(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284633
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】汚染度測定のためのマルチサンプリングポートモニタリング装置及びこれを用いたモニタリング方法
(51)【国際特許分類】
G01N 1/26 20060101AFI20180215BHJP
G01N 1/00 20060101ALI20180215BHJP
G01N 15/06 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
G01N1/26
G01N1/00 101S
G01N15/06 D
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-525995(P2016-525995)
(86)(22)【出願日】2014年10月23日
(65)【公表番号】特表2016-538534(P2016-538534A)
(43)【公表日】2016年12月8日
(86)【国際出願番号】KR2014010011
(87)【国際公開番号】WO2015060664
(87)【国際公開日】20150430
【審査請求日】2016年5月2日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0126629
(32)【優先日】2013年10月23日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516010526
【氏名又は名称】ウィズテック インク
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】ヨ ソウン−キョ
(72)【発明者】
【氏名】イ ウン スン
(72)【発明者】
【氏名】イ ヒュン ウク
【審査官】
土岐 和雅
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第01/063250(WO,A1)
【文献】
特開2005−221242(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0217351(US,A1)
【文献】
特開昭60−120230(JP,A)
【文献】
特開2005−279575(JP,A)
【文献】
特開平05−060867(JP,A)
【文献】
韓国登録特許第10−1213641(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N1/00〜1/44、F24F5/06、H01L21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定空間の汚染度を測定するためのモニタリング装置であって、
被測定空間内の複数の地点の空気が吸入されるように多数設けられるサンプリングポート100と、
それぞれの前記サンプリングポート100と連結される吸入管200と、
前記吸入管200が分岐されてなる分岐管300と、
前記吸入管200及び分岐管300の端部と連結されて吸入された空気が捕集及び混合されるミキシング部500と、
前記ミキシング部500を通過して流入された空気の汚染度を測定する検出部600と、
前記吸入管200と連結された第1制御弁410と、
前記分岐管と連結された第2制御弁420と、
前記第1制御弁410、第2制御弁420及び前記検出部600を制御する制御部と、
前記ミキシング部500と連結される真空ポンプ830と、
前記ミキシング部500と前記真空ポンプ830との間に設けられる第2流量調節部820と、を含み、
前記制御部は、
前記第1制御弁410を開放して、多数の前記サンプリングポート100から吸入された空気の平均汚染度が測定されるようにし、又は、前記第1制御弁410を閉鎖し、前記分岐管300側に空気が流動されるように多数の前記第2制御弁420のうち少なくとも一つ以上の前記第2制御弁420を開放して、サンプリングポート100から吸入された空気の汚染度が測定されるように制御し、
前記真空ポンプ830及び前記第2流量調節部820は、前記サンプリングポート100を介して吸入される空気の流量を増加させて前記ミキシング部500まで達する空気の流速を増加させ、前記ミキシング部500から前記検出部600に吸入されるべき空気の量以外の他の空気を排出させることを特徴とする、マルチサンプリングポートモニタリング装置。
【請求項2】
多数の前記サンプリングポート100から吸入された空気の平均汚染度が所定範囲から逸脱した場合、前記第1制御弁410を閉鎖し、多数の前記第2制御弁420を一つずつ順に開放するか、多数の前記第2制御弁420のうち一部を開放して、サンプリングポート100から吸入された空気の汚染度が測定されるようにすることを特徴とする、請求項1に記載のマルチサンプリングポートモニタリング装置。
