特許第6284679号(P6284679)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284679
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】超硬物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/5831 20060101AFI20180215BHJP
   C04B 35/52 20060101ALI20180215BHJP
   B22F 7/00 20060101ALI20180215BHJP
   B22F 3/15 20060101ALI20180215BHJP
   C22C 1/05 20060101ALI20180215BHJP
   B22F 3/20 20060101ALI20180215BHJP
   B23C 5/16 20060101ALI20180215BHJP
   C22C 29/16 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   C04B35/5831
   C04B35/52
   B22F7/00 J
   B22F3/15 G
   C22C1/05 P
   C22C1/05 M
   B22F3/20 D
   B23C5/16
   C22C29/16 Z
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-502997(P2017-502997)
(86)(22)【出願日】2015年7月10日
(65)【公表番号】特表2017-529454(P2017-529454A)
(43)【公表日】2017年10月5日
(86)【国際出願番号】EP2015065869
(87)【国際公開番号】WO2016008821
(87)【国際公開日】20160121
【審査請求日】2017年1月18日
(31)【優先権主張番号】1412809.4
(32)【優先日】2014年7月18日
(33)【優先権主張国】GB
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517007574
【氏名又は名称】エレメント シックス (ユーケイ) リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100154988
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 真知
(72)【発明者】
【氏名】ゴーシュ サントーヌ
【審査官】 小川 武
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−516330(JP,A)
【文献】 特開平11−291111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 7/00
B22F 3/15
B22F 3/20
B23C 5/16
C22C 1/05
C22C 29/16
C04B 35/00−35/84
B23P 15/00−15/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体に結合した超硬構造体を含む超硬物品であって、前記超硬構造体が、焼結された複数の超硬結晶粒を含んでなる前記超硬物品の製造方法であって、
前記超硬結晶粒が天然又は合成ダイヤモンド結晶を含み、かつ前記超硬構造体が多結晶性ダイヤモンド(PCD)材料を含むか、又は前記超硬結晶粒が立方晶窒化ホウ素結晶を含み、かつ前記超硬構造体が多結晶性立方晶窒化ホウ素(PCBN)材料を含み、
下記工程:
前記超硬構造体の焼結に適した原材料粉末を準備する工程;
前記原材料粉末を、液体媒体中の有機バインダー材料と混ぜ合わせてペーストを形成する工程であって、前記原材料粉末の含量が、前記ペーストの60質量パーセントより多く、85質量パーセント未満であり、かつ前記ペーストの組成が、最大で25毎秒(秒-1)のせん断速度を有するような組成である、前記工程;
前記基体を含む基体アセンブリーであって、前記超硬構造体の境界を形成するために構成された形成表面領域を有し、前記基体が、前記形成表面領域と共通の境界をする凹部を含んでなる基体アセンブリーを準備する工程;
前記ペーストを押し出して前記形成表面領域と接触させてペーストアセンブリーを与える工程;
前記ペーストアセンブリーを熱処理して前記バインダー材料を除去し、焼結前アセンブリーを与える工程;及び
前記原材料粉末を焼結させ、それを前記形成表面領域と共有する境界で前記基体に結合した前記超硬構造体に変えるのに十分な圧力と温度に前記焼結前アセンブリーをさらす工程を含む方法。
