特許第6284725号(P6284725)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284725
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】化学発光体用容器および化学発光体
(51)【国際特許分類】
   F21K 2/06 20060101AFI20180215BHJP
【FI】
   F21K2/06
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-182441(P2013-182441)
(22)【出願日】2013年9月3日
(65)【公開番号】特開2015-50123(P2015-50123A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年7月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000230630
【氏名又は名称】株式会社ルミカ
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(72)【発明者】
【氏名】佐野 裕之
(72)【発明者】
【氏名】権田 健一
(72)【発明者】
【氏名】長野 智一
(72)【発明者】
【氏名】菊池 範明
(72)【発明者】
【氏名】平田 伸次
【審査官】 杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−077301(JP,A)
【文献】 特開昭59−186201(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3151158(JP,U)
【文献】 特開2013−030435(JP,A)
【文献】 米国特許第03819925(US,A)
【文献】 国際公開第99/058898(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 2/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種の化学組成物を混合することで化学発光を生じさせる化学発光体用容器であって、
前記化学発光体用容器が、外筒と、前記外筒に内包される内筒とを有し、
前記内筒が、前記2種の化学組成物の一方の化学組成物を内部に含む破割性アンプルであり、
前記外筒が、前記2種の化学組成物の他方の化学組成物を、外筒の内部でありかつ外筒に内包される前記内筒の外部に含むポリプロピレン樹脂含有組成物製であり、
前記外筒がくびれ部を一つのみ有することを特徴とする化学発光体用容器。
【請求項2】
前記くびれ部における最小肉厚が0.8mm以上5mm以下である請求項1記載の化学発光体用容器。
【請求項3】
前記くびれ部の直径の、化学発光体用容器の最大直径に対する比(くびれ部の直径/最大直径)が、0.5以上0.95以下である請求項1または2記載の化学発光体用容器。
【請求項4】
前記外筒が、略平面部を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の化学発光体用容器。
【請求項5】
前記外筒の最小直径が6mm以上50mm以下であり、かつ、前記外筒の長さの、外筒の最大直径に対する比(外筒の長さ/外筒の最大直径)が、3以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の化学発光体用容器。
【請求項6】
前記外筒が、熱溶着により蓋部が設けられた外筒である請求項1〜5のいずれか1項に記載の化学発光体用容器。
【請求項7】
前記外筒が、前記内筒の移動を制限する内筒把持部が設けられた外筒である請求項1〜6のいずれか1項に記載の化学発光体用容器。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の化学発光体用容器を用いた化学発光体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化学発光体用容器に関する。特に、コンサートライト等のイベント用ライトや防災用として用いられる手持ち型発光体の容器に関し、従来よりも折り曲げによる破損の可能性が低くかつ取扱性に優れた化学発光体用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンサートライトのようにイベント時に用いられるライトや防災用ライト等の手持ち型ライト、夜間の釣り用に使用される浮き、セレモニー会場の装飾等のように、化学発光用蛍光液と化学発光用酸化液の組み合わせのような2種類の液体や固体を混合させることで化学発光を生じさせる化学発光体が広く用いられている(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
