特許 6284584 医療用の、特に歯科医療用のカップリング手段用のフィルター・カートリッジ

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】6284584

(24)【登録日】2018年2月9日

(45)【発行日】2018年2月28日

(54)【発明の名称】医療用の、特に歯科医療用のカップリング手段用のフィルター・カートリッジ

(51)【国際特許分類】

   A61C 1/08 20060101AFI20180215BHJP

【ＦＩ】

   A61C1/08 Z

【請求項の数】17

【外国語出願】

【全頁数】12

(21)【出願番号】特願2016-126893(P2016-126893)

(22)【出願日】2016年6月27日

(62)【分割の表示】特願2014-55323(P2014-55323)の分割

【原出願日】2014年3月18日

(65)【公開番号】特開2016-185370(P2016-185370A)

(43)【公開日】2016年10月27日

【審査請求日】2016年6月28日

(31)【優先権主張番号】13160076.9

(32)【優先日】2013年3月20日

(33)【優先権主張国】EP

(73)【特許権者】

【識別番号】509235534

【氏名又は名称】ヴェー ウント ハー デンタルヴェルク ビュールモース ゲーエムベーハー

(74)【代理人】

【識別番号】100147485

【弁理士】

【氏名又は名称】杉村 憲司

(74)【代理人】

【識別番号】100149249

【弁理士】

【氏名又は名称】田中 達也

(72)【発明者】

【氏名】ヴァルター シュー

(72)【発明者】

【氏名】ウド ホルマン

(72)【発明者】

【氏名】マンフレッド ホフバウアー

(72)【発明者】

【氏名】カール シュミードレヒナー

【審査官】 胡谷 佳津志

(56)【参考文献】

【文献】 特開平０１−２８０４５２（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０００−１６６９４９（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０１２−０２４５３９（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２００３−２２５２４７（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２００２−２６３１１８（ＪＰ，Ａ）

【文献】 米国特許第５５５６２７９（ＵＳ，Ａ）

【文献】 米国特許出願公開第２００４／０２２２１４１（ＵＳ，Ａ１）

【文献】 特開２００４−０３３７６９（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特表２０００−５１６１０６（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】（Int.Cl.，ＤＢ名）

Ａ６１Ｃ １／０８

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

医療用の、又は歯科医療用のカップリング手段(38)のカップリング部品(31, 41, 51)内にあるメディア配管(30, 43, 52)に、もしくは該メディア配管(30, 43, 52)内に配置する方式のカップリング手段(38)用のフィルター・カートリッジ(1, 1A)であって、
カップリング部品(31, 41, 51)のメディア配管(30, 43, 52)に、或いは、その内部に、脱着自在にフィルター・カートリッジ(1, 1A)を収納するためのカップリング領域(3, 3A)を区画するカートリッジハウジングと、該カップリング領域(3, 3A)を貫通するメディア配管領域(11)とを有し、
フィルター・カートリッジ(1, 1A)はさらに、該メディア配管領域(11)との流体的接続範囲内にあるフィルター領域(17)を有し、
前記フィルター領域(17)は、多孔フィルター領域を形成する、複数の孔を有する中空のフィルター・スリーブ(18)を構成する管路を有し、
前記管路の多孔フィルター領域が前記カートリッジハウジングの外側に配置されているため、浄化されるメディアが前記カートリッジハウジングの外側を通り、また、前記外側から該フィルター領域(17)を、前記メディア配管領域(11)における該メディアの流れ方向に対して、長手方向、及び/或いは、横方向に通過可能となり、且つ、前記フィルター領域(17)が容易に洗浄可能である、ことを特徴とする医療用の、又は歯科医療用のカップリング手段用のフィルター・カートリッジ(1, 1A)。

【請求項2】

フィルター領域(17)が、その自由端が末端壁(20)によって閉塞された該側面(19)を有することを特徴とする請求項1に記載のフィルター・カートリッジ(1, 1A)。

【請求項3】

前記メディア配管領域(11)が、フィルター・カートリッジ(1, 1A)を通って浄化されるメディアの流れの制御を実施するための制御領域(12)を有する、請求項1あるいは2に記載のフィルター・カートリッジ(1, 1A)。

