(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
[実施形態1]
本発明の輸液ポンプの一例について
図1〜
図8を参照して説明する。
【0021】
この例の輸液ポンプ1は、半閉塞方式の輸液ポンプであって、ポンプ本体11と、このポンプ本体11の前面側(チューブ取付位置)を閉鎖する扉12とを備えている。扉12はヒンジ13,13を介してポンプ本体11に揺動自在(回転自在)に支持されており、ポンプ本体11の前面側を完全に閉鎖する位置から、完全開放位置(例えば、180°開く位置)までの間において揺動可能となっている。
【0022】
ポンプ本体11及び扉12には、扉12を閉めたときに、その閉塞状態を保持するための扉ロック機構14が設けられている。扉ロック機構14は、扉12側に配置のドアロックレバー141、及び、ポンプ本体11側に配置のフック142などによって構成されており、扉12を閉鎖した状態でドアロックレバー141を回動操作してフック142に引っ掛けることによって扉12を閉鎖状態にロックすることができる。
【0023】
ポンプ本体11の前面壁110には、上流側ガイド部111及び下流側ガイド部112が設けられている。この上流側ガイド部111と下流側ガイド部112との間に開口部110aが設けられている。開口部110aには、後述するポンプ機構2の送液部20の送液フィンガ21・・21の先端部、及び、バルブ部30A,30Bの閉塞フィンガ31,31の先端部が臨んでいる。
【0024】
上流側ガイド部111は、横方向に湾曲した形状(曲り形状)に形成されている。また、下流側ガイド部112は上下方向に直線状に延びる形状に形成されている。上流側ガイド部111の溝幅及び下流側の下流側ガイド部112の溝幅は、それぞれ、薬液バッグに接続される輸液チューブ(例えば、ポリ塩化ビニルやポリブタジエン製)Tの外径(直径)に対応する大きさとなっており、これら上流側ガイド部111及び下流側ガイド部112に輸液チューブTを嵌め込むことによって、輸液ポンプ1に輸液チューブTを装着することができる。
【0025】
上流側ガイド部111にはチューブクランプ113が設けられている。チューブクランプ113は、輸液ポンプ1へのチューブ装着時に、輸液チューブTを一時的に保持する部材であり、チューブ装着後に扉12を閉じた際に自動的にクランプが解除されるようになっている。なお、チューブクランプ113の近傍には、クランプレバー(図示せず)が設けられており、輸液チューブTの装着の際に、そのクランプレバーを操作することによりチューブクランプ113を開放状態にすることができる。
【0026】
扉12の内面側には送液部押え板41が設けられている。送液部押え板41は、後述する送液部20の送液フィンガ21・・21に対応する位置に設けられている。この送液部押え板41は、扉12を閉じた状態で、最後退位置にある状態の送液フィンガ21の先端面21aに対して、輸液チューブTの外径(直径)に対応する間隔をあけて対向するようになっている(
図4、
図6等参照)。
【0027】
また、扉12の内面側にはバルブ部押え板42,42が設けられている。バルブ部押え板42,42は、それぞれ、後述する上流側のバルブ部30A及び下流側のバルブ部30Bの各閉塞フィンガ31,31に対応する位置に設けられている。これらバルブ部押え板42,42は、扉12を閉じた状態で、最後退位置にある状態の閉塞フィンガ31,31の突部31a,31aの先端に対して、輸液チューブTの外径(直径)に対応する間隔をあけて対向するようになっている(
図5、
図6等参照)。
【0028】
なお、送液部押え板41及びバルブ部押え板42,42の裏面側にはそれぞれ圧縮コイルばね43,44(
図4、
図5参照)が配置されており、輸液チューブTが、送液部20の送液フィンガ21・・21、上流側及び下流側のバルブ部30A,30Bの閉塞フィンガ31,31によって押圧される際に、輸液チューブTが各フィンガ21,31から受ける負荷が大きすぎる場合は、扉12側へ後退するようなっている。これにより輸液チューブTが各フィンガ21,31から受ける過負荷を軽減することができ、輸液チューブTの寿命を延ばすことができる。
【0029】
以上の構成の輸液ポンプ1に輸液チューブTをセットする際には、扉12を開き、薬液バッグに接続された輸液チューブTを、[上流側ガイド部111]→[開口部110a上(各フィンガ21,31上)]→[下流側ガイド部112]の順に配置して当該輸液ポンプ1に輸液チューブTを装着する。このようなチューブ装着が終了した後に、扉12を閉め、扉ロック機構14によって扉12を閉鎖状態にロックすることにより、輸液チューブTのセッティングを完了する。なお、この例では、上述したように、扉12を閉塞した状態では、上流側ガイド部111のチューブクランプ113は開放される。また、輸液完了後などにおいて、扉12を開いたときには、チューブクランプ113によって輸液チューブTが閉塞され、輸液の自由落下であるフリーフローが防止される。
【0030】
−ポンプ機構−
次に、ポンプ機構2の具体的な構成例について
図2〜
図8を参照して説明する。なお、
図6では従フィンガの図示は省略している。
【0031】
ポンプ機構2は、上流側のバルブ部30A、送液部20、下流側のバルブ部30B、送液部押え板41、バルブ部押え板42,42、及び、駆動部7などを備えている。駆動部7は、後述する送液部20の3つの送液フィンガ21・・21、上流側のバルブ部30A及び下流側のバルブ部30Bの閉塞フィンガ31,31の各フィンガをそれぞれ個別に進退移動(前進移動または後退移動)する。
【0032】
<送液部>
送液部20は、3つの送液フィンガ(本発明でいう「送液部の主フィンガ」に相当)21・・21、その各送液フィンガ21のそれぞれに対応して設けられた左右一対の従フィンガ22,22、及び、圧縮コイルばね(弾性部材)23,23などによって構成されている。なお、以下の説明において、3つの送液フィンガ21・・21のうち、輸液送り方向の上流側のものを第1送液フィンガ21、中流部のものを第2送液フィンガ21、下流側のものを第3送液フィンガ21と言う場合もある。
【0033】
ここで、本実施形態において、第1送液フィンガ21及び左右一対の従フィンガ22,22と、第2送液フィンガ21及び左右一対の従フィンガ22,22と、第3送液フィンガ21及び左右一対の従フィンガ22,22とは同じ構成であるので、以下の説明では、1つの送液フィンガ21(第1送液フィンガ21)及びそれに対応する左右一対の従フィンガ22,22の構成についてのみ、
図3、
図4、
図6及び
図7等を参照して説明する。なお、
図3においてガイドフレーム6の前壁及び後壁の図示は省略している、また、
図4は
図3のI−I矢視を示す部分断面図である。
【0034】
送液フィンガ21は、断面矩形の部材であって、左右の側面に一対の傾斜面21s,21sが設けられている。この一対の傾斜面21s,21sは、送液フィンガ21の進退移動方向(中心軸CL1方向)に対して互いに逆向きに傾斜する傾斜面であって、送液フィンガ21の先端に向かうにしたがって二面間距離が縮小するテーパ状の傾斜面である。この送液フィンガ21の傾斜面21s,21sは互いに逆向きの傾斜面であるが、その傾斜角度(中心軸CL1に対する傾斜角度)は同じである。これら傾斜面21s,21sの傾斜角度については後述する。
【0035】
