特許第6284702号(P6284702)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284702
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】スライドシュー摺動異常検知装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/46 20060101AFI20180215BHJP
   B65G 47/68 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   B65G47/46 B
   B65G47/68 C
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-247681(P2012-247681)
(22)【出願日】2012年11月9日
(65)【公開番号】特開2014-94813(P2014-94813A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2015年11月6日
【審判番号】不服2017-9922(P2017-9922/J1)
【審判請求日】2017年7月4日
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502380361
【氏名又は名称】トーヨーカネツソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【弁理士】
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 賢二
(72)【発明者】
【氏名】星 俊臣
(72)【発明者】
【氏名】今泉 幸三
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 嘉峰
【合議体】
【審判長】 松下 聡
【審判官】 佐々木 芳枝
【審判官】 八木 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−35938(JP,A)
【文献】 実開平3−59917(JP,U)
【文献】 特開2012−35941(JP,A)
【文献】 特開平7−41160(JP,A)
【文献】 特開平10−114417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/34-47/51
B65G 47/64
B65G 47/68-47/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の搬送方向と直角方向に延伸したスラットを物品の搬送方向に連結し、物品を積載して搬送するスラットコンベヤと、スラットコンベヤ上をスラットの搬送方向と直角方向にスライド自在なスライドシューとを用いたスライドシュー式仕分けコンベヤにおいて、
A)前記仕分けコンベヤに沿って、前記スライドシューを、直進路から分岐路へと誘導する分岐部と、
B)前記仕分けコンベヤの躯体に設けられ、前記分岐部近傍の前記スライドシューに対してLED、レーザーもしくは超音波を照射しこれに対する前記スライドシューからの反射波を検出する反射型センサと、
を有し、前記反射型センサにより検出された前記スライドシューまでの距離が一定の範囲内にないことをもって該スライドシューが前記分岐路に係るガイド部材から離反した位置を進行しているとすることによって、前記スライドシューの摺動異常を検知することを特徴とするスライドシュー摺動異常検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の仕分けコンベヤに用いられるスライドシューの摺動時の異常を検知する装置に関し、特に、スライドシューの摺動時の位置を測定することによって異常を検知する、スライドシュー摺動異常検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
物流の分野において、形状(外形や大きさ)の異なる物品を混在して搬送し、仕分ける要望があり、それらの作業を機械化した装置が使用されている。特に、物品の搬送方向と直角方向に延伸した細長いスラットを物品の搬送方向に連結し、物品を積載して搬送するスラットコンベヤと、スラットコンベヤ上をスラットの長手方向にスライド自在なスライドシューとを用いたスライドシュー式仕分けコンベヤが広く用いられている。
【0003】
こうしたスライドシュー式仕分けコンベヤにおいて、使用による摩耗、過負荷による損傷、液体被搬送物の液漏れによる汚損などの原因により、スライドシューの動作が正常に行えない事態が発生することがある。その際に、仕分けのミスや、物品・コンベヤなどの損壊を防ぐため、異常となったスライドシューを早期に検知して、コンベヤを停止し、スライドシューの修理・交換や清掃を行うことが必要とされる。
【0004】
このようなスライドシューの異常検知装置として、特許文献1には、物品横押し体(スライドシュー)の案内ローラが、電磁石の作用で、スラットコンベヤの復路に設けられたバイパス経路に移動したことを、バイパス経路に設けた磁気センサで検出し、検出できたことをもって正常状態、検出できなければ異常状態であると判断する、スライドシューの異常検知に係る技術思想が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−115003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような異常検知装置では、異常の判定が、バイパス経路に移動したことのみをもって行われるため、それ以外のスライドシューの異常を検知できないという問題があった。
