(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の長尺部の一端部が、前記一の回転体又は前記他の回転体のいずれか一方のうち前記回転軸線の軸線方向の一方部に取り付けられ、前記第1の長尺部の他端部が前記一の回転体又は前記他の回転体のいずれか他方のうち前記軸線方向の他方部に取り付けられるようになっており、
前記第2の長尺部の一端部が、前記一の回転体又は前記他の回転体のいずれか一方のうち前記軸線方向の他方部に取り付けられ、前記第2の長尺部の他端部が前記一の回転体又は前記他の回転体のいずれか他方のうち前記軸線方向の一方部に取り付けられるようになっており、
前記交差部は、前記第1の長尺部及び前記第2の長尺部のそれぞれの中途部がX状に交差する請求項1に記載の蝶番。
前記巻回部が、前記第1の長尺部、前記第2の長尺部、前記第1の補助長尺部及び前記第2の補助長尺部のそれぞれの中途部が複数回巻回されて構成される請求項3に従属する請求項6に記載の蝶番。
前記交差部に取り付けられて前記第1の長尺部及び前記第2の長尺部のそれぞれの中途部が互いに接触しないようにするための補助部を備える請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の蝶番。
前記交差部に取り付けられて前記第1の長尺部及び前記第2の長尺部のそれぞれの中途部の交差を保持するための保持部を備える請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の蝶番。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態における蝶番について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態としての蝶番10を示す平面図である。
蝶番10は、長尺状に形成された第1の長尺部1と第2の長尺部2とを備えている。
第1の長尺部1は、長尺状の長尺本体部1aと、この長尺本体部1aの両端部をそれぞれ覆うカバー部1bとを備えている。
長尺本体部1aは、繊維、樹脂または金属等からなっている。繊維としては、例えば、炭素繊維、ケブラー繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維、ガラス繊維等が用いられる。
【0010】
カバー部1bは、繊維、樹脂または金属からなっている。また、カバー部1bは、筒状に形成されており、その筒穴に長尺本体部1aが通されている。そして、カバー部1bの筒穴に長尺本体部1aが通された状態で、樹脂(エポキシ等)または接着剤等により長尺本体部1aの端部が固定されている。
なお、カバー部1bは、長尺本体部1aの端部を通した状態で、例えばクランプ管圧着工具等によって潰されていてもよい。これによって、カバー部1bの固定力を強化することができる。
【0011】
また、第2の長尺部2は、上記と同様に、長尺本体部2aとカバー部2bとを備えている。これら長尺本体部2aおよびカバー部2bは、長尺本体部1aおよびカバー部1bと同様の構成であり、ここでの説明は省略する。
第1の長尺部1の長手方向の全長における中央部分が中途部1cとなり、第2の長尺部2の長手方向の全長における中央部分が中途部2cとなる。これら中途部1c,2cにおいては、長尺本体部1a,2aがカバー部1b,2bに覆われておらず外方に露出している。
【0012】
中途部1c,2cは、回転軸線Bに対して交差する方向に配されて互いに交差している。なお、回転軸線Bに対して交差する方向とは、回転軸線Bの軸線方向を除く方向をいうものであり、回転軸線Bに対して直交する方向を含むものである。例えば、ある平面Aの平面方向に回転軸線Bを配し、かつ第1の長尺部1と第2の長尺部2とを同一平面A上に展開させた状態において、その同一平面Aに対して交差する方向を含むものであり、具体的には
図1の紙面に対して直交する方向を含むものである。換言すると、回転軸線Bに対して交差する方向とは、
図4に示すドア枠E(一の回転体)又はドアD(他の回転体)の奥行方向D1を含むものである。
すなわち、中途部1c,2cが回転軸線Bに対して交差する方向に配されて互いに交差することにより、これら中途部1c,2cが縦に立てられて互いに交差しており、この交差した部分が交差部3となる。
【0013】
交差部3は、中途部1c,2cが複数回巻回されて構成されている。この巻回された部分が巻回部4となる。なお、複数回とは主として奇数回をいうものであり、ここでは具体的には3回巻回されている。中途部1c,2cが奇数回巻回されることにより、第1の長尺部1の一端部1dと他端部1eとは、中途部1cを挟んで長手方向に延ばされ、同様に、第2の長尺部2の一端部2dと他端部2eとは、中途部2cを挟んで長手方向に延ばされて配される。
すなわち、第1の長尺部1は、一端部1dから他端部1eにかけて回転軸線Bの一方から他方に傾斜して延ばされ、第2の長尺部2は、一端部2dから他端部2eにかけて回転軸線Bの他方から一方に傾斜して延ばされる。これにより、中途部1c,2cが平面A上においてX状に交差して配される。
【0014】
このような構成のもと、第1の長尺部1および第2の長尺部2のそれぞれの一端部1d,2dと、第1の長尺部1および第2の長尺部2のそれぞれの他端部1e,2eとが、回転軸線Bを回転中心として、相対回転するようになっている。
ここで、相対回転とは、一端部1d,2dと他端部1e,2eとが相対的に回転することであり、一端部1d,2dが固定されて他端部1e,2eのみが回転すること、他端部1e,2eが固定されて一端部1d,2dのみが回転すること、さらに一端部1d,2dと他端部1e,2eとがいずれも回転すること等を含むものである。
【0015】
次に、蝶番10の利用方法等について説明する。
