特許第6284714号(P6284714)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6284714貼付機、貼付機で貼着された遊技板及び貼着部材を被貼着部材に貼着する貼着方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284714
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】貼付機、貼付機で貼着された遊技板及び貼着部材を被貼着部材に貼着する貼着方法
(51)【国際特許分類】
   B65C 1/00 20060101AFI20180215BHJP
【FI】
   B65C1/00
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-123758(P2013-123758)
(22)【出願日】2013年6月12日
(65)【公開番号】特開2014-239823(P2014-239823A)
(43)【公開日】2014年12月25日
【審査請求日】2016年4月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】592105815
【氏名又は名称】株式会社松本製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】502325568
【氏名又は名称】大阪銘板株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591044614
【氏名又は名称】株式会社足立ライト工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100129676
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼荒 新一
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 基
(72)【発明者】
【氏名】郡 宏典
(72)【発明者】
【氏名】島▲崎▼ 豪
(72)【発明者】
【氏名】樋口 博之
(72)【発明者】
【氏名】豊永 和博
(72)【発明者】
【氏名】原 徳昭
【審査官】 田口 傑
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−024110(JP,A)
【文献】 実開平06−007921(JP,U)
【文献】 特開2011−062237(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3078669(JP,U)
【文献】 特開2004−083111(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3180690(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3182856(JP,U)
【文献】 特開2000−326944(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3095990(JP,U)
【文献】 国際公開第2013/009149(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65C 1/00 − 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が形成された被貼着部材と、前記被貼着部材の表面を装飾する貼着部材と、を互いに貼着する貼付機において、
前記貼着部材は、装飾フィルムと、前記被貼着部材に貼着される貼着層と、前記貼着層を保護する剥離層と、が積層されてなり、
前記貼着部材及び前記被貼着部材を所定の位置に配置可能な位置決め手段を有する本体部と、
前記貼着部材を貼着層よりも低い貼着強度で一時接着又は吸着可能に形成された前記本体部側内面を有する開閉部、を備え、
前記被貼着部材及び前記貼着部材が前記本体部に位置決めされた状態で前記開閉部を一旦閉じてから開くことによって前記貼着部材が一時的に前記開閉部に一時接着又は吸着された後、前記貼着部材の前記剥離層を剥離してから再度前記開閉部を閉じることにより、前記貼着部材が前記被貼着部材へ貼着することが可能であることを特徴とする貼付機。
【請求項2】
前記開閉部は、内面側に貼着部材を一時接着又は吸着可能な柔軟なシート状部材と、前記シート状部材の外周を形成する開閉枠と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の貼付機。
【請求項3】
前記開閉部は、前記開閉部の内面側に貼着部材を一時接着又は吸着可能な吸着シートが配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の貼付機。
【請求項4】
