特許第6284623号(P6284623)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6284623多領域容量検出方法、該方法を実施する装置及び機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284623
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】多領域容量検出方法、該方法を実施する装置及び機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20180215BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   G06F3/041 512
   G06F3/041 610
   G06F3/044 120
【請求項の数】16
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-508091(P2016-508091)
(86)(22)【出願日】2014年4月9日
(65)【公表番号】特表2016-515744(P2016-515744A)
(43)【公表日】2016年5月30日
(86)【国際出願番号】EP2014057158
(87)【国際公開番号】WO2014170180
(87)【国際公開日】20141023
【審査請求日】2017年3月10日
(31)【優先権主張番号】1353371
(32)【優先日】2013年4月15日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516026309
【氏名又は名称】クイックステップ テクノロジーズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ロジエー ディディエ
(72)【発明者】
【氏名】ルグロ エリク
【審査官】 永野 志保
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−519458(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0127005(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極(5,7)を使用する容量検出のための方法であって、前記電極は、それらの近傍の1つ以上の物体(1,21,22)の検出を容量結合によって可能にし得る方法において、
少なくとも第1の面及び第2の面に沿って、前記複数の電極(5,7)を形成し、
前記第2の面上の前記電極の少なくとも一部を第2の励起電位で分極し、
前記第1の面上の前記電極(5,7)の少なくとも一部を第1の励起電位で同時に分極するステップを備え、前記励起電位(42,43)は、これらの励起電位(42,43)の所定の継続時間にわたるスカラー積がゼロであるように、基準電位(13)に対して生成されることを特徴とする方法。
【請求項2】
生成される前記励起電位(42,43)は、経時的に変化可能な少なくとも1つの励起電位を備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
生成される前記励起電位(42,43)は、異なる周波数の周期的な励起電位を備える請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
生成される前記励起電位(42,43)が少なくとも1つの励起電位を備え、該励起電位の周波数成分がスペクトル帯域にわたって広げられる請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
生成される前記励起電位(42,43)は、直角位相を成す同じ周波数の2つの周期的な励起電位を備える請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
生成される前記励起電位(42,43)が少なくとも1つの励起電位を備え、該励起電位の干渉信号とのスカラー積が最小化される請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
生成される前記励起電位(42,43)は、基準電位にほぼ等しい少なくとも1つの励起電位を備える請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
電極(5,7)の容量結合を測定するステップも備え、該ステップは、
電極の電荷の代表的な測定値の取得と、
前記電極(5,7)の励起電位(42,43)を使用することによる電荷の前記代表的な測定値の復調と、を備える請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
複数の電極(5,7)を備える容量検出のための装置であって、前記電極は、それらの近傍の1つ以上の物体(1,21,22)の検出を容量結合によって可能にし得る装置において、
前記装置の少なくとも第1の面と第2の面であって、前記複数の電極が、少なくとも前記第1の面と前記第2の面に沿って形成されており、前記第2の面上の前記電極の少なくとも一部が、第2の励起電位で分極されるように構成されている、前記少なくとも第1の面と第2の面、及び
