特許第6284739号(P6284739)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6284739-電気機械の安全機能制御 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284739
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】電気機械の安全機能制御
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20180215BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20180215BHJP
【FI】
   H02M3/28 C
   H02M7/48 M
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-218373(P2013-218373)
(22)【出願日】2013年10月21日
(65)【公開番号】特開2014-87255(P2014-87255A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2016年7月27日
(31)【優先権主張番号】12007295.4
(32)【優先日】2012年10月24日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503236555
【氏名又は名称】バウミュラー ニュルンベルク ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ ヘンゼル
(72)【発明者】
【氏名】マグディ ディマス−ズクリ
(72)【発明者】
【氏名】アクセル ヘルメルト
【審査官】 北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−052166(JP,A)
【文献】 特開2012−139003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全機能を有する電気機械(2)の周波数変換器(3)を作動させる方法であって、前記周波数変換器(3)の通常動作のため、および前記安全機能をトリガするための、電気的に絶縁された出力電圧(U)が入力電圧(U)から生成され、
−前記出力電圧(U)が変換回路(4)によって生成されて、前記周波数変換器(3)用の2値制御信号(SHS、SLS)を生成する閾値スイッチ(5)に供給され、前記制御信号(SHS、SLS)が、前記出力電圧(U)が上側閾値(U)を超えると前記周波数変換器(3)の動作を有効にし、前記安全機能をトリガするための前記制御信号(SHS、SLS)が、前記出力電圧(U)が下側閾値(U)を下回ると前記周波数変換器(3)の動作を無効にし、
−前記出力電圧(U)から、前記変換回路(4)の半導体スイッチ(V)用の作動信号(S)が生成され、このスイッチは前記入力電圧(U)に周期的に接続され、前記出力電圧(U)が、前記出力電圧がスイッチング閾値(UMax)を超えると制限される方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法を実行する装置(1)であって、
−一次側に、入力電圧(U)から電気的に絶縁された出力電圧(U)を供給するための半導体スイッチ(V)、二次側に整流器(D)を有する変圧器(T)を有する変換回路(4)を有し、
−前記整流器(D)の下流に接続された開ループおよび/または閉ループ制御装置(6)を有し、前記制御装置が、前記安全機能をトリガするための前記周波数変換器(3)用の制御信号(SHS、SLS)を生成し、前記出力電圧(U)が最大値(UMax)を超えると前記半導体スイッチ(V)用の作動信号(S)を生成する装置(1)。
【請求項3】
前記開ループおよび/または閉ループ制御装置(6)が、前記変換回路(4)の前記出力電圧(U)が印加される、前記半導体スイッチ(V)用の作動信号(S)を供給するための比較器および閾値スイッチ機能(7、8)を有する、請求項2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記開ループおよび/または閉ループ制御装置(6)が、セットポイント/実際値比較器(9)と、前記セットポイント/実際値比較器(9)の下流に接続され、前記半導体スイッチ(V)の動作周波数を前記変換回路(4)の前記出力電圧(U)のセットポイント電圧値(U)との差に基づいて調整するパルス変調器(10)を含む、請求項2または3に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