(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記再生ステップは、前記再生油路に配置された圧油増量部により、流通する前記戻り油の圧力エネルギを用いて、該戻り油の流量を増加させる圧油増量ステップを更に含む、
ことを特徴とする、請求項10に記載の油圧回路の制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、再生回路の下流に配置した絞り(例えば
図4のメータアウト制御弁Vex)において圧力損失が発生するため、再生時にエネルギ損失が生じる。また、特許文献1に開示されている技術では、方向制御弁(例えば
図4の21V)の内部通路に配置したチェック弁(例えば
図4のVch)を経由して圧油(戻り油)を再生するため、再生時に方向制御弁(21V)の比較的狭い内部通路及びチェック弁(Vch)によって圧力損失が発生する。更に、特許文献1に開示されている技術では、油圧アクチュエータの動作状態により再生が必要でないときに圧油(戻り油)をタンクにそのまま排出するため、エネルギ(戻り油)を有効利用できない場合がある。
【0006】
本発明は、このような事情の下に為され、油圧アクチュエータの戻り油を回生する回生油路と再生する再生油路とを用いて、戻り油を回生又は再生することにより、エネルギの利用効率を向上することができる油圧回路を提供することを目的とする。また、本発明は、前記油圧回路を備える建設機械であってもよい。更に、本発明は、前記油圧回路の制御方法であってもよい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の態様によれば、
圧油が供給されることで駆動される油圧アクチュエータ
と、前記油圧アクチュエータの戻り油を回生する回生油路と、前記油圧アクチュエータの前記戻り油を再生する再生油路とを有し、前記戻り油は、前記回生油路及び前記再生油路の双方に流入し、前記回生油路は、前記戻り油のうちの前記再生油路で再生される圧油の残りからエネルギを回収する、油圧モータを含む回収部と、前記エネルギを回収された戻り油を排出する排出部とを備え、前記再生油路は、前記油圧アクチュエータのボトム側油室から流出させた前記戻り油のエネルギを利用して圧油をロッド側油室に再供給する、
油圧回路であって、複数の前記油圧アクチュエータを有し、前記回生油路を用いて、複数の前記油圧アクチュエータのうちの一の油圧アクチュエータの戻り油の一部又は全部を回生し、前記再生油路を用いて、複数の前記油圧アクチュエータのうちの一の油圧アクチュエータの戻り油の一部又は全部を、前記一の油圧アクチュエータ若しくは他の油圧アクチュエータに再供給する、ことを特徴とする油圧回路が提供される。また、本発明の他の態様によれば、
圧油が供給されることで駆動される油圧アクチュエータ
と、前記油圧アクチュエータの戻り油を回生する回生油路と、前記油圧アクチュエータの前記戻り油を再生する再生油路とを有し、前記戻り油は、前記回生油路及び前記再生油路の双方に流入し、前記回生油路は、前記戻り油のうちの前記再生油路で再生される圧油の残りからエネルギを回収する、油圧モータを含む回収部と、前記エネルギを回収された戻り油を排出する排出部とを備え、前記再生油路は、前記油圧アクチュエータのロッド側油室から流出させた前記戻り油のエネルギを利用して圧油をボトム側油室に再供給する、
油圧回路であって、複数の前記油圧アクチュエータを有し、前記回生油路を用いて、複数の前記油圧アクチュエータのうちの一の油圧アクチュエータの戻り油の一部又は全部を回生し、前記再生油路を用いて、複数の前記油圧アクチュエータのうちの一の油圧アクチュエータの戻り油の一部又は全部を、前記一の油圧アクチュエータ若しくは他の油圧アクチュエータに再供給する、ことを特徴とする油圧回路が提供される。前記回収部は、発電機を出力軸に機械的に接続された前記油圧モータである、ことを特徴とする油圧回路であってもよい。前記油圧アクチュエータが前記戻り油を流出する油路に配置され、該戻り油を前記回生油路と前記再生油路とに分岐する分岐部を更に有する、ことを特徴とする油圧回路であってもよい。前記再生油路は、流通する前記戻り油の一部又は全部を蓄圧する蓄圧部を更に有する、ことを特徴とする油圧回路であってもよい。前記再生油路は、流通する前記戻り油の圧力エネルギを用いて、該戻り油の流量を増加させる圧油増量部を更に備え、前記圧油増量部は、流量を増加された該戻り油の一部又は全部を前記蓄圧部で蓄圧する、ことを特徴とする油圧回路であってもよい