【請求項2】
前記原材料粉末の含量が、前記ペーストの70〜80質量パーセントである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記形成表面領域が平面領域を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ペーストに5〜9メガパスカル(MPa)の圧力を加える工程を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記基体が硬結炭化物材料を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記基体が、前記形成領域と境界を共有する超硬材料を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記基体が、焼結されて多結晶性超硬材料を形成できる前駆材料を含み、この前駆材料が前記形成表面領域と境界を共有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記基体アセンブリーが、焼結されて多結晶性超硬材料を形成できる前駆材料の層を含み、この層が硬結炭化物材料と接触し、かつ形成表面領域と境界を共有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記超硬物品が、互いに結合し、少なくとも1つの特性が異なる第1及び第2多結晶性超硬材料を含み;前記方法が、前記第1多結晶性超硬材料を形成して前記基体と接触させて基体アセンブリーを与えるための前駆材料ペーストを析出させる工程を含み、この第1超硬材料のための前駆材料ペーストは、液体媒体中の有機バインダー材料と、60質量パーセントより多く、85質量パーセント未満の前駆粉末とを含み、最大で25毎秒(秒-1)のせん断速度を有し;前記前駆材料ペーストの表面は前記形成表面領域と境界を共有し;前記超硬構造体が前記第2多結晶性超硬材料を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記基体アセンブリーが、前記基体と接触する部材を含み、この部材は、前記形成表面領域と該部材の境界との間に前記超硬構造体の形成用に構成された空洞を形成するように構成され;前記方法が、前記ペーストを前記空洞中に押し出す工程を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記基体が硬結炭化物材料を含み、かつ一対の両端を有し、これらの両端は、前記形成表面領域と境界を共有し、かつ該両端間に伸長する細長い凹部を含む側面でつながっている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
超高圧プレス装置に適したカプセル内に前記基体アセンブリーを入れ、このカプセルを前記圧力と温度にさらし;前記カプセルを前記超高圧プレス装置から取り出し、前記超硬物品からカプセル材料を除去する工程を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記超硬物品が、両端とつながっている円柱側面と、前記基体の表面と、前記側面と境界を共有する前記超硬構造体の表面とを含んでなる実質的に円柱形状を有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記超硬物品が、らせん経路に沿って配置された複数の細長い超硬構造体を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記超硬物品を加工し、工作機械用の切削エレメントを形成する工程を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本開示は、一般的に、排他的ではないが特に工具の製造に用いる超硬構造体を含む物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
米国特許第7,235,211号は、ロータリーコーンロックビットと共に用いられる切削エレメント上に設けられた機能的に設計された複合摩耗面の製造方法を開示する。この方法は、切削エレメントの内面に適合する材料混合物を適用してグリーン状態の材料層を形成する工程を含む。この材料混合物を、内面にフィットする形状の部品に前もって形作ることができる。適用された材料混合物を高温条件下で加圧して材料混合物を固めて焼結させることによって、適用材料混合物と基体との間の望ましくない材料移動を回避する様式で耐摩耗面を形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