前記被貼着部材及び前記貼着部材が前記本体部に位置決めされた状態で開閉部を一旦閉じた際に、貼着部材と開閉部との接着又は吸着を促進するために、シート状部材を前記開閉部側から本体部に向けて加圧する加圧手段を備えたことを特徴とする請求項2又は3に記載の貼付機。
【請求項5】
前記加圧手段は、接着又は吸着された前記貼着部材の前記剥離層を剥離してから再度前記開閉部を閉じた後に、貼着部材と被貼着部材との貼着を促進するために、シート状部材を前記開閉部側から本体部に向けて加圧可能であることを特徴とする請求項4に記載の貼付機。
【請求項6】
前記被貼着部材は、図柄変動表示装置取付用の大開口部を有する遊技基板であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の貼付機。
【請求項7】
前記貼着部材は、少なくとも前記遊技基板の前記大開口部に対応する位置に貼着部材開口部を有し、
前記貼着部材開口部の境界線は、前記剥離層以外の層のみが切断されていることを特徴とする請求項6に記載の貼付機。
【請求項8】
前記貼着部材及び前記被貼着部材を所定の位置に配置可能な位置決め手段を有する本体部と、前記開閉部とを有する請求項1から7のいずれか1項に記載の貼付機を使用し、
開口部が形成された被貼着部材と前記被貼着部材の表面を装飾する前記貼着部材とを互いに貼着する貼着方法において、
以下の工程を含むことを特徴とする貼着方法。
(1)前記被貼着部材及び貼着部材を本体部に取付ける工程
(2)前記開閉部を一旦閉じてから開くことによって前記貼着部材を一時的に前記開閉部に接着又は吸着する工程
(3)開閉部に接着又は吸着された前記貼着部材の前記剥離層を剥離する工程
(4)再度前記開閉部を閉じることにより、前記貼着部材を前記被貼着部材へ貼着する工程
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中央に開口部が形成された被貼着部材及び被貼着部材の表面を装飾する装飾シートからなる貼着部材を貼着する貼付機、この貼付機によって貼着された遊技板及びこの貼付機を用いた貼着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被貼着部材に、シート状の装飾シートを貼着する場合において、位置ずれを防止する手段として、所定の記載事項と所定位置のマーカーとを印刷した貼着可能なラミネートシートをガイド部材で案内しながら搬送路中を搬送し、ラミネートシートのマーカーを検出器で検出しながら枚葉基材の見当を合わせて送り出すことによりラミネートシートの所定位置に枚葉基材を重ね合わせる手段が記載されている(特許文献1)。具体的には、特許文献1に示された発明は、透明なシートであるラミネートシートに文字や柄などの印刷と、それとは別に十文字などの公知のマーカーを印刷し、位置制御装置(図示せず)の検出器(センサー)を加圧ローラーの上流側に配置し、その検出器がラミネートシートのマーカーを検出することにより、フィーダーが枚葉基材の見当を合わせて送り出す構成となっている。つまり、ラミネートシートと枚葉基材とを貼着するために、ラミネートシートにマーカーを印刷することや、実際には、枚葉基材を適切なタイミングで送り出す制御が必要となり、素早く正確な位置へ枚葉基材を搬送しなければならないという高度な技術を必須としている。このような構成を採用すると、貼付機(ラミネート装置)の制御に係るコストが嵩むばかりか、制御の性能によっては位置ずれが発生し、生産性に悪影響を及ぼす恐れがあるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−127237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、枚葉基材を適切なタイミングで送り出す制御や素早く正確な位置へと枚葉基材を搬送する搬送装置といった高度な技術を要する制御や装置を不要とし、貼付機の制御にかかるコストを低減し、制御や装置の性能による位置ずれを防止することができる貼付機を提供することを主目的としている。さらに、この貼付機を使用して装飾シートが貼着された遊技板及び、貼付機を使用した貼付方法をも提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0006】
本発明にかかる貼付機は、開口部が形成された被貼着部材と、前記被貼着部材の表面を装飾する貼着部材と、を互いに貼着する貼付機において、前記貼着部材は、装飾フィルムと、前記被貼着部材に貼着される貼着層と、前記貼着層を保護する剥離層と、が積層されてなり、前記貼着部材及び前記被貼着部材を所定の位置に配置可能な位置決め手段を有する本体部と、前記貼着部材を貼着層よりも低い貼着強度で一時接着又は吸着可能に形成された前記本体部側内面を有する開閉部、を備え、前記被貼着部材及び前記貼着部材が前記本体部に位置決めされた状態で前記開閉部を一旦閉じてから開くことによって前記貼着部材が一時的に前記開閉部に一時接着又は吸着された後、前記貼着部材の前記剥離層を剥離してから再度前記開閉部を閉じることにより、前記貼着部材が前記被貼着部材へ貼着することが可能であることを特徴とする。
【0007】
