特許第6284750号(P6284750)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ニューギンの特許一覧

<>
  • 特許6284750-遊技機 図000002
  • 特許6284750-遊技機 図000003
  • 特許6284750-遊技機 図000004
  • 特許6284750-遊技機 図000005
  • 特許6284750-遊技機 図000006
  • 特許6284750-遊技機 図000007
  • 特許6284750-遊技機 図000008
  • 特許6284750-遊技機 図000009
  • 特許6284750-遊技機 図000010
  • 特許6284750-遊技機 図000011
  • 特許6284750-遊技機 図000012
  • 特許6284750-遊技機 図000013
  • 特許6284750-遊技機 図000014
  • 特許6284750-遊技機 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284750
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20180215BHJP
【FI】
   A63F7/02 312Z
   A63F7/02 310A
【請求項の数】1
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2013-240408(P2013-240408)
(22)【出願日】2013年11月20日
(65)【公開番号】特開2015-97764(P2015-97764A)
(43)【公開日】2015年5月28日
【審査請求日】2015年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135210
【氏名又は名称】株式会社ニューギン
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(72)【発明者】
【氏名】赤松 直樹
(72)【発明者】
【氏名】宮田 大輔
【審査官】 眞壁 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−161467(JP,A)
【文献】 特開2008−005872(JP,A)
【文献】 特開2008−295829(JP,A)
【文献】 特開2012−249906(JP,A)
【文献】 特開2013−154117(JP,A)
【文献】 特開2007−020985(JP,A)
【文献】 特開2013−102975(JP,A)
【文献】 特開2009−142305(JP,A)
【文献】 特開2010−162247(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面のレール部材により遊技球が流下する遊技領域が画成された板部材と、前記板部材に形成された装着口に取り付けられた枠状装飾体とを備え、前記枠状装飾体に対して遊技球の打ち出し側に位置する第1球流下領域および打ち出し側と反対側に位置する第2球流下領域が前記遊技領域に設けられた遊技機において、
前記枠状装飾体は、
前記板部材より前側に突出すると共に、前記装着口の開口前側を横切るように延在して、前記レール部材との間に前記第1球流下領域および前記第2球流下領域を画成する壁状部と、
光透過性素材により形成され、前記壁状部より前記レール部材側に位置して前記板部材の前面に当接すると共に、前記装着口のうちで正面視において前記壁状部よりも前記レール部材側に位置する部分を前側から覆うよう構成され、前面側を遊技球が流下可能な台板部とを備え、
前記台板部の前面側には、前記装着口の前側に、遊技球が通過可能な案内路が形成され、
前記案内路を流下する遊技球の流下方向を変更させる流路変更部が当該案内路の前記レール部材側に設けられて、前記装着口の前側において案内路の傾斜方向がレール部材に対して近接および離間する方向に変化するよう構成され、
前記装着口の内側において前記台板部の後方に位置する第1の装飾面部と、該第1の装飾面部に連なって、前記装着口よりも前側に前記壁状部の内周面が画成する空間に位置し、かつ前記壁状部を装飾する飾り部の後方に重なる第2の装飾面部とを有する演出部材を備えた
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技領域を流下させた遊技球により遊技を行うよう構成された遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等の遊技機では、前面に遊技領域が画成された板部材と、該板部材の裏面に配設される設置部材とを有する遊技盤が機内に設置されると共に、遊技盤の設置部材には、当該遊技盤の演出や装飾を行う演出部材(演出装置)として、表示部に図柄変動演出を表示する図柄表示装置や、該図柄表示装置による図柄変動演出の内容に合わせて演出を行う発光演出装置または可動演出装置等が配設されている。また、遊技盤の遊技領域に開設された装着口には、内側に形成した窓口と遊技領域とを庇状部で区画する枠状装飾体(所謂センター役物)が前側から取り付けられて、枠状装飾体の窓口が装着口の内側に位置している。そして、枠状装飾体の窓口を介して演出部材が遊技盤の前側に臨んでいる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−136989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年のパチンコ機においては、装着口を板部材に大きく形成することにより遊技盤の設計自由度が高められている。例えば、特許文献1のパチンコ遊技機では、設置部材に演出部材を配設する他、板部材の装着口を大きく形成して大型の枠状装飾体を取り付け、該枠状装飾体および設置部材に設けた演出部材によって遊技盤の演出効果を高めている。また、設置部材に設置される演出部材の大型化や視認性の向上を図る場合には、外形の大きな枠状装飾体に窓口が大きく形成されることもある。
【0005】
しかし、遊技盤の大きさは有限であるため、枠状装飾体を大型化した場合には、該枠状装飾体の大型化に伴って遊技球が流下する遊技領域の縮小を招き、遊技球の挙動が変化の乏しいものとなって却って興趣が損なわれるという別個の問題が生じ得る。
【0006】
そこで本発明は、従来の技術に内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、遊技盤の設計自由度を高めつつ、遊技球の挙動の面白みを維持できる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願請求項1に係る遊技機は、
前面のレール部材(22a,22b,22c)により遊技球が流下する遊技領域(21)が画成された板部材(20a)と、前記板部材(20a)に形成された装着口(45)に取り付けられた枠状装飾体(25)とを備え、前記枠状装飾体(25)に対して遊技球の打ち出し側に位置する第1球流下領域(21a)および打ち出し側と反対側に位置する第2球流下領域(21b)が前記遊技領域(21)に設けられた遊技機において、
前記枠状装飾体(25)は、
前記板部材(20a)より前側に突出すると共に、前記装着口(45)の開口前側を横切るように延在して、前記レール部材(22c)との間に前記第1球流下領域(21a)および前記第2球流下領域(21b)を画成する壁状部(61)と、
光透過性素材により形成され、前記壁状部(61)より前記レール部材(22c)側に位置して前記板部材(20a)の前面に当接すると共に、前記装着口(45)のうちで正面視において前記壁状部(61)よりも前記レール部材(22c)側に位置する部分を前側から覆うよう構成され、前面側を遊技球が流下可能な台板部(50)とを備え、
前記台板部(50)の前面側には、前記装着口(45)の前側に、遊技球が通過可能な案内路(57)が形成され、
前記案内路(57)を流下する遊技球の流下方向を変更させる流路変更部(111)が当該案内路(57)の前記レール部材(22c)側に設けられて、前記装着口(45)の前側において案内路(57)の傾斜方向がレール部材(22c)に対して近接および離間する方向に変化するよう構成され、
前記装着口(45)の内側において前記台板部(50)の後方に位置する第1の装飾面部と、該第1の装飾面部に連なって、前記装着口(45)よりも前側に前記壁状部(61)の内周面が画成する空間(90a)に位置し、かつ前記壁状部(61)を装飾する飾り部(71)の後方に重なる第2の装飾面部とを有する演出部材(82)を備えたことを要旨とする。
請求項1に係る発明によれば、装着口の前側に遊技領域の一部を画成することで遊技球が流下し得る遊技領域の面積を維持しつつ、多種多様な演出部材を設置することが可能となる。また、台板部の前面側に、遊技球が通過可能な案内路を設けることにより、案内路によって遊技球を意図した場所まで迅速に案内できるから、遊技球の挙動の面白みを付与するような遊技性を採用し得る。ここで、装着口を覆うように台板部を設け、該台板部の前側に案内路を形成することにより、装着口を大きく形成しつつ、台板部の前面側に遊技球を適度に減速させ得るよう案内路を形成できる。従って、案内路を通じて遊技球を入賞装置や他の部材等に案内する場合であっても、入賞装置等の部材の破損を防止することができる。
【0008】
本願には、次のような技術的思想が含まれる。
前記枠状装飾体(25)は、開閉部材(40a)により入賞口を開閉可能な入賞部(40)を備え、
前記入賞部(40)より前記レール部材(22)側に位置して当該入賞部(40)の入賞口が臨む前記台板部(50)の前面側を、遊技球が流下可能に構成され、