【請求項3】
前記サンプリングポート100が分離された一つの空間内に多数装着されるか、分離された多数の空間にそれぞれ装着されることを特徴とする、請求項1に記載のマルチサンプリングポートモニタリング装置。
【請求項4】
前記第1制御弁410は、
前記ミキシング部500の前端に設けられ、多数の前記吸入管200を統合制御するソレノイド弁であることを特徴とする、請求項1に記載のマルチサンプリングポートモニタリング装置。
【請求項5】
前記第2制御弁420は、
前記吸入管200の前記分岐管300が分岐される地点に設けられる三方弁(3 way valve)であることを特徴とする、請求項1に記載のマルチサンプリングポートモニタリング装置。
【請求項6】
前記吸入管200上に設けられて、吸入される空気の流量を調節する第1流量調節部810をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のマルチサンプリングポートモニタリング装置。
【請求項7】
前記ミキシング部500は、
多数の前記吸入管200及び分岐管300の端部とそれぞれ連結された管が一つに集合する管の形態であるか、別の混合手段が設けられるミキシングチャンバの形態であることを特徴とする、請求項1に記載のマルチサンプリングポートモニタリング装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のマルチサンプリングポートモニタリング装置1を用いたマルチサンプリングポートモニタリング方法であって、
a)多数の前記吸入管200上に設けられた前記第1制御弁410がすべて開放され、前記第2制御弁420がすべて閉鎖される段階と、
b)前記吸入管200を介して流入された空気の平均汚染度が前記検出部600により測定される段階と、
c)測定された平均汚染度が予め設定された範囲から逸脱した場合には、前記第1制御弁410がすべて閉鎖される段階と、
d)前記第2制御弁420が一つずつ順に開放されて、それぞれのサンプリングポート100から吸入された空気の汚染度が個別的に測定される段階と、を含むことを特徴とする、マルチサンプリングポートモニタリング方法。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか1項に記載のマルチサンプリングポートモニタリング装置1を用いたマルチサンプリングポートモニタリング方法であって、
a)多数の前記吸入管200上に設けられた前記第1制御弁410がすべて開放され、前記第2制御弁420がすべて閉鎖される段階と、
b)前記吸入管200を介して流入された空気の平均汚染度が前記検出部600により測定される段階と、
c)測定された平均汚染度が予め設定された範囲から逸脱した場合には、前記第1制御弁410がすべて閉鎖される段階と、
d)予め決定された順序にしたがって、複数の第2制御弁420が開放され、サンプリングポート100から吸入された空気の汚染度が測定される段階と、
e)測定された平均汚染度が予め設定された範囲から逸脱した場合には、開放された第2制御弁420のうち一部の第2制御弁420が閉鎖されて、サンプリングポート100から吸入された空気の汚染度が測定され、測定された平均汚染度が予め設定された範囲から逸脱しない場合には、開放された第2制御弁420が閉鎖され、閉鎖された第2制御弁420が開放されて、サンプリングポート100から吸入された空気の汚染度が測定される段階と、を含むことを特徴とする、マルチサンプリングポートモニタリング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定空間の汚染度測定のためのマルチサンプリングポートモニタリング装置及びこれを用いたモニタリング方法に関し、より詳細には、被測定空間内に複数の地点の空気が吸入されるように多数設けられるサンプリングポートを含んでなり、多数のサンプリングポートから吸入される空気の平均汚染度を測定し、平均汚染度が所定範囲から逸脱した場合、サンプリングポートから吸入された空気の汚染度が個別的又は部分的に測定されるようにすることにより、広範囲な空間での汚染度を効果的にモニタリングできるマルチサンプリングポートモニタリング装置及びこれを用いたモニタリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クリーンルーム(clean room)は、半導体製造工程などが行われるところであり、清浄度に応じて様々な等級に分けられるが、清浄度は、単位面積当たり存在する所定大きさのパーティクル(particle)の個数に応じて定められ、所定水準の清浄度を常に維持、管理するためには、随時に精密な測定による汚染の原因を把握しなければならない。
【0003】