本発明にかかる貼付機は、被貼着部材及び装飾フィルムを有する貼着部材のいずれも位置決めされた状態で取り付け可能な本体部と、位置決めされた状態の貼着部材を一時的に接着又は吸着可能な開閉部を有している。そのため、本体部に被貼着部材と貼着部材を取り付けることによって、それぞれ被貼着部材と貼着部材の位置関係が固定される。この状態で一旦開閉部を閉じた後開くことで、被貼着部材と貼着部材とが分離され、貼着部材が一時的に開閉部へ接着又は吸着される。この状態を保持したまま剥離層を除去して、貼着部材の貼着層を露出し被貼着部材に貼着可能な状態で再度開閉部を閉じることで、貼着部材が被貼着部材に貼着する。このように、本発明にかかる貼着機によれば、あらかじめ、貼着部材と被貼着部材とを適切な位置に配置した後に、貼着部材の位置が変化することがないように開閉部に一時的に接着又は吸着させた状態で貼着層を露出して貼着するので、適切な位置に配置した状態で貼着することができる。そのため高度な制御の性能や装置を必要とすることなく位置ずれを防止し、貼着部材を被貼着部材の適切な位置に貼着することができる。
【0008】
また、本発明にかかる貼付機において、前記開閉部は、内面側が一時接着又は吸着可能な柔軟なシート状部材と、前記シート状部材の外周を形成する開閉枠と、を備えたことを特徴とするものであってもよい。開閉枠と開閉枠内に配置される柔軟なシート状部材とからなる開閉部とすることによって、開閉部を閉じた状態で外側から、例えばローラー等の押圧具によって押圧した際に、全体が板状の開閉部にした場合と比較して、ローラーと接している狭い範囲に集中して圧力をかけることができるため、貼付機にセットされた貼着部材により高い圧力を与えることができる。そのため、貼着部材を開閉部材に一時的に接着又は粘着させる場合や、装飾フィルムを被貼着部材に貼着する場合に全体にムラなく効率よく押圧することができる。
【0009】
さらに、本発明にかかる貼付機において、前記開閉部は、前記開閉部の内面側に一時接着又は吸着可能な吸着シートが配置されていることを特徴とするものであってもよい。かかる構成を採用することで、開閉部の内面自体には、一時接着又は吸着機能を有していない素材を採用することができ、開閉部に使用する素材の選択の幅が広がる。また、開閉部と別部材である吸着シートを使用することで、接着又は吸着性能が劣化した場合に、吸着シートを交換することで容易に接着又は吸着性能を復活させることができる。なお、前記開閉部は、前記開閉部の内面自体が一時接着又は吸着可能であってもよい。開閉部の素材自体に一時接着又は吸着可能な素材、例えば、自己吸着性を有するウレタン素材等で作製してもよい。こうした素材で作製することによって、開閉部の内面に接着剤や吸着剤を別途塗布したり、接着又は吸着可能なシート等を取り付けたりといった工程を削除することができ、接着剤やシート等の材料費の軽減及び工程の省力化に資する。
【0010】
さらに、本発明にかかる貼付機において、前記被貼着部材及び前記貼着部材が前記本体部に位置決めされた状態で開閉部を一旦閉じた際に、貼着部材と開閉部との接着又は吸着を促進するために、前記開閉部側から本体部に向けて加圧する加圧手段を備えたことを特徴とするものであってもよい。かかる構成を採用することで、貼着部材と開閉部との密着性が向上し、開閉部を開けたときに貼着部材が脱落する可能性を低減することができる。また、開閉部が開いている状態のときに、開閉部と貼着部材がずれるおそれを減らすことができ、再度開閉部を閉じた場合の被貼着部材と貼着部材の相対位置にずれが発生する可能性を低減することができる。
【0011】
さらに、本発明にかかる貼付機において、前記加圧手段は、接着又は吸着された前記貼着部材の前記剥離層を剥離してから再度前記開閉部を閉じた後に、貼着部材と被貼着部材との貼着を促進するために、前記開閉部側から本体部に向けて加圧可能であることを特徴とするものであってもよい。かかる構成を採用することによって、被貼着部材と貼着部材の密着性を向上させることができ、被貼着部材と貼着部材が剥離するといった不具合の発生の可能性を低減することができる。
【0012】
さらに、本発明にかかる貼付機において、前記被貼着部材は、図柄変動表示装置取付用の大開口部を有する遊技基板であることを特徴とするものであってもよい。本発明にかかる貼付機は、上述したように、特に大開口部を有する遊技板を作製するのに好適であり、遊技基板(装飾フィルムを貼付する前の遊技板)に対して、位置ずれを効果的に防止でき、所定の位置に装飾フィルムが貼着された遊技板を提供することができる。
【0013】
さらに、本発明にかかる貼付機において、前記貼着部材は、少なくとも前記遊技基板の前記大開口部に対応する位置に貼着部材開口部を有し、前記貼着部材開口部の境界線は、前記剥離層以外の層のみが切断されていることを特徴とするものであってもよい。かかる貼着部材を採用することによって、被貼着部材へ装飾フィルムを貼着後、貼付機から被貼着部材を取り外せば、大開口部に相当する部分(貼着部材開口部)の貼着部材が自動的に除去される。そのため、改めて大開口部の貼着部材を除去する必要がない。また、大開口部の貼着部材が貼付機に張りついている場合であっても、この貼着部材を剥離する必要がないので弱い力で貼付機から遊技板を除去することができる。