遊技球が入球可能なゲート部(38)が、前記台板部(50)の前面から前方へ突出するよう設けられたことを要旨とする。
また、本願には、次のような技術的思想が含まれる。
前記案内路(57)を前側から視認可能に覆う前壁部(112)が設けられ、
前記前壁部(112)は、前記案内路(57)より前記空間(90a)側に延出する延出部分を備え、
前記延出部分の後面に、前記枠状装飾体(25)に取着される取着部(112a)が設けられると共に、前記延出部分における前記空間(90a)側の縁から後方へ突出するようカバー部(112b)が設けられて、当該カバー部(112b)によって前記取着部(112a)が前記空間(90a)側から覆われるよう構成されたことを要旨とする。
また、本願には、次のような技術的思想が含まれる。
前記前壁部(112)の後面には、前記案内路(57)内に突出すると共に当該案内路(57)の通路幅方向に延在する突状部(113)が設けられたことを要旨とする。
また、本願には、次のような技術的思想が含まれる。
前記遊技領域(21)における遊技球の打ち出し側と反対側の上部に、前記第2球流下領域(21b)に向けて打ち込まれた遊技球との衝突により勢いを低減させる緩衝部材(24)が設けられ、
前記案内路(57)は、前記緩衝部材(24)より遊技球の打ち出し側に位置して前記レール部材(22c)に沿うように湾曲する上流経路(57a)と、該緩衝部材(24)の下方に位置してレール部材(22c)に対して近接および離間する方向に蛇行する下流経路(57b)とから構成されて、
前記下流経路(57b)を前側から視認可能に覆う前壁部(112)を、前記枠状装飾体(25)に設けたことを要旨とする。
上記構成によれば、緩衝部材の下方に位置する下流経路を蛇行状に設けることにより、緩衝部材および下流経路によって遊技球の流速を確実に低減させて下流側に位置する部材の破損を防止できる。また、下流経路を前側から視認可能に覆う前壁部を設けることにより、前壁部に減速リブ等を設けて遊技球を減速したり、前壁部に装飾を施すことで遊技球の流下態様を強調したりすることができ、下流経路の設計自由度が高まる。
【0009】
本願には、次のような技術的思想が含まれる。
記板部材(20a)の前面には、前記案内路(57)の下方位置に、前記第2球流下領域(21b)の一部をなす流下領域が複数の遊技球が並んで流下可能な幅で画成されて、当該流下領域に遊技球が入球可能な入球部(38)が設けられると共に、当該案内路(57)の通出口(57c)が流下領域に開口するよう構成されたことを要旨とする。
上記構成によれば、案内路の通出口が開口する第2の流下経路の下方位置に複数の遊技球が並んで流下可能な幅の流下領域が画成され、該流下領域に入球部が設けられることにより、案内路を通過して前記流下領域に導かれた遊技球を該流下領域で引き続き転動させて、該流下領域での遊技球の挙動により遊技者の期待を集めることができる。
【0010】
本願には、次のような技術的思想が含まれる。
記流路変更部(111)は、前記庇状部(61)に沿って延在する板状に形成されて、当該板状の流路変更部(111)と庇状部(56)との間に、前記案内路(57)が画成されると共に、
前記板状の流路変更部(111)は、前記装着口(45)の前記開口縁と前記レール部材(22c)との間に位置する前記板部材(20a)の前面側に設けられたことを要旨とする。
上記構成によれば、庇状部およびレール部材の間のスペースを最大限に利用して案内路を形成することで、枠状装飾体における庇状部の内側に窓口を大きく形成できる。
また、本願には、次のような技術的思想が含まれる。
記枠状装飾体(25)の後面から後方へ延出し、前記装着口(45)の開口内面に沿って枠状に延在する延出部(65)を備え、
前記窓口(25a)は、前記庇状部(61)の内側に画成された前側の開口領域(90a)と、該前側の開口領域(90a)に連続するよう前記延出部(65)の内側に画成された後側の開口領域(90b)とからなり、
前記後側の開口領域(90b)の開口幅が前記前側の開口領域(90a)の開口幅より大きく形成されて、前記窓口(25a)の開口幅が板部材(20a)の奥行き方向に拡大するよう構成されたことを要旨とする。
上記構成では、奥行き方向に開口幅が拡がるよう窓口を形成することにより、設置部材に設置した演出部材の視認性を高めることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る遊技機によれば、遊技盤の設計自由度を高めつつ、遊技球の挙動の面白みを維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例に係るパチンコ機を示す正面図である。
図2】実施例に係る遊技盤を示す正面図である。
図3】実施例に係る遊技盤から枠状装飾体を分離させた状態を示す分解斜視図である。
図4】実施例に係る枠状装飾体を示す正面図である。
図5】実施例に係る枠状装飾体を示す分解斜視図である。
図6】実施例に係る遊技盤の装着口と枠状装飾体の庇状部との関係を示す要部拡大図である。
図7】(a)は枠状装飾体の要部を示す背面図であり、(b)は板部材と枠状装飾体の延出部との関係を示す正面図である。
図8図10のD−D線断面図である。
図9】(a)は枠状装飾体から前壁部を分解して背面から見た要部斜視図であり、(b)は図2のA−A線断面図である。
図10図2のB−B線断面図である。
図11図2のC−C線断面図である。
図12】実施例に係る遊技盤の流路を示す拡大図である。
図13】実施例に係る遊技盤の案内路の関係を示す説明図である。なお、案内路および減速リブを2点鎖線で示している。
図14】(a)は図10のX部拡大図であり、(b)は第2平坦部の形成部位における案内路の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る遊技機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。なお、遊技機としては、遊技球としてパチンコ球を用いて遊技が行われるパチンコ機を例にして説明する。また、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」とは、特に断りのない限り、図1に示すようにパチンコ機10を前側(遊技者側)から見た状態で指称する。
【実施例】
【0014】
(パチンコ機10について)
実施例に係るパチンコ機10は、図1に示すように、前後に開口する矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に縦置き姿勢で設置される固定枠としての外枠11の開口前面側に、遊技盤20を着脱可能に保持する本体枠としての中枠12が開閉および着脱可能に組み付けられて、該遊技盤20の裏側に、所定条件の成立を契機として演出用の図柄を変動表示させて図柄変動演出を行う図柄表示装置(図柄表示手段)17が着脱可能に配設されている。また、前記中枠12の前面側には、前記遊技盤20の遊技領域21と対応する位置に視認口13aが開口する装飾枠としての前枠13が開閉可能に組み付けられている。そして、前枠13には、ガラス板や透明な合成樹脂板で形成された透視保護板18が視認口13aを覆うよう配設されており、遊技盤20を前側から目視可能な状態で保護している。また、前記中枠12の右下方位置には、該中枠12に配設された球発射装置(図示せず)を作動する操作ハンドル16が設けられている。
【0015】
(遊技盤20について)
前記遊技盤20は、図2および図3に示すように、透明な合成樹脂材(例えば、ポリカーボネイトやアクリル)により略矩形状に形成された板部材20aと、この板部材20aの後側(裏側)に配設される設置部材20bとを備えており、これら板部材20aおよび設置部材20bを取付基台として複数の部品が着脱可能に取り付けられて構成されている。前記設置部材20bは、前側に開口する箱状に形成され、前端の開口が板部材20aの後面の外縁に近接して該板部材20aの後面の略全体を覆うように配設されている。この設置部材20bの内側には、入球部(固定始動入賞部39a、可変始動入賞部39bおよび特別入賞部40)に入球したパチンコ球を機外に排出するための球通路ユニットや、遊技に合わせた発光や動作等の演出を行ったり装飾を形成したりする各種の演出部材(演出装置)82が取り付けられ、1つの複合体としての裏ユニットを構成している。実施例の設置部材20bには、演出に合わせて枠状装飾体25の後述する台板部50を後から照らす発光手段82aを備えた演出部材82が設置されている。前記設置部材20bの後面には図柄表示装置17が着脱可能に配設され、該図柄表示装置17の表示面は、板部材20aの中央部から前側に臨んでいる。なお、実施例の板部材20aは設置部材20bの前側を透視可能な構成とされているが、板部材20aの裏面に不透明な装飾シートを貼付したり、板部材20aの素材としてベニヤ等の合板を採用することで、板部材20aの裏側を透視できないように構成してもよい。
【0016】
(板部材について)
図2図6および図8に示すように、前記板部材20aの前面にはレール部材22が設けられており、該レール部材22によってパチンコ球が流下する略円形の遊技領域21が画成されている。そして、前記板部材20aにおける遊技領域21の内側に前記入球部が設けられると共に、該遊技領域21の最下部位置にアウト口23が開設され、該アウト口23を介して遊技領域21からパチンコ球が排出される。前記レール部材22としては、板部材20aの前面における左下部から右上部にかけて円弧状に延在する外レール22aと、この外レール22aの内側に中央下部から左上部にかけて並んで延在する内レール22bと、板部材20aの前面右側において外レール22aの右上部および内レール22bの間に亘って設けられ、左側面が円弧形状の凹面をなす右側盤面飾り部材22cとから構成されている。そして、内レール22bと、右側盤面飾り部材22cと、外レール22a(詳しくは、外レール22aにおける左上部から右上部にかけての部位)とによって、略円形の遊技領域21が板部材20aの前面に画成されている。また、板部材20aの中央下部から左上部に亘って並んで延在する内レール22bおよび外レール22aの間には、球発射装置から発射されたパチンコ球を外レール22aに沿って案内して発射口31から遊技領域21の発射領域(後述)に放出する発射通路30が画成されている。すなわち、発射口31から遊技領域21の発射通路30に打ち出されたパチンコ球は、遊技領域21の発射領域に打ち込まれる。なお、以下の説明では、外レール22aの左上部から右上部にかけての部位(発射口31から連なって遊技領域21の上縁を画成する部位)をガイド部27と指称する。