【請求項4】

フィルター領域(17)の末端壁(20)が、複数の通過可能な穿孔(21)を有していることを特徴とする請求項2に記載のフィルター・カートリッジ(1, 1A)。

【請求項5】

フィルター領域(17)が、フィルター領域(17)を収めるメディア配管(30, 43, 52)を軸方向にシーリングするためのシーリング・ディスク(23)用の収納領域(22)を有していることを特徴とする請求項１から４のうち何れか一項に記載のフィルター・カートリッジ(1, 1A)。

【請求項6】

フィルター領域(17)が、カップリング領域(3, 3A)から脱着自在に構成されていることを特徴とする請求項１から５のうち何れか一項に記載のフィルター・カートリッジ(1, 1A)。

【請求項7】

カップリング領域(3, 3A)が、差込式接続手段(4)として構成され、カートリッジ(1, 1A)が、メディア配管(30, 43, 52)の内側、或いは、外側(53, 54)とカップリング可能であることを特徴とする請求項１から６のうち何れか一項に記載のフィルター・カートリッジ(1, 1A)。

【請求項8】

カップリング領域(3, 3A)が、双方のメディア配管(30, 43, 52)のうちの一方のネジ山とカップリングできるネジ式接続手段(5)又は外ネジとして構成されていることを特徴とする請求項１から７のうち何れか一項に記載のフィルター・カートリッジ(1, 1A)。

【請求項9】

カップリング領域(3, 3A)が、その内側(6)、或いは、その外周(7)に、その中にフィルター・カートリッジ(1, 1A)を収めるメディア配管(30, 43, 52)を、ラジアル方向にシーリングするためのシーリング・エレメント(9)が、その中に配置されている切欠き部(8)を有していることを特徴とする請求項１から８のうち何れか一項に記載のフィルター・カートリッジ(1, 1A)。

【請求項10】

カップリング領域(3, 3A)が、フィルター・カートリッジ(1, 1A)を収めるメディア配管(30, 43, 52)を軸方向にシーリングするためのフランジ(10)を有していることを特徴とする請求項１から９のうち何れか一項に記載のフィルター・カートリッジ(1, 1A)。

【請求項11】

制御領域(12)が、バルブシート(14)と浄化されるメディアの流れ方向とは逆方向にバルブシート(14)に対してプリロードされている制御体(15)を備えた逆流防止弁(13)を有していることを特徴とする請求項３から１０のうち何れか一項に記載のフィルター・カートリッジ(1, 1A)。

【請求項12】

逆流防止弁(13)のバルブシート(14)が、既に浄化されたメディアが、メディア配管領域(11)からフィルター領域(17)に逆流することを阻止できるように配置されていることを特徴とする請求項11に記載のフィルター・カートリッジ(1, 1A)。

【請求項13】

制御領域(12)、カップリング領域(3, 3A)、及び/或いは、フィルター領域(17)が、洗浄可能なように、制御領域(12)が、フィルター・カートリッジ(1, 1A)から脱着自在に構成されていることを特徴とする請求項３から１２のうち何れか一項に記載のフィルター・カートリッジ(1, 1A)。

【請求項14】

前記中空のフィルター・スリーブ(18)を構成する管路が、円筒状である、請求項１から１３のうち何れか一項に記載のフィルター・カートリッジ(1, 1A)。

【請求項15】

前記中空のフィルター・スリーブ(18)を構成する管路の内径が、メディア配管領域(11)の内径よりも小さい、請求項１から１４のうち何れか一項に記載のフィルター・カートリッジ(1, 1A)。

【請求項16】

第二カップリング部(51)に配置されている第二メディア配管(52)とカップリング自在に構成されている少なくとも一つの第一カップリング部(41)に配置されている第一メディア配管(43)を備えた医療用の、又は歯科医療用のアダプターであって、請求項1から15のうち何れか一項に記載のフィルター・カートリッジ(1, 1A)を備える、医療用の、又は歯科医療用のカップリング手段(38)。

【請求項17】

処置工具用の工具取付部(28)、並びに、そこから、メディア配管(30)が、工具取付部(28)へと伸びているカップリング部(31)を備えた医療用の、又は歯科医療用のハンド・ピース、或いは、エルボー・ピースであって、請求項1から15のうち何れか一項に記載のフィルター・カートリッジ(1, 1A)を備える、医療用の、又は歯科医療用のハンド・ピース、或いは、エルボー・ピース(24)。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、請求項1のプレアンブルに記載の医療用の、特に歯科医療用のカップリング手段用のフィルター・カートリッジ、並びに、医療用の、特に歯科医療用のアダプター、並びに、このようなフィルター・カートリッジを備えた医療用の、特に歯科医療用のハンド・ピース、或いは、エルボー・ピースに関する。