記半導体スイッチ(V)が、前記開ループおよび/または閉ループ制御装置(6)の制御側に、ガルバニック絶縁素子(11)、特にオプトカプラを介して接続される、請求項2〜4のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記開ループおよび/または閉ループ制御装置(6)には、閾値スイッチ(5)としてシュミットトリガが割り当てられ、そこに、前記周波数変換器(3)用の2値制御信号(SHS、SLS)を生成するために前記変換回路(4)の前記出力電圧(U)が供給される、請求項2〜5のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記半導体スイッチ(V1、V2)が、前記変圧器(T1、T2)の一次巻線(LP1、LP2)と直列回路を形成し、そこに前記入力電圧(U)が印加される、請求項2〜6のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項8】
バッファコンデンサ(C11、C21)が前記直列回路と並列接続され、前記半導体スイッチ(V1、V2)がオプトカプラ(11)のフォトトランジスタ(F1、F2)を介して制御入力側に接続される、請求項7に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記開ループおよび/または閉ループ制御装置(6)、特にその前記比較器および前記閾値スイッチ機能(7、8)がマイクロプロセッサ(M1、M2)に集積される、請求項3又は請求項3を引用する請求項4〜8のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記変換回路(4)の前記出力電圧(Uが供給される際に通過するその入力(E11、E21)が、それぞれの他方のマイクロプロセッサ(M1、M2)に連結される冗長マイクロプロセッサ(M1、M2)を特徴とする、請求項9に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数コンバータによって電気駆動し、または電力が供給される電気機械の安全機能を、制御するための、特許請求の範囲の請求項1の前提部において請求されている方法に関する。本発明はまた、その方法を実行する装置にも関し、安全機能とは特に、いわゆるセーフトルクオフ(Safe−Torque−Off、STO)機能を意味するものと理解される。この種の方法とそれに対応する装置は下記特許文献1から知られている。
【背景技術】
【0002】
特に同期または非同期モータを備える電気機械の駆動技術の分野では、駆動装置の不要または不測の回転による傷害事故を確実に防止するために、安全指向の機能が必要である。これに関連して、本質的な安全機能は、セーフトルクオフ(STO)と呼ばれる駆動装置の安全停止であり、これは、前記駆動装置をそこに供給される電源から安全に絶縁することによって、安全機能をトリガした後に惰性運転させ、回転速度と接続されているトルクに応じて、確実にその停止状態に至らせる。
【0003】
周波数変換器により制御された方法で駆動される従来の三相モータの場合、その、または各安全機能の制御またはトリガは周波数変換器において、前記周波数変換器、およびしたがって三相モータまたは電気機械が電源から絶縁されることによって行われる。周波数変換器への電源供給には24V DCの入力電圧が通常使用され、これはスイッチ、たとえばリレーを介して周波数変換器に供給される。停止機能中にこのスイッチを作動させて機械を切断すると、周波数変換器、およびしたがってそこへの電源供給を制御するために必要な入力電圧も切断される。
【0004】
このために、セーフトルクオフ接続(STO機能)が下記特許文献2から知られており、その中では、制御装置のため、および周波数変換器の電源スイッチまたはパワー半導体スイッチのドライバ(前記ドライバは前記制御装置により作動される)のための24Vの入力電圧が二極スイッチによって安全に停止され、したがって電気機械への電源供給もまた安全に停止される。
【0005】
第一のガルバニック絶縁伝送手段を備える電気モータのためのSTO機能付周波数変換器の形態で、この伝送手段が、電源供給されている時に電気モータのための動作電圧を供給する周波数変換器のパワー半導体(IGBT)を作動させる出力信号のみを生成するような制御装置が、下記特許文献3から、冒頭に記載の下記特許文献1から知られている。このために提供される装置は共振回路を含み、その供給電圧はアクチュエータ信号に依存し、この信号は電気モータの許容動作状態を伝える。共振回路の信号は第二の伝送手段を介して、増幅および切断(decoupling)回路と、パワー半導体を作動させるために第一の伝送手段への供給電圧を生成する整流器に送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2 495 869 A2号明細書