。上記油圧回路のいずれか一つに記載の油圧回路を備える建設機械であってもよい。
【0008】
本発明の更に他の態様によれば、圧油が供給されることで駆動され
る油圧アクチュエータと、前記油圧アクチュエータの戻り油を回生する回生油路と、前記油圧アクチュエータの前記戻り油を再生する再生油路とを備え、前記戻り油は、前記回生油路及び前記再生油路の双方に流入
し、複数の前記油圧アクチュエータが設けられる油圧回路の制御方法であって、前記油圧アクチュエータの戻り油を回生する回生ステップであって、前記回生油路に配置された、油圧モータを含む回収部を用いて前記戻り油のうちの前記再生油路で再生される圧油の残りからエネルギを回収し、該回生油路に配置された排出部を用いて前記エネルギを回収された戻り油を排出する回生ステップと、前記油圧アクチュエータの前記戻り油を再生する再生ステップであって、前記油圧アクチュエータのボトム側油室から流出させた前記戻り油のエネルギを利用して圧油をロッド側油室に再供給する再生ステップとを含み、前記回生ステップは、前記回生油路を用いて、複数の前記油圧アクチュエータのうちの一の油圧アクチュエータの戻り油の一部又は全部を回生し、前記再生ステップは、前記再生油路を用いて、複数の前記油圧アクチュエータのうちの一の油圧アクチュエータの戻り油の一部又は全部を、前記一の油圧アクチュエータ若しくは他の油圧アクチュエータに再供給する、ことを特徴とする油圧回路の制御方法が提供される。また、本発明の更に他の態様では、圧油が供給されることで駆動され
る油圧アクチュエータと、前記油圧アクチュエータの戻り油を回生する回生油路と、前記油圧アクチュエータの前記戻り油を再生する再生油路とを備え、前記戻り油は、前記回生油路及び前記再生油路の双方に流入
し、複数の前記油圧アクチュエータが設けられる油圧回路の制御方法であって、前記油圧アクチュエータの戻り油を回生する回生ステップであって、前記回生油路に配置された、油圧モータを含む回収部を用いて前記戻り油のうちの前記再生油路で再生される圧油の残りからエネルギを回収し、該回生油路に配置された排出部を用いて前記エネルギを回収された戻り油を排出する回生ステップと、前記油圧アクチュエータの前記戻り油を再生する再生ステップであって、前記油圧アクチュエータのロッド側油室から流出させた前記戻り油のエネルギを利用して圧油をボトム側油室に再供給する再生ステップとを含み、前記回生ステップは、前記回生油路を用いて、複数の前記油圧アクチュエータのうちの一の油圧アクチュエータの戻り油の一部又は全部を回生し、前記再生ステップは、
前記再生油路を用いて、複数の前記油圧アクチュエータのうちの一の油圧アクチュエータの戻り油の一部又は全部を、前記一の油圧アクチュエータ若しくは他の油圧アクチュエータに再供給する、ことを特徴とする油圧回路の制御方法が提供される。前記再生ステップは、前記再生油路に配置された蓄圧部を用いて、流通する前記戻り油の一部又は全部を蓄圧する蓄圧ステップを更に含む、ことを特徴とする油圧回路の制御方法であってもよい。前記再生ステップは、前記再生油路に配置された圧油増量部により、流通する前記戻り油の圧力エネルギを用いて、該戻り油の流量を増加させる圧油増量ステップを更に含む、ことを特徴とする油圧回路の制御方法であってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る油圧回路、その油圧回路を備える建設機械又はその油圧回路の制御方法によれば、油圧アクチュエータの戻り油を回生する回生油路と再生する再生油路とを用いて、戻り油を回生又は再生することにより、エネルギの利用効率を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面を参照しながら、本発明の限定的でない例示の実施形態について説明する。なお、添付の全図面の中の記載で、同一又は対応する部材又は部品には、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面は、部材もしくは部品間の相対比を示すことを目的としない。したがって、具体的な寸法は、以下の限定的でない実施形態に照らし、当業者により決定することができる。