【背景技術】

【0002】

該医療用の、特に歯科医療用のハンド・ピース、或いは、エルボー・ピースは、特に好ましくは、硬い、或いは、柔らかい組織を処置するために構成されている医療用工具を駆動する役割を担うものである。そのため、該ハンド・ピースは、ハンド・ピース内に処置工具を取付けるための工具取付部を有している。該工具取付部は、好ましくは、圧縮ガスによって駆動される、特に好ましくは、ヘッド内に配置されたローターを有する、タービン駆動手段によって回転させられる。好ましくは、ハンド・ピースのヘッドは、ハンド・ピース部に対して角度を持って配置されており、エルボー・ピースとして構成されている。少なくとも一つのハンド・ピース、或いは、エルボー・ピース内のインペラーに駆動流体、特に好ましくは、圧縮空気をかけるため、該ハンド・ピース、或いは、エルボー・ピースは、それぞれ、カップリング手段を介して医療用の、特に歯科医療用のユニットの供給ホースと接続自在な供給配管を有している。駆動されている処置工具と処置箇所を冷却するため、該医療用ハンド・ピース、或いは、エルボー・ピースは、供給配管に加えて、スプレー水、及び/或いは、スプレー・エアが、それを介してハンド・ピース、或いは、エルボー・ピースの工具取付部へと導かれるチャンネルを備えている。該スプレー水、及び/或いは、スプレー・エアも歯科医療用ユニットから供給され、カップリング手段を介して、供給ホースによって歯科医療用のハンド・ピース、或いは、エルボー・ピースに供給される。

【0003】

スプレー・チャンネルの直径が非常に小さいこと、供給されるスプレー・メディア内の回避できない不純物などの理由により、歯科医療用のハンド・ピース、或いは、エルボー・ピースのチャンネルでは、メディアの流れを一部、或いは、完全に妨害する目詰まりが、頻繁に起こる。これに対処するため、スプレー・チャンネル内、或いは、複数の部品のそれぞれのスプレー・チャンネル間、特に、供給ホースとハンド・ピース、或いは、エルボー・ピースの間にフィルター・エレメントを配置することが既知である。これは、定期的に交換できる。

【0004】

特に好ましくは、供給ホースとハンド・ピース、或いは、エルボー・ピースの間に、ハンド・ピース、或いは、エルボー・ピースの、並びに、供給ホースの対応するカップリング部をつなぐことのできるフィルター・エレメントを備えた中間部品をつなぐことが既知である。これにより、中間部品、特に、フィルター・エレメントを容易に交換することが可能である。しかし、このような中間部品の製造に、特に、ハンド・ピース、或いは、エルボー・ピースと供給ホース用のカップリング部の製造には、高いコストがかかると言う欠点があることも解った。更に、メディアを複数の部品間において、特に、複数のメディア・チャンネル間において受け渡しするための付加的なインターフェースも欠点であることが解った。付加的なメディアの受け渡しは、カップリング部間における望まれないメディア漏れの危険性を高める。また、付加的な中間部品による、寸法の拡大、特に、処置器具が長くなることは、ユーザーにとって、大きな欠点である。

【0005】

他には、フィルター・カートリッジを用いてフィルター・エレメントを直接、ハンド・ピースやエルボー・ピースのスプレー・チャンネル内に収める、或いは、挿入することも既知である。ここでは、フィルター・エレメントは、供給されるメディアを浄化する目的で、カートリッジ内、特に好ましくは、カートリッジの内部に配置されている。フィルター・エレメントのこのような形態では、フィルター・カートリッジは、容易に交換できるものの、フィルター・エレメントの清掃に関しては欠点を有している。即ち、フィルター・エレメントが、カートリッジの内部、特にハウジング内に配置されているため、清掃が困難、或いは、不可能である。よって、このようなフィルター・エレメントは、一般的に使い捨てとなっている。加えて、既知のスプレー・チャンネル内に取り付けるタイプのフィルター・カートリッジでは、既に浄化されたメディアが、フィルター・エレメント側に逆流し、この既に浄化されたメディアが、再び汚染される可能性もある。