図2においては、ドア枠E(一の回転体)に対してドアD(他の回転体)が閉じられた状態を示しており、このときのドアDの位置が閉位置F1となる。なお、符号Hは、ドア枠EおよびドアDの高さ方向を示すものであり、符号Wは、ドア枠EおよびドアDの幅方向を示すものである。
蝶番10は、ドアDの高さ方向Hの上端部および下端部の2箇所に取り付けられている。また、蝶番10は、ドア枠EとドアDとにわたって取り付けられている。すなわち、第1の長尺部1の一端部1dが、ドア枠Eのうち回転軸線Bの軸線方向の一方部EB1に取り付けられ、第1の長尺部1の他端部1eがドアDのうち回転軸線Bの軸線方向の他方部DB2に取り付けられている。また、第2の長尺部2の一端部2dが、ドア枠Eのうち回転軸線Bの軸線方向の他方部EB2に取り付けられ、第2の長尺部2の他端部2eがドアDのうち回転軸線Bの軸線方向の一方部DB1に取り付けられている。
【0016】
ここで、一方部EB1,DB1および他方部EB2,DB2について説明する。一方部EB1,DB1および他方部EB2,DB2とは、回転軸線Bの軸線方向における相対的な位置関係を意味するものである。
具体的には、一方部EB1とは、回転軸線Bを境界線として2分する領域の一方の領域(ここではドア枠E)のうち、回転軸線Bの軸線方向の一方側(ここでは高さ方向Hの上方側)を意味し、他方部EB2とは、ドア枠Eにおいて一方部EB1に対して回転軸線Bの軸線方向の他方側(ここでは高さ方向Hの下方側)を意味している。すなわち、一方部EB1は、他方部EB2に対して上となり、他方部EB2は、一方部EB1に対して下となる。
同様に、一方部DB1とは、回転軸線Bを境界線として2分する領域の他方の領域(ここではドアD)のうち、回転軸線Bの軸線方向の一方側(ここでは高さ方向Hの上方側)を意味し、他方部DB2とは、ドアDにおいて一方部DB1に対して回転軸線Bの軸線方向の他方側(ここでは高さ方向Hの下方側)を意味している。すなわち、一方部DB1は、他方部DB2に対して上となり、他方部DB2は、一方部DB1に対して下となる。
なお、一方部EB1と一方部DB1とは、水平方向に対向して同じ高さに設定されており、同様に、他方部EB2と他方部DB2とは、水平方向に対向して同じ高さに設定されている。
【0017】
第1の長尺部1の一端部1dが一方部EB1に取り付けられ、他端部1eが他方部DB2に取り付けられることにより、第1の長尺部1は、一端部1dから他端部1eにかけて回転軸線Bに対して下方に傾斜して配される。
一方、第2の長尺部2の一端部2dが他方部EB2に取り付けられ、他端部2eが一方部DB1に取り付けられることにより、第2の長尺部2は、一端部2dから他端部2eにかけて回転軸線Bに対して上方に傾斜して配される。
【0018】
なお、
図3に示すように、第1の長尺部1および第2の長尺部2の回転軸線Bに対する傾斜の角度θは、回転軸線Bに対して45°に設定される。また、
図4に示すように、第1の長尺部1および第2の長尺部2は、ドアDが閉位置F1に配された状態で、幅方向Wとのなす角θ1も45°に設定されて取り付けられる。
【0019】
具体的には、回転軸線Bに対して45°であって、かつ幅方向Wに対しても45°に延びる直線上の取付孔が形成され、それらの取付孔に一端部1d,2dまたは他端部1e,2eがそれぞれ挿入された状態で、樹脂または接着剤等によって固定される。
このようにして、2つの蝶番10が、それぞれの一方部EB1,DB1および他方部EB2,DB2に取り付けられることにより、ドア枠EとドアDとが回転軸線Bを回転中心として、相対回転可能に連結される。
このように、蝶番10によってドア枠EとドアDとが相対回転可能に連結されたものが、連結構造20となる。
【0020】
このような構成のもと、利用者は、ドアDが閉位置F1に配された状態から、ドアDを手前に引く。すると、巻回部4を通る回転軸線Bを回転中心として、ドアDが手前側に回転していく。このとき、ドアDを引っ張るときの引張力を主として第2の長尺部2が支持し、ドアDの自重を主として第1の長尺部1が支持する。第1の長尺部1および第2の長尺部2は、長尺状に形成され引張耐力が高いことから、ドアDをスムーズに回転させていく。
一方、利用者がドアDを閉めるときには、ドアDが開いた状態から、ドアDを押すことにより、ドアDが回転して閉位置F1に配される。
【0021】
以上より、本実施形態における蝶番10および連結構造20によれば、第1の長尺部1および第2の長尺部2を取り付けたときに、外方から目立たなくさせることができるだけでなく、これら第1の長尺部1および第2の長尺部2の長手方向の引張耐力によってドアDの引張力と自重を支持することができる。そのため、ドア枠EとドアDとをスムーズに相対回転させることができるだけでなく、ドア枠EとドアDとのデザイン性を低下させないようにすることができる。
特に、第1の長尺部1および第2の長尺部2が取付穴に挿入されて固定されることにより、これら第1の長尺部1および第2の長尺部2を外方に露出させる部分を少なくすることができる。
【0022】
また、第1の長尺部1と第2の長尺部2とが、上下に傾斜してX状に交差していることから、第1の長尺部1および第2の長尺部2の長手方向の引張耐力によってドアDの引張力と自重を支持することができる。
また、巻回部4が設けられていることから、交差部3における交差の状態を保持することができ、ドア枠EとドアDとをスムーズに相対回転させることができる。
第1の長尺部1および第2の長尺部2が回転軸線Bに対して45°に延ばされていることから、ドアDの引張力と自重に対して均等に支持することができ、ドア枠EとドアDとをよりスムーズに相対回転させることができる。
また、第1の長尺部1および第2の長尺部2が幅方向Wに対して45°に延ばされていることから、ドアDが閉位置F1から最大に開いた状態に配されるまでの間のいずれの位置に配されても、第1の長尺部1および第2の長尺部2の折れ曲げ角度を90°以上に保持することができ、これら第1の長尺部1および第2の長尺部2の疲労防止を図ることができる。