排他的ではないが特に工作機械、耐摩耗性コンポーネント及び舗道切削又は採掘用のピック工具を製造するためのプリフォーム体として用いる超硬材料を含む複合品が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
第一態様により、基体に結合した超硬構造体を含む超硬物品であって、該超硬構造体が複数の焼結超硬結晶粒を含んでなる超硬物品の製造方法を提供する。本方法は、超硬構造体を焼結させるのに適した原材料粉末を準備する工程を含む。原材料粉末を液体媒体中の有機バインダー材料と混ぜ合わせてペーストを形成する。原材料粉末の含量は、ペーストの60質量パーセントより多く、85質量パーセント未満であり、ペーストの組成は、最大で25毎秒(秒-1)のせん断速度を有するような組成である。超硬構造体の境界を形成するために構成された形成表面領域を有する基体を含む基体アセンブリーを準備する。基体は形成表面領域と境界を共有する凹部を含む。ペーストを押し出して形成表面領域と接触させてペーストアセンブリーを与える。ペーストアセンブリーを熱処理し、バインダー材料を除去し、焼結前アセンブリーを与える。原材料粉末を焼結させ、それを形成表面領域と境界を共有する基体に結合した超硬構造体に変えるのに十分な圧力と温度に焼結前アセンブリーをさらす。
【0005】
さまざまに適用するための超硬物品の種々の配置例を製造するための本開示は、本方法の変形形態を想定し、以下にその非限定、非排他的例を示す。
一部の例では、圧力は少なくとも約3、少なくとも約5又は少なくとも約6ギガパスカル(GPa)であってよい。温度は、少なくとも約1,200℃、少なくとも約1,300℃又は少なくとも約1,400℃であってよい。焼結前アセンブリーは、原材料粉末の実質的に全てを超硬構造体に変えるのに十分な時間、該圧力と温度を受けるであろう。
一部の例では、ペースト中の原材料粉末の含量は、ペーストの少なくとも70質量パーセント及び又は最大で80質量パーセントであってよい。一部の例では、ペーストは、約70〜85質量パーセントの原材料粉末を含んでよい。一部の例では、ペースト中の原材料粉末の含量は、ペーストの36体積パーセントより多く、少なくとも約40又は少なくとも約42 体積パーセント;及び又はペーストの59体積パーセント未満、最大で約55又は最大で53体積パーセントであってよい。
【0006】
一般に、ペーストのせん断速度は種々の手段で制御可能である。例えば、下記局面:バインダー材料のタイプ、中にバインダー材料が存在する液体の相対量、結晶粒のサイズ及び又は形状分布、及び又は原材料粉末結晶粒の比表面積の1つ以上を選択的に制御して所望のせん断速度を達成することができる。種々の例では、ペーストの組成は、少なくとも1、少なくとも約3又は少なくとも約8毎秒(秒-1);及び又は21未満、最大で16、16未満、最大で15又は15未満毎秒(秒-1)のせん断速度を有するような組成であってよい。一部の例では、ペーストの組成は、8〜16毎秒(秒-1)のせん断速度を有するような組成であってよい。
有機バインダー材料のタイプは、それが熱処理によってペーストから除去された後に原材料粉末結晶粒の間に残存する有機バインダー材料の残渣の低減を視野に入れて選択可能である。一部の例では、バインダーが水に溶解できないようなバインダーを選択し得る。バインダーは、アルコールに溶解可能であってよい。
実質的に全て又はほとんどのバインダー材料は、ペーストアセンブリーの熱処理によって除去可能であり、及び又はバインダー材料の一部の残渣は原材料粉末と接触したままであってよい。例えば、炭素含有残渣が残存することがあり、及び又は残渣が原材料粉末結晶粒の少なくとも一部の表面上にコーティング又はフィルムとして存在することがある。熱処理後に、焼結前アセンブリーに含まれる原材料粉末の配置は、ペーストアセンブリーに含まれる配置と実質的に同一であり、原材料粉末結晶粒の間に空孔の連続網目構造を含むであろう。
一部の例では、ペーストは、形成表面領域の実質的に全てと接触し得る。一部の例では、形成表面領域は平面領域を含んでよい。基体のある程度の変形及び結果的に前記圧力と温度で形成表面領域が生じ得るので、基体アセンブリーは、このことを考慮して構成する必要があり得る。
【0007】
一部の例では、本方法は、ペーストに5〜9メガパスカル(MPa)の圧力を加える工程を含んでよく、例えば、本方法は、5〜9メガパスカル(MPa)の圧力を加えてペーストを押し出し及び又は押し出されたペーストを圧縮する工程を含んでよい。