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0006】

よって本発明が解決しようとする課題は、特に、第一カップリング部に配置されている第一メディア配管と第二カップリング部に配置されている第二メディア配管を接続するための、容易に交換し、繰り返し使用できるように容易に洗浄可能な医療用の、特に歯科医療用のカップリング手段用のフィルター・カートリッジを提供することにある。特に本発明では、既に浄化されたメディアが、フィルター・カートリッジのフィルター・エレメントに逆流することを防止できるフィルター・カートリッジを提供することが課題である。

【課題を解決するための手段】

【0007】

本課題の解決策として、該、第一および第二カップリング部を備えた医療用の、特に歯科医療用のカップリング手段用のフィルター・カートリッジは、第一或いは第二カップリング部のメディア配管に、或いは、その内部に、脱着自在にカートリッジを収納するためのカップリング領域と、該カップリング領域を貫通するメディア配管領域、但し、フィルター・カートリッジを通るメディアの浄化におけるメディア流の制御を実施するための制御領域を包含しているメディア配管領域と、該メディア配管領域との流体的接続範囲内にあり、且つ、メディア配管領域の外部であるフィルター・カートリッジのカップリング領域に配置されているフィルター領域とを、浄化されるメディアが、該フィルター領域をその流れ方向に対して、長手方向、及び/或いは、横方向に通過できるように、有している。

【0008】

第一実施例によれば、フィルター領域は、そのフリーな末端が、末端壁によって閉じられている外側面（マントル面）を有する中空のフィルター・スリーブから構成されている。フィルター・スリーブの該外側面、及び/或いは、末端面は、複数の穿孔を有している。ここでは、穿孔を有するスリーブは、スプレー・メディアから不純物を取り除くスクリーンの役割を担っている。そのため、該穿孔の直径は、0.3ミリメートルである。代案的に、該フィルター領域が、その内部を流体が流れることができるフィルター・マテリアル製であることも可能である。これは、好ましくは、フィルター・スリーブの外側面、或いは、末端面の構成部品である。ここでは、スプレー・メディアをろ過するためのマテリアルとしては、例えば、セラミックなど、多孔性のフィルター・マテリアルが採用される。更には、流体がその中を流れることができる膜として構成されていてもよい。

【0009】

好ましい実施例によれば、該フィルター領域は、フィルター・スリーブへ、末端面からだけでなく、外側面からも流体を流せるように、その中に該フィルター領域を取付けることのできるそれぞれのスプレー・チャンネルよりも小さな断面を有している。但し、ここでは、それぞれのスプレー・チャンネルを、軸方向にシーリングする必要がある。そこで、該フィルター領域は、複数の穿孔、及び/或いは、フィルター・マテリアルの横に、シーリング・ディスク用の好ましくは収納領域を包含している。

【0010】

フィルター領域、特に、複数の穿孔を備えてフィルター・スリーブを、その内側、並びに、外側を洗浄するため、カートリッジのフィルター領域は、カップリング領域から、好ましくは、脱着自在に構成されている。

【0011】

ある更なる実施形態によれば、フィルター・カートリッジのカップリング領域は、差込式接続手段として構成されており、該カートリッジが、スプレー・チャンネルの内側と、摩擦把持により、接続自在になっている。そのためここでは、該カップリング領域は、その外径が、好ましくは、フィルター領域を挿入できるスプレー・チャンネルの内径に対応しているカップリング・スリーブとして構成されている。代案的に、フィルター・カートリッジのカップリング領域は、特に好ましくは外ネジを備えた、ネジ式接続手段として構成されている。該カートリッジは、ここでは、好ましくは、該外ネジを介して、スプレー・チャンネルの内側の内ネジと接続可能である。

【0012】

更にカートリッジの該カップリング領域は、その周囲に、好ましくは、その中に、フィルター・カートリッジを収納するスプレー・チャンネルのラジアル(径)方向のシーリングを担うシーリング・エレメントを備えた切欠き部を有している。フランジは、軸方向の付加的なシーリングとしての役割を担うだけでなく、スプレー配管内でのカートリッジの位置決めの役割も担っている。代案的には、該カートリッジを、第一或いは第二スプレー・チャンネルの外側と接続可能にすることもできる。この場合、差込式、或いは、ネジ式接続手段、並びに、シーリング・エレメントを備えた切欠き部は、カップリング領域の内側に配置される。