【0023】
[実施形態2]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態を示したものである。
図5において、
図1から
図4に記載の構成要素と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
この実施形態と上記第1の実施形態とは基本的構成は同一であり、ここでは主として異なる点について説明する。
本実施形態における蝶番10aは、巻回部4に保護部12が設けられて構成されている。
巻回部4は、中途部1c,2cが5回巻回されて構成されている。
保護部12は、樹脂などからなり、例えば軟質エポキシ樹脂等からなっている。
これにより、交差部3における交差の状態を保持することができるだけでなく、交差部3を保護することができる。
【0024】
図6は、蝶番10aおよびこの蝶番10aが取り付けられた連結構造20aを示している。
本実施形態においては、回転軸線Bの軸線方向が水平方向に向けられている。ここでは、回転軸線Bの軸線方向の一方は右方となり、回転軸線Bの軸線方向の他方は左方となる。そして、蝶番10aが、回転軸線Bの軸線方向の一端部(ここでは、幅方向Wの右端部)と他端部(ここでは、幅方向Wの左端部)の2箇所に取り付けられている。また、蝶番10aは、ドア枠EとドアDとにわたって取り付けられている。
具体的には、第1の長尺部1の一端部1dが、ドア枠Eのうち回転軸線Bの軸線方向の一方部EB1に取り付けられ、第1の長尺部1の他端部1eがドアDのうち回転軸線Bの軸線方向の他方部DB2に取り付けられている。また、第2の長尺部2の一端部2dが、ドア枠Eのうち回転軸線Bの軸線方向の他方部EB2に取り付けられ、第2の長尺部2の他端部2eがドアDのうち回転軸線Bの軸線方向の一方部DB1に取り付けられている。
なお、一方部EB1と一方部DB1とは、回転軸線Bを挟んで対向して同じ位置に設定されており、同様に、他方部EB2と他方部DB2とは、回転軸線Bを挟んで対向して同じ位置に設定されている。
【0025】
このようにして、2つの蝶番10aが、それぞれの一方部EB1,DB1および他方部EB2,DB2に取り付けられることにより、ドア枠EとドアDとが回転軸線Bを回転中心として、相対回転可能に連結される。
このように、蝶番10aによってドア枠EとドアDとが相対回転可能に連結されたものが、連結構造20aとなる。
このような構成のもと、利用者がドアDの下端部を手前に引くと、回転軸線Bを回転中心として、ドアDの下端部が上方に向かって手前側に回転していく。このとき、ドアDを引っ張るときの引張力およびドアDの自重を第1の長尺部1および第2の長尺部2が支持する。第1の長尺部1および第2の長尺部2は、長尺状に形成され引張耐力が高いことから、ドアDをスムーズに回転させていく。
【0026】
以上より、本実施形態における蝶番10aおよび連結構造20aによれば、ドア枠EとドアDとをスムーズに相対回転させることができるだけでなく、ドア枠EとドアDとのデザイン性を低下させないようにすることができる。
また、ドアDを引っ張るときの引張力およびドアDの自重を、第1の長尺部1および第2の長尺部2が支持することから、第1の長尺部1および第2の長尺部2に負荷を分散することができる。
また、保護部12が設けられていることから、交差部3を保護することができ、耐久性を向上させることができる。
【0027】
[実施形態3]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図7および
図8は、本発明の第3の実施形態を示したものである。
図7および
図8において、
図1から
図6に記載の構成要素と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
この実施形態と上記第1の実施形態とは基本的構成は同一であり、ここでは主として異なる点について説明する。
本実施形態における蝶番10bは、長尺状に形成された中央長尺部5を備えている。
中央長尺部5は、繊維、樹脂または金属等からなっている。この中央長尺部5は、平面A方向において回転軸線Bに直交する方向に延ばされ、巻回部4の中央を通されている。すなわち、中央長尺部5の中途部5cが巻回部4の中央を通されており、これにより中途部1c,2c,5cが回転軸線Bに対して交差する方向に配されて互いに交差している。この中央長尺部5は、後述するように、一端部5dがドア枠Eに取り付けられ、他端部5eがドアDに取り付けられるようになっている。
また、巻回部4の両端部には、巻回の緩みを防止する規制部6が設けられている。規制部6は、例えば、クリップや結わき線などからなっており、巻回部4の両端部において仮止めされている。この巻回部4は、蝶番10bが設置されると取り除かれるようになっている。
【0028】
図9は、蝶番10bおよびこの蝶番10bが取り付けられた連結構造20bを示している。
蝶番10bは、ドアDの高さ方向Hの上端部、中央部および下端部の3箇所に取り付けられている。
特に、中央長尺部5の一端部5dが、ドア枠Eのうち一方部EB1と他方部EB2との間の中央部EBCに取り付けられている。また、中央長尺部5の他端部5eが、ドアDのうち一方部DB1と他方部DB2との間の中央部DBCに取り付けられている。
【0029】
なお、中央部EBCとは、ドア枠Eのうち回転軸線Bの軸線方向における一方部EB1と他方部EB2との間の中央部分をいうものである。また、中央部DBCは、ドアDのうち回転軸線Bの軸線方向における一方部DB1と他方部DB2との間の中央部分をいうものである。
このような構成のもと、利用者がドアDを引っ張ると、ドアDの引張力を中央長尺部5等が支持しながら、ドアDが回転軸線Bを中心としてドア枠Eに対して相対回転する。