【0017】
図2および図3に示すように、前記内レール22bの上端部(発射通路30の発射口31側の端部)には、発射口31を開閉する球戻り防止片32が取り付けられる取付部33が設置されている。前記球戻り防止片32は、取付部33に固定される基部32bと、遊技領域21から発射口31へ向けたパチンコ球の流入を防止する閉位置および発射口31から遊技領域21へ向けたパチンコ球の流出を許容する開位置に変位する開閉部32aとを備えている。球戻り防止片32は、薄い金属板により形成されており、発射通路30を飛翔するパチンコ球の衝突を受けた場合に開閉部32aが遊技領域21側の開位置に弾性変形して発射口31からのパチンコ球の放出を許容する一方、遊技領域21から発射通路30へ戻ろうとするパチンコ球が開閉部32aに当接した場合に該開閉部32aが外レール22aに当接して遊技領域21から発射口31へのパチンコ球の流入を防ぐよう構成されている。また取付部33は、図3に示すように、内レール22bの上端部を構成する壁部33bと、該上端部に対向するよう内レール22bに連接される連接壁部33aとによって前方および遊技領域21に開口する凹状に形成されており、前記球戻り防止片32の基部32bを取付部33に嵌め込んで固定する簡易な構造とされている。また、前記ガイド部27を挟んで発射口31と反対側に位置する部位(外レール22aの右端部)には、ガイド部27に沿って飛翔したパチンコ球の衝突を受けて該パチンコ球の勢いを低減させる緩衝部材(右打ちゴム)24が配設されている。
【0018】
図2に示すように、前記板部材20aの前面には、前記入球部として、ゲート部38,38、固定始動入賞部39a、可変始動入賞部39b、特別入賞部40,40が、遊技盤設置部品(枠状装飾体25、複合入賞ユニット36、特別入賞ユニット37)の適宜位置に夫々設けられている。ゲート部38のゲート口にパチンコ球が入球すると、当該パチンコ球はメイン制御基板(図示せず)に配線接続されたゲートセンサ(図示せず)によって検出される。そして、メイン制御基板は、ゲートセンサがパチンコ球を検出したことによる検出信号の入力を条件として抽選を実行すると共に、当該抽選の結果に基づいて可変始動入賞部39bの始動入賞口を開閉する開閉部材39cを作動制御して始動入賞口をパチンコ球が入球し得る状態に変化させる。また、始動入賞部39a,39bの始動入賞口にパチンコ球が入球すると、当該パチンコ球はメイン制御基板に配線接続された始動入球検出センサ(図示せず)によって検出される。そして、メイン制御基板は、始動入球検出センサがパチンコ球を検出したことによる検出信号の入力を条件として抽選を実行すると共に、当該抽選の結果に基づいて特別入賞部40の大入賞口を開閉する開閉部材40aを作動制御して大入賞口をパチンコ球が入球し得る状態に変化させる。なお実施例では、前記可変始動入賞部39bが前記合流領域に配設されている。
【0019】
図3図6および図7(b)に示すように、前記板部材20aには、前後に開口するよう開設された装着口45に、窓口25aが前後に開口する枠状装飾体25が取り付けられており、窓口25aを介して図柄表示装置17の表示面を前方から視認し得るように構成されている。枠状装飾体25は、前記板部材20aの前面に沿うよう台板部50が形成され、台板部50の後面を装着口45の開口縁に当接させてネジ止めすることで当該枠状装飾体25が板部材20aの前面に取り付けられている。なお、装着口45は、後述する流路55および案内路57が前記台板部50の前側に画成される部分では、該流路55および案内路57の後側を開口領域に含むよう形成され、開口縁が前記レール部材22に近接する位置(具体的には、パチンコ球の直径より離間寸法が小さい位置)まで及ぶように拡大されている。
【0020】
(枠状装飾体について)
図2、5、図7(a)に示すように、前記枠状装飾体25には、前記板部材20aにおける装着口45の開口前面に当接する薄板環状の前記台板部50と、該台板部50の前面から前方に突出する庇状部61と、該台板部50の後面から後方に延出する延出部65とが形成され、庇状部61および延出部65により前記窓口25aが形成されている。枠状装飾体25は、台板部50の外縁部(延出部65より外側)を前記装着口45の開口縁に当接させて板部材20aの前面にネジ固定することで板部材20aの前面に取り付けられている。実施例では、前記枠状装飾体25が透明な合成樹脂により形成されている。
【0021】
前記枠状装飾体25の右下部分には、右方(右側盤面飾り部材22c側)に延出して前面が遊技領域21(後述する第2球流下領域21b)に臨むゲート用延出部25bが設けられ、該ゲート用延出部25bには、入球部としてのゲート部38が設けられている。なお、前記ゲート用延出部25bは、パチンコ球が一列で通過する案内路57の通出口57aから下方に離間した位置に設けられている。案内路57およびゲート用延出部25bの間には、複数の遊技釘26が設けられた遊技領域21(第2球流下領域21b)の一部が複数のパチンコ球が並んで通過可能な幅で画成されている。前記ゲート部38は、前記庇状部61との間および右側盤面飾り部材22cとの間にパチンコ球が夫々通過可能となるようにゲート用延出部25bに形成されている。すなわち、案内路57の通出口57cが開口する遊技領域21の下方位置に、複数のパチンコ球が並んで流下可能な幅で流下領域(第2球流下領域21bの一部)が画成され、該流下領域に入球部としてのゲート部38が設けられている。従って、案内路57を通過するパチンコ球を一列で速やかに移動させつつ、案内路57を通過した後に第2球流下領域21bを流下するパチンコ球の挙動に対する遊技者の関心を惹き付けることができる。
【0022】
前記台板部50の前面には、図4および図5に示すように、窓口25aの開口外側に沿う位置に、板部材20aの前面より前方に突出する庇状部61が上部から左右側部に亘って設けられ、板部材20aに枠状装飾体25が取り付けられた状態では当該庇状部61によって窓口25aと遊技領域(流下領域)21とが区画される。ここで、前記遊技領域21は、枠状装飾体25における庇状部61の頂部61Tを分岐点として、パチンコ球が枠状装飾体25の左側部を流下する第1球流下領域21aと、パチンコ球が枠状装飾体25の右側部を流下する第2球流下領域21bとが設けられており、操作ハンドル16を回動操作して打球力を調節することにより、パチンコ球が第1球流下領域21aを流下する遊技形態およびパチンコ球が第2球流下領域21bを流下する遊技形態の何れかを遊技者が任意に選択し得るようになっている。また、前記遊技領域21には、当該第1および第2球流下領域21a,21bを流下したパチンコ球が合流する合流領域が設けられている。なお、以下の説明では、前記ガイド部27と前記庇状部61との間に画成される第1球流下領域21aの上部を発射領域と指称する場合がある。すなわち発射領域は、発射口31から放出されるパチンコ球が直接的に導かれる領域となっている。
【0023】
また、前記枠状装飾体25には、図4および図5に示すように、前記庇状部61を装飾する庇飾り71と、前記窓口25aに臨む図柄表示装置17の表示面の下側に設けられてパチンコ球を転動させるステージ板72と、当該ステージ板72の上方を覆うように位置して該ステージ板72を転動するパチンコ球の表示面側への飛び込みを防止する区画保護板73と、前記第1球流下領域21aを流下するパチンコ球を前記ステージ板72に導くワープ通路の一部を構成する通路部材74と、後述する案内路57の前側を画成する前壁部112とがネジにより取着されている。
【0024】
(庇状部について)
図2に示すように、前記枠状装飾体25には、前記窓口25a(前側の開口領域90a)と遊技領域21とを区画する前記庇状部61が設けられている。庇状部61は、前記台板部50の上部から左右側部に亘って延在すると共に、該台板部50の内周縁に沿って前方に突出するよう設けられている。庇状部61には、該庇状部61の頂部61Tから左方に下方傾斜して第1球流下領域21aを画成する左転動面62と、頂部61Tから右方に下方傾斜して第2球流下領域21bを画成する右転動面63とが形成され、遊技領域21に打ち出されたパチンコ球は庇状部61上で滞ることなく第1球流下領域21aまたは第2球流下領域21bを流下する。台板部50の前側において左転動面62は、図2図4図8および図12に示すように、台板部50から前方に突出する複数の突部101,102,103,104,105(後述)と離間して対向し、該突部101,102,103,104,105との間にパチンコ球が一列で通過可能な庇側流路55a(流路55の一部)を画成している。また、庇状部61における右転動面63は、離間して対向する前記ガイド部27との間にパチンコ球が一列で通過可能な上流経路57a(案内路57の一部)を画成すると共に、流路変更部111(後述)との間にパチンコ球が一列で通過可能な下流経路57b(案内路57の一部)を画成している。
【0025】