【0014】
本発明にかかる遊技板は、上述した貼付機を使用して、遊技基板に貼着部材が貼着されたことを特徴とするものである。かかる遊技板とすることで、遊技基板と貼着部材との位置ずれが防止された遊技板を提供することができる。
【0015】
本発明にかかる前記貼着部材及び前記被貼着部材を所定の位置に配置可能な位置決め手段を有する本体部と、前記開閉部とを有する貼付機を使用し、開口部が形成された被貼着部材と前記被貼着部材の表面を装飾する前記貼着部材とを互いに貼着する貼着方法は、以下の工程を含むことを特徴とする。
(1)前記被貼着部材及び貼着部材を本体部に取付ける工程
(2)前記開閉部を一旦閉じてから開くことによって前記貼着部材を一時的に前記開閉部に接着又は吸着する工程
(3)開閉部に接着又は吸着された前記貼着部材の前記剥離層を剥離する工程
(4)再度前記開閉部を閉じることにより、前記貼着部材を前記被貼着部材へ貼着する工程
かかる工程によって被貼着部材と貼着部材を貼着することによって、互いの位置ずれを効果的に防止して貼着することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる貼付機、貼付機で貼着された遊技板及び貼着部材を被貼着部材に貼着する貼着方法によれば、貼着部材を適切なタイミングで送り出す制御装置や、正確な位置へ貼着部材を搬送する搬送装置を有しない場合であっても、位置ずれの発生を未然に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施形態にかかる被貼着部材10、貼着部材20及び貼付機100の斜視図である。
図2図2は、実施形態にかかる貼着部材20の断面を示す模式図である。
図3図3は、実施形態にかかる貼付機100を使用して被貼着部材10に貼着部材20を貼着する工程の一部を表す斜視図である。
図4図4は、それぞれ実施形態にかかる貼付機100を使用して被貼着部材10に貼着部材20を貼着する工程の一部を表す斜視図である。
図5図5は、実施形態にかかる貼付機100を使用して被貼着部材10に貼着部材20を貼着する工程の一段階における貼付機100の断面図である。
図6図6は、それぞれ実施形態にかかる貼付機100を使用して被貼着部材10に貼着部材20を貼着する工程の一部を表す斜視図である。
図7図7は、それぞれ実施形態にかかる貼付機100を使用して被貼着部材10に貼着部材20を貼着する工程の一部を表す斜視図である。
図8図8は、それぞれ実施形態にかかる貼付機100を使用して被貼着部材10に貼着部材20を貼着する工程の一部を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上記簡単に説明した図面に基づいて、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。本実施形態では、「被貼着部材10」として弾球遊技機の遊技板を実施例として説明する。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「貼着」とは、それぞれが容易に分離できない状態を示し、接着、粘着等の接合可能なものであれば、種々の手段を採用することができる。「フィルム」とは、シートをも含む概念であり、特に厚さによって区別するものではなく、比較的厚いプラスチックシートを除外するものではない。「接着又は吸着」との用語も、貼着層と区別するために使用しているものであり、特に使い分けている場合を除き、接着又は吸着という接着機構に限定するものではなく、一時的に接合可能な状態をすべて含む概念である。「遊技板」とは、装飾フィルムを貼着した後の遊技板を示し、「遊技基板」とは、装飾フィルムを貼着する前の遊技板を示す。
【0019】
(実施形態)
実施形態にかかる貼付機100が図1に示されている。図1は、被貼着部材10、貼着部材20及び貼付機100の斜視図である。なお、図1では、見やすいように貼着部材20の模様が省かれている。
【0020】
被貼着部材10は、パチンコ遊技機等に使用される遊技基板であり、アクリル、ABS樹脂、ポリカーボネート又はポリスチロール等の合成樹脂を用いて、射出成形又は押出成形によって作製される。被貼着部材10は、透明であっても、不透明であってもよいし、無色であっても、有色であっても構わない。被貼着部材10は、障害釘が植設可能な8mm〜20mmの厚さを有する矩形の板状に形成され、図1に示すように、図柄変動表示装置(電子ディスプレイ)が取り付けられる大開口部11と、大開口部11と比較して小さい可動型入賞口、大入賞口等の各種入賞装置、ランプその他の装飾体を取り付けるための小開口部12が形成されている。これら大開口部11及び小開口部12は、射出成形において同時に形成してもよいし、板状に成形後、NCルーター加工機やレーザー加工機等により別工程で作製してもよい。その他、適宜、必要に応じて外周縁部に額縁状の補強リブを一体に形成したり、肉抜き部を設けたりしてもよい。
【0021】