異なる励起電位(42,43)により前記第1の面上の前記電極(5,7)の少なくとも一部を第1の励起電位で同時に分極できる励起手段(30,31)備え、前記励起電位(42,43)は、これらの励起電位(42,43)の所定の継続時間にわたるスカラー積がゼロであるように、基準電位(13)に対して生成されることを特徴とする装置。
【請求項10】
測定手段(34,35,36,37)も備え、該測定手段は、それらが連結される電極(5,7)と同じ励起電位(42,43)に基準付けられる請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記測定手段(34,35,36,37)に連結されるとともに、前記基準電位(13)に基準付けられる容量結合の代表的な測定値をもたらすことができる復調手段(38,39)も備える請求項10に記載の装置。
【請求項12】
少なくとも1つの電極を
幾つかの異なる励起電位(42,43)で、及び/又は、
少なくとも1つの励起電位(42,43)で或いは基準電位(13)で分極できるようにする手段も備える請求項9から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
請求項9から12のいずれか一項に記載の容量検出のための装置を備えて、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法を実施する機器。
【請求項14】
ディスプレイスクリーンと、第1の励起電位(42)で分極される第1のほぼ透明な電極(5)とを前記第1の面(4)上に備えるとともに、前記第2の励起電位(43)で分極される第2の電極(7)を前記第1の面とは反対側の前記第2の面(14)上に備える請求項13に記載の機器。
【請求項15】
以下のタイプ、すなわち、スマートフォン、タブレットのうちの1つである請求項14に記載の機器。
【請求項16】
互いに対して移動できる複数のモジュール(21,22)を備え、前記各モジュールは、他のモジュール(21,22)とは異なる励起電位(42,43)で分極される電極(5,7)を備える請求項13に記載の機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多領域容量検出のための方法及び装置に関する。本発明の分野は、特に、しかしながら非限定的に、容量検出システム、並びに、接触式及び非接触式ヒューマンマシンインタフェースの分野である。
【背景技術】
【0002】
多くの通信・作業機器は、コマンドを入力するためのヒューマンマシンインタフェースとして接触式又は非接触式の測定インタフェースを使用する。これらのインタフェースは、特に、パッドスクリーン又はタッチスクリーンの形態を成すことができる。これらのインタフェースは、例えば、携帯電話、スマートフォン、タッチスクリーンコンピュータ、タブレット、パッド、PC、マウス、タッチスクリーン、及び、ワイドスクリーン等に見られる。
【0003】
これらのインタフェースは、しばしば、容量技術を使用する。測定面には導電性電極が設けられ、これらの電極は、命令を実行するべく電極と検出されるべき物体との間にもたらされる容量の変化を測定できるようにする電子手段に連結される。
【0004】
インタフェースを例えばスマートフォンのディスプレイスクリーン上に重ね合わせることができるようにする透明な電極をもたらすことができる。
【0005】
これらのインタフェースの大部分は接触式インタフェースである。すなわち、これらのインタフェースは、1つ以上の対象物体の接触を検出できる或いはインタフェースの表面を用いて命令を出すことができる。
【0006】
インタフェースから大きく距離を隔てたコマンド物体を表面と接触することなく検出できるジェスチャーインタフェース又は非接触インタフェースが次第に開発されている。
【0007】
非接触インタフェースの開発は、非常に感度が良い容量測定技術の実施、及び、環境的な干渉に対する高度な防御の措置を必要とする。実際に、インタフェースの容量測定電極とコマンド物体との間にもたらされる容量は、これらの間の距離に反比例する。
【0008】
Roziereによる文献、仏国特許出願公開第2756048号明細書が知られており、この文献は、複数の独立した電極と近接する物体との間の容量及び距離を測定できるようにする容量測定方法を開示する。
【0009】
この技術は、高い分解能及び感度をもって電極と物体との間の容量の測定値を得ることができるようにし、それにより、数センチメートル或いは更には10センチメートルの距離を隔てた例えば指の検出を可能にする。検出は、三次元空間内で行うことができるが、測定面として知られる表面上で行うこともできる。
【0010】
一般に、コマンド物体は、露出導電部又はアースなどの基準電位にあると見なされ得る。
【0011】
大部分の容量検出技術では、電極が励起電圧で分極される。したがって、これらの分極された電極と基準電位にある物体との間の容量結合が測定される。
【0012】
スマートフォン又はタブレットなどの携帯機器の場合、それがバッテリによって給電されるため、電気回路は、アースに対して浮いている基準電位又は内部アースを備える。しかしながら、この内部基準電位は、その環境との容量結合の影響により(特に、それがユーザの手の中で保持されるとき)、アースに又は少なくともユーザの身体の電位に設定される。したがって、他方の手が測定電極に近づくと、それは、実質的に装置の内部基準電位又はアース電位にあると「わかる」。
【0013】
