特許第6284640号(P6284640)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6284640ピエゾ積層体を電気的に接触接続させるためのコンポーネント、ピエゾ積層体、及び、ピエゾコンポーネントの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284640
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】ピエゾ積層体を電気的に接触接続させるためのコンポーネント、ピエゾ積層体、及び、ピエゾコンポーネントの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 41/047 20060101AFI20180215BHJP
   H01L 41/09 20060101ALI20180215BHJP
   H01L 41/293 20130101ALI20180215BHJP
   H01L 41/083 20060101ALI20180215BHJP
   H01L 41/297 20130101ALI20180215BHJP
   F02M 51/06 20060101ALI20180215BHJP
   F02M 51/00 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   H01L41/047
   H01L41/09
   H01L41/293
   H01L41/083
   H01L41/297
   F02M51/06 N
   F02M51/00 E
【請求項の数】23
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-535170(P2016-535170)
(86)(22)【出願日】2015年7月6日
(65)【公表番号】特表2017-504957(P2017-504957A)
(43)【公表日】2017年2月9日
(86)【国際出願番号】EP2015065360
(87)【国際公開番号】WO2016008756
(87)【国際公開日】20160121
【審査請求日】2016年5月30日
(31)【優先権主張番号】102014214018.8
(32)【優先日】2014年7月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドラ ラウテンシュレーガー
(72)【発明者】
【氏名】マークス ウンルー
(72)【発明者】
【氏名】クラウス ツムシュトルル
【審査官】 安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】 独国実用新案第202014100666(DE,U1)
【文献】 特表2007−520065(JP,A)
【文献】 特開2011−003574(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/115341(WO,A1)
【文献】 特表2012−533897(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102008058011(DE,A1)
【文献】 特表2012−504858(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0032132(US,A1)
【文献】 特表2005−538677(JP,A)
【文献】 国際公開第2002/073656(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 41/00−47
H02N 2/00−08
F02M 51/00−08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピエゾコンポーネント(10)であって、
該ピエゾコンポーネント(10)は、ピエゾ積層体(12)と、該ピエゾ積層体(12)を電気的に接触接続させるための少なくとも1つのコンタクティングコンポーネント(32)とを有し、
前記ピエゾ積層体(12)は、該ピエゾ積層体(12)の長手延在方向(42)に上下に積層された複数のピエゾ圧電エレメント(72)を有し、前記複数のピエゾ圧電エレメント(72)の間には内部電極(76)を形成する電極層(74)が配置されており、
前記コンタクティングコンポーネント(32)は、該コンタクティングコンポーネント(32)を前記内部電極(76)に電気的に接触接続させるための導電性のメアンダ構造体(34)と、前記コンタクティングコンポーネント(32)を前記ピエゾ積層体(12)の外部から電気的に接触接続させるための導電性のコンタクティング装置(36)とを有し、
前記メアンダ構造体(34)と前記コンタクティング装置(36)とは互いに離間して配置されており、
前記コンタクティング装置(36)と前記メアンダ構造体(34)とを導電的に接続するため、且つ、前記コンタクティング装置(36)と前記メアンダ構造体(34)との間で力を分離するために、接続エレメント(38)が設けられており、
前記ピエゾ積層体(12)は、角領域(79)を介して互いに接続された少なくとも4つの側面(14)を有し、
前記メアンダ構造体(34)は、第1側面(14)に配置されており、
前記コンタクティング装置(36)は、前記第1側面(14)に隣接する第2側面(14’)に配置されており、
前記接続エレメント(38)は、前記第1側面(14)と前記第2側面(14’)とを接続している角領域(79)の周りに延在している、
ことを特徴とするピエゾコンポーネント(10)。
【請求項2】
前記メアンダ構造体(34)は、前記ピエゾ積層体(12)に直接接触接続して配置されており、
前記コンタクティング装置(36)及び前記接続エレメント(38)は、前記ピエゾ積層体(12)に対して径方向に離間して配置されている、
請求項1記載のピエゾコンポーネント(10)。
【請求項3】
前記メアンダ構造体(34)は、記ピエゾ積層体(12)の側面(14,14’)に接着されている、
又は、
前記メアンダ構造体(34)は、前記ピエゾ積層体(12)の外側金属被覆(16)にろう接続されている、
請求項1又は2記載のピエゾコンポーネント(10)。
【請求項4】
前記メアンダ構造体(34)は、導電性接着剤(78)を用いて、前記ピエゾ積層体(12)の側面(14,14’)に接着されている、
請求項3記載のピエゾコンポーネント(10)。
【請求項5】
前記ピエゾ積層体(12)は、第1終端領域(84)と第2終端領域(86)とを有し、
前記コンタクティング装置(36)は、前記終端領域の少なくとも一方(84)から突出して延在している、
請求項1から4のいずれか1項記載のピエゾコンポーネント(10)。
【請求項6】
前記コンタクティング装置(36)は、前記終端領域(84)から突出して延在する領域において、絶縁スリーブ(80)を有する、