送液フィンガ21は、その中心軸CL1が、上記ポンプ本体11の前後方向(ポンプ本体11に装着した輸液チューブTの長手方向と直交する方向(ポンプ本体11の前面壁110と直交する方向)に沿って配置されている。送液フィンガ21は、ガイド部材5(
図6参照)にスライド自在に支持されており、上記ポンプ本体11の前後方向に進退移動が可能となっている。ガイド部材5はポンプ本体11に支持固定されている。
【0036】
送液フィンガ21は、後述する駆動部7によって進退移動(前進移動または後退移動)され、送液フィンガ21が最後退位置にあるときには、
図4、
図6及び
図12(A)に示すように、送液フィンガ21の先端面21aが上記ポンプ本体11に装着された輸液チューブT(真円状態)の外周面に接触する位置(輸液チューブTの外周面に対応する位置)に配置される。また、この状態(最後退位置にある状態)から、送液フィンガ21が前進移動すると、その前進移動過程で輸液チューブTが押圧される。ここで、この例の輸液ポンプ1は半閉塞方式であるので、送液フィンガ21が最前進位置にある状態のときに、
図10(A)〜
図10(C)及び
図12(C)に示すように、輸液チューブTが完全に閉塞されないように駆動部7による送液フィンガ21の進退移動のストロークが設定されている。
【0037】
一対の従フィンガ22,22は、送液フィンガ21の側方(送液フィンガ21を挟んだ両側)に配置されている。一対の従フィンガ22,22は、同一の形状・寸法であって、左右対称に配置されている。各従フィンガ22,22は断面矩形の部材であり、その先端側(送液フィンガ21側)に、上記送液フィンガ21の傾斜面21s,21sと摺動する傾斜面22s,22sが設けられている。この従フィンガ22,22の傾斜面22s,22sの傾斜角度についても後述する。
【0038】
従フィンガ22,22は、上記送液フィンガ21の中心軸CL1と直交するX方向(ポンプ本体11の前面壁110と平行な方向)に沿って配置されている。従フィンガ22,22は、ガイドフレーム6,6の前壁61,61及び後壁63,63の内面に対して摺動自在に配置されており、当該ガイドフレーム6,6に対しX方向にスライド可能となっている。また、従フィンガ22,22の後部側面にはX方向に延びるスライド溝22b,22bが設けられている。このスライド溝22b,22bには、ガイドフレーム6,6の後壁63,63に設けられたガイド片(突条)63a,63aが嵌り合っており、これらスライド溝22b,22bとガイド片63a,63aとの嵌合(すき間ばめ)により、従フィンガ22,22は送液フィンガ21の進退移動の方向(チューブ押圧方向)に対して直交する一方向(X方向)のみにスライド移動(進退移動)可能となっている。
【0039】
なお、ガイドフレーム6,6はポンプ本体11に支持固定されている。また、この送液部20の左右一対のガイドフレーム6,6、並びに、後述するバルブ部30A,30Bのガイドフレーム6,6は一体的に構成されている。
【0040】
そして、以上の従フィンガ22,22の後端面とガイドフレーム6,6の側壁62,62との間にそれぞれ圧縮コイルばね23,23が挟み込まれており、その圧縮コイルばね23,23の弾性力によって従フィンガ22,22が送液フィンガ21に向けて押圧され、その従フィンガ22,22の傾斜面22s,22sが、それぞれ送液フィンガ21の傾斜面21s,21sに押圧された状態で当接している。
【0041】
このようにして圧縮コイルばね23,23にて従フィンガ22,22を押圧することにより、送液フィンガ21が最後退位置と最前進位置との間を進退移動する過程において、その送液フィンガ21の傾斜面21s,21sと従フィンガ22,22の傾斜面22s,22sとが接触した状態で摺動し、送液フィンガ21の傾斜面21s,21sから従フィンガ22,22の傾斜面22s,22sが離れることがなく、送液フィンガ21の進退移動に連動して従フィンガ22,22が移動する。
【0042】
具体的に説明すると、まずは、送液フィンガ21が最後退位置にあるときには、
図4及び
図12(A)に示すように、従フィンガ22,22の先端面22a,22aが上記ポンプ本体11に装着された輸液チューブT(真円状態)の外周面に接触する位置(輸液チューブTの外周面に対応する位置)に配置される。この状態(最後退位置にある状態)から、送液フィンガ21が前進移動するときに、送液フィンガ21の傾斜面21s,21sと従フィンガ22,22の傾斜面22s,22sとが摺動し、各従フィンガ22,22が送液フィンガ21の移動に連動して後退(一対の従フィンガ22,22が互いに離反する向きに移動)する。一方、送液フィンガ21が後退移動するときに、圧縮コイルばね23の弾性力によって、従フィンガ22,22が送液フィンガ21に向けて押され、その送液フィンガ21の傾斜面21s,21sと従フィンガ22,22の傾斜面22s,22sとが摺動して、各従フィンガ22,22が送液フィンガ21の移動に連動して前進(一対の従フィンガ22,22が互いに接近する向きに移動)する。
【0043】
−フィンガ傾斜面の傾斜角度について−
次に、上記送液フィンガ21の傾斜面21s及び従フィンガ22の傾斜面22sの傾斜角度について
図21及び
図22を参照して説明する。
【0044】
まず、真円状態の輸液チューブTの外径(直径)dとし、輸液チューブTの押しつぶし量をΔdとすると、上述したように、輸液チューブTの全幅W2は、[W2=(π/2−1)Δd+d]となる。また、送液フィンガ21の傾斜面21s,21sの傾斜角度(中心軸CL1に対する傾斜角度)θ1は[tanθ1=s1/Δd]と表すことができる。
【0045】
ここで、
s1=W2/2−d/2=[(π/2−1)Δd+d]/2−d/2
=(π/2−1)Δd/2
であり、tanθ1は、
tanθ1=[(π/2−1)Δd/2]/Δd=π/4−1/2
となる。そして、θ1は、
θ1=tan
-1(π/4−1/2)
=15.9°
となる。この計算結果から、送液フィンガ21の傾斜面21s,21sの傾斜角度を「15.9°」とし、この送液フィンガ21の傾斜面21s,21sと摺動する従フィンガ22,22の傾斜面22s,22sの傾斜角度(送液フィンガ21の中心軸CL1に対する傾斜角度)についても「15.9°」とすることにより、送液フィンガ21による進退移動にて変形する輸液チューブTの全幅の変化[(π/2−1)Δd+d]に比例して従フィンガ22,22が移動(CL2方向に移動)に移動するようになり、送液フィンガ21の進退移動過程において、従フィンガ22,22の先端面22a,22aと輸液チューブTの外周面(幅方向の外周端部)との間に隙間が生じることを抑制することができる。なお。左右一対の従フィンガ22,22の進退移動の移動量Δαは同じであり、その2倍の移動量(2×Δα)が輸液チューブTの全幅の変化[(π/2−1)Δd+d]と比例する。
【0046】
ここで、送液フィンガ21の傾斜面21s及び従フィンガ22の傾斜面22sの傾斜角度は、正確に「15.9°」としてもよいし、また、例えば、16°±β(βは公差)としてもよい。
【0047】
<バルブ部>
次に、上流側のバルブ部30A及び下流側のバルブ部30Bについて
図3、
図5、
図6及び
図8等を参照して説明する。これら上流側のバルブ部30Aと下流側バルブ部30Bとは同じ構成であるので、以下の説明では、一方のバルブ部(上流側のバルブ部30A)についてのみ説明する。なお、
図5は
図3のII−II矢視を示す部分断面図である。
【0048】
バルブ部30A(30B)は、閉塞フィンガ(本発明でいう「バルブ部の主フィンガ」に相当)31、左右一対の従フィンガ32,32、及び、圧縮コイルばね(弾性部材)33などによって構成されている。