一部の例では、超硬結晶粒は、天然若しくは合成ダイヤモンド結晶を含むか又はそれらから成り、超硬構造体は、多結晶性ダイヤモンド(PCD)材料を含むか又はそれらから成り;或いは超硬結晶粒は立方晶窒化ホウ素結晶を含むか又はそれらから成り、超硬構造体は多結晶性立方晶窒化ホウ素(PCBN)材料を含むか又はそれらから成ってよい。
一部の例では、基体は硬結(cemented)炭化物材料を含むか又はそれから成ってよく;及び又は基体は、形成領域と境界を共有する超硬材料を含むか又はそれから成ってよく;及び又は基体は、焼結させて多結晶性超硬材料(例えばPCD又はPCBN材料)を形成することができ、形成表面領域と境界を共有する前駆材料を含むか又はそれから成ってよい。一部の例では、基体アセンブリーは、焼結させて多結晶性超硬材料(例えばPCD又はPCBN)を形成できる前駆材料の層を含んでよく、この層は、硬結炭化物材料と接触し、形成表面領域と境界を共有する。
【0008】
一部の例では、超硬物品は、互いに結合し、少なくとも1つの特性(例えばマクロ構造若しくはミクロ構造、組成又は他の特性)が異なる第1及び第2多結晶性超硬材料を含むか又はそれらから成ってよく;方法は、第1多結晶性超硬材料を形成して基体と接触させて基体アセンブリーを与えるための前駆材料ペーストを析出させる工程を含み、この第1多結晶性材料のための前駆材料ペーストは、液体媒体中の有機バインダー材料と、60質量パーセントより多く、85質量パーセント未満の前駆粉末とを含み、最大で25毎秒(秒-1)のせん断速度を有し;前駆材料ペーストの表面は、形成表面領域と境界を共有し;超硬構造体は第2多結晶性超硬材料を含むか又はそれから成る。一部の例では、前駆材料は、複数の超硬結晶粒を含み得る、結晶粒の凝集体を含んでよい。
一部の方法例は、少なくとも2つの両方ともペースト形態で、互いに共通の境界で接触し、互いに少なくとも1つの特性(例えば、原材料粉末組成、超硬結晶粒等の結晶粒のサイズ分布、又はいくつかの他の物理的、マクロ構造的若しくはミクロ構造的特性)が異なる粉末凝集体を準備する工程を含む。ペーストアセンブリーの熱処理の結果、両ペーストからバインダー材料を除去することができる。
例えば、第1及び第2多結晶性超硬材料は、それぞれPCD及び又はPCBN材料を含むか或いはそれらから成ってよい。一部の例では、第1及び第2多結晶性超硬材料は、異なる等級のPCD材料、又は異なる等級のPCBN材料を含むか或いはそれらから成ってよく;或いは多結晶性超硬材料の一方がPCD材料を含むか又はそれから成り、他方がPCBN材料を含むか又はそれから成ってよい。
【0009】
一部の例では、基体アセンブリーは、基体と接触する部材であって、形成表面領域と部材の境界との間に空洞を形成するように構成された部材を含んでよく、空洞は超硬構造体を形成するために構成され;方法は、ペーストを空洞中に押し出す工程を含む。例えば、基体アセンブリーは、基体を収容できるスリーブを含んでよく;スリーブは耐火金属(例えばニオブ、モリブデン又はタンタル)を含んでよく、或いはスリーブはセラミック材料を含んでよい。
一部の例では、基体が硬結炭化物材料を含むか又はそれから成ってよく、かつ一対の両端を有し、これらの両端は、形成表面領域と境界を共有し、かつ該両端間に伸長する細長い凹部を含む側面でつながっている。
一部の例では、本方法は、超高圧プレス装置に適したカプセル内に基体アセンブリーを入れ、このカプセルを前記圧力と温度にさらし;カプセルを超高圧プレス装置から取り出し、超硬物品からカプセル材料を除去する工程を含むことができる。
一部の例では、超硬物品は、両端とつながっている円柱側面と、基体の表面と、側面と境界を共有する超硬構造体の表面とを含んでなる実質的に円柱形状を有し得る。一部の例では、超硬物品は、らせん経路に沿って配置された複数の細長い超硬構造体を含んでよい。
一部の例では、本方法は、超硬物品を加工し、工作機械、例えば回転式工作機械(例えば、エンドミル又はツイストドリル)の切削エレメントを形成する工程を含んでよい。本方法は、超硬構造体上に刃先を形成し;及び又は基体から材料を除去して縦溝を形成する工程を含んでよい。
【0010】
図面の簡単な説明
超硬物品の配置例を製造する非限定方法例を添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】加工して超硬エンドミル工具を形成できるプリフォーム(又は「ブランク」)体の配置例の概略斜視図を示す。
図1B図1Aに示すプリフォーム体例を製造するために使用できる基体構成例の概略斜視図を示す。
図1C図1Aに示すプリフォーム体例の超硬構造体の1つの構成例の概略斜視図を示す。
図1D図1Bに示す基体例の横断面図を示す(長さ寸法はミリメートル、mmである)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