図2図6および図12に示すように、庇状部61における頂部61Tより左側(図6における第1および第2球流下領域21a,21bの境界BLより左側)に位置する部位は、板部材20aより前側に突出すると共に装着口45の開口前側に延在し、板部材20aの正面視において庇状部61より第1球流下領域21a側に位置する発射領域側開口領域45bと、庇状部61より窓口25a側に位置する窓口側開口領域45aとに装着口45を区画するようになっている。この発射領域側開口領域45bの前側は、前記台板部50で覆われており、この発射領域側開口領域45bを覆う台板部50の前側に、第1球流下領域21a(発射領域の一部をなす流路55)が画成されている。また、庇状部61における頂部61Tより右側(図6における第1および第2球流下領域21a,21bの境界BLより右側)に位置する部位は、板部材20aより前側に突出すると共に装着口45の開口前側に延在し、板部材20aの正面視において庇状部61より第2球流下領域21b側に位置する流下経路側開口領域45cと、庇状部61より窓口25a側に位置する前記窓口側開口領域45aとに装着口45を区画するようになっている。この流下経路側開口領域45cの前側には、当該流下経路側開口領域45cを覆うように台板部50が位置している。そしてこの流下経路側開口領域45cを覆う台板部50の前側に、前記第2球流下領域21b(案内路57)が画成されている。このように、板部材20aの前面側では、庇状部61の左転動面62と、台板部50と、外レール22aおよび内レール22bとの間に第1球流下領域21aの上部領域が画成され、庇状部61の右転動面63と、台板部50と、外レール22aおよび右側盤面飾り部材22cとの間に第2球流下領域21bの上部領域が画成されている。
【0026】
(延出部について)
図7および図12に示すように、前記枠状装飾体25における台板部50の後面には、装着口45の開口内側に延出する延出部65が形成されている。この延出部65は、枠状装飾体25の剛性を担保するリブとして機能している。また、延出部65は、板部材20aの厚み寸法と略同じ延出寸法で台板部50の後面から延出し(図9(b)および図10参照)、枠状装飾体25が板部材20aに取り付けられた状態で全体が装着口45の内側に位置するよう設けられる。前記延出部65は、基本的には該装着口45の開口内面に沿って延在するよう設けられ、内側に前記窓口25aの開口領域の後側部分(後側の開口領域90b)を画成している。但し、延出部65において後述する突部103,104の後側に延在する一部は、装着口45の開口内面から離間して、突部103,104の周壁をなす壁部W1,W2,W3(図12参照)と前後に並ぶように形成されている。
【0027】
図10および図11に示すように、前記庇状部61および延出部65の内側に形成される窓口25aは、庇状部61の内側に画成される開口領域90aと、延出部65の内側に画成される開口領域90bとが前後に連続するように形成されている。そして、台板部50の内周縁側に偏って庇状部61が設けられると共に当該台板部50の外周縁側に偏って延出部65が設けられることで、前側の開口領域90aよりも後側の開口領域90bの開口面積が大きく形成されている。すなわち、前記窓口25aは、開口幅が前記板部材20aの奥行き方向に拡大するよう設けられており、図10に示すように、庇状部61の内面の後縁部Paと、延出部65の内面の後縁部Pbとを通過する直線L1が、装着口45の開口縁より外側の範囲に位置する演出部材82の表面に至るよう構成されている。すなわち、遊技盤20は、パチンコ機10の前側から視認口13aおよび窓口25aを通じて、前側の開口領域90aより外側に位置する範囲が視認でき、更には、装着口45の開口縁より外側に位置する範囲が視認できるようになっている。また、図11に示すように、前後の開口領域90a,90bには、収容空間80に設置された演出部材82の一部が該収容空間80の前側に延出して入り込んでいる。すなわち、前記遊技盤20では、演出部材82の一部を収容するためのスペースとして前後の開口領域90a,90bが利用されており、これによって設置部材20bにおける収容空間80の前側に張り出す立体的な演出部材82を採用している。
【0028】
(流路および突部について)
図4図8および図12に示すように、台板部50の前側には、発射領域側開口領域45bを前側から覆う部位に、前方に突出する複数の突部101,102,103,104,105が設けられ、突部101,102,103,104,105によりパチンコ球の流路55が形成されている。なお、流路55は、第1球流下領域21aにおける発射領域の一部を形成するものである。第1〜第5突部101,102,103,104,105は、遊技釘26の外形よりも大きなブロック状に形成され、前記庇状部61の延在方向に(左転動面62に)隣接する突部101,102,103,104,105同士がパチンコ球の直径以上離間するよう相互に間隔をあけて設けられている。台板部50の前側において前記発射口31より上側には、発射口31から放出されたパチンコ球の飛翔経路を前記ガイド部27との間に画成する第1〜第3突部101,102,103が設けられ、前記発射口31より下側には、前記取付部33に隣接して位置する第4突部104と、内レール22bとの間にパチンコ球が流下する経路を画成する第5突部105とが設けられている。なお、以下の説明では、球発射装置により発射されたパチンコ球がガイド部27に沿って飛翔して枠状装飾体25または緩衝部材24に衝突するまでの経路を飛翔経路と指称する。
【0029】
前記第1〜第5突部101,102,103,104,105は、前記庇状部61の左転動面62に対してパチンコ球の直径以上かつ該直径の2倍以下の間隔をあけて対向するよう設けられている。ここで、前記台板部50の前側において、前記庇状部61の左転動面62と、該左転動面62に離間して対向する第1〜第5突部101,102,103,104,105の各対向面101a,102a,103a,104a,105aとの間には、パチンコ球が一列で転動可能な庇側流路55a(流路55の一部)が画成されている。また、第1突部101と第2突部102との間、第2突部102と第3突部103との間および第3突部103と第4突部104との間には、パチンコ球を庇側流路55aへ向けて流下させるための突部間流路55bが夫々画成され、各突部間流路55bの下端が庇側流路55aに接続している。
【0030】
前記庇側流路55aを画成する左転動面62は、図8に示すように、傾斜角度が異なる複数の面部62a,62b,62c,62d,62e,62f,62gが連続する階段状に形成されている。すなわち、左転動面62は、頂部61Tを傾斜上端として第1突部101に次第に接近するよう下方傾斜した後に傾斜を緩めて第1突部101の前記対向面101aと略平行に延在する凹曲面状の第1面部62aと、第1面部62aの傾斜下端部より急勾配で下方傾斜するよう該第1面部62aの傾斜下端に連続し、第1突部101の左端の下方から第2突部102の左端の下方にかけて該第2突部102の前記対向面102aと略平行に延在する平面状の第2面部62bと、該第2面部62bの傾斜下端部より緩勾配で下方傾斜するよう該第2面部62bの傾斜下端に連続し、第2突部102および第3突部103の間の突部間流路55bに臨む平面状の第3面部62cと、第3面部62cの傾斜下端部より急勾配で下方傾斜するよう該第3面部62cの傾斜下端に連続し、第3突部103の前記対向面103aと略平行に延在する平面状の第4面部62dと、第4面部62dの傾斜下端部より緩勾配で下方傾斜するよう該第4面部62dの傾斜下端に連続し、第3突部103および第4突部104の間の突部間流路55bに臨む第5面部62eとを有している。また、左転動面62は、第5面部62eの傾斜下端に連続して第4突部104の凸曲面状をなす前記対向面104aと略平行に延在する凹曲面状の第6面部62fと、第6面部62fの下端に連続して第5突部105の凸曲面状をなす前記対向面105aと略平行に延在する凹曲面状の第7面部62gとを有している。
【0031】
なお、前記第1面部62aは、第2突部103の対向面102aが該第1面部62aの傾斜方向の延長上に位置するよう設けられている。前記第3面部62cは、第3突部103の対向面103aが該第3面部62cの傾斜方向の延長上に位置するよう設けられている。また、前記第5面部62eは、第4突部104の対向面104aが該第5面部62eの傾斜方向の延長上に位置するよう設けられている。すなわち、庇側流路55aは、左転動面62を転動するパチンコ球を第2、第3および第4突部102,103,104に衝突させて当該パチンコ球を減速し得るよう構成されている。
【0032】
(第1突部について)
図4図8および図12に示すように、前記第1突部101は、前記ガイド部27からパチンコ球の直径以上に離間するよう設けられ、発射口31から前記発射領域に発射されたパチンコ球がガイド部27との間を通過して第2球流下領域21b側に飛翔したり、ガイド部27の途中で飛翔する勢いを失って突部101の上に落下したりするのを許容するよう設けられている。そして、第1突部101における庇状部61の左転動面62との対向面101aが、当該左転動面62から1個のパチンコ球が通過可能な間隔で離間するよう構成されて、当該対向面101aと庇状部61との間にパチンコ球が一列で流下可能な前記庇側流路55aの一部を画成するようになっている。
【0033】
また、図8に示すように、前記第1突部101は、発射口31に近接する側(左側)の端部から離間する側(右側)の端部にかけて次第にガイド部27に近接するよう延在する受け面101bが設けられており、当該受け面101bがガイド部27に対向するようになっている。このように、第1突部101の受け面101bは、当該受け面101bに直交する垂線が発射口31側に傾くよう形成されている。すなわち、発射口31から発射領域に打ち出されて第1突部101の受け面101bにパチンコ球が接触した際に、当該受け面101bの傾斜により減勢してパチンコ球が庇状部61に接触する際の衝撃を緩和すると共に、発射口31から離間する方向(庇状部61の頂部61T側)へパチンコ球を受け流し得るよう構成されている。このように、第1突部101の受け面101bに接触したパチンコ球を、発射口31から離間する方向に受け流すことで、ガイド部27に沿って打ち出される次のパチンコ球との接触を回避して、当該次のパチンコ球の飛翔を阻害するのを防ぐようになっている。