【0030】
以上より、本実施形態における蝶番10bおよび連結構造20bによれば、中央長尺部5を備えることから、ドアDの引張力に対する引張耐力を強化することができる。そのため、ドア枠EとドアDとをよりスムーズに相対回転させることができる。
また、規制部6が設けられていることから、巻回部4の緩みを防止することができるだけでなく、目視による巻回部4の視認を容易にすることができ、蝶番10bの設置を迅速かつ容易に行うことができる。
【0031】
[実施形態4]
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図10は、本発明の第4の実施形態を示したものである。
図10において、
図1から
図9に記載の構成要素と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
この実施形態と上記第3の実施形態とは基本的構成は同一であり、ここでは主として異なる点について説明する。
本実施形態における蝶番10cは、長尺状に形成された第1の補助長尺部7と第2の補助長尺部8を備えている。
これら第1の補助長尺部7および第2の補助長尺部8は、繊維、樹脂または金属等からなっている。第1の補助長尺部7および第2の補助長尺部8のそれぞれの一端部7d,8dは、ドア枠Eに取り付けられるようになっており、それぞれの他端部7e,8eは、ドアDに取り付けられるようになっている。
【0032】
第1の補助長尺部7は、第1の長尺部1と回転軸線Bとのなす角θ2を2等分する方向に延ばされており、第2の補助長尺部8は、第2の長尺部2と回転軸線Bとのなす角θ2を2等分する方向に延ばされている。
これら第1の補助長尺部7および第2の補助長尺部8は、巻回部4の中央を通されている。すなわち、第1の補助長尺部7および第2の補助長尺部8の中途部7c,8cと、中央長尺部5の中途部5cが巻回部4の中央を通されており、これにより中途部1c,2c,5c,7c,8cが回転軸線Bに対して交差する方向に配されて互いに交差している。
【0033】
図10において、符号EU,DUは一方側の領域を示し、符号ED,DDは他方側の領域を示している。
ここで、一方側の領域EU,DUおよび他方側の領域ED,DDについて説明する。一方側の領域EU,DUおよび他方側の領域ED,DDとは、回転軸線Bの軸線方向における相対的な位置関係を意味するものである。
一方側の領域EUとは、回転軸線Bと中央長尺部5上の仮想線5Lとによって4分される領域のうち、一方部EB1が設けられる領域であり、他方側の領域EDとは、他方部EB2が設けられる領域、一方側の領域DUとは、一方部DB1が設けられる領域、他方側の領域DDとは、他方部DB2が設けられる領域である。
【0034】
具体的には、一方側の領域EUとは、ドア枠Eのうち中央部EBCよりも回転軸線Bの軸線方向の一方側の領域を意味している。また、他方側の領域EDとは、ドア枠Eのうち中央部EBCよりも回転軸線Bの軸線方向の他方側の領域を意味している。すなわち、ドア枠Eのうち中央部EBCを境界線として回転軸線Bの軸線方向の一方側の領域全体が一方側の領域EUとなり、他方側の領域全体が他方側の領域EDとなる。
さらに、一方側の領域EUのうち、一方部EB1と回転軸線Bとの間の領域が端部領域EU1となり、一方部EB1と中央部EBCとの間の領域が中央領域EU2となる。また、他方側の領域EDのうち、他方部EB2と回転軸線Bとの間の領域が端部領域ED1となり、他方部EB2と中央部EBCとの間の領域が中央領域ED2となる。
【0035】
また、一方側の領域DUとは、ドアDのうち中央部DBCよりも回転軸線Bの軸線方向の一方側の領域を意味し、他方側の領域DDとは、ドアDのうち中央部DBCよりも回転軸線Bの軸線方向の他方側の領域を意味している。すなわち、ドアDのうち中央部DBCを境界線として回転軸線Bの軸線方向の一方側の領域全体が一方側の領域DUとなり、他方側の領域全体が他方側の領域DDとなる。
さらに、一方側の領域DUのうち、一方部DB1と回転軸線Bとの間の領域が端部領域DU1となり、一方部DB1と中央部DBCとの間の領域が中央領域DU2となる。また、他方側の領域DDのうち、他方部DB2と回転軸線Bとの間の領域が端部領域DD1となり、他方部DB2と中央部DBCとの間の領域が中央領域DD2となる。
【0036】
第1の補助長尺部7の一端部7dは、ドア枠Eのうちの一方側の領域EUに取り付けられている。具体的には、一端部7dは、一方側の領域EUのうちの端部領域EU1に取り付けられている。
また、第1の補助長尺部7の他端部7eは、ドアDのうちの他方側の領域DDに取り付けられている。具体的には、他端部7eは、他方側の領域DDのうちの中央領域DD1に取り付けられている。
【0037】
第2の補助長尺部8の一端部8dは、ドア枠Eのうちの他方側の領域EDに取り付けられている。具体的には、一端部8dは、他方側の領域EDのうちの端部領域ED1に取り付けられている。
また、第2の補助長尺部8の他端部8eは、ドアDのうちの一方側の領域DUに取り付けられている。具体的には、他端部8eは、一方側の領域DUのうちの端部領域DU1に取り付けられている。
【0038】
このような構成のもと、利用者がドアDを引っ張ると、ドアDの引張力および自重を第1の補助長尺部7および第2の補助長尺部8等が支持しながら、ドアDが回転軸線Bを中心としてドア枠Eに対して相対回転する。
【0039】
以上より、本実施形態における蝶番10cおよび連結構造20cによれば、第1の補助長尺部7および第2の補助長尺部8を備えることから、ドアDの引張力および自重に対する引張耐力を強化することができる。そのため、ドア枠EとドアDとをよりスムーズに相対回転させることができる。
【0040】
[実施形態5]
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