そのため、清浄度に影響を与えることができる重要な部分を把握して随時に測定しなければならず、その他、クリーンルームの内部のあらゆるところを定期的に測定して突発的な状況を予測する必要があり、クリーンルームでは、パーティクルの分析による清浄度の把握だけでなく、温度、湿度及び圧力を一定に維持、管理することも重要である。
【0004】
一般的に、半導体製造設備のクリーンルームは、パーティクル測定装置を用いてクリーンルームのフィルタリーク(leak)検査及び内部パーティクルを測定する。クリーンルームの天井に設けられるフィルタは、設置後に内外的な変化による損傷によってフィルタリング機能が低下し得る。
【0005】
したがって、安定したクリーンルームの確保及び半導体素子の信頼性の確保に対する検証次元でフィルタに対するリーク検査を実施する必要がある。リーク検査は、フィルタの下端から所定距離を維持しながらフィルタの表面をスキャニングし、フィルタから出る空気内に入っているパーティクルの個数を測定する方式で進められる。
【0006】
これに関する技術としては、韓国公開特許第2006‐0036687号(公開日:2006.05.02、発明の名称:クリーンルームで使用されるパーティクル測定装置)がある。
【0007】
しかしながら、様々な半導体工程が行われるクリーンルームは、その空間が非常に膨大であるため、特定の地点にセンサを設置して汚染度を測定する方法は、広い空間での汚染度の測定に適しない。
【0008】
特定の地点にセンサを設置して濃度を測定する方法は、特定の地点の濃度のみを測定するため、広い空間の濃度を代弁することが困難であり、これを改善するために多数のセンサを設置する場合、膨大な空間をカバーするには経済的負担が大きくなりすぎる。
【0009】
これを改善するために、一つの測定器に多数のサンプリングポートを構成して測定する技術が考案されているが、一台の測定器で多数のサンプリングポートを一つずつ順に測定するため、非常に時間がかかるという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国公開特許第2006‐0036687号(公開日:2006.05.02、発明の名称:クリーンルームで使用されるパーティクル測定装置)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記のような問題点を解決するために導き出されたものであり、本発明は、被測定空間内に複数の地点の空気が吸入されるように多数設けられるサンプリングポートを含んでなり、多数のサンプリングポートから吸入される空気の平均汚染度を測定し、平均汚染度が所定範囲から逸脱した場合、サンプリングポートから吸入された空気の汚染度が個別的又は部分的に測定されるようにすることにより、広範囲な空間での汚染度を効果的にモニタリングできるマルチサンプリングポートモニタリング装置及びこれを用いたモニタリング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施例によるマルチサンプリングポートモニタリング装置は、被測定空間の汚染度を測定するためのモニタリング装置であって、被測定空間内の複数の地点の空気が吸入されるように多数設けられるサンプリングポート100と、それぞれの前記サンプリングポート100と連結される吸入管200と、前記吸入管200が分岐されてなる分岐管300と、前記吸入管200及び分岐管300の端部と連結されて吸入された空気が捕集及び混合されるミキシング部500と、前記ミキシング部500を通過して流入された空気の汚染度を測定する検出部600と、前記吸入管200と連結された第1制御弁410と、前記分岐管と連結された第2制御弁420と、前記第1制御弁410、第2制御弁420及び前記検出部600を制御する制御部と、を含み、前記制御部は、前記第1制御弁410を開放して、多数の前記サンプリングポート100から吸入された空気の平均汚染度が測定されるようにし、又は、前記第1制御弁410を閉鎖し、前記分岐管300側に空気が流動されるように多数の前記第2制御弁420のうち少なくとも一つ以上の前記第2制御弁420を開放して、サンプリングポート100から吸入された空気の汚染度が測定されるように制御することを特徴とする。
【0013】
また、前記マルチサンプリングポートモニタリング装置は、多数の前記サンプリングポート100から吸入された空気の平均汚染度が所定範囲から逸脱した場合、前記第1制御弁410を閉鎖し、多数の前記第2制御弁420を一つずつ順に開放するか、多数の前記第2制御弁420のうち一部を開放して、サンプリングポート100から吸入された空気の汚染度が測定されるようにすることを特徴とする。
【0014】
また、前記マルチサンプリングポートモニタリング装置1は、前記サンプリングポート100が分離された一つの空間内に多数装着されるか、分離された多数の空間にそれぞれ装着されることを特徴とする。
【0015】
また、前記第1制御弁410は、前記ミキシング部500の前端に設けられ、多数の前記吸入管200を統合制御するソレノイド弁であることを特徴とする。
