(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284694
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】台所器具
(51)【国際特許分類】
H02K 23/42 20060101AFI20180215BHJP
A21C 1/02 20060101ALI20180215BHJP
A47J 43/044 20060101ALI20180215BHJP
A47J 43/08 20060101ALI20180215BHJP
H02K 1/14 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
H02K23/42
A21C1/02 A
A47J43/044
A47J43/08
H02K1/14 Z
【請求項の数】6
【外国語出願】
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-128675(P2011-128675)
(22)【出願日】2011年5月23日
(65)【公開番号】特開2011-250685(P2011-250685A)
(43)【公開日】2011年12月8日
【審査請求日】2014年5月22日
【審判番号】不服2016-8010(P2016-8010/J1)
【審判請求日】2016年6月1日
(31)【優先権主張番号】201010181698.3
(32)【優先日】2010年5月21日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】502458039
【氏名又は名称】ジョンソン エレクトリック ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ガイ ヤン ラム
(72)【発明者】
【氏名】ジ チェン パン
【合議体】
【審判長】
堀川 一郎
【審判官】
藤井 昇
【審判官】
久保 竜一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−14522(JP,A)
【文献】
特開昭56−145765(JP,A)
【文献】
特開2006−211838(JP,A)
【文献】
特開平2−266862(JP,A)
【文献】
特開昭58−157357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/00-57/00
H02P 1/00-21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースに対して回転可能な被駆動メカニズムと、
前記被駆動メカニズムを駆動するための固定子及び回転子を伴う、4極単相直巻モータである電気モータと、
を備え、
前記回転子は、回転子コアとこの回転子コアに巻かれた回転子巻線を含み、前記固定子は、一次極が各々内方へ延び出している2つの第1区分と、補助極が各々内方へ延び出している2つの第2区分とが周囲方向に交互に配置されて長方形を形成するようにされた実質的に長方形のヨークを有する固定子コアを備え、前記2つの一次極には励起巻線が巻かれ、前記2つの補助極には、巻線はないか又は前記2つの一次極に巻かれた励起巻線より少ない巻線が巻かれ、
前記励起巻線は、前記励起巻線が通電されたときに、同じ極性をもつ一次磁極が前記2つの一次極に形成されると共に、その一次磁極の極性とは逆の同じ極性をもつ誘起磁極が前記2つの補助極に形成されて4つの磁路が形成されるように構成され、磁界を生成する励起部分を形成する前記固定子コア及び励起巻線は、前記回転子及び前記被駆動メカニズムを回転させ、
更に、
前記回転子の外径Dと前記固定子の最小外部寸法Yとの比は7:10より大きい、
台所器具。
【請求項2】
前記各第1区分の中央部における内側面と外側面と間の長さである半径方向の幅は、前記各第2区分の中央部における内側面と外側面との間の長さである半径方向の幅より狭い、請求項1に記載の台所器具。
【請求項3】
前記一次極及び補助極の各々は、前記ヨークから半径方向内方に延びるネックと、このネックから周囲方向に延び且つ極面を有する極シューとを含む、請求項1又は2に記載の台所器具。
【請求項4】
前記各第1区分の外側面の中央部と対応する一次極の極シューの内側面の中央部との間の半径方向の長さは、前記各第2区分の外側面の中央部と対応する補助極の極シューの内側面の中央部との間の半径方向の長さより大きい、請求項3に記載の台所器具。
【請求項5】
前記一次極のネックの周方向の幅は、前記補助極のネックの周方向の幅より狭い、請求項3又は4に記載の台所器具。
【請求項6】
前記回転子巻線は、整流子及びブラシを介して前記励起巻線に接続され、前記回転子コア及び前記回転子巻線は、前記回転子を回転させる電磁力を生成する電気子部分を形成する、請求項1から5のいずれかに記載の台所器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気モータにより駆動される台所器具に係る。
【背景技術】
【0002】