ディスプレイスクリーン以外の所定の場所に測定電極を備える高感度面を含むスマートフォン又はタブレットなどの携帯機器の開発への関心が存在する。そのような機器は、例えば、それらの環境に関する情報の更なる項目を検出するために、スクリーンとは反対側の面上に及び/又は側面上に電極をそれらが保持されるなどの態様で備えることができる。
【0014】
この場合に生じる問題は、設けられる電子機器のアースに対する浮性に起因して、励起電圧で分極される測定電極が例えば装置を保持するユーザの手と電気的に接触している或いは強く(容量的に)結合される場合に、ユーザの身体全体が電子機器によって実質的にこの励起電位にあると「わかる」ことである。この場合、例えばユーザの他方の手であるコマンド物体も、実質的に電極の励起電位にあると「わかる」。このとき、容量結合はゼロ又は非常に弱く、物体が検出されず或いは短い距離でしか物体が検出されない。
【0015】
また、容量検出技術は、ロボット又は可動式医用撮像機器(スキャナ等)などのシステムに該システムのそれらの環境に対する感度を良くするべく備えるように使用される。原理は同じである。すなわち、容量結合は、励起電圧で分極される容量電極と、露出導電部又はアースに対して基準電位にあると想定される環境の物体との間で測定される。
【0016】
容量電極を備える2つの物体が互いに対して移動されると、それらの物体が互いを検出しない場合があるというリスクが存在する。これは、測定電極が同じ電位にある場合に容量結合がそれらの測定電極間で確立されないからである。また、これは、大部分の容量検出システムにおいて使用されるガード原理である。すなわち、電極は、同じ励起電位にある導電面を近傍に有することによって望ましくない環境的影響(寄生容量)から保護される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の主題は、従来技術のこれらの欠点を克服できるようにする容量検出方法及び装置を提案することである。
【0018】
本発明の他の主題は、特定の電極と露出導電部又はアースとの強力な電気的結合によって測定が影響されない或いは僅かしか影響されないように、一般的な露出導電部又はアースに対して電気的に浮いている機器に対して対象物体の接近を検出できる容量検出電極を備え付けることができるようにする容量検出方法及び装置を提案することである。
【0019】
本発明の他の主題は、特定の電極と露出導電部又はアースとの強力な電気的結合によって測定が影響されない或いは僅かしか影響されないように、スマートフォン又はタブレットなどの携帯機器に対して複数の面上に容量検出電極を備え付けることができるようにする容量検出方法及び装置を提案することである。
【0020】
本発明の他の主題は、複数の機器に対してこれらの機器も互いを検出できるように容量検出電極を備え付けることができるようにする容量検出方法及び装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この目的は、複数の電極を使用する容量検出のための方法であって、複数の電極が、それらの近傍の物体の検出を容量結合によって可能にし得る方法において、異なる励起電位により前記電極の少なくとも一部を同時に分極するステップを備え、前記励起電位は、これらの励起電位のうちの少なくとも2つの所定の継続時間にわたるスカラー積がゼロである或いは前記所定の継続時間にわたるこれらの励起電位のうちの一方及び/又は他方のそれ自体とのスカラー積よりも非常に小さくなるように、基準電位に対して生成されることを特徴とする方法を用いて達成される。
【0022】
励起電位は、例えば、基準電位に基準付けられる励起電気信号の時間値に、又は、基準電位に対する電圧差に対応し得る。
【0023】
無論、本発明の範囲内で、任意の数の異なる励起電位を利用できる。特に、2つの励起電位、又は、3つ以上の多くの励起電位を利用できる。
【0024】
実施形態によれば、生成される励起電位は、
−経時的に変化可能な少なくとも1つの励起電位を備えることができ;
−異なる周波数を有する周期的な励起電位を備えることができ;
−少なくとも1つの励起電位を備えることができ、該励起電位の周波数成分がスペクトル帯域にわたって広げられる;
−直角位相を成す同じ周波数の2つの周期的な励起電位を備えることができ;
−少なくとも1つの励起電位を備えることができ、該励起電位の干渉信号とのスカラー積が最小化され;
−基準電位にほぼ等しい少なくとも1つの励起電位を備えることができる。
【0025】
本発明に係る方法は、電極の容量結合を測定するステップも備えることができ、該ステップは、
−電極の電荷の代表的な測定値の取得と、
−電極の励起電位を使用することによる電荷の前記代表的な測定値の復調と、を備える。
【0026】
他の態様によれば、複数の電極を備える容量検出装置であって、複数の電極が、それらの近傍の物体の検出を容量結合によって可能にし得る容量検出装置が提案され、該装置は、異なる励起電位により前記電極の少なくとも一部を同時に分極できる励起手段を更に備え、前記励起電位は、これらの励起電位のうちの少なくとも2つの所定の継続時間にわたるスカラー積がゼロである或いは前記所定の継続時間にわたるこれらの励起電位のうちの一方及び/又は他方のそれ自体とのスカラー積よりも非常に小さくなるように、基準電位に対して生成される。
【0027】
本発明に係る装置は、
−測定手段も備えることができ、該測定手段は、それらが連結される電極と同じ励起電位に基準付けられる。
−測定手段に連結されるとともに、基準電位に基準付けられる容量結合の代表的な測定値をもたらすことができる復調手段も備えることができる。
【0028】