【0034】
また、図8に示すように、前記第1突部101は、前記受け面101bの傾斜上端部に、発射口31から離間する側(右側)に下方傾斜する傾斜面101cが連続するよう設けられており、当該傾斜面101cが前記ガイド部27に対向するようになっている。前記第1突部101の傾斜面101cは、当該傾斜面101cに直交する垂線が発射口31から離間する側に傾くよう形成されている。すなわち、発射口31から発射領域に打ち出されて第1突部101の傾斜面101cに接触したパチンコ球を、当該傾斜面101cの傾斜により減勢してパチンコ球が庇状部61に接触する際の衝撃を緩和すると共に、発射口31から離間する方向(庇状部61の頂部61T側)へパチンコ球を受け流し得るよう構成されている。また、第1突部101の傾斜面101cは、その傾斜により傾斜面101c上のパチンコ球をガイド部27から離間する方向へ転動させるよう構成されており、前記発射領域において台板部50の前側に画成された流路55からガイド部27側へのパチンコ球の移動を制限する移動制限手段として機能するようになっている。すなわち、第1突部101の傾斜面101cに接触するパチンコ球を、発射口31から離間する方向に受け流すことで、ガイド部27に沿って打ち出される次のパチンコ球との接触を回避して、当該次のパチンコ球の飛翔を阻害するのを防ぐようになっている。なお、前記第1突部101の傾斜面101cの傾斜下端部は、当該第1突部101の前記対向面101aの上端部に連続するよう構成されている。
【0035】
更に、第1突部101には、前記受け面101bの傾斜下端と対向面101aの傾斜下端部の夫々に連設する側面101dを有している。第1突部101の側面101dは、第2突部102の後述する傾斜面102cに対向すると共に、発射口31に近接する側(左側)へ向けて突出する曲面状に形成されており、発射口31から放出されたパチンコ球を受けて庇側流路55a側に落下させるようになっている。すなわち、第1突部101の側面101dに接触するパチンコ球を庇側流路55a側に落下させるよう弾くことで、ガイド部27に沿って打ち出される次のパチンコ球との接触を回避して、当該次のパチンコ球の飛翔を阻害するのを防ぐようになっている。
【0036】
(第2突部について)
前記第2突部102は、図8に示すように、前記ガイド部27からパチンコ球の直径以上に離間するよう設けられ、発射口31から前記発射領域に発射されたパチンコ球がガイド部27との間を通過して第2球流下領域21b側に飛翔したり、ガイド部27の途中で飛翔する勢いを失って突部101,102の上に落下したりするのを許容するよう設けられている。そして、第2突部102における庇状部61の左転動面62との対向面102aが、当該左転動面62から1個のパチンコ球が通過可能な間隔で離間するよう構成されて、当該対向面102aと庇状部61との間にパチンコ球が一列で流下可能な前記庇側流路55aの一部を画成するようになっている。
【0037】
前記第2突部102は、発射口31に近接する側(左側)の端部から離間する側(右側)の端部にかけて次第にガイド部27に近接するよう延在する受け面102bが設けられており、当該受け面102bがガイド部27に対向するようになっている。このように、第2突部102の受け面102bは、当該受け面102bに直交する垂線が発射口31側に傾くよう形成されている。すなわち、発射口31から発射領域に打ち出されて第2突部102の受け面102bにパチンコ球が接触した際に、当該受け面102bの傾斜により減勢してパチンコ球が庇状部61に接触する際の衝撃を緩和するようになっている。また、第2突部102の受け面102bの水平面に対する傾斜角度は、前記第2突部102の受け面101bの水平面に対する傾斜角度と比べて大きくなるよう形成されている。すなわち、発射口31から発射領域に打ち出されて第2突部102の受け面102bに接触したパチンコ球を、第1突部101側または第3突部103側に跳ね返し得るよう構成されている。
【0038】
また、図8に示すように、前記第2突部102は、前記受け面102bの傾斜上端部に、発射口31から離間する側(右側)に下方傾斜する傾斜面102cが連続するよう設けられており、当該傾斜面102cが前記ガイド部27に対向するようになっている。前記第2突部102の傾斜面102cは、当該傾斜面102cに直交する垂線が発射口31から離間する側に傾くよう形成されている。すなわち、発射口31から発射領域に打ち出されて第2突部102の傾斜面102cに接触したパチンコ球を、当該傾斜面102cの傾斜により減勢してパチンコ球が庇状部61に接触する際の衝撃を緩和すると共に、発射口31から離間する方向(第1突部101側)へパチンコ球を受け流し得るよう構成されている。また、第2突部102の傾斜面102cは、その傾斜により傾斜面102c上のパチンコ球をガイド部27から離間する方向へ転動させるよう構成されており、前記発射領域において台板部50の前側に画成された流路55からガイド部27側へのパチンコ球の移動を制限する移動制限手段として機能するようになっている。すなわち、第2突部102の傾斜面102cに接触するパチンコ球を、発射口31から離間する方向に受け流すことで、ガイド部27に沿って打ち出される次のパチンコ球との接触を回避して、当該次のパチンコ球の飛翔を阻害するのを防ぐようになっている。なお、前記第2突部102の傾斜面102cの傾斜下端部は、当該第2突部102の前記対向面102aの上端部に連続するよう構成されている。
【0039】
更に、第2突部102には、前記受け面102bの傾斜下端と対向面102aの傾斜下端部の夫々に連設する側面102dを有している。第2突部102の側面102dは、第2突部102の後述する傾斜面102cに対向すると共に、発射口31に近接する側(左側)へ向けて突出する曲面状に形成されており、発射口31から放出されたパチンコ球を受けて庇側流路55a側に落下させるようになっている。すなわち、第2突部102の側面102dに接触するパチンコ球を庇側流路55a側に落下させるよう弾くことで、ガイド部27に沿って打ち出される次のパチンコ球との接触を回避して、当該次のパチンコ球の飛翔を阻害するのを防ぐようになっている。
【0040】
ここで、前記第2突部102は、図8に示すように、前記ガイド部27から第2突部102までの離間距離は、ガイド部27から第1突部101および第3突部103までの離間距離よりも大きくなるように前記枠状装飾体25に設けられている。すなわち、ガイド部27と第2突部102との間に大きなスペースを確保することで、第2突部102の受け面102bへ向けたパチンコ球の打ち出しおよび第2突部102の傾斜面102cへ向けたパチンコ球の打ち出しが容易となっている。また、第2突部102の受け面102bが、第1および第3突部101,103の受け面101b,103bと較べてガイド部27から大きく離間することで、受け面102bに接触して跳ね返ったパチンコ球が発射口31側に跳ね返ったとしてもガイド部27までは至り難く、ガイド部27に沿うパチンコ球の飛翔を阻害しないよう構成されている。なお、第2突部102の対向面102aは前述の如く、庇状部61の左転動面62に離間して対向するよう設けられ、該庇状部61との間で前記庇側流路55aの一部を画成している。
【0041】
(第3突部について)
前記第3突部103は、図8に示すように、前記ガイド部27に対してパチンコ球の直径以上に離間するよう設けられ、発射口31から前記発射領域に発射されたパチンコ球がガイド部27との間を通過して第2球流下領域21b側に飛翔したり、ガイド部27の途中で飛翔する勢いを失って突部101,102,103の上に落下したりするのを許容するよう設けられている。そして、第3突部103における庇状部61の左転動面62との対向面103aが、当該左転動面62から1個のパチンコ球が通過可能な間隔で離間するよう構成されて、当該対向面103aと庇状部61との間にパチンコ球が一列で流下可能な前記庇側流路55aの一部を画成するようになっている。
【0042】
また、図8に示すように、前記第3突部103は、前記第3突部103は、発射口31に近接する側(左側)の端部から離間する側(右側)の端部にかけて次第にガイド部27に近接するよう延在する受け面103bが設けられており、当該受け面103bがガイド部27に対向するようになっている。このように、第3突部103の受け面103bは、当該受け面103bに直交する垂線が発射口31側に傾くよう形成されている。すなわち、発射口31から発射領域に打ち出されて第3突部103の受け面103bにパチンコ球が接触した際に、当該受け面103bの傾斜により減勢してパチンコ球が庇状部61に接触する際の衝撃を緩和すると共に、発射口31から離間する方向(第2突部102側)へパチンコ球を受け流し得るよう構成されている。このように、第3突部103の受け面103bに接触したパチンコ球を、発射口31から離間する方向に受け流すことで、ガイド部27に沿って打ち出される次のパチンコ球との接触を回避して、当該次のパチンコ球の飛翔を阻害するのを防ぐようになっている。
【0043】