請求項5記載のピエゾコンポーネント(10)。
【請求項7】
前記絶縁スリーブ(80)は、前記コンタクティングコンポーネント(32)の分岐エレメント(66)と、前記コンタクティング装置(36)との間に形成された間隔(70)の中にまで入り込んで延在している、
請求項6記載のピエゾコンポーネント(10)。
【請求項8】
2つのコンタクティングコンポーネント(32)が設けられており、
これらのコンタクティングコンポーネント(32)のメアンダ構造体(34)はそれぞれ、前記ピエゾ積層体(12)の相対する両側面(14,14’)に配置されている、
請求項1からのいずれか1項記載のピエゾコンポーネント(10)。
【請求項9】
ピエゾ積層体(12)を電気的に接触接続させるコンタクティングコンポーネント(32)であって、
前記コンタクティングコンポーネント(32)は、該コンタクティングコンポーネント(32)を前記ピエゾ積層体(12)の内部電極(76)に電気的に接触接続させるための導電性のメアンダ構造体(34)と、前記コンタクティングコンポーネント(32)を前記ピエゾ積層体(12)の外部から電気的に接触接続させるための導電性のコンタクティング装置(36)とを有し、
前記メアンダ構造体(34)と前記コンタクティング装置(36)とは互いに離間して配置されており、
前記コンタクティング装置(36)と前記メアンダ構造体(34)とを導電的に接続するため、且つ、前記コンタクティング装置(36)と前記メアンダ構造体(34)との間で力を分離するために、接続エレメント(38)が設けられており
前記接続エレメント(38)は、複数のワイヤエレメント(46)を有し、
前記ワイヤエレメント(46)の第1ワイヤエレメント側(48)は、前記メアンダ構造体(34)に接続されており、前記第1ワイヤエレメント側(48)の反対側に位置する第2ワイヤエレメント側(50)は、前記コンタクティング装置(36)に接続されている、
ことを特徴とするコンタクティングコンポーネント(32)。
【請求項10】
複数の前記ワイヤエレメント(46)は、互いにほぼ平行に延在している、
請求項9記載のコンタクティングコンポーネント(32)。
【請求項11】
複数の前記ワイヤエレメント(46)は、前記メアンダ構造体(34)の長手延在方向(42)に対してほぼ垂直に配置されている、
請求項10記載のコンタクティングコンポーネント(32)。
【請求項12】
前記メアンダ構造体(34)は、前記ピエゾ積層体(12)の長手延在方向(42)に延在しており、
前記コンタクティング装置(36)は、前記ピエゾ積層体(12)の長手延在方向(42)に対してほぼ平行に配置されている、
請求項9から11のいずれか1項記載のコンタクティングコンポーネント(32)。
【請求項13】
前記ワイヤエレメント(46)は、前記コンタクティング装置(36)と前記メアンダ構造体(34)との間で、軸方向の力(24)及び/又は径方向の力(26)及び/又は水平方向の力(28)及び/又はねじり力(30)を分離するように構成されている、
請求項9から12のいずれか1項記載のコンタクティングコンポーネント(32)。
【請求項14】
前記ワイヤエレメント(46)は、前記メアンダ構造体(34)と前記コンタクティング装置(36)との間において、柔軟性を有するように配置されている、
請求項13記載のコンタクティングコンポーネント(32)。
【請求項15】
前記ワイヤエレメント(46)は、2つの空間方向に柔軟性を有するように配置されている、
請求項14記載のコンタクティングコンポーネント(32)。
【請求項16】
前記ワイヤエレメント(46)は、3つの空間方向に柔軟性を有するように配置されている、
請求項14記載のコンタクティングコンポーネント(32)。
【請求項17】
前記ワイヤエレメント(46)は、曲げ可能である、
請求項13から16のいずれか1項記載のコンタクティングコンポーネント(32)。
【請求項18】
前記メアンダ構造体(34)は、当該メアンダ構造体(34)の長手延在方向(42)において第1端部領域(54)と第2端部領域(56)とを有し、
前記コンタクティング装置(36)は、少なくとも前記メアンダ構造体(34)の前記両端部領域(54,56)の一方から突出している、
請求項から17のいずれか1項記載のコンタクティングコンポーネント(32)。
【請求項19】
前記コンタクティング装置(36)は、フラット形のコンタクトエレメント(58)として構成されている、
請求項18記載のコンタクティングコンポーネント(32)。
【請求項20】
前記メアンダ構造体(34)と前記コンタクティング装置(36)と前記接続エレメント(38)とは、一体的に形成されている、
請求項から19のいずれか1項記載のコンタクティングコンポーネント(32)。
【請求項21】
前記メアンダ構造体(34)の長手延在方向(42)に対して垂直であって、且つ、前記コンタクティング装置(36)と前記メアンダ構造体(34)との間のワイヤ延在方向(51)に対して垂直である厚さ方向(59)において、前記メアンダ構造体(34)と前記コンタクティング装置(36)と前記接続エレメント(38)とが同じ厚さ(59’)を有する、
請求項20記載のコンタクティングコンポーネント(32)。
【請求項22】
前記メアンダ構造体(34)の、前記コンタクティング装置(36)が突出している端部領域(56)に対して平行に配置された間隔領域(64)において、前記コンタクティング装置(36)に分岐エレメント(66)が配置されており、
前記分岐エレメント(66)は、前記メアンダ構造体(34)の長手延在方向(42)に対して平行に延在しており、且つ、前記コンタクティング装置(36)に対して間隔(70)を形成しつつ離間して延在しており、
前記ワイヤエレメント(46)は、前記間隔領域(64)においては、前記コンタクティング装置(36)にではなく前記分岐エレメント(66)に固定されている、
請求項18から21のいずれか1項記載のコンタクティングコンポーネント(32)。
【請求項23】
ピエゾコンポーネント(10)の製造方法であって、
a)ピエゾ積層体(12)を準備するステップであって、
前記ピエゾ積層体(12)は、該ピエゾ積層体(12)の長手延在方向(42)に上下に積層された複数のピエゾ圧電エレメント(72)を有し、前記複数のピエゾ圧電エレメント(72)の間には内部電極(76)として電極層が配置されており、前記ピエゾ積層体(12)は、角領域(79)を介して互いに接続された少なくとも4つの側面(14,14’,14’’,14’’’)を有する、ステップと、
b)メアンダ構造体(34)と、コンタクティング装置(36)と、前記メアンダ構造体(34)と前記コンタクティング装置(36)とを電気的に接続する接続エレメント(38)とを備える、請求項から22のいずれか1項記載のコンタクティングコンポーネント(32)を形成するステップと、
c)前記コンタクティング装置(36)及び前記接続エレメント(38)が前記ピエゾ積層体(12)から離間したまま維持されるように、前記メアンダ構造体(34)を前記ピエゾ積層体(12)の第1側面(14)に導電的に固定するステップと、