図11は、本発明の第5の実施形態を示したものである。
図11において、
図1から
図10に記載の構成要素と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
この実施形態と上記第4の実施形態とは基本的構成は同一であり、ここでは主として異なる点について説明する。
第1の補助長尺部7の一端部7dは、中央領域EU2に取り付けられ、他端部7eが中央領域DD2に取り付けられている。また、第2の補助長尺部8の一端部8dは、中央領域ED2に取り付けられ、他端部8eが中央領域DU2に取り付けられている。
【0041】
以上より、本実施形態における蝶番10dおよび連結構造20dによれば、第1の補助長尺部7および第2の補助長尺部8を備えることから、ドアDの引張力および自重に対する引張耐力を強化することができる。そのため、ドア枠EとドアDとをよりスムーズに相対回転させることができる。
【0042】
[実施形態6]
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。
図12は、本発明の第6の実施形態を示したものである。
図12において、
図1から
図11に記載の構成要素と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
この実施形態と上記第4の実施形態とは基本的構成は同一であり、ここでは主として異なる点について説明する。
本実施形態における蝶番10eは、第1の補助長尺部7および第2の補助長尺部8をそれぞれ2つずつ備えている。
1つ目の第1の補助長尺部7の一端部7dは端部領域EU1に取り付けられ、他端部7eが端部領域DD1に取り付けられている。2つ目の第1の補助長尺部7の一端部7dは中央領域EU2に取り付けられ、他端部7eが中央領域DD2に取り付けられている。
また、1つ目の第2の補助長尺部8の一端部8dは端部領域ED1に取り付けられ、他端部8eが端部領域DU1に取り付けられている。2つ目の第2の補助長尺部8の一端部8dは中央領域ED2に取り付けられ、他端部8eが中央領域DU2に取り付けられている。
【0043】
以上より、本実施形態における蝶番10eおよび連結構造20eによれば、第1の補助長尺部7および第2の補助長尺部8をそれぞれ複数備えることから、ドアDの引張力および自重に対する引張耐力を強化することができる。そのため、ドア枠EとドアDとをよりスムーズに相対回転させることができる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、各種の変形及び変更が可能である。
例えば、巻回部4を設けるとしたが、これに限ることはなく、この巻回部4は設けられていなくてもよい。この場合、中途部1c,2c,5c,7c,8cが巻回されることなく、回転軸線Bに対して交差する方向に配されて1回交差した状態になる。
なお、中途部1c,2cが1回交差した場合、
図13に示すように、環状の保持部9を設けることができる。この保持部9に中途部1c,2cが通されている。これにより、交差部3の交差状態を保持することができる。
なお、
図13において、符号10fは蝶番を示している。
また、
図13においては、保持部9を横に配した状態で、中途部1c,2cが通されているが、これに限ることはなく、保持部9を縦に配した状態で、中途部1c,2cが通されていてもよい。
また、保持部9の形状は、適宜変更可能である。例えば、球状であってもよい。保持部9には、それぞれの中途部1c,2c,5c,7c,8cを通すようにしてもよい。
【0045】
また、中途部1c,2c,5c,7c,8cは、長手方向の中央部に設けられるとしているが、これに限ることはなく、長手方向の一端側または他端側に設けられていてもよい。
また、第1の長尺部1および第2の長尺部2と回転軸線Bとの角θが45°に設定されているが、これに限ることはなく、これら設置の角度は適宜変更可能である。また、第1の長尺部1および第2の長尺部2の幅方向Wに対する角θ1も45°としているが、これに限ることはなく、これら設置の角度は適宜変更可能である。
【0046】
なお、ドア枠EおよびドアDに形成する取付穴は、
図14(a)に示すように、ドアDのうちドア枠Eに対向する対向面D2から、正面D3との角θが45°に延びるように設けることができる。同様に、ドア枠EのうちドアDに対向する対向面E2から、正面E3との角θが45°に延びるように設けることができる。すなわち、取付穴の開口部が対向面D2,E2に設けられる。これにより、
図14(b)に示すように、対向面D2と対向面E2との間に蝶番を取り付けることができ、蝶番の外方への露出を少なくすることができる。
また、
図15(a)に示すように、取付穴の開口部が正面D3,E3に設けられていてもよい。これにより、
図15(b)に示すように、正面D3と正面E3から蝶番を外方に露出させることができる。すなわち、取付穴の開口部の位置により、蝶番の露出を調整することができる。
【0047】
また、
図16に示すように、巻回部4に補助部11を設けることもできる。補助部11は、スプリング状に形成されている。補助部11は、2本設けられており、1つ目の補助部11に第1の長尺部1が通され、2つ目の補助部11に第2の長尺部2が通されている。すなわち、2つの補助部11が複数回巻回された状態になっている。これにより、第1の長尺部1と第2の長尺部2とが接触することを防止することができ、第1の長尺部1と第2の長尺部2との間に生じる摩擦を軽減させることができる。そのため、第1の長尺部1および第2の長尺部2のそれぞれの引張耐力を効果的に利用することができる。また、補助部11が設けられることにより、第1の長尺部1および第2の長尺部2を保護することができる。
なお、
図16において、符号10gは蝶番を示している。
