【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
第一態様により、
基体に結合した超硬構造体を含む超硬物品であって、該超硬構造体が複数の焼結超硬結晶粒を含んでなる超硬物品の製造方法を提供する。本方法は、超硬構造体を焼結させるのに適した原材料粉末を準備する工程を含む。原材料粉末を液体媒体中の有機バインダー材料と混ぜ合わせてペーストを形成する。原材料粉末の含量は、ペーストの60質量パーセントより多く、85質量パーセント未満であり、ペーストの組成は、最大で25毎秒(秒
-1)のせん断速度を有するような組成である。超硬構造体の境界を形成するために構成された形成表面領域を有する
基体を含む
基体アセンブリーを準備する。
基体は形成表面領域と境界を共有する凹部を含む。ペーストを押し出して形成表面領域と接触させてペーストアセンブリーを与える。ペーストアセンブリーを熱処理し、バインダー材料を除去し、焼結前アセンブリーを与える。原材料粉末を焼結させ、それを形成表面領域と境界を共有する
基体に結合した超硬構造体に変えるのに十分な圧力と温度に焼結前アセンブリーをさらす。
【0005】
さまざまに適用するための超硬物品の種々の配置例を製造するための本開示は、本方法の変形形態を想定し、以下にその非限定、非排他的例を示す。
一部の例では、圧力は少なくとも約3、少なくとも約5又は少なくとも約6ギガパスカル(GPa)であってよい。温度は、少なくとも約1,200℃、少なくとも約1,300℃又は少なくとも約1,400℃であってよい。焼結前アセンブリーは、原材料粉末の実質的に全てを超硬構造体に変えるのに十分な時間、該圧力と温度を受けるであろう。
一部の例では、ペースト中の原材料粉末の含量は、ペーストの少なくとも70質量パーセント及び又は最大で80質量パーセントであってよい。一部の例では、ペーストは、約70〜85質量パーセントの原材料粉末を含んでよい。一部の例では、ペースト中の原材料粉末の含量は、ペーストの36体積パーセントより多く、少なくとも約40又は少なくとも約42 体積パーセント;及び又はペーストの59体積パーセント未満、最大で約55又は最大で53体積パーセントであってよい。
【0006】
一般に、ペーストのせん断速度は種々の手段で制御可能である。例えば、下記局面:バインダー材料のタイプ、中にバインダー材料が存在する液体の相対量、結晶粒のサイズ及び又は形状分布、及び又は原材料粉末結晶粒の比表面積の1つ以上を選択的に制御して所望のせん断速度を達成することができる。種々の例では、ペーストの組成は、少なくとも1、少なくとも約3又は少なくとも約8毎秒(秒
-1);及び又は21未満、最大で16、16未満、最大で15又は15未満毎秒(秒
-1)のせん断速度を有するような組成であってよい。一部の例では、ペーストの組成は、8〜16毎秒(秒
-1)のせん断速度を有するような組成であってよい。
有機バインダー材料のタイプは、それが熱処理によってペーストから除去された後に原材料粉末結晶粒の間に残存する有機バインダー材料の残渣の低減を視野に入れて選択可能である。一部の例では、バインダーが水に溶解できないようなバインダーを選択し得る。バインダーは、アルコールに溶解可能であってよい。
実質的に全て又はほとんどのバインダー材料は、ペーストアセンブリーの熱処理によって除去可能であり、及び又はバインダー材料の一部の残渣は原材料粉末と接触したままであってよい。例えば、炭素含有残渣が残存することがあり、及び又は残渣が原材料粉末結晶粒の少なくとも一部の表面上にコーティング又はフィルムとして存在することがある。熱処理後に、焼結前アセンブリーに含まれる原材料粉末の配置は、ペーストアセンブリーに含まれる配置と実質的に同一であり、原材料粉末結晶粒の間に空孔の連続網目構造を含むであろう。
一部の例では、ペーストは、形成表面領域の実質的に全てと接触し得る。一部の例では、形成表面領域は平面領域を含んでよい。
基体のある程度の変形及び結果的に前記圧力と温度で形成表面領域が生じ得るので、
基体アセンブリーは、このことを考慮して構成する必要があり得る。
【0007】
一部の例では、本方法は、ペーストに5〜9メガパスカル(MPa)の圧力を加える工程を含んでよく、例えば、本方法は、5〜9メガパスカル(MPa)の圧力を加えてペーストを押し出し及び又は押し出されたペーストを圧縮する工程を含んでよい。
