(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
塩水タンク内で塩と水とから生成される塩水を、前記塩水タンクからの塩の流出を防止する塩除去フィルタを通した後、電解槽にて電気分解して電解次亜水を生成する電解次亜水生成装置であって、
前記塩水タンクに連結された塩水還流路と、
前記塩水還流路上に設けられ、前記塩水中の不純物を除去する不純物除去ユニットと、
を備え、
前記不純物除去ユニットは、
前記塩水を還流させるポンプと、
前記塩水還流路を流れる塩水中の不純物を除去する不純物除去フィルタと、
前記ポンプ及び前記不純物除去フィルタより上流に設けられ、前記塩水の流速を低減する流速調整部と、
を有する、
ことを特徴とする電解次亜水生成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電解次亜水(次亜塩素酸ナトリウム)は、前述のように食材等の洗浄に利用されるので、塩水タンク内の衛生性の維持が要求される。しかし、投入する塩が自然塩であると、その塩に付着していた不純物が塩水タンク内の水に浮遊し、そのために、塩水タンク内の衛生性が低下するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、塩水タンク内の不純物を除去することで、塩水タンク内の衛生性を維持することができる電解次亜水生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一発明に係る電解次亜水生成装置は、塩水タンク内で塩と水とから生成される塩水を、塩水タンクからの塩の流出を防止する塩除去フィルタを通した後、電解槽にて電解分解して電解次亜水を生成する電解次亜水生成装置であって、塩水タンクに連結された塩水還流路と、塩水還流路上に設けられ、塩水中の不純物を除去する不純物除去ユニットと、を備え、不純物除去ユニットは、塩水を還流させるポンプと、塩水還流路を流れる塩水中の不純物を除去する不純物除去フィルタと、を有する。
【0007】
上記電解次亜水生成装置では、塩水タンクに連結された塩水還流路上に設けられた不純物除去ユニットにて塩水中の不純物が除去されるため、塩水タンク内の衛生性が向上し、維持される。また、塩除去フィルタを通して塩水タンクから電解槽に塩水を供給する流路とは別の流路上に不純物除去ユニットがあるため、塩除去フィルタが汚れるようなことも抑制され、塩除去フィルタの衛生性が担保される。更に、不純物除去ユニットが塩水タンク外に設けられているため、不純物除去フィルタの交換が容易となり、結果として、塩水タンク内の衛生性の向上に寄与する。よって、上記電解次亜水生成装置によれば、塩水タンク内の不純物を除去することで、塩水タンク内の衛生性を向上し、維持することができる。
【0008】
第二発明に係る電解次亜水生成装置では、不純物除去ユニットは、ポンプ及び不純物除去フィルタより上流に設けられ、塩水の流速を低減する流速調整部を更に有する。
【0009】
この場合、塩水還流路上に設けられた流速調整部によって、流速調整部内を流れる塩水の流速が、流速調整部の上流より低減される。そのため、塩水還流路に塩水と共に流れ込んだ固形の塩が、流速調整部近傍で貯留する。これにより、固形の塩が下流に設けられたポンプに流入することによってポンプが詰まったり、破損したりすることが防止される。そして、塩水還流路には塩水が継続的に流れこんでくるため、貯留した固形の塩は塩水に再度溶け込む。このように、貯留した固形の塩が増加して塩水還流路が詰まることが防止されるため、塩水タンク内の衛生性が担保される。
【0010】
第三発明に係る電解次亜水生成装置では、流速調整部が有する流路の断面積は、塩水還流路における流速調整部より上流の流路の断面積より大きく、流速調整部内の水流は下方から上方に流れる。
【0011】
この場合、流速調整部が有する流路の断面積が、塩水還流路における流速調整部より上流の流路の断面積より大きいので、流速調整部に流れこんだ塩水の流速が低減される。そして、水流が下方から上方に流れるため、流速が低減されたことによって塩水と一緒に流れていた固形の塩が重力によって下方に落下し、下方で貯留されることになる。これにより、固形の塩が下流に設けられたポンプに流入することによってポンプが詰まったり、破損したりすることが防止される。また、塩が貯留する部分は流路の断面積が小さいため、当該部分では流速が速くなっている。そのため、固形の塩が塩水に溶けやすくなる。このことによって、流路が固形の塩の貯留によって詰まることが防止され、連続した不純物の除去が円滑に実施される。