【0048】
また、補助部11の形状は、適宜変更可能であり、例えば、筒状にしたり、スパイラル管を利用したりすることができる。さらに、
図17に示すように、補助部11aが3連のリングからなるようにしてもよい。これら3連のリングに第1の長尺部1および第2の長尺部2を通すことができ、これにより、第1の長尺部1と第2の長尺部2との間に生じる摩擦を軽減させることができる。なお、補助部11aの形状が3連のリングとしているが、その形状は適宜変更可能である。例えば、5連のリングなど複数のリング形状であってもよい。また、補助部11aが球状であってもよい。
なお、
図17において、符号10hは蝶番を示すものである。
また、
図18に示すように、スプリング状の保護部12aを設けてもよい。この保護部12aに第1の長尺部1および第2の長尺部2を通すことにより、これら第1の長尺部1および第2の長尺部2を保護することができる。
また、
図18に示す蝶番10iにおいては、第1の長尺部1と第2の長尺部2の太さが異なっている。すなわち、第1の長尺部1の太さ寸法が、第2の長尺部2の太さ寸法よりも大きくなっている。これにより、ドアDの自重に対する引張耐力を強化することができる。すなわち、ドアDの引張力よりもドアDの自重の方が大きくなることが一般的であり、このような場合に、太さ寸法の大きい第1の長尺部1の引張耐力によってドアDの自重を支持し、太さ寸法の小さい第2の長尺部2の引張耐力によってドアDの引張力を支持することができる。そのため、ドアDの自重を適切に支持しつつ、第2の長尺部2の露出を抑えることができる。そのため、デザイン性を低下させずにドア枠EとドアDとを相対回転可能に連結することができる。
【0049】
また、第1の長尺部1および第2の長尺部2の長手寸法が同一であるものとしているが、これに限ることはなく、長手寸法が異なるようにしてもよい。例えば、
図19(a)に示すように、第1の長尺部1に対して第2の長尺部2の長手寸法が大きくなっている。すなわち、ドアDの一方部DB1に形成される取付穴の深さ寸法が、一方部EB1および他方部EB2,DB2に形成される深さ寸法よりも大きくなっており、これら一方部EB1,DB1および他方部EB2,DB2に、第1の長尺部1または第2の長尺部2がそれぞれ挿入され固定されている。
【0050】
このような構成のもと、
図19(a)に示すように、第2の長尺部2の他端部2eが高さ方向Hの上方に配された正位置にドア枠EおよびドアDが配されると、第1の長尺部1の長手寸法が小さくなっており、かつ第1の長尺部1の引張耐力によってドアDの自重が支持されるため、ドア枠EとドアDの高さ位置が変わることなく、ドア枠EとドアDとが相対回転する。一方、
図19(b)に示すように、第2の長尺部2の他端部2eが高さ方向Hの下方に配された逆位置(正位置に対して上下逆に配された位置)にドア枠EおよびドアDが配されると、第2の長尺部2の長手寸法が長くなっており、かつ第2の長尺部2の引張耐力によってドアDの自重が支持されるため、ドアDが自重によりドア枠Eに対して高さ方向Hの下方にスライドしドア枠Eよりも低い位置に配される。この状態で、ドア枠EとドアDとが相対回転する。
これにより、ドア枠EとドアDの高さ方向Hの位置を設置状況に応じて変更することができる。
なお、符号10jは蝶番を示すものであり、符号20jは連結構造を示すものである。
【0051】
また、
図20に示すように、ドア枠Eの正面E3およびドアDの正面D3の外方に突出した位置に交差部3を配するようにしてもよい。すなわち、湾曲状に突出する突出部E4,D4が正面E3,D3に設けられ、これら突出部E4,D4の外方に交差部3が配される。これら突出部E4,D4は、正面E3,D3よりも外方において交差部3を支持する外方支持部として機能する。
このような連結構造20fによれば、回転軸線Bを正面E2,D2よりも外方に設定することができ、ドアDをドア枠Eに対してより円滑に180°回転させることができる。
なお、外方支持部としては、突出部E4,D4に代えて、
図21に示すように、リング部材13であってもよいし、球状部材などであってもよい。このような連結構造20gによって、回転軸線Bを正面E3,D3よりも外方に設定することができ、ドアDをドア枠Eに対してより円滑に180°回転させることができる。
【0052】
また、ドア枠EおよびドアDへの蝶番の取り付け位置は、適宜変更可能である。例えば、ドア枠EおよびドアDの高さ方向Hの全長にわたって一つの蝶番を取り付けてもよいし、高さ方向Hの一部に取り付けたり複数箇所に取り付けたりしてもよい。
また、一の回転体をドア枠Eとし、他の回転体をドアDとしているが、これに限ることはなく、回転体の種類や形状等は適宜変更可能である。また、一の回転体を固定して、他の回転体を相対回転させるだけでなく、一の回転体を相対回転させて、他の回転体を固定してもよいし、一の回転体および他の回転体をともに相対回転させてもよい。
また、回転軸線Bを鉛直方向または水平方向に向けているが、これに限ることはなく、適宜変更可能である。例えば、回転軸線Bを傾斜させてもよい。
【0053】
また、
図22は、蝶番および連結構造の他の変形例を示している。この変形例においては、回転軸線Bは水平方向に向けられている。
蝶番10は、回転軸線Bの一方側(右端側)と他方側(左端側)に2つ取り付けられている。
符号Eb1,eb1は一方部を示すものであり、符号Db2,db2は他方部を示すものである。一方部Eb1,eb1および他方部Db2,db2とは、回転軸線Bの軸線方向における相対的な位置関係を意味するものである。ここでは、右端側と左端側とで分けて説明する。
まずは、右端側において、一方部Eb1とは、回転軸線Bを境界線として2分する領域の一方の領域(ここではドアDおよびドア枠Eの上方)のうち、回転軸線Bの軸線方向の一方側(ここではドア枠E側)を意味し、他方部Db2とは、一方部Eb1に対して回転軸線Bの軸線方向の他方側(ここではドアD側)を意味している。