実施形態によれば、本発明に係る装置は、少なくとも1つの電極を、
−幾つかの異なる励起電位で、及び/又は、
−少なくとも1つの励起電位で或いは基準電位で分極できるようにする手段も備えることができる。
【0029】
他の態様によれば、容量検出のための装置を備えて、本発明に係る方法を実施する機器が提案される。
【0030】
実施形態によれば、本発明に係る装置は、ディスプレイスクリーンと、第1の励起電位で分極される第1のほぼ透明な電極とを第1の面上に備えるとともに、第2の励起電位で分極される第2の電極を第1の面とは反対側の第2の面上に備えることができる。
【0031】
装置は、特に、以下のタイプ、すなわち、スマートフォン、タブレットのうちの1つであってもよい。
【0032】
実施形態によれば、本発明に係る装置は、互いに対して移動できる複数のモジュールを備えることができ、各モジュールは、他のモジュールとは異なる励起電位で分極される電極を備える。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明の他の利点及び特徴は、決して限定的ではない実施形態の詳細な説明及び以下の添付図面を読むと明らかになる。
図1】本発明の第1の実施形態を示す。
図2】本発明の第2の実施形態を示す。
図3】本発明の実施のための電子機器の回路図を示す。
図4】測定値の取得の予定表を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
無論、与えられた本発明の実施形態及びこれらの実施形態に記載される電極の分布及び配置は、決して限定的ではない。これらの実施形態は、単に典型的な一例として与えられる。
【0035】
図1を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0036】
例えば、この実施形態は、例えば幾つかのスクリーン又は1つのスクリーン及びボタン等の高感度領域などを含む電話、スマートフォン、PCタブレットなどの電子装置2又は機器2における本発明の実施に対応する。
【0037】
図1に示される例では、断面で与えられる機器2がスマートフォン又はPCタブレットを表す。この機器はディスプレイスクリーン4を有する第1の面を備え、ディスプレイスクリーン4にはその表面上にわたって(例えばマトリックス配列を成して)分布される第1の透明な容量電極5が設けられる。これらの第1の電極5及びそれらの関連する電子機器は、ディスプレイスクリーン4上におけるコマンド物体1の位置、距離3、及び/又は、接触を検出できるようにする。コマンド物体1は例えばユーザの指であり得る。検出された位置及び距離は、その後、機器2のヒューマンマシンインタフェースの制御ソフトウェアによってコマンド用語へと変換される。
【0038】
標準的なやり方で、装置は、スクリーンの第1の電極5の背後に位置される第1の導電性ガード面6を、これらの電極5と機器2の他の要素との間に備える。この第1のガード6は、第1の電極5と電子機器12などの機器2の内部要素との間の寄生容量結合を回避するために、第1の電極5と同じ励起電位で分極される。
【0039】
励起電位は、機器2の電子機器12の一般的な質量に対応する基準電位13に対して規定される。バッテリ給電式の携帯型機器の場合には、アースとの電気的な連結又は有意な結合を欠くと、この基準電位13がアースに対して浮いていることに留意すべきである。
【0040】
また、機器2は、スクリーン4を支持する面とは反対側の第2の面14上にわたって(例えばマトリックス配列を成して)分布される第2の電極7も備える。これらの第2の電極7は、第2のディスプレイスクリーン上に重ね合わされる透明電極、又は、機器2のケースに単に備わる電極であってもよい。
【0041】
これらの第2の電極7及びそれらの関連する電子機器は、それらの環境内の物体の位置、距離3、及び/又は、接触を検出できるようにする。
【0042】
また、機器2は、スクリーンの第2の電極7の背後に位置される第2の導電性ガード面8も、これらの電極7と機器2の他の要素との間に備える。この第2のガード8は、第2の電極7と電子機器12などの機器2の内部要素との間の寄生容量結合を回避するために、第2の電極7と同じ励起電位で分極される。
【0043】
機器2は、側面上に第3の電極10,11を備えることもできる。
【0044】
スクリーン4が(例えば)使用される場合、第2の面14及び側面は、手の中で機器2を保持するために或いは機器を手の掌の上に置くために或いは更にはテーブル又は床の上に機器を置くために好まれる場所である。
【0045】
第1の電極5のみを備える従来技術の装置は、それらが保持される或いは下に置かれるときに電子機器12の一般的な質量がユーザの身体に及び/又は支持体に(電気的接触によって或いは容量結合によって)結合されるように形成される。これらの状態下では、基準電位13がユーザの身体及び/又はアースの電位にほぼ対応するようにすることが可能である。このとき、指又はユーザにより保持される導電物体は、ほぼ基準電位13のコマンド物体1を構成し、したがって、第1の電極5によって最良の状態下で検出され得る。
【0046】
図1に示されるような機器2が例えば第2の電極7の側にある手又はテーブルなどの支持体9上に配置されると、強力な容量結合が支持体9とこれらの電極7との間にもたらされる。その結果、機器2の内部基準電位13に対して、支持体9は、第2の電極7の励起電位で分極されるように見える。これまでと同じ議論によれば、コマンド物体1は、機器2の内部基準電位13に対して、支持体9とほぼ同じ電位で、すなわち、第2の電極7の励起電位で分極されると「わかる」。励起電位が従来技術の装置の場合のように全ての電極に関して同一である場合、コマンド物体1は、電極との容量結合をもはや形成せず、したがって、もはや検出され得ない(或いは、少なくとも大幅に低下した性能を伴ってしか検出され得ない)。
