特許第6284736号(P6284736)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6284736蛍光体層の製造方法及びLED発光装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284736
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】蛍光体層の製造方法及びLED発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20180215BHJP
   C09K 11/00 20060101ALI20180215BHJP
   C09K 11/08 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   H01L33/50
   C09K11/00 A
   C09K11/08 J
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-214042(P2013-214042)
(22)【出願日】2013年10月11日
(65)【公開番号】特開2015-76594(P2015-76594A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2016年9月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123881
【弁理士】
【氏名又は名称】大澤 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100080931
【弁理士】
【氏名又は名称】大澤 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100134625
【弁理士】
【氏名又は名称】大沼 加寿子
(74)【代理人】
【識別番号】100085280
【弁理士】
【氏名又は名称】高宗 寛暁
(72)【発明者】
【氏名】宮下 純二
【審査官】 大和田 有軌
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−177106(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/096326(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/066881(WO,A1)
【文献】 特開2013−062438(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/165007(WO,A1)
【文献】 特開2012−129135(JP,A)
【文献】 特開2012−123940(JP,A)
【文献】 特開2004−349647(JP,A)
【文献】 特開2004−071357(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0025951(US,A1)
【文献】 特開2015−076595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 − 33/64
C09K 11/00 − 11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
片方の面に反射膜を設けた、蛍光特性を有する少なくとも一種類の方形形状をなす蛍光体シートを用意する工程と、前記蛍光体シートを渦巻き状に巻回して固着する巻回・固着工程と、前記巻回した蛍光体シートを、前記蛍光体シートの幅を形成する両側面のいずれかを端面として、該端面に対して平行に切断する切断工程と、を有し、前記渦巻き状に巻回した蛍光体シートの外径を、外径とした円形状に形成したことを特徴とする蛍光体層の製造方法。
【請求項2】
前記蛍光体シートは蛍光特性の異なる二種類の蛍光体シートからなることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体層の製造方法。
【請求項3】
前記反射膜は金属蒸着膜であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体層の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の蛍光体層の製造方法によって製造された蛍光体層を、円形なる樹脂枠と前記樹脂枠内にLED素子を封止している封止樹脂との上面であって、LED素子の発光面側に配置したことを特徴とするLED発光装置の製造方法
【請求項5】
前記LED素子は基板にバンプ接続した複数のLED素子からなることを特徴とする請求項4に記載のLED発光装置の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光体層及びその製造方法と、その蛍光体層を用いたLED発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今までに、蛍光体を用いて所望の発光色を得るLED発光装置に関しては、数多くの構成のものが開示されている。また、蛍光体を含有した蛍光体シートを用いてLED発光装置を構成する技術も数多く開示されている。例えば、下記の特許文献1には、図10図11に示す構成のLED発光装置が示されている。