同様に、右端側において一方部eb1とは、回転軸線Bを境界線として2分する領域の他方の領域(ここではドアDおよびドア枠Eの下方)のうち、回転軸線Bの軸線方向の一方側(ここではドア枠E側)を意味し、他方部db2とは、一方部eb1に対して回転軸線Bの軸線方向の他方側(ここではドアD側)を意味している。
【0054】
また、左端側において、一方部Eb1とは、回転軸線Bを境界線として2分する領域の一方の領域(ここではドアDおよびドア枠Eの上方)のうち、回転軸線Bの軸線方向の一方側(ここではドアD側)を意味し、他方部Db2とは、一方部Eb1に対して回転軸線Bの軸線方向の他方側(ここではドア枠E側)を意味している。
同様に、左端側において一方部eb1とは、回転軸線Bを境界線として2分する領域の他方の領域(ここではドアDおよびドア枠Eの下方)のうち、回転軸線Bの軸線方向の一方側(ここではドアD側)を意味し、他方部db2とは、一方部eb1に対して回転軸線Bの軸線方向の他方側(ここではドア枠E側)を意味している。
【0055】
第1の長尺部1の一端部1dは、一方部Eb1に取り付けられており、他端部1eは、他方部db2に取り付けられている。また、第2の長尺部2の一端部2dは、他方Db2に取り付けられており、他端部2eは、一方部eb1に取り付けられている。
このようにして、2つの蝶番10が、それぞれの一方部Eb1,eb1および他方部Db2,db2に取り付けられることにより、ドア枠EとドアDとが回転軸線Bを回転中心として、相対回転可能に連結される。
このように、蝶番10によってドア枠EとドアDとが相対回転可能に連結されたものが、連結構造20hとなる。
このような構成のもと、利用者がドアDの下端部を手前に引くと、回転軸線Bを回転中心として、ドアDの下端部が上方に向かって手前側に回転していく。
【0056】
以上より、この蝶番10および連結構造20hによれば、ドア枠EとドアDとをスムーズに相対回転させることができるだけでなく、ドア枠EとドアDとのデザイン性を低下させないようにすることができる。
なお、この変形例においても、中央長尺部5、第1の補助長尺部7または第2の補助長尺部8を設けることができることは言うまでもない。
【0057】
また、第1の補助長尺部7および第2の補助長尺部8が、巻回部4の中を通されるとしたが、これに限ることはなく、適宜変更可能である。例えば、第1の補助長尺部7および第2の補助長尺部8の中途部7c,8cが、中途部1c,2cとともに複数回巻回されていてもよいし、中途部5cとともに複数回巻回されていてもよい。これにより、交差部3を補強することができる。
また、中央長尺部5が巻回部4の中央を通されているとしたが、これに限ることはなく、巻回部4のどこかを通されていればよい。また、中央長尺部5は巻回部4を通されていなくてもよい。この場合、保持部9により中央長尺部5の交差状態を保持するようにしてもよい。
【0058】
また、第1の補助長尺部7および第2の補助長尺部8が巻回部4の中央を通されているとしたが、これに限ることはなく、巻回部4のどこかを通っていればよい。また、第1の補助長尺部7または第2の補助長尺部8の少なくともいずれか一方が巻回部4を通されていればよい。また、第1の補助長尺部7および第2の補助長尺部8のいずれも巻回部4を通されていなくてもよい。この場合、保持部9により第1の補助長尺部7および第2の補助長尺部8の交差状態を保持するようにしてもよい。
また、中央長尺部5、第1の補助長尺部7および第2の補助長尺部8が巻回部4の中央を通されているとしたが、これに限ることはなく、巻回部4のそれぞれ異なる箇所を通されていてもよい。
【0059】
また、規制部6は、蝶番10bの設置後に取り除かれるようになっているが、これに限ることはなく、蝶番10bの設置後にもそのまま取り付けられているようにしてもよい。
また、規制部6は、交差部3の両端部の少なくともいずれか一方に設けられていればよい。さらに、規制部6は設けられていなくてもよい。
また、一方部EB1と一方部DB1とは、回転軸線Bを挟んで対向する位置に設定されているが、これに限ることはなく、異なる位置に設定されていてもよい。同様に、他方部EB2と他方部DB2とは、回転軸線Bを挟んで対向する位置に設定されているが、異なる位置に設定されていてもよい。
また、第1の長尺部1と第2の長尺部2の太さ寸法は、適宜変更可能である。例えば、上述したように、第1の長尺部1と第2の長尺部2の太さ寸法が同一であってもよいし、第1の長尺部1の太さ寸法の方が大きくてもよい。さらに、第2の長尺部2の太さ寸法の方が大きくなっていてもよい。つまり、設置する状況に応じて、第1の長尺部1と第2の長尺部2の太さ寸法を適宜調整することができる。
【0060】
既述の実施形態に関し、さらに以下の付記を記載する。
(付記1)
一の回転体と他の回転体とを回転軸線を中心として相対回転可能に連結する蝶番であって、
長尺状に形成されて前記一の回転体と前記他の回転体とにわたってそれぞれ取り付けられる第1の長尺部及び第2の長尺部を備え、
前記第1の長尺部は、一端部から他端部にかけて前記回転軸線の一方から他方に傾斜して延ばされ、
前記第2の長尺部は、一端部から他端部にかけて前記回転軸線の他方から一方に傾斜して延ばされ、
前記第1の長尺部及び前記第2の長尺部のそれぞれの長手方向の中途部が前記回転軸線に対して交差する方向に配されて互いに交差する交差部とされる蝶番。
【0061】
(付記2)
前記第1の長尺部の一端部が、前記一の回転体又は前記他の回転体のいずれか一方のうち前記回転軸線の軸線方向の一方部に取り付けられ、前記第1の長尺部の他端部が前記一の回転体又は前記他の回転体のいずれか他方のうち前記軸線方向の他方部に取り付けられるようになっており、