【0013】

ある更なる実施形態によれば、制御領域は、バルブシートと浄化されるメディアの流れ方向とは逆方向にバルブシートに対してプリロードされている(予めテンションがかけられている)制御体を備えた逆流防止弁から構成されている。逆流防止弁のバルブシートは、メディア配管領域から既に浄化されたメディアがフィルター領域へと逆流することを防止するために、ここでは、好ましくは、フィルター領域とフィルター・カートリッジのカップリング領域の間に配置されている。フィルター領域に加え、制御領域とカップリング領域も洗浄可能に構成するために、制御領域は、フィルター・カートリッジから脱着自在である。これにより、フィルター・カートリッジの全ての構成部品を各々、内側と外側から洗浄できる。

【0014】

言うまでも無く、本発明の範囲において、本発明に係るフィルター・カートリッジは、上記の実施例に、更には、上記実施例に係る医療用の、特に歯科医療用のカップリング手段における使用に制限されるものではない。該フィルター・カートリッジは、むしろ、スプレー・チャンネルを備えた、チャンネルを通るメディアの浄化だけでなく、該メディアの流れの制御も望まれている、多種多様な医療用の、特に歯科医療用の器具において採用されるものである。

【発明の効果】

【0015】

本発明に係るフィルター・カートリッジは、非常に優れた利点を数多く有している。

【0016】

フィルター・エレメントをカートリッジとして形成した、但し、フィルター領域をカートリッジ・ハウジング外に配置したことにより、フィルター・エレメントを洗浄することが可能になった。よって、該フィルター・カートリッジは、繰り返し使用することができる。更に、フィルター・エレメントを、カートリッジのカップリング領域から脱着自在な部品として構成したことにより、フィルター領域を内側から洗浄することが可能になった。

【0017】

該フィルター・カートリッジの更なる重要な長所は、浄化されるメディアのメディア流を制御するための制御領域が、該フィルター・カートリッジによって構成されていることである。好ましくは、バルブシートを備えた逆流防止弁によって構成されている、フィルター領域とフィルター・カートリッジのカップリング領域の間に配置される制御領域は、既に浄化されたメディアが、フィルター領域へ逆流することを防止している。これにより、既に浄化されたメディアに再び汚染されることを回避している。

【0018】

該制御領域が、好ましくは、フィルター・カートリッジから脱着自在に構成されているため、フィルター領域だけでなく、制御領域とカップリング領域も内側と外側から洗浄できる。これも、大変有利な特徴である。

【0019】

以下、本発明を、複数の実施例と添付した図面に基づいて説明する。

【図面の簡単な説明】

【0020】

【図1】図1は、フィルター・カートリッジの第一実施例を遠近法的に示している。

【図2】図2は、フィルター・カートリッジの第一実施例を断面図として示している。

【図3】図3は、図2に示されている如き第一実施例のフィルター・カートリッジを備えた医療用の、特に歯科医療用のアダプターを示している。但し、該アダプターには、供給ホースがカップリングされている。図3Aは、図3の医療用の、特に歯科医療用のアダプターの一部の断面図である。

【図4】図4は、第二実施例のフィルター・カートリッジを備えた医療用の、特に歯科医療用のエルボー・ピースの断面図であり、図4Aも、図4の医療用の、特に歯科医療用のエルボー・ピースの一部の断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0021】