【特許文献2】米国特許第7,868,619 B2号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第10 2011 003 922A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が対処する問題は、電気機械の安全機能を制御するための改良された方法と特に適当な装置を特定することであり、その制御手段は、入力電圧が60V以上の場合であっても確実に機能することが意図され、その一方で、それと同時に特に電力損失ができるだけ小さい安全機能が確保される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この問題は、本発明によれば、方法に関しては請求項1の特徴によって、装置に関しては請求項2の特徴によって解決される。有利な構成、変形、発展形は従属項の主旨である。
【0009】
このために、電気的に絶縁されたDC出力電圧がDC入力電圧から生成され、前記電気的に絶縁されたDC出力電圧から、周波数変換器用の、その通常動作のため、および安全機能のトリガのための制御信号が生成される。これに加えて、入力電圧に周期的に接続される半導体スイッチ用の作動信号が生成され、出力電圧がスイッチングスレッショルド、又は閾値を超えると出力電圧が降下または制限される。
【0010】
この場合、本発明は、最も単純な方法として分圧回路を使用することによって、ガルバニック絶縁のための下流のオプトカプラの有無を問わず、60Vより大きい、またはこれと等しい入力電圧という比較的大きな電圧範囲であっても制御できるが、入力電圧がこのように高い場合、分圧器のオーム型抵抗器における電力損失がそれに対応して大きいことが不利である、という考えに基づいている。下流のオプトカプラの有無を問わず、定電流源を使用したとしても、必要とされる60Vという、対応する高い入力電圧では電力損失が望ましくない程度に大きくなる。24Vの入力電圧に障害が生じた場合に起こる電圧上昇を制限するには、電圧制限のための公知の回路もまた使用できる。しかしながら、このような電圧制限回路では、必要な安全機能が影響を受けずに確実に機能し、入力電圧の不要な切断が確実に防止されることは保証されない。
【0011】
これに対して、本発明による方法と本発明による装置は、周波数変換器のための下流の制御回路のデジタル入力用の入力電圧が、たとえば60Vへと上昇しても動作できるようにし、それと同時に電力損失を小さくするため、および必要な安全機能、特にSTO機能が確実に働くようにするために提供され、設計される。
【0012】
このために、装置は、電気的に絶縁されるエネルギー伝送用の変圧器(a transformer)を有する、好ましくはクロック式変換回路を提供し、この変圧器には、一次側で、作動可能な半導体スイッチが、二次側で、整流器が割り当てられる。変換回路は、ここでは、回路の面で、ある種のクロック式電圧コンバータとして実施され、これはたとえばフライバックコンバータまたはフォワード型コンバータとして動作し、通常24VのDC入力電圧を、周波数変換器用の制御信号を生成するための装置に供給されるDC出力電圧に変換する。
【0013】
整流器の下流に接続された装置はまた、回路および/またはプログラミングの面で、装置の入力電圧、およびしたがって出力電圧が所定の最大値を超えた時に、変換回路の半導体スイッチのためのクロック作動信号を発生するように設計される。作動信号の結果、出力電圧は、これが最大値を超えた場合、開ループまたは閉ループ制御手段によって制限される。このために、装置は作動側において、好ましくは、特にオプトカプラの形態のガルバニック絶縁素子を備えるフィードバックループを介して半導体スイッチに接続される。フィードバックループは、好都合な形態として、半導体スイッチの動作周波数を、装置により生成されるクロックまたは作動信号に基づいて調整するためのパルス変調器(a pulse modulator)を含む。この場合、パルス変調器は、適当な形態として、半導体スイッチ用のクロックまたは作動信号のデューティサイクルを調整するためのパルス幅変調器(PWM)および/またはパルス間隔変調器(PIM)である。
【0014】
開ループおよび/または閉ループ制御装置は好ましくは、比較器と閾値スイッチ機能を有し、そこに変換回路の出力電圧が印加され、半導体スイッチ用の作動信号を発生させる。さらに、開ループおよび/または閉ループ制御装置は、適当な形態として、セットポイント/実際値比較器(a setpoint/actual value comparator)と、前記比較器の下流に接続され、半導体スイッチの動作周波数を出力電圧のセットポイント値との差に基づいて調整するパルス変調器を含む。