【0016】
また、前記第2制御弁420は、前記吸入管200の前記分岐管300が分岐される地点に設けられる三方弁(3 way valve)であることを特徴とする。
【0017】
また、前記マルチサンプリングポートモニタリング装置1は、前記ミキシング部500と真空ポンプ830との間に設けられる第2流量調節部820をさらに含むことを特徴とする。
【0018】
また、前記ミキシング部500は、多数の前記吸入管200及び分岐管300の端部とそれぞれ連結された管が一つに集合する管の形態であるか、別の混合手段が設けられるミキシングチャンバの形態であることを特徴とする。
【0019】
本発明のマルチサンプリングポートモニタリング装置1を用いたマルチサンプリングポート100モニタリング方法は、a)多数の前記吸入管200上に設けられた前記第1制御弁410がすべて開放され、前記第2制御弁420がすべて閉鎖される段階と、b)前記吸入管200を介して流入された空気の平均汚染度が前記検出部600により測定される段階と、c)測定された平均汚染度が予め設定された範囲から逸脱した場合には、前記第1制御弁410がすべて閉鎖される段階と、d)前記第2制御弁420が一つずつ順に開放されて、それぞれのサンプリングポート100から吸入された空気の汚染度が個別的に測定される段階と、を含むことを特徴とする。
【0020】
一方、本発明のマルチサンプリングポートモニタリング装置1を用いたさらに他のマルチサンプリングポート100モニタリング方法は、a)多数の前記吸入管200上に設けられた前記第1制御弁410がすべて開放され、前記第2制御弁420がすべて閉鎖される段階と、b)前記吸入管200を介して流入された空気の平均汚染度が前記検出部600により測定される段階と、c)測定された平均汚染度が予め設定された範囲から逸脱した場合には、前記第1制御弁410がすべて閉鎖される段階と、d)予め決定された順序にしたがって、複数の第2制御弁420が開放され、サンプリングポート100から吸入された空気の汚染度が測定される段階と、e)測定された平均汚染度が予め設定された範囲から逸脱した場合には、開放された第2制御弁420のうち一部の第2制御弁420が閉鎖されて、サンプリングポート100から吸入された空気の汚染度が測定され、測定された平均汚染度が予め設定された範囲から逸脱しない場合には、開放された第2制御弁420が閉鎖され、閉鎖された第2制御弁420が開放されて、サンプリングポート100から吸入された空気の汚染度が測定される段階と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によるマルチサンプリングポートモニタリング装置及びこれを用いたモニタリング方法は、被測定空間内に複数の地点の空気が吸入されるように多数設けられるサンプリングポートを含んでなり、多数のサンプリングポートから吸入される空気の平均汚染度を測定し、平均汚染度が所定範囲から逸脱した場合、サンプリングポートから吸入された空気の汚染度が個別的又は部分的に測定されるようにすることにより、広範囲な空間での汚染度を効果的にモニタリングできるという利点がある。
【0022】
また、本発明は、広い空間に複数のサンプリングポートを配置し、被測定空間内の平均汚染度を管理することにより、イベント発生時に汚染源を迅速に見つけることができるという利点がある。
【0023】
すなわち、本発明は、サンプリングポートが装着された区域の汚染度に対する平均データを管理することにより、一つの装置を用いて広い空間の汚染度を管理することができ、且つ平均汚染度が上昇した時には汚染源を把握するためにそれぞれのサンプリングポートを順に又は特定シーケンスに応じて個別的に濃度をスキャニングすることにより、汚染地域を迅速に見つけることができる。
【0024】
これにより、本発明は、迅速な空間汚染度マッピング及びイベント捕捉が可能であり、一つの同一計測器(検出部)を使用することにより計測器間の誤差を除去することができ、複数台の計測器を使用する既存の方式に比べてコストを大幅に低減することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明によるマルチサンプリングポートモニタリング装置の様々な実施例を示す概念図である。
【
図2】本発明によるマルチサンプリングポートモニタリング装置の様々な実施例を示す概念図である。
【
図3】本発明によるマルチサンプリングポートモニタリング装置の様々な実施例を示す概念図である。
【
図4】本発明によるマルチサンプリングポートモニタリング装置の様々な実施例を示す概念図である。
【
図5】本発明によるマルチサンプリングポートモニタリング方法の実施例1を示すフローチャートである。
【