d)前記ピエゾ積層体(12)の前記第1側面(14)に隣接する第2側面(14’)の方に向かって、前記第1側面(14)と前記第2側面(14’)とを接続している角領域(79)を中心にして、前記コンタクティング装置(36)及び前記接続エレメント(38)を折り曲げるステップであって、
この際に、前記コンタクティング装置(36)及び前記接続エレメント(38)を、前記第2側面(14’)及び前記角領域(79)から離間したまま維持する、ステップと
を有することを特徴とする製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピエゾコンポーネントと、ピエゾ積層体を電気的に接触接続させるためのコンタクティングコンポーネントと、このようなピエゾコンポーネントの製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料インジェクタの駆動に利用されることの多い、ピエゾ積層体又はピエゾスタックとしても知られるピエゾセラミック積層体は、一般的に、上下に積層された複数のピエゾ圧電エレメント、例えばセラミック層からなる。市販のピエゾ積層体は、多くの場合、300を超えるこのようなセラミック層を有する。ピエゾ積層体の長さ変化、いわゆるストロークを形成するために、これらのエレメントは電界に曝される。ピエゾ圧電効果により、ピエゾセラミックの伸張が引き起こされる。ピエゾスタックに含まれる個々の層の伸張の合計が、当該ピエゾスタック全体の1つのストロークとなる。電界は、それぞれ個々のセラミック層の上と下とに配置された、いわゆる内部電極によって形成される。つまり、個々のセラミック層とセラミック層との間には、正の内部電極及び負の内部電極が交互に配置されており、これらの内部電極に周期的に電荷が充電され、再び放電される。内部電極の接触接続は、通常、ピエゾ積層体の側面に設けられた外側金属被覆を介して実施される。この場合、外側金属被覆は、各内部電極にそれぞれ1つおきにのみ、相対する他方の外側金属被覆に対して電極を1つずつずらして接触接続している。
【0003】
ピエゾ積層体が周期的に伸張すると、ピエゾコンポーネント全体の寿命期間中に、セラミック及び外側金属被覆に伸張クラックが生じる。ピエゾアクチュエータの寿命期間中における一般的な長さ変化サイクルの回数は、例えば10サイクル以上にもなる。発生したクラックは、電気的な接触接続の中断、又はクラックによる内部電極の切断を引き起こす可能性があり、ひいてはピエゾ積層体の長さ変化を阻害したり、又は阻止したりする可能性さえある。
【0004】
従って、それぞれ間に挟まれたセラミック層のための電界を形成すべき活性層、すなわちそれぞれ正及び負の内部電極を、できるだけ持続的に接触接続させるべきである。この要求は、ピエゾ積層体の上側端面及び下側端面に接する縁部領域においても満たされるべきである。ピエゾスタックの端面は、通常、相接する金属製コンポーネントに機械的に接触接続されるので、これらの相接する金属製コンポーネントに対して電気的に絶縁するために残された間隔は、多くの場合、非常に僅かである。従って好ましくは、内部電極のコンタクティング部も、ピエゾ積層体の側面も、双方とも後から被せられる絶縁体によって確実かつ充分に絶縁されることを保証するために、組み立て中には、コンタクティング部に関して非常に高い位置決め精度が要求されている。
【0005】
セラミック製の内部電極又は外側金属被覆と、これらに取り付けられるコンタクティング部との間の接触接続箇所は、通常、例えば引張荷重、せん断力、又は振動などの機械的負荷に対して脆弱である。従って、一般的に、セラミック表面との接触接続箇所に対するこのような負荷を回避する必要がある。しかしながらこのような負荷の回避は、不可能であることが多い。
【0006】
図17及び図18は、従来技術に基づくピエゾコンポーネント10を示す。
【0007】
ピエゾコンポーネント10は、ピエゾ積層体12を有する。ピエゾ積層体12は、相対する2つの側面14において外側金属被覆16を介して電気的に接触接続されている。この場合、外側金属被覆16に直接被着されている第1コンタクティングエレメント20と、ピエゾ積層体12の上側領域において第1コンタクティングエレメント20に直接接触しており、且つ、外部からの接触接続を可能にするためにピエゾ積層体12から突出して延在している第2コンタクティングエレメント22と、を介して接触接続18が実施される。
【0008】
図18から見て取れるように、第2コンタクティングエレメント22に対して外側から複数の力、すなわち例えば軸方向の力24と、径方向の力26と、水平方向の力28と、ねじり力30とが加わる可能性がある。丸で囲んだ領域では、第2コンタクティングエレメント22が第1コンタクティングエレメント20に直接結合されているので、これらの力は、第1コンタクティングエレメント20に直接伝達されてしまう。これにより、とりわけピエゾ積層体12の上側領域においてコンタクティングエレメント20が剥離してしまう可能性がある。しかしながらこれらの力は、第1コンタクティングエレメント20のさらに下まで進行する可能性もあり、そこでも接触接続18の望ましくない剥離が生じる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の課題は、外部から加わる力に対する脆弱性が低減された、ピエゾ積層体のための接触接続を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、請求項1に記載された特徴を有するピエゾコンポーネントによって解決される。
【0011】
コンタクティングコンポーネント及びこのようなピエゾコンポーネントの製造方法は、さらなる独立請求項の対象である。
【0012】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項の対象である。
【0013】
ピエゾコンポーネントは、ピエゾ積層体と、該ピエゾ積層体を電気的に接触接続させるための少なくとも1つのコンタクティングコンポーネントとを有し、前記ピエゾ積層体は、該ピエゾ積層体の長手延在方向に上下に積層された複数のピエゾ圧電エレメントを有し、前記複数のピエゾ圧電エレメントの間には内部電極を形成する電極層が配置されており、前記コンタクティングコンポーネントは、該コンタクティングコンポーネントを前記内部電極に電気的に接触接続させるための導電性のメアンダ構造体と、前記コンタクティングコンポーネントを前記ピエゾ積層体の外部から電気的に接触接続させるための導電性のコンタクティング装置とを有する。前記メアンダ構造体と前記コンタクティング装置とは互いに離間して配置されている。前記コンタクティング装置と前記メアンダ構造体とを導電的に接続するため、且つ、前記コンタクティング装置と前記メアンダ構造体との間で力を分離するために、接続エレメントが設けられている。
【0014】