【0015】
装置の好都合な構成において、開ループおよび/または閉ループ制御装置は、その下流に設けられた閾値スイッチとしてのシュミットトリガを有するか、またはこれが割り当てられ、そこに変換回路の出力電圧が供給されて、周波数変換器用の2値制御信号が生成される。制御信号は好ましくは、出力電圧が上側閾値を超えると周波数変換器を動作させるハイレベルと、出力電圧が下側閾値を下回ると安全機能をトリガするローレベルを有する。
【0016】
変換回路と開ループおよび/または閉ループ制御装置は、好都合な形態として、冗長回路(redundancy)を設けて実施される。これに加えて、開ループおよび/または閉ループ制御装置の機能性、特にその比較器と閾値スイッチの機能は、適当な形態として、2つの冗長マイクロプロセッサに集積され、変換回路の出力電圧のためのその入力は、それぞれの他のマイクロプロセッサに連結される。
【0017】
特に好ましくは、半導体スイッチが制御側で、オプトカプラの形態のガルバニック絶縁素子を介して開ループおよび/または閉ループ制御装置に接続される。変換回路の特に好ましい変形版において、その、また冗長設計の場合は各々の半導体スイッチは、変圧器の一次巻線と直列回路を形成し、この直列回路に入力電圧が存在する。次に、適当な形態として、通常は少なくともわずかに変動する入力電圧のバッファのためのコンデンサ(a capacitor)がその直列回路と並列接続される。次に、好ましくはMOSFETとして実施される半導体スイッチの制御入力(ゲート)が、好都合な形態として、ガルバニック絶縁オプトカプラのフォトトランジスタを介して前記バッファコンデンサに接続される。
【0018】
本発明により達成される利点は、特に、電気機械の安全機能を制御するために変換回路を使用することによって、60Vより高い、比較的大きな、または広い入力電圧範囲が安全に、特に本発明による装置に関しては本質的に安全な方法で、わずかな電力損失のみで制御されることである。変換回路の冗長設計と安全機能、特にSTO機能をトリガする装置および、それらの相互モニタによって、安全と本発明による装置の本質的な安全がさらに向上する。
【0019】
以下に、図面を参照しながら本発明の例示的実施形態を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】入力側に安全機能をトリガし、電圧を制限するための変換回路を有する、電気機械の周波数変換器を制御する装置の概略ブロック回路図を示す。
図2】下流に接続された、相互モニタしながら安全機能をトリガするための装置を備える変換回路の、回路の面での冗長設計を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
2つの図面中、相互に対応する構成要素には同じ参照番号を付した。
【0022】
図1は、周波数変換器3によって電源供給され、または駆動される電気機械としての三相モータ2の安全機能、特にセーフトルクオフ(STO)機能を制御するための装置1を示す。装置1は、変圧器Tと一次側でその上流に接続された半導体スイッチVと二次側でその下流に接続された整流器Dを有するクロック式変換回路4を含む。変換回路4はDC入力電圧UをDC出力電圧Uに変換し、これはアースまたは基準電位に接続された負荷抵抗器Rにおいて取り出すことができる。電圧は、電子半導体スイッチVによって変換または変圧され、スイッチVは特定のスイッチングまたは動作周波数で、電気的に絶縁されたエネルギー伝送のための変圧器TとDC出力電圧Uを減結合する(decoupling)ための整流器Dによって作動される。
【0023】
ここで、変圧器Tは、コンバータの入力とコンバータの出力の間がガルバニック絶縁されたクロック式フライバックコンバータのエネルギー貯蔵装置として、または、いわゆるフォワード型コンバータのガルバニック絶縁要素として動作することができる。どちらの種類のコンバータにおいても、半導体スイッチVは規則的に制御された方法で開かれ、その結果、変圧器Tの磁界を縮小できる。入力電圧はたとえばU=24V〜U=60Vとすることができる。
【0024】
出力電圧Uは、好ましくはシュミットトリガの形態の閾値スイッチ(a threshold switch)5に供給され、これが周波数変換器5のための2値制御信号を生成する。出力電圧Uが上側閾値U、たとえばU=11Vを超えると、閾値スイッチ5はハイレベルの2値制御信号SHSを生成し、その結果、閾値スイッチ5の下流に接続された周波数変換器3が三相モータ2を通常の方法で作動させる。出力電圧Uが下側閾値U、たとえばU=5Vを下回ると、閾値スイッチ5が2値制御信号SHSとしてローレベルを生成し、これが安全機能、特にセーフトルクオフおよびしたがって三相モータ2の安全停止をトリガする。