【0003】
図10は特許文献1に示されたLED発光装置の断面図、図11図10に示されたLED発光装置の底面図を示している。なお、図10、11において、符号は主旨を逸脱しない範囲で変更している。また、引用文献1においては、本発明のLED発光装置をLED装置と呼称しているが、ここではLED発光装置と呼称して説明する。
【0004】
特許文献1に示されたLED発光装置70は、図10に示されるように、LED素子66を構成するサファイア基板64上に接着層63を介して蛍光体シート61を貼り付けた構成をなす。また、LED素子66は、サファイア基板64と、サファイア基板64の下面に形成した半導体層65と、半導体層65に接続して設けた一対の突起電極68、69とから構成している。この一対の突起電極68、69はアノード電極とカソード電極をなしており、マザー基板と接続して半導体層65に電圧が印加されるようになっている。また、LED発光装置70はLED素子66の外周側面に白色反射部材67を設けた構成をなしている。
【0005】
特許文献1によれば、半導体層65の発光層から出射する青色光のうち、直接上方に向かう光はサファイア基板64を透過して直接蛍光体シート61に入射する。また、発光層から上方以外の方向に出射する青色光も、白色反射部材67や半導体層65のp型半導体層に反射されて上方に向かい、蛍光体シート61に入射する。そして、LED発光装置70から出射した青色光と、蛍光体シート61によって波長変換された光との混色によって白色光が得られるとしている。
【0006】
また、特許文献1に示されたLED発光装置70の製造方法は、大判なる蛍光体シート上の所定の位置に複数のLED素子66を接着層63を介して貼り付け、次に、貼り付けたそれぞれのLED素子66の側部に白色反射部材67を充填して硬化させ、最後に、ダイシングカッターで、それぞれのLED素子66を継げている大判なる蛍光体シートと白色反射部材67の境目を切断することによって単個のLED発光装置60が得られるとしている。
【0007】
特許文献1に示されたLED発光装置70の蛍光体シート61は大判なる蛍光体シートを矩形形状に切断してLED発光装置70を形成するものである。従って、蛍光体シート61の利用には殆ど無駄が生じず、100%に近い歩留まり結果が得られる。
【0008】
近年において、LED発光装置はさまざまな照明光源として利用されるようになってきている。そして、それに伴って、LED発光装置は矩形形状に限らず、照明光源の形状に合わせて円形状や長円形状など、さまざまな形状をなして利用されるようになってきている。また、それに合わせて、使用する蛍光体シートの形状も円形や長円形など、いろいろな形状のものが求められてきている。
【0009】
図12は、矩形をなす大判の蛍光体シートを用いて、円形の蛍光体シートを切り抜く状態を説明する平面図を示したものである。
図12において、1は矩形なる大判の蛍光体シートを表しており、2は円形に切り抜く単個の円形なる蛍光体シートを表している。また、rとsは相隣り合う円形の蛍光体シート2を切り抜く時の横方向と縦方向の間隔(距離)を表したものである。
【0010】
円形なる蛍光体シー2の直径の大きさや、切り抜く間隔r、sの設定値によって使用する大判なる蛍光体シート1の横幅や縦幅の大きさが決められるが、少しでも蛍光体シート1の使用歩留まりを良くするために、r、sの間隔を出来るだけ小さく取り、数多くの円形なる蛍光体シート2が得られるように設計する。しかしながら、大判なる蛍光体シート1から円形なる蛍光体シート2を切り抜く形成方法は、歩留まりを最大に高めても80%程度しか得られず、歩留まりを高めるにも限度がある。
【0011】
従来技術において、円形に近い蛍光体層を用いた技術としては、例えば、下記の特許文献2に開示された技術を見ることができる。特許文献2には図13に示す構成の光源装置が開示されている。なお、図13において、符号の一部は主旨を逸脱しない範囲で変更している。
【0012】
特許文献2に示された光源装置85は、図13(a)に示されるように、光反射性基板76上に設けた蛍光体層82と、この蛍光体層82から離れて別体に設けた固体光源75とから構成している。
また、蛍光体層82は蛍光体を配合したガラスやセラミックなどからなって柱状の形状をなした蛍光体片82aの外周面に、遮光性を有する層83を設けた構成をなしている。また、固体光源75は、発光ダイオードや半導体レーザなどでもって構成し、蛍光体層82から離れて設けられている。そして、所要の傾斜角を持って蛍光体層82に向って光源の光を出射すようになっている。
【0013】
特許文献2に示された光源装置85は、蛍光体片82aに含有する蛍光体が、固体光源75からの出射光に励起されて所定の発光色をもつて発光する。そして、その発光した光は蛍光体片82aを透過して、あるいは、一部は光反射性基板76に反射されて図中矢印で示した光取り出し方向に向かって出射する。