上記のコンタクティングコンポーネントを使用することによって、ピエゾ積層体の内部電極の接触接続を、長い寿命期間に亘って確実に実現することが可能となる。なぜなら、コンタクティングコンポーネントのコンタクティング装置に外部から加わる力は、特別な構成を有する接続エレメントによってもはやメアンダ構造体には伝達されなくなり、従って、メアンダ構造体が外部から加わる力によって内部電極から剥離する可能性がなくなるからである。
【0015】
ピエゾ積層体は、多くの場合、有利にはピエゾ積層体の絶縁のために使用される不活性領域と、活性領域とを有する。ピエゾ積層体の活性領域の特に良好な接触接続を実現するために、好ましくは活性領域全体を覆うようにして、ピエゾ積層体の長手延在方向にメアンダ構造体が延在している。
【0016】
好ましくは、前記メアンダ構造体は、前記ピエゾ積層体に直接接触接続して配置されており、その一方で、前記コンタクティング装置及び前記接続エレメントは、前記ピエゾ積層体に対して径方向に離間して配置されている。これによって有利には、メアンダ構造体だけが、ピエゾ積層体の内部電極との電気的な接触接続を形成することが保証されている。接続エレメントもコンタクティング装置も双方ともピエゾ積層体から離間しているので、好ましくは、コンタクティング装置と内部電極との望ましくない不利な接触接続が発生する危険性が存在しない。
【0017】
好ましくは、前記メアンダ構造体は、とりわけ導電性接着剤を用いて、前記ピエゾ積層体の側面に接着されている。この側面は、外側金属被覆を有してもよいし、有していなくてもよい。これに代えて、前記メアンダ構造体を、前記ピエゾ積層体に付加的に被着された外側金属被覆にろう接することも可能である。こうすることにより、ピエゾ積層体の内部電極とメアンダ構造とのそれぞれ1つの有利に確実な電気的な接触接続を実現することが可能となる。
【0018】
有利には、前記ピエゾ積層体は、角領域を介して互いに接続された少なくとも4つの側面を有する。前記メアンダ構造体は、好ましくは第1側面に配置されており、前記コンタクティング装置は有利には、好ましくは前記第1側面に隣接する第2側面に配置されている。前記接続エレメントは、好ましくは前記第1側面と前記第2側面とを互いに接続している角領域の周りに延在している。これによってコンタクティング装置は、メアンダ構造体に対してほぼ90°ずれた位置に配置されることとなり、しかも好ましくは、このコンタクティング装置が、ピエゾ積層体の、外側金属被覆が設けられていない例えば絶縁面を有する側面に位置するように、配置されている。これによって有利には、絶縁面の表面上に充分な沿面距離が形成される。
【0019】
前記ピエゾ積層体は、有利には第1終端領域と第2終端領域とを有し、前記コンタクティング装置は、前記終端領域の少なくとも一方から突出して延在している。これによって有利には、コンタクティング装置を、外部から良好に接触接続させることが可能となる。
【0020】
特に好ましくは、前記コンタクティング装置は、前記終端領域から突出して延在する領域において、絶縁スリーブを有する。これによって特に有利には、コンタクティング装置を、ピエゾコンポーネントの他のエレメントから絶縁させることが可能となる。
【0021】
前記絶縁スリーブが、前記コンタクティング装置の分岐エレメントと、前記コンタクティング装置自体との間に形成された間隔の中にまで入り込んで延在している場合には、特に好ましい。これによって有利には、コンタクティングコンポーネントのできるだけ広い領域を絶縁させ、且つ、外部から有利に接触接続させるためにコンタクティングコンポーネントの上側領域だけを露出させる、絶縁スリーブが提供される。
【0022】
ピエゾ積層体の内部電極を、有利にも特に良好に電気的に接触接続させることができるようにするために、好ましくは、2つのコンタクティングコンポーネントが設けられており、これらのコンタクティングコンポーネントのメアンダ構造体はそれぞれ、前記ピエゾ積層体の相対する両側面に、とりわけ外側金属被覆が設けられた両側面に配置されている。
【0023】
ピエゾ積層体が完全活性のピエゾ積層体である場合にはさらに有利である。なぜなら、電界が印加されたときにできるだけ大きいストロークを実現することができるからである。
【0024】
好ましくは、ピエゾ積層体と、該ピエゾ積層体に固定されたコンタクティングコンポーネントとが、絶縁用のプラスチック保持器によって取り囲まれている。
【0025】
これに加えて、ピエゾコンポーネントは絶縁のために、コンタクティングコンポーネントと任意選択のプラスチック保持器とを備える当該ピエゾコンポーネントの周囲に、有利にはとりわけシリコーンからなる注型材料を有する。
【0026】
ピエゾ積層体を電気的に接触接続させるためのコンタクティングコンポーネントは、該コンタクティングコンポーネントを前記ピエゾ積層体の内部電極に電気的に接触接続させるための導電性のメアンダ構造体と、前記コンタクティングコンポーネントを前記ピエゾ積層体の外部から電気的に接触接続させるための導電性のコンタクティング装置とを有する。前記メアンダ構造体と前記コンタクティング装置とは互いに離間して配置されている。さらには、前記コンタクティング装置と前記メアンダ構造体とを導電的に接続するため、且つ、前記コンタクティング装置と前記メアンダ構造体との間で力を分離するために、接続エレメントが設けられている。
【0027】
内部電極を接触接続させるために設けられたメアンダ構造体は、電界が印加されると、ピエゾ積層体のストロークと共に伸張及び収縮することができ、こうするだけでもう、コンタクティングの剥離を回避することは可能である。ここで、コンタクティング装置に外部から加わる力によってメアンダ構造体が剥離することをさらに回避するために、今度はメアンダ構造体を、加わっている機械的な力に関してコンタクティング装置から分離する。このために、メアンダ構造体とコンタクティング装置とを互いに離間して配置する。これにより、コンタクティング装置に加わる力は、もはやメアンダ構造体に伝達する可能性がなくなる。
【0028】
コンタクティング装置とメアンダ構造体との間の導電的な接続を提供するために、コンタクティング装置とメアンダ構造体との間に接続エレメントが配置される。この接続エレメントは、コンタクティング装置に加わる力がメアンダ構造体に伝達され得ないように構成されており、従って、メアンダ構造体とコンタクティング装置との間における力の分離は、電気的に接続されているにも拘わらず維持されたままである。
【0029】
従って、ピエゾ積層体の長手延在方向に伸張可能なメアンダ構造体と、力を分離する接続エレメントとからなる組み合わせが提供される。
【0030】
ピエゾ積層体の表面に取り付け可能な、一体的に構成されたメアンダ構造体によれば、従来技術から部分的に知られているような自由に動く個々の接続部を設けることを回避することも可能である。これによって、ピエゾ積層体の表面における精確な位置決めが可能となる。メアンダ形状は、引張弾性及び曲げ弾性を有し、従って、ピエゾ積層体の長さ変化、すなわちピエゾストロークに適合する。