【0012】
以後に、本発明の実施形態に係る建設機械を用いて、本発明を説明する。なお、本発明は、本実施形態以外でも、油圧アクチュエータ(油圧シリンダ、油圧モータなど)を備えるもの(機械、機器、装置、ユニット、システムなど)であって、油圧アクチュエータからの戻り油を再生する油圧回路を用いるものであればいずれのものにも用いることができる。また、本発明を用いることができる建設機械には、油圧ショベル、クレーン車、ブルドーザ、ホイールローダ及びダンプトラック、並びに、杭打ち機、杭抜き機、ウォータージェット、泥排水処理設備、グラウトミキサ、深礎工用機械及びせん孔機械などが含まれる。更に、本発明は、ハイブリッドショベル、バッテリーを備えた建設機械(作業機械)、アキュームレータを用いてエネルギを回収する機械などにも用いることができる。
【0013】
本実施形態に係る建設機械100を用いて、下記に示す順序で本発明を説明する。
【0014】
1.建設機械の構成
2.第1の実施形態に係る油圧回路
3.第2の実施形態に係る油圧回路
[1.建設機械の構成]
図1を用いて、本発明の実施形態に係る建設機械100の概略構成を説明する。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る建設機械100は、キャブ(運転室)10Cbを搭載した上部旋回体10Upと、車輪等を用いて建設機械100の移動を行う下部走行体10Dwとを備える。また、建設機械100は、アタッチメントとして、上部旋回体10Upに基端部を軸支されたブーム11と、ブーム11の先端に軸支されたアーム12と、アーム12の先端に軸支されたバケット13とを備える。更に、建設機械100は、油圧アクチュエータとして、ブーム11を駆動するブームシリンダ11aと、アーム12を駆動するアームシリンダ12aと、バケット13を駆動するバケットシリンダ13aとを備える。なお、本発明を用いることができる建設機械は、アームに取り付けるアタッチメント(又はエンドアタッチメント)として、バケット以外のアタッチメントを用いてもよい。
【0016】
本実施形態に係る建設機械100は、油圧回路(例えば後述する
図2の110、又は、
図3の120)を用いて、ブームシリンダ11aに作動油(圧油)を供給することによって、ブームシリンダ11aを長手方向に伸縮する。このとき、ブーム11は、ブームシリンダ11aの伸縮によって、キャブ10Cbの前方及び上方で上下方向に駆動される。また、建設機械100は、キャブ10Cb内のオペレータ(運転者、作業者)の操作レバーの操作量(及び操作方向)に応じてブーム用方向制御弁を制御し、ブームシリンダ11aに供給される作動油を制御する。この結果、建設機械100は、オペレータの操作レバーの操作量等に応じて、所望の作業を実施することができる。
【0017】
ブーム11の場合と同様に、建設機械100は、アームシリンダ12a及びバケットシリンダ13aの伸縮によって、キャブ10Cbの前方及び/又は上方でアーム12及びバケット13を駆動する。建設機械100は、ブームシリンダ11aの場合と同様に、アーム用方向制御弁及びバケット用方向制御弁によって、アームシリンダ12a及びバケットシリンダ13aに供給される作動油を制御する。
【0018】
また、本実施形態に係る建設機械100は、下部走行体10Dwの車輪及び旋回モータ14Mを用いて、建設機械100本体の走行(前後左右の移動)及び回転(旋回など)を行う。また、建設機械100は、走行用の方向制御弁などを更に用いて、キャブ10Cb内のオペレータの操作レバーの操作量などに応じて、建設機械100の走行などを実施してもよい。
【0019】
更に、本発明に係る建設機械100は、回生油路(例えば後述する
図2若しくは
図3の23Rc)を用いて、ブームシリンダ11a、アームシリンダ12a又はバケットシリンダ13aに供給した作動油(圧油)の戻り油(エネルギ)を回収する。また、建設機械100は、再生油路(例えば後述する