【0047】
以下で詳述される本発明によって実施される解決策は、第1の電極5及び第2の電極7に関する数学的な意味で略直交する異なる励起電位の生成を含む。
【0048】
側面上の第3の電極10,11に関しては、特に機器2がスマートフォン又はタブレットであるときに、異なる選択肢が可能である。断面又は断面図によれば、
−機器2は、図1に示されるように、第1及び第2の面4,14へ向けてそれぞれ別個の第3の電極10,11を備えることができる。この場合、第3の電極10のうちの1つは、第1の電極5の励起電位にあることができ、また、第3の電極11のうちの1つは、第2の電極7の励起電位にあることができ;
−機器2が側面の少なくとも一部を覆う第3の電極10又は11のみを備えることが可能である。この場合、この第3の電極は、第1の電極5の励起電位にあることができ或いは第2の電極7の励起電位にあることができる。第3の電極は、随意的に、第1及び/又は第2の電極の測定から生じる情報の項目に応じて、一方の励起電位から他方の励起電位へと切り換えられ得る。第3の電極10又は11は、第1及び第2の電極の励起電位とは異なる励起電位にあることもできる。
【0049】
側面に沿って、第3の電極は、機器2を取り囲むリングを構成することができ、或いは、これらの側面上にわたって分布される幾つかの電極を備えることができる。
【0050】
ここで、図2を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0051】
この実施形態は、例えば、互いに対して及びそれらの環境に対して移動できるモジュール21,22における本発明の実施に対応する。このタイプの構成は、例えばロボットにおいて或いはスキャナなどの移動部品を含む医用撮像機器において見出され得る。
【0052】
例えば、医用撮像のためのロボットにおいては、同じ患者の近くで動作する幾つかのモジュール21,22又は幾つかのロボット21,22を利用することが必要な場合がある。各モジュール21,22は、衝突を回避するために及び/又はその動きを衝突させずに自律させるために電極5,7を伴う少なくとも1つの容量検出領域23,24を有する。モジュール21の容量検出領域23が他のモジュール22の検出領域24を標的物体として認識して、これらのモジュール間の衝突のリスクを回避することも必要である。
【0053】
この場合も先と同様に、モジュール21,22のそれぞれの検出領域23,24の容量電極が従来技術のシステムの場合と同じ励起電位に晒される場合には、これらの電極間の容量結合は存在せず、また、これらの電極は互いを検出できない。
【0054】
以下で詳述される本発明によって実施される解決策は、異なるモジュール21,22の検出領域の電極に関する数学的な意味で略直交する異なる励起電位の生成を含む。異なるモジュール21,22の測定は、1つの同じ容量測定装置25によって管理される。
【0055】
無論、図1に示されるように、図2のモジュール21,22には幾つかの面上に幾つかの検出領域又は電極を設けることもできる。この場合、1つの同じモジュールの領域及び/又は異なるモジュールの領域の間の相互干渉を引き起こさないように、検出領域を以下で説明されるように管理することができる。
【0056】
ここで、図3を参照して、本発明の実施のための回路図12について説明する。
【0057】
この図は、文献である仏国特許出願公開第2756048号明細書の教示内容に基づき、実施の詳細に関してはこの文献が参照されてもよい。
【0058】
与えられた図は、複数の平行な測定経路を備える。図3は、2つの測定経路を伴う一例を示す。
【0059】
各測定経路は、1つ或いは複数の電極での測定の制御及び測定値の取得、並びに、これらの電極のための異なる励起電位の生成を可能にする。
【0060】
無論、図3における図は、
−任意の数の平行な測定経路を実施するため、
−異なる測定経路に関して、任意の数の異なる励起電位を実施するため、
−同じ励起電位で分極される電極での幾つかの測定値の取得を同時に可能にするべく同じ励起電位を伴う平行な測定経路を実施するために、一般化され得る。
【0061】
ここで、第1の測定経路のための図について詳しく説明する。この場合、丸括弧内の参照数字は第2の測定経路に対応する。
【0062】
検出電子機器12は、励起電位42(43)に基準付けられる「フローティング」として知られる部分32(33)を備え、この部分32(33)は、電極に最も近い第1の測定ステップを備える。励起電位42(43)は、電子機器12の基準電位13に基準付けられる経時的に変化可能な電圧源30(31)によって生成される。
【0063】
フローティング電子機器32(33)は、励起電位42(43)に基準付けられる電荷増幅器34(35)を本質的に備える。この電荷増幅器34(35)は、測定電極5(7)への入力に連結される。電荷増幅器は、電極5(7)付近の物体1(9)により生み出される結合容量によって決まる電極5(7)内の蓄積電荷に比例する電圧を生成できるようにする。
【0064】
また、フローティング電子機器32(33)は、単一の測定経路を用いて複数の電極5(7)を連続的に「ポーリング」できるようにするマルチプレクサ44(45)又はスキャナも備える。このマルチプレクサ44(45)は、