これらの化学発光体は、前述の特許文献1や特許文献3、4に示されるように、筒状容器内(外筒内)に、さらにガラスアンプル等の内筒を設け、一方の液(または固体)をこの内筒内に充填し、その内筒の外側でありかつ外筒内に他方の液を充填し、保管時においては2種の液が内筒(ガラスアンプルの場合、ガラス)によって分離されるものの、使用時には化学発光体を折り曲げることで内筒が破割し、2種の液(または液と固体)が混合し筒状容器内で化学発光が生じる構成として提案され利用されている。
【0004】
これらの化学発光体が手持ち型ライト等の場合、その化学発光体用容器の外筒は、成型加工性や周辺への均一な発光特性に優れることから円筒状の容器とされることが多かった。また、その円筒状の容器には、一般的に、光透過性、光分散性、可撓性および耐溶剤性の観点からポリエチレン樹脂が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許4044934号公報
【特許文献2】特開2011−137134号公報
【特許文献3】特開平8−280421号公報
【特許文献4】特許3773244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ポリエチレン製の円筒状容器の場合、可撓性が高い点から過剰な力で折り曲げたり、発光を早めようと複数回折り曲げたりしたときに、ガラスアンプルや複数回の折り曲げにより外筒も破損する場合があった。また、化学発光体の用途が広がるにつれ、従来のポリエチレン製の容器は耐熱性や、ガスバリア性等の密閉性、耐圧性(圧力が加わったとき接合部がはがれやすい)にやや劣ることから、高温となる恐れがある場所(例えば車内等)や、長時間保管したりする場合に、内部の溶液等の劣化により発光輝度が低下したり、変形してしまうことが問題となることが指摘されるようになってきた。
【0007】
また、外筒部分は、一方を解放させた本体容器に蓋部を設けることで内容物が漏れないように密閉される。ここで、一般的な化学発光体の製造においては、外筒の本体容器に、化学発光用酸化液を含むガラスアンプルと、化学発光用蛍光液を外筒内でありかつガラスアンプルの外に加えたのち、蓋部を熱溶着により密閉する。しかし、この蓋部と外筒本体容器とを熱溶着した接着部は、熱溶着等による接着のため、一体成型されている他の部に比べ耐久性が低くなりやすい。また、この接着部は、熱による影響を受けやすく、化学発光体を高温下で耐久試験を行うと、ここから内容物(例えば酸化液や蛍光液)が漏れ出す場合があり、特にポリエチレン製の容器の場合、50〜60℃程度の高温下での液漏れが生じてしまう場合があることがわかってきた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
【0009】
本発明は、2種の化学組成物を混合することで化学発光を生じさせる化学発光体用容器であって、前記化学発光体用容器が、外筒と前記外筒に内包される内筒とを有し、前記内筒が、前記2種の化学組成物の一方の化学組成物を内部に含む破割性アンプルであり、前記外筒が、前記2種の化学組成物の他方の化学組成物を、外筒の内部でありかつ外筒に内包される前記内筒の外部に含むポリプロピレン樹脂含有組成物製であり、前記外筒がくびれ部を有するまたは略直方体状であることを特徴とする化学発光体用容器として達成することができる。
【0010】
本発明は、2種の化学組成物を混合することで化学発光を生じさせる化学発光体用容器に関する。ここで、混合することで化学発光を生じさせる2種の化学組成物とは、例えば、化学発光用酸化液(シュウ酸エステルと色素、溶媒等)と化学発光用蛍光液(過酸化水素水のような酸化剤と触媒成分、溶媒等)のような液状のものが一般的であるが、一方にこれらの液と同様に混合することで化学発光を生じさせる粉体状や粒状の固体状のものを用いてもよい。双方が液状の場合、混合性に優れており全体で均一な発光を速やかに生じさせやすい。また、一方が固体状の場合、破割性アンプルを他方の液が通過し浸透しながら発光が生じる為、比較的緩やかな反応となる。なお、ここで混合することで化学発光を生じさせるものは、一般的にそれぞれを複数の化合物等の組成物として調製されるが、本発明においては単独の物質で用いることができるようなものも含めて化学組成物と表記する。
【0011】