【0049】
閉塞フィンガ31は、断面矩形の部材であって、左右の側面に一対の傾斜面31s,31sが設けられている。この一対の傾斜面31s,31sは、閉塞フィンガ31の進退移動方向(中心軸CL2方向)に対して互いに逆向きに傾斜する傾斜面であって、閉塞フィンガ31の先端に向かうにしたがって二面間距離が縮小するテーパ状の傾斜面である。この閉塞フィンガ31の傾斜面31s,31sは互いに逆向きの傾斜面であるが、その傾斜角度(中心軸CL2に対する傾斜角度)は同じである。これらバルブ部30A(30B)の閉塞フィンガ31の傾斜面31s,31sの傾斜角度は、上記した送液部20の送液フィンガ21の傾斜面21s,21sの傾斜角度と同じであり、「15.9°」としてもよいし、また、例えば、16°±β(βは公差)としてもよい。
【0050】
閉塞フィンガ31は、その中心軸CL2が、上記送液部20の送液フィンガ21の中心軸CL1と平行である。つまり、閉塞フィンガ31の中心軸CL2はポンプ本体11の前後方向(ポンプ本体11に装着した輸液チューブTの長手方向と直交する方向(ポンプ本体11の前面壁110と直交する方向)に沿って配置されている。また、閉塞フィンガ31の先端部分には突部31aが設けられている。この突部31aの幅寸法(X方向の寸法)は、完全につぶれた状態の輸液チューブTの全幅よりも大きい(
図14(C)参照)。
【0051】
閉塞フィンガ31は、ガイド部材5(送液部20の送液フィンガ21と同じガイド部材:
図6参照)にスライド自在に支持されており、上記ポンプ本体11の前後方向に進退移動が可能となっている。
【0052】
閉塞フィンガ31は、後述する駆動部7によって進退移動(前進移動または後退移動)され、閉塞フィンガ31が最後退位置にあるときには、
図5及び
図14(A)等に示すように、閉塞フィンガ31の突部31aの先端が上記ポンプ本体11に装着された輸液チューブT(真円状態)の外周面に接触する位置(輸液チューブTの外周面に対応する位置)に配置される。また、この状態(最後退位置にある状態)から、閉塞フィンガ31が前進移動すると、その前進移動過程で輸液チューブTが押圧される。ここで、バルブ部30A(30B)においては輸液チューブTを完全圧閉するので、閉塞フィンガ31が最前進位置にある状態のときに、
図9(B)及び
図14(C)等に示すように、輸液チューブTが完全に閉塞されるように駆動部7による閉塞フィンガ31の進退移動のストロークが設定されている。
【0053】
一対の従フィンガ32,32は、閉塞フィンガ31の側方(閉塞フィンガ31を挟んだ両側)に配置されている。一対の従フィンガ32,32は、同一の形状・寸法であって、左右対称に配置されている。各従フィンガ32,32は断面矩形の部材であり、その先端側(閉塞フィンガ31側)に、上記閉塞フィンガ31の傾斜面31s,31sと摺動する傾斜面32s,32sが設けられている。このバルブ部30A(30B)の従フィンガ32,32の傾斜面32s,32sの傾斜角度についても、上記した送液部20の従フィンガ22,22の傾斜面22s,22sの傾斜角度と同じであり、「15.9°」としてもよいし、また、例えば、16°±β(βは公差)としてもよい。
【0054】
従フィンガ32,32は、上記閉塞フィンガ31の中心軸CL2と直交するX方向(ポンプ本体11の前面壁110と平行な方向)に沿って配置されている。従フィンガ32,32は、ガイドフレーム6,6の前壁61,61及び後壁63,63の内面に対して摺動自在に配置されており、当該ガイドフレーム6,6に対しX方向にスライド可能となっている。また、従フィンガ32,32の後部側面にはX方向に延びるスライド溝32b,32bが設けられている。このスライド溝32b,32bには、ガイドフレーム6,6の後壁63,63に設けられたガイド片(突条)63a,63aが嵌り合っており、これらスライド溝32b,32bとガイド片63a,63aとの嵌合(すき間ばめ)により、従フィンガ32,32は閉塞フィンガ31の進退移動の方向(チューブ押圧方向)に対して直交する一方向(X方向)のみにスライド移動(進退移動)可能となっている。
【0055】
また、従フィンガ32,32の先端部(中央部)には、閉塞フィンガ31の突部31aに対応する位置に、当該閉塞フィンガ31(突部31a)の進退方向に延びるスリット溝32c,32cが形成されている(
図5、
図8等参照)。このスリット溝32c,32cは、閉塞フィンガ31が進退移動する過程において、当該閉塞フィンガ31の突部31aと従フィンガ32,32との互いの動きが干渉しないようにするために設けられている。
【0056】
そして、以上の従フィンガ32,32の後端面とガイドフレーム6,6の側壁62,62との間にそれぞれ圧縮コイルばね33,33が挟み込まれており、その圧縮コイルばね33,33の弾性力によって従フィンガ32,32が閉塞フィンガ31に向けて押圧され、その従フィンガ32,32の傾斜面32s,32sが、それぞれ閉塞フィンガ31の傾斜面31s,31sに押圧された状態で当接している。
【0057】
このようにして圧縮コイルばね33,33にて従フィンガ32,32を押圧することにより、閉塞フィンガ31が最後退位置と最前進位置との間を進退移動する過程において、その閉塞フィンガ31の傾斜面31s,31sと従フィンガ32,32の傾斜面32s,32sとが接触した状態で摺動し、閉塞フィンガ31の傾斜面31s,31sから従フィンガ32,32の傾斜面32s,32sが離れることがなく、閉塞フィンガ31の進退移動に連動して従フィンガ32,32が移動する。
【0058】
具体的に説明すると、まずは、閉塞フィンガ31が最後退位置にあるときには、
図5、
図6及び
図14(A)等に示すように、従フィンガ32,32の先端面32a,32aが、上記ポンプ本体11に装着された輸液チューブT(真円状態)の外周面に接触する位置(輸液チューブTの外周面に対応する位置)に配置される。この状態(最後退位置にある状態)から、閉塞フィンガ31が前進移動するときに、閉塞フィンガ31の傾斜面31s,31sと従フィンガ32,32の傾斜面32s,32sとが摺動し、各従フィンガ32,32が閉塞フィンガ31の移動に連動して後退(一対の従フィンガ32,32が互いに離反する向きに移動)する。一方、閉塞フィンガ31が後退移動するときに、圧縮コイルばね33の弾性力によって、従フィンガ32,32が閉塞フィンガ31に向けて押され、その閉塞フィンガ31の傾斜面31s,31sと従フィンガ32,32の傾斜面32s,32sとが摺動して、各従フィンガ32,32が閉塞フィンガ31の移動に連動して前進(一対の従フィンガ32,32が互いに接近する向きに移動)する。
【0059】
<駆動部>
駆動部7は、この種の輸液ポンプに一般に使用されている公知の駆動機構であって、例えば、送液部20の送液フィンガ21・・21、上流側及び下流側のバルブ部30A,30Bの閉塞フィンガ31,31の各フィンガをそれぞれ個別に進退駆動するためのカム、各カムを回転するカム軸、そのカム軸にタイミングプーリ及びタイミングベルトを介して連結された電動モータ(例えばステッピングモータ)などを備え、その電動モータの駆動により、
図9〜
図11に示すような動作で送液部20の送液フィンガ21・・21、上流側及び下流側のバルブ部30A,30Bの閉塞フィンガ31,31の各フィンガを進退駆動するように構成されている。
【0060】