【0012】
第四発明に係る電解次亜水生成装置では、塩水タンクに設けられた塩水還流路の塩水取出部は、塩水タンクに貯留される塩水の水面より下方に位置しており、塩水タンクに設けられた塩水還流路の塩水戻し部は、水面より上方に位置しており、塩水還流路におけるポンプより上流側の部分及びポンプは、水面より下方に配置されている。
【0013】
この場合、塩水還流路における空気抜きを別途行う必要がないので、電解次亜水生成装置の操作が容易である。
【0014】
第五発明に係る電解次亜水生成装置では、塩水戻し部は、塩水タンクに戻される塩水が塩水タンクの側壁に沿って流れるように、側壁に対して傾斜して設けられている。
【0015】
この場合、塩水戻し部から流入する塩水によって、塩水タンクの側壁に付着した不純物が流れ落とされる。そして、流れ落とされた不純物は、不純物除去ユニットで除去される。そのため、塩水タンク内の不純物がより確実に除去される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、塩水タンク内の不純物を除去することで、塩水タンク内の衛生性を向上し、維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(1)電解次亜水生成装置1の全体構成
図1を参照して、電解次亜水生成装置1の全体構成について説明する。電解次亜水生成装置1は、塩水を電気分解して、電解次亜水(次亜塩素酸ナトリウム)を生成する装置であり、装置本体2と、制御部3と、塩水タンク20と、を備えている。装置本体2は、水供給路A1と、水供給路A2と、塩水供給路A3と、電解槽10と、電解次亜水搬送路Bと、を有している。
【0019】
(1−1)水供給路A1
水供給路A1は、装置本体2の外部から供給される水を希釈水として電解槽10に供給するための配管である。水供給路A1上には、減圧弁2a、マニホールド2b、流量制御部2c、及び、逆止弁2dが設けられている。減圧弁2aは、水供給路A1に供給された水の圧力を所定圧力に減圧する。マニホールド2bは、水供給路A1から水供給路A2を分岐させる。流量制御部2cは、水の流量を検知し、水の流量に応じて水供給路A1を流れる水の流量を調整する。一例として、流量制御部2cは、水の流量を検知する流量センサ、水の流量を調整する電磁弁を有し得る。逆止弁2dは、電解槽10側から流量制御部2c側に水が流れるのを防止する。
【0020】
(1−2)水供給路A2
水供給路A2は、水供給路A1を流れる水の一部を塩水タンク20に供給するための配管である。水供給路A2上には、タンク用電磁弁2eが設けられている。タンク用電磁弁2eは、塩水タンク20への水の供給量を調整するためのものである。
【0021】
(1−3)塩水供給路A3
塩水供給路A3は、塩水タンク20中の塩水を電解槽10に供給するための配管である。塩水供給路A3の塩水タンク20側の塩水吸込口は、塩水タンク20の底壁20a近傍に配置される。塩水供給路A3上には、塩水用電磁弁2f及びポンプ2gが設けられている。塩水用電磁弁2fは、電解槽10への塩水の供給量を調整するためのものである。ポンプ2gは、塩水用電磁弁2fより下流に設けられており、塩水を塩水タンク20から電解槽10に流すためのものである。
【0022】
(1−4)電解槽10
電解槽10は、塩水供給路A3で供給される塩水を電解分解して電解次亜水を生成する槽である。電解槽10内には、正電圧が供給される電極11と、負電圧が供給される電極12と、が離間して配置されている。電解槽10では、電極11,12のそれぞれに正電圧及び負電圧を印加しながら、電極11,12の間に塩水を流すことによって、塩水を電気分解して電解次亜水を生成する。
図1では、電極11及び電極12を模式的に示しているが、電極11の一例は、円筒電極であり、電極12の一例は、円筒電極としての電極11の内側に配置される電極棒である。電解槽10では、水供給路A1で供給される水を希釈水として、塩水タンク20から供給される塩水を電気分解して電解次亜水を生成し、当該希釈水で希釈した後に排出する。
【0023】
(1−5)電解次亜水搬送路B