本発明の化学発光体用容器は、外筒と、この外筒に内包される内筒とを有する。ここで、本発明において、この内筒は前記2種の化学組成物の一方の化学組成物を内部に含む破割性のアンプルである。また、もう一方の外筒は前記2種の化学組成物の他方の化学組成物を外筒の内部であり、かつ、外筒に内包される前記内筒の外部に含む。本発明の化学発光体用容器は、非使用時(保管時等)は、2種の化学組成物が混合されないように化学発光体用容器内の内筒によって分離されることが求められる。この分離と混合を行うために、化学発光体用容器内に設けられる内筒は破割性アンプルとして設けられる。使用時においては、化学発光体用容器を折り曲げることで、内筒である破割性アンプルが割れ、その内部の化学組成物がアンプル外部の化学組成物と混合されることで発光が生じる。
【0012】
内筒に用いられる破割性アンプルは、化学発光体容器に折り曲げの力が加わった時に、外筒内で割れるアンプルであればよく、一般的にはガラス製のアンプルが用いられる。ガラス製とすることで、非使用時には外部の液と内部の液の混合を遮断することができ、さらに、化学発光体用容器の折り曲げによりかかる負荷によって、適度に割れやすいものとすることができる為である。なお、本発明において、化学発光体用容器の折り曲げは、破割性アンプルが破割する程度の折り曲げであれば足り、特にガラス製の破割性アンプルとする場合、その折り曲げは緩やかなカーブを描く程度の折り曲げでよい。
【0013】
本発明は、前記外筒がポリプロピレン樹脂含有組成物製(以下、単に「ポリプロピレン製」と略記する。)であることを特徴とする。本発明の化学発光体用容器の外筒は、射出成型により成型されることが一般的である。この射出成型用としてポリプロピレンに適宜、添加剤が加えられたポリプロピレン樹脂組成物が市販されており、このような樹脂組成物により製造される容器がポリプロピレン樹脂組成物製の化学発光体用容器の外筒となる。また、使用時に化学発光体用容器内部の化学発光による光の分散性を向上させるために、ポリプロピレン樹脂組成物に適宜光分散剤を加えたり、色調を変えるために着色剤を混合して外筒を製造してもよい。また、製造条件の制御によって結晶化度をコントロールする等して、白濁状態の光分散性が高い容器としてもよい。
【0014】
さらには、外筒は、ポリプロピレン樹脂組成物に、ポリエチレン樹脂組成物等の他の樹脂組成物等を混合させて、樹脂組成物全体に占めるポリプロピレン濃度が20重量%以上程度となるように調製したポリプロピレン樹脂含有組成物製とすることできる。このポリプロピレン濃度が低い場合、硬さと、耐溶剤性等を満足することが難しい場合がある。このポリプロピレン濃度は、ポリプロピレン樹脂含有組成物中の25重量%以上が好ましく、35%以上がさらに好ましい。また、本発明に用いるポリプロピレン樹脂は、プロピレンのホモポリマーでもよいが、いわゆるポリプロピレン樹脂のランダムコポリマーと呼ばれるようなプロピレンとエチレンの共重合体(一般的にエチレンが10重量%未満)も用いることができる。また、このようなランダムコポリマーだけでなくブロックコポリマーも使用することができる。
【0015】
本発明の外筒は、前述のようにポリプロピレン樹脂含有組成物製である。ここで、外筒は、外筒の本体容器内に、内筒(アンプル)、化学発光用の化学組成物等を加えた後、所定の方法で密閉され外筒となる。この密閉方法の代表的な方法としては、外筒の本体容器に蓋部を取り付ける方法が挙げられ、具体的な蓋部の取り付け方として、熱溶着により蓋部を設ける方法が挙げられる。しかしながら、前述のように、一体成型した外筒の本体容器全体に比べ、この熱溶着された外筒の本体容器と蓋部との接着部は、やや耐久性が低下し、高温環境下で液漏れが生じる場合がある。本発明においては、この外筒をポリプロピレン樹脂含有組成物製とすることで、このような耐久性の低下を抑制し、より高温での優れた密閉性(液漏れ防止性、ガスバリア性)を有する構成とすることができる。
【0016】
本発明は、前記外筒がくびれ部を有することを特徴とする化学発光体用容器として達成することができる。くびれ部とは、長手方向の中央部付近に設ける最も径が細い部分である。前述のように、本発明においては、化学発光体用容器の外筒はポリプロピレン製の容器であるが、このようなポリプロピレン製の容器の場合、従来、一般的であった円筒状の形状では折り曲げにくくなり、内筒である破割性アンプルが破割しない場合がある。しかしながら、本発明においては、この外筒にくびれ部を設けることで、適度な折り曲げやすさを持たせ、内筒を破割させやすくする。このくびれ部は、一般的な手持ち型用の場合、細長い化学発光体用容器の長手方向の中央部付近の径をやや細い状態とするものである。このくびれ部は、外筒を折り曲げようとする力を加えたときの応力集中部に相当する部分であり、この応力集中しやすい部が設けられていることで外筒の折り曲げが破割性を有する内筒に伝わりやすくなる。
