特許第6284716号(P6284716)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 奥田 博昭の特許一覧

<>
  • 特許6284716-移動容易な業務用非常時対応無線装置 図000002
  • 特許6284716-移動容易な業務用非常時対応無線装置 図000003
  • 特許6284716-移動容易な業務用非常時対応無線装置 図000004
  • 特許6284716-移動容易な業務用非常時対応無線装置 図000005
  • 特許6284716-移動容易な業務用非常時対応無線装置 図000006
  • 特許6284716-移動容易な業務用非常時対応無線装置 図000007
  • 特許6284716-移動容易な業務用非常時対応無線装置 図000008
  • 特許6284716-移動容易な業務用非常時対応無線装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284716
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】移動容易な業務用非常時対応無線装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/38 20150101AFI20180215BHJP
【FI】
   H04B1/38
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-146338(P2013-146338)
(22)【出願日】2013年7月12日
(65)【公開番号】特開2015-19309(P2015-19309A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2016年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】502130124
【氏名又は名称】奥田 博昭
(74)【代理人】
【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
(72)【発明者】
【氏名】奥田 博昭
【審査官】 佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−177867(JP,A)
【文献】 特開2007−005943(JP,A)
【文献】 特開2008−035458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/38−1/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
該ケース内に組み込まれ基地局と移動局の無線機との間で送受信するための無線部専用スピーカをもつ無線部と、
該ケース内に組み込まれ電力を蓄えるためのバッテリと該無線部に駆動電力を供給し該バッテリに充電電力を供給するDCバッテリコントローラと商用電源の交流電力を直流電力に変換して該DCバッテリコントローラに供給するAC/DCコンバータと該商用電源の交流電力を該AC/DCコンバータに入力するAC入力ケーブルとDC電源から直流電力を前記DCバッテリコントローラに入力するDC入力ケーブルと外部スピーカを動作させるための外部スピーカ駆動アンプを有する外部スピーカ駆動アンプ部とを備える基地局電源装置と、を有する移動容易な業務用非常時対応無線装置において、
さらに前記基地局電源装置は、前記無線部に入力された音声信号を記録媒体に録音する録音部と該録音部に記録された該音声信号を再生する再生部と該録音部および該再生部の動作を制御する制御部を備える録音装置部とを有し、
前記制御部は、操作者から録音開始の指示があった場合、前記録音部を制御して録音を開始させ、操作者から録音停止の指示があった場合、又は、容量がなくなって前記記録媒体に録音できなくなった場合、前記録音部を制御して録音を停止させ、操作者から再生開始の指示があった場合、前記再生部を制御して再生を開始させることを特徴とする移動容易な業務用非常時対応無線装置。
【請求項2】
前記DC入力ケーブルは、前記DCバッテリコントローラに常時電気的に接続されている請求項1に記載の移動容易な業務用非常時対応無線装置。