貼着部材20は、図2に示すように、下層から剥離層21、貼着層22及び装飾フィルム23を備えており、主として被貼着部材10の表面を保護する機能と、被貼着部材10の表面に絵柄、図柄、画像,模様、文字等によって装飾又は表示する機能とを有する。なお、図示した貼着部材20は、視認性向上のため実際の製品よりかなり厚く図示されており、各層の厚さの比は、現実の貼着部材20の各層の厚さの比率を反映したものではない。
【0022】
剥離層21は、被貼着部材10に貼着される前の貼着層22を保護するためのものであり、被貼着部材10と貼着される前に貼着層22が自然劣化したり、又は運搬や保管の際にほこり等が貼り付いて不良品化したりすることを防止する。剥離層21は、被貼着部材10と貼着される前に剥離される。剥離層21の素材、厚さ等は特に限定するものではなく、紙を基材とする剥離紙であってもよいし、合成樹脂を基材とする樹脂フィルムであってもよい。好ましくは厚さ10μm〜100μm程度のポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)等からなるフィルムにシリコン等の離型剤をコーティングしたものを使用するとよい。
【0023】
貼着層22は、被貼着部材10と貼着する層であり、接着剤又は粘着剤で形成される。粘着剤の例としては、ポリウレタン系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリビニルブチラール系粘着剤、エチレン−酢酸ビニル系粘着剤等が挙げられる。好ましくは、アクリル系の二液混合型のものが好ましく、より好ましくは、アクリル酸エステル共重合体を含むものがよい。また、粘着剤の機能の面からは、溶剤型粘着剤、熱硬化型粘着剤、活性エネルギー線硬化型粘着剤等いずれであってもよい。
【0024】
装飾フィルム23は、合成樹脂フィルムに絵柄、図柄、画像,模様、文字等又はこれらの組み合わせ等が印刷された層である。印刷には、着色インクを用いた通常のオフセット印刷、UVオフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等の中から任意に選択して行うことができる。合成樹脂フィルムは、耐透湿性と気体透過性とを考慮して選択されたプラスチック素材で作製される。プラスチック素材としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、メタクリル系樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル樹脂フィルム等の合成樹脂が挙げられる。好ましくは、適度に耐透湿性、気体透過性を有するため、引っ張り強さが強く、適度な伸びもあり、腰が強く、弾性回復性が優れている等の特性から加工の面でも取り扱いやすいポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを使用するとよい。合成樹脂フィルムの厚さは限定するものではないが、装飾フィルム23を貼付機100にセットする際に、装飾フィルム23の剛性によって取り扱いづらくなることから、適度な腰を有する10μmから200μm程度の厚さのものを使用するとよい。
【0025】
以上の積層構造を有する貼着部材20は、図2に示すように、少なくとも被貼着部材10に形成される大開口部11に相当する部分(貼着部材開口部26)の外周に剥離層21以外の部分、すなわち、貼着層22と装飾フィルム23の上面から下面まで切り込まれた切断線25が形成されている。さらに、被貼着部材10の輪郭に相当する製品部分27とその外側の外周部分28との境界も同様に、貼着層22と装飾フィルム23の上面から下面まで切り込まれた切断線25が形成されている。被貼着部材10の小開口部12(図1参照)に相当する部分29の外周は完全に切断され、小開口部12に相当する部分29は貫通孔が形成されている。さらに、貼着部材20は、図1に示すように、後述する貼付機100の本体部50にセットする際に、位置決めの役割を果たす複数の位置決め孔24が外周部に形成されている。外周部に設けてあれば、限定するものではないが、好ましくは、4つの位置決め孔24を4隅に設けるとよい。
【0026】
なお、貼着部材20は、さらに、機能を付加するため、種々の層を追加しても構わない。例えば、装飾フィルム23の上層にハードコート層を設けても良い。ハードコート層とは、装飾フィルム23の表面に形成され、装飾フィルム23を自然劣化や遊技球から保護する機能を有する。ハードコート層としては、熱硬化性樹脂や活性エネルギー線硬化性樹脂を主成分とする樹脂を用いるとよい。上記熱硬化性樹脂としては、熱によって重合又は架橋する、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。上記活性エネルギー線硬化性樹脂は、紫外線や電子線等の活性エネルギー線によって重合・硬化する樹脂である。活紫外線硬化型樹脂としては、ウレタン系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリオール系の(メタ)アクリル酸変性された樹脂の各種オリゴマー、モノマー等に光開始剤が添加されたものを用いることができる。これらの中でもウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンメタクリレート、ポリエステルメタクリレート、エポキシメタクリレート等の分子末端にアクリル基又はメタクリル基を有しているものが好適に使用できる。装飾フィルム23の表面にハードコート層を設けることによって、表面の鉛筆硬度は、装飾フィルム23の鉛筆硬度に対して2段階〜4段階程度硬度が向上する。最終的な表面の鉛筆硬度は、H以上が好ましく、3H以上がより好ましい。