【0031】
さらなる利点は、メアンダ構造体がコンタクティング装置から離間していることにある。このように幾何形状的に離間した配置によれば、一般的にピエゾコンポーネントに設けられる電気絶縁体に関して、当該電気絶縁体の表面上に充分な沿面距離が形成され、ひいては格段に改善された構造的手段が得られる。
【0032】
外側に向かって延びるコンタクト、すなわちコンタクティング装置は、従来技術のようにピエゾ積層体に付着したコンタクティング部を精巧にZ形に曲げる必要なしに、ピエゾ積層体に対して自動的に間隔を有する。
【0033】
好ましくは、メアンダ構造体と接続エレメントとコンタクティング装置とは、同じ1つの平面には配置されておらず、接続エレメントは、自身の長手延在方向に沿って屈曲され、従って、メアンダ構造体とコンタクティング装置との間にほぼ垂直の角度が形成される。従って有利には、メアンダ構造体を、ピエゾ積層体の例えば外側金属被覆が設けられた側面に取り付けることができ、その一方で、コンタクティング装置を、ピエゾ積層体の例えば外側金属被覆が設けられていない別の側面に配置することが可能となる。このようにして有利には、フラッシュオーバーが回避される特に良好な絶縁を実現することができる。
【0034】
好ましくは、前記メアンダ構造体は、前記ピエゾ積層体の長手延在方向に延在しており、前記コンタクティング装置は、前記長手延在方向に対してほぼ平行に配置されている。メアンダ構造体とコンタクティング装置とが有利にも平行に配置されていることによって、これら2つのエレメント間における好ましい良好な接触接続のために、接続エレメントをできるだけ小さくすることができる。このようにして有利には、構造スペースを削減することができる。
【0035】
好ましくは、前記接続エレメントは、複数のワイヤエレメントを有し、前記ワイヤエレメントの第1ワイヤエレメント側は、前記メアンダ構造体に接続されており、前記第1ワイヤエレメント側の反対側に位置する第2ワイヤエレメント側は、前記コンタクティング装置に接続されている。ワイヤエレメントは、好ましくはメアンダ構造体とコンタクティング装置との間における特に精微な接続手段を成しており、この接続手段は、特に有利には、狭い構造スペース内に収納することも可能である。
【0036】
好ましくは、メアンダ構造体は、複数のメアンダループを有し、コンタクティング装置の方を向いたそれぞれのメアンダループに、有利には少なくとも2つのワイヤエレメントが配置されている。これによって好ましくは、メアンダ構造体とコンタクティング装置との間における特に良好な接触接続を実現することができる。メアンダ構造体とコンタクティング装置との間における特に良好な有利な接触接続を実現可能にするために、メアンダ構造体とコンタクティング装置との間には、例えば約70〜130個の、とりわけ90〜110個のワイヤエレメントがそれぞれ全体として配置されている。
【0037】
有利には、複数の前記ワイヤエレメントは、互いにほぼ平行に延在している。さらに好ましくは、複数の前記ワイヤエレメントは、前記メアンダ構造体の前記長手延在方向に対してほぼ垂直に延在している。このことはつまり、ワイヤエレメントが、メアンダ構造体及びコンタクティング装置に対してほぼ垂直に配置されているということを意味しており、従って、接続エレメントは、メアンダ構造体とコンタクティング装置との間に有利にも特に僅かなスペースしか必要としない。
【0038】
有利には、前記ワイヤエレメントは、前記コンタクティング装置と前記メアンダ構造体との間で、軸方向の力及び/又は径方向の力及び/又は水平方向の力及び/又はねじり力を分離するように構成されている。このために特に有利には、前記ワイヤエレメントは、前記メアンダ構造体と前記コンタクティング装置との間において、少なくとも1つの空間方向に、好ましくは2つの空間方向に、とりわけ3つの空間方向に柔軟性を有するように配置されている。ワイヤエレメントが、自身の長手延在方向に柔軟性を有する場合には特に有利である。このような構成によれば、コンタクティング装置に対して軸方向、径方向、水平方向、又はねじり方向に加わる外部の力が、特に有利には、もはやメアンダ構造体には伝達されなくなり、好ましくはワイヤエレメントによって減衰されることとなる。
【0039】
この目的のために、前記ワイヤエレメントが曲げ可能である場合にも、特に有利である。このために、ワイヤエレメントは、CuSnのような銅合金から形成することができる。
【0040】
有利には、前記メアンダ構造体は、前記長手延在方向において第1端部領域と第2端部領域とを有し、前記コンタクティング装置は、少なくとも前記メアンダ構造体の前記端部領域の一方から突出している。これによって有利には、外部からコンタクティング装置に容易にアクセス可能となり、そうして、外部から好ましい接触接続を実施することが可能となる。
【0041】
有利には、さらなる構造スペースを削減可能にするために、前記コンタクティング装置は、好ましくはフラット形のコンタクトエレメントとして構成されている。
【0042】
好ましくは、前記メアンダ構造体と前記接続エレメントとが一体的に形成されている。さらなる有利な実施形態では、メアンダ構造体もコンタクティング装置も接続エレメントも一緒に形成されている。これによって好ましくは、コンタクティングコンポーネントの製造が簡単になる。なぜなら、個々のエレメント、すなわちメアンダ構造体、接続エレメント、及び/又はコンタクティング装置を有するコンタクティングコンポーネントを、有利にも1つの方法ステップで、例えばベース構造からの打ち抜き又はエッチング除去によって製造することができるからである。
【0043】
前記メアンダ構造体と、前記接続エレメントと、前記コンタクティング装置とが同じ厚さを有する場合には有利である。なぜなら、そうすると、構造スペースを最適に利用し尽くすことができるからである。このためには例えばコンタクティング装置を、フラット形のコンタクトエレメントとして構成すると特に有利である。“同じ厚さ”というのは、3つの個々のエレメントが、厚さ方向において、前記メアンダ構造体の前記長手延在方向に対して垂直に、且つ、前記コンタクティング装置と前記メアンダ構造体の間のワイヤエレメントの延在方向−ワイヤ延在方向−に対しても垂直に延在しており、この場合に好ましくは同じ延在長さを有するということを意味している。フラット形のコンタクトエレメントの場合には、好ましくは、フラット形のコンタクトエレメントの厚さ方向における厚さは、ワイヤ延在方向における幅よりも薄い。
【0044】
コンタクティングコンポーネントの全てのエレメントの厚さが、0.05mmと0.15mmの間の範囲にある場合には特に有利である。これによってコンタクティングコンポーネントは、全体として、ピエゾコンポーネントにおいて有利にも僅かな構造スペースしかとらなくなる。
【0045】