【0014】
特許文献2によれば、光反射性基板76を光反射率が高く、熱伝導率の高い金属材料で形成することにより、放熱特性が高められて耐寿命性が高められ、また、光の利用効率も高められるとしている。
【0015】
また、柱状なる蛍光体片82aを形成するガラスやセラミックスは、熱伝導率も高いので放熱特性も良く、変色などが起こらずに耐寿命性が高められるとしている。
【0016】
また、柱状なる蛍光体片12aの外周面に遮光性を有する層83を設けていることにより、外周側面から出射する光がなくなって矢印方向の光取り出し方向に出射する光が多くなり、高輝度化を図ることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2012−227470号公報(図1、2参照)
【特許文献2】特開2012−129135号公報(図3参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、ガラスやセラミックスの光透過率は透明な樹脂と比較すると劣る。そのため、ガラスやセラミックスで蛍光体層を形成すると、蛍光体からの発光する光の利用効率を低下させる。
【0019】
また、特許文献2によれば、セラミックス材料に蛍光体材料を配合して蛍光体片82aを形成する製造方法は、酸化イットリウムや酸化セリウム、アルミナなどのセラミックス材料と蛍光体材料を混ぜ合わせる工程、その混合材料を一軸加圧法や冷間静水圧法、射出成形法などで成形する工程、1600°C〜1800°Cの高温で焼成する工程、などの工程を経て形成している。この製造方法をみると、製造工程が長く、且つ、設備費も高くかかる。製造コストが高くなるという問題を有する。
【0020】
また、蛍光体片82aの外周面に遮光性を有する層83を形成する方法としては、蒸着法やスパッタリング法によって反射率の高い金属膜を形成する方法、あるいは、金属微粒子を含む有機バインダーを塗布して還元雰囲気下で高温加熱によって金属膜を形成する方法などで行われる。また、複数の蛍光体片82aを束にする製造方法としては、蛍光体片82aの方向を揃えて複数束ね、蛍光体片82aの外周面に設けた金属膜を高温加熱によって溶着させて固定する方法をとる。そして、溶着固定して複数束ねた後に、所要の丈(長手)寸法にダイシングカッターなどで切断する方法をとる。
このような製造方法を見ると、製造工程が長く、設備費も高くかかって、製造コストは高くなる。
【0021】
更に、特許文献2において、蛍光体片82aの形状として、円柱形状、六角柱形状が示されているが、円柱形状の場合、3つの円柱が溶着して結合し合った部分は遮光面積が大きくなる。円柱の外径が大きいとその遮光面積も大きくなり、非発光エリアが目立って現れるようになる。これは、発光色のムラとなって現れるので好ましくない。
【0022】
本願発明は、上記の特許文献1、並びに特許文献2が持つ課題に鑑みてなされたもので、簡単な方法で歩留まり良く製造できる円形なる蛍光体層、並びにその製造方法や、それを用いたLED発光装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記の課題を解決するための手段として、本発明の蛍光体層の製造方法は、片方の面に反射膜を設けた、蛍光特性を有する少なくとも一種類の方形形状をなす蛍光体シートを用意する工程と、前記蛍光体シートを渦巻き状に巻回して固着する巻回・固着工程と、前記巻回した蛍光体シートを、前記蛍光体シートの幅を形成する両側面のいずれかを端面として、該端面に対して平行に切断する切断工程と、を有し、前記渦巻き状に巻回した蛍光体シートの外径を、外径とした円形状に形成したことを特徴とする。
【0024】
また、本発明の蛍光体層は、蛍光体シートが蛍光特性の異なる二種類の蛍光体シートからなるのが好ましい。
【0025】
所要の大きさの蛍光体シートを渦巻き状に巻回して固着し、その巻回した蛍光体シートを端面に対して平行に所要の幅(厚み)で切断すると、所要の厚みを持った円形状の蛍光体層が得られる。
蛍光体を含有する蛍光体シートを作製すること、蛍光体シートを渦巻き状に巻回すること、そして、巻回した蛍光体シートを切断すること、などの作業方法は何れも容易であり、作業工程数も少ない。従って、安いコストで円形状の蛍光体層を製作することができる。更に、切断幅や蛍光体シートの幅などは予め設計的に設定できるので、ほぼ100%に近い製作歩留まりが得られる。つまり、材料費の無駄を非常に小さく抑えることができる。
【0026】
また、蛍光体シートを蛍光特性の異なる二種類の蛍光体シートで構成すると、LED発光装置を構成した時に演色性の良い白色発光の発光色を得ることが可能になる。例えば、青色発光するGaN系化合物半導体のLED素子を用いた場合に、蛍光特性として黄色発光するYAl12:Ceなる蛍光体を含有する蛍光体シートと、蛍光特性として赤色発光するCaAlSiN:Euなる蛍光体を含有する蛍光体シートの二種類の蛍光体シートで構成すると、LED素子の青色光と、黄色発光する蛍光体シートの黄色光と、赤色発光する蛍光体シートの赤色光との混色によって白色光が得られる。