【0007】
そこで、上記問題を解決するため、本発明は、スライドシューの損傷、汚損など、多様なスライドシューの異常状態を検出することができる、スライドシューの摺動異常検知装置を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため、本発明は、物品の搬送方向と直角方向に延伸したスラットを物品の搬送方向に連結し、物品を積載して搬送するスラットコンベヤと、スラットコンベヤ上をスラットの搬送方向と直角方向にスライド自在なスライドシューとを用いたスライドシュー式仕分けコンベヤにおいて、
A)仕分けコンベヤに沿って、スライドシューを、直進路から分岐路へと誘導する分岐部と、
B)仕分けコンベヤの躯体に設けた、分岐部近傍のスライドシューの位置を検出する反射型センサと、
を有し、スライドシューの位置によって、スライドシューの摺動異常を検知する装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るスライドシューの異常検知装置では、反射型センサのみの追加で、スライドシューの摺動異常を検知することができるため、低廉な費用で、仕分けコンベヤの安定稼働が実現できる。また、簡便な装置であることから、既設の仕分けコンベヤにも後付けで設置することができ、その経済的効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るスライドシューの摺動異常検知装置を含む仕分けコンベヤの全体平面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るスライドシューの摺動異常検知装置を含む仕分けコンベヤの部分斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係るスライドシューの摺動異常検知装置に用いられるスライドシューの構造図である。
図4】本発明の一実施形態に係るスライドシューの摺動異常検知装置の平面図である。
図5】本発明の一実施形態に係るスライドシューの摺動異常検知装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の第1の実施形態にかかるスライドシューの異常検知装置について説明する。なお、以下では本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係るスライドシューの摺動異常検知装置を含む仕分けコンベヤの全体平面図である。物品6が載るスラット3を物品の搬送方向(図中矢印A方向)に走行させることによって物品の搬送を行うスラットコンベヤ1と、スラット3の走行方向と直交する方向に摺動自在にスラット3上に装備されたスライドシュー4と、各仕分けゾーンSに対応してスラットコンベヤ1の搬送路から分岐する、ローラーコンベヤからなる仕分け搬送路7が備えられている。
【0013】
更に、この仕分けコンベヤの、仕分けゾーンSよりも上流部分に、スライドシュー摺動異常検知装置40が設けられている。このスライドシュー摺動異常検知装置40については、詳細は後述する。
【0014】
図2は、本発明の一実施形態に係るスライドシューの摺動異常検知装置を含む仕分けコンベヤの部分斜視図である。ここで、スラットコンベヤ1のスラット3は、両端部が物品の搬送方向に走行するエンドレスチェーン2によって支持されている。また、各仕分けゾーンSにおいては、スライドシュー4を直進方向または分岐方向にガイドするガイドレール5及びスライドシュー4を分岐方向に分岐するための、電磁石28、永久磁石29が設けられており、電磁石28の動作により、分岐方向のガイドレール5に導かれて、スライドシュー4は、物品6を分岐方向に向かわせる。
【0015】
更に、この図においても、仕分けコンベヤの、仕分けゾーンSよりも上流部分に、スライドシュー摺動異常検知装置40が設けられている。このスライドシュー摺動異常検知装置40については、詳細は後述する。
【0016】
なお、スラット3は、エンドレスチェーン2に結合しているため、物品6を上方に載置する往路の終端、すなわち、スプロケット部分から、物品6載置面が下方となる復路を通り、再び、復路の終端のスプロケット位置で、往路の始端に出現することになる。
【0017】
ここで、スライドシュー摺動異常検知装置40は、物品6を載置する往路であって、かつ、物品6を仕分けする仕分けゾーンSに近接した場所に設けられる。
【0018】
図3は、本発明の一実施形態に係る仕分けコンベヤに用いられるスライドシュー4の構造図である。スラット3の走行方向と直交する方向に移動(摺動)自在に支持されるシュースライド13と、このシュースライド13に装備されて仕分け搬送路7に物品を押し出す際に物品との接触部となるシューキャップ14とを具備した構成とし、前記シュースライド13には、前述したように、スラット3の下方に突出する支持軸17と、支持軸17に枢支されてガイドレール5による移動操作の際の当接部となる磁性体からなる、回転自在のホイール18が装備されている。
【0019】
なお、スライドシュー4の構成は、これに限定されず、コンベヤ上面でのスライド可能な部材と、コンベヤ下部の回転自在の部材とからなるものであればよい。
【0020】
ここで、スライドシューの摺動異常検知装置40の詳細を、図面を用いて説明する。図4は、本発明の一実施形態に係るスライドシューの摺動異常検知装置の平面図であり、スライドシューの上部を省略し、ホイールから下方を示したものである。また、図5は、本発明の一実施形態に係るスライドシューの摺動異常検知装置の斜視図である。
【0021】
図4に示すようにホイール18の進行方向Aに沿って、電磁石28、永久磁石29を備えた摺動異常検知装置用の分岐部を設ける。