−測定値を取得するために電荷増幅器34(35)の入力に対して電極5(7)を連結するようになっており、
−或いは、基準電位42(43)に対して電極5(7)を連結するようになっており、この場合には、対応する電極がガード電極6(8)のように振る舞い、それにより、電荷増幅器34(35)の入力に連結される活性電極との寄生容量の出現を回避することができる。
【0065】
電荷増幅器34(35)の出力信号は励起電位42(43)に基準付けられる。この出力信号は、差動増幅器36(37)によって、基準電位13に基準付けられる信号へと変換される。無論、差動増幅器36(37)を、異なる基準電位を有する電子ステージ間で信号を転送できるようにする任意の他の構成要素に置き換えることができる。
【0066】
その後、測定信号は、電極5(7)と物体1(9)との距離又は電極5(7)と物体1(9)との結合を表す測定値40(41)をもたらすために復調器38(39)によって復調される。実際には、復調器38(39)はデジタルである。
【0067】
この検出原理は、電極5(7)に近い電子素子の全てが励起電位42(43)に基準付けられる及び/又は励起電位42(43)で分極されるため、非常に高い感度で且つ非常に高い精度で測定値をもたらすことができるようにする。電荷増幅器34(35)の構造に起因して、電極5(7)も励起電位42(43)で分極される。したがって、寄生容量が出現し得ない。また、励起電位42(43)で分極されるガード電極6(8)を含むガード要素は、他の電位に晒されているすぐ近くの要素との寄生容量の出現を回避するために、測定電極5(7)付近又はそれらの接続トラック付近に付加され得る。
【0068】
図3における電子機器は、例えば、
−1つの面4,14の電極の全てが1つの同じ電子測定経路によって制御されるように、図1における装置に実装できる。したがって、この示された構成によれば、第1の測定経路が第1の面6の第1の電極5の全てを制御し、また、第2の測定経路が第2の面14の第2の電極7の全てを制御する。
−1つの面4,14の電極が複数の領域で分布されて幾つかの電子測定経路によってそれぞれ制御されるように、図1における装置に実装できる。これにより、精度を向上させることができるとともに、異なる領域における測定の独立性を高めることができる。
−側部電極10,11が第1及び第2の測定経路によってそれぞれ制御されるように、
−側部電極10,11が随意的に切り換え手段によって第1の測定経路又は第2の測定経路に連結されるように、図1における装置に実装できる。切り換えは、他の電極から生じる情報の項目に応じて行うことができる。
−側部電極10,11が第3の測定経路によって制御されるように、図1における装置に実装できる。
【0069】
同様に、例えばモジュール21,22の電極の全てが1つの同じ電子測定経路によって制御されるように、図3における電子機器を図2における装置に実装できる。したがって、この示された構成によれば、第1の測定経路が第1のモジュール21の第1の電極5の全てを制御し、また、第2の測定経路が第2のモジュール22の第2の電極7の全てを制御する。
【0070】
前述したように、本発明の主題は、その一部がユーザ又は標的と強く結合されてもよい複数の検出領域を管理できるようにする方法を提供することである。
【0071】
本発明の第1の変形実施形態によれば、他の検出領域の電極を用いて測定値が取得されるときに、1つ以上の検出領域の電極の全てが基準電位13へと切り換えられる。したがって、図2の場合のような直接的な結合によって或いは図1の場合のようなコマンド物体との結合によって、相互干渉を引き起こす検出領域を回避することができる。
【0072】
より具体的には、図2の図を参照すると、これは、励起電位43を例えば基準電位13へ切り換えることによって有利に行うことができる。実際には、これは、特に電圧源31を短絡させることによって行うことができ、このことは、電圧源をOFFに切り換えること或いはゼロ電圧を生成することを意味する。したがって、この励起電位43に基準付けられる要素の全ては、ガード要素8を含めて、基準電位13に設定される。
【0073】
本発明のこの第1の変形は、以下のように図1における実施形態で実施され得る。
−第2の電極7の励起電位43が基準電位13へ切り換えられ、それにより、第2の面14の第2の電極7がこの基準電位13に設定される;
−第1の電極5を用いて測定が行われる。したがって、電話を(例えば)その第2の面14によって保持しているユーザの手9に対して第2の電極7が強力に結合される場合であっても、最適な状態下で第1の電極5を用いて指1を検出することができる。これは、ユーザがこれらの電極によって基準電位13にあると「わかる」からである。
−その後、同じようにして、第1の電極5の励起電位42が基準電位13へ切り換えられ、それにより、第1の面4の第1の電極5がこの基準電位13に設定され、それから、第2の電極7を用いて測定が行われる。したがって、装置は、その両方の面で、随意的には同じ方法で保持されて使用され得る。
【0074】
本発明の第1の変形は、以下のように図2における実施形態でも実施され得る。
−第2の電極の励起電位43が基準電位13へ切り換えられ、それにより、第2のモジュール22の第2の電極7がこの基準電位13に設定される;
−第1のモジュール21の第1の電極5を用いて測定が行われる。したがって、これらの第1の電極5は、検出領域24に沿うなど、第2のモジュール22の存在に対するのと同じように、環境の残りの部分に関して感度が良い。