【0025】
これに加えて、装置1は、変換回路4によって生成された出力電圧Uを周波数変換器3の制御のために閾値スイッチ5に供給する開ループおよび/または閉ループ制御装置6を含み、出力電圧Uはシュミットトリガ5によって2値、又はデジタル制御信号SHS、SLSに変換される。制御信号SHSは、ハイレベルかローレベルかに応じて、周波数変換器3の、通常はパワー半導体(電源スイッチまたはパワー半導体スイッチ)、特にIGBTから構成されるブリッジ回路のいわゆるハイ側(HS)を有効化または無効化することによって、周波数変換器3を通常動作させるための信号を送り、または安全機能をトリガする。
【0026】
同様に生成され、今度はシュミットトリガ5の形態の閾値スイッチによって2値制御信号SLSに変換される制御信号SLSは、周波数変換器3のブリッジ回路のいわゆるロー側(LS)を同様に制御(有効化または無効化)する。このために、装置1は2つの同じ設計の制御モジュール1a、1bを含み、これらはまた、以下においてはハイ側、すなわちHS制御モジュール1aとロー側、すなわちLS制御モジュール1bとも呼ばれる。
【0027】
開ループおよび/または閉ループ制御装置6はまた、好ましくは比較器の形態の閾値スイッチ7を含み、そこに変換回路4の出力電圧Uが入力側で供給される。比較器7は、出力電圧Uを最大値UMax、たとえばUMax=60Vと比較する。この最大値UMaxが超えられると、比較器7は出力側で制御またはスイッチング信号Sを生成し、その結果、今度はたとえば半導体スイッチ等によって実施されるスイッチ8が、出力電圧Uをセットポイント/実際値比較器9に供給する。出力電圧Uの実際値(actual value)Uが、たとえば入力電圧U=U=24Vに対応するセットポイント値Uと異なる場合、コントローラ10、好ましくはPWMコントローラが、半導体スイッチVを変調して作動させるためのクロック信号Sを生成する。この場合、半導体スイッチVは、好ましくはオプトカプラの形態のガルバニック絶縁素子11によって作動される。コントローラ10によって、パルス変調、たとえばパルス幅変調(PWM)および/またはパルス間隔変調(PIM)のデューティサイクルは、出力電圧Uがセットポイント値Uまで調整され、または低減されるように調整される。
【0028】
変圧器Tは、一次側で半導体スイッチVによって入力電圧Uに周期的に接続され、このために、出力電圧Uが所定の最大値UMaxを下回るかぎり、特定の一定のクロックまたは動作周波数で動作する。前記最大電圧UMaxが超過された時のみ、開ループまたは閉ループ制御は閾値スイッチまたは比較器7を介して動作状態となり、その結果、半導体スイッチVのクロックまたは動作周波数を変えることにより、変圧器Tを介したエネルギー伝送が減少し、出力電圧Uは閉ループまたは開ループ制御によって所定のセットポイント電圧Uへと調整される。したがって、装置1の安全な動作は、入力電圧Uが比較的高く、60Vより大きいか、これと等しい場合であっても、開ループおよび/または閉ループ制御装置6および変換回路4によって確保され、電気機械2の必要な安全機能は損なわれない。
【0029】
図2は、変換回路4の好ましい設計を示している。この変換回路の出力は、比較器7とスイッチ8と比較器9とコントローラ10の機能性がソフトウェアによって組み込まれているマイクロプロセッサM1の入力E11に接続される。上流の変換回路4とともに、マイクロプロセッサM1は装置1の第一の、すなわちHS制御モジュール1aを形成する。
【0030】
第二の、すなわちLS制御モジュール1bは同様に設計されるが、今度は、同じ冗長変換回路4と、開ループおよび/または閉ループ制御装置6の機能性を組み込むための、対応する冗長マイクロプロセッサM2を有する。冗長マイクロプロセッサM1とM2は、出力A12、A22を介してそれぞれのシュミットトリガ5に接続され、前記シュミットトリガは、それ自体として、周波数変換器3においてそれぞれ2値制御信号SHSとSLSを供給し、その一方で電気機械2の安全機能が確保される。シュミットトリガ5の機能性も同様に、マイクロプロセッサM1、M2の中に統合できる。
【0031】
マイクロプロセッサM1、M2は、それぞれ抵抗器R1とR2を介して相互に連結される。マイクロプロセッサM1とM2の別の連結が矢印12によって示されており、これはマイクロプロセッサM1、M2間のデータまたは情報のやりとりを表す。マイクロプロセッサM1、M2を連結するために、変換回路の出力電圧Uが供給される際に通過するその入力E11、E21は、抵抗器R1、R2によって、各々について、それぞれマイクロプロセッサM1とM2のうちの一方の他の入力E12、E22に接続される。