図1には、フィルター・カートリッジ1の第一実施例が、遠近法的に示されている。該フィルター・カートリッジ1は、本質的に、カートリッジ1のメディア配管内への脱着自在に収納するためのカップリング領域3とフィルター領域17から構成されている。尚、該カップリング領域3には、メディア配管領域11が貫通している。これは、浄化されるメディアのフィルター・カートリッジ1内のメディア流を制御するための制御領域12を包含している。フィルター領域17も、メディア配管領域11と流体的につながっているが、これは、メディア配管領域11の外部、フィルター・カートリッジ1のカップリング領域3に配置されている。該フィルター領域17は、そのフリーな末端が、末端壁20によって閉じられている外側面（マントル面）19を有する中空のフィルター・スリーブ18から構成されている。該末端壁20、及び/或いは、外側面19は、フィルター領域17を、浄化されるメディアがその流れ方向に対して、長手方向、及び/或いは、横方向に通過できるように、複数の穿孔21を有している。フィルター・スリーブ18は、フランジ10を介してカップリング領域3とメディア配管領域11と接続されている。該フランジ10は、フィルター・カートリッジ1収められているメディア配管の軸方向のシーリングの役割を担っている。図1に更に示されているように、フィルター・スリーブ18は、メディア配管の内側とカップリング可能なカップリング領域3よりも小さな断面を有している。これにより、フィルター・スリーブ18へは、メディア配管内に収められている間、末端面20からだけではなく、外側面19からも流体が流れることができる。

【0022】

図2には、図1のフィルター・カートリッジ1が、断面図として描かれている。フィルター・カートリッジ1、特にフィルター領域17とメディア配管領域11を通る浄化されるメディアのメディア流を制御するためにメディア配管領域11内に配置されている制御領域12は、バルブシート14と、浄化されるメディアの流れ方向とは逆方向にバルブシート14に対してプリロードされている制御体15を備えた逆流防止弁13から構成されている。制御体15のプリロード(予めかけられるテンション)は、これもメディア配管領域11内に配置されているスプリング・エレメント16によってかけられる。逆流防止弁13のバルブシート14は、メディア配管領域11から既に浄化されたメディアがフィルター領域17へと逆流することを防止するために、この実施例では、フィルター領域17とフィルター・カートリッジのカップリング領域3の間に配置されている。

【0023】

カップリング領域3は、カートリッジ1とメディア配管の内側とをカップリングできるように、差込式接続手段4として構成されている。その周囲7において差込式接続手段4は、その中にシーリング・エレメント9を備えた切欠き部8を、その中にフィルター・カートリッジを挿入することのできるメディア配管をラジアル方向にシーリングするために、有している。図1に既に示したごとく、フィルター領域17は、フランジ10内の中央の穿孔を介してメディア配管領域11と流体的につながっている。中空のフィルター・スリーブ18の外側面19内と末端面20内の穿孔21に加え、フィルター領域17は、フィルター・スリーブ17を収納するメディア配管の軸方向のシーリングを担うシーリング・ディスク23用の収納領域22を有している。

【0024】

図3には、図2に示されている如き第一実施例のフィルター・カートリッジ1を備えた医療用の、特に歯科医療用のアダプター39が示されているが、該アダプター39には、カップリング手段38によって、供給ホース48がカップリングされている。該医療用アダプター39自体は、その後ろ側の末端に、アダプター39を供給ホース48にカップリングするための突起状の第一カップリング部41が配置されているハウジング40から構成されている。そのために、該供給ホース48は、アウタースリーブ49を取り巻く第二カップリング部51を有している。スリーブ49は、カップリング手段38の双方のカップリング部41, 51をカップリングする役割を担っている。そのため、その内面には、アダプター39カップリング・ジャーナル41の外ネジ42と接続可能な内ネジ50が設けられている。ホース48のアウタースリーブ49を取付けることにより、双方のカップリング部41, 51が、互いに、カップリングされる。アダプター39の前方の末端には、医療用の、特に歯科医療用のハンド・ピース、或いは、エルボー・ピースを取付けるための更なるカップリング部44が設けられている。該カップリング部44も、突起状に形成されており、ハンド・ピース、或いは、エルボー・ピースを差し込めるようになっている。該突起(カップリング・ジャーナル)44は、末端壁45によって制限された外側面46を有している。アダプター39を通って、少なくとも、カップリング・ジャーナル44の前面45にあるアウトプット開口部46を有する第一メディア配管43が貫通している。該配管43は、ハンド・ピース、或いは、エルボー・ピースによって駆動される処置工具、並びに、処置箇所のスプレー水、及び/或いは、スプレー・エアによる冷却の役割を担っている。スプレー水、及び/或いは、スプレー・エアを供給するため、供給ホース48は、ホース48を通りメディア源に延びる第二メディア配管(通路)52を有している。双方のカップリング部41, 51内の第一および第二メディア配管43, 52は、ここでは、カップリング手段38によって互いにカップリングできる。

