特許第6284543号(P6284543)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284543
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】熱交換装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6556 20140101AFI20180215BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20180215BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20180215BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20180215BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20180215BHJP
   H01M 10/658 20140101ALI20180215BHJP
   H01M 10/653 20140101ALI20180215BHJP
   H01M 10/6554 20140101ALI20180215BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   H01M10/6556
   H01M10/613
   H01M10/6568
   H01M10/625
   H01M10/647
   H01M10/658
   H01M10/653
   H01M10/6554
   H01M2/10 S
【請求項の数】14
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-546037(P2015-546037)
(86)(22)【出願日】2013年12月6日
(65)【公表番号】特表2016-506030(P2016-506030A)
(43)【公表日】2016年2月25日
(86)【国際出願番号】EP2013075838
(87)【国際公開番号】WO2014086989
(87)【国際公開日】20140612
【審査請求日】2016年7月29日
(31)【優先権主張番号】12196196.5
(32)【優先日】2012年12月7日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515239892
【氏名又は名称】オブリスト テクノロジーズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オブリスト フランク
(72)【発明者】
【氏名】グラーツ マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ギーゼ ペーター
(72)【発明者】
【氏名】オブリスト オリバー
【審査官】 桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/147550(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/055044(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0269008(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 10/52 − 10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入ダクト(6)および流出ダクト(7)を有しかつ熱搬送媒体の流れが横断する平坦な熱交換部(1)を有する、温度を調整すべき技術対象の、特に電気自動車駆動装置用のバッテリの熱交換装置であって、前記熱交換部が、温度を制御すべき対象の内面と熱伝導接触している、熱交換装置において、
前記熱交換部が、箔材料から形成された熱交換ポーチ(1)の形態であり、
前記熱交換ポーチ(1)と平行に、圧縮性媒体で充填されかつ箔材料から形成された圧力ポーチ(34)が配置され、
前記熱交換ポーチの箔壁(51、52)が、流れ誘導格子を形成する支持枠(53)に溶接されるかまたは接着接合され、
前記支持枠(53)が、寸法が前記熱交換ポーチの外形に対応する外枠(54)を有し、
前記熱交換ポーチ(1)の接続ノズル(63、64)が、前記支持枠(53)に一体的に形成されていることを特徴とする熱交換装置。
【請求項2】
前記熱交換ポーチ(1)と前記圧力ポーチ(34)との間に圧力分散プレート(35)が配置されている、請求項1に記載の熱交換装置。
【請求項3】