そして、このような駆動部7の駆動は制御部8によって制御される。なお、駆動部7(電動モータ等)及び制御部8等には、輸液ポンプ1に内蔵の電池または商用電源からの電力が供給されるようになっている。
【0061】
なお、駆動部7としては、電動モータと回転−並進機構(例えばラックアンドピニオン)とを組み合わせた機構を適用してもよいし、ソレノイドを駆動源とするものを適用してもよい。
【0062】
<制御部>
制御部8は、マイクロコンピュータ等を主体として構成されており、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性RAM、I/Oインターフェース、及び、これらの機能部を互いに接続するバスラインなど備えている。制御部8には、図示はしないが、ポンプ本体11に装着された輸液チューブT内に混入した気泡を検出する気泡センサ(例えば、超音波センサ)、ポンプ機構2よりも下流側における輸液チューブTの閉塞状態を検出する閉塞センサなどが接続されており、その各センサの出力信号が制御部8に入力される。
【0063】
制御部8は、表示操作部120の操作パネル122(
図1参照)の操作にて設定(入力)された輸液流量(単位時間当たりの輸液の送り量)の設定値に応じて、ポンプ機構2の駆動部7の電動モータを駆動制御するとともに、その送液サイクルの周期(後述する)を制御することにより輸液流量を可変に調整する。この例では、例えば輸液流量を1mL/h〜1200mL/hの範囲内において、[1mL/h]単位で設定することができる。
【0064】
さらに、制御部8は、表示操作部120の表示パネル121に、積算量[mL]、輸液の予定量[mL]、流量[mL/h]などの動作情報を表示し、また、「気泡混入異常」や「チューブ閉塞不良」などを含む各種警告を表示するとともに、警告ブザー装置を作動するように構成されている。
【0065】
−ポンプ機構の動作説明−
次に、ポンプ機構2の動作について
図9〜
図11を参照して説明する。なお、
図9〜
図11において、各フィンガについては切断しないで表記している。また、
図9〜
図11では従フィンガの図示は省略している。
【0066】
[S1]まず、
図9(A)は、輸液チューブTをポンプ本体11に装着し、扉12を閉じた状態(初期状態)を示す図である。この初期状態では、下流側のバルブ部30Bの閉塞フィンガ31のみが最前進位置にあり、その閉塞フィンガ31の突部31aにて輸液チューブTが完全に閉塞されている。
【0067】
[S2]
図9(A)の状態から、上流側のバルブ部30Aの閉塞フィンガ31が前進移動し、その閉塞フィンガ31が最前進位置にまで移動した状態で、送液部20の上流側の輸液チューブTが完全に閉塞される(
図9(B))。
【0068】
[S3]
図9(B)の状態から、下流側のバルブ部30Bの閉塞フィンガ31が最前進位置から後退移動し、その閉塞フィンガ31が最後退位置にまで移動した状態で、送液部20の上流側の輸液チューブTが完全に開放される(
図9(C))。
【0069】
[S4]
図9(C)に示す状態から、送液部20の第1送液フィンガ21が前進して輸液チューブTを押圧する(
図10(A))。この送液フィンガ21による輸液チューブTの押圧によって、輸液チューブT内の輸液が下流側に送り出される。このような第1送液フィンガ21の前進移動に続いて第2送液フィンガ21と第3送液フィンガ21とが順次前進移動し(
図10(B)〜(C))、その各送液フィンガ21,21による輸液チューブTの押圧によって輸液チューブT内の輸液が更に下流側に送り出される。このように、この例では、3つのフィンガ21・・21の蠕動運動によって輸液チューブT内の輸液が送液される。
【0070】
ここで、この例の輸液ポンプ1は半閉塞方式であるので、送液部20の各送液フィンガ21が最前進位置に到達しても、
図10(A)〜
図10(C)及び
図12(C)に示すように、輸液チューブTは完全におしつぶされない。
【0071】
[S5]
図10(C)の状態から、下流側のバルブ部30Bの閉塞フィンガ31が前進移動し、その閉塞フィンガ31が最前進位置に移動した状態で送液部20の下流側の輸液チューブTが完全に閉塞される(
図11(A))。
【0072】
[S6]
図11(A)の状態から、上流側のバルブ部30Aの閉塞フィンガ31が最後退位置に移動する(
図11(B))。そして、送液部20の第1送液フィンガ21、第2送液フィンガ21及び第3送液フィンガ21がこの順で最後退位置に移動して、
図9(A)に示す初期状態に戻る。なお、初期状態に戻る際に、第1送液フィンガ21、第2送液フィンガ21及び第3送液フィンガ21が同時に後退するようにしてもよい。
【0073】
以上の動作で送液の1サイクルが完了し、このようなサイクルを順次繰り返していくことにより、輸液チューブT内の輸液を下流側に連続して送り出すことができる。そして、その輸液流量は、上記送液サイクルの周期を制御することによって可変に調整することができる。
【0074】
−フィンガの動作説明−
<送液部のフィンガ動作>
まず、送液部20を構成する送液フィンガ21及び一対の従フィンガ22,22の動作について
図12及び
図13を参照して説明する。
【0075】
[S11]まず、
図12(A)に示すように、送液フィンガ21が最後退位置(初期位置)にあるときには、その送液フィンガ21の先端面21a、及び、一対の従フィンガ22,22の先端面22a,22aが、輸液チューブTの外周面に接触する位置(輸液チューブTの外周面に対応する位置)に配置される。また、輸液チューブTの外周面に送液部押え板41が接触している。
【0076】
このように、送液フィンガ21が最後退位置(初期位置)にあるときには、一対の従フィンガ22,22の先端面22a,22aが、輸液チューブTの外周面に対応する位置に配置されているので、輸液チューブTをセットした状態で、当該輸液チューブTの外周面(幅方向の外周端部)と各従フィンガ22,22の先端面22a,22aとの間に隙間(チューブが偏在するスペース)が生じないようにすることができる。なお、輸液チューブTを装着する際には、送液部20の全ての送液フィンガ21・・21及び上流側のバルブ部30Aの閉塞フィンガ31が最後退位置(初期位置)に配置されている(
図9(A)参照)。
【0077】
[S12]次に、
図12(A)の状態から、送液フィンガ21が前進移動し、その前進移動過程において輸液チューブTが送液フィンガ21の先端面21aにて押圧され、輸液チューブTが押しつぶされる(
図9(B))。また、送液フィンガ21の前進過程において、その送液フィンガ21の傾斜面21s,21sと各従フィンガ22,22の傾斜面22s,22sとの摺動により、各従フィンガ22,22が、チューブ押圧方向と直交する方向(
図4に示すX方向)に圧縮コイルばね23,23の弾性力に抗して移動(後退)する。このとき、一対の従フィンガ22,22は、上述したように、送液フィンガ21による前進移動にて変形する輸液チューブTの全幅(
図22に示す全幅:(π/2−1)Δd+d))の変化(増大)に比例して移動(後退)するので、送液フィンガ21の前進移動過程において従フィンガ22,22の先端面22a,22aは、輸液チューブTの外周面(幅方向の外周部)に対応する位置に常に配置される。
【0078】
[S13]
図12(B)の状態から、送液フィンガ21が更に前進して最前進位置に到達すると、輸液チューブTが更に押圧されて