【0017】
本発明の外筒は、内包される内筒が内部で移動しにくいようにその内筒形状に合わせた形状を有するものであることが好ましい。すなわち、本発明の外筒は、前記内筒の移動を制限する内筒把持部を設けられた外筒であることが好ましい。例えば、外筒内に内筒の外径に併せた凹部を設けこの凹部に内筒をはめ込むことで内筒を把持することができる。または、外筒を蓋部により密閉する構成とし、この蓋部を、内筒形状に合わせた凹部や、内筒長さに併せたところまで押し込むような凸部を設けることで外筒内での内筒の移動を制限する形状とすることができる。このような、外筒内での内筒の移動を制限することで、折り曲げ時に内筒に折り曲げ応力がかかりやすくなり、より安全かつ容易に内筒を破割することができる。
【0018】
前記ポリプロピレン製の外筒の前記くびれ部における最小肉厚は0.8mm以上5mm以下であることが好ましい。本発明は好ましくは手持ち型発光体のように、使用時には撓りが生じにくいものとして用いられる。一方、ブレスレットタイプの化学発光体等においては、リング状に折り曲げることを想定したものであることから、肉厚が薄い化学発光体用容器となる場合がある。このような、本発明が好ましく適用される手持ち型発光体等においては、撓り等が生じにくいように一定の硬さを保持することが求められるため、化学発光体用容器の細い部となるくびれ部は0.8mm以上の肉厚であることが好ましい、この肉厚は、より撓りを防止し破損しにくくするためには、1.0mm以上であることがより好ましく、1.5mm以上であることがさらに好ましい。また、肉厚が薄い場合、容器が破損し内部の液が漏れやすくなる場合がある。他方、くびれ部における肉厚が5mmを超える場合、折り曲げが困難となる場合がある。折り曲げやすさを考慮すると、肉厚は3.5mm以下であることがより好ましく、2.5mm以下であることがさらに好ましい。
【0019】
前記くびれ部の直径の、外筒の最大直径に対する比(くびれ部の直径/最大直径)は、0.5〜0.95であることが好ましい。この比は、0.65〜0.9であることがより好ましい。この比が小さい、すなわち、くびれ部が細すぎる場合、応力が集中しすぎて破損する場合がある。または、相対的に内部に入れる内筒の大きさとの差が狭くなり、内筒内外の化学組成物の混合性を阻害する場合がある。一方、この比が大きい、すなわちくびれ部が太すぎる場合、外筒がポリプロピレン製の容器のため折り曲げにくく、内包される破割性アンプルを破割しにくくなる場合がある。なお、ここでくびれ部の直径、化学発光体用容器の最大直径いずれも外径として求められるものであり、それぞれの形状が円状の断面でなく、楕円状や略方形状等の場合、その断面積と同じ断面積を有する円の直径に相当する径(断面積の円相当径)としての比較でよい。
【0020】
本発明においては、くびれ部により折り曲げの応力が集中しやすくなるように、くびれ部付近に略平面を設けてもよい。すなわち、くびれ部の断面が、略方形や、円弧状等の形状となるようにしてもよい。このような形状とすることで、より安定した折り曲げによる破割性アンプルの破割を行い得る。
【0021】
本発明は、2種の化学組成物を混合することで化学発光を生じさせる化学発光体用容器であって、前記化学発光体用容器が、外筒と、外筒に内包される内筒とを有し、前記内筒が、前記2種の化学組成物の一方の化学組成物を内部に含む破割性アンプルであり、前記外筒が、前記2種の化学組成物の他方の化学組成物を外筒の内部であり、かつ外筒に内包される前記内筒の外部に含むポリプロピレン樹脂含有組成物製であり、前記外筒が略直方体状であることを特徴とする化学発光体用容器として達成することもできる。
【0022】
本発明の化学発光体用容器の外筒は、ポリプロピレン製であることを特徴とするが、ここで、折り曲げに伴う破割性アンプルの破割が起こりやすいように前述のくびれ部に代え、外筒全体を略直方体状とすることでも本発明を達成することができる。すなわち、外筒が折り曲げにくくなり化学発光させにくくなった分を、応力集中部となるくびれ部を設けるまたは略直方体状とするような方法で達成させることができる。
【0023】