【請求項3】
前記AC入力ケーブルまたは前記DC入力ケーブルから供給される電力が遮断されたとき、前記バッテリの電力によって点灯するライトを有する請求項1または2に記載の移動容易な業務用非常時対応無線装置。
【請求項4】
さらに、前記移動容易な業務用非常時対応無線装置は表示/入力操作部を備え、
前記表示/入力操作部は、操作画面及び画像を表示する機能並びに操作者が操作指示を入力する機能を含む表示/入力操作装置を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の移動容易な業務用非常時対応無線装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局と移動局との間で通信を行う業務用無線の無線機を備えた業務用非常時対応無線装置に関し、特に、移動容易な業務用非常時対応無線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
業務用無線の一使用例を、図7および図8にイメージ図で示す。図7の無線システムでは基地局51とその基地局のエリア内のポータブル無線機52aや車載無線機52bが使用される移動局52との間で通信が行われる。また、図7のシステムに比較して、より広範囲のエリアが対象の場合は 図8のように高所に設置された制御局60を通して基地局51と移動局52との通信を行う。さらに、各地の制御局(例えば、東京−静岡−名古屋…)をネットワーク化することで全国エリアの通信が可能となる。
【0003】
図7および図8に示す基地局51は、業務用非常時対応無線装置10を備えている。この従来の業務用非常時対応無線装置10としては、例えば、特許文献1に記載されたものがある。
【0004】
特許文献1に記載された業務用非常時対応無線装置10は、図6のブロック図に示すように、商用電源であるAC100Vが停電等で供給されなくなった非常時でも基地局としての機能を維持できるように、蓄電池であるバッテリ13を備えている。商用電源が確保できるときは、業務用非常時対応無線装置10はAC入力ケーブル15またはDC入力ケーブルを介して電力を獲得する。しかし、商用電源が確保できないときは、業務用非常時対応無線装置10はバッテリ13より電力を獲得する。
【0005】
また、特許文献1に記載された業務用非常時対応無線装置10は、図6のブロック図に示すように、ケース内に外部スピーカ駆動アンプ33を有する外部スピーカ駆動アンプ部30を組み込んでいる。非常時に移動局あるいは他の基地局との交信情報を周囲の人々に知らせるには、外部スピーカ駆動アンプ部30の外部スピーカ駆動アンプ33によって音声信号が増幅される。これによって、外部スピーカを通して移動局や他の基地局との通信内容を同時に周囲の人々に伝達することができる。加えて、この業務用非常時対応無線装置10を必要な情報を連絡するためのセンタ(基地局)からの連絡手段として用いることができる。
【0006】
災害等の非常時において、例えば、被害状況や避難場所の指示等の無線交信内容を、周囲の人々に知らせなければならない状況がある。このような場合、無線交信内容を録音することができれば、録音内容を再生することで、繰り返しこの無線交信内容を周囲の人々に知らせることが可能となる。しかし、特許文献1に記載の業務用非常時対応無線装置10は、録音機能を備えていない。したがって、無線交信内容を録音するためには別途録音装置を用意し、特許文献1に記載の業務用非常時対応無線装置10に接続しなければならない。これでは、非常時に迅速に対応することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−177867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、無線交信内容を録音・再生することができ、異常事態に迅速に対応可能である移動容易な業務用非常時対応無線装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ケースと、ケース内に組み込まれ基地局と移動局の無線機との間で送受信するための無線部専用スピーカをもつ無線部と、ケース内に組み込まれ電力を蓄えるためのバッテリと無線部に駆