【0027】
更に、前記反射膜は金属蒸着膜であるのが好ましい。
【0028】
蛍光体シートの少なくとも片面に反射膜があることによって、発光した蛍光体の光はそのシート内を通って外部に出射する。そして、反射膜があることによってシート外に分散する光やシート内で滅光する光が抑制されるので、輝度の明るい照明を得ることができる。
また、反射膜を反射率の高い金属蒸着膜で形成すると、蒸着装置でシートの平面上に金属蒸着膜を施すことができる。製作が容易でコストを安くすることができ、蒸着膜厚も容易にコントロールすることができる。また、更に輝度を高めることができる。
【0030】
また、本発明のLED発光装置の製造方法は、本発明の蛍光体層を、円形なる樹脂枠と前記樹脂枠内にLED素子を封止している封止樹脂との上面であって、LED素子の発光面側に配置したことを特徴とする。また、前記LED素子は基板にバンプ接続した複数のLED素子からなることが好ましい。
【0031】
本発明のLED発光装置は、基板にバンプ接続された複数のLED素子が円い領域範囲の中に設けられて、その丸い領域の中の複数のLED素子を覆う形で渦巻き状に丸い形状に形成された蛍光体層が設けられる構成を取る。従って、従来のプレスにて丸い形状の蛍光体層を形成する方法と比べると大幅に歩留まりはアップし、蛍光体層の歩留まりは非常に高く抑えられる。また、巻回した蛍光体層をLED素子の発光面側に配置して使用するので、蛍光体の劣化などによって発光色が変化した場合には、蛍光体層を取り替えることで正常な発光機能を回復させることが可能になる。また、前述したように製造コストも安くできる。また更に、二種類の蛍光体シートを用いると数多くの発光色が得られるので、所望の発光色を得ることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、円形状の蛍光体層が非常に高い歩留まりで、容易に形成することができる。また、本発明の蛍光体層を用いたLED発光装置は安い製造コストで、所望する様々な発光色を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の第1実施形態に係る渦巻き状に巻回した蛍光体シートの斜視図である。
図2図1に示された巻回した蛍光体シートを端面に対して平行に切断して蛍光体層を形成した斜視図である。
図3図2に示された蛍光体層を用いたLED発光装置の平面図と断面図で、図3(a)は平面図、図3(b)は図3(a)のX−X断面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る渦巻き状に巻回した蛍光体シートの斜視図である。
図5図4に示された巻回した蛍光体シートを端面に対して平行に切断して蛍光体層を形成した斜視図である。
図6図5に示された蛍光体層を用いたLED発光装置の要部断面図である。
図7】本発明の第3実施形態に係る蛍光体層を形成するための反射膜を設けた蛍光体シートの平面斜視図である。図9図8に示した蛍光体層を用いて形成したLED発光装置の要部断面図を示している。
図8図7に示された反射膜付き蛍光体シートを渦巻き状に巻回し、渦巻き状に巻回された蛍光体シートを端面に対して平行に所要の間隔を持って切断して蛍光体層を形成した斜視図である。
図9図8に示された蛍光体層を用いて形成したLED発光装置の要部断面図である。
図10】従来技術として、特許文献1に示されたLED発光装置の断面図である。
図11図10に示されたLED発光装置の底面図である。
図12】矩形をなす大判の蛍光体シートを用いて、円形の蛍光体シートを切り抜く状態を説明する平面図である。
図13】従来技術として、特許文献2に示された光源装置の一構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[第1実施形態の説明]
以下、本発明の実施形態を図を用いながら説明する。最初に、本発明の第1実施形態に係る蛍光体層及びその蛍光体層を用いたLED発光装置を図1図3を用いて説明する。なお、図1は本発明の第1実施形態に係る渦巻き状に巻回した蛍光体シートの斜視図である。また、図2図1に示された巻回した蛍光体シートを端面に対して平行に切断して蛍光体層を形成した斜視図である。図3図2に示された蛍光体層を用いたLED発光装置の平面図と断面図で、図3(a)は平面図、図3(b)は図3(a)のX−X断面図である。
【0035】
図1において、11は蛍光体シートを表しており、方形形状をなす蛍光体シート11を渦巻き状に巻回した状態を表している。Aは端面を表しており、渦巻き状に巻回した蛍光体シート11の端面である。
【0036】
蛍光体シート11は蛍光体を含有したシートで、蛍光体はそれぞれ特有の蛍光特性を持っている。蛍光特性としては蛍光体の材料、励起波長、発光波長、発光色などが挙げられるが、本発明においては、主として発光色を取り上げて説明する。
【0037】
第1実施形態においては、光源としてLED素子を用いていることから、蛍光体シート11はLED素子の発光する光に励起されて発光する蛍光体を用いている。