現在、電気モータを使用する種々の台所器具がある。ある台所器具は、動力を下げずに電気モータを小型にすることを希望する。そのような1つの台所器具は、フードプロセッサである。
【0003】
従来、フードプロセッサは、2極ユニバーサルモータを使用している。モータの固定子は、固定子コアを有し、これは、長方形のヨークと、ヨークの2つの対向側部から内方に延びて固定子巻線が巻かれた2つの突極とを含む。固定子巻線に通電すると、互いに逆極性の2つの磁極が突極に形成され、そして2つの磁気回路が形成される。各磁気回路は、2つの固定子極、回転子、及びヨークの側部を通過して、比較的長い経路を有することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、小型で且つ安価にすることのできる新規な台所器具、特に、フードプロセッサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、本発明は、その1つの態様において、ベースと、このベースに対して回転可能な被駆動メカニズムと、この被駆動メカニズムを駆動するための固定子及び回転子を伴う電気モータとを備え、固定子は、一次極が各々延び出している少なくとも2つの第1区分と、補助極が各々延び出している少なくとも2つの第2区分とを含むヨークを有する固定子コアを備え、この固定子コアの周囲方向に少なくとも2つの一次極及び少なくとも2つの補助極が交互に配列され、少なくとも2つの一次極には固定子巻線が巻かれ、更に、その固定子巻線は、モータが通電されたときに、同じ極性をもつ一次磁極が一次極に形成されると共に、その一次磁極の極性とは逆の同じ極性をもつ誘起磁極が補助極に形成されるように構成された台所器具を提供する。
【0006】
好ましくは、回転子の外径Dと固定子の最小外部寸法Yとの比は7:10より大きい。
【0007】
好ましくは、第1区分は、第2区分より狭い。
【0008】
好ましくは、補助極の周りには固定子巻線が巻かれない。
【0009】
或いは又、補助極に固定子巻線が巻かれ、補助極に巻かれた固定子巻線は、一次極に巻かれた固定子巻線より巻回数が少ない。
【0010】
好ましくは、一次極及び補助極の各々は、ヨークから半径方向内方に延びるネックと、このネックから周囲方向に延び且つ極面を有する極シューとを含む。
【0011】
好ましくは、第1区分と一次極の極面との間の距離は、第2区分と補助極の極面との間の距離より大きい。
【0012】
好ましくは、一次極のネックは、補助極のネックより狭い。
【0013】
好ましくは、モータは、単相直巻モータである。
【0014】
以下、添付図面を参照し、本発明の好ましい実施形態を一例として説明する。2つ以上の図に現れる同じ構造物、要素又は部品は、一般的に、それらが現れる全ての図において同じ参照番号で示す。図示されたコンポーネント及び特徴部の寸法は、一般的に、表現の便宜上及び明瞭化のために選択されたものであって、必ずしも一定の縮尺率で描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態によるフードプロセッサを示す。
【
図2】
図1のフードプロセッサの一部分である電気モータの断面図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態による電気モータの断面図である。
【
図5】本発明の第3の実施形態による電気モータの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の好ましい実施形態によるフードプロセッサが
図1に示されている。このフードプロセッサ80は、ベース82と、食品を収容するためにベース82にしっかりと又は取り外し可能に着座された容器84と、電気モータ(
図1には示さず)と、容器84内の食品を処理するためのワークピース86と、このワークピース86をモータに接続するためのカップリング88とを備えている。ワークピース86は、カップリング88に取り外し可能に接続されるのが好ましい。
【0017】
電気モータは、ベース110内に固定される。モータは、4極単相直巻モータであるのが好ましい。
図2は、モータの断面図で、回転子巻線が省略されている。モータは、回転子20と、この回転子20に磁気的に結合された固定子40とを備えている。
【0018】
回転子20は、シャフト22と、このシャフト22に固定された回転子コア24と、この回転子コア24に隣接してシャフト22に固定された整流子(図示せず)とを備えている。回転子コア24は、回転子の軸方向にラミネーションを積層することにより形成される。回転子コア24は、複数の歯26を有し、歯26の周りには回転子巻線が巻かれる。各2つの隣接する歯26の間に巻線スロット28が形成される。整流子は、複数のセグメントを有する。回転子巻線は、回転子コア24の巻線スロット28に巻かれ、整流子のセグメントに接続される。
【0019】