図2若しくは
図3の23Rr)を用いて、ブームシリンダ11a等からの戻り油をブームシリンダ11a等に再供給する。すなわち、建設機械100は、回生油路を用いて油圧アクチュエータの戻り油を回生する動作(以下、「回生動作」という。)を実施し、再生油路を用いて油圧アクチュエータの戻り油を再生する動作(以下、「再生動作」という。)を実施することによって、エネルギ(例えば油圧ポンプが吐出した圧油)の利用効率を向上することができる。なお、本発明に係る回生動作及び再生動作は、後述する[2.第1の実施形態に係る油圧回路]で説明する。
【0020】
[2.第1の実施形態に係る油圧回路]
図2を用いて、本発明の第1の実施形態に係る建設機械100の油圧回路110を説明する。
図2は、本実施形態に係る油圧回路110の一例を説明する概略回路図である。ここで、
図2に記載した実線は、油路(圧油の通路)を示す。二重線は、機械的な接続(出力軸の連結)を示す。点線は、リモコン回路を示す。//を付加している実線は、電気制御系を示す。
【0021】
なお、
図2は、本発明を説明するために油圧ポンプPmpが吐出した圧油の油路を主に示し、その他の部分は省略している。また、
図1に示す複数の油圧アクチュエータ(ブームシリンダ11a等)の夫々の構成は同様のため、
図2では代表して油圧アクチュエータActのみを例示する。更に、
図2は1つの油圧ポンプPmpを備える例を示すが、本発明を用いることができる油圧回路は2つ以上の油圧ポンプを備えるものであってもよい。
【0022】
図2に示すように、本実施形態に係る建設機械100の油圧回路110は、圧油(作動油)を吐出する油圧ポンプPmpと、油圧ポンプPmpから吐出された圧油を供給される油圧アクチュエータAct(
図1のブームシリンダ11a等)とを接続されている。また、油圧回路110は、オペレータが所望の操作量及び操作方向を入力する操作レバーLvrと、操作レバーLvrにより入力された操作量(及び操作方向)に応じて、後述する制御弁21Vのパイロットポートに入力するパイロット圧を生成するパイロットポンプPmp−PLとを接続されている。更に、油圧回路110は、油圧回路110の全体の動作を制御する制御手段24を接続されている。なお、本実施形態に係る建設機械100(
図1)は、操作レバーLvrとして、複数のアタッチメント(ブーム11、アーム12、バケット13)及び旋回モータ14M、並びに、下部走行体10Dw(クローラなど)を夫々操作する複数の操作レバーを備える。
【0023】
油圧ポンプPmpは、油圧アクチュエータActに供給する圧油(作動油)を吐出するものである。油圧ポンプPmpは、本実施形態では、動力源のエンジン(不図示)の出力軸に機械的に接続され、動力源の動力を用いて圧油を吐出する。
【0024】
油圧アクチュエータActは、
図2では油圧シリンダを示す。ここで、油圧シリンダとは、その伸縮動作によってアタッチメント(
図1の11等)を駆動するものである。油圧シリンダは、例えばシリンダ容器とピストン等で構成することができる。油圧シリンダは、制御弁21V(後述)から供給された圧油(作動油)を用いて、長手方向に伸縮する。なお、油圧アクチュエータAct(油圧シリンダ)からの戻り油(作動油)は、再生動作時には、後述する再生油路23Rrを経由して、油圧アクチュエータActに再供給(再生)される。また、油圧アクチュエータActからの戻り油(のエネルギ)は、回生動作時には、後述する回生油路23Rrの回収部21Cで回収(回生)される。
【0025】
制御手段24は、オペレータによる操作レバーLvrの操作量(及び操作方向)に応じて、油圧ポンプPmpの吐出動作(例えばレギュレータの傾転角)を制御する。また、制御手段24は、油圧ポンプPmpの吐出動作を制御することによって、吐出された圧油を制御弁21Vに供給する。更に、制御手段24は、制御弁21Vの動作を制御することによって、制御弁21Vから油圧アクチュエータActに供給する作動油(圧油)の流量及び方向を制御する。制御手段24は、圧力センサSns1乃至Sns3が検出した検出結果(圧力)を更に用いて、油圧ポンプPmp等の動作を制御してもよい。