本発明の化学発光体用容器の外筒の最小直径は6mm以上50mm以下であり、かつ、前記外筒の長さの、外筒の最大直径に対する比(外筒の長さ/外筒の最大直径)が、3以上であることが好ましい。外筒の最小直径は、より好ましくは10mm以上である。一方、30mm以下であることがより好ましい。この外筒の最小直径は、外筒の最も径が細いところとしての径であり、くびれ部を有する場合、くびれ部の直径である。外筒の最小直径がこれより細い場合、特に手持ち型等の発光体用容器として適さない場合がある。また、径がこれより太い場合、折り曲げが難しい場合がある。なお、ここで外筒の直径は、それぞれの形状が円状の断面でなく、楕円状や略方形状等の場合、その断面積と同じ断面積を有する円の直径に相当する径(断面積の円相当径)でよい。
【0024】
また、外筒の折り曲げやすさは、外筒の長さと直径の比によっても変化するため、この比を前述のような範囲にすることも好ましい。この外筒の長さの最大直径に対する比は、より好ましくは5以上である。また、その上限は一般的に15以下であり、12以下であることがより好ましい。また、一般的に本発明の化学発光体用容器の外筒の長さは握部を除く長さとして求めることができ、その値は30mm以上であり、好ましくは、50mm以上である。その長さの上限は特に定めはないが、一般的に300mm以下程度である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、外筒をポリプロピレン製としていることから、耐熱性が高く破損しにくいため、特に手持ち型発光体に適した化学発光体用容器とすることができる。しかしながら、単に外筒をポリプロピレン製の円筒状容器とすると、ポリエチレン製のものと比べ硬く折り曲げにくくなることから内筒である破割性アンプルが折り曲げにくくなるため、ポリプロピレン樹脂含有組成物を使用することは忌避される傾向がある。本発明によれば、さらに外筒にくびれ部を設けたり、外筒を略直方体状としたりすることにより、内筒を破割するために必要な程度の折り曲げを容易におこなうことができる。この化学発光体用容器によって、より安全に使用することができ、かつ、長期保管等に優れた化学発光体とすることができる。さらには、外筒の蓋部との接着部における、高温環境下での液漏れが発生する温度を高くし安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明を実施する態様の一例を示す正面図である。
図2】本発明を実施する態様の一例を詳細に説明するための正面図である。
図3】本発明を実施する態様の一例を詳細に説明するための断面図である。
図4】本発明を実施する態様の一例を詳細に説明するための左側面図である。
図5】本発明を実施する態様の他の一例を示す図である。
図6】本発明を実施する態様の他の一例を詳細に説明するための側面図である。
図7】本発明の外筒の蓋部の一例を示す図である。
図8】本発明を外筒の蓋部の一例を説明するための左側面図である。
図9】本発明を外筒の蓋部の一例を説明するための右側面図である。
図10】本発明の外筒および蓋部に設けられた内筒把持部の一例を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に説明する。以下に記載する実施の形態および構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に限定されない。
【0028】
まず、本発明の化学発光体用容器の一例を、図1〜4を用いて説明する。図1は、内筒3を破線で示し、外筒1は蓋部4により密閉された構成である化学発光体用容器に握部5を設けた化学発光体10の全体構造を確認するための正面図、すなわち本発明を実施する態様の一例を示す正面図である。次に、図2は本発明のくびれ部2に相当し図3において示す断面図の位置であるA−A´の位置を説明するための図である。さらに、図3図2において示すA−A´(くびれ部2)における断面図である。また、図4図1で示す化学発光体の左側面図である。
【0029】
図1において、化学発光体10は、本発明の化学発光体用容器の外筒1に握部5を設けたものである。図1に示すように、一般的に本発明の化学発光体用容器は、コンサートライトや防災用ライトのように手持ち型の化学発光体に用いられる容器であり、この化学発光体用容器内に化学発光用の液体等が充填されており、これに手持ち用の握部を設けた構造である。
【0030】
この化学発光体用容器の外筒1は、その内部に破線で示すように破割性アンプルの内筒3を内包しており、また、その長手方向の中央付近にくびれ部2を有している。また、混合することで化学発光を生じさせる2種の化学組成物として、化学発光用酸化液と化学発光用蛍光液の2種の液を用いたものを例にすると、この内筒3内に化学発光の一方の液(例えば化学発光用酸化液)を含み、内筒3の外部でありかつ外筒1の内部に他方の液(例えば化学発光用蛍光液)を含ませる。また、図1に示す本発明の化学発光体用容器の外筒1は、内筒3や化学発光用液を含有させた後に、蓋部4によって密閉された構成であり、このとき接着部6は熱溶着により接着されている。