好ましくは、前記メアンダ構造体の、前記コンタクティング装置が突出している端部領域に対して平行に配置された間隔領域において、前記コンタクティング装置に分岐エレメントが配置されている。前記分岐エレメントは、好ましくは前記メアンダ構造体及び前記コンタクティング装置の前記長手延在方向に対して平行に延在しており、有利には前記コンタクティング装置に対して間隔を形成しつつ離間して配置されている。前記ワイヤエレメントは、前記間隔領域においては、前記コンタクティング装置にではなく好ましくは前記分岐エレメントに固定されている。従って、好ましくは全体として、コンタクティング装置と、ワイヤエレメント又はメアンダ構造体との間にも間隔が形成される。製造時にコンタクティング装置を絶縁すべき場合には、このことは特に有利である。なぜなら例えば、好ましくはコンタクティング装置が中に挿入される絶縁スリーブの形態の絶縁体を、ピエゾ積層体の内部電極とメアンダ構造体とが接触接続している領域へと、好ましくはより奥まで引き込むことができるからである。
【0046】
分岐エレメントは、好ましくは、コンタクティング装置にほぼ垂直に固定された、間隔形成用のウェブを有する。特に良好な絶縁を実現可能にするために、この分岐エレメントは、好ましくは、メアンダ構造体の長さの約1/5に亘って延在できるように配置されている。
【0047】
ピエゾコンポーネントの製造方法においては、まず、ピエゾ積層体が準備され、前記ピエゾ積層体は、当該ピエゾ積層体の長手延在方向に上下に積層された複数のピエゾ圧電エレメントを有し、前記複数のピエゾ圧電エレメントの間には内部電極として電極層が配置されている。準備されるピエゾ積層体は、角領域を介して互いに接続された少なくとも4つの側面を有する。これに加えて本方法では、メアンダ構造体と、コンタクティング装置と、前記メアンダ構造体と前記コンタクティング装置とを電気的に接続する接続エレメントとを備える、上述したコンタクティングコンポーネントが形成される。ピエゾ積層体が準備され、コンタクティングコンポーネントが形成された後、前記コンタクティング装置及び前記接続エレメントが前記ピエゾ積層体から離間したまま維持されるように、前記コンタクティングコンポーネントの前記メアンダ構造体が、前記ピエゾ積層体の第1側面に導電的に固定される。その後、前記コンタクティング装置及び前記接続エレメントは、前記ピエゾ積層体の前記第1側面に隣接する第2側面に到達するように、且つ、前記第1側面と前記第2側面とを接続している角領域を中心にして屈曲するように、折り曲げられる。この折り曲げは、前記コンタクティング装置及び前記接続エレメントが、前記第2側面及び前記角領域からも離間したまま維持されるように実施される。
【0048】
そうして、コンタクティング装置のメアンダ構造体だけがピエゾ積層体に固定的に接続されているような、ピエゾ積層体の内部電極のフレキシブルな接触接続が実現される。良好な絶縁を実現するために、コンタクティング装置は、1つの空間方向においてメアンダ構造体から離間して配置されているだけではなく、角を中心にして屈曲もされており、ピエゾ積層体の電極とはコンタクトしないようになっている。特別な構成を有する接続エレメントによって、コンタクティング装置に外部から加わる力が吸収され、メアンダ構造体に伝達されなくなる。
【0049】
コンタクティングコンポーネントを形成するためには、例えば金属薄板を使用することができ、この金属薄板から全てのエレメント、すなわちメアンダ構造体と、接続エレメントと、コンタクティング装置とを備えるコンタクティングコンポーネントが打ち抜かれるか、又はエッチング除去される。これに代えて、メアンダ構造体及び接続エレメントだけを金属薄板から形成して、コンタクトエレメントは後からこの金属薄板に取り付けるようにすることも可能である。
【0050】
メアンダ構造体の固定は、例えば導電性接着剤を用いて直接ピエゾ積層体に接着することによって実現することができるか、又は、例えばピエゾ積層体に被着された外側金属被覆にろう接することによって実現することができる。
【0051】
コンタクティング装置を折り曲げる際には、接続エレメントを複数の箇所において屈曲させると有利であり、すなわち、初めは1つの平面で形成されていたコンタクティングコンポーネントに、複数の屈曲部を設けると有利であろう。
【0052】
例えば、メアンダ構造体がピエゾ積層体に固定されている場合には、接続エレメントとメアンダ構造体とが接する領域を屈曲させ、このようにして、接続エレメントをピエゾ積層体から離間させることができる。さらには、ピエゾ積層体の角領域を中心とした屈曲を容易にするために、例えばコンタクティング装置と接続エレメントとが接する領域においても屈曲させることが意義深いだろう。
【0053】
コンタクティング装置を、好ましくはピエゾコンポーネントの導電性部材から充分に絶縁可能にするために、有利には、コンタクティング装置に絶縁スリーブが設けられる。この絶縁スリーブは、−コンタクティング装置がメアンダ構造体及び接続エレメントと一体的に形成されない場合には−コンタクティング装置が接続エレメントに接続される前に、又は、ピエゾ積層体にメアンダ構造体が取り付けられる前に、既にコンタクティング装置に取り付けておくことができる。しかしながらこれに代えて、コンタクティングコンポーネントが既にピエゾ積層体に固定されている場合に、絶縁スリーブをコンタクティング装置に取り付けることも可能である。
【0054】
任意選択的に、コンタクティングコンポーネントが固定されたピエゾ積層体の周囲に、さらなる絶縁のためのプラスチック保持器を取り付けることができる。
【0055】
その後、構造物を例えばシリコーンによって注型すると有利である。特に有利には、注型材料内に絶縁スリーブも挿入されるように、注型体が形成される。
【0056】
最後に、注型体の周囲に外側からチューブスプリングを配置することができる。
【0057】
本発明の有利な実施形態を、以下、添付図面を参照しながらより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】ピエゾ積層体を電気的に接触接続させることが可能なコンタクティングコンポーネントの第1実施形態を示す図である。
図2】このようなコンタクティングコンポーネントの第2実施形態を示す図である。
図3図1又は図2のコンタクティングコンポーネントを有するピエゾコンポーネントを製造するための方法ステップのフローチャートである。
図4図1のコンタクティングコンポーネントの断面図である。
図5】屈曲された図4のコンタクティングコンポーネントを示す図である。
図6図3の方法において使用されるピエゾ積層体の縦断面図である。
図7図3の方法において使用されるピエゾ積層体を示す図である。
図8図6又は図7のピエゾ積層体に、図5の屈曲されたコンタクティングコンポーネントを取り付ける図である。
図9】外側金属被覆を備えるピエゾ積層体に、2つのコンタクティングコンポーネントを取り付ける図である。
図10】ピエゾ積層体の角領域を中心にしてコンタクティングコンポーネントを折り曲げる図である。
図11】コンタクティングコンポーネントが取り付けられた図7のピエゾ積層体を示す図であり、ここではコンタクティングコンポーネントのコンタクティング装置が、円形のコンタクトエレメントとして構成されている。