例えば、光源に380〜400nmの近紫外光を発光するInGaN系化合物半導体のLED素子を用いた場合には、380〜400nmの近紫外光で励起されて赤色発光する赤色蛍光体、黄色発光する黄色蛍光体、緑色発光する緑色蛍光体、青色発光する青色蛍光体などの各種の発光色を示す蛍光体を選択することができる。
【0038】
また、赤色蛍光体の材料としては、CaAlSiN:Eu、(Ca,Sr)AlSiN:Eu、CaSi:Eu、(Ca,Sr)Si:Eu、KSiF:Mn、KTiF:Mnなどが挙げられる。また、黄色蛍光体の材料としては、(Sr,Ba)SiO:Eu、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Euなどが挙げられ、緑色蛍光体の材料としては、(Ba,Sr)SiO:Eu、BaSi12:Eu、(Si,Al)(O,N):Eu、BaMgAl1017:Euなどが挙げられ、青色蛍光体の材料としては、BaMgAl1017:Euなどが挙げられる。
【0039】
また、光源に発光波長が約460nmの青色光を発光するGaN系化合物半導体のLED素子を用いた場合には、波長440〜460nmの青色光により励起される蛍光体が用いられる。このような蛍光体で赤色蛍光体の材料としては、YAl12:Ce(通称YAG蛍光体)、(Ca,Sr)AlSiN:Eu、CaSi:Eu、(Ca,Sr)Si:Eu、KSiF:Mn、KTiF:Mnなどが挙げられ、黄色蛍光体の材料としては、YAl12:Ce(通称YAG蛍光体)、(Sr,Ba)SiO:Eu、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Euなどが挙げられ、緑色蛍光体の材料としては、蛍光体シート11b、11c、(Lu,Y)Al12:Ce、Y(Ga,Al)12:Ce、CaScSi12:Ce、CaSc:Eu、(Ba,Sr)SiO:Eu、BaSi12:Eu、(Si,Al)(O,N):Euなどが挙げられる。
【0040】
第1実施形態において、例えば具体的に、発光波長が約460nmの青色光を発光するGaN系化合物半導体のLED素子を用い、蛍光体は波長440〜460nmの青色光で励起して黄色発光するYAl12:Ceなる蛍光体を用いると、LED素子の発光する青色光と蛍光体シートの蛍光体から発光する黄色光との混色でもって僅かに青みを帯びた白色光が得られる。しかしながら、本発明においては、上記の蛍光体に限るものではなく、所望の発光色が得られる蛍光体を選択するのが好ましい。
【0041】
また、第1実施形態では、黄色発光する蛍光体の一種類の蛍光体シートで構成したが、本発明においては、一種類に限定するものではない。発光色の異なる二種類の蛍光体シート、あるいは三種類の蛍光体シートで構成しても良い。
【0042】
次に、渦巻き状に巻回した蛍光体シート11を、図2に示すように、端面Aに対して平行に、所要の切断幅(厚み)を持って切断線部Bの部位を切断して蛍光体層10を形成する。このような形成方法を取ることによって、所要の厚みを持った円形状の蛍光体層10を製作することができる。
【0043】
渦巻き状に巻回した蛍光体シート11を切断するに際し、端面を切断基準面として使用する。渦巻き状に巻回した蛍光体シートは、蛍光体シートの幅を形成する両側面が蛍光体シートの一対の端面として作用する。そして、巻回した蛍光体シートを所要の幅で切断するに当たって、この一対の端面のいずれか片方の端面を切断基準面として利用することができる。この一対の端面の内の何れの端面を切断基準面にとっても同じ結果が得られるので、図1中では手前側の端面Aを切断の基準面として設定している。
【0044】
次に、蛍光体シートの作製方法を説明する。蛍光体シートには耐熱性の面から透明なシリコーン樹脂が好適に用いられる。透明なシリコーン樹脂に所望とする発光色の蛍光体の粉末材料を加え、その他に、トルエンやアセトンの溶媒、また、必要に応じて拡散剤や紫外線吸収剤などを加えて蛍光体シートの溶液を生成する。この溶液は3本ローラやボールミルなどの攪拌・混練機を用いて均質に混合して溶液を生成する。
用いる蛍光体の粉末材料の量は、特に制限するものではない。一般に、蛍光体の含有量は概ね50〜80重量%の範囲が好ましいとされているが、しかしながら、第1実施形態においては、一般的な使用量に限定されずに、求める発光色の色調や輝度に応じて適宜に使用量を設定するのが好ましい。
【0045】
シリコーン樹脂は硬化型のシリコーンゴムが好ましく、一液型、二液型のいずれの液構成も使用できる。また、硬化型シリコーンゴムは、触媒によってヒドロシリル化反応を起こすタイプの付加反応型のシリコーンゴムが好ましく、硬化反応に伴う副産物がなく、硬化収縮が小さい点、加熱による硬化を早める点で好ましい。
【0046】
次に、生成した溶液を基台上にロールコータ法やスクリーン印刷法などで、均一な膜厚で溶液を塗布する。基台としては平滑面をなすアルミ板、銅板、鉄板などの金属板やガラス板、セラミック板などが用いられる。また、本発明においては、渦巻き状に巻回することから、蛍光体シートの膜厚は概ね50〜150μmの範囲が好ましいといえる。しかしながら、シートの膜厚は発光色の明るさや発光色調にも影響を及ぼすものであるから、そのへんは適宜に判断して設定するのが好ましい。