【0027】
また、装飾フィルム23と貼着層22の間にさらに合成樹脂フィルムを挟んでも良い。装飾フィルム23の印刷と貼着層22との間に合成樹脂フィルムを挟むことにより、印刷の湿気が貼着層22に到達することが防止され、貼着層22の強度が印刷の乾燥状態によって劣化する等の影響を受けることが防止される。
【0028】
上述した貼着部材20は、例えば、以下のようにして作製される。まず、合成樹脂フィルムとして、例えば厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート製のフィルムを用意し、多色印刷機を用いて所定の絵柄をグラビア印刷し、装飾フィルム23を作製する。グラビア印刷は、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)及びキートーン(K)の各印刷ユニットで印刷される。それぞれの印刷ユニットではそれぞれの色を印刷した後、数秒間熱乾燥し、後工程の印刷ユニットに送られる。必要に応じてシルク用UVインクにより、印刷してもよい。一方、別工程では、貼着層22が積層された剥離層21が形成される。貼着層22を形成するには、剥離層21にシリコンを主成分とする離型剤(図示しない。)を0.5μmから1μmの厚さに塗布した後、粘着剤を塗工機によってコーティングし、乾燥機により粘着剤を乾燥させて形成する。なお、両面テープタイプの粘着フィルムを準備しておいてもよい。そして、これらの装飾フィルム23と貼着層22が積層された剥離層21は、ロール・トゥ・シート式のラミネータを使用して、圧力ローラーで圧着して一体化し、切断線25のない貼着部材20が作製される。貼着部材20は、この状態で2日から1週間程度の期間養生される。その後、装飾フィルム23及び貼着層22は、使用される被貼着部材10の大開口部11の外周等の切断線25が必要な位置に沿って上面から下面までプレス機又はレーザー加工等によって切断される。さらに、貼着部材20は、図1に示すように、後述する貼付機100の本体部50にセットする際に、位置決めの役割を果たす4つの位置決め孔24が形成される。
【0029】
貼付機100は、図1に示すように、本体部50と開閉部60を備えている。本体部50は、被貼着部材10を取付けるための被貼着部材嵌着部51が形成されている。被貼着部材嵌着部51は、被貼着部材10の輪郭と同じ大きさ及び被貼着部材10の厚さと同じ深さに形成されており、被貼着部材10を嵌めた場合に嵌め込むことができ、被貼着部材10の上面は、本体部50の上面と面一となるように嵌め込むことができる。さらに、被貼着部材10の大開口部11と同じ大きさに形成された治具部52が被貼着部材嵌着部51内の大開口部11に相当する位置に設けられている。そのため、本体部50の被貼着部材嵌着部51に嵌めるように取り付けられた被貼着部材10は、取り外す方向(上方)以外の方向へ移動しないように位置決めされる。このように被貼着部材嵌着部51及び治具部52が被貼着部材の位置決め手段として機能を有する。本体部50には、上下に移動可能なピン53が設けられている。このピン53を貼着部材20の前述した位置決め孔24に嵌めるように貼着部材20を取り付けることで、所定の位置に位置決めされた状態で貼着部材20を本体部50に取り付けることができる。すなわち、ピン53は、貼着部材20の位置決め手段として機能する。さらに、本体部50には、被貼着部材嵌着部51にも被貼着部材10との位置決めをするための第2ピン54が設けられており、被貼着部材10の裏面に設けられた第2ピン54との係合部(図示しない。)と係合して互いに位置決めされる。なお、治具部52は着脱自在に設ければ、異なる形状の治具部52と交換することによって、例えば、様々な形状の大開口部を有する遊技基板を使用することができる。
【0030】
開閉部60は、本体部50の端部にヒンジ(図示しない)によって開閉可能に取り付けられている。開閉部60は中央に配置される弾性を有するシルクメッシュからなる柔軟なシート状部材61と、シート状部材61の外周に形成される開閉枠62と、を備えている。シート状部材61は、内面側が貼着部材20の貼着層22よりも低い貼着強度で一時的に接着又は吸着可能に形成されている。粘着性付与樹脂や発泡樹脂等の吸着性又は接着性を有する素材で作製された吸着シート63をシート状部材61の内面に貼り付けてある。なお、シート状部材61の内面を一時的に接着又は吸着可能に形成するには、シート状部材61自体を吸着性又は接着性を有する素材、例えば、粘着性付与樹脂や発泡樹脂で作製してもよいし、粘着性又は接着性を有する液体等をスプレー等で塗布してもよい。