図12(C)に示す状態になる。つまり、送液フィンガ21が最前進位置に位置しても、輸液チューブTの完全につぶされない状態(半閉塞状態)となるので、輸液チューブTのへたりを抑制することができる。また、こうした送液フィンガ21の最前進位置への移動の過程においても、一対の従フィンガ22,22が輸液チューブTの全幅の変化(増大)に比例して移動(後退)するので、送液フィンガ21の最前進位置に達した状態で、各従フィンガ22,22の先端面22a,22aは、押しつぶされた輸液チューブTの外周面(側面)に対応する位置に配置される。
【0079】
なお、[S12]及び[S13]の工程(送液フィンガ21の前進移動)は、上記した[S4]の工程(送液部20の送液フィンガ21の前進移動)に対応する。
【0080】
[S14]
図12(C)の状態(最前進位置)から送液フィンガ21が後退移動すると、この送液フィンガ21の後退移動にともなって、押しつぶされた状態の輸液チューブTが、そのチューブ自体の復元力(弾性力)によって元の形状に戻っていく(
図13(A))。
【0081】
ここで、従フィンガ22,22の傾斜面22s,22sは、圧縮コイルばね23,23の弾性力によって、送液フィンガ21の傾斜面21s,21sに押圧されており、その送液フィンガ21の傾斜面21s,21sとの摺動状態が維持されるので、送液フィンガ21が後退移動すると、一対の従フィンガ22,22が圧縮コイルばね23,23の弾性力によって移動(前進)する。このとき、一対の従フィンガ22,22は、送液フィンガ21の後退移動にて変形(復元)する輸液チューブTの全幅(
図22に示す全幅:(π/2−1)Δd+d)の変化(縮小))に比例して前進するので、送液フィンガ21の後退移動過程において、従フィンガ22,22の先端面22a,22aが、復元過程の輸液チューブTの外周面(側面)に対応する位置に常に配置される。これにより、輸液チューブTの復元状態が良好でない状況であっても、その輸液チューブTの側面が従フィンガ22,22にて押圧されるので、輸液チューブTが復元していく。
【0082】
[S15]
図13(A)の状態から送液フィンガ21が更に後退して最後退位置に到達すると、
図13(B)に示す状態となる。つまり、輸液チューブTが元の形状(略真円形状)に完全に復元する。また、こうした送液フィンガ21の最後退位置への移動の過程においても、一対の従フィンガ22,22が輸液チューブTの全幅の変化(縮小)に比例して移動するので、送液フィンガ21が最後退位置に達した状態で、従フィンガ22,22の先端面22a,22aは、復元した輸液チューブTの外周面(側面)に対応する位置に配置される。これにより、輸液チューブTの復元状態が良好でない状況であっても、その輸液チューブTの側面が従フィンガ22,22にて強制的に押圧されるので、輸液チューブTを略真円状態に復元させることができる。なお、[S14]及び[S15]の工程(送液フィンガ21の後退移動)は、上記した[S7]の工程(送液部20の送液フィンガ21の後退移動)に対応する。
【0083】
<バルブ部のフィンガ動作>
次に、上流側及び下流側のバルブ部30A,30Bを構成する閉塞フィンガ31及び一対の従フィンガ32,32の動作について
図14及び
図15を参照して説明する。
【0084】
[S21]まず、
図14(A)に示すように、閉塞フィンガ31が最後退位置(初期位置)にあるときには、その閉塞フィンガ31の突部31aの先端、及び、一対の従フィンガ32,32の先端面32a,32aが、輸液チューブTの外周面に接触する位置(輸液チューブTの外周面に対応する位置)に配置される。また、輸液チューブTの外周面にバルブ部押え板42が接触している。
【0085】
このように、閉塞フィンガ31が最後退位置(初期位置)にあるときには、一対の従フィンガ32,32の先端面32a,32aが、輸液チューブTの外周面に対応する位置に配置されているので、輸液チューブTをセットした状態で当該輸液チューブTの外周面(幅方向の外周端部)と各従フィンガ32,32の先端面32a,32aとの間に隙間(偏在スペース)が生じないようにすることができる。
【0086】
[S22]
図14(A)の状態から、閉塞フィンガ31が前進移動し、その前進移動過程において輸液チューブTが閉塞フィンガ31の突部31aの先端にて押圧され、輸液チューブTが押しつぶされる(
図9(B))。また、閉塞フィンガ31の前進過程において、その閉塞フィンガ31の傾斜面31s,31sと各従フィンガ32,32の傾斜面32s,32sとの摺動により、各従フィンガ32,32が、チューブ押圧方向と直交する方向(
図5に示すX方向)に圧縮コイルばね33,33の弾性力に抗して移動(後退)する。このとき、一対の従フィンガ32,32は、上述したように、閉塞フィンガ31による前進移動にて変形する輸液チューブTの全幅(
図22に示す全幅:(π/2−1)Δd+d))の変化(増大)に比例して移動(後退)するので、閉塞フィンガ31の前進移動過程において従フィンガ32,32の先端面32a,32aは、輸液チューブTの外周面(側面)に対応する位置に常に配置される。
【0087】
[S23]
図14(B)の状態から、送液フィンガ21が更に前進して最前進位置に到達すると、輸液チューブTが更に押圧されて
図14(C)に示す状態になる。つまり、送液フィンガ21が最前進位置に位置して輸液チューブTの完全につぶさた状態(完全閉塞状態)となる。また、こうした閉塞フィンガ31の最前進位置への移動の過程においても、一対の従フィンガ32,32が輸液チューブTの全幅の変化(増大)に比例して移動(後退)するので、閉塞フィンガ31の最前進位置に達した状態で、各従フィンガ32,32の先端面32a,32aは、完全閉塞された輸液チューブTの外周面(側面)に対応する位置に配置される。ここで、上記したように、閉塞フィンガ31の突部31aの幅寸法(X方向の幅寸法)は、完全につぶされた状態の輸液チューブTの全幅(一対の従フィンガ32,32の先端面32a,32a間の距離)よりも大きいので(
図14(C)参照)、閉塞フィンガ31が最前進位置に達した状態において、当該閉塞フィンガ31の突部31aにより輸液チューブTを確実に完全圧閉することができる。
【0088】
なお、[S22]及び[S23]の工程(閉塞フィンガ31の前進移動)は、上記した[S2]の工程(上流側のバルブ部30Aの閉塞フィンガ31の前進移動)、または、上記した[S5]の工程(下流側のバルブ30部Bの閉塞フィンガ31の前進移動)に対応する。
【0089】
[S24]
図14(C)の状態(最前進位置)から閉塞フィンガ31が後退移動すると、この閉塞フィンガ31の後退移動にともなって、押しつぶされた状態の輸液チューブTが、そのチューブ自体の復元力(弾性力)によって元の形状に戻っていく(
図15(A))。
【0090】
ここで、従フィンガ32,32の傾斜面32s,32sは、圧縮コイルばね33,33の弾性力によって、閉塞フィンガ31の傾斜面31s,31sに押圧されており、その閉塞フィンガ31の傾斜面31s,31sとの摺動状態が維持されるので、閉塞フィンガ31が後退移動すると、一対の従フィンガ32,32が圧縮コイルばね33,33の弾性力によって移動(前進)する。このとき、一対の従フィンガ32,32は、閉塞フィンガ31の後退移動にて変形(復元)する輸液チューブTの全幅(
図22に示す全幅:(π/2−1)Δd+d)の変化(縮小))に比例して前進するので、閉塞フィンガ31の後退移動過程において、従フィンガ32,32の先端面32a,32aが、復元過程の輸液チューブTの外周面(側面)に対応する位置に常に配置される。これにより、輸液チューブTの復元状態が良好でない状況であっても、その輸液チューブTの側面が従フィンガ32,32にて押圧されるので、輸液チューブTが復元していく。