電解次亜水搬送路Bは、電解槽10で生成された電解次亜水を装置本体2から外部に流すための配管である。電解次亜水搬送路Bの電解槽10と反対側の端部には、電解次亜水搬送路Bを開閉する弁、又は当該電解次亜水を止めるための栓が設けられている(図示省略)。
【0024】
(1−6)塩水タンク20
塩水タンク20は、電解槽10に供給する塩水を貯留するタンクである。塩水タンク20の形状は、円筒形状である。塩水タンク20には、固形の塩と水とが供給され、その供給された塩の一部が水に溶けて塩水が生成される。固形の塩は、塩水タンク20内で沈殿し、塩の堆積層21を形成する。塩水タンク20に供給される水は、堆積層21上に溜まり、液層22を形成する。塩水タンク20内の液層22には塩が溶解しているので、以下、液層22を構成する液体も塩水と称する。
【0025】
塩水タンク20は、塩水の水面22aを検知する水面検知センサ23を有している。塩水タンク20の底壁20a近傍には、塩除去フィルタ24が設けられている。塩除去フィルタ24は、塩水供給路A3の塩水吸込口に取り付けられている。塩除去フィルタ24は、塩水タンク20内の塩が塩水供給路A3を通って電解槽10に流れこむことを防止するためのものである。塩除去フィルタ24の一例は、板状のフィルタである。塩水タンク20の側壁20bには、不純物除去ユニットUが設けられた塩水還流路Lが連結されている。
【0026】
(1−7)制御部3
制御部3は、上述した電解次亜水生成装置1の全体を制御する。制御部3は、装置本体2と通信線4aを介して接続されており、水面検知センサ23と通信線4bを介して接続されている。制御部3は、例えば、流量制御部2cが検知した流量に基づいてポンプ2g等を制御する。具体的には、流量制御部2cが検知した流量がゼロの場合、制御部3は、ポンプ2gを停止すると共に、電解次亜水生成装置1の電源をOFFにする。制御部3は、電解槽10からの電解次亜水の濃度が、所定濃度になるように流量制御部2cを制御し、希釈水の流量を調整する。更に、制御部3は、流量制御部2cで検知される流量に応じてポンプ2gを制御し、供給される塩水の流量を調整する。更に、制御部3は、水面検知センサ23からの検知信号に基づいてタンク用電磁弁2eの開閉を制御する。具体的には、水面検知センサ23が検知した水面22aが上限に達したら、制御部3はタンク用電磁弁2eを閉じる。
【0027】
(2)塩水還流路L及び不純物除去ユニットU
図2を参照して、塩水還流路L及び不純物除去ユニットUについて詳細に説明する。なお、
図2では、塩除去フィルタ24、塩水供給路A3及び水面検知センサ23の図示を省略している。
【0028】
塩水還流路Lは、塩水タンク20内の塩水を取り出し、塩水中の不純物を除去した後に塩水タンク20に戻すためのものである。塩水還流路Lは、塩水タンク20の側壁20bに連結されている。塩水還流路Lは、塩水取出管(塩水取出部)30と、流速調整管(流速調整部)32と、ポンプ34と、不純物除去フィルタ36と、塩水戻し管(塩水戻し部)38と、を有している。塩水取出管30と流速調整管32とは、塩水搬送管31を介して連結されている。流速調整管32とポンプ34とは、塩水搬送管33を介して連結されている。ポンプ34と不純物除去フィルタ36とは、塩水搬送管35を介して連結されている。不純物除去フィルタ36と塩水戻し管38とは、塩水搬送管37を介して連結されている。塩水は、塩水還流路L内を塩水取出管30から塩水戻し管38に向かって流れる。
【0029】
不純物除去ユニットUは、塩水中の不純物を除去するためのものである。塩水中の不純物とは、塩水タンク20に投入される自然塩である塩に付着していた不溶解分である。不純物除去ユニットUは、流速調整管32、塩水搬送管33、ポンプ34、塩水搬送管35及び不純物除去フィルタ36から構成される。
【0030】
(2−1)塩水取出管30
塩水取出管30は、塩水タンク20内において、塩水タンク20の側壁20bに取り付けられており、塩水タンク20内に開口している。塩水取出管30は、塩水タンク20に貯留される液層22の水面22aより下方に位置している。これにより、塩水取出管30は、塩水タンク20内の塩水中、すなわち、液層22内に位置することになる。塩水取出管30は、塩水タンク20内の塩水を塩水還流路Lに取り出すための塩水取出部として機能する。
【0031】