−その後、同じようにして、第1の電極5の励起電位42が基準電位13へ切り換えられ、それにより、第1のモジュール21の第1の電極5がこの基準電位13に設定され、それから、第2のモジュール22の第2の電極7を用いて測定が行われる。
【0075】
無論、時分割多重化及び異なる検出領域の走査の方策の全ては、本発明の範囲内で実施され得る。
【0076】
しかしながら、本発明のこの第1の変形は、異なる検出領域の電極を連続的に起動させてポーリングしなければならないという欠点を有する。
【0077】
ここで、幾つかの検出領域でこれらの領域間の干渉のリスクを最小にしつつ測定を同時に行うことができるようにする本発明の好ましい実施形態に対応する第2の変形が与えられる。
【0078】
図4を参照すると、検出電子機器の第1の経路の復調器38の出力40で得られる(デジタル)結合信号に対して名前Ve1(l)が与えられ、この結合信号は、容量結合の典型的な測定値又は第1の測定電極5と対象物体1との間の距離の典型的な測定値を与える。
【0079】
より一般的には、検出電子機器の経路i(i=1,2,...)から生じる結合信号に対して名前Vei(l)が与えられる。
【0080】
結合信号Vei(l)は、後述するように、復調器38における測定値の蓄積継続時間τ以上の時間間隔をもって更新される。結合信号は、例えば、
−同じ第1の電極5を用いて取得される一連の測定値に対応し、或いは、
−同じ基準電位42で分極されてマルチプレクサ44によって切り換えられる異なる第1の電極5を用いて取得される連続する測定値に対応する。
【0081】
基準電位13に基準付けられるアナログ電荷測定信号に対して名前Us1(t)が与えられ、このアナログ電荷測定信号は差動増幅器36の出力で現れる。
【0082】
より一般的には、検出電子機器の経路i(i=1,2,...)の電荷測定信号に対して名前Us1(t)が与えられる。
【0083】
この電荷測定信号Us1(t)は、測定電極(すなわち、経路i=1に関しては電極5)で蓄積される電荷Qei(t)と電荷増幅利得Geiとの積に対応する。すなわち、
又は、時間間隔τをもってサンプリングされたデジタル型式では、
電荷測定信号は、結合信号Vei(l)を得るために(経路1に関しては)復調器38で復調される。この復調は、関連する経路の励起信号が局部発振器30,31として使用される同期振幅復調(ローパスフィルタ及びベースバンド転位)である。この復調はデジタルで行われる。復調は、対応する経路iの電荷測定信号Usi(k)と励起信号V(k)との項間乗算(term−to−term multiplication)、及び、蓄積時間間隔τにわたる積の項の総和とを含む。すなわち、
この場合、k=0…N−1及びN=τ/τである。
【0084】
励起信号V(k)は、振幅項とその時間形を規定する基底関数b(k)との積の一般形式で書き表すことができる。すなわち、
【0085】
前述したように、基準電位13とは異なる電位で分極される要素の存在は、測定値を歪める可能性がある。これらの歪みは、測定電極を異なる干渉電圧源に関連付ける等価容量によってほぼ並行してモデリングされ得る。
【0086】
例えば、図3における場合には、更なる電気的干渉源Vを考慮に入れて、対象物体1の存在下において第1の励起電位V(t)で分極される第1の電極5で測定された電荷を以下のように表すことができる。すなわち、
【0087】
容量C11は、電極5と基準電位13にあると想定される対象物体1との間で測定されるべき容量である。容量C12は、例えば対象物体1と第2の励起電位V(t)で分極される第2の電極7(及びガード電極8)との間の部分結合に起因する寄生容量である。同様に、容量C1pは、更なる電気的干渉源Vとの結合に起因する寄生容量である。
【0088】
更なる電気的干渉源Vは、例えば充電器に対する携帯機器の接続に起因し得る。
対象物体1には、例えば、
−その動作と関連付けられる干渉に起因して、電圧源が存在する場合があり、
−対象物体1がそれ自体の励起電位で分極される能動的なスタイラスである場合には、対象物体1に存在する電圧源が、対象物体の動作のために意図的に生成される場合もある。
【0089】
このとき、スタイラスのこの励起電位は、測定経路の少なくとも1つに関して或いは順次に連なる幾つかの測定経路に関して測定に寄与するように或いは測定を向上させるように選択され得る。この場合、スタイラスのこの励起電位は、少なくとも1つの測定経路の電極の励起電位と同期し得る。
【0090】
測定された電荷は、因数分解されたデジタル形式で書き改められ得る。すなわち、
【0091】
式6と式3とを組み合わせることにより、結合信号の式が得られる。
【0092】
この式は、以下の形式で書き改められ得る。
【0093】
式4と式8とを組み合わせることにより、結合信号の式が最終的に得られる。
【0094】
この式は、以下の形式の励起電位Vの任意の数iに関して一般化され得る。
【0095】
励起電位iにのみ依存する結合信号Vei(l)の一般式の第1の項は、測定することが望ましい値に対応する。
【0096】
他の励起電位j又は更なる干渉信号Vに依存する他の項は寄生項であり、その影響は最小限に抑えられなければならない。
【0097】
表記を簡略化するために、以下のように基底関数bの次元Nのベクトル空間にわたってスカラー積を規定することができる。
【0098】
このとき、関数bのノルムは以下の通りである。