【0022】
ここで、図4に示すホイール18は、支持軸17を介して、その上部のシュースライド13、シューキャップ14と一体となっており、シュースライド13及びシューキャップ14は、図5に示すように、ホイール18が分岐部において分岐路に誘導されると、ホイール18と一体となったスラット3上を、スラット3の走行方向と直交する方向に摺動するようになっている。
【0023】
また、仕分けコンベヤ1の躯体部分9には、反射型センサ41が設けられていて、そのセンサの検出対象は、シューキャップ14の、反射型センサ側の面である。反射型センサ41としては、検出範囲などの点から、LED反射型センサが好ましい。
【0024】
このように構成された、本発明のスライドシューの摺動異常検知装置の動作について説明する。
【0025】
仕分けコンベヤの往路の、実際に仕分けを行う直前に設けられた電磁石28を異常検知が必要な際に作動させる。すると、スライドシュー4のホイール18が、電磁石28に吸引され、直進経路から分岐経路へと導かれる。一旦、分岐方向へ向かうと、永久磁石29により、ホイール18はガイド板27に沿って進行し、シュースライドも、それに対応した位置で進行する。
【0026】
ところが、スライドシュー4とスラット3との間の摺動抵抗が大きすぎると、図4に示すようにホイール18が電磁石28または永久磁石29の磁力に抗してガイド板27から離反した位置を進行することになる。
【0027】
ここで、摺動抵抗が大きくなる原因としては、スライドシュー4のシュースライド13、シューキャップ14、ホイール18などの損傷による場合、スラット3の損傷や湾曲の場合、スライドシュー4とスラット3の間に被搬送物から漏れ出した液体・粘性体・粉体などがスラット3やスライドシュー4に固着することによる場合などが考えられる。
【0028】
仕分けコンベヤ1の躯体部分9に設けられた反射型センサ41は、スライドシュー4が、分岐路において、最大に摺動する位置で、スライドシュー4の位置を検出している。この位置において変位が最大となるため、検出が確実である。
【0029】
反射型センサ41としては、距離を測定できる測距センサがより好ましく、距離の程度によって、スライドシューの異常の程度が把握できるが、単純には、所定の検出距離を有するセンサを用いて、正常に進行する場合は検出範囲外で検出せず、異常の場合のみ検出範囲に入って検出できるような構成でもよい。
【0030】
なお、反射型センサ41はスライドシュー4が最大に摺動する位置でスライドシュー4を検出しているとしたが、この位置には限定されず、分岐を開始してから合流するまでの間であればよい。反射型センサ41の設置場所を自由に選択できる利点がある。
【0031】
このようにして、スライドシュー4の摺動異常が検知された場合は、仕分けコンベヤを停止し、該当するスライドシュー4やスラット3を清掃、修理または交換して、運用を再開すればよい。
【0032】
ここで、スライドシューの摺動異常を検出する反射型センサとして、LEDによるものとして説明したが、これに限定されず、レーザー、超音波などを用いた反射型センサであってもよい。精度や外乱の影響の低減などの効果が考えられる。
【0033】
また、直接、反射型センサで検知するのではなく、カメラなどでスライドシュー4の画像を撮影して、それを分析して異常を検知してもよい。
【0034】
なお、反射型センサ41の検出対象をスライドシュー4のシューキャップ14部分としたが、これに限定されるものではなく、スライドシュー4の、コンベヤ外側にあるシュースライド13、コンベヤ内側にある支持軸17、ホイール18を検出するようにしてもよく、更に、スライドシュー4に検出を容易にするための反射板のような部材を付加しそれを検出するようにしてもよい。
【0035】
また、スライドシュー4には、支持軸17の外周に、ベーンと称する、スライドシュー4の進行方向を制御する部材を追加する場合もあり、これを検知するようにしてもよい。
【0036】
更に、摺動異常検知装置用の分岐部を設けるとして説明したが、そのような分岐部を設けなくとも、実際に仕分けを行うための分岐部の直後に、摺動異常検知装置を設けてもよい。仕分け開始前に異常なスライドシューを検知することはできないが、全体の構成は極めて簡素になるため、検知後の対応方法を工夫すれば、効果は大きい。
【0037】
なお、これまでの説明では、摺動異常検知装置を、仕分けコンベヤの往路の、実際に仕分けを行う直前に設けるとした。復路に設ける場合に比べると、重力の影響などに関してスライドシューの実際の仕分け動作に近い状態で検知がなされるので、精度が高いという利点がある。
【0038】
一方、この摺動異常検知装置を、復路に設けるようにしてもよい。スペースに余裕があり、検知のための時間・距離が十分取れ、かつ、往路の機構部に影響を与えない利点はある。
【0039】
また、この摺動異常検知装置において、異常検知が必要な際に、分岐路へ向かう電磁石28を作動させるとして説明したが、常時、分岐路へ向かわせるようにしてもよい。その場合は、電磁石28の代わりに、永久磁石を用いてもよい。その際に、摺動異常を検知することは、常時行っても、必要な場合のみ行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、スライド移動する物体の汚毀損を発見する用途に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 スラットコンベヤ
2 エンドレスチェーン
3 スラット
4 スライドシュー
5 ガイドレール
6 物品
18 ホイール
40 スライドシュー異常検知装置
41 反射型センサ
図1
図2
図3
図4
図5