【0047】
次に、溶液を基台上に塗布した後、熱風乾燥機や赤外線乾燥機などの加熱乾燥機を用いて、100〜200°Cの範囲内で、2分〜3時間の範囲内で乾燥してシートを作製する。乾燥後に、シートを基台から剥がすことによって目的とする蛍光体シートが得られる。
【0048】
上記の方法で生成した蛍光体シートは貯蔵弾性率が25°Cで0.1MPa以上、100°Cで0.1MPa未満である。25°Cで0.1MPa以上の貯蔵弾性率を有すると、室温(25°C)におけるプレス加工や切断加工などができる。また、100°Cで貯蔵弾性率が0.1MPa未満であると、60°C〜250°Cでの加熱貼り付けを行うことができ、高い接着力が得られる。
【0049】
次に、上記の方法で形成した蛍光体シート11を、図1に示すように、渦巻き状に巻回して固着する。 この渦巻き状に巻回して固着する巻回・固着工程は、最初の数巻きを巻回した時に、巻回状態が円形になるように型押し型で加熱の下で加圧して円形形状に整形する。その後に、蛍光体シート11に加圧を加えながら渦巻き状に隙間無く圧着巻を行って所要の外径の大きさに巻回する。そして最後に、外径部一周に渡って型押し型で加熱の下で加圧を施し、図1に示す渦巻き状に巻回して円形状に密着固着した蛍光体シート11を作製する。
【0050】
前述したように、第1実施形態で使用する蛍光体シートは、100°Cで貯蔵弾性率が0.1MPa未満であることから、100°C〜250°Cの下で型押し型で加圧することにより円形形状に巻回して密着固着した蛍光体シート11が得られる。
【0051】
次に、切断工程において、巻回して密着固着した蛍光体シート11を、図2に示すように、端面Aに対して平行に所要の幅でもって切断線部Bの部位を切断して蛍光体層10を形成する。切断はスリッチングカッターなどのカッターで行うことができる。
【0052】
このようにして、巻回した蛍光体シート11を所要の幅で切断して複数個の蛍光体層10を形成する。ここで、切断幅は、蛍光体層10を配設してLED発光装置を構成した時には、図3に示すように、蛍光体層10の厚みmに対応する。蛍光体層10の厚みmは発光色の色調や明るさなどに影響を及ぼすので、前もって好適な値に設定しておく必要がある。また、円形状をなす蛍光体層10の外径寸法と厚み寸法mを基にして蛍光体シート11の展開した長さや幅を設計する。それ故に、蛍光体シート11は100%に近い歩留まりを得ることができる。つまり、蛍光体シート11の無駄の発生を非常に小さく抑えることができる。
【0053】
図3図2に示す蛍光体層10を設けたLED発光装置の平面図(図3(a))と断面図(図3(b))を示したものである。図3に示すLED発光装置20は、図3(b)に示すように、複数のLED素子22を基板21にバンプ接続して形成したLEDパッケージ25のLED素子22の発光出射面側に厚みmをなす蛍光体層10を設けた構成を取っている。ここでのLEDパッケージ25は、複数のLED素子22が基板21の電極パターンにフリップチップ実装によるバンプ接続がなされ、複数のLED素子22を囲うようにして反射機能を有する円形なる樹脂枠23が設け、その樹脂枠23の中にLED素子22を保護する目的で封止樹脂24を設けた構成をなす。そして、円形なる樹脂枠23と封止樹脂24の上に円形状の蛍光体層10を配設した構成をなしている。
【0054】
基板21は、図3(a)に示すように、矩形形状をなすBTレジンやセラミックなどからなり、その対向するコーナの部分に一対の電極21a、21bを設けている。この一対の電極21a、21bはアノード電極とカソード電極をなすものである。なお、電極の配線パターン図はここでは省略している。また、樹脂枠23はアルミ金属や白色樹脂などからなって、封止樹脂24が流れ出さないようにすると共に反射機能を持たせている。また、封止樹脂24は透明にシリコーン樹脂からなり、LED素子22の保護膜として機能している。
【0055】
上記の構成において、LED素子22から発光した光で、蛍光体層10に向って出射した光は巻回した蛍光体シートの端面または切断面側に入射する。また、基板21や樹脂枠23に向って出射した光は基板21や樹脂枠23から反射されて蛍光体層10の巻回した蛍光体シート11の端面または切断面に入射する。そして、蛍光体シートの蛍光体を励起させて発光させる。そして、発光した光は蛍光体シートから上方外部に向って、あるいは、隣接する蛍光体シートに向って出射する。例えば、LED素子22に発光波長が約460nmの青色光を発光するGaN系化合物半導体を用い、蛍光体シート11の蛍光体に波長440〜460nmの青色光で励起して黄色発光するYAl12:Ceなる蛍光体を用いると、LED素22の青色光と蛍光体から黄色光とが現れる。そしてそこに、光の交わりによる混色が起き、その混色によって僅かに青みを帯びた白色光が現れる。
【0056】
図3(b)において、蛍光体層10の厚みmは、前述したように、図2に示した渦巻き状に巻回した蛍光体シート11の切断幅によって決まるものである。この蛍光体層10の厚みmは発光色の色調や明るさなどに影響を及ぼすものであるので、適宜な値に設定して蛍光体層10を形成するのが好ましい。