また、図8に示すように、前記第3突部103は、前記受け面103bの傾斜上端部に、発射口31から離間する側(右側)に下方傾斜する傾斜面103cが設けられており、当該傾斜面103cが前記ガイド部27に対向するようになっている。前記第3突部103の傾斜面103cは、当該傾斜面103cに直交する垂線が発射口31から離間する側に傾くよう形成されている。すなわち、発射口31から発射領域に打ち出されて第3突部103の傾斜面103cに接触したパチンコ球を、当該傾斜面103cの傾斜により減勢してパチンコ球が庇状部61に接触する際の衝撃を緩和すると共に、発射口31から離間する方向(第2突部102側)へパチンコ球を受け流し得るよう構成されている。また、第3突部103の傾斜面103cは、その傾斜により傾斜面103c上のパチンコ球をガイド部27から離間する方向へ転動させるよう構成されており、前記発射領域において台板部50の前側に画成された流路55からガイド部27側へのパチンコ球の移動を制限する移動制限手段として機能するようになっている。すなわち、第3突部103の傾斜面103cに接触するパチンコ球を、発射口31から離間する方向に受け流すことで、ガイド部27に沿って打ち出される次のパチンコ球との接触を回避して、当該次のパチンコ球の飛翔を阻害するのを防ぐようになっている。なお、前記第3突部103の傾斜面103cの傾斜下端部は、当該第3突部103の前記対向面103aの上端部に連続するよう構成されている。
【0044】
更に、第3突部103には、前記受け面103bの傾斜下端と対向面103aの傾斜下端部の夫々に連設する側面103dを有している。第3突部103の側面103dは、第2突部102の後述する傾斜面102cに対向すると共に、発射口31に近接する側(左側)へ向けて突出する曲面状に形成されており、発射口31から放出されたパチンコ球を受けて庇側流路55a側に落下させるようになっている。すなわち、第3突部103の側面103dに接触するパチンコ球を庇側流路55a側に落下させるよう弾くことで、ガイド部27に沿って打ち出される次のパチンコ球との接触を回避して、当該次のパチンコ球の飛翔を阻害するのを防ぐようになっている。
【0045】
図8および図12に示すように、前記第3突部103には、傾斜面103cにおける前記発射口31に近接する傾斜上端部から上方へ突出する球止め部103eが設けられている。この球止め部103eは、傾斜面103cの面方向に突出し、先端に向かうにつれて当該傾斜面103c側に窄まる突起状に設けられている。また、球止め部103eは、第3突部103(傾斜面103c)においてガイド部27に最も近接する部位に設けられ、台板部50の外縁近くに位置している。すなわち、球止め部103eは、第1および第2突部101,102よりも発射口31に近接する第3突部103に設けられると共に、前記発射領域において台板部50の前側に画成された前記流路55からガイド部27側(発射口31側)へのパチンコ球の移動を制限する移動制限手段として機能している。
【0046】
ここで、第3突部103の外周面の一部を形成する壁部W1(傾斜面103cおよび球止め部103eを形成する壁部)および壁部W2(対向面103aを形成する壁部)と前後に並ぶように当該壁部W1,W2に沿って前記延出部65が延在している。すなわち、第3突部103は、流路55からガイド部27側へのパチンコ球の移動を制限するための壁部W1と、前記庇状部61の左転動面62(第3面部62c)を転動するパチンコ球の衝突を受け易い壁部W2とが、台板部50bにおいて剛性が高められる延出部65の前側に位置するよう設けられている。
【0047】
(第4突部)
図8および図12に示すように、前記第4突部104は、前記取付部33の連接壁部33aに対して右方に隣接して設けられており、前記庇状部61の左転動面62(第5面部62e)を転動する過程で第4突部104がパチンコ球を受け止めて取付部33への接触を防止するよう構成されている。具体的には、第5面部62eの傾斜方向の延長上に第4突部104が位置している。すなわち、第4突部104は、庇側流路55aを転動するパチンコ球が取付部33に衝突するのを防止する保護突部として機能している。
【0048】
ここで、第4突部104の後側に位置する部位では、前記延出部65が、第4突部104の外周面の一部(対向面104a)を構成する壁部W3と前後に並ぶように当該壁部W3に沿って延在している。すなわち、第4突部104は、第5面部62eの下端部の延長線上に位置する壁部W3が、台板部50において延出部65の前側に位置するよう設けられており、第4突部104(壁部W3)の剛性を高めてある。なお、壁部W3は、当該第4突部104において前記取付部33の連接壁部33aに対向する壁部W4よりも板厚が大きく形成されている。すなわち、前記庇状部61の左転動面62(第5面部62e)を転動するパチンコ球の衝突を受け易い壁部W3は、パチンコ球が当接しない壁部W4と較べて剛性が高められている。
【0049】
(第5突部)
図8および図12に示すように、前記第5突部105は、上端部105Tが尖った形状とされ、内レール22bとの間および庇状部61との間に、前記上端部105Tを分岐点とする2つの経路を画成している。第5突部105の上端部105Tは、左転動面62の第6面部62eの下端部の延長線上に位置するよう設けられ、第6面部62eに沿って転動するパチンコ球が第5突部105の上端部105Tへ向けて移動するようになっている。すなわち、前記第4突部104および第6面部62eの間を通過したパチンコ球が第5突部105と接触する角度や位置、パチンコ球の勢いによって、内レール22bとの間の経路や庇状部61との間の経路(庇側流路55a)にパチンコ球を流下させ、台板部50の前側に画成される流路55を通って遊技盤20(板部材20a)前面の遊技領域21(第1球流下領域21a)を流下するパチンコ球の挙動に変化を与えるようになっている。
【0050】
(案内路について)
図6および図8に示すように、前記第2球流下領域21bにおいて前記台板部50は、前記装着口45における流下経路側開口領域45cを前側から覆うように位置している。装着口45において流下経路側開口領域45cに対応する開口縁の一部はレール部材22に近接するよう形成され、当該開口縁を覆う台板部50の外縁部もレール部材22に近接して沿うように延在している。前記緩衝部材24より左側に延在する右転動面63の一部と、前記ガイド部27との間には、前記庇状部61の頂部61Tから前記緩衝部材24にかけて緩やかな湾曲状に下方傾斜する上流経路57aが画成されている。また、緩衝部材24より下方に延在する右転動面63の一部と、前記右側盤面飾り部材22cとの間には、右側盤面飾り部材22cに対して近接および離間する方向に蛇行する下流経路57bが画成され、該下流経路57bには上流経路57aを通過したパチンコ球が流下するよう設けられている。これら上流経路57aおよび下流経路57bは、一列のパチンコ球が通過可能な通路幅でパチンコ球を案内する案内路57として台板部50の前側に画成されている。
【0051】
なお、案内路57の通出口57cは、図2図8および図13に示すように、第2球流下領域21bにおける下流側の流下領域に向けて、前記板部材20aの前側で開口するよう設けられている。この流下領域は、複数のパチンコ球が並んで流下可能な幅に画成されており、台板部50に設けられたゲート部(入球部)38が位置すると共に、該ゲート部38の周囲に位置するよう複数の遊技釘26が板部材20aの前面に植設されている。すなわち、発射口31を介して庇状部61の頂部61Tを越える位置に打ち出されたパチンコ球は、前記上流経路57aおよび下流経路57bを流下した後に、パチンコ球の直径の2倍以上の幅に画成されてゲート部38および複数の遊技釘26が設けられる流下領域に案内されるようになっている。
【0052】
(上流経路)
図13に示すように、前記上流経路57aは、前記右転動面63とガイド部27との間においてパチンコ球の直径以上かつ該直径の2倍以下となる略一定の幅寸法(例えば約20mm)で画成され、ガイド部27に沿うパチンコ球が右方の緩衝部材24に向けて飛翔すると共に右転動面63に沿うパチンコ球が右方の緩衝部材24に向けて転動するよう構成されている。また、上流経路57aを前側に画成する台板部50の外縁は、前記ガイド部27との離間寸法が略一定でパチンコ球の半径以上かつパチンコ球の直径以下(例えば約6mm)となる位置に延在している。そして、上流経路57aの後側には、開口縁がガイド部27近くに及ぶよう形成された装着口45の一部である前記流下経路側開口領域45cが位置している。
【0053】
(下流経路)
図13に示すように、前記下流経路57bを画成する前記庇状部61の右転動面63の一部は、前記緩衝部材24と対向する位置から下方に延在するよう形成されている。この右転動面63には、下方に延在して右側盤面飾り部材22cに次第に接近するよう湾曲する湾曲面63aが形成され、下流経路57bを流下する過程で湾曲面63aを転動するパチンコ球を右側盤面飾り部材22c側に導くようになっている。また、右転動面63の一部および右側盤面飾り部材22cの間には、下流経路57bを流下するパチンコ球の流下方向を変更する流路変更部111が設けられている。流路変更部111には、右側盤面飾り部材22cに沿って延在する第1平坦部111aと、該第1平坦部111aの下流端に連設されて右転動面63に次第に近づくよう湾曲する第1曲面部111bと、該第1曲面部111bの下流端に連設されて右側盤面飾り部材22cに沿って延在する第2平坦部111cと、該第2平坦部111cの下流端に連設されて右側盤面飾り部材22cに次第に近づくよう湾曲する第2曲面部111dとが交互に設けられ、下流経路57bを流下する過程で流路変更部111の第1平坦部111aに沿って流下するパチンコ球を第1曲面部111bに沿って窓口25a側に導くようになっている。すなわち、複数の湾曲面63aを有する庇状部61の右転動面63と、流路変更部111(第1および第2平坦部111a,111c、第1および第3曲面部111b,111d)との間に、一列のパチンコ球が通過可能な通路幅で右側盤面飾り部材22cに接近および離間するよう蛇行する下流経路57bが画成されている。なお、流路変更部111には、3つの第1平坦部111aおよび3つの第2平坦部111cを有し、これらを第1および第2曲面部111b,111dで繋ぐよう構成されている。