【0091】
[S25]
図15(A)の状態から閉塞フィンガ31が更に後退して最後退位置に到達すると、
図15(B)に示す状態となる。つまり、輸液チューブTが元の形状(略真円形状)に完全に復元する。また、こうした閉塞フィンガ31の最後退位置への移動の過程においても、一対の従フィンガ32,32が輸液チューブTの全幅の変化(縮小)に比例して移動するので、閉塞フィンガ31が最後退位置に達した状態で、従フィンガ32,32の先端面32a,32aは、復元した輸液チューブTの外周面(側面)に対応する位置に配置される。これにより、輸液チューブTの復元状態が良好でない状況であっても、その輸液チューブTの側面が従フィンガ32,32にて強制的に押圧されるので、輸液チューブTを略真円状態に復元させることができる。なお、[S24]及び[S25]の工程(閉塞フィンガ31の後退移動)は、上記した[S3]の工程(下流側のバルブ部30Bの閉塞フィンガ31の後退移動)、または、上記し[S6]の工程(上流側のバルブ部30Aの閉塞フィンガ31の後退移動)に対応する。
【0092】
<効果>
以上説明したように、本実施形態によれば、ポンプ機構2を構成する送液部20、上流側及び下流側のバルブ部30A,30Bが、それぞれ、送液フィンガ21,閉塞フィンガ31と従フィンガ22,32とを有する構成とし、送液フィンガ21,閉塞フィンガ31が前進移動する際に、従フィンガ22,32が輸液チューブTの全幅の変化(増大)に比例して後退移動し、送液フィンガ21,閉塞フィンガ31が後退移動する際に、従フィンガ22,32が輸液チューブTの全幅の変化(縮小)に比例して前進移動するように構成しているので、輸液チューブTのセット時及び各フィンガ21,31の進退移動過程などにおいて、送液部20及びバルブ部30A,30Bの従フィンガ22,32の先端面22a,32aと輸液チューブTの外周面(幅方向の外周端部)との間に隙間(チューブが偏在するスペース)が生じないようにすることができる。これによって輸液チューブTの横方向へのずれ(蛇行)を防止することが可能となり、輸液の流量精度を高めることができる。
【0093】
なお、以上の例では、送液部20に設ける送液フィンガ21の数を3つとしているが、本発明はこれに限られることなく、送液部20に設ける送液フィンガ21の数は、1つまたは2つ、あるいは、4つ以上であってもよい。
【0094】
以上の例では、送液部20の複数(3つ)の送液フィンガ21・・21を間隔をあけて配置しているが、送液フィンガ21・・21を互いに近接した状態で配置してもよい。また、上流側及び下流側のバルブ部30A,30Bの閉塞フィンガ31,31についても、送液部20の送液フィンガ21に近接した状態で配置してもよい。
【0095】
以上の例では、送液部20の各従フィンガ22,22(傾斜面21s,22s)を送液フィンガ21の傾斜面21s,21sに圧縮コイルばね23,23によって押圧する構成としているが、これに替えて、送液フィンガ21と従フィンガ22,22とを摺動自在に連結する連結手段を設けておいてもよい。
【0096】
その連結手段の具体的な構成としては、例えば、
図16(A)に示すように、送液フィンガ21にT溝21fを形成するとともに、従フィンガ22にT型スライダ22fを設け、送液フィンガ21と従フィンガ22とを摺動自在に連結するという構成を挙げることができる。この場合、従フィンガ22側にT溝を設け送液フィンガ21側にT型スライダを設けておいてもよい。また、
図16(B)に示すように、送液フィンガ21に蟻溝21gを形成するとともに、従フィンガ22に蟻型スライダ22gを設け、送液フィンガ21と従フィンガ22とを摺動自在に連結するという構成を挙げることができる。この場合、従フィンガ22側に蟻溝を設け送液フィンガ21側に蟻型スライダを設けておいてもよい。
【0097】
なお、
図16に示すような連結手段は上流側及び下流側のバルブ部30A,30Bに適用してもよい。
【0099】
[実施形態2]
本発明の輸液ポンプの他の例について
図17〜
図20を参照して説明する。
【0100】
この例の輸液ポンプにおいて、以下に説明する送液部220及びバルブ部230A,230B以外の構成については、上記した[実施形態1]と基本的に同じであるので、その詳細な説明は省略する。
【0101】
<送液部>
まず、
図17及び
図19を参照して送液部220の構成について説明する。なお、
図17及び
図19は、上記した[実施形態1]における
図4相当図である。
【0102】
送液部220は、3つの送液フィンガ(本発明でいう「送液部の主フィンガ」に相当)221・・221、その各送液フィンガ221のそれぞれに対応して設けられた従フィンガ222、固定フィンガ240、圧縮コイルばね223などによって構成されている。
【0103】
なお、この例においても、3つ送液フィンガ221・・221及び従フィンガ222・・222は同じ構成であるので、以下の説明では、1つの送液フィンガ221とそれに対応する従フィンガ222についてのみ説明する。
【0104】
送液フィンガ221は、断面矩形の部材であって、一側面に傾斜面221sが設けられている。この傾斜面221sは、送液フィンガ221の進退移動方向(中心軸CL21方向)に対して傾斜する傾斜面である。傾斜面221sの傾斜角度については後述する。送液フィンガ221のもう一方の側面は、進退移動方向(中心軸CL21方向)と平行な面(直平面221b)となっている。この直平面221bは、ポンプ本体11(
図2参照)に支持固定された固定フィンガ240の先端面240aと摺動可能となっている。この固定フィンガ240の先端面240aは、輸液チューブTの側面の位置を規制する規制面として機能する。
【0105】
送液フィンガ221は、その中心軸CL21が上記ポンプ本体11(
図2参照)の前後方向(ポンプ本体11に装着した輸液チューブTの長手方向と直交する方向(ポンプ本体11の前面壁110と直交する方向))に沿って配置されている。送液フィンガ221は、
図6に示すガイド部材5と同様な部材(図示せず)にスライド自在に支持されており、上記ポンプ本体11の前後方向に進退移動が可能となっている。
【0106】
送液フィンガ221は、後述する駆動部207によって進退移動(前進移動または後退移動)され、送液フィンガ221が最後退位置にあるときには、
図17に示すように、送液フィンガ221の先端面221aが上記ポンプ本体11に装着された輸液チューブT(真円状態)の外周面に接触する位置(輸液チューブTの外周面に対応する位置)に配置される。また、この状態(最後退位置にある状態)から、送液フィンガ221が前進移動すると、その前進移動過程で輸液チューブTが押圧される。ここで、この例の輸液ポンプ1は半閉塞方式であるので、送液フィンガ221が最前進位置にある状態のときに、輸液チューブTが完全に閉塞されないように、駆動部207による送液フィンガ221の進退移動のストロークが設定されている。
【0107】
従フィンガ222は送液フィンガ221の側方に配置されている。従フィンガ222は断面矩形の部材であり、その先端側(送液フィンガ221側)に、上記送液フィンガ221の傾斜面221sと摺動する傾斜面222sが設けられている。この従フィンガ222の傾斜面222sの傾斜角度についても後述する。
【0108】