【0057】
また、本実施形態では、複数のLED素子22は基板21の電極パターンにフリップチップ実装によるバンプ接続方法を採用している。これは、ワイヤーボンディング接続方法はLED素子から出射する光の進路がワイヤーに邪魔されて、光の利用効率が低下するからで、これを避けるためにバンプ接続方法を取っているものである。しかしながら、本発明においては、バンプ接続に限るものではなく、ワイヤーボンディング接続方法も可能である。
【0058】
以上、複数のLED素子を用いたLED発光装置に本発明の蛍光体層を用いた構成を説明したが、本発明の蛍光体層の利用方法はこの構成に限るものではない。例えば、従来技術で、図13に示された複数の蛍光体片82aを束ねて形成した蛍光体層82を本発明の渦巻き状に巻回して円形状に形成した蛍光体層10に置き換えた構成も利用可能である。
【0059】
また、本発明の渦巻き状に巻回して円形状に形成した蛍光体層10の製造コストを従来技術での図13に示された複数の蛍光体片82aを束ねて形成した蛍光体層82と比較すると、本発明の渦巻き状に巻回した円形状の蛍光体層10の製作方法が、工程数も短く、且つ、その製作方法も簡単であることから、非常に大きなコストダウン効果が得られる。
【0060】
また、第1実施形態においては、渦巻き状に巻回した円形状の蛍光体層を示したが、円形状に限らず渦巻き状に巻回した楕円形状や長円形状なども適用できるものである。また、同様な方法で、渦巻き状に巻回した円形状を四角形状に整形することも可能で、四角形状の蛍光体層を必要とするLED発光装置に適用可能である。
【0061】
[第2実施形態の説明]
次に、本発明の第2実施形態に係る蛍光体層及びその蛍光体層を用いたLED発光装置を図4図6を用いて説明する。なお、図4は本発明の第2実施形態に係る渦巻き状に巻回した蛍光体シートの斜視図である。また、図5図4に示された巻回した蛍光体シートを端面に対して平行に切断して蛍光体層を形成した斜視図である。また、図6図5に示された蛍光体層を用いたLED発光装置の要部断面図である。
【0062】
第2実施形態では、蛍光体層30は発光色の異なる二種の蛍光体シート11b、11cを用いている。これら二種の蛍光体シート11b、11cを、図5に示すように、2枚重ね合わせて渦巻き状に巻回し、この渦巻き状に巻回した蛍光体シート11b、11cを、図6に示すように、端面Aに対して平行に、所要の幅でもって切断線部Bの部位を切断して蛍光体層30を形成している。
【0063】
また、第2実施形態では、LED素子22(図6)は発光波長が460nmの青色光を発光するGaN系化合物半導体のLED素子を用いていることから、発光色の異なる二種の蛍光体シート11b、11cは、460nm波長の青色光で励起して黄色発光するYAl12:Ceなる蛍光体を含有した蛍光体シート11bと、460nm波長の青色光で励起して赤色発光するCaAlSiN:Euなる蛍光体を含有した蛍光体シート11cとからなっている。
【0064】
上記構成を取ることにより、LED素子22が発光する青色光と、蛍光体シート11bの蛍光体が発光する黄色光と、蛍光体シート11cの蛍光体が発光する赤色光とによって、これら3色の混色によって白色光が得られる。しかも、演色性の良い自然光に近い白色光が得られる。
【0065】
また、蛍光体シート11b、並びに、蛍光体シート11cのシート厚みは、共に100μm前後の厚みに形成している。渦巻き状に巻回することから、シート厚みを100μm前後の厚みに抑え、2枚重ねの厚みを200μm前後の薄さに抑えている。このようにすると、渦巻き状に巻回したときには内端部分は隙間無く巻回することができ、また、所要の外径の大きさに巻回した状態でも2枚重なった外端部分も殆ど目立たなくなる。そして、全体的に渦巻き状に密着巻きされた蛍光体シートが得られる。
【0066】
また、第2実施形態では、上記の仕様をなした円形状の蛍光体層30を、図6に示すように、LEDパッケージ25の上部に配設してLED発光装置40を構成している。なお、LEDパッケージ25は前述の第1実施形態で説明したLEDパッケージと同じ仕様の構成をなしているので、ここでの詳細説明は省略する。
【0067】
第2実施形態でのLED発光装置40に配設された蛍光体層30は、図6に示すように、所要の厚みになるように切断された黄色発光の蛍光体シート11bと赤色発光の蛍光体シート11cが横に交互に繋がった状態で使用される。また、LED素子22からの出射光はそれぞれの蛍光体シート11b、11cの端面側または切断面側からシート内に入射する。そのため、蛍光体シート11bの蛍光体、及び蛍光体シート11cの蛍光体に入射するLED素子22の入射光量は概ね均一になる。そのため、蛍光体シート11b、11cにおけるそれぞれの蛍光体の発光効率は高められて発光輝度を高める効果を生む。また、発光色の混色状態にムラが起きず、均一な色調の発光色が得られる。
【0068】