動電力を供給しバッテリに充電電力を供給するDCバッテリコントローラと商用電源の交流電力を直流電力に変換してDCバッテリコントローラに供給するAC/DCコンバータと商用電源の交流電力をAC/DCコンバータに入力するAC入力ケーブルとDC電源から直流電力をDCバッテリコントローラに入力するDC入力ケーブルと外部スピーカを動作させるための外部スピーカ駆動アンプを有する外部スピーカ駆動アンプ部とを備える基地局電源装置と、を有する移動容易な業務用非常時対応無線装置において、さらに基地局電源装置は、無線部に入力された音声信号を記録媒体に録音する録音部と録音部に記録された音声信号を再生する再生部と録音部および再生部の動作を制御する制御部を備える録音装置部とを有し、制御部は、操作者から録音開始の指示があった場合、録音部を制御して録音を開始させ、操作者から録音停止の指示があった場合、又は、容量がなくなって記録媒体に録音できなくなった場合、録音部を制御して録音を停止させ、操作者から再生開始の指示があった場合、再生部を制御して再生を開始させることを特徴とする。
【0010】
この構成により、本発明の移動容易な業務用非常時対応無線装置は、受信した無線交信内容を録音することができる。そして、必要に応じてこの録音内容を再生し、外部スピーカを使用することによって、広範囲の多数の人々に基地局と移動局、あるいは他の基地局との無線通信内容を知らせることができる。また、基地局のマイクを使用して必要な情報を録音することもできる。そして、この録音内容を必要に応じて再生し、外部スピーカを通して外部の人々に連絡することもできる。
【0011】
また、本発明の移動容易な業務用非常時対応無線装置のDC入力ケーブルは、常時DCバッテリコントローラに電気的に接続されていることが望ましい。
【0012】
この構成により、AC100Vが使用される通常時にもDC入力ケーブルはケースに接続されているので非常時にあらためて保管場所から取り出して業務用非常時対応無線装置に取り付ける手間がいらず、必要に応じて使用できるので、緊急時に迅速に対応できる。
【0013】
また、本発明の移動容易な業務用非常時対応無線装置は、AC入力ケーブルまたはDC入力ケーブルから供給される電力が遮断されたとき、バッテリの電力によって点灯するライトを有することが望ましい。
【0014】
この構成により、災害時等の非常時に商用電力の供給がたとえ断たれてしまったとしても、暗闇において辺りを照らす光源として使用することができる。
【0015】
また、本発明の移動容易な業務用非常時対応無線装置は、操作画面及び画像を表示する機能並びに操作者が操作指示を入力する機能を含む表示/入力操作装置を備える表示/入力操作部を有することが望ましい。
【0016】
この構成により、災害時等の非常時において、操作者は容易にそして迅速に業務用非常時対応無線装置の操作を行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の移動容易な業務用非常時対応無線装置によれば、別途録音装置を用意することなく、非常時に基地局と移動局あるいは他の基地局との交信内容を録音することができる。したがって、災害時等の非常時において、迅速に対応が可能である。そして、必要に応じてこの録音内容を再生し、外部スピーカを通して周囲の人々に伝達することができる。また、この移動容易な業務用非常時対応無線装置を必要な情報を連絡するためのセンタ(基地局)からの連絡手段として用いることができる。さらに、基地局のマイクを使用して操作者が直接自身の音声を録音することもできるため、災害等の非常時における情報伝達手段・情報録音手段として非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明による移動容易な業務用非常時対応無線装置の第1実施形態を示すブロック図である。
図2】第1実施形態による移動容易な業務用非常時対応無線装置の外観図のうち前面正面図である。
図3】第1実施形態による移動容易な業務用非常時対応無線装置の外観図のうち裏面正面図である。
図4】本発明による移動容易な業務用非常時対応無線装置の第2実施形態を示すブロック図である。
図5】第2実施形態による移動容易な業務用非常時対応無線装置の外観図のうち前面正面図である。