図12】コンタクティングコンポーネントが取り付けられたピエゾ積層体を示す図であり、ここではコンタクティング装置が、フラット形のコンタクトとして構成されている。
図13】プラスチック保持器が配置され、且つ注型材料を有する、図12の構造物を示す図である。
図14】コンタクティングコンポーネントを備える図12のピエゾ積層体の平面図である。
図15】ピエゾ積層体と、コンタクティングコンポーネントと、注型体と、チューブスプリングとを備える、図13の構造物の平面図である。
図16】外部から力が加えられたピエゾコンポーネントを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1は、ピエゾ積層体12を電気的に接触接続させることが可能なコンタクティングコンポーネント32を示す。
【0060】
コンタクティングコンポーネント32は、メアンダ構造体34と、コンタクティング装置36と、接続エレメント38とを有する。メアンダ構造体34は、多数のメアンダループ40を有し、長手延在方向42に延在している。メアンダ構造体34は、のちに、ピエゾ積層体12の外側金属被覆16に固定されることとなる。メアンダ構造体34は、長手延在方向42にメアンダ状に屈曲された形によって、ピエゾ積層体12のストロークと共に伸張及び収縮することが可能となっている。メアンダ構造体34は、導電性材料44によって形成されている。
【0061】
コンタクティング装置36は、メアンダ構造体34に対して平行に延在しているが、メアンダ構造体34から離間して配置されている。コンタクティング装置36とメアンダ構造体34とを接続させるために、コンタクティング装置36とメアンダ構造体34との間には、接続エレメント38が配置されており、この接続エレメント38は、これら2つのエレメントに接触接続している。接続エレメント38もまた、導電性材料44から形成されており、メアンダ構造体34とコンタクティング装置36との間に電気的な接続を形成することができるようになっている。
【0062】
接続エレメント38は、複数のワイヤエレメント46を有し、これらのワイヤエレメント46の第1ワイヤエレメント側48は、メアンダ構造体34に接続されており、第2ワイヤエレメント側50は、コンタクティング装置36に接続されている。ワイヤエレメント46は、長手延在方向42に対してほぼ垂直にワイヤ延在方向51に延在している。
【0063】
ワイヤエレメント46は曲げ可能であり、従って、3つの空間方向全てにおいて柔軟性がある。例えばワイヤエレメント46は、例えばCuSnのような銅合金52から形成されている。
【0064】
このようにしてワイヤエレメント46は、コンタクティング装置36に外部から加わり得る軸方向の力24と、径方向の力26と、水平方向の力28と、ねじり力30とを吸収して、メアンダ構造34から分離させることが可能である。
【0065】
メアンダ構造体34は、長手延在方向42において第1端部領域54と第2端部領域56とを有する。この実施形態では、コンタクティング装置36は、第2端部領域56から突出しており、外部から良好に接触接続させることができるようになっている。コンタクティング装置36もまた、導電性材料44から形成されている。コンタクティング装置36は、この実施形態では、構造スペースを削減するためにフラット形のコンタクトエレメント58として構成されている。従って、厚さ方向59において、メアンダ構造体34と接続エレメント38とコンタクティング装置36とは、ほぼ同じ厚さ59’を有する。
【0066】
コンタクティングコンポーネント32、又は、コンタクティングコンポーネント32の各エレメントであるメアンダ構造体34とコンタクティング装置36と接続エレメント38とは、この実施形態では一体的に形成されており、例えば合金薄板からの打ち抜き又はエッチング除去によって形成されている。
【0067】
図2には、コンタクティングコンポーネント32の第2実施形態が示されている。この実施形態では、メアンダ構造体34は、接続エレメント38と一体的に形成されているが、コンタクティング装置36は、別個のエレメントとして構成されており、例えばろう接又は溶接によって接続エレメント38に取り付けられている。このために接続エレメント38は、ワイヤエレメント46の他に固定用ウェブ62も有しており、この固定用ウェブ62に、コンタクティング装置36を固定させることができるようになっている。この実施形態では、コンタクティング装置36は、フラット形のコンタクトエレメント58ではなく円形のコンタクトエレメント60として構成されている。
【0068】
図1に示された第1実施形態のコンタクティングコンポーネント32はさらに、メアンダ構造体34の上側領域においてコンタクティング装置36がワイヤエレメント46から離間しているという点で、図2に基づくコンタクティングコンポーネントの第2実施形態とは異なっている。このために、コンタクティング装置36が突出している端部領域56に対して平行に配置された上側の間隔領域64において、コンタクティング装置36は、分岐エレメント66を有する。分岐エレメント66は、メアンダ構造体34及びコンタクティング装置36に対して平行に延在しており、且つウェブ68を有する。ウェブ68は、分岐エレメント66の下側端部に配置されており、コンタクティング装置36に対して垂直に延在している。これによって、コンタクティング装置36との間隔70が形成される。この間隔領域64では、ワイヤエレメント46は、コンタクティング装置36にではなく分岐エレメント66に固定されている。こうすることによって、間隔70の中に絶縁エレメントを挿入することが可能となる。
【0069】
図3は、ピエゾコンポーネント10の製造を示したフローチャートである。図4〜13は、方法を説明するために使用される。
【0070】
まず、ステップS1において、コンタクティングコンポーネント32が製造される。これに関して図4には、メアンダ構造体34とコンタクティング装置36と接続エレメント38とを備えるコンタクティングコンポーネント32の断面図が示されている。
【0071】
のちにコンタクティングコンポーネント32を、配置的にさほど邪魔されることなく固定できるようにするために、このコンタクティングコンポーネント32は、ステップS2においてまず、メアンダ構造体34と接続エレメント38とが接する領域と、コンタクティング装置36と接続エレメント38とが接する領域とにおいて、図5に図示されるように屈曲される。
【0072】
ステップS3では、図6及び図7に図示されたピエゾ積層体12が準備される。
【0073】
ピエゾ積層体12は、長手延在方向42に上下に積層された複数のピエゾ圧電エレメント72を有し、これらのピエゾ圧電エレメント72の間には、内部電極76として電極層74が配置されている。
【0074】