(2−2)塩水搬送管31
塩水搬送管31は、塩水取出管30から流速調整管32に塩水を流すための配管である。塩水搬送管31の内径は一定である。塩水搬送管31の内径φ1は、例えば8mm〜25mmである。内径φ1の具体例は13mmである。
【0032】
(2−3)流速調整管32
流速調整管32は、塩水搬送管31から塩水搬送管33に塩水を流すと共に、塩水の流速を調整するための配管である。流速調整管32は、本体部32aと、上流側端部32bと、下流側端部32cと、を含んでいる。本体部32aの形状は、流速調整管32の管軸方向において内径が一定である円筒形状となっている。上流側端部32bの形状は、上流側に行くほど内径が縮径するテーパ形状となっている。下流側端部32cの形状は、下流側に行くほど内径が縮径するテーパ形状となっている。本体部32aの内径は、塩水搬送管31の内径より大きい。塩水搬送管31の内径が上記例示した範囲である場合、本体部32aの内径φ2は、例えば16mm〜48mmである。内径φ1が13mmである場合、内径φ2の具体例は25mmである。
【0033】
下流側端部32cは、上流側端部32bより上方に位置している。よって、流速調整管32では、塩水は、下方から上方に流れる。流速調整管32の内径が塩水搬送管31の内径より大きいことから、塩水還流路Lにおける流速調整管32での流路の断面積(管軸に直交する面の面積)は、塩水搬送管31での流路の断面積より大きい。そのため、塩水搬送管31から流速調整管32に流れ込む塩水の流速は、塩水搬送管31内の流速より低減する。このように、流速調整管32によって、塩水の流速が低減されるため、流速調整管32は、塩水の流速調整部として機能する。
【0034】
(2−4)塩水搬送管33
塩水搬送管33は、流速調整管32からポンプ34に塩水を流すための配管である。塩水搬送管33の内径は、例えば塩水搬送管31の内径と同じである。
【0035】
(2−5)ポンプ34
ポンプ34は、塩水還流路L内において塩水に水流を生じさせるためのものである。ポンプ34を作動させることで、塩水は、塩水還流路L内を流れる。ポンプ34は定量ポンプである。ポンプ34によって塩水還流路L内を流す塩水の流量は、例えば2l/分〜10l/分である。
【0036】
(2−6)塩水搬送管35
塩水搬送管35は、ポンプ34から不純物除去フィルタ36に塩水を流すための配管である。塩水搬送管37の内径は、例えば塩水搬送管31の内径と同じである。
【0037】
(2−7)不純物除去フィルタ36
不純物除去フィルタ36は、塩水から不純物を取り除くためのフィルタである。不純物除去フィルタ36は、不織布が内蔵されたカートリッジ36aを有する。不純物除去フィルタ36では、塩水搬送管35からの塩水がカートリッジ36aに通され、不純物を不織布に付着させることによって塩水中の不純物が除去される。すなわち、不純物除去フィルタ36は、浄水フィルタとして機能する。
【0038】
(2−8)塩水搬送管37
塩水搬送管37は、不純物除去フィルタ36から流出される塩水を塩水戻し管38に流すための配管である。塩水搬送管37の内径は、例えば塩水搬送管31の内径と同じである。
【0039】
(2−9)塩水戻し管38
塩水戻し管38は、塩水タンク20内において、塩水タンク20の側壁20bに取り付けられており、塩水タンク20内に開口している。塩水戻し管38は、塩水タンク20に貯留される液層22の水面22aより上方に位置している。
【0040】
(2−10)塩水取出管30と塩水戻し管38との位置関係
図3に示されるように、塩水戻し管38は、塩水タンク20の側壁20bの周方向において、塩水取出管30からずれて配置されている。塩水戻し管38は、塩水戻し管38から戻される塩水が塩水タンク20の側壁20bに沿って流れるように、側壁20bに対して傾斜して設けられている。具体的には、塩水戻し管38は、その開口端部が塩水タンク20の側壁20bの周方向において塩水取出管30の反対側を向くように、屈曲している。
【0041】
(2−11)水面22aとポンプ34等との位置関係
図2に示されるように、塩水還流路Lにおいて、ポンプ34より上流側の部分及びポンプ34、すなわち、塩水取出管30、塩水搬送管31、流速調整管32、塩水搬送管33及びポンプ34は、鉛直方向において、水面22aの位置より下方に配置されている。
図2中の一点鎖線は、塩水タンク20内の塩水の水面位置を示している。