従フィンガ222は、上記送液フィンガ221の中心軸CL21と直交するX方向(ポンプ本体11の前面壁110と平行な方向)に沿って配置されている。従フィンガ222は、ガイドフレーム206の前壁261及び後壁263の内面に対して摺動自在に配置されており、当該ガイドフレーム206に対しX方向にスライド可能となっている。また、従フィンガ222の後部側面にはX方向に延びるスライド溝222bが設けられている。このスライド溝222bには、ガイドフレーム206の後壁263に設けられたガイド片(突条)263aが嵌り合っており、これらスライド溝222bとガイド片263aとの嵌合(すき間ばめ)により、従フィンガ222は送液フィンガ221の進退移動の方向(チューブ押圧方向)に対して直交する一方向(X方向)のみにスライド移動(進退移動)可能となっている。
【0109】
なお、ガイドフレーム206はポンプ本体11に支持固定されている。また、この送液部220のガイドフレーム206、並びに、後述するバルブ部230A,230Bのガイドフレーム206,206は一体的に構成されている。
【0110】
そして、以上の従フィンガ222の後端面とガイドフレーム206の側壁262との間に圧縮コイルばね(弾性部材)223が挟み込まれており、その圧縮コイルばね223の弾性力によって従フィンガ222が送液フィンガ221に向けて押圧され、その従フィンガ222の傾斜面222sが送液フィンガ221の傾斜面221sに押圧された状態で当接している。
【0111】
このようにして圧縮コイルばね223にて従フィンガ222を押圧することにより、送液フィンガ221が最後退位置と最前進位置との間を進退移動する過程において、その送液フィンガ221の傾斜面221sと従フィンガ222の傾斜面222sとが接触した状態で摺動し、送液フィンガ221の傾斜面221sから従フィンガ222の傾斜面222sが離れることがなく、送液フィンガ221の進退移動に連動して従フィンガ222が移動する。
【0112】
具体的に説明すると、まずは、送液フィンガ221が最後退位置にあるときには、
図17に示すように、従フィンガ222の先端面222aが上記ポンプ本体11に装着された輸液チューブT(真円状態)の外周面に接触する位置(輸液チューブTの外周面に対応する位置)に配置される。この状態(最後退位置にある状態)から、
図19に示すように、送液フィンガ221が前進移動すると、送液フィンガ221の傾斜面221sと従フィンガ222の傾斜面222sとが摺動し、従フィンガ222が送液フィンガ221の移動に連動して後退(固定フィンガ240に対して離反する向き(
図19の左向き)に移動)する。一方、送液フィンガ221が後退移動すると、圧縮コイルばね223の弾性力によって、従フィンガ222が送液フィンガ221に向けて押され、その送液フィンガ221の傾斜面221sと従フィンガ222の傾斜面222sとが摺動して、従フィンガ222が送液フィンガ221の移動に連動して前進(固定フィンガ240に近づく向き(
図19の右向き)に移動)する。
【0113】
−フィンガ傾斜面の傾斜角度について−
次に、上記送液フィンガ221の傾斜面221s及び従フィンガ222の傾斜面222sの傾斜角度について
図21及び
図23を参照して説明する。
【0114】
まず、真円状態の輸液チューブTの外径(直径)dとし、輸液チューブTの押しつぶし量をΔdとすると、上述したように、輸液チューブTの全幅W2は、[W2=(π/2−1)Δd+d]となる。また、送液フィンガ221の傾斜面221sの傾斜角度(中心軸CL21に対する傾斜角度)θ2は[tanθ2=s2/Δd]と表すことができる。
【0115】
ここで、
s2=[(π/2−1)Δd+d]−d
=(π/2−1)Δd
であり、tanθ2は、
tanθ2=(π/2−1)Δd/Δd=π/2−1
となる。そして、θ2は、
θ2=tan
-1(π/2−1)
=29.7°
となる。この計算結果から、送液フィンガ221の傾斜面221sの傾斜角度を「29.7°」とし、この送液フィンガ221の傾斜面221sと摺動する従フィンガ222の傾斜面222sの傾斜角度(送液フィンガ221の中心軸CL21に対する傾斜角度)についても「29.7°」とすることにより、送液フィンガ221による進退移動にて変形する輸液チューブTの全幅の変化[(π/2−1)Δd+d]に比例して従フィンガ222が移動(
図17に示すX方向に移動)に移動するようになり、送液フィンガ221の進退移動過程において、従フィンガ222の先端面222aと輸液チューブTの外周面(幅方向の外周端部)との間に隙間が生じることを抑制することができる。ここで、送液フィンガ221の傾斜面221s及び従フィンガ222の傾斜面222sの傾斜角度は、正確に「29.7°」としてもよいし、また、例えば、30°±β(βは公差)としてもよい。
【0116】
<バルブ部>
次に、
図18及び
図20を参照して上流側及び下流側のバルブ部230A,230Bの構成について説明する。なお、
図18及び
図20は、上記した[実施形態1]における
図5相当図である。
【0117】
なお、この例においても、上流側のバルブ部230Aと下流側バルブ部230Bとは同じ構成であるので、以下の説明では、一方のバルブ部(上流側のバルブ部230A)についてのみ説明する。
【0118】
バルブ部230A(230B)は、閉塞フィンガ(本発明でいう「バルブ部の主フィンガ」に相当)231、従フィンガ232、固定フィンガ250、及び、圧縮コイルばね(弾性部材)233などによって構成されている。
【0119】
閉塞フィンガ231は、断面矩形の部材であって、一側面に傾斜面231sが設けられている。この傾斜面231sは、閉塞フィンガ231の進退移動方向(中心軸CL22方向)に対して傾斜する傾斜面である。このバルブ部230A(230B)の閉塞フィンガ231の傾斜面231sの傾斜角度は、上記した送液部220の送液フィンガ221の傾斜面221sの傾斜角度と同じであり、「29.7°」としてもよいし、また、例えば30°±β(βは公差)としてもよい。
【0120】
閉塞フィンガ231のもう一方の側面は、進退移動方向(中心軸CL22方向)と平行な面(直平面231b)となっている。この直平面231bは、ポンプ本体11(
図2参照)に支持固定された固定フィンガ250の先端面250aと摺動可能となっている。この固定フィンガ250の先端面250aは、輸液チューブTの側面の位置を規制する規制面として機能する。
【0121】
閉塞フィンガ231は、その中心軸CL22が、上記送液部220の送液フィンガ221の中心軸CL21と平行である。つまり、閉塞フィンガ231の中心軸CL22はポンプ本体11の前後方向(ポンプ本体11に装着した輸液チューブTの長手方向と直交する方向(ポンプ本体11の前面壁110と直交する方向)に沿って配置されている。また、閉塞フィンガ231の先端部分には突部231aが設けられている。この突部231aの幅寸法(X方向の寸法)は、完全につぶれた状態の輸液チューブTの全幅よりも大きい。したがって、この実施形態においても、閉塞フィンガ231が最前進位置に達した状態において、当該閉塞フィンガ231の突部231aにより輸液チューブTを確実に完全圧閉することができる。
【0122】
閉塞フィンガ231は、
図6に示すガイド部材5と同様な部材(図示せず)にスライド自在に支持されており、上記ポンプ本体11の前後方向に進退移動が可能となっている。
【0123】
閉塞フィンガ231は、後述する駆動部207によって進退移動(前進移動または後退移動)され、閉塞フィンガ231が最後退位置にあるときには、