図6】従来の業務用非常時対応電源装置のブロック図である。
図7】業務用無線の一使用例を図示した説明図である。
図8】業務用無線の一使用例を図示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、各図面において同一箇所は同一符号を使用して説明する。
【0020】
(第1実施形態)
第1実施形態の移動容易な業務用非常時対応無線装置1について、図1のブロック図を参照して説明する。
【0021】
図1に示すように、第1実施形態の移動容易な業務用非常時対応無線装置1は、無線部14と基地局電源装置とを備えている。
【0022】
無線部14は、一般に市販されている無線機で構成されても良く、ケース48から取外し可能である。無線機は、無線機自身にスピーカを内蔵するもの、あるいは無線機自身にはスピーカを内蔵しないもの、どちらも採用できる。
【0023】
無線部専用スピーカ18は、無線部14で受信した音声信号を音声として出力する。また、無線部専用スピーカ18は、操作者の音声を無線部を介して送信するためのマイクロフォンとしての機能を持つことが望ましい。すなわち、無線部専用スピーカ18は、マイク/スピーカとして使用されることが望ましい。無線部専用マイク/スピーカ18は無線機と脱着可能に接続できる。
【0024】
図1の基地局電源装置は、AC/DCコンバータ11、DCバッテリコントローラ12、バッテリ13、内部スピーカ17、AC入力ケーブル15、DC入力ケーブル16A、外部スピーカ駆動アンプ部30、録音装置部20とを有している。また、基地局電源装置の電源スイッチ12a、電源表示ランプ12b、バッテリ表示ランプ12c、バッテリ残量メータ12dはケース48の前面に配設されている。そしてこれらは、DCバッテリコントローラ12に接続されている。内部スピーカ17の音量調節は、ケース48前面に設けられる内部スピーカ音量調整ツマミ17aによって行われるが、 図1のブロック図では図示を省略している。
【0025】
録音装置部20は、図1に示すようにCPU(制御部)21、録音部22、再生部23とを有している。録音スイッチ41、再生スイッチ42はケース48に配設されており、録音装置部20のCPU21に接続されている。
【0026】
外部スピーカ駆動アンプ部30は、アッテネータ(ATT)31、VOX回路32、外部スピーカ駆動アンプ33、アンプ電源制御回路34、アンプ入力制御回路35、外部制御回路36とを有している。外部スピーカ音量調整部33aはケース48に設けられ、外部スピーカ駆動アンプ33と接続している。外部スピーカ駆動アンプ33の出力はケース48に設けられた外部スピーカ接続のための外部スピーカコネクタ(ジャック)33cに接続されている。また、外部制御回路36は外部制御機器を接続するための外部制御機器コネクタ36cに接続されている。
【0027】
第1実施形態の業務用非常時対応無線装置1の動作について説明する。なお、本発明の業務用非常時対応無線装置1は、図7および図8により業務用無線の一使用例として示されている業務用非常時対応無線装置10に換えて使用できる。
【0028】
業務用非常時対応無線装置1は、外部の交流電源あるいは直流電源(例えば、AC100V、DC12V/24V)あるいはバッテリ13のいずれかの電力により動作させることができる。AC100Vの入力が確保されている時は、入力したAC100VがAC/DCコンバータ11によってDC電圧に変換される。DC電圧はDCバッテリコントローラ12に入力され、DCバッテリコントローラ12において+12Vとされる。そして、+12VとされたDC電圧は電力として無線部14、外部スピーカ駆動アンプ部30及び録音装置部20等に供給される。
【0029】
また、商用電源のAC100Vが停電等で確保できない時は、例えば自動車のシガーソケットからDC電圧(12Vまたは24V)をDC入力ケーブル16Aを介してDCバッテリコントローラ12に入力する。そして、DCバッテリコントローラ12で変換された+12VのDC電圧が電力として無線部14、外部スピーカ駆動アンプ部30及び録音装置部20等に供給される。
【0030】
このように業務用非常時対応無線装置1が外部の交流電源あるいは直流電源から電力を供給されているときには、これらの電源が無線部14、外部スピーカ駆動アンプ部30及び録音装置20等に電力を供給すると共に、さらにバッテリ13にも供給し、バッテリ13を充電することができる。