【0032】
同じ設計の変換回路4の中で、それぞれ変圧器T1とT2のそれぞれの一次巻線LP1、LP2の半導体スイッチV1、V2は、下流で直列に接続される。バッファコンデンサC11またはC21は、それぞれの一次巻線LP1、LP2と半導体スイッチV1とV2を含み、好ましくは極性逆転保護としてダイオードD11、D21を介して入力電圧Uに接続される直列回路と並列接続される。それぞれの変圧器T1、T2の二次巻線LS1、LS2は、その下流に直列接続された整流ダイオードD12、D22と、それに並列接続された平滑コンデンサC12、C22を有し、前記平滑コンデンサ自体は、それに並列接続される、それぞれRL1またはRL2を有する。
【0033】
図2による実施形態において、開ループおよび/または閉ループ制御装置6は、ソフトウェアを使ってマイクロプロセッサM1、M2に集積される比較器と閾値スイッチの機能により組み込まれる。好ましくはMOSFETとして実施される半導体スイッチV1、V2の作動側(ゲート側)は、それぞれのマイクロプロセッサM1またはM2の、対応するクロック出力A11、A21に、フィードバックループ内のガルバニック絶縁素子としてのオプトカプラ11を介して接続される。生成されるクロック信号Sは、記号で示されているように方形波(a square wave signal)であり、これがオプトカプラ11のフォトダイオードD13、D23によって周期的に供給電圧Vccに印加され、その結果、これが明るくなるのと暗くなるのを交互に繰り返す。結果的に、それぞれのオプトカプラ11のフォトトランジスタF1、F2は、周期的にオンまたはオフに切り替えられ、したがって、バッファコンデンサC11、C21のタップZ1、Z2の電圧レベルをそれぞれの半導体スイッチV1またはV2の制御入力(ゲート)G1、G2に供給する。その結果、それぞれの半導体スイッチV1、V2は、変圧器T1またはT2の一次コイルLP1、LP2を周期的に入力電圧Uに接続する。開ループまたは閉ループ制御手段によって事前設定されるそれぞれの調整された動作周波数またはデューティサイクルに応じて、入力電圧としてそれぞれのマイクロプロセッサM1またはM2に供給される出力電圧Uは、整流器D12、D22の下流の変圧器の二次側のコンデンサC12、C22と負荷抵抗器RL1、RL2において調整される。
【0034】
図1の例示的実施形態に関して説明したような、出力電圧Uまたは入力電圧Uの最大値UMaxに到達し、またはこれを超えた時の閾値回路の機能性と、半導体スイッチV1、V2のクロック生成の機能性は、ソフトウェアまたはアルゴリズムとしてマイクロプロセッサM1、M2に組み込まれる。
【0035】
2つの制御モジュール1aと1bの冗長性により、またその連結と相互モニタの結果として、装置の制御モジュール1aまたは1bの一方が誤動作し、または完全に故障したとしても、安全機能は常にトリガされる。その結果、装置1の高い本質安全、およびしたがって、装置1全体の高い安全が確保される。
【0036】
本発明は、上述の例示的実施形態に限定されない。むしろ、当業者であれば、本発明の主旨から逸脱することなく、そこから本発明の他の変形版を導き出すこともできる。特に、例示的実施形態に関連して説明した個別の特徴はすべて、本発明の主旨から逸脱することなく、さらに他の方法で相互に組み合わせることもできる。
【符号の説明】
【0037】
1 制御装置
1a HS制御モジュール
1b LS制御モジュール
2 機械/三相モータ
3 周波数変換器
4 変換回路
5 閾値スイッチ/シュミットトリガ
6 開ループ/閉ループ制御装置
7 閾値スイッチ/比較器
8 スイッチ
9 セットポイント/実際値比較器
10 PWMコントローラ
11 素子/オプトカプラ
12 データの矢印
12、A22 出力
C11、C21 バッファコンデンサ
C12、C22 平滑コンデンサ
D11、D21 極性逆転保護ダイオード
D12、D22 整流ダイオード
D13、D23 フォトダイオード
11、E21 第一の入力
12、E22 第二の入力
F1、F2 フォトトランジスタ
G1、G2 制御入力/ゲート
LP1、LP2 一次巻線
LS1、LS2 二次巻線
M1、M2 マイクロプロセッサ
R1、R2 抵抗器
L1、RL2 負荷抵抗器
制御/スイッチング信号
作動信号
HS ハイ側制御信号
LS ロー側制御信号
、T 変圧器
出力電圧
入力電圧
実際値
セットポイント値
Max 最大値
、V 半導体スイッチ
、Z タップ
図1
図2