超硬物品がエンドミル工具のカッターエレメントである、超硬物品の配置例を製造する非限定方法例について述べる。他の例は、ギア用パーツ並びに道路切削又は採掘用ピック等のピック用チップ等の耐摩耗性コンポーネントを含んでよい。
ミル工具を作製するためのプリフォーム体として用いる3つの実施例及び3つの比較超硬物品を作製した。ここでは、異なる含量の有機バインダー溶液を用いてペーストを作製した。
図1A図1Dを参照すると、プリフォーム体10は、細長い円柱形状を有し、一対の両端11A、11Bが円柱側面12でつながっている。軸方向に整列され、正距方位的な(azimuthally equidistant)4つの多結晶性立方晶窒化ホウ素(PCBN)複合材料脈構造体14が一方の11A端から他方の11B端に伸長し、側面12と境界を共有した。PCBN脈構造体14は、硬結炭化タングステン材料から成る基体18内の凹部16に埋め込まれた。基体本体は21mmの直径を有した。PCBN材料は、Element SixTMから入手可能な市販のPCBN材料、等級DBW85(TM)であった。
PCBN材料用の原材料粉末は、cBN結晶粒を、約6μmの平均粒径を有するアルミニウム(Al)粉末とブレンドすることによって調製した。cBNの質量含量は、ブレンド粉末の約90パーセントであり、残余はAl粉末から成った。cBN結晶粒は、レーザー回折手段により測定した場合の円相当径(ECD)に関して3〜8μmの範囲の平均サイズを有した。ポリ(ビニルブチラール-co-ビニルアルコール-co-酢酸ビニル及びポリエチレングリコール(PEG)を含む有機バインダー材料の溶液を同質量のエタノールと混合した。ブレンド原材料粉末と混合したバインダー溶液を含む3つの実施例及び比較ペーストを調製した。
【0013】
実施例及び比較試料では同一構成を有する基体を用いた。図1Dを参照すると、各基体18は、18ミルメートル(mm)の直径を有し、基体18の一端から反対端に伸長する4つの正距方位的な凹部16を含んだ。凹部16の表面が基体18の形成表面領域をもたらした。各凹部16は、‘U’形溝の一般的形状を有し、基体18の円周から(基体の横断面に外接する円から)凹部16の最内表面領域との間の半径方向距離は3.5ミリメートル(mm)であり、凹部16の最内領域(つまり、‘底部’)の曲率半径は1.5ミリメートル(mm)であった。凹部が基体18の円周面と交わる凹部16の縁は、0.5ミリメートル(mm)のホーン(丸みを帯びた縁)を備えた。
凹部16は、各焼結超硬脈構造体14の構成とサイズが所望どおりになるように構成された。基体18の直径及び凹部16の深さは、プリフォーム品の側面から一部の材料を除去して、それを所望の最終寸法に加工し、望ましい寸法からの側面のわずかな変分又はずれを除去できるように、必要な寸法よりわずかに大きくした。
基体18の側面は、ニオブ(Nb)から成るそれぞれのスリーブ(図示せず)内に封入され、結果として凹部16とスリーブの内部表面領域によって画定される4つの細長い開口空洞を形成した。ペーストの長さが約3ミリメートル(mm)の横断面径を有するように、ストリング様長さのペーストを直接空洞内に注入するために構成されたノズルを有する押出装置を準備した。全ての場合に、圧縮工具を用いて、注入されたペースト上に縦に圧力を加えてその密度を高めた。圧縮圧力は、約5MPaの誤差を含んで約5メガパスカル(MPa)と推定した。
実施例1〜3のペーストは、ペーストの約47〜58体積パーセントと推定される20〜30質量パーセントの範囲の3つの異なる量のバインダー溶液を含んだ。各例では、ペーストを4つの空洞のそれぞれの中に押出−注入してペーストアセンブリーを形成した。実施例及び比較例では、ペーストを種々の粘度と堅さのストリング様構造体として押し出した。実施例1、2及び3では、ペーストは、より高い材料密度を達成し、完全に溝を満たすために空洞内でそれを加圧できるようにするのに十分な粘度であった。
ペーストアセンブリーは、30分間窒素ガスを流す中で1,000℃にて熱処理受けて、有機バインダーの実質的に全てを除去して焼結前アセンブリーを形成した。原材料粉末配置の多くても約1質量パーセントと推定されるいくらかの炭素質残渣が粉末内に残存する可能性があった。バインダーを除去した後の原材料粉末の密度は、最大理論密度の約50パーセントであり、体積の残余は細孔であると推定した。特定の理論に拘束されることを望むものではないが、残渣は、粉末結晶粒の表面の酸素汚染から原材料粉末を保護する役割を果たす可能性がある。