【0031】
商用電源のAC100VあるいはDC12V/24Vがともに確保できないときには、バッテリ13の電源からDCバッテリコントローラ12にDC電圧が入力される。DCバッテリコントローラ12によって変換された+12VのDC電圧が電力として無線部14、外部スピーカ駆動アンプ部30及び録音装置部20等に供給され、非常時の業務用非常時対応無線装置1を動作させる。本実施形態のバッテリ13は満充電の状態から約20時間業務用非常時対応無線装置1を動作させることが可能である。
【0032】
録音装置部20は、無線部14に入力された音声信号を必要に応じて録音し、再生する。
【0033】
無線部14に入力される音声信号は、アンテナ19を介して入力される無線信号であっても良いし、操作者が無線部専用マイク/スピーカ18を使用して入力したアナログ音声を無線部14によって変換したデジタル信号であっても良い。無線部14に入力された音声信号は、制御部であるCPU21によって制御される。
【0034】
ここで、録音操作について説明する。録音操作とは録音を開始し、または、録音を停止する操作のことである。CPU21は、操作者がケース48に固定されている録音スイッチ41をONにすることで、録音開始の指示を受ける。録音開始の指示を受けたCPU21は、録音部22に対して録音開始の制御指令を送る。録音部22は、CPU21からの制御指令に従い、無線部14に入力された音声信号を録音部22内のメモリに記憶する。このメモリは、例えば磁気テープやディスクや半導体メモリ等で構成することができる。
【0035】
CPU21は、操作者がケース48に固定されている録音スイッチ41をOFFにすることで、録音停止の指示を受ける。録音停止の指示を受けたCPU21は、録音部22に対して録音停止の制御指令を送る。録音部22は、CPU21からの制御指令に従い、録音を停止する。
【0036】
しかし災害等の非常事態の場合、録音スイッチ41をONにした操作者が、迅速にその場を離れなければならない状況も考えられる。このような場合には、録音操作を行った操作者は録音スイッチ41をOFFにすることができない。したがって、長時間の音声信号の記録によって録音部22内のメモリ容量が無くなった場合には、CPU21は録音部22に録音停止の制御指令を送る。これにより、CPU21は操作者の録音停止の指示を受けなくとも、録音部22に録音停止の制御指令を送ることができる。すなわち、録音を停止することができる。
【0037】
次に、再生操作について説明する。再生操作とは、録音部22内のメモリに記憶された音声の再生を開始し、又は、再生を停止する操作のことである。CPU21は、操作者がケース48に固定されている再生スイッチ42をONにすることで、再生開始の指示を受ける。再生スイッチ42は、外部スピーカ40による再生、内部スピーカ17による再生、マイク/スピーカ18による再生、いずれかを選択しON/OFF操作ができるスイッチである。
【0038】
操作者より再生スイッチ42を介して「外部スピーカ40による再生」の指示を受けたCPU21は、「外部スピーカ40による再生」の制御指令を再生部23に送る。再生部23は、CPU21の制御指令に従い録音部22内のメモリに記憶された音声信号を外部スピーカ駆動アンプ部30に送る。そして、外部スピーカ駆動アンプ部30で増幅されたこの音声信号が、外部スピーカ40によって再生される。このように、外部スピーカ40によれば、より広範囲の人々に情報を伝達することが可能となる。
【0039】
操作者より再生スイッチ42を介して「内部スピーカ17による再生」の指示を受けたCPU21は、「内部スピーカ17による再生」の制御指令を再生部23に送る。再生部23は、CPU21の制御指令に従い録音部22内のメモリに記憶された音声信号を内部スピーカ17に送る。そして、内部スピーカ17によって、録音された音声が再生される。このように、内部スピーカ17によれば、外部スピーカ等の外部機器を用意する必要がないため、迅速に一定範囲の人々に情報を伝達することができる。
【0040】