なお、一時的に接着又は吸着可能とは、正確な技術的な意味での接着又は吸着の用語を意味するものではなく、一時的に貼着部材20を接合し、接合した貼着部材20を剥がすことができる状態を意味する。このような機能を有するシート状部材61であれば、特に限定するものではない。例えば、静電気によって貼着部材20を接合可能としてもよい。開閉部60は、図5に示すように、閉じた状態においてシート状部材61が本体部50に取り付けられた貼着部材20に接触しないように1mm以上10mm以下程度隙間ができるように作製される。好ましくは、3mm以上7mm未満の隙間1を設けることが望ましい。隙間1が5mm未満の場合では、開閉部60側へ接着又は吸着された貼着部材20の剥離層21を剥がした際に大量に発生する静電気により、本体部50に位置決めされた貼着部材20が開閉部60側へ一時的に接着又は吸着される際や、再度開閉部60を閉じて装飾フィルム23を被貼着部材10へ貼着する際に、予め定められた所定の位置でない(不本意な位置)へ位置ずれしてしまうおそれがある。また、10mm以上の隙間を設けるとシート状部材61に対する加圧ローラー70からの負荷が過大となり、シート状部材61が破損しやすくなる。なお、貼着層22よりも低い貼着強度で一時的に接着又は吸着する強度は、少なくとも貼着部材20の貼着層22よりも弱く、装飾フィルム23が被貼着部材10へ貼着する際に、支障を生じさせない範囲に設定することが好ましい。
【0031】
以上のように構成された被貼着部材10及び貼着部材20は、上述した貼付機100によって、以下の貼着工程によって貼着される。
(1)まず、図1に示すように、貼付機100の本体部50の被貼着部材嵌着部51に被貼着部材10を取り付ける。これにより、被貼着部材10は本体部50の被貼着部材嵌着部51内に前後左右の方向に移動できないように位置決めされた状態で取り付けられる。なお、貼付機100の本体部50の治具部52の表面には離型剤を塗布してもよい。
(2)次に、図3に示すように、貼着部材20の4隅の位置決め孔24に本体部50のピン53を差し込むようにして、貼着部材20を本体部50に所定の位置に取り付ける(図4A)。この段階で、被貼着部材10及び貼着部材20ともに、本体部50の位置決め手段によって所定の位置に取り付けられるので、被貼着部材10及び貼着部材20に互いの相対位置も固定される。
(3)この状態から、図4Aに示すように、開閉部60を閉じる。この段階では、貼着部材20と開閉部60との間には隙間が開いている。隙間1が開いていないと開閉部60を閉じる動作によって自然に貼着部材20が吸着シート63に接着又は吸着してしまい位置がずれる可能性がある。そのため、所定の隙間1を開けて自然に接着又は吸着することを防止し、あくまで、後述する次の工程を経なければ接着又は吸着しないようにしてある。
(4)次に、開閉枠62の内側のシート状部材61を加圧ローラー70で押圧することで、内面側が貼着層22よりも低い貼着強度で一時接着又は吸着可能に形成された吸着シート63に貼着部材20が圧着される。加圧ローラーの押圧力は、60〜120Kgfが望ましい。なお、加圧ローラーについて、硬度40°〜80°(JIS−K6243)のシリコンゴムローラーが望ましい。
(5)次に、開閉部60を開くと、図6Aに示すように、貼着部材20が開閉部60に一時的に接着又は吸着された状態で、本体部50側から分離され開閉部60に移動する。
(6)次に、開閉部60に一時接着又は吸着された貼着部材20の剥離層21を剥離する。このときに、装飾フィルム23のうち、被貼着部材10の輪郭に相当する製品部分27の外側の外周部分28も同時に除去される。これにより、図7Aに示すように、製品部分27の装飾フィルム23が貼着層22を露出した状態で開閉部60に一時接着又は吸着された状態となる。
(7)次に、図7Bに示すように、再度開閉部60を閉じる。この段階では、装飾フィルム23と被貼着部材10との間には隙間が開いている。
(8)次に、開閉枠62内のシート状部材61を加圧ローラー70で押圧することで、貼着層22は被貼着部材10に押圧され、装飾フィルム23は被貼着部材10に堅固に貼付される。このときピン53は、加圧ローラー70に押圧されて下方へ移動する。これにより、隙間なく貼着層22は被貼着部材10に押圧される。加圧ローラーの押圧力は、60〜120Kgfが望ましい。なお、加圧ローラーについて、硬度40°〜80°(JIS−K6243)のシリコンゴムローラーが望ましい。
(9)次に、図8Aに示すように、開閉部60を開けると、装飾フィルム23が貼着された被貼着部材10が露出するので、図8Bに示すように被貼着部材10を本体部50から取り外す。このときに、大開口部11に相当する貼着部材開口部26の外周は切断されているので、貼着部材開口部26は治具部52に貼り付いた状態のまま、遊技板115を容易に本体部50から取り外すことができる。なお、貼着部材開口部26は治具部52に剥離剤が塗布してあるので、治具部52から比較的容易に剥がすことができる。
(10)その後、2、3日程度養生し、遊技板115が完成する。
【0032】