前記熱交換ポーチ(1)内に流れ誘導格子(13)が封入されている、請求項1または2に記載の熱交換装置。
【請求項4】
前記熱交換ポーチ(1)の長手方向縁(23、24)のそれぞれに対して少なくとも略平行に伸びる1つの流入側長手方向ウェブ(25)または流出側長手方向ウェブ(26)が設けられ、それにより、前記熱交換ポーチ(1)内への流入および流出が、互いに平行に伸びる2つの熱搬送媒体流の形態で発生し、前記流入側長手方向ウェブ(25)および前記流出側長手方向ウェブ(26)が、分流ウェブ(29)を介して互いに接続され、当該分流ウェブ(29)が、前記熱交換ポーチ(1)の横方向ダクト(15、16)を2つの群に区切る、請求項3に記載の熱交換装置。
【請求項5】
方向ウェブ(14)をそれらの端部においてはしご型形状で互いに接続する長手方向ウェブ(21)が、前記横方向ウェブより断面高さが小さく、それにより、前記横方向ウェブ(14)の間に延在する前記長手方向ウェブの領域が、各々1つの堰止ウェブ(22)を形成する、請求項3または4に記載の熱交換装置。
【請求項6】
前記流入および前記流出のそれぞれに対して、1つの円形開口部(10)が前記熱交換ポーチ(1)の壁(2、3)のうちの1つに設けられ、前記円形開口部が互いに間隔を空けて配置され、前記円形開口部に、接続ノズル(8、9)が、前記熱交換ポーチ(1)の平面に対して当該接続ノズル(8、9)が垂直に向けられるように封止挿入されている、請求項に記載の熱交換装置。
【請求項7】
前記熱交換ポーチ(1)の壁(3)と接続ノズル(7、8)の周縁との間に、封止接続が、前記接続ノズルに一体的に形成されかつプレート縁のようにまたはフランジのように突出するノズル縁(12)により、接着接合または溶接によって具現化される、請求項6に記載の熱交換装置。
【請求項8】
谷状ダクト部品(65)が、前記支持枠(53)と前記熱交換ポーチの前記接続ノズル(63、64)との間に設けられ、前記谷状ダクト部品の縁(66)が、前記外枠(54)と同じ平面において伸びている、請求項1乃至7の何れか一項に記載の熱交換装置。
【請求項9】
堰止体(61)の列が、前記熱交換ポーチの横方向ダクト(55)におよび/またはその下流に設けられている、請求項1乃至8の何れか一項に記載の熱交換装置。
【請求項10】
前記熱交換ポーチ(1)の箔壁(2、3)の間の間隔が2mm未満である、請求項1乃至9の何れか一項に記載の熱交換装置。
【請求項11】
前記熱交換ポーチ(1)の箔壁(2、3)が0.2mm未満の厚さである、請求項1乃至10の何れか一項に記載の熱交換装置。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の熱交換装置を有する、電気自動車駆動装置用の、棒状セル(30)を有するバッテリ(31)において、前記バッテリ(31)の終端側接点(32)が、各々、共通コンタクトプレート(33)によって互いに並列にかつ直列に電気的に接続されており、熱交換ポーチ(1)が、複数のコンタクトプレート(33)に熱伝導するように当接し、少なくとも前記コンタクトプレート(33)に向かって面している前記熱交換ポーチの壁(3)が、前記コンタクトプレート(33)と当接している側において電気絶縁層を有する多層箔材料から構成されていることを特徴とするバッテリ(31)。
【請求項13】
前記電気的に相互接続された棒状セル(30)が、互いに平行にかつ上下に配置された複数の層(38〜41)でグループ化され、各々1つの熱交換ポーチ(1)が、隣接する層(38〜41)の各々の間に、かつ外層(38、41)の外側にも設けられている、請求項12に記載のバッテリ(31)。
【請求項14】
互に平行な熱交換ポーチ(1)の各々に設けられた接続ノズル(8、9)が、前記バッテリ(31)の正面側の側面(42)の領域において同じ軸上に上下に配置され、前記側面に対して平行に伸びる共通の接続ライン(45、46)にT字型分岐(43)または90°エルボ(44)を介して接続されている、請求項12または13に記載のバッテリ(31)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流入ダクトおよび流出ダクトを有しかつ熱搬送媒体の流れが横断する平坦な熱交換部を有する、温度を調整すべき技術対象の、特に電気自動車駆動装置用のバッテリの熱交換装置であって、当該熱交換部が、温度を制御すべき対象の内面と熱伝導接触している、熱交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、圧力ダイカスト法によって形成された構造化冷却プレートが、ホース状冷却管と、かつ前記冷却管から突出している熱伝導要素と熱伝導接触しており、その熱伝導要素が電気自動車駆動装置用のバッテリの丸いセルと表面接触している、熱交換装置を開示している。
【0003】