第2実施形態においては、一例として、LED素子22は発光波長が460nmの青色光を発光するGaN系化合物半導体のLED素子を取り上げ、蛍光体シート11b、11cは、460nm波長の青色光で励起して黄色発光するYAl12:Ceなる蛍光体を含有した蛍光体シート11bと、460nm波長の青色光で励起して赤色発光するCaAlSiN:Euなる蛍光体を含有した蛍光体シート11cの二種の蛍光体シートを取り上げて説明した。しかしながら、これらのものに限定するものではない。例えば、蛍光体シート11bの黄色発光するYAl12:Ceなる蛍光体に代えて緑色発光するLuAl12:Ceなる蛍光体を用いると、LED素子22の青色発光と、蛍光体シート11bによる緑色発光と、蛍光体シート11cによる赤色発光との混色によって、同じ白色発光を得ることができる。
【0069】
また、第2実施形態では、二種の蛍光体シートで蛍光体層を構成したが、本発明においては、特に二種に限定するものではなく、三種からなる蛍光体シートを用いる構成を取っても何ら支障はないものである。所望の発光色が得られるように蛍光体を選択するのが好ましい。
【0070】
[第3実施形態の説明]
次に、本発明の第3実施形態に係る蛍光体層及びその蛍光体層を用いたLED発光装置を図7図9を用いて説明する。図7は本発明の第3実施形態に係る蛍光体層を形成するための反射膜を設けた蛍光体シートの平面斜視図を示している。また、図8図7に示された反射膜付き蛍光体シートを渦巻き状に巻回し、渦巻き状に巻回された蛍光体シートを端面に対して平行に所要の間隔を持って切断して蛍光体層を形成した斜視図を示している。また、図9図8に示した蛍光体層を用いて形成したLED発光装置の要部断面図を示している。
【0071】
第3実施形態では、用いる蛍光体シートは、図7に示すように、方形形状をなす蛍光体シート11dに反射膜51を設けたものである。蛍光体シート11dは所望の発光色が得られる蛍光体材料が含有する蛍光体シールである。また、反射膜51は反射率の高い金属膜が好適に選ばれ、第3実施形態では、アルミ金属の蒸着膜で構成している。アルミ金属は反射率が高いこと、軽量であることなどからアルミ金属を選択しているが、特に、アルミ金属に限るものではない。また、金属膜の膜厚は、第3実施形態においては、反射率や屈曲性を考慮して200〜300Åの範囲に設定している。しかしながら、特に200〜300Åの範囲に限定するものではなく、仕様に応じて適宜に設定するのが好ましい。
【0072】
図1示す反射膜51を設けた蛍光体シート11dを渦巻き状に巻回し、渦巻き状に巻回した蛍光体シート(図示していない)を製作する。そして次に、渦巻き状に巻回した蛍光体シートを端面にたいして平行に切断して、図8に示す円形状の蛍光体層50を形成する。なお、図8図9において、図面を見易くするために、反射膜51は少し太めの実線で表示している。
【0073】
上記の仕様で形成した蛍光体層50を、図9に示すように、LEDパッケージ25の上面側に配置してLED発光装置60を構成する。ここで、LEDパッケージ25は、前述の第1実施形態、並びに第2実施形態で用いたLEDパッケージと同じ仕様のものを用いている。
【0074】
LEDパッケージ25の上面側に配置された蛍光体層50は、図9に示されるように、反射膜51と蛍光体シート11dが順次横に繰り返し並んだ構造になり、蛍光体シート11dの端面または切断面が複数のLED素子22の発光した光の出射側に面して配される構造になる。つまり、蛍光体層50の端面側、もしくは端面と反対側に当たる切断面側がLED素子22の光の出射面側を向いて配置される。そのため、LED素子22の光は蛍光体シート11dの端面または切断面から蛍光体シート11d内に入射する。そして、蛍光体シート11d内の蛍光体を励起させて蛍光体を発光させる。
【0075】
蛍光体シート11dは端面と切断面以外は反射膜51で被覆されている。そのため、蛍光体シート11d内で発光した蛍光体の光は、そのまま蛍光体シート11d内を通過して蛍光体シート11dの外、矢印の方向を向いて出射する。また、LED素子22の出射光でそのまま蛍光体シート11d内を通過して外部、矢印の方向に出射する光も現れる。そのため、蛍光体層50から外に出射する光に指向性が現れ、且つ、その指向性は狭い領域に光が集光することになって輝度の高い発光色が得られることになる。また、LED素子22の出射光と蛍光体の発光した光とが蛍光体シート11d内で、蛍光体シート11d外の指向性のある狭い領域の中で、混ざり合いが起きて混色し、その混色による設定した発光色の色調が現れる。
【0076】
第3実施形態においては、反射膜51を設けた蛍光体シート11dを1枚設けて蛍光体層50を構成したものであるが、1枚に限らず発光色の異なる蛍光体シートを2枚、あるいは3枚と複数用いて蛍光体層を構成することも可能である。そして、指向性を持って輝度の明るいさまざまな発光色調が得られるようになる。
【符号の説明】
【0077】
10、30、50 蛍光体層
11、11b、11c、11d 蛍光体シート
20、40、60 LED発光装置
21 基板
22 LED素子
23 樹脂枠
24 封止樹脂
25 LEDパッケージ
51 反射膜
A 端面
B 切断線部
m 厚み
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13