ピエゾ積層体12は、この実施形態では4つの側面14,14’,14’’,14’’’を有し、これらのうち3つの側面14,14’,14’’が見て取れる。相対する2つの側面14,14’には、それぞれ1つの外側金属被覆16が設けられている。側面14’’は、外側金属被覆16を有さない。
【0075】
図8に図示された方法のステップS4では、図5に基づく屈曲されたコンタクティングコンポーネント32が、メアンダ構造体34によってピエゾ積層体の側面の1つ14’,14’’に固定され、従って、メアンダ構造体34は、外側金属被覆16に接触接続されている。
【0076】
図9には、ピエゾ積層体12の相対する2つの側面14,14’に、それぞれ1つのメアンダ構造体34を備えるそれぞれ1つのコンタクティングコンポーネント32が、導電性接着剤層78を用いた接着によって固定されている様子が図示されている。ステップS4では、メアンダ構造体34を、接着ではなくろう接によって外側金属被覆16に固定させることも可能である。
【0077】
ステップS5では、ピエゾ積層体12に固定されたコンタクティングコンポーネント32の接続エレメント38が、ピエゾ積層体12の角領域79を中心にして折り曲げられ、これによってコンタクティング装置36は、外側金属被覆16が配置されていない側面14’’に到達する。このことは、図10に図示されている。
【0078】
図11は、コンタクティングコンポーネント32が取り付けられ且つ折り曲げられたピエゾ積層体12の斜視図を示す。図11では、図2に図示されたコンタクティングコンポーネント32の第2実施形態が使用されている。しかしながらこれに代えて、図12に図示されているように、ピエゾ積層体12に固定するためにコンタクティングコンポーネント32の第1実施形態を使用してもよい。図11及び図12から見て取れるように、メアンダ構造体34だけがピエゾ積層体12に直接接触接続しており、その一方で、接続エレメント38及びコンタクティング装置36は、ピエゾ積層体1から離間して配置されている。
【0079】
ステップS6では、図13に図示されているようにコンタクティング装置36に絶縁スリーブ80が設けられる。
【0080】
このステップS6は任意選択である。なぜなら例えば図9に図示されているように、コンタクティングコンポーネント32をピエゾ積層体12に取り付ける前に既に、絶縁スリーブ80をコンタクティング装置36に配置しておくことができるからである。
【0081】
その後、同じく任意選択であるステップS7において、ピエゾ積層体12とコンタクティングコンポーネント32とからなる構造物の周囲にプラスチック保持器82を配置することができる。
【0082】
図12及び図13からも見て取れるように、ピエゾ積層体12は、第1終端領域84と第2終端領域86とを有し、この場合、ピエゾ積層体12に固定されたコンタクティング装置36は、第1終端領域84から突出して延在している。この領域には、絶縁スリーブ80も配置されている。
【0083】
その後、ステップS8において、構造物全体が注型材料88、例えばシリコーンによって注型される。
【0084】
最後にステップS9において、構造物全体の周囲に、例えば図15に図示されているようなチューブスプリング90が取り付けられる。
【0085】
図14には、ピエゾコンポーネント10の断面図が示されている。この断面図は、ピエゾ積層体12に2つのコンタクティングコンポーネント32がどのようにして取り付けられているかを図示しており、より詳細には、メアンダ構造体34だけがピエゾ積層体12に接触接続しており、その一方で、接続エレメント38及びコンタクティング装置36は、それぞれ角領域79及び各側面14’’から離間して配置されているということを図示している。
【0086】
図15は、ピエゾコンポーネント10の全体構造の断面図を示す。図15では、内部にピエゾ積層体12が配置されており、このピエゾ積層体12には、コンタクティングコンポーネント32が取り付けられている。コンタクティングコンポーネント32のコンタクティング装置36は、絶縁スリーブ80を有する。ピエゾコンポーネント10は、注型材料88によって注型されており、注型材料88の周囲には、ピエゾコンポーネント10に予備負荷を加えるために付加的にチューブスプリング90が配置されている。
【0087】
図16には、ピエゾコンポーネント10のコンタクティング装置36にどのようにして外部から力が加えられるかが図示されている。しかしながら、これらの力は、コンタクティングコンポーネント32の特別な構成によってもはやメアンダ構造体34には伝達されないので、ピエゾ積層体12からのメアンダ構造体3の剥離を回避することが可能である。
【0088】
このようにして、持続的に弾性に伸張可能又は曲げ可能なコンタクティングコンポーネント32であって、ピエゾ積層体12のコンタクティング部におけるクラック形成を回避するコンタクティングコンポーネント32が提供される。従って、従来であれば発生していたような潜在的なクラックを架橋したり、又は迂回させたりする必要はもはやない。要約すると、コンタクティング装置36に加わる周囲からの力、例えば取り付け時の力、動作中の振動による力、相接するコンポーネントの熱による伸張に起因する力によって、ピエゾ積層体の表面との接触接続が阻害されることが回避される
【符号の説明】
【0089】
10 ピエゾコンポーネント
12 ピエゾ積層体
14 側面
14’ 側面
14’’ 側面
14’’’ 側面
16 外側金属被覆
18 接触接続
20 第1コンタクティングエレメント
22 第2コンタクティングエレメント
24 軸方向の力
26 径方向の力
28 水平方向の力
30 ねじり力
32 コンタクティングエレメント
34 メアンダ構造体
36 コンタクティング装置
38 接続エレメント
40 メアンダループ
42 長手延在方向
44 導電性材料
46 ワイヤエレメント
48 第1ワイヤエレメント側
50 第2ワイヤエレメント側
51 ワイヤ延在方向
52 銅合金
54 第1端部領域
56 第2端部領域
58 フラット形のコンタクトエレメント
59 厚さ方向
59’ 厚さ
60 円形のコンタクトエレメント
62 固定用ウェブ
64 間隔領域
66 分岐エレメント
68 ウェブ
70 間隔
72 ピエゾ圧電エレメント
74 電極層
76 内部電極
78 導電性接着剤
79 角領域
80 絶縁スリーブ
82 プラスチック保持器
84 第1終端領域
86 第2終端領域
88 注型材料
90 チューブスプリング
S1 コンタクティングコンポーネントの形成
S2 コンタクティングコンポーネントの屈曲
S3 ピエゾ積層体の準備
S4 ピエゾ積層体へのコンタクティングコンポーネントの固定
S5 コンタクティングコンポーネントの折り曲げ
S6 絶縁スリーブの取り付け
S7 プラスチック保持器の配置
S8 注型
S9 チューブスプリングの取り付け
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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