【0025】

歯科医療用ハンド・ピース、或いは、エルボー・ピースのチャンネル、並びに、医療用アダプター39内の少なくとも第一配管43のつまりを回避するために、第一および第二メディア配管43, 52内には、図1と図2のフィルター・カートリッジ1が、収納されている。ここでは、フィルター・カートリッジ1の第一部分は、メディア配管領域11、並びに、アダプター39の第一メディア配管43がその中に配置されている制御領域12を有している。一方、フィルター領域17の第二部分は、供給ホース48の第二メディア配管52に伸びる中空のフィルター・スリーブ18を有している。これにより、フィルター・カートリッジ1は、特に、フィルター領域17は、双方のカップリング部41, 51がカップリングされた状態でも、該フィルター領域17へはフリーに到達可能であるため、洗浄することができる。双方のカップリング部41, 51の間には、第二メディア配管52を軸方向にシーリングするために、一枚のシーリング・ディスク23が、配置されている。このディスク23は、フィルター・カートリッジ1上に、特に、フィルター領域17の取付部22上に差し込まれる。

【0026】

図3Aにも、図3の医療用の、特に歯科医療用のアダプター39の一部の断面図が示されている。この部分図は、カップリング手段38、特に、アダプター39の第一カップリング部41と供給ホース48の第二カップリング部51、並びに、その中に配置されているフィルター・カートリッジ1の詳細を示している。図3に既に示したごとく、双方のカップリング部41, 51は、供給ホース48のアウタースリーブ49を介して、ネジ式接続手段42, 50と互いにカップリングされている。双方のカップリング部41, 51は、それぞれ、カップリングされている状態において、その間に、アダプター39と供給ホース48の双方のメディア配管43, 52をメディアの漏れからシーリングするための、シーリング・ディスク23が、配置されている平らな前面を有している。双方のカップリング部41, 51の第一および第二メディア配管43, 52内には、フィルター・カートリッジ1が収められている。これは、特に好ましくは、差込式接続手段4として構成されているフィルター・カートリッジ1のカップリング領域3において実施される。差込式接続手段4の他、カップリング領域3は、フィルター・カートリッジ1を収めるためのメディア配管43を軸方向にシーリングするためのフランジ10も付加的に有している。カップリング領域3内には、その内部に逆流防止弁13とスプリング・エレメント16を備えた制御領域12が配置されているメディア配管領域11が貫通している。フィルター領域17のシーリング・ディスク23用の収納領域22を有する中空のフィルター・スリーブ18は、フランジ10から供給ホース48の第二メディア配管52内へ延びている。複数の穿孔21を有するフィルター・スリーブ18が、供給ホース48の第二メディア配管52よりも小さな断面を有し、特に、スリーブ18の外側面が、第二メディア配管52の内側54から間隔をおいて配置されているため、該フィルター・スリーブ18へは、多方向から流体が流れ込むことができる。

【0027】

該フィルター・カートリッジ1、並びに、カップリング手段38内での該カートリッジ1の配置から、医療用アダプター39の第一メディア配管43の汚染を回避することができる。これは、特に、カートリッジ1をカップリング領域3とフィルター領域17に分離することにより実施されるが、該カップリング領域3のみが、汚染から保護されるべき第一配管43内に収められている。フィルター領域17と濾別された汚れの粒子は、浄化されていないスプレー・メディアが送られる供給ホース48の第二配管52内に残る。更には、カップリング領域12内に配置されているフィルター・カートリッジ1の制御領域12によって、既に浄化されたメディアが、メディア配管領域11からフィルター領域17へ逆流することが回避されている。即ち、本発明に係るフィルター・カートリッジ1によれば、アダプターのメディア配管43を完全に汚染から保護することが可能になる。これは、従来の技術において既知なカートリッジでは、濾別された汚れの粒子を含むフィルター・エレメントが、汚染から守られるべきメディア配管内に収められているので、不可能である。