【0054】
図8および図13に示すように、前記流路変更部111における最下部に位置する第1曲面部111bの下端には、右側盤面飾り部材22c側から窓口25a側に緩やかに下方傾斜する整流部111eが連続して形成されている。一方、右転動面63に形成される上側の2つの湾曲面63aは、流路変更部111における第1曲面部111bの延長上に位置すると共に当該第1曲面部111bの下側に位置する第1平坦部111aが当該湾曲面63aの延長上に位置するよう設けられている。また、右転動面63に形成される最下部の湾曲面63aは、整流部111eに対向する上側部分と、整流部111eを転動するパチンコ球が導かれる下側部分とからなり、当該下側部分が案内路57の通出口57cに連続するよう形成されている。すなわち、下流経路57bは、右転動面63における上側2つの湾曲面63aと、流路変更部111の第1および第2平坦部111a,111c、第1および第3曲面部111b,111dとが対向し、流路変更部111が右側盤面飾り部材22cに沿って延在する部分では、パチンコ球を右転動面63および流路変更部111に交互に衝突させて減速する。一方、右転動面63における最下部の湾曲面63aと流路変更部111の整流部111eとが対向する通出口57c側では、整流部111e上でパチンコ球を整流して案内路57の通出口57cに導くよう構成されている。
【0055】
前述したように、前記装着口45は、前記案内路57(上流経路57aおよび下流経路57b)の後側に位置する前記流下経路側開口領域45cに対応する開口縁が、前記レール部材22(外レール22aのガイド部27、右側盤面飾り部材22c)に近接して沿うように形成されている。ここで、流下経路側開口領域45cの前側を覆う前記台板部50の外縁部は、右側盤面飾り部材22cとの離間寸法が略一定でパチンコ球の直径以下(実施例では4mm)となる位置に延在し、当該台板部50の外縁部の前側において前記流路変更部111が板状に形成されている。そして、板状の流路変更部111は、図10および図13に示すように、右側盤面飾り部材22cと装着口45の開口縁との間でパチンコ球の直径より小さい幅で設けられる板部材20aの前面の前側に位置して、前記下流経路57bを画成している。すなわち、下流経路57bは、装着口45の開口縁に沿って、当該装着口45の前側(流下経路側開口領域45cの前側)に位置するよう設けられている。
【0056】
図7(b)に示すように、前記装着口45の内側には、前記枠状装飾体25の延出部65が当該装着口45の開口内面に近接して沿うように延在している。ここで、流路変更部111の第1平坦部111aは、図14(a)に示すように、装着口45の開口縁と右側盤面飾り部材22cとの間で板部材20aの前面側に位置している。すなわち、第1平坦部111aを右側盤面飾り部材22cに近接させて設けることで、案内路57を蛇行状に形成しつつ、窓口25aを大きく形成することができる。また、前記流路変更部111は、図14(b)に示すように、右側盤面飾り部材22cに沿って延在する第2平坦部111cが延出部65と前後に並ぶように延在している。すなわち、流路変更部111において右転動面63を流下するパチンコ球を受ける第2平坦部111cは、台板部50において延出部65の前側に位置することで剛性が高められている。
【0057】
図3および図9に示すように、前記庇状部61および流路変更部111は、前記枠状装飾体25と一体成形されており、該庇状部61および流路変更部111の前側には、下流経路57bの前側を画成する前壁部112が取り付けられている。
【0058】
前壁部112は、下流経路57bの蛇行形状に沿う板面形状とされ、左縁部が案内路57の範囲よりやや大きく延出している。当該延出部分の後面には、枠状装飾体25の庇状部61に当該前壁部112をネジで取着するためのボス部112aが突設されている。また、当該前壁部112には、前記ボス部112aが前記窓口25a側に露出するのを防ぐためのカバー部112bが、前記延出部分の左縁から後方に突出して案内路57の通路方向に延在するよう形成されている。更に、前壁部112の後面には、図9に示すように、案内路57を通過するパチンコ球の流速が過剰とならないよう減速するための減速リブ113が設けられている。この減速リブ113は、図13に示すように、下流経路57bが直線状となる部位(第1平坦部111aまたは第2平坦部111cに対応する通路位置)に対応して通路幅方向に延在する筋状に突設されている。
【0059】
(実施例の作用)
前記枠状装飾体25の庇状部61は、該枠状装飾体25が板部材20aに取り付けられた状態で板部材20aの前面より前方に突出して前記窓口25aと第1球流下領域21aとを区画するように位置すると共に、前記装着口45の前側に該装着口45を横切るように延在して、正面視で装着口45を窓口側開口領域45aおよび発射領域側開口領域45bに区画する。また、前記台板部50は、装着口45の発射領域側開口領域45bを覆って前面側に発射領域34の一部(流路55)を画成するよう設けられる。すなわち、装着口45の発射領域側開口領域45bの前側に発射領域の一部が画成されることで、装着口45の開口を大きくしつつ、パチンコ球が流下し得る遊技領域21(第1球流下領域21a)を装着口45(発射領域側開口領域45b)の前側に形成することができる。また、装着口45の開口を大きくすることで、板部材20aに干渉することなく設置部材20bに配設可能な演出部材82の設置スペースを確保することができ、装着口45(発射領域側開口領域45b)に臨むように演出部材82を配置する等、多様な形態で演出部材82を配置することが可能となる。また、枠状装飾体25における台板部50の後側に重なるように演出部材82が位置することで、台板部50を透過して演出部材82を見せることができる。また、設置部材20bに設けた演出部材82の発光手段82aにより、流路55を前側に形成する台板部50を発光装飾することができ、発光領域の装飾効果の向上を図ることができる。
【0060】
また、前記庇状部61は、前記板部材20aより前側に突出して前記窓口25aと第2球流下領域21bとを区画するように位置すると共に、前記装着口45の前側に該装着口45を横切るように延在して、正面視で装着口45を窓口側開口領域45aおよび流下経路側開口領域45cに区画する。また、台板部50は、装着口45の流下経路側開口領域45cを覆って前面側に案内路57を画成するよう設けられる。すなわち、装着口45の流下経路側開口領域45cの前側に案内路57が画成されることで、装着口45の開口を大きくしつつ、パチンコ球が流下し得る遊技領域21(第2球流下領域21b)の面積を装着口45(流下経路側開口領域45c)の前側に確保することができる。また、装着口45の開口を大きくすることで、板部材20aに干渉することなく設置部材20bに配設可能な演出部材82の設置スペースを確保することができる。また、枠状装飾体25における台板部50の後側に重なるように演出部材82が位置することで、台板部50を透過して演出部材82を見せることができ、装着口45(流下経路側開口領域45c)に臨むように演出部材82を配置する等、多様な形態で演出部材82を配置することが可能となる。また、設置部材20bに設けた演出部材82の発光手段82aにより、案内路57を前側に形成する台板部50を発光装飾することができ、第2球流下領域21bの装飾効果の向上を図ることができる。
【0061】
前記枠状装飾体25には、庇状部61の内側に画成される前側の開口領域90aと、延出部65の内側に画成されて前側の開口領域90aに連続する後側の開口領域90bとからなる窓口25aが形成される。ここで、枠状装飾体25は、前記庇状部61が装着口45の開口前側に延在するよう設けられているの対し、前記延出部65が装着口45の開口内面に沿って延在するよう設けられている。すなわち、延出部65および庇状部61の形状差によって前記後側の開口領域90bの開口幅が前記前側の開口領域90aの開口幅より大きく形成され、枠状装飾体25の窓口25aは板部材20aの奥行き方向に開口幅が拡大するよう形成される。すなわち、パチンコ機10の前側から窓口25aを覗き込んだときに、窓口25aを通じて設置部材20bの収容空間80を広範囲に視認でき、設置部材20bに設置される演出部材82の大きさや外形、配置位置等の設計自由度を高めることができる。更に、発射領域側開口領域45bの前側に流路55および案内路57が画成されることで、流路55および案内路57を流下するパチンコ球と演出部材82との間に前後差を設けて立体感を出すことができる。
【0062】
前記第1球流下領域21aにおいて、前記台板部50の前側には、前記発射口31から発射されたパチンコ球の飛翔経路を前記ガイド部27との間に画成する第1〜第3突部101,102,103が前方に突出するよう設けられている。従って、台板部50の前側にパチンコ球の流路55を画成した構成であっても、発射通路30の発射口31から遊技領域21の発射領域に発射されたパチンコ球を台板部50の前側において第1〜第3突部101,102,103に当接させて挙動に変化を与えることができ、遊技の興趣を高めることができる。
【0063】