【0031】
この化学発光体用容器の外筒1は、ポリプロピレン樹脂含有組成物製であり、従来汎用のポリエチレン製のものよりも耐熱性、機械強度に優れている。また、一方で、くびれ部2を有していることで、内部の破割性アンプルを破割させる程度の折り曲げを行いやすい。また、くびれ部2付近を中心に折り曲げられるため、内筒3はその中央付近で破割されることになり、使用時には化学発光用の2種の液体が混合されやすくなる。なお、化学発光体用容器の外筒1においてくびれ部2での最小肉厚、くびれ部の直径を求める。
【0032】
ここで、図1に示す化学発光体用容器において、外筒の最小直径は、くびれ部2にあたる位置での直径であり、これは図3において示すように略方形の形状となる部のため、その略方形の断面積と同じ断面積を有する円の直径に相当する径(断面積の円相当径)として求める。また、図1に示す外筒においては、本体容器と蓋部4との接着部6の外周部が最大直径部となる。なお、ここで、直径を求め、比較するにあたり直径は握部を除き求めることができ、外筒の長さも握部を除いた長さとして求めることができる。
【0033】
また、本発明の別の実施形態を図5図6を用いて説明する。図5は、内筒3を省略し、化学発光体用容器の外筒1を有する化学発光体10の全体構造を示すための正面図である。次に、図6図5で示す化学発光体の左側面図である。
図5においては、本発明のポリプロピレン製の化学発光体用容器の外筒1に握部5を設けて、化学発光体10を構成している。ここで、図5における化学発光体用容器の外筒1は、図6に示す左側面図からも明らかなように略直方体状の容器である。なお、外筒1内には、図1等を用いて説明したものと同様に、内筒3等が設けられている。図5および図6に示す外筒1においては円筒状ではなく、略直方体状としていることによって、ポリプロピレン製であっても適度に折り曲げやすくなっている。これによって、従来の化学発光体と比べ、耐熱性が高く、破損しにくく、かつ、破割性アンプルを破割させるための折り曲げはおこないやすい化学発光体用容器とすることができる。
【0034】
さらに、図7〜9は、本発明の外筒に用いられる蓋部4を示す図の一例である。図7はポリプロピレン樹脂含有組成物製の蓋部の正面図であり、さらに図8図7で示した正面図の左側面図である。また、図9図7で示した正面図の右側面図である。この蓋部は、外筒の本体容器内にはめ込まれる形状として設計されたものの一例であり、切込み部41を設けることで蓋を嵌入させたときに本体容器内に含まれている液等が嵌入時の圧力等により飛散することを防止するための設計である。また、この蓋部ははめ込み式に設計されているため、外筒の本体容器そのものの内側にて内部の内筒を押し込み、内筒把持部として機能する形状である。この蓋部は、外筒がくびれ部を有するときに特に好ましく用いられる形状であり、外筒の本体容器がくびれ部に向かって徐々に細くなるところにはめ込まれるため、所定の位置で留まる構成となる。その留まる位置で、熱溶着することで密閉することができる。
【0035】
また、図10は、本発明の外筒および蓋部に設けられた内筒把持部の一例を説明するための断面図である。本発明の外筒1は、内筒3をはめ込むすることができるような凹状部7や、外筒そのものあるいは蓋部4に設けた凸状部8により、内筒を把持することができるような形状となっていることが好ましい。ここで、凹状部7は、これを単独で設け把持部として機能するようにしてもよいし、図10においては外筒の握部側に凹部を設けたものを示しているが、図7のように蓋部側にも凹状部を設けていてもよい。この図10においては、蓋部に設けられた凸状部8によって内筒3の移動を制限する形状として示している。このような外筒に設けられた内筒の移動を制限する内筒把持部によって、より外筒の折り曲げによる力が内筒に伝わりやすくなり、少ない折り曲げで破割性を有する内筒を破割させ、化学発光体用容器内での化学発光を速やかに開始させることができる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0037】
「樹脂原料」
PP樹脂:射出成型用ポリプロピレンランダムコポリマー(プロピレン/エチレン共重合体)
PE樹脂(A):射出成型用高均質直鎖状ポリエチレンコポリマー(エチレン/α-オレフィン共重合)
PE樹脂(B):射出成型用直鎖状ポリエチレンコポリマー(エチレン/α-オレフィン共重合)
【0038】