ベルト型超高圧プレスに適したカプセル中に焼結前アセンブリーを入れ、約5.5ギガパスカル(GPa)の一軸印加圧と約1,300℃の温度に約5分間さらして原材料粉末を焼結させ、4つの各凹部内で基体に結合したPCBN脈を含む焼結品を形成した。他の例では、ベルト型プレス以外の超圧プレスを用いて一定の利益を与えることができる。例えば、キュービックプレス又はテトラヘドラルプレスの使用は、2つより多くの反対方向から、より平衡に圧力が加えられるので、より均一に焼結した本体をもたらすことができる。
【0014】
焼結ディスク中のcBN含量は約85質量パーセントだった。これは、焼結前凝集体中の質量含量と、アルミニウム内の結晶粒の溶解及びその後の、cBN結晶粒が中に分散しているバインダーマトリックスの主要部を構成する窒化アルミニウムの形成から実質的に生じる焼結脈内の質量含量との差である。
焼結プロセス後、スリーブからの残留材料を研磨により除去し、本体の側面を所望径まで研磨した。焼結PCBN脈は、焼結の結果としてわずかに後退したことから少量のPCBN材料を研磨して除くだけだった。PCBNは超硬であり、相対的に遅いプロセスでダイヤモンド結晶粒を用いて研磨する必要があり得るので、結果としてプロセスの効率を改善した。超高圧の処理及び初期加工後には、焼結品の直径は17ミリメートル(mm)であり、その長さは16.5ミリメートル(mm)であった。焼結品をさらに研磨によって加工して、刃先を有する超硬構造体を形成し、超硬構造体間の方位角によって(azimuthally)基体中に縦溝(flute)を形成し、エンドミル工具用の切削エレメントを与えた。
表1は、実施例1、2及び3並びに比較例1、2及び3の特定パラメーター値及び結果を要約するのみならず、バインダー材料を除去し、多孔性原材料粉末配置をオーブンで乾燥した後のペーストのせん断速度及び原材料の密度を、これらが測定可能な場合に要約する。
【0015】
【表1】
【0016】
表1で注釈したように、約1毎秒(秒-1)未満の低過ぎるせん断速度を有するペーストは、粘性があり過ぎる傾向があるか又は崩壊する傾向があった。約27毎秒(秒-1)超えの高過ぎるせん断速度を有するペーストは、粘度が不十分であり、開示方法例で用いたところ実質的に変形する傾向があった。これらの制限範囲間のせん断速度を有するペーストは、開示方法例で用いるのに適する傾向があった。
超硬ミル工具を製造する特定の開示方法例は、ペーストの押出工程と、ペーストを直接注入して基体の形成表面領域と接触させる工程との併用から生じる可能性がある相対的に有効かつ便利な局面を有し得る。実際に、基体は、超硬構造体を形成するための型の少なくとも一部を提供するであろうし、超硬物品の、焼結プロセス中に基体に超硬構造体が結合する一部となるであろう。
特定方法例は、寸法精度が改善されたプリフォーム品をもたらし、完成工具又はコンポーネントを形成するために必要な加工を少なくするという局面を有し得る。
【0017】
一般的に、開示方法例は、バインダー材料の除去後の原材料粉末結晶粒相互の移動又は再配置を減少させるか又は実質的に排除するという効果を有し得る(言い換えれば、ペースト形態の原材料粉末の配置は、バインダーを除去した後に実質的に保存され得る)。このことは、超硬物品を実質的にさらに堅固な形状及び寸法交差まで焼結させ、及び又は焼結超硬構造体のさらに均一な密度を達成しやすくする。特に、少なくとも約3ギガパスカル(GPa)の超高圧力での焼結は、数百メガパスカル(MPa)までのずっと低い圧力での焼結より原材料粉末の配置の変化又は変形にかなり感受性が高い可能性があり、原材料粉末配置の比較的小さい変化でさえ、焼結超硬物品の配置及び又は密度のかなり大きな変化をもたらし得る。結果として、開示方法例は、超硬物品(排他的ではないが、特に超硬構造体(複数可)の構成が相対的に複雑である物品)の焼結の信頼性及び精度を増強する可能性があり、その結果、それらの形状及び寸法が完成品に望ましいものにできる限り近くなる。従って、完成工具又はコンポーネントを形成するための超硬物品の加工を減らすことができる。PCD及びPCBN等の超硬材料の加工は非常に時間とコストがかかり、特殊設備を必要とする可能性があるので、開示方法例は、原材料粉末を超高圧力と高温で焼結させることによって特定超硬物品を製造する効率の顕著な改善をもたらす可能性がある。
【0018】
開示方法例は、焼結工程前に取り扱うために焼結前アセンブリーをよりロバストにするという局面を有し得る。
基体アセンブリーが、ペースト形態であってもよい前駆粉末材料を含むか又はそれから成る、開示方法例は、押し出されたペーストからの結晶粒に基体アセンブリーの結晶粒が散在してくるリスクを低減又は実質的に排除するという局面を有し得る。粒散在のリスクは、熱処理中にペーストからバインダーを除去するときに生じる可能性があり、このときには、原材料粉末のある程度の再配置のリスクがあり得る。従って、特定方法例は、それぞれ異なる超硬材料又は異なる等級の超硬材料を含む、境界で共に結合した少なくとも2つの超硬区域を含み、境界を横切るこれらの区域間の移行は比較的シャープ、又は急激である、超硬物品を提供できるという局面を有し得る。言い換えると、製造プロセス中に中間移行層が生じるリスク及び又は該中間層の厚さを減少させ得る。