前記左転動面62に沿って流下するパチンコ球は、他のパチンコ球との衝突等によって突部間流路55b側に跳ね上がり、ガイド部27側へ向けて上昇移動することがある。ここで、前記流路55から前記飛翔経路(ガイド部27側)へ向けたパチンコ球の移動を制限する移動制限手段(傾斜面101c,102c,103cおよび球止め部103e)が前記第1〜第3突部101,102,103に設けられていることで、ガイド部27および第1〜第3突部101,102,103の間におけるパチンコ球の飛翔が妨げられるのを防止し得る。従って、発射領域に打ち出されたパチンコ球と、新たに打ち出されたパチンコ球との衝突を防いで、意図する位置へのパチンコ球の打ち出しを可能にすることができるから、パチンコ球の挙動に一喜一憂するというパチンコ遊技特有の興趣を損うことがない。また、発射通路30の発射口31に近接する側から離間する側に向かって下方傾斜する傾斜面103cと、該傾斜面103cにおける発射通路30の発射口31に近接する傾斜上端部から上方へ突出する球止め部103eとを第3突部103の外周面に設けることで、流路55から発射通路30の発射口31側へ向かうパチンコ球の勢いを第3突部103の傾斜面103cによって削ぐことができ、発射口31からのパチンコ球の放出が妨げられるのを抑制できる。また、傾斜面103cを傾斜上端側へ向けて移動するパチンコ球を球止め部103eによって該傾斜面103cの下流側に戻すことができるから、傾斜面103cを上り移動するパチンコ球が発射通路30の発射口31から放出されるパチンコ球の進行の妨げになることはない。更に、移動制限手段(傾斜面103c、球止め部103e)を、複数の突部101,102,103の内で最も発射通路30の発射口31に近接する第3突部103に設けることにより、発射球が集中する発射口31近傍においてパチンコ球の逆戻りを効果的に防ぎ、発射口31からのパチンコ球の放出が妨げられるのを抑制できる。
【0064】
また、前記第1球流下領域21aにおいて、前記台板部50の前面側には、球戻り防止片32が取り付けられる取付部33を挟んで前記発射通路30の発射口31とは反対側に位置するよう第4突部(保護突部)104が設けられ、該第4突部104によって前記流路55を流下するパチンコ球が取付部33に当接するのを規制している。これにより、取付部33を保護するための遊技釘26を前記板部材20aに設ける必要がなく、板部材20aの装着口45を内レール22bの近傍まで最大限に拡大でき設置部材20bに設置される演出部材82の大型化や視認性の向上を図ることができる。また、装着口45を枠状装飾体25の台板部50が覆って前側に流路55を形成することにより、パチンコ球が流下し得る遊技領域21の面積が縮小することはない。
【0065】
前記第2球流下領域21bにおいて、前記台板部50の前面側には、一列のパチンコ球が通過可能な通路幅で前記装着口45における流下経路側開口領域45cの前側に位置するよう案内路57が形成されている。また、当該案内路57を流下するパチンコ球の流下方向を変更させる流路変更部111が、右側盤面飾り部材22cとの隣接位置において記庇状部61と対向するよう設けられ、前記案内路57が流下経路側開口領域45cの前側において右側盤面飾り部材22cに対して近接および離間する方向に蛇行するよう形成される。すなわち、案内路57を一列のパチンコ球が通過可能な通路幅で設けることにより、案内路57によってパチンコ球を意図した場所まで迅速に案内できるから、第1および第2球流下領域21a,21bを利用した遊技性を採用してパチンコ球の挙動の面白みを付与し得る。ここで、前記装着口45を、右縁(パチンコ球の打ち出し側と反対側の開口縁)がレール部材22に対してパチンコ球の直径より近接した位置で該レール部材22に沿うよう板部材20aに形成し、装着口45の流下経路側開口領域45cを覆うように台板部50を設けて該台板部50の前側に案内路57を形成することにより、装着口45を大きく形成して板部材20aおよび設置部材20bの間のスペースを拡大しつつ、台板部50の前面側に充分に確保されるスペースを利用してパチンコ球を適度に減速させ得るよう案内路57を形成できる。従って、案内路57によってパチンコ球を入球部(実施例におけるゲート部38)側に案内する構成であっても、入球部の形成部位の破損を防止することができる。
【0066】
前記第2球流下領域21bの前記案内路57が、前記緩衝部材24よりパチンコ球の打ち出し側(すなわち、庇状部61の頂部61Tと、緩衝部材24との間)に位置して外レール22aに沿うように湾曲する上流経路57aと、該緩衝部材24の下方に位置して右側盤面飾り部材22cに対して近接および離間する方向に蛇行する下流経路57bとから構成されている。すなわち、案内路57の内で緩衝部材24の下方に位置する下流経路57bを蛇行状に設けることにより、緩衝部材24および下流経路57bによってパチンコ球の流速を確実に低減させて下流側に位置する部材の破損を防止できる。また、下流経路57bを前側から視認可能に覆う前壁部112を前記枠状装飾体25に設けることにより、前壁部112に減速リブ113を設けてパチンコ球を減速することができる他、当該前壁部112に装飾を施すことでパチンコ球の流下態様を強調したりすることも可能となり、案内路57の設計自由度を高めることができる。
【0067】
前記案内路57の通出口57cが開口する流下領域(第2球流下領域21b)が、複数のパチンコ球が並んで流下可能な幅の流下領域として画成され、該流下領域にゲート部38が設けられている。従って、案内路57を通過して前記第2球流下領域21bに導かれたパチンコ球を該流下領域で引き続き転動させて、該流下領域においてゲート部38にパチンコ球が入球するか否かによって遊技者の期待を集めることができる。
【0068】
前記案内路57を流下するパチンコ球の流下方向を変更させる流路変更部111が、前記庇状部61に沿って延在する板状に形成されることにより、流路変更部111を設置するためのスペースが抑えられる。また、当該板状の流路変更部111が、前記レール部材22(右側盤面飾り部材22c)と、該レール部材22に対してパチンコ球の直径より近接する前記装着口45の開口縁との間(すなわち、パチンコ球の直径より小さい幅寸法)に位置する板部材20aの前面側に設けられることにより、流路変更部111とレール部材22(右側盤面飾り部材22c)との間に生じ得るデッドスペースの大きさが最小限に抑えられる。すなわち、庇状部61およびレール部材22(右側盤面飾り部材22c)の間のスペースを最大限に利用して案内路57を形成することで、枠状装飾体25における庇状部61の内側に窓口25aを大きく形成して演出部材82の視認性を高めることができる。
【0069】
(変更例)
本発明は、前述の実施例に限定されず、以下の如く変更することも可能である。
(1) 実施例では、レール部材として右側盤面飾り部材を採用し、当該右側盤面飾り部材における円弧状の凹面をなす左側面により遊技領域を画成したが、枠状装飾体の台板部に流路変更部が設けられる場合には、当該流路変更部により遊技領域の一部を画成してもよい。この場合には、右側盤面飾り部材の一部を省略することもできる。
(2) 実施例では、第1〜第5突部を枠状装飾体の台板部と一体的に形成したが、各突部を別体として台板部に取り付ける構成としてもよいし、第3突部(発射口より上側に位置する突部の内で最も近接する突部)や第4突部(取付部に対するパチンコ球の衝突を防止する突部)のみを別体として台板部に取り付ける構成としてもよい。
(3) 実施例では、第4突部を球戻り防止片の取付部に隣接するよう台板部に設けることで該取付部を第4突部で保護する構成としたが、第4突部に隣接して発射口との対応位置に位置するよう球戻り防止片の取付部を台板部に設けることで、更に装着口の大型化を図ることもできる。
(4) 実施例では、第1〜第5突部を遊技釘の外形よりも大きなブロック状に形成したが、少なくとも1つの突部を、遊技釘の外形と同等または遊技釘の外形より小さい突起状に形成してもよい。
(5) 実施例では、第1〜第5突部を遊技釘の外形よりも大きなブロック状に形成したが、少なくとも1つの突部を、発射口に対して離間する側(右側)から近接する側(左側)へ向けて下方傾斜する板状に形成してもよい。この場合には、板状の突部の上面を受け面として用い、該突部の下面を移動制限手段として用いることができる。
(6) 実施例では、移動制限手段として先端側が窄まる突起状の球止め部を突部に設けたが、球止め部はこれに限られず、壁状または他の形状であってもよい。例えば、突部において上面が傾斜状の球止め部を設け、該球止め部の上面と、移動制限手段としての傾斜面とが階段状に連続するよう構成してもよい。
(7) 実施例では、案内路における下流経路の前側を、枠状装飾体に取り付けられる前壁部によって画成するよう構成したが、前壁部を設けない構成としてもよい。また、前壁部を枠状装飾体と一体に形成してもよい。更に、前壁部が上流経路の前側を覆う構成であってもよい。
(8) 実施例の枠状装飾体には、庇状部や延出部を台板部と一体に形成したが、庇状部や延出部を別体として台板部に取り付ける構成であってもよい。
(9) 実施例では、案内路の下流経路を、庇状部および流路変更部の間で左右に蛇行する形状としたが、前後に蛇行する形状としてもよい。この場合には、装着口の流下領域側開口領域を案内路の設置スペースとして利用することができる。
(10) 実施例では、遊技機としてパチンコ機を例に挙げて説明したが、遊技球を使用して遊技を行う雀球遊技機やアレンジボール機等の他の遊技機であってもよい。
【符号の説明】
【0070】
20a 板部材
21 遊技領域
21a 第1球流下領域
21b 第2球流下領域
22a 外レール(レール部材)
22b 内レール(レール部材)
22c 右側盤面飾り部材(レール部材)
25 枠状装飾
5 装着口
45c 流下経路側開口領域(装着口のうちで正面視において壁状部よりもレール部材側に位置する部分)
50 台板部
57 案内路
61 庇状部(壁状部)
71 庇飾り(飾り部)
82 演出部材
90a 前側の開口領域(空間)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14