図6】本発明によるマルチサンプリングポートモニタリング方法の実施例2を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、上述のような本発明による汚染度測定のためのマルチサンプリングポートモニタリング装置及びこれを用いたモニタリング方法について添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
まず、本発明のマルチサンプリングポートモニタリング装置1は、被測定空間の汚染度を測定するためのものであり、特に広い空間でも効果的に汚染度測定が可能になるように考案された。
【0028】
図1に図示されたように、本発明のマルチサンプリングポートモニタリング装置1は、大きく、サンプリングポート100と、吸入管200と、分岐管300と、ミキシング部500と、検出部600と、制御部(図示せず)と、を含んでなる。
【0029】
前記サンプリングポート100は、被測定空間内の複数の地点の空気を吸入するものであり、多数設けられる。
【0030】
この際、本発明のマルチサンプリングポートモニタリング装置1は、前記サンプリングポート100が分離された一つの空間内に多数設置されてもよく、分離された多数の空間にそれぞれ設置されてもよい。
【0031】
半導体クリーンルームを例として挙げると、本発明のマルチサンプリングポートモニタリング装置1は、一つのクリーンルーム内でいずれの地点が汚染に露出したかを把握するために多数のサンプリングポート100が複数の地点に設置されるようにしてもよい。
【0032】
また、本発明のマルチサンプリングポートモニタリング装置1は、一つの装備で複数の半導体クリーンルームの汚染度を測定しようとしたときに、各クリーンルームごとにサンプリングポート100を設置してもよい。
【0033】
前記吸入管200は、前記サンプリングポート100と連結される管であり、吸入管200上に設置される第1制御弁410により空気流動が調節可能である。
【0034】
前記吸入管200は、前記サンプリングポート100の個数に対応して形成され、前記第1制御弁410もまた前記サンプリングポート100の個数に対応して形成される。
【0035】
他の実施例において、
図2に図示されたように、前記第1制御弁410は、前記ミキシング部500の前端に一つ設けられ、多数の前記吸入管200を統合制御するソレノイド弁であってもよい。
【0036】
前記分岐管300は、前記吸入管200が分岐されてなる管であり、分岐管300上に設置される第2制御弁420により空気流動が調節可能である。
【0037】
前記吸入管200及び前記分岐管300は、一つのサンプリングポート100を介して吸入される空気が流動される二つの通路であり、前記第1制御弁410及び第2制御弁420の開閉動作に応じて空気が流動するか否かが決定される。
【0038】
この際、前記第1制御弁410及び第2制御弁420は、制御が容易になるようにソレノイド弁であることが好ましい。
【0039】
また、前記第2制御弁420は、
図2のように、前記吸入管200の前記分岐管300が分岐される地点に設けられる三方弁(3 way valve)であってもよく、
図1のように二方弁(2 way valve)であってもよい。
【0040】
前記ミキシング部500は、前記吸入管200及び分岐管300の端部と連結されて多数のサンプリングポート100から吸入された空気が捕集及び混合されるところであり、多数の前記吸入管200及び分岐管300の端部とそれぞれ連結された管が一つに集合する管の形態であってもよい。
【0041】
さらに他の実施例において、前記ミキシング部500は、攪拌機のように、別の混合手段が設けられるミキシングチャンバであってもよく、その他にも多数の吸入管200又は分岐管300から吸入される空気が均一に混合可能なものであれば、いくらでも他のものに多様に変更実施が可能である。
【0042】
前記検出部600は、前記ミキシング部500を通過して流入された空気の汚染度を測定する手段であり、内部に空気を吸入するポンプが設けられてもよく、内部にポンプがない場合には別のポンプが取り付けられてもよい。
【0043】
この際、前記検出部600は、測定しようとする汚染源又は測定方法に応じて適する種類の装備が使用されることができる。
【0044】
前記制御部は、前記第1制御弁410、第2制御弁420及び検出部600の動作を制御するものである。
【0045】
特に、本発明において、前記制御部は、多数の前記第1制御弁410を同時に開放して、前記検出部600で多数の前記サンプリングポート100から吸入された空気の平均汚染度が測定されるようにする。
【0046】
前記制御部は、前記サンプリングポート100から吸入された空気の平均汚染度が所定範囲から逸脱した場合、前記第1制御弁410を閉鎖し、多数の前記第2制御弁420を一つずつ順に開放するか、多数の前記第2制御弁420のうち一部を開放して、サンプリングポート100から吸入された空気の汚染度が測定されるようにする。
【0047】
