円の一部位であり、実質的にそれらに垂直である中間枝部3とを備えた三次元形状を備える。
図2は、このギアボックスが有利にターボ機械4のまわりに、例えばターボ機械4の高圧体の位置に配置されることが可能であることを示す。これは、端枝部1および2を前記ターボ機械の軸方向に直径方向に対向する円錐距離をもって配置し、次いで中間枝部3もターボ機械4のまわりで実質的に半分以下分回転させることによってそれに隣接した状態にすることによって行われる。ギアボックスは、ターボ機械4の軸方向に延在する、様々な数、例えば1本または3本以上の枝部を備えることが可能であり、中間枝部3はおおよその半回転より小さな角度延長を有することが可能である。したがって、ターボ機械4の駆動チェーンの位置に対して広範な選択が可能となる。これは、ターボ機械4に属する従来型半径方向シャフトを直接使用することによって、または個別のボックスに属し、半径方向シャフトと噛み合う中間シャフトの仲介物によって行われることが可能である。半径方向シャフトはこのようなことから、枝部1、2、よび3のいずれかの内側面5(ターボ機械4の方に向けられている)まで延長することが可能であるが、中間シャフトは枝部1から3の1つの外部面の1つまで延長することが可能である。これは、とりわけ、端枝部1および2の上面6(実質的にターボ機械4のセクターの平面内)の一方、同じ端枝部の周囲面7(半径方向外方に向けられている)の一方、あるいは中間枝部3の前面8(端枝部1および2の両側軸方向に向けられている)であることが可能である。駆動シャフト(半径方向または中間)の位置についての可能性の一部が、
図1の参照符号9によって示される。
【0019】
機器10自体は、両方の上面6、周囲面7、軸方向面8、ならびに中間枝部3の半径方向外側面11に取り付けられることが可能である。ここでも、ターボ機械4へのギアボックスの締結に対して広範囲で選択できる。これは、おそらくは楔または他の中間支持体をターボ機械4と、例えば内側面5の一部との間に使用することによって、ケーシング13に位置付けられた締結点12をボルト締めすることよって行われることが可能である。機器10は他の締結点12によってケーシング13に固定される。
【0020】
このギアボックスは一般的に、配置の可能性、ならびに多数の機器10を設置する可能性に対して極めて広い選択範囲を提供するが、それにも関わらず、ターボ機械4の全方向(軸方向、半径方向、および角度方向)への妨害を程々に保つ。
【0021】
次にこのギアボックスについてより詳しく説明がなされる。
図3は、ギアボックスが実質的に、3つの枝部1、2、および3の外形を画定するケーシング13と、ケーシング13に含まれる駆動列14とから実質的に構成されることを示す。ここで、枝部1、2、および3にそれぞれが収容される3つの歯車ライン15、16、および17が見分けられることが可能である。歯車ラインごとに大歯車18を備え、大歯車18は一般的にそれらの間で噛み合う直歯噛合いを備えて直線ギアを形成し、これらの大歯車18の一部の軸19が、ケーシング13の開口部20を通過することによって、機器10の可動部位を回転駆動するために使用される。軸19は、同じ歯車ライン15、16、または17の内部で全て平行であるが、歯車ライン15、16、または17のうちの1つと他のものとで異なる方向を有する。大歯車18の数、それらの直径、ならびに機器10の駆動シャフト19を画定する開口部20の位置は、当然ながら、伝達したい回転速度と機器10の位置とに応じて自由に選択されることが可能である。特殊開口部21が駆動シャフト9の入り口に意図される。駆動シャフト9は、大歯車18のいずれか1つと噛み合う駆動ピニオン22をさらに備える。駆動ピニオン22は駆動列14に隣接する。これは、駆動列14が、ピニオン22がない状態でも連続したままとなることを意味する。しかし、駆動ピニオンが駆動列自体に属する大歯車であることも可能である。
【0022】
図4は、駆動列14を単独で示す。3つの歯車ライン15、16、および17の間の接続は、交差軸、またはより一般的には非平行軸を備えた接合ギア23および24によって実施される。それらの一つ一つは、歯車ライン17の端部大歯車18と一体かつ同軸の第1円錐ピニオン25と、同様に、歯車ライン15または16の一方の端部の大歯車18と一体かつ同軸の第2円錐ピニオン26とから構成される。したがって、これらの接合ギア23および24は駆動列14の連続性と、駆動ピニオン22だけによってその全てを動かす能力とを実現する。それらは、歯車ライン15、16、および17の一つ一つをそれぞれ枝部1、2、または3の方向に非平行な平面内で向けることも可能にする。
【0023】
運動力学的視点で同等の設計が、円錐ピニオン25および26を平面上で直線ピニオン48およびリング歯車49と置き換えることで成立する。これは
図5に示され、この実施形態の他の細部はどこも修正されていない。
【0024】
主に軸方向の延長部の端枝部1および2の中へ延在する歯車ライン15および16も、おおよそ軸方向の延在方向を有し、ターボ機械4に対して主に長手方向平面に延在する。一方ケーシングの中間枝部3に収容された歯車ライン17は、主にそれと同様に角度的延在方向を有し、ターボ機械4の基本の横断平面に属する。