【0026】
ここで、圧力センサSns1は、操作レバーLvrの一の方向(例えばブーム上げ方向、アーム開き方向、バケット開き方向、又は、右旋回方向)の入力圧(操作量)を検出するためのセンサである。圧力センサSns2は、操作レバーLvrの他の方向(例えばブーム下げ方向、アーム閉じ方向、バケット閉じ方向、又は、左旋回方向)の入力圧(操作量)を検出するためのセンサである。圧力センサSns3は、油圧アクチュエータAct(本実施形態では油圧シリンダのロッドチャンバ内)の圧力を検出するためのセンサである。
【0027】
本発明に係る制御手段24は、建設機械100の動作状態(例えばブーム11などの姿勢、負荷圧など)に応じて、回生動作及び再生動作を制御する。なお、本発明に係る回生動作及び再生動作の例は、後述する[油圧回路の制御方法]で説明する。
【0028】
制御手段24は、例えば建設機械100の動作を制御するために搭載されたコントローラを利用してもよい。ここで、コントローラは、CPU( Central Processing Unit )及びRAM( Random Access Memory )、ROM( Read Only Memory )等を含む演算処理装置で構成される。
【0029】
また、本実施形態に係る油圧回路110は、油圧ポンプPmpから吐出された圧油を供給される制御弁(例えば方向制御弁)21Vを備える。
【0030】
制御弁21Vは、油圧アクチュエータAct(
図1のブームシリンダ11aなど)に供給する圧油の流量及び流れ方向を制御するもの(ブーム用方向制御弁など)である。制御弁21Vは、パイロットポンプPmp−PLから入力されたパイロット圧に応じて、その内部通路の経路を変化される。具体的には、制御弁21Vは、オペレータが操作した操作レバーの操作量(及び操作方向)に応じたパイロット圧をパイロットポートに入力されて、スプール位置を切り替えられ、油圧アクチュエータActに供給する圧油(作動油)の流量(操作量)及び流れ方向(操作方向)を変化する。なお、本実施形態に係る建設機械100(
図1)は、制御弁21Vとして、複数の油圧アクチュエータ(
図1のブームシリンダ11a、アームシリンダ12a、バケットシリンダ13a及び旋回モータ14M)を夫々制御する複数の制御弁(
図2では不図示)を備える。
【0031】
更に、本発明に係る油圧回路110は、油圧アクチュエータAct(ブームシリンダ11a等)の戻り油を回生する回生油路23Rcと、油圧アクチュエータActの戻り油を再生する再生油路23Rrとを有する。また、本発明に係る油圧回路110は、戻り油を回生油路23Rcと再生油路23Rrとに分岐する分岐部23Brを更に有する。
【0032】
回生油路23Rcは、油圧アクチュエータActからの戻り油が有するエネルギ(余剰エネルギ)を回生(回収)する油路である。回生油路23Rcは、油圧アクチュエータActからの戻り油のエネルギを回収する回収部21Cと、エネルギを回収された戻り油を排出する排出部21ex(例えばタンクなど)とを備える。
【0033】
回収部21Cは、本実施形態では、発電機Gnrを出力軸に機械的に接続された油圧モータを用いる。なお、回収部21Cは、戻り油の一部若しくは全部を蓄圧する蓄圧器(アキュームレータなど)を用いてもよい。ここで、発電機Gnrは、油圧モータ(回収部21C)の出力軸から駆動力を伝達されたときに、その駆動力を電気エネルギに変換し、変換した電気エネルギを図示しない蓄電器(二次電池など)に蓄電(回収)する。
【0034】
再生油路23Rrは、油圧アクチュエータActに戻り油の一部又は全部を再生(再供給)する油路である。再生油路23Rrは、本実施形態では、戻り油の流量を増加させる圧油増量部22Fと、流量を増加させられた戻り油を蓄圧する蓄圧部22Aと、を備える。また、再生油路23Rrは、圧油増量部22Fの上流側及び蓄圧部22Aの下流側に再生用制御弁22Vaと再生用制御弁22Vbとを夫々配置されている。
【0035】