【0028】

図4は、フィルター・カートリッジの第二実施例1Aを備えた医療用の、特に歯科医療用のエルボー・ピース24の断面を示している。該エルボー・ピース24は、グリップ部25と、これに対して角度を持って配置されたヘッド部26を有している。該ヘッド部26は、タービン駆動手段を取付けるためのネック部35とヘッド部内に配置された工具取付部28を操作するための押しボタン27を備えたハウジングを有している。該タービン駆動手段は、工具取付部28と共に、上部軸受、並びに、下部軸受によって、ヘッド部26内において回転自在に支持されている。グリップ部25内には、タービン駆動手段への駆動エアの供給を担う駆動エア管29が収められている。該駆動エア管29は、ストッパ部37に支えられると同時に、グリップ部25内において駆動エア管29の位置決め手段の役割を担うテンション・エレメント36と共に、ヘッド部26とグリップ部25にテンションをかけるためのコネクション・エレメントとして構成されている。駆動エア管29の他には、スプレー水、及び/或いは、スプレー・エア用のスプレー管55も、グリップ部25内に配置されている。これは、駆動されている処置工具と処置箇所の冷却の役割を担い、エルボー・ピース24の後ろ側の末端に配置されたカップリング部31から工具取付部28まで伸びている。該カップリング部31には、少なくとも二つの、パイプ29と55と共にそれぞれ、駆動エア配管とメディア配管を構成する穿孔30と56が設けられている。少なくとも穿孔30内には、更なるパイプ部品57が挿入されている。該カップリング部31は、穿孔30, 56とパイプ部品57に加え、駆動エア配管がその中を延びるカップリング・ジャーナル34も有している。グリップ部25とつながれているカップリング・スリーブ32は、カップリング部31を取り巻いている。このスリーブ32は、エルボー・ピース24に供給ホースを取付ける役割を担っている。そのためこれは、供給ホースをネジ式に取り付けるための外ネジ33を有している。

【0029】

歯科医療用ハンド・ピース、或いは、エルボー・ピース24のメディア配管へ不純物が滲入することを回避するため、該メディア配管には、フィルター・カートリッジ1の第二実施例が、収められている。該カートリッジ1Aは、ネジ式接続手段5を備えたカップリング領域3Aを介して、メディア配管のパイプ部品57にネジ式に取り付けられている。カートリッジの第一実施例同様、フィルター領域17は、フランジを介してカップリング領域3Aと接続されているが、歯科医療用エルボー・ピース24の、汚染から守られるべき、メディア配管内には、カップリング領域3Aのみが収められている。少なくとも、濾別された汚れの粒子が残るフィルター領域17は、メディア配管の外部にある、即ち、カップリングされた状態では、エルボー・ピース24のカップリングされる側の末端よりも突き出ている。カップリング・ジャーナル34とフィルター領域17上には、シーリング・ディスク23が、はめられている。カートリッジ1Aの突出部分は、その上に、メディア配管、特に、供給ホースをつなぐことのできるカップリング手段、特に好ましくは、差込式カップリング手段として構成されている。

【0030】

図4Aにも、図4の医療用の、特に歯科医療用のエルボー・ピース24の一部の断面図が示されている。この部分図は、エルボー・ピース24のカップリング領域とフィルター・カートリッジの第二実施例1Aの詳細を示している。図4に示したごとく、エルボー・ピース26は、その後ろ側の末端に、カップリング・スリーブ32に囲まれたカップリング部31を有している。カップリング部31内には、それにフィルター・カートリッジ1Aを接続できるパイプ部品57を取付けるための穿孔30が貫通している。これにより、カートリッジ1Aをカップリング部31内に収めることが可能である。具体的にこれは、差込式接続手段とフランジ10の他に、ネジ式接続手段5を有するフィルター・カートリッジ1Aのカップリング領域3Aを介して実施される。該ネジ式接続手段5は、好ましくは、パイプ部品57の外側の外ネジ上にねじ込むことができるカートリッジ1Aのスリーブ状のカップリング領域3Aの内側6に施されているネジ山によって実施される。この実施例においても、その中に制御体15とスプリング・エレメント16を有する逆流防止弁13を備えた制御領域12が配置されているメディア配管領域11は、カートリッジ1Aのカップリング領域内3Aを貫通している。逆流防止弁13のバルブシート14は、既に浄化されたメディアが、フィルター領域17へ、或いは、中空の、複数の穿孔21を外側面19と末端面20に備えた、フィルター・スリーブ18へと逆流することを回避するために、ここでも、フィルター領域17とカップリング領域3Aの間に配置されている。

【図1】

【図2】

【図3】

【図3A】

【図4】

【図4A】