[外筒容器の射出成型]
図1に示すようなくびれ部を有する外筒本体容器および図7に示す当該外筒本体容器を密閉するための蓋部を、射出成型した。このとき、外筒本体容器のくびれ部の太さは外径約Φ14mmとしその肉厚は約2mmとした。また、全体の長さは握部を除くと155mm、握部を含めて190mmとした。さらに、本体容器と蓋部との接着部が最大直径部であり、その外径をΦ18mm(外筒本体容器の肉厚は段階的に、蓋部はめ込み側に1mmの段と、長手方向中央付近から2mmの段を設けた)とした。このくびれ部と最大直径部(蓋部との接着部)との比は、およそ0.78である。この射出成型に使用した樹脂はそれぞれ、以下のものである。外筒本体容器に、後述する内筒や蛍光液を加えた後、蓋部をはめ込み、熱溶着することで密閉した。
【0039】
[内筒の製造]
内筒はガラス製であり、外径Φ10mm、長さ115mmのものを用いた。この内筒は一端が開口した有底のガラスアンプルを用い、化学発光用酸化液を加えた後、開口部を加熱して溶封した。
【0040】
[酸化液の調製]
フタル酸ジメチル96.3重量部、過酸化水素3.5重量部、サリチル酸ナトリウム0.2重量部となるように混合し、酸化液を調製した。
【0041】
[蛍光液の調製]
アセチルクエン酸トリブチル16.2重量部、安息香酸ベンジル69.0重量部、ジエチレングリコールモノエチルエーテル14.5重量部を混合して溶媒として、さらに、シュウ酸エステル9.8重量部と蛍光物質0.2重量部を添加し蛍光液を調製した。
【0042】
[高温下での液漏れ試験]
酸化液を内部に含み密閉された内筒を、外筒本体容器に内包させ、さらに蛍光液を充填し、蓋部を熱溶着させることで、化学発光体用容器を製造した。この化学発光体用容器を折り曲げ、発光を開始させた後、後述する温度に設定された恒温庫に各10本ずつ静置し、10時間後、液漏れが何本あるかを確認することで、高温下での液漏れ試験を行った。
【0043】
「実施例1」
外筒本体容器(1)、蓋部(1)をそれぞれ、前記PP樹脂と前記PE樹脂(A)とを50重量部ずつ混合したPP,PE混合樹脂にて射出成型した。これらを用いた外筒を使用し、上述した内筒、酸化液、蛍光液を用いて、化学発光体を製造した。この化学発光体について、前述の高温下での液漏れ試験をおこなった。これは、外筒にPP樹脂を使用した本発明のポリプロピレン含有樹脂組成物製の外筒構造を有する化学発光体用容器を用いる化学発光体である。
【0044】
「比較例1」
外筒本体容器(2)、蓋部(2)をそれぞれ、前記PE樹脂(B)のみで射出成型した。これを用いた外筒を使用し、上述した内筒、酸化液、蛍光液を用いて、化学発光体を製造した。この化学発光体について、高温下での液漏れ試験をおこなった。これは、外筒にPP樹脂を使用しない従来の化学発光体用容器を用いる化学発光体である。
【0045】
実施例1の高温下での液漏れ試験結果を表1に、比較例1の高温下での液漏れ試験結果を表2に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
表1、表2に示すように、本発明の化学発光体用容器を用いた実施例1においては、90℃までは液漏れがみられず、100℃に設定したとき液漏れがみられた。一方、従来のポリエチレン単独で外筒を成型した化学発光体容器を用いた比較例1においては、50℃で液漏れがみられた。また、実施例1の化学発光体はPP樹脂を用いているもののくびれ部を有し、蓋部により内筒のガラスアンプルが把持されているため、適度な折り曲げやすさを有していた。一方、比較例1の化学発光体は、従来のPE製の外筒を使用しているため、くびれ部により折り曲げやすくなりすぎており、高温下での液漏れ試験を行った別の化学発光体を強く折り曲げると、外筒が破損する場合があった。
【0049】
このように、本発明の化学発光体用容器の構成とすることで、高温下での液漏れ防止、および筒が破損しにくく適度な折り曲げやすさを有する化学発光体とすることができることを確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、コンサートライトや防災ライトとして使用される手持ち型化学発光体用の容器に関し、従来の化学発光体用容器よりも耐熱性に優れており、かつ、耐衝撃性にも優れているものの、適度な折り曲げやすさを有しており有用である。
【符号の説明】
【0051】
1 外筒
10 化学発光体
2 くびれ部
3 内筒
4 蓋部
41 切込み部
5 握部
6 接着部
7 凹状部
8 凸状部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10