図1に図示されたように、本発明のマルチサンプリングポートモニタリング装置1は、前記吸入管200上に設けられ、吸入される空気の流量を調節する第1流量調節部810をさらに含んでもよい。
【0048】
上述のように、本発明のマルチサンプリングポートモニタリング装置1は、平均汚染度測定のために多数の前記吸入管200をすべて開放して空気を吸入するが、この場合、一つの前記分岐管300のみを開放して空気を吸入することに比べ、それぞれの吸入管200を介して吸入する空気の量は減少する。
【0049】
例えば、前記サンプリングポート100が四つ設けられる場合、それぞれの前記吸入管200を介して2.5lpm程度の空気を吸入すると、一つの前記分岐管300を介して10lpm程度の空気を吸入することになる。
【0050】
すなわち、本発明のマルチサンプリングポートモニタリング装置1は、検出部600で吸入して測定できる試料の量が一定に維持されなければならないため、吸入可能な全体空気量の1/N(N=サンプリングポート100の数)だけ一つの吸入管200を介して流入されるように調節される必要がある。
【0051】
したがって、本発明のマルチサンプリングポートモニタリング装置1は、平均汚染度測定の際に、前記吸入管200内に設定された流量だけ前記第1流量調節部810を介して各地点で空気が吸入され得る。
【0052】
また、本発明のマルチサンプリングポートモニタリング装置1は、前記ミキシング部500と連結され、前記サンプリングポート100からの空気が吸入されるように負圧を加える真空ポンプ830を含むことができる。
【0053】
前記真空ポンプ830は、前記検出部600の吸入流速が遅い場合、反応の迅速性のために各サンプリングポート100の空気を迅速に吸入する役割をする。本発明のマルチサンプリングポートモニタリング装置1は、前記サンプリングポート100を介して吸入される空気の流量が非常に少ないため、空気の流速が非常に遅い可能性があり、迅速な吸入及び分析のために真空ポンプ830が設けられることが好ましい。
【0054】
この際、本発明のマルチサンプリングポートモニタリング装置1は、
図3のように真空ポンプ830の後端に排出管831がさらに連結されてもよく、前記ミキシング部500と真空ポンプ830との間に第2流量調節部820がさらに設けられてもよい。
【0055】
これにより、本発明のマルチサンプリングポートモニタリング装置1は、正確な濃度の反映により広い空間を均一にサンプリングすることができる。
【0056】
上述のように、本発明のマルチサンプリングポートモニタリング装置1は、前記サンプリングポート100を介して吸入される空気の流量がlpm単位と少ないため、前記サンプリングポート100を介して吸入される空気の流量を増加させてミキシング部500まで逹する空気の流速を増加させる代わりに、前記検出部600に吸入されるべき空気の量以外の他のサンプリング空気が前記排出管831を介して排出されるようにすることができる。
【0057】
すなわち、本発明のマルチサンプリングポートモニタリング装置1は、前記真空ポンプ830で固有量の吸入により前記吸入管200及び分岐管300内の吸着を抑制し、前記検出部600で迅速且つ正確に汚染度が測定されるようにすることができる。
【0058】
このような構成及び特徴を有するマルチサンプリングポートモニタリング装置1を用いてモニタリングする方法の実施例1は、a)多数の前記吸入管200上に設けられた前記第1制御弁410をすべて開放し、前記第2制御弁420をすべて閉鎖する段階と、b)前記検出部600で前記吸入管200を介して流入された空気の平均汚染度を測定する段階と、c)測定された平均汚染度が予め設定された範囲から逸脱した場合には、前記第1制御弁410がすべて閉鎖される段階と、d)前記第2制御弁420が一つずつ順に開放されて、それぞれのサンプリングポート100から吸入された空気の汚染度が個別的に測定される段階と、を含む。
【0059】
すなわち、本発明のモニタリング方法では、特定のイベントが発生しない場合、前記第1制御弁410をすべて開放して多数のサンプリングポート100を介して空気を吸入し、これにより前記検出部600で平均汚染度を測定することになる。
【0060】
また、特定のイベント(汚染)が発生した場合には、前記第1制御弁410をすべて閉鎖し、前記第2制御弁420を一つずつ順に開放し、それぞれのサンプリングポート100から吸入された空気の汚染度が前記検出部600で個別的に測定されるようにする。
【0061】
図4に図示された本発明のマルチサンプリングポートモニタリング装置1を用いたモニタリング方法の実施例1について、
図5を参照して説明する。
【0062】
まず、説明の便宜上、左側から前記分岐管300を第1分岐管310、第2分岐管320、第3分岐管330、第4分岐管340とし、前記吸入管200を第1吸入管210、第2吸入管220、第3吸入管230、第4吸入管240とする。
【0063】