圧油増量部22Fは、油圧アクチュエータActからの戻り油の圧力エネルギを用いて、戻り油の流量を増加させる。圧油増量部22Fは、例えば流入側の受圧面積と流出側の受圧面積とが異なる油圧シリンダを用いることができる。圧油増量部22Fは、流入側の受圧面積と流出側の受圧面積との比率に応じて、流入された戻り油の流量を増加する。なお、圧油増量部22Fは、回転式の油圧システムを用いてもよい。
【0036】
蓄圧部22Aは、戻り油の一部若しくは全部を蓄圧する蓄圧器(アキュームレータなど)を用いることができる。また、蓄圧部22Aは、圧油増量部22Fで流量を増加された圧油(戻り油)の一部又は全部を蓄圧される。
【0037】
再生用制御弁22Va及び再生用制御弁22Vbは、流通する圧油の流量(及び流れ方向)を制御するものである。再生用制御弁22Va及び再生用制御弁22Vbは、制御手段24によって、その開度を制御される。すなわち、本発明に係る油圧回路110(制御手段24)は、再生用制御弁22Vaの開度を制御することによって、第1の再生油路23Rraから圧油増量部22Fに流入する圧油の流量を制御する。また、油圧回路110(制御手段24)は、再生用制御弁22Vbの開度を制御することによって、蓄圧部22Aで蓄圧する圧油の流量及び第2の再生油路23Rrbに供給する圧油の流量を制御することができる。これにより、油圧回路110(制御手段24)は、蓄圧部22Aに所望の圧力で蓄圧及び放圧することができる。また、油圧回路110(制御手段24)は、油圧アクチュエータActに所望の流量で再供給することができる。
【0038】
分岐部23Brは、戻り油を回生油路23Rcと再生油路23Rrとに分岐するものである。分岐部23Brは、油圧アクチュエータActが戻り油を流出する油路に配置されている。すなわち、回生油路23Rcと再生油路23Rrとの上流側の戻り油が流通する油路に配置されている。
【0039】
[油圧回路の制御方法]
本発明の第1の実施形態に係る油圧回路110の回生動作(戻り油を回生する動作)及び再生動作(戻り油を再供給する動作)の例を説明する。なお、本発明に係る油圧回路110の回生動作及び再生動作は下記に説明するものに限定されるものではない。
【0040】
本発明に係る油圧回路110(制御手段24)は、回生ステップとして、油圧アクチュエータAct(
図2)の戻り油の余剰エネルギを回生(回収)する。ここで、回生ステップでは、油圧回路110は、回生油路23Rc(
図2)に配置された回収部21C(
図2)を用いて、油圧アクチュエータActから排出された戻り油のエネルギを回収する。また、回生油路23Rcに配置された排出部21ex(
図2)を用いて、エネルギを回収された戻り油を排出する。
【0041】
油圧回路110は、例えば回収部21Cとしてアキュームレータ(蓄圧器)を用いた場合に、回生ステップとして、戻り油(圧油)を用いてアキュームレータを蓄圧して、戻り油の余剰エネルギ(圧力エネルギ)を回収することができる。また、油圧回路110は、例えば回収部21Cとして油圧モータを用いた場合に、回生ステップとして、発電機Gnr(
図2)を用いて、戻り油の圧力エネルギを電気エネルギに変換して、戻り油の余剰エネルギ(圧力エネルギ)を回収することができる。
【0042】
本発明に係る油圧回路110(制御手段24)は、再生ステップとして、油圧アクチュエータActからの戻り油を油圧アクチュエータActに再生(再供給)する。ここで、再生ステップでは、油圧回路110は、
図2に示すように、再生油路23Rrを経由して(
図2のf1〜f3)、戻り油の一部又は全部を油圧アクチュエータActに再供給する。
【0043】
油圧回路110は、例えば再生油路23Rr(
図2)に配置される蓄圧部22A(
図2)を用いた場合に、再生ステップとして、流通する戻り油の一部又は全部を蓄圧する蓄圧ステップを更に含んでもよい。また、油圧回路110は、再生油路23Rrに配置される圧油増量部22F(
図2)を用いた場合に、再生ステップとして、圧油増量部22Fに流入する戻り油の圧力エネルギを用いて、圧油(戻り油)の流量を増加させる圧油増量ステップを更に含んでもよい。
【0044】
以下に、本発明の第1の実施形態に係る油圧回路110を備える建設機械100の回生動作及び再生動作の具体例を説明する。なお、本発明に係る建設機械100(油圧回路110)の回生動作及び再生動作は下記に説明するものに限定されるものではない。