特許文献2は、流れが横断する個々の内部ダクトを有する固い冷却プレートが、ポーチ状バッテリセルを保持するための複数の固い枠にねじ込まれている、前記と同タイプのさらなる熱交換装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許第102006059989号明細書
【特許文献2】独国特許第102010055616号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記既知の熱交換装置は、熱搬送媒体を平坦形状の熱交換部に通すダクトを製造するとともに、温度を制御すべき対象の内面との熱伝導接触をもたらすための構造に関して、比較的多大な費用が必要であることを示している。さらに、前記タイプの熱交換部は、対応する装置において比較的大量のスペースを取り、その結果、前記熱交換部は、装置の構造のほとんどの部分を占める。
【0006】
本発明は、比較的小さい構造体積を取り、特に単純な方法でかつ安価で大量生産製品と
して製造し組み立てることができる、上述したタイプの熱的に非常に有効な熱交換装置を
見出すという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的は、本発明により、熱交換部が箔材料から形成された熱交換ポーチの形態であり、それと平行に、圧縮性媒体で充填されかつ箔材料から形成される圧力ポーチが配置されている、という点で達成される。
【0008】
前記タイプの熱交換ポーチを、引用した従来技術の板状金属鋳造体とは対照的に、それらの所望の形状および寸法にしたがって箔片から切り抜くかまたは打ち抜き、ついで、上下に位置するように配置し、さらにそれらの縁の領域において溶接または接着接合することにより、単純な方法で製造することができる、ということは自明である。前記熱交換ポーチを、温度を制御すべき対象の熱伝導内面と、圧力ポーチによってかけられる圧力下で柔軟に接触させる結果、前記熱交換ポーチは、前記内面に対するその内圧によって支持され、したがって、内部を流れる熱搬送媒体の高い圧力および流量に順応することができ、その結果、強制対流による高品質な熱の伝達を確保することができる。
【0009】
前記タイプの熱交換ポーチは、その熱交換面に関連する材料およびスペースの要求が低いため、その時点までまだ充填されていない圧力ポーチとともに比較的狭い間隙空間に挿入されるのに適しており、それにより、温度を制御すべき技術対象を、これに対応して小さい構造寸法で製造することができる。
【0010】
圧力ポーチが空気または窒素で充填され封止された後、熱交換ポーチは、圧力ポケットの充填圧力下で、温度を制御すべき対象の内面にしっかりと接触して位置し、それにより前記対象の優れた伝導が確保される。
【0011】
例えばバッテリのハウジング内等、技術対象内で圧力ポーチによってかけられる圧力の
均一な分散のために、本発明の好ましい実施形態では、圧力ポーチと熱交換ポーチとの間
に圧力分散プレートが配置される。
【0012】
本発明のさらなる有利な実施形態では、箔壁間の一様な流れ分布のために、熱交換ポーチの箔壁間に流れ誘導格子(grate)が入れられる。
【0013】
本発明のさらなる有利な実施形態は、従属クレームにおいて述べられており、図面に基づいた以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明による熱交換装置の熱交換ポーチの斜視図であり、流入接続部の領域における断面図を含み、ポーチ壁が一部切欠状態で示されている。
図2図2は、図1による熱交換ポーチの流入領域の拡大部分断面図である。
図3図3は、第2箔壁がなく、流れ分布が矢印によって示されている、図1による熱交換ポーチの一部の平面図を示す。
図4図4は、本発明による熱交換装置を有するバッテリの部分断面図を示す。
図5図5は、バッテリにおける複数の相互接続された熱交換装置の斜視図である。
図6図6は、熱交換ポーチのさらなる実施形態における流れ誘導格子の斜視図であり、接続ノズルが前記流れ誘導格子に一体的に形成されている。
図7図7は、熱交換ポーチの接続ノズルのうちの1つの領域における当該熱交換ポーチの部分断面図である。
図8図8は、接続ノズルの領域における、図6による流れ誘導格子の拡大部分斜視図を示す。
図9図9は、熱交換ポーチの平面におけるかつ堰止ノズルの領域における拡大部分断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に示す本発明による熱交換装置の熱交換ポーチ1は、2つの薄壁2、3から構成さ
れており、それら薄壁2、3は、互いに平行に伸び、箔材料から形成され、それらの縁4
の領域において互いに封止接続されている。
【0016】