【0099】
したがって、結合信号Veiの一般式における干渉の影響を最小限に抑えるために、2つの異なる基底関数b,bのスカラー積(例えば異なる測定経路に対応する)が無視できる或いは対象の電極の励起信号Vの基底関数bのノルムよりも少なくとも非常に小さくなるように励起信号Vが選択されなければならないことがわかる。すなわち、
である。
【0100】
無論、励起電位Vで分極される電極を用いて測定を同時に行うことが望ましい場合には、対称条件を満たすことも必要である。すなわち、
である。
【0101】
同じ論法を干渉信号Vに関して当てはめることができる。ただし、この信号を(理論的に或いは測定に起因して)十分に知ることができる場合に限る。測定値に対する干渉信号の影響は、励起信号Vを干渉信号Vとのそのスカラー積が無視できる或いは励起信号Vのノルムよりも少なくとも非常に小さくなるように選択できれば、最小限に抑えることができる。
【0102】
これらの基準を満たすことができる或いはこれらの基準に少なくとも近づけることができるようにする全ての基底関数を本発明の範囲内で使用できる。
【0103】
各測定経路iにより検出される信号の他の項に対する良好な独立性を確保するため、例えば−20dB以下程度の或いは−30dB又は−40dB以下程度のデシベル比率
を得るように基底関数bを選択することができる。したがって、寄生源に起因する結合信号の振幅に対する干渉は、このデシベル値を超えない。
【0104】
基底関数は、+1及び−1などの2つの値をとることができる離散関数であってもよい。
【0105】
基底関数は、
+1;1/root(2);0;−1/root(2);−1
などの離散値のより完全な組をとることができる離散関数となることもできる。
【0106】
これは、連続するインデックスkに関して隣り合う値を選択することによって、高周波へと向かう生成エネルギースペクトルの更に良好な制御を可能にする。また、これにより、真正な正弦曲線に近づく関数を生成することもできる。
【0107】
ここでは、非限定的な例として、基底関数を生成するために使用され得る基準が与えられる。すなわち、
−周期的な方形波信号パターン或いはほぼ正弦曲線を生成するように基底関数bを選択することができる。このとき、各基底関数bを本質的に周波数fによって表すことができる。この場合、
−選択は、周波数fを互いから遠ざけるように行うことができ、或いは、周波数は、異なる基底関数b間で直交性を得るべく適切な態様で選択され得る;
−2つの励起電位を生成するために、同一の周波数f、f有するが90度の位相シフトを有する信号を生成することができる。このとき、信号は直角位相を成す。
−基底関数bは、エネルギーピークを最小にするように或いはスペクトルを平滑化するように選択され得る。装置により特定の周波数で放射されるエネルギーを最小限に抑えることができるようにする周波数分散法を使用することができる。この場合、
−基底関数bは、1/f雑音がシステムに悪影響を及ぼす低い周波数のエネルギーを最小限に抑えるべく、及び/又は、電磁両立性又は電磁消費の理由により高い周波数のエネルギーを回避するように選択され得る;
−前述した方法のそれぞれにおいて、選択は、寄生干渉Vに晒されるスカラー積の項を最小にして寄生干渉の影響を最小限に抑えるべく方向付けることもできる。
【0108】
装置での実施に関して、
−基底関数bを予め計算して装置に記憶させることができ、それにより、装置は、更なる計算を伴うことなく、これらの基底関数をリアルタイムで利用できる;
−関数の幾つかの組を先だって利用できる。このとき、これらの基底関数間の選択は、干渉信号Vの影響の最小化などの基準にしたがって行うことができる。すなわち、
−必要に応じて、結合信号Vei(l)の一連の取得間で、したがって周期τ間で、基底関数の異なる組同士の間を切り換えることができる。図2の図において、このことは、励起源30,31により生成される信号の形状を経時的に変えること、或いは、異なる励起源30,31を切り換えることを意味する。したがって、装置全体をその環境に応じて動的に再構成することができる。
【0109】
電極が基準電位13で分極される変形実施形態は、交差項のスカラー積を最小にする分極電位の生成の基準にしたがうことに留意すべきである。実際に、bが測定のために使用される電極の分極電位の基底関数であり、bが基準電位の電極の基底関数である場合には、b=0、b・b=0であり、そのため、式13にしたがって|b|≫b・bである。
【0110】
無論、この場合には、基準電位13で分極される電極を用いた同時測定が行われず、したがって、式14の対称条件を満たす必要がない。
【0111】
適用例として、以下の条件下で本発明を実施できる。
τ=5μs
τ=8ms
=1600
【0112】
また、特に以下の一群の励起電位を生成することもできる。この場合、k=0…N−1である。
−2つの異なる直交する周波数に関し、
(k)=+1;+1;−1;−1;+1;+1;−1;−1;…199回繰り返され;
(k)=+1;+1;+1;+1;−1;−1;−1;−1;…199回繰り返される。
−2つの同一の周波数及び直交信号に関し、
(k)=+1;+1;−1;−1;+1;+1;−1;−1;…199回繰り返され;
(k)=−1;+1;+1;−1;−1;+1;+1;−1;…199回繰り返される。
【0113】
無論、本発明は、今しがた説明してきた例に限定されず、また、本発明の範囲を超えることなくこれらの例に対して多くの調整を行うことができる。
図1
図2
図3
図4