操作者より再生スイッチ42を介して「無線部専用マイク/スピーカ18による再生」の指示を受けたCPU21は、「無線部専用マイク/スピーカ18による再生」の制御指令を再生部23に送る。再生部23は、CPU21の制御指令に従い録音部22内のメモリに記憶された音声信号を無線部14を介して無線部専用マイク/スピーカ18に送る。そして、無線部専用マイク/スピーカ18によって、録音された音声が再生される。このように、無線部専用マイク/スピーカ18によれば、外部スピーカ等の外部機器を用意する必要がないため、迅速に操作者等に情報を伝達することができる。
【0041】
外部スピーカ駆動アンプ部30は入力された音声信号を増幅する。すなわち、無線部14を介して録音装置部20のCPU21に入力された音声信号が、CPU21の制御によりアッテネータ31を介して外部スピーカ駆動アンプ33に入力される。外部スピーカ駆動アンプ33により増幅された音声信号は、外部スピーカ接続端子である外部スピーカジャック33cに出力している。そして、外部スピーカジャック33cに外部スピーカ40を接続することにより、基地局と移動局との交信状況を外部スピーカ40から周囲の人々に伝達することができる。
【0042】
また、操作者が無線部専用マイク/スピーカ18を使用した場合は、操作者の音声が無線部14にて音声信号に変換され、録音装置部20のCPU21に入力される。そして、CPU21の制御によって音声信号がアッテネータ31を介して外部スピーカ駆動アンプ33に入力される。外部スピーカ駆動アンプ33により増幅された音声信号は、外部スピーカ接続端子である外部スピーカジャック33cに出力している。したがって、外部スピーカ40を外部スピーカジャック33cに接続することで、業務用非常時対応無線装置1を拡声器として使用することができる。すなわち、操作者の声を周囲の人々に確実に伝達することができる。
【0043】
外部スピーカ40の音量調整は、ケース48に固定され、外部スピーカ駆動アンプ33に接続されている外部スピーカ音量調整部33aのツマミを回転させて調節する( 図2(a)参照)。ツマミを反時計方向に回転させ音量を絞りこめば外部スピーカの音を消すことも可能である。この外部スピーカ駆動アンプ33の出力は10Wであるが、好ましい出力の範囲は10〜60Wであり、より好ましい出力の範囲は10〜30Wである。このように、外部スピーカ駆動アンプ33の出力を設定する事で、より広範囲の人々に音声を伝達することが可能となる。
【0044】
なお、上記の無線部14からの音声信号のレベルをもとに、VOX回路32により外部スピーカ駆動アンプ33への電力の供給をON/OFFするアンプ電源制御回路34、外部スピーカ駆動アンプ33への音声信号入力をON/OFFするアンプ入力制御回路35、外部制御機器の動作を制御する外部制御回路36の制御を行っている。外部制御機器コネクタ36cに接続され制御される外部制御機器はフラッシングライト、ブザー及び構内放送機器の外部入力ON/OFF回路等である。
【0045】
DC入力ケーブル16Aは、常時、業務用非常時対応無線装置1に接続されてDCバッテリコントローラ12に電気的につながっている。DC入力ケーブル16Aは通常は使用されないので業務用非常時対応無線装置1裏面のケーブルクランプ(不図示)に巻き付けてあり、非常時に引き延ばし先端のコネクタ(シガレットプラグ)16aを車両等のシガライタジャックに接続するようになっている。しかし、装置内にリールを設け通常使用しないときはリールに巻き込み保管しておき、非常時にリールから引き出して使用するようにしてもよい。
【0046】
ライト43は、ケース48前面に設けられている。ライト43は、AC入力ケーブルまたはDC入力ケーブルからの電力供給が遮断された場合、バッテリ13の電力により点灯する。ライト43は、消費電力が少ないLEDライトを使用するのが好ましいが、これに限定されない。ライト43が設けられることにより、災害時等の非常時に電力供給が断たれた場合であっても、夜間等暗闇で明かりを確保することができる。さらに、消費電力の少ないLEDライトを使用することで長時間の明かりを確保することが可能となる。
【0047】
(第2実施形態)