有機バインダーが非水性であり、実質的に水に溶解できない例では、原材料粉末結晶粒の表面上に酸化物不純物が析出するリスクを減少させることができ、超硬構造体の焼結を増強することができる。
【0019】
本明細書で用いる特定の用語及び概念を以下に簡単に説明する。
本明細書で使用する場合、粘度は、材料の流動特性であり、材料のせん断への抵抗性を表す。粘度は、単位面積当たりの力であるせん断応力と、流れの速度がゼロから該流速に変化する間の間隔で割った流れの速度であるせん断速度との比である。従って、せん断応力の単位は圧力の単位、すなわちパスカル(Pa)であり、せん断速度の単位は毎秒(秒-1)であり、結果として粘度の単位はニュートン秒(Pa.s)である。
本明細書で使用する場合、押出装置から押し出されたペースト等の材料を「押出物」と呼ぶことがある。押出物は、多くの異なる形態、例えばストリング様若しくはテープ様長さ、又はさらに複雑な形状を有する長さを有してよく、中に押出物を注入する空洞と実質的に同じ断面形状を有し得る。
本明細書で使用する場合、工作機械は、ワークピースから材料を選択的に除去してコンポーネントを製造する、すなわち機械加工と称し得るプロセスに使用できる動力付き機械装置である。物品の製造で機械加工すべき本体はワークピース材料と呼ばれることがあり、一般に、金属、合金、複合材料、木材、ポリマー(炭素繊維強化ポリマーを含めて)を含むことができる。切削工具は、ワークピースからの切屑をすくいとる面であるすくい面を有してよく、すくい面は、新たに生じた切屑の流れを方向づける。「切屑」は、工作機械によって使用中に本体のワーク面から除去された本体の破片である。カッターインサートのフランク(flank)は、カッターインサートによって本体上に生じた機械加工面の上を通る面である。フランクは、本体からのクリアランスを提供し、1つより多くのフランク面を含んでもよい。刃先は、本体の切削を行なうことを意図したすくい面の縁である。
本明細書で使用する場合、超硬材料は、少なくとも約25ギガパスカル(GPa)のビッカース硬度を有する。合成及びダイヤモンド結晶、立方晶窒化ホウ素(cBN)結晶、多結晶性ダイヤモンド(PCD)材料及び多結晶性cBNは超硬材料の例である。
本明細書で使用する場合、PCD材料は、その相当な数は互いに直接相互結合している複数のダイヤモンド結晶粒、及びダイヤモンド結晶粒の間の充填孔又は空孔を含む。PCD材料は、ダイヤモンド結晶粒の直接的相互結合を促進するのに適した触媒材料の存在下で複数のダイヤモンド結晶粒の凝集体(おそらく微細粉末の外観を有する)を少なくとも約5.5ギガパスカル(GPa)の超高圧及び高温にさらすことによって作られる。ダイヤモンドに適した触媒材料例としては、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)及びマンガン(Mn)、並びにこれらの金属の1つ以上を含む合金が挙げられ、高温は、触媒材料が溶融状態になるのに十分高い温度である。
【0020】
本明細書で使用する場合、PCBN材料は、バインダーマトリックス内に分散するか又はバインダーマトリックスに結合したcBNの結晶粒を含む、広範な種々の等級(又はタイプ)の複合材料を含む。PCBN材料の一部の例では、cBN結晶粒の含量が少なくとも約60体積パーセント、少なくとも約70体積パーセント又は少なくとも約80体積パーセントである。バインダーマトリックスとしては、窒化物、ホウ化物(二ホウ化物を含めて)、炭窒化物等の化合物の形態、又は固溶体の金属、例えばアルミニウム(Al)、コバルト(Co)、タングステン(W)又はチタン(Ti)が挙げられる。バインダーマトリックスとしては、ニッケルベース超合金材料、セラミック材料、金属間相材料が挙げられる。PCBNは、大きく2つのグループ、すなわち「低cBN」及び「高cBN」に分けられ、それぞれcBN含量が約30〜70体積パーセント及び約70〜95体積パーセントである。高cBN材料は、ワークピース又はその中に含まれる材料の形状特徴の結果として起こり得る高い度合の断続切削を伴う作業に用いられる可能性がある。より高いcBN含量は、より強力なPCBNをもたらす傾向があり、断続作業に特に重要である。