固定子40は、固定子コア42と、固定子巻線44とを備えている。固定子コア42は、モータの軸方向にラミネーションを積層することにより形成され、2つの第1区分46及び2つの第2区分48を伴うヨークを備えている。第1区分46及び第2区分48は、固定子コア42の周囲方向に交互に配列される。第1区分46及び第2区分48から各々2つの一次極50及び2つの補助極52が内方に延びている。一次極50の周りに固定子巻線44が巻かれ、補助極52には巻線が巻かれない。又、モータは、固定子40に対して固定されたブラシを有し、整流子とスライド接触して整流子を経て回転子巻線に電気を送る。固定子コア42は、対称的である。一次極50及び補助極52は、突極であり、その各々は、ヨークから半径方向内方に延びるネック54と、このネック54から周囲方向に延びる極面56を有する極シューとを含む。各極面56は、回転子20に対向する連続する弧状面を形成する。これら極面は、一緒に、間欠的な円筒壁を形成する。
【0020】
周囲方向に、一次極50のネックは、補助極52のネックより狭くなっている。半径方向に、第1区分46は、第2区分より狭くなっており、第1区分46と一次極50の極面56との間の距離は、二次区分48と補助極52の極面56との間の距離より大きい。従って、第1区分46と一次極50との間には、固定子巻線44を収容するための大きなスペースが形成される。上述した周囲方向及び半径方向は、丸い又は円筒状の構造物に対するものだけではなく、方形及び楕円のような他の形状も本発明の範囲内に含まれることを理解されたい。
【0021】
固定子巻線44が通電されると、同じ極性の2つの一次磁極が固定子巻線44によって2つの一次極50に形成され、そして一次磁極の極性とは逆の同じ極性の2つの誘起磁極が2つの補助極52に形成される。即ち、
図3に示すように、4つの磁極及び4つの磁路が形成される。各磁路は、一次極50、固定子ヨーク、補助極52、補助極52と回転子20との間のエアギャップ、回転子20、及び一次極50と回転子20との間のエアギャップを通過する。それ故、磁束路は、2極モータより短い。
【0022】
この実施形態では、回転子20は、外径Dを有し、固定子40は、最小外部寸法Yを有し、外径Dと最小外部寸法Yとの比は、7:10より大きい。回転子20の外径は、回転子コア24の外径を意味する。固定子40の最小外部寸法は、固定子40の中心を通して延びる直線と固定子コア42の周囲との2つの交点間の距離を意味する。
【0023】
回転子20の外径Dは、極50及び52の極面の弧状面により画成される円の直径より若干小さく、この円の直径と固定子40の最小外径との比も、7:10より大きい。一次極50と回転子コア42との間のギャップの幅は、補助極52と回転子コア42との間のギャップの幅に等しくてもよいし、それとは異なってもよいことを理解されたい。2つの距離が異なるときは、一次極50の極面の弧状面及び補助極52の極面の弧状面は、直径の異なる2つの円を画成する。この構成では、円の直径とは、小さい方の円の直径を意味する。
【0024】
好ましい実施形態では、補助極52は、第1区分48の内側から内方に突出して、突極として形成される。或いは又、補助極52は、第2区分の内側に対して沈下した非突極として形成されてもよい。補助極52が突極であるときには、そこに固定子巻線を巻くことができ、補助極52に巻かれる固定子巻線は、一次極50に巻かれる固定子巻線44より巻回数が少ない。
【0025】
出力が同じという条件のもとで、本発明の4極モータは、固定子巻線が減少されると共に、従来のフードプロセッサの2極モータより固定子コアが小型になった。それ故、この4極モータは、小型で且つ材料消費が少なく、従って、フードプロセッサを小型で、安価で且つ軽量にすることができる。加えて、この4極モータは、銅損が少なく、磁気回路が短く、従って、モータの効率が改善され、フードプロセッサにより消費されるエネルギーが減少される。
【0026】
本発明の説明及び特許請求の範囲において、動詞「備える(comprise)」、「含む(include)」、「収容する(contain)」及び「有する(have)」並びにその変化は、各々、ここに述べたアイテムの存在を特定するために包括的な意味で使用され、付加的なアイテムの存在を除外するものではない。
【0027】
本発明は、1つ以上の好ましい実施形態を参照して説明したが、当業者であれば、種々の変更がなされ得ることが明らかであろう。それ故、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって決定されるものとする。
【0028】
例えば、別の態様として、容器をモータにより回転する一方、カップリング及びワークピースをベースに対して固定してもよい。或いは又、フードプロセッサは、容器なしの手持ちのミキサーでもよい。
【0029】
更に、本発明のモータの固定子は、
図4に示すように、固定子巻線が巻かれて、3つの界磁極が形成される3つの一次極と、固定子巻線を伴わず、3つの誘起磁極が形成される3つの補助極とを有してもよい。或いは又、固定子は、
図5に示すように、4つの一次極と、4つの補助極とを有してもよい。
【符号の説明】
【0030】
20:回転子
22:シャフト
24:回転子コア
26:歯
28:巻き線スロット
40:固定子
42:固定子コア
44:固定子巻線
46:第1区分
48:第2区分
50:一次極
52:補助極
54:ネック
56:極面
80:フードプロセッサ
82:ベース
84:容器
86:ワークピース
88:カップリング
D:回転子の外径
Y:固定子の最小外部寸法