第2実施形態の移動容易な業務用非常時対応無線装置2について、図4のブロック図を参照して説明する。第2実施形態では、表示/入力操作部47を設け、本発明の移動容易な業務用非常時対応無線装置2の操作を表示/入力操作部47により行う点で第1実施形態と異なる。したがって、異なる部分について説明し、第1実施形態と同様の構成については同符号を付して説明を省略する。
【0048】
図4に示すように、表示/入力操作部47は、表示/入力操作装置44、タッチパネル制御部45、ディスプレイ制御部46とを備えている。なお、第2実施形態では、録音装置部20のCPU21が、録音装置部20の制御のみならず、表示/入力操作部47の全体も制御する。つまり、CPU21には録音装置部20を制御する制御プログラムと表示/入力操作部47を制御する制御プログラムが組み込まれている。
【0049】
表示/入力操作装置44は、タッチパネルおよびディスプレイを有しており、ディスプレイの上に重ねてタッチパネルが配置され、ディスプレイとタッチパネルが一体的になっている。
【0050】
タッチパネルは透明であり、ディスプレイの画面表示を透過し、操作者の指などの接触だけでなく接近(接触せずに所定の距離まで近づいたことを意味するものとする)も検知可能である。ここで、操作者の指などとは、操作者の指以外の生体部位やタッチパネルに対応したスタイラス(ペン状の指示棒)等を含むものとする。タッチパネルに対するタッチ操作の位置読み取り方式は、抵抗膜方式、静電容量方式、電磁誘導方式、磁気歪方式、感圧方式等があるが、本発明はいずれにも限定されない。タッチパネルに対する操作者のタッチ操作は、タッチパネル制御部45により検知・制御され、CPU21に検知情報が送られる。
【0051】
ディスプレイは、CPU21から画像表示の制御指令を受けたディスプレイ制御部46が供給する操作画面および画像を表示する。ここで操作画面および画像とは、図や絵のようなアニメーションのみならず、文字も含まれるものとする。ディスプレイは、例えばLCD,有機ELディスプレイなどからなるが特に限定されない。
【0052】
表示/入力操作装置44は、DCバッテリコントローラ12と接続しており、電力を確保する。
【0053】
第2実施形態の業務用非常時対応無線装置2の動作について説明する。なお、本発明の業務用非常時対応無線装置2は、図7および図8により業務用無線の一使用例として示されている業務用非常時対応無線装置10に換えて使用できる。
【0054】
操作者は、表示/入力操作装置44のタッチパネルに操作者の指などを接近または接触させる。タッチパネルが操作者の指などの接近または接触を検知すると、その検知情報をタッチパネル制御部45が読み取り、タッチパネル制御部45がCPU21に制御指令を送る。タッチパネル制御部45から制御指令を受けたCPU21は、DCバッテリコントローラ12に電力供給の制御指令を送る。指令を受けたDCバッテリコントローラ12は表示/入力操作装置44に電力を供給する。商用電源からの電力供給が確保されているときは、AC入力ケーブル15より電力が供給され、商用電源からの電力供給が確保できないときは、DC入力ケーブル16Aあるいはバッテリ13より電力が供給される
また、タッチパネル制御部45から指令を受けたCPU21は、ディスプレイ制御部46に画像表示の制御指令を送る。そして、CPU21から画像表示の制御指令を受けたディスプレイ制御部46は、ディスプレイに操作画面を供給する。
【0055】
これにより、表示/入力操作装置44のディスプレイには操作画面が表示される。そして、操作者はこの操作画面にしたがって希望の操作をタッチ操作にて行うことができる。
【0056】
第2実施形態によれば、災害等の非常時において商用電源が遮断された状況においても、バッテリ13を備えているため電力供給を確保することができる。したがって、災害等の非常時においても、表示/入力操作装置44に電力を供給することが可能である。すなわち、操作者は第2実施形態の業務用非常時対応無線装置2の操作を表示/入力操作装置44を用いて操作可能となる。
【0057】
第2実施形態によれば、操作者は表示/入力操作装置44のタッチパネルのタッチ操作をすることで、第2実施形態の業務用非常時対応無線装置2のあらゆる操作を行うことができる。例えば、操作者は、基地局電源装置の電源入力操作、録音操作、再生操作、外部スピーカの音量調節等の操作を、表示/入力操作装置44にて行うことが可能となる。これらの操作を選択肢とし、選択肢それぞれに対応する複数のボタンがマトリックス状に配置され、表示/入力操作装置44のディスプレイに操作画面として表示される。そして、操作者は希望する選択肢のボタンをタッチ操作することで、希望の操作が可能となる。