【0045】
(1)建設機械100(油圧回路110)は、ブーム11(
図1)の下げ動作(ブームシリンダ11aの縮み動作)時の再生動作では、再生油路23Rr等を用いて、ブームシリンダ11aのボトム側から流出した圧油(戻り油)をロッド側に再供給する。また、建設機械100は、アーム12(
図1)の閉じ動作(アームシリンダ12aの伸び動作)時の再生動作では、再生油路23Rr等を用いて、アームシリンダ12aのロッド側から流出した圧油(戻り油)をボトム側に再供給する。これにより、建設機械100は、油圧回路110の油圧ポンプPmp(
図2)の吐出流量を減少させることができる。このとき、建設機械100は、再生油路23Rrの圧油増量部22F(
図2)を更に用いて圧油の流量を増加(高圧流体から低圧流体に変換)させることによって、再供給する圧油の流量を確保するとともに、蓄圧部22A(
図2)を用いて増加させられた圧油(の一部)を蓄圧(回収)することができる。すなわち、建設機械100は、蓄圧部22Aを用いて、戻り油の余剰エネルギで再生(再供給)に使用しないエネルギを回収することによって、エネルギ効率を向上することができる。また、建設機械100は、圧油増量部22Fを更に用いて圧油を高圧流体から低圧流体に変換させることによって、高圧時に発生する損失(流体損失、摩擦損失など)を低減することができる。更に、建設機械100は、圧油増量部22Fを更に用いて圧油を例えば2倍に増量することで油圧ポンプPmpの吐出を停止することができる。
【0046】
(2)建設機械100(油圧回路110)は、ブーム11(
図1)の下げ動作時若しくはアーム12(
図1)の閉じ動作時の回生動作及び再生動作では、回生油路23Rc等を用いて、ブームシリンダ11aのボトム側若しくはアームシリンダ12aのロッド側から流出した圧油(戻り油)のエネルギを回生する。また、建設機械100は、上記(1)と同様に再生油路23Rr等を用いて再生する。これにより、建設機械100は、戻り油の余剰エネルギを回収することによって、エネルギ効率を向上することができる。また、建設機械100は、回生されない分の圧油を再生回路23Rrに供給するので、再生回路23Rrに流通する圧油の流量を低減させることができ、発生する損失(流体損失、摩擦損失など)を低減することができる。
【0047】
建設機械100(油圧回路110)は、例えばブームシリンダ11aの縮み動作時(ブーム11の下げ動作時)で自重で降下する場合に、ブームシリンダ11aのボトム側から流出した圧油(戻り油)で圧油増量部22Fを駆動し、圧油の流量を増加させ、増加させた圧油をブームシリンダ11aのロッド側に補給(再供給)する。このとき、建設機械100(油圧回路110)は、例えば4倍に圧油を増量することで、ボトム側から流出した圧油の1/8の流量で圧油増量部22Fを駆動し、油圧ポンプPmpの吐出動作を不要とすることができる。また、建設機械100(油圧回路110)は、ボトム側から流出した圧油の残りからエネルギを回生することができる。
【0048】
(3)建設機械100(油圧回路110)は、建設機械100(ブーム11など)の姿勢や負荷によって負荷圧が異なる場合に、再生回路23Rrの再生用制御弁22Va、22Vbの開度を制御することによって、圧油増量部22F及び蓄圧部22Aを用いて再生する圧油の圧力を所望の圧力に変更する。これにより、建設機械100(油圧回路110)は、例えば蓄圧部22A(アキュームレータ)を高効率で使用できる圧力(蓄圧範囲、放圧範囲)に圧油の圧力を変更することができる。
【0049】
(4)建設機械100(油圧回路110)は、回生油路23Rcを用いて複数の油圧アクチュエータのうちの一の油圧アクチュエータの戻り油の一部又は全部を回生する。また、建設機械100(油圧回路110)は、再生油路23Rrを用いて、複数の油圧アクチュエータのうちの一の油圧アクチュエータの戻り油の一部又は全部を、一の油圧アクチュエータ若しくは他の油圧アクチュエータに再供給する。これにより、建設機械100(油圧回路110)は、油圧ポンプPmpが吐出した圧油を有効に活用することができる。
【0050】