こうして被貼着部材10(遊技基板)に装飾フィルム23が貼付された遊技板115が作製される。
【0033】
以上の実施形態にかかる貼付機100によれば、貼付機100に、被貼着部材10及び貼着部材20の両方の位置決め手段を有し、開閉部60には、貼着部材20の貼着層22より低い貼着強度を有する接着又は吸着面を有する。この貼付機100に被貼着部材10及び貼着部材20を位置決めされた状態でセットし、開閉部60を一度閉じてから開くことにより、貼着部材20が一時的に開閉部60に接着又は吸着された状態となり、その状態で剥離層を剥がし取り、再度開閉部60を閉じることにより、装飾フィルム23が被貼着部材10に貼着される構成を採用した。このような構成を採用することによって被貼着部材10や貼着部材20を適切なタイミングで送り出す制御や、素早く正確な位置へと貼着部材20を搬送する高度な装置を有していない場合であっても、貼付機の制御にかかるコストを低減しつつ、制御の性能による位置ずれを未然に防止可能な貼付機を提供することができる。
【0034】
また、実施形態にかかる貼付機100によれば、剥離層21を剥がし取り開閉部60を再度閉じた状態で開閉部60の上から貼付機100の本体部50に向けて加圧する手段(加圧ローラー70)を備えたことにより、装飾フィルム23と被貼着部材10との貼着をむらなく仕上げることができる。
【0035】
また、実施形態にかかる貼着部材20は、大開口部11に相当する貼着部材開口部26有し、大開口部11の境界線は、剥離層21以外の部分が切断されている構成を採用した。このような構成を採用することにより、先に貼着部材開口部26を除去した場合に、全体的な強度不足により、被貼着部材10の大開口部11に対して正確に装飾フィルム23が貼着できなくなるという問題点が解決される。また、装飾フィルム23の貼着部材開口部26が切断されているので、被貼着部材10への貼着後に少しの力で簡単に除去することができるので、作業性が著しく向上した貼付機とすることができる。
【0036】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0037】
上述した実施形態では、開閉部60は、本体部50の端部にヒンジによって取り付けられているものを説明したが、必ずしも本体部と開閉部は一体である必要はなく、例えば本体部と開閉部が平行に配置され、開閉部が上下に移動するタイプであってもよい。
【0038】
また上述した実施形態では、貼着部材20の小開口部12に相当する部分29は、貫通孔が形成されているものとしたが、貼着部材開口部26と同様に剥離層21以外の部分のみに切断線25を設けても良い。この場合は、大開口部11に相当する部分29と同様に、最終段階で小開口部12に相当する部分29を除去することになる。
【0039】
さらに、上述した実施形態では、被貼着部材10として遊技基板を例として説明したが、これに限定するものではなく、表面に装飾や表示情報をフィルムによって貼着する部材、例えば、電気製品の部品や、自動車の部品等に使用することもできる。また、被貼着部材の素材として合成樹脂を使用するものとしたが、これに限定するものではなく、開閉部60に一時的に接着又は吸着可能な素材であれば、種々の素材を使用することができる。
【0040】
さらに、上述した実施形態では、前記シート状部材61としてシルクからなる柔軟なシート状部材61に粘着性付与樹脂や発泡樹脂等の吸着性又は接着性を有する素材で作製された吸着シート63をシート状部材61の内面に貼り付けてあるものを使用するものとしたが、シート状部材61の内面側を一時接着または吸着可能なメッシュ状のシートにしてもよい。かかる構成を採用することによって、貼着部材20をシート状部材61に一時的に接着又は吸着させた際に、貼着部材20とシート状部材61との間に入った空気をメッシュから排出することができる。そのため、空気によって、貼着部材20とシート状部材61の密着が妨げられることが防止され、貼着部材20とシート状部材61との密着性が向上し、再度開閉部60を閉じた場合の被貼着部材10と貼着部材20との位置の再現誤差が発生する可能性を低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
上述した実施の形態で示すように、遊技球を遊技媒体として用いる遊技機の遊技板を作製するのに利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
10…被貼着部材、11…大開口部、12…小開口部、20…貼着部材、
21…剥離層、22…貼着層、23…装飾フィルム、24…位置決め孔、
25…切断線、26…貼着部材開口部、27…製品部分、28…外周部分、
29…貼着部材20における被貼着部材10の小開口部12に相当する部分、
50…本体部、51…被貼着部材嵌着部、52…治具部、53…ピン、
60…開閉部、61…シート状部材、62…開閉枠、63…吸着シート、
70…加圧ローラー、100…貼付機、115…遊技板
図1
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