一部の例では、超硬結晶粒は、天然若しくは合成ダイヤモンド結晶を含むか又はそれらから成り、超硬構造体は、多結晶性ダイヤモンド(PCD)材料を含むか又はそれらから成り;或いは超硬結晶粒は立方晶窒化ホウ素結晶を含むか又はそれらから成り、超硬構造体は多結晶性立方晶窒化ホウ素(PCBN)材料を含むか又はそれらから成ってよい。
一部の例では、
基体は硬結(cemented)炭化物材料を含むか又はそれから成ってよく;及び又は
基体は、形成領域と境界を共有する超硬材料を含むか又はそれから成ってよく;及び又は
基体は、焼結させて多結晶性超硬材料(例えばPCD又はPCBN材料)を形成することができ、形成表面領域と境界を共有する前駆材料を含むか又はそれから成ってよい。一部の例では、
基体アセンブリーは、焼結させて多結晶性超硬材料(例えばPCD又はPCBN)を形成できる前駆材料の層を含んでよく、この層は、硬結炭化物材料と接触し、形成表面領域と境界を共有する。
【0008】
一部の例では、超硬物品は、互いに結合し、少なくとも1つの特性(例えばマクロ構造若しくはミクロ構造、組成又は他の特性)が異なる第1及び第2多結晶性超硬材料を含むか又はそれらから成ってよく;方法は、第1多結晶性超硬材料を形成して
基体と接触させて
基体アセンブリーを与えるための前駆材料ペーストを析出させる工程を含み、この第1多結晶性材料のための前駆材料ペーストは、液体媒体中の有機バインダー材料と、60質量パーセントより多く、85質量パーセント未満の前駆粉末とを含み、最大で25毎秒(秒
-1)のせん断速度を有し;前駆材料ペーストの表面は、形成表面領域と境界を共有し;超硬構造体は第2多結晶性超硬材料を含むか又はそれから成る。一部の例では、前駆材料は、複数の超硬結晶粒を含み得る、結晶粒の凝集体を含んでよい。
一部の方法例は、少なくとも2つの両方ともペースト形態で、互いに共通の境界で接触し、互いに少なくとも1つの特性(例えば、原材料粉末組成、超硬結晶粒等の結晶粒のサイズ分布、又はいくつかの他の物理的、マクロ構造的若しくはミクロ構造的特性)が異なる粉末凝集体を準備する工程を含む。ペーストアセンブリーの熱処理の結果、両ペーストからバインダー材料を除去することができる。
例えば、第1及び第2多結晶性超硬材料は、それぞれPCD及び又はPCBN材料を含むか或いはそれらから成ってよい。一部の例では、第1及び第2多結晶性超硬材料は、異なる等級のPCD材料、又は異なる等級のPCBN材料を含むか或いはそれらから成ってよく;或いは多結晶性超硬材料の一方がPCD材料を含むか又はそれから成り、他方がPCBN材料を含むか又はそれから成ってよい。
【0009】
一部の例では、
基体アセンブリーは、
基体と接触する部材であって、形成表面領域と部材の境界との間に空洞を形成するように構成された部材を含んでよく、空洞は超硬構造体を形成するために構成され;方法は、ペーストを空洞中に押し出す工程を含む。例えば、
基体アセンブリーは、
基体を収容できるスリーブを含んでよく;スリーブは耐火金属(例えばニオブ、モリブデン又はタンタル)を含んでよく、或いはスリーブはセラミック材料を含んでよい。
一部の例では、
基体が硬結炭化物材料を含むか又はそれから成ってよく、かつ一対の
両端を有し、これらの
両端は、形成表面領域と境界を共有し、かつ該
両端間に伸長する細長い凹部を含む側面でつながっている。
一部の例では、本方法は、超高圧プレス装置に適したカプセル内に
基体アセンブリーを入れ、このカプセルを前記圧力と温度にさらし;カプセルを超高圧プレス装置から取り出し、超硬物品からカプセル材料を除去する工程を含むことができる。
一部の例では、超硬物品は、
両端とつながっている円柱側面と、
基体の表面と、側面と境界を共有する超硬構造体の表面とを含んでなる実質的に円柱形状を有し得る。一部の例では、超硬物品は、らせん経路に沿って配置された複数の細長い超硬構造体を含んでよい。
一部の例では、本方法は、超硬物品を加工し、工作機械、例えば回転式工作機械(例えば、エンドミル又はツイストドリル)の切削エレメントを形成する工程を含んでよい。本方法は、超硬構造体上に刃先を形成し;及び又は
基体から材料を除去して縦溝を形成する工程を含んでよい。
【0010】
図面の簡単な説明
超硬物品の配置例を製造する非限定方法例を添付図面を参照して説明する。