図18に示すように、閉塞フィンガ231の突部231aの先端が上記ポンプ本体11に装着された輸液チューブT(真円状態)の外周面に接触する位置(輸液チューブTの外周面に対応する位置)に配置される。また、この状態(最後退位置にある状態)から、閉塞フィンガ231が前進移動すると、その前進移動過程で輸液チューブTが押圧される。ここで、バルブ部230A(230B)においては輸液チューブTを完全圧閉するので、閉塞フィンガ231が最前進位置にある状態のときには、輸液チューブTが完全に閉塞されるように、駆動部207による閉塞フィンガ231の進退移動のストロークが設定されている。
【0124】
従フィンガ232は閉塞フィンガ231の側方に配置されている。従フィンガ232は断面矩形の部材であり、その先端側(閉塞フィンガ231側)に、上記閉塞フィンガ231の傾斜面231sと摺動する傾斜面232sが設けられている。このバルブ部230A(230B)の従フィンガ232の傾斜面232sの傾斜角度についても、上記した送液部220の従フィンガ222の傾斜面222sの傾斜角度と同じであり、「29.7°」としてもよいし、また、例えば、30°±β(βは公差)としてもよい。
【0125】
従フィンガ232は、上記閉塞フィンガ231の中心軸CL22と直交するX方向(ポンプ本体11の前面壁110と平行な方向)に沿って配置されている。従フィンガ232は、ガイドフレーム206の前壁261及び後壁263の内面に対して摺動自在に配置されており、当該ガイドフレーム206に対しX方向にスライド可能となっている。また、従フィンガ232の後部側面にはX方向に延びるスライド溝232bが設けられている。このスライド溝232bには、ガイドフレーム206の後壁263に設けられたガイド片(突条)263aが嵌り合っており、これらスライド溝232bとガイド片263aとの嵌合(すき間ばめ)により、従フィンガ232は閉塞フィンガ231の進退移動の方向(チューブ押圧方向)に対して直交する一方向(X方向)のみにスライド移動(進退移動)可能となっている。
【0126】
また、従フィンガ232の先端部(中央部)には、閉塞フィンガ231の突部231aに対応する位置に、当該閉塞フィンガ231(突部231a)の進退方向に延びるスリット溝232cが形成されている。このスリット溝232cは、閉塞フィンガ231が進退移動する過程において、当該閉塞フィンガ231の突部231aと従フィンガ232との互いの動きが干渉しないようにするために設けられている(上記した[実施形態1]の
図8参照)。
【0127】
そして、以上の従フィンガ232の後端面とガイドフレーム206の側壁262との間に圧縮コイルばね233が挟み込まれており、その圧縮コイルばね233の弾性力によって従フィンガ232が閉塞フィンガ231に向けて押圧され、その従フィンガ232の傾斜面232sが閉塞フィンガ231の傾斜面231sに押圧された状態で当接している。
【0128】
このようにして圧縮コイルばね233にて従フィンガ232を押圧することにより、閉塞フィンガ231が最後退位置と最前進位置との間を進退移動する過程において、その閉塞フィンガ231の傾斜面231sと従フィンガ232の傾斜面232sとが接触した状態で摺動し、閉塞フィンガ231の傾斜面231sから従フィンガ232の傾斜面232sが離れることがなく、閉塞フィンガ231の進退移動に連動して従フィンガ232が移動する。
【0129】
具体的に説明すると、まずは、閉塞フィンガ231が最後退位置にあるときには、
図18に示すように、従フィンガ232の先端面232aが上記ポンプ本体11に装着された輸液チューブT(真円状態)の外周面に接触する位置(輸液チューブTの外周面に対応する位置)に配置される。この状態(最後退位置にある状態)から、
図20に示すように、閉塞フィンガ231が前進移動すると、閉塞フィンガ231の傾斜面231sと従フィンガ232の傾斜面232sとが摺動し、従フィンガ232が閉塞フィンガ231の移動に連動して後退(固定フィンガ250に対して離反する向き(
図20の左向き)に移動)する。一方、閉塞フィンガ231が後退移動すると、圧縮コイルばね233の弾性力によって、従フィンガ232が閉塞フィンガ231に向けて押され、その閉塞フィンガ231の傾斜面231sと従フィンガ232の傾斜面232sとが摺動して、従フィンガ232が閉塞フィンガ231の移動に連動して前進(固定フィンガ250に近づく向き(
図20の右向き)に移動)する。
【0130】
そして、この例の上流側及び下流側のバルブ部230A,230Bにおいても、閉塞フィンガ231の傾斜面231sの傾斜角度を上記した送液部220の送液フィンガ221の傾斜面221sの傾斜角度と同じとし、この閉塞フィンガ231の傾斜面231sと摺動する従フィンガ232の傾斜面232sの傾斜角度(閉塞フィンガ231の中心軸CL22に対する傾斜角度)についても、上記した送液部220の従フィンガ222の傾斜面222sと同じとしているので、閉塞フィンガ231による進退移動にて変形する輸液チューブTの全幅の変化[(π/2−1)Δd+d]に比例して従フィンガ232が移動(
図18に示すX方向に移動)に移動するようになり、閉塞フィンガ231の進退移動過程において、従フィンガ232の先端面232aと輸液チューブTの外周面(幅方向の外周端部)との間に隙間が生じることを抑制することができる。
【0131】
<駆動部>
駆動部207は、この種の輸液ポンプに一般に使用されている公知の駆動機構であって、例えば、送液部220の送液フィンガ221・・221、上流側及び下流側のバルブ部230A,230Bの閉塞フィンガ231,231の各フィンガをそれぞれ個別に進退駆動するためのカム、各カムを回転するカム軸、そのカム軸にタイミングプーリ及びタイミングベルトを介して連結された電動モータ(例えばステッピングモータ)などを備え、その電動モータの駆動により、
図9〜
図11に示すような動作と同様な動作で送液部220の送液フィンガ221・・221、上流側及び下流側のバルブ部230A,230Bの閉塞フィンガ231,231の各フィンガを進退駆動するように構成されている。そして、このような駆動部207な駆動は上記した制御部8によって制御される。
【0132】
なお、駆動部207としては、電動モータと回転−並進機構(例えばラックアンドピニオン)とを組み合わせた機構を適用してもよいし、ソレノイドを駆動源とするものを適用してもよい。
【0133】
<効果>
以上のように、この実施形態においても、輸液チューブTのセット時及び各フィンガ221,231の進退移動過程などにおいて、送液部220及びバルブ部230A,230Bの従フィンガ222,232の先端面222a,232aと輸液チューブTの外周面(幅方向の外周端部)との間に隙間(チューブが偏在するスペース)が生じないようにすることができる。これによって輸液チューブTの横方向へのずれ(蛇行)を防止することが可能となり、輸液の流量精度を高めることができる。
【0134】
なお、以上の例では、送液部220に設ける主フィンガ221の数を3つとしているが、本発明はこれに限られることなく、送液部220に設ける主フィンガ221の数は、1つまたは2つ、あるいは、4つ以上であってもよい。
【0135】
また、以上の例においても、圧縮コイルばね223,233の構成に替えて、
図16(A)及び
図16(B)と同様な連結構造(主フィンガ221,231と従フィンガ222,232とを摺動自在に連結する連結構造([T溝+T型スライダ]、[蟻溝+蟻型スライダ])を採用してもよい。