引裂抵抗、材料耐久性、熱伝導性、電気絶縁および溶接性に関する熱交換ポーチ1の特性を最適化するために、当該熱交換ポーチ1の製造に好適な箔材料は、例えばアルミニウム、ポリアミドおよびポリプロピレン等の異なる材料の積層複合物から構成され、さまざまな用途に対して0.2mm未満の箔厚さで市販されている。バッテリの冷却に使用される場合、箔材料の外層の少なくとも1つを、追加の電気絶縁箔の配置を不要にするために、電気絶縁プラスチック材料から構成するべきである。
【0017】
熱交換ポーチ1は、例えば、丸みを帯びた隅部領域5と、短辺側において互いに対向して位置している2つの隅部領域の部分における接続領域6、7とを備えた矩形形態を有し、当該接続領域6、7は、およそ半円形状で突出している。この接続領域6、7は、熱交換ポーチ1を通る熱搬送媒体の供給および排出、したがって循環のための、熱交換ポーチ1の平面に対して垂直に向けられている各々1つの接続ノズル8、9の側方外側における配置および締結に役立つ。
【0018】
接続ノズル8、9を受け入れかつ締結するために、熱交換ポーチ1の壁2、3のうちの1つの接続領域6、7において1つの円形開口部10が打ち抜かれている。前記開口部10を包囲する壁領域11は、その内側が、接続ノズル8、9の接続フランジ12に当接し、溶接または接着接合により前記接続フランジに固定・封止接続されている。
【0019】
熱交換ポーチ1の壁2、3の間の比較的小さな間隔(この間隔により、熱交換ポーチ1を通る適切な流れが可能になり、この間隔は好ましくは2mm未満である)に関連して、接続ノズル8、9の流れが通過する内径を、比較的大きくなるように構成することができ、それにより、熱搬送媒体の対応する大きな送出流量を実現することができ、したがって、熱交換ポーチ1内で低い温度差で、特に有効な熱の交換を実現することができる。
【0020】
熱交換ポーチ1を通る、流入接続ノズル8から流出接続ノズル9までの流れの熱交換を促進する流れ分布のために、熱交換ポーチ1の2つの壁2、3の間に流れ誘導格子13が設けられており、その流れ誘導格子は、図3において方向矢印によって示すように、長手方向にかつ横方向に向けられた流路の境界を定める、相互接続された流れ誘導ウェブから構成されている。
【0021】
図示する例示的な実施形態では、多数の相互に平行な横方向ウェブ14から構成された
内部格子は、横方向ダクト15、16の境界を定め、横方向ダクト15、16は、熱交換
ポーチ1の長手方向縁に沿って誘導される少なくとも1つの流入ダクト17、18から分
岐し、対向する長手方向縁に沿って誘導される少なくとも1つの流出ダクト19、20内
に出る。
【0022】
横方向ウェブ14を互いにそれらの端部ではしご型形状に接続する長手方向ウェブ21
は、前記横方向ウェブより断面高さが小さく、それにより、横方向ウェブ14の間に延在
する長手方向ウェブの領域が、各々、1つの堰止ウェブ22を形成する。したがって、堰
止ウェブ22は、横方向ダクト15および16を通る流入ダクト17、18から流出ダク
ト19、20までのより均一な流れ分布をもたらす。
【0023】
さらに、均一な流れ分布に対して、1つの分流長手方向ウェブ25、26が設けられ、それは、熱交換ポーチ1の長手方向縁23、24に対して少なくともおよそ平行に伸び、その流出側領域において、湾曲部27、28を介して分流ウェブ29と一体化する。前記分流ウェブ29は、一方の横方向ダクト15と、他方の横方向ダクト16という2つの群を互いに区切る。
【0024】
好ましくは前述したように設計された流れ誘導格子13を、安価な方法で、射出成形部
品として、例えばアルミニウム合金からまたはプラスチックから製造することができ、熱
交換ポーチ1の製造中、前記箔壁がポケット縁4に沿って互いに溶接される前に、前記ポ
ーチの箔壁2、3の間に配置することができる。流れ誘導格子13は、したがって、断面
の高さが等しいウェブ14、25〜27によって、ポーチ壁2、3の間の例えば2mmの距離を画定する内部支持体を形成する。こうした支持体は、例えば車両駆動装置用のバッテリの構成要素の安定した結合に必要な面圧を吸収することができる。
【0025】
図4は、車両駆動装置用のバッテリ31の多数の棒状セル30の温度を制御するのに役立つ例示的な実施形態を示し、棒状セル30は、同じ平面において互いに平行に配置され、並列にかつ直列に互いに電気的に接続されている。棒状セル30から熱交換ポーチ1までの熱伝導は、ここでは好ましくは、棒状セル30の終端側電気接点32を介して行われ、その目的のために、これら棒状セル30は、共通コンタクトプレート33によって並列に互いに電気的に接続されており、熱交換ポーチ1は、当該コンタクトプレート33に熱伝導するように当接している。
【0026】