以上のとおり、本発明の第1の実施形態に係る油圧回路110又は油圧回路110を備える建設機械100によれば、油圧アクチュエータActの戻り油を回生する回生油路23Rcと再生する再生油路23Rrとを用いて、戻り油を回生又は再生することにより、エネルギの利用効率を向上することができる。また、本発明に係る油圧回路110又は建設機械100によれば、再生動作時に例えば油圧回路300(
図4)に配置した絞り(メータアウト制御弁)Vexによってエネルギ損失が発生する場合と比較して、エネルギの損失を低減することができる。更に、本発明に係る油圧回路110又は建設機械100によれば、戻り油の圧力と回収部21Cの蓄圧(例えばアキュームレータの作動圧)との圧力差を無段変速機で調圧する場合と比較して、無段変速機が不要のため、油圧回路の構成を単純化することができる。すなわち、本発明に係る油圧回路110又は建設機械100によれば、小型化及び制御が容易となり、汎用性が高く、様々な用途に容易に適用することができるという有利な効果を有する。
【0051】
[3.第2の実施形態に係る油圧回路]
図3を用いて、本発明の第2の実施形態に係る建設機械100の油圧回路120を説明する。
図3は、本実施形態に係る油圧回路120の一例を説明する概略回路図である。
図3に記載した実線は、油路(圧油の通路)を示す。二重線は、機械的な接続(出力軸の連結)を示す。点線は、リモコン回路を示す。//を付加している実線は、電気制御系を示す。
【0052】
なお、
図3に示す本実施形態に係る油圧回路120は、第1の実施形態に係る油圧回路110と同様の部分があるため、異なる部分を主に説明する。
【0053】
図3に示すように、本実施形態に係る油圧回路120は、油圧ポンプ(不図示)から吐出された圧油を供給される油圧アクチュエータAct(例えば
図1のブームシリンダ11a)を有する。また、本実施形態に係る油圧回路120は、油圧アクチュエータActの戻り油を回生する回生油路23Rcと、油圧アクチュエータActの戻り油を再生する再生油路23Rrとを有する。
【0054】
本実施形態に係る油圧回路120は、再生油路23Rrが油圧ポンプPmpの油圧ライン(吐出した圧油を供給する油路)に配置(介装)されている点、及び、圧油増量部22Fを備えない点で、第1の実施形態に係る油圧回路110と異なる。なお、それ以外の部分(例えば回収部21C、蓄圧部22Aなどの構成及び機能)は、第1の実施形態に係る油圧回路110と同様のため、説明を省略する。
【0055】
本実施形態に係る油圧回路120は、回生ステップとして、油圧アクチュエータActからの戻り油(のエネルギ)を回収部21C(回生油路23Rc)で回収する。また、本実施形態に係る油圧回路120は、再生ステップとして、予め他の動作時に蓄圧していた蓄圧部22Aの圧油を用いて、油圧ポンプPmpが吐出した圧油に蓄圧していた圧油を合流させ、油圧アクチュエータActに供給する。
【0056】
本実施形態に係る建設機械100(油圧回路120)は、例えば油圧シリンダの伸び動作時(ブーム11の上げ動作時など)に、油圧シリンダの背圧を回収部21C(アキュムレータなど)に蓄圧する。これにより、建設機械100(油圧回路120)は、例えば油圧シリンダの縮み動作時(ブーム11の下げ動作時など)に、回収部21Cを放圧することでアシスト(圧油を補給)することができる。すなわち、建設機械100(油圧回路120)は、自重降下の保持圧を再生として使用せず、回生するエネルギとして有効に使用することができる。
【0057】
以上のとおり、本発明の第2の実施形態に係る油圧回路120又は油圧回路120を備える建設機械100によれば、油圧アクチュエータActの戻り油を回生する回生油路23Rcと再生する再生油路23Rrとを用いて、戻り油を回生又は再生することにより、エネルギの利用効率を向上することができる。また、本発明の第2の実施形態に係る油圧回路120によれば、第1の実施形態に係る油圧回路110と同様の効果を得ることができる。
【0058】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されるものではない。また、本発明は、添付の特許請求の範囲に照らし、種々に変形又は変更することが可能である。