前記第2の長尺部の一端部が、前記一の回転体又は前記他の回転体のいずれか一方のうち前記軸線方向の他方部に取り付けられ、前記第2の長尺部の他端部が前記一の回転体又は前記他の回転体のいずれか他方のうち前記軸線方向の一方部に取り付けられるようになっており、
前記交差部は、前記第1の長尺部及び前記第2の長尺部のそれぞれの中途部がX状に交差する付記1に記載の蝶番。
【0062】
(付記3)
前記交差部は、前記第1の長尺部及び前記第2の長尺部のそれぞれの中途部が複数回巻回される巻回部である付記1又は付記2に記載の蝶番。
【0063】
(付記4)
長尺状に形成されて前記一の回転体と前記他の回転体とにわたって取り付けられる中央長尺部を備え、
前記中央長尺部の一端部が、前記第1の長尺部の一端部が取り付けられる一方部と前記第2の長尺部の一端部が取り付けられる他方部との間の前記軸線方向の中央部に取り付けられ、
前記中央長尺部の他端部が、前記第1の長尺部の他端部が取り付けられる他方部と前記第2の長尺部の他端部が取り付けられる一方部との間の前記軸線方向の中央部に取り付けられるようになっており、
前記中央長尺部の長手方向の中途部は、前記交差部において前記第1の長尺部及び前記第2の長尺部のそれぞれの中途部に対して前記交差する方向に配されて互いに交差する付記2又は付記2に従属する付記3に記載の蝶番。
【0064】
(付記5)
前記中央長尺部の中途部が、前記巻回部を通される付記3に従属する付記4に記載の蝶番。
【0065】
(付記6)
長尺状に形成されて前記一の回転体と前記他の回転体とにわたってそれぞれ取り付けられる第1の補助長尺部及び第2の補助長尺部を備え、
前記第1の補助長尺部の一端部は、前記第1の長尺部の一端部が取り付けられる一方部と前記第2の長尺部の一端部が取り付けられる他方部との間の前記軸線方向の中央部に対して前記軸線方向の一方側の領域に取り付けられ、
前記第1の補助長尺部の他端部は、前記第1の長尺部の他端部が取り付けられる他方部と前記第2の長尺部の他端部が取り付けられる一方部との間の前記軸線方向の中央部に対して前記軸線方向の他方側の領域に取り付けられ、
前記第2の補助長尺部の一端部は、前記第1の長尺部の一端部が取り付けられる一方部と前記第2の長尺部の一端部が取り付けられる他方部との間の前記軸線方向の中央部に対して前記軸線方向の他方側の領域に取り付けられ、
前記第2の補助長尺部の他端部は、前記第1の長尺部の他端部が取り付けられる他方部と前記第2の長尺部の他端部が取り付けられる一方部との間の前記軸線方向の中央部に対して前記軸線方向の一方側の領域に取り付けられるようになっており、
前記第1の補助長尺部及び前記第2の補助長尺部のそれぞれの長手方向の中途部は、前記交差部において前記第1の長尺部及び前記第2の長尺部のそれぞれの中途部に対して前記交差する方向に配されて交差する付記2、付記2に従属する付記3、付記4または付記5に記載の蝶番。
【0066】
(付記7)
前記巻回部が、前記第1の長尺部、前記第2の長尺部、前記第1の補助長尺部及び前記第2の補助長尺部のそれぞれの中途部が複数回巻回されて構成される付記3に従属する付記6に記載の蝶番。
【0067】
(付記8)
前記第1の補助長尺部及び前記第2の補助長尺部のそれぞれの中途部が、前記巻回部を通される付記3に従属する付記6に記載の蝶番。
【0068】
(付記9)
前記第1の長尺部と前記第2の長尺部の長手寸法が異なっており、
前記長手寸法が異なった状態で前記第1の長尺部および前記第2の長尺部が前記一の回転体または前記他の回転体に取り付けられるようになっている付記1から付記8のいずれか一項に記載の蝶番。
【0069】
(付記10)
前記交差部に取り付けられて前記第1の長尺部及び前記第2の長尺部のそれぞれの中途部が互いに接触しないようにするための補助部を備える付記1から付記9のいずれか一項に記載の蝶番。
【0070】
(付記11)
前記交差部に取り付けられて前記第1の長尺部及び前記第2の長尺部のそれぞれの中途部の交差を保持するための保持部を備える付記1から付記10のいずれか一項に記載の蝶番。
【0071】
(付記12)
前記交差部を保護する保護部を備える付記1から付記11のいずれか一項に記載の蝶番。
【0072】
(付記13)
前記第1の長尺部と前記第2の長尺部の太さが異なっている付記1から付記12のいずれか一項に記載の蝶番。
【0073】
(付記14)
一の回転体と他の回転体とが回転軸線を中心として相対回転可能に連結された連結構造であって、
付記1から付記13のいずれか一項に記載の蝶番を備え、
前記第1の長尺部の一端部が、前記一の回転体又は前記他の回転体のいずれか一方のうち前記軸線方向の一方部に取り付けられ、前記第1の長尺部の他端部が前記一の回転体又は前記他の回転体のいずれか他方のうち前記軸線方向の他方部に取り付けられており、
前記第2の長尺部の一端部が、前記一の回転体又は前記他の回転体のいずれか一方のうち前記軸線方向の他方部に取り付けられ、前記第2の長尺部の他端部が前記一の回転体又は前記他の回転体のいずれか他方のうち前記軸線方向の一方部に取り付けられており、前記第1の長尺部及び前記第2の長尺部のそれぞれの長手方向の中途部が前記交差部において前記回転軸線に対して交差する方向に互いに交差している連結構造。
【解決手段】一の回転体と他の回転体とを回転軸線Bを中心として相対回転可能に連結する蝶番10であって、長尺状に形成されて前記一の回転体と前記他の回転体とにわたってそれぞれ取り付けられる第1の長尺部1及び第2の長尺部2を備え、前記第1の長尺部1は、一端部1dから他端部1eにかけて前記回転軸線Bの一方から他方に傾斜して延ばされ、前記第2の長尺部2は、一端部2dから他端部2eにかけて前記回転軸線Bの他方から一方に傾斜して延ばされ、前記第1の長尺部1及び前記第2の長尺部2のそれぞれの長手方向の中途部1c,2cが前記回転軸線Bに対して交差する方向に配されて互いに交差する交差部3とされる。