熱交換ポーチ1がコンタクトプレート33に均一に押圧され、したがって、優れた熱伝導接触が得られ、熱交換ポーチ1の中に封入された流れ誘導格子13の均一な圧力負荷が実現されるために、例えば空気または窒素等の圧縮性媒体が充填された圧力ポーチ34が設けられ、前記圧力ポーチと熱交換ポーチ1との間に設けられた圧力分散プレート35により、棒状セル30への均一な圧力の伝達が確実になる。このようにして、前記棒状セルは、優れた温度制御が提供され、かつ防振式に保持されることが確実になる。ここで、圧力ポーチ34は、熱交換ポーチ1とは反対側の面により、閉鎖されたバッテリハウジング(図示せず)の壁37の内面36に対して支持される。
【0027】
図5は、上下に配置された複数の層38〜41においてコンパクトにグループ化された電気棒状セル30の温度を制御する本発明の例示的な適用を示し、そこでは、相互に隣接する層の間に、かつ外層38、41の外側にも各々1つの熱交換ポーチ1が設けられている。したがって、棒状セル30の温度の制御は、当該棒状セル30の2つの接点端部への熱伝達接続を介して実現される。
【0028】
相互に平行な熱交換ポーチ1の各々に設けられた接続ノズル8、9は、バッテリ31の正面側の側面42の領域において同じ軸上に上下に設けられ、T字型分岐43または90°エルボ44を介して、前記側面に対して平行に伸びる共通の接続ライン45、46に接続されている。前記接続ライン45、46は、当該接続ラインに設けられている接続ノズル47、48を介して、循環ポンプ(図示せず)および外部熱交換部(図示せず)への接続部を形成している。
【0029】
例えばリチウム−イオンセルを含むバッテリ31が電気的負荷下にあるとき、熱交換部は、それによってバッテリセル30内で発生する熱を放散させる役割を果たす。
【0030】
例えば冬期の運転中のバッテリセル30に対してかつその性能に対して有害であり得る冷却作用を、好ましくは、バッテリの断熱材49と組み合わせて、加熱体50によって防止することができる。この加熱体らは、接続ライン45、46のうちの1つに締結され、例えばサーモスタットスイッチを用いて電気的に操作される。
【0031】
熱交換ポーチの第2の例示的実施形態では、縁を含む熱交換ポーチの箔壁51、52は、流れ誘導格子としての役割も果たす内部支持枠53に溶接されるかまたは接着接合され、その目的のために、前記内部支持枠は、その寸法に関して熱交換ポーチの外形に対応する外枠54と、横方向流れダクト55の境界を定めかつ断面高さが外枠54の断面高さに対応する、横方向ウェブ56とをさらに有している。対照的に、横方向ウェブ56の延長部として外側にかつ長手方向ダクト57、58に対して横方向に延在するウェブは、畝状堰止ウェブ59を形成する。
【0032】
横方向流れダクト55を通って流れる横方向の流れの場合でさえも、流れを堰き止めることによって熱交換ポーチを流れる均一な流れを得るために、図8および図9の図に対応して、ウェブ60によって互いに接続された丸い堰止体61の1つの列が、流入側および流出側にそれぞれ設けられており、それにより、それらの間の前記堰止体が堰止ノズル62の列を形成する。前記堰止ノズル62の高さは、横方向ウェブ56および外枠54の高さに対応する。したがって、箔壁51、52を、さらに、堰止体61の前記列に溶接するかまたは接着接合することも可能である。
【0033】
熱交換ポーチの接続ノズル63、64を、プラスチック射出成形部品として形成される支持枠53に一体的に形成することができる。この目的のために、平面支持枠53と円柱状接続ノズル63、64との間に谷状ダクト部品65が形成され、それにより、前記ダクト部品の縁66は外枠54と同じ平面において当該外枠54に一体化する。
【0034】
2つの谷状ダクト部品65と2つの接続部品63、64との間の遷移領域を補強するために、流れ方向に延在し、したがってまた流れも誘導するリブ67を、前記遷移領域に形成することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 熱交換ポーチ
2、3 薄壁
4 縁
5 隅部領域
6、7 接続領域
8、9 接続ノズル
10 円形箔開口部
11 周囲壁領域
12 接続フランジ
13 流れ誘導格子
14 横方向ウェブ
15、16 横方向ダクト
17、18 流入ダクト
19、20 流出ダクト
21 長手方向ウェブ
22 堰止ウェブ
23、24 長手方向縁
25、26 長手方向ウェブ
27、28 湾曲部
29 分流ウェブ
30 棒状セル
31 バッテリ
32 電気接点
33 コンタクトプレート
34 圧力ポケット
35 圧力分散プレート
36 内面
37 バッテリハウジングの壁
38〜41 棒状セルの層
42 側面
43 T分岐
44 エルボ
45、46 接続ライン
47、48 接続ノズル
49 断熱材
50 加熱体

図1
図2
図4
図5
図6
図7
図8
図9