イベントが発生しない場合、本発明のマルチサンプリングポートモニタリング装置1は、前記第1〜第4吸入管210、220、230、240上の第1制御弁410が開放され、前記第1〜第4分岐管310、320、330、340上の第2制御弁420が閉鎖される。
【0064】
前記真空ポンプ830及び前記検出部600内のポンプが動作すると、前記サンプリングポート100を介して前記第1〜第4吸入管210、220、230、240に沿ってサンプリング空気が前記ミキシング部500に逹し、達して混合された空気の一部は、前記検出部600に流入されて汚染度が測定され、他の空気は前記排出管831を介して排出される。
【0065】
この際、前記第1〜第4吸入管210、220、230、240を介してそれぞれ約5lpmの空気が吸入され、吸入された流量の総合である20lpmのうち2lpmのみが前記検出部600に流入されて平均汚染度測定に使用され、他の18lpmは前記排出管831を介して排出される。
【0066】
このように測定された平均汚染度が所定範囲から逸脱した場合、前記第1制御弁410がすべて閉鎖され、前記第1分岐管310の第2制御弁420のみ開放される。
【0067】
前記第1分岐管310を介して20lpmの空気が吸入され、同様に2lpmのみが前記検出部600に流入されて汚染度の測定に使用され、他の18lpmは前記排出管831を介して排出される。
【0068】
次に、前記第2分岐管320、第3分岐管330、第4分岐管340の順に第2制御弁420が開放されて吸入された空気の汚染度が個別的に測定され、これにより汚染源がいずれのサンプリングポート100を介して流入されたかを分析する。
【0069】
その他にも、本発明のマルチサンプリングポートモニタリング装置1を用いたモニタリング方法は、前記第1〜第4分岐管310、320、330、340を介して吸入された空気の汚染度を個別的に測定し、イベントが発生しなくても、所定時点で前記第1〜第4吸入管210、220、230、240上の第1制御弁410を開放し、前記第1〜第4分岐管310、320、330、340上の第2制御弁420を閉鎖して平均汚染度を測定してもよい。
【0070】
すなわち、本発明は、それぞれのサンプリングポート100に対して統合的に平均汚染度を測定するモードと、一つずつ個別的に測定するモードを必要に応じて多様に選択して使用することができる。
【0071】
一方、マルチサンプリングポートモニタリング装置1を用いてモニタリングする方法の実施例2は、a)多数の前記吸入管200上に設けられた前記第1制御弁410をすべて開放し、前記第2制御弁420をすべて閉鎖する段階と、b)前記検出部600で前記吸入管200を介して流入された空気の平均汚染度を測定する段階と、c)測定された平均汚染度が予め設定された範囲から逸脱した場合には、前記第1制御弁410がすべて閉鎖される段階と、d)予め決定された順序に応じて、複数の第2制御弁420が開放され、サンプリングポート100から吸入された空気の汚染度が測定される段階と、e)測定された平均汚染度が予め設定された範囲から逸脱した場合には、開放された第2制御弁420のうち一部の第2制御弁420が閉鎖されて、サンプリングポート100から吸入された空気の汚染度が測定され、測定された平均汚染度が予め設定された範囲から逸脱しない場合には、開放された第2制御弁420が閉鎖され、閉鎖された第2制御弁420が開放されて、サンプリングポート100から吸入された空気の汚染度が測定される段階と、を含む。
【0072】
すなわち、本発明のモニタリング方法では、特定のイベントが発生しない場合、前記第1制御弁410をすべて開放して多数のサンプリングポート100を介して空気を吸入し、これにより前記検出部600で平均汚染度を測定する。
【0073】
また、特定のイベント(汚染)が発生した場合には、前記第1制御弁410をすべて閉鎖し、前記第2制御弁420のうち一部を開放し、サンプリングポート100から吸入された空気の汚染度が前記検出部600で測定されるようにする。
【0074】
図6を参照して、本発明のマルチサンプリングポートモニタリング装置1を用いたモニタリング方法の実施例2について説明する。
【0075】
実施例2は、実施例1と同一のモニタリング装置1を用いて、イベントが発生しない場合、本発明のマルチサンプリングポートモニタリング装置1は、前記第1〜第4吸入管210、220、230、240上の第1制御弁410が開放され、前記第1〜第4分岐管310、320、330、340上の第2制御弁420が閉鎖される。
【0076】
前記真空ポンプ830及び前記検出部600内のポンプが動作すると、前記サンプリングポート100を介して前記第1〜第4吸入管210、220、230、240に沿ってサンプリング空気が前記ミキシング部500に逹し、達して混合された空気の一部は前記検出部600に流入されて汚染度が測定され、他の空気は前記排出管831を介して排出される。
【0077】