本明細書で使用する場合、PCD及びPCN材料の「等級」は、材料の組成及びミクロ構造特性を表す。例えば、異なる等級のPCDは、互いにダイヤモンド結晶粒のサイズ分布及び又はダイヤモンド結晶粒の全体的な含量及び又は該PCD材料等級に含まれるダイヤモンド結晶粒の連結性(contiguities)が異なり得る。異なる等級のPCBN材料は、互いにcBN結晶粒のサイズ分布及び又はcBN結晶粒の全体的な含量及び又は該PCBN材料等級に含まれるバインダーマトリックスが異なり得る。
本明細書で使用する場合、複数の結晶粒を「焼結する」又は複数の結晶粒の「焼結」とは、結晶粒を合体させて固形の多粒状構造体(多結晶性構造体と呼んでもよい)となるように熱及び圧力を加えることを含むプロセスによって結晶粒を処理することを意味する。結晶粒は、比較的小さく(例えば、サイズが約100又は約50μm未満)、粉末のように見え、多結晶性構造体を焼結させるための「原材料粉末」又は「前駆材料」と呼ぶことができる。焼結プロセス中に、原材料粉末に含まれる結晶粒は、例えば融解、溶解、化学反応又は相変化によって、ある程度まで変換され、或いは破壊されることさえあり得る。多粒状構造体は、原材料粉末に含まれた結晶粒及び又は焼結プロセス中に結晶析出等によって形成された結晶粒と実質的に同じ結晶粒を含むか又はそれらから成り得る。多粒状構造体に含まれる結晶粒は、焼結プロセスの結果として互いに結合するか又は相互成長し得る。種々の例では、焼結は、固体若しくは液体状態の拡散、少なくとも一部の結晶粒の液化、結晶粒の部分的又は全体的な溶解、触媒作用、結晶粒の析出及び成長、隣接結晶粒の直接的な相互成長、隣接結晶粒に含まれる材料間の化学反応(反応結合)、又は結晶粒の合体を促進できる他の物理的若しくは化学的プロセスを伴い得る。
【0021】
超硬材料は極端に硬く、一方でそれらは一般的に硬結炭化物材料より弱く、靭性が低く、結果として、破砕しやすく、欠けやすい。PCD及びPCBNは非常に耐摩耗性であるという事実にもかかわらず、硬結炭化物切削工具は、それらのより高い靭性及び欠け難さのためPCD及びPCBN工具より良い工具寿命をもたらし得る。例えば、標準テキストは、粗い機械加工、又は可能なときはチタン合金の荒削りには負のすくい角を有する炭化物工具を使用すべきであると示している。硬結炭化物工具よりPCBN工具を使用することの利点は、PCBN材料の優れた耐火性の「高温硬さ」から生じ、速度が毎分少なくとも150メートル(m/分)であり、切削工具とワークピースとの間の界面で比較的高い温度が発生する高速切削作業で特に有利な可能性がある。
cBNは、二価鉄金属と比較的反応しないが、PCBN材料に含まれるCBN結晶粒の化学的摩耗は、連続的機械加工で達する高温における証拠と考えられる。従って、比較的高含量のcBN結晶粒を含むPCBNは、工具挿入材料が比較的強力であり、その硬さを比較的高い温度で維持する必要がある断続機械加工等の作業で使用することが多い。比較的低含量のcBN結晶粒を含むPCBN材料は、工具挿入材料が化学的摩耗に比較的耐える必要がある連続機械加工等の作業で使用されることが多い。相対的に大きいcBN結晶粒を含むPCBN材料の強度は、一般的に、相対的に小さい(微細な)cBN結晶粒を含み、その他は全て等しいPCBN材料の強度より低い可能性がある(これは、cBNの含量が相対的に高い場合に特に明白である)。従って、微細結晶粒のPCBNは、より粗い結晶粒のPCBN材料より強く、より良いワークピース表面仕上げをもたらす可能性がある。
【0022】
一般に、PCBN切削エレメントを含むエンドミル工具は、切削速度が毎分約300〜約1,200メートル(m/分)のときに長い工具寿命を示す傾向がある。実質的に「白層」のない高品質な表面仕上げは、PCBNフライス工具を用いて達成することができ、ワークピースをフライス盤にかけた後に最終仕上げ及び寸法に加工する量とコストを減らす可能性がある。型、ダイ及びジョイントの製造は、硬結炭化物材料又は炭化物被覆材料を約100〜約300m/分の切削速度で機械加工する工程を含んでよく、PCBNミル工具は、硬結炭化物切削エレメントを含むミル工具より優れた工具性能、工具寿命及び機械加工ワークピース品質をもたらし得る。
【0023】
物品が一般的に、側面でつながった一対の両端を有する円柱形状である配置例では、円柱座標への言及を用いて物品の構成を説明する。特に、「円柱の」又は「縦」軸は、角端の中心を通過し、この軸に関して物品は、ある程度の回転対称性を有する。縦軸に垂直であり、基体又はプリフォーム体を貫通する平面は、「横」又は「半径方向」面と呼ぶことができ、縦軸から横面上の点の距離を「半径方向距離」又は「半径方向位置」等と呼ぶことがある。横面上の縦軸に向かうか又は縦軸から離れる方向を「半径方向」と呼ぶことがある。用語「方位角の(azimuthal)」は、縦軸の回り周辺にある、横面上の方向又は位置を指す。
図1A
図1B
図1C
図1D