【0058】
第2実施形態によれば、表示/入力操作装置44によって、電源表示ランプ、バッテリ表示ランプ、バッテリ残量メータ等の表示を画像として表すことができる。例えば、表示/入力操作装置44が起動し、ディスプレイに操作画面が表示される初期画面に、電源表示ランプ、バッテリ表示ランプ、バッテリ残量メータ等の画像を表示することが望ましい。また、電源表示ランプ、バッテリ表示ランプ、バッテリ残量メータ等の表示を操作画面のマトリックス状に配置される選択肢の1つとしてもよい。この場合では、操作者が選択肢のボタンをタッチすることで電源表示ランプ、バッテリ表示ランプ、バッテリ残量メータ等が表示される。このように、それぞれ操作箇所・表示箇所としてケース48に設けられていた部品は、表示/入力操作装置44で操作および表示することができるため、ケース48に配設する必要がなくなる。すなわち、部品点数を減らすことができる。
【0059】
さらに、第2実施形態によれば、操作者は表示/入力操作装置44に表示される操作画面に従って操作することができるため、操作が容易であり、操作ミスを減らすことができる。つまり、災害等の非常時においても、操作を迅速に行うことができるため非常に有用である。
【0060】
(変形例)
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。変更の例をいくつか以下に示す。
【0061】
ライト43は、AC入力ケーブルまたはDC入力ケーブルからの電力供給が遮断された場合、バッテリ13の電力により点滅する形態であってもよい。このような形態であれば、災害時において、本発明の業務用非常時対応無線装置1(2)が瓦礫の下敷き等によって見つかりにくい場所に存在する場合であっても、点滅する光によってより発見されやすくなる。
【0062】
表示/入力操作装置44は、ケース48の天井面に設ける形態であってもよい。このような形態であれば、本発明の業務用非常時対応無線装置2が操作者の背の高さより低い位置に置かれた場合においても、操作者はケース48の天井面を見ることで容易に表示/入力操作装置44を操作することができる。
【0063】
無線部14を構成する無線機は、アンテナ、スピーカ/マイク、バッテリ、アンプ等を備えるものであって、ケースから取り外した場合であっても無線機として使用することができる形態であってもよい。すなわち、無線部14にはアンテナ、スピーカ/マイク、バッテリ、アンプ等が含まれる形態であってもよい。
【符号の説明】
【0064】
1:業務用非常時対応無線装置(第1実施形態)
2:業務用非常時対応無線装置(第2実施形態)
10:業務用非常時対応無線装置(従来例)
11:AC/DCコンバータ
12:DCバッテリコントローラ
12a:電源スイッチ 12b:電源表示ランプ 12c:バッテリ表示ランプ
12d:バッテリ残量メータ
13:バッテリ
14:無線部 14c:無線部専用マイク/スピーカジャック
15:AC入力ケーブル
16、16A:DC入力ケーブル 16a:コネクタ
17:内部スピーカ 17a:内部スピーカ音量調節ツマミ
18:無線部専用マイク/スピーカ
19:アンテナ 19a:アンテナコネクタ
20:録音装置部
21:CPU(制御部)
22:録音部
23:再生部
30:外部スピーカ駆動アンプ部
31:アッテネータ
32:VOX回路
33:外部スピーカ駆動アンプ
33a:外部スピーカ音量調整ツマミ 33c:外部スピーカコネクタ
34:アンプ電源制御回路
35:アンプ入力制御回路
36:外部制御回路 36c:外部制御機器コネクタ
40:外部スピーカ
41:録音スイッチ
42:再生スイッチ
43:ライト
44:表示/入力操作装置
45:タッチパネル制御部
46:ディスプレイ制御部
47:表示/入力操作部
48:ケース
51:基地局
51a:送受信アンテナ
52:移動局
52a:ポータブル無線機 52b:車載無線機
60:制御局
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8