この際、前記第1〜第4吸入管210、220、230、240を介してそれぞれ約5lpmの空気が吸入され、吸入された流量の総合である20lpmのうち2lpmのみ前記検出部600に流入されて平均汚染度測定に使用され、他の18lpmは前記排出管831を介して排出される。
【0078】
このように測定された平均汚染度が所定範囲から逸脱した場合、前記第1制御弁410がすべて閉鎖される。ここまでは実施例1と同一である。
【0079】
以降、第2制御弁420はすべて開放されず、複数の第2制御弁420のみ開放される。例を挙げて説明すると、第1〜第4分岐管310、320、330、340上の第2制御弁420のうち前記第1及び第2分岐管310、320上の第2制御弁420は開放され、第3及び第4分岐管330、340上の第2制御弁420は閉鎖される。この際、前記第1及び第2分岐管310、320を介して空気が吸入され、前記検出部600で汚染度が測定される。
【0080】
万が一、前記検出部600で測定された平均汚染度が所定範囲から逸脱した場合には、第1〜第2分岐管310、320上の開放された第2制御弁420のうち前記第2分岐管320上の第2制御弁420は閉鎖され、第1分岐管310上の第2制御弁420は開放された状態が維持される。第1分岐管310を介して空気が吸入され、前記検出部600で汚染度が測定される。この際、前記検出部600で測定された平均汚染度が所定範囲から逸脱しない場合には、第1分岐管310上の第2制御弁420は閉鎖され、第2分岐管320上の第2制御弁420は開放されて、吸入された空気の汚染度が測定される。
【0081】
一方、第1及び第2分岐管310、320上の第2制御弁420が開放された状態で、前記検出部600で測定された平均汚染度が所定範囲から逸脱しない場合には、第1〜第2分岐管310、320上の開放された第2制御弁420はすべて閉鎖され、第3及び第4分岐管330、340上の第2制御弁420は開放される。次に、前記第3及び第4分岐管330、340上の開放された第2制御弁420のうち第4分岐管340上の第2制御弁420は閉鎖され、第3分岐管330上の第2制御弁420は開放された状態が維持される。第3分岐管330を介して空気が吸入され、前記検出部600で汚染度が測定される。この際、検出部600で測定された平均汚染度が所定範囲から逸脱しない場合には、第3分岐管330上の第2制御弁420は閉鎖され、第4分岐管340上の第2制御弁420は開放され、吸入された空気の汚染度が測定される。
【0082】
実施例2のモニタリング方法は、分岐管が多数であるときに、被測定空間内の汚染地点を迅速に見つけることができるという利点がある。
【0083】
これにより、本発明によるマルチサンプリングポートモニタリング装置1及びこれを用いたモニタリング方法は、被測定空間内に複数の地点の空気が吸入されるように多数設けられるサンプリングポート100を含んでなり、多数のサンプリングポート100から吸入される空気の平均汚染度を測定し、平均汚染度が所定範囲から逸脱した場合、サンプリングポート100から吸入された空気の汚染度が個別的又は部分的に測定されるようにすることにより、広範囲な空間での汚染度を効果的にモニタリングできるという利点がある。
【0084】
また、本発明は、広い空間に複数のサンプリングポート100を配置し、被測定空間内の平均汚染度を管理することにより、イベント発生時に汚染源を迅速に見つけることができるという利点がある。
【0085】
すなわち、本発明は、サンプリングポート100が装着された区域の汚染度に関する平均データを管理することにより、一つの装置を用いて広い空間の汚染度を管理することができ、且つ平均汚染度が上昇した時には汚染源を把握するためにそれぞれのサンプリングポートを順に又は特定シーケンスに応じて個別的に濃度をスキャニングすることにより、汚染地域を迅速に見つけることができる。
【0086】
これにより、本発明は、迅速な空間汚染度マッピング及びイベント捕捉が可能であり、一つの同一計測器(検出部600)を使用することにより計測器間の誤差を除去することができ、複数台の計測器を使用する既存の方式に比べてコストを大幅に低減することができるという利点がある。
【0087】
本発明は、上記の実施例に限定されず、適用範囲が多様であることは言うまでもなく、請求の範囲で請求する本発明の要旨から逸脱することなく、当該本発明が属する分野において通常の知識を有する者であれば、誰でも様々な変形実施が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0088】
1 マルチサンプリングポートモニタリング装置
100 サンプリングポート
200 吸入管
210、220、230、240 第1〜第4吸入管
300 分岐管
310、320、330、340 第1〜第4分岐管
410 第1制御弁
420 第2制御弁
500 ミキシング部
600 検出部
810 第1流量調節部
820 第2流量調節部
830 真空ポンプ
831 排出管