【0042】
(3)電解次亜水生成装置1の動作
(3−1)電解次亜水の生成に関する動作
電解次亜水生成装置1では、電解次亜水搬送路Bの電解槽10と反対側の端部に設けられた弁が開けられるか、又は当該端部に設けられた栓が外されると、電解槽10内の電解次亜水が流れ出る。これにより、電解槽10内に水供給路A1より水が希釈水として流れ込む。水供給路A1内の水の流れを流量制御部2cの流量センサが検知して制御部3に送信すると、制御部3は、ポンプ2gを作動させる。ポンプ2gが作動すると、塩水タンク20内の塩水が、塩水供給路A3の塩水吸込口から吸い込まれ、電解槽10に塩水が供給される。塩水吸込口には、塩除去フィルタ24が取り付けられているので、塩水供給路A3には、塩除去フィルタ24で塩が除去された液体のみが流れ込む。そのため、塩水供給路A3から電解槽10に供給される塩水は、塩分がほぼ飽和状態になった飽和塩水である。電解槽10は、塩水供給路A3から供給された塩水(飽和塩水)を、電気分解して電解次亜水を生成する。このようにして、電解次亜水生成装置1で電解次亜水が生成される。電解槽10で生成された電解次亜水は、上述した電解次亜水搬送路Bから流れ出る。
【0043】
(3−2)不純物除去に関する動作
電解次亜水生成装置1では、ポンプ34を作動させると、塩水タンク20内の塩水が、塩水取出管30から塩水戻し管38に向けて塩水還流路L上を流れる。塩水取出管30に流れ込んできた塩水は、塩水搬送管31、流速調整管32、塩水搬送管33、ポンプ34及び塩水搬送管35を通って、不純物除去フィルタ36に流れ込む。そして、不純物除去フィルタ36によって、塩水中の不純物が除去された後、不純物が除去された塩水は、塩水搬送管37及び塩水戻し管38を通って、塩水タンク20に戻される。このようにして、塩水は、塩水タンク20と塩水還流路Lとを循環しながら、塩水還流路L上の不純物除去フィルタ36によって塩水中の不純物が除去される。そのため、塩水タンク20内の塩水から不純物が除去される。
【0044】
(4)電解次亜水生成装置1の効果
電解次亜水生成装置1で生成される電解次亜水は、殺菌用として食材等の洗浄に使用される。そのため、その電解次亜水を生成するための塩水を貯留する塩水タンク20の衛生性が要求される。電解次亜水生成装置1では、塩水タンク20に連結された塩水還流路Lに設けられた不純物除去ユニットUにて塩水中の不純物が除去されるため、塩水タンク20内の衛生性が向上し、維持される。また、塩除去フィルタ24を通して塩水タンク20から電解槽10に塩水を供給する塩水供給路A3とは別の塩水還流路L上に不純物除去ユニットUがあるため、塩除去フィルタ24が汚れることも抑制され、塩除去フィルタ24の衛生性が担保される。更に、電解次亜水生成装置1が有する不純物除去ユニットUが、塩水タンク20の外に設けられているので、不純物除去フィルタ36の取り替えが容易となり、結果として、塩水還流路Lの詰まりが抑制され、塩水タンク20内の衛生性の向上に寄与する。よって、上記電解次亜水生成装置1によれば、塩水タンク20内の不純物を除去することで、塩水タンク20内の衛生性を向上し、維持することができる。
【0045】
電解次亜水生成装置1では、流速調整部である流速調整管32が設けられている。そのため、塩水と共に固形の塩が塩水取出管30に流入した場合でも、固形の塩が下流のポンプ34に流入することによってポンプ34が詰まったり、破損したりすることが防止される。この点について説明する。
【0046】
流速調整管32内では、塩水の流速が、流速調整管32の上流より低減される。その結果、塩水取出管30に流れこんだ塩水に固形の塩が含まれていても、その固形の塩は、流速調整管32近傍で貯留される。そのため、固形の塩が下流に設けられたポンプ34に流入することによってポンプ34が詰まったり、破損したりすることが防止される。そして、塩水搬送管31から流速調整管32に継続的に流れてくる塩水は飽和していない。そのため、流速調整管32近傍に貯留した固形の塩は、塩水に再度溶け込む。このように、貯留した固形の塩が増加して塩水還流路Lが詰まることが防止されるため、塩水タンク20の衛生性が担保される。
【0047】
流速調整管32が有する流路の断面積が、塩水還流路Lにおける流速調整管32より上流の流路の断面積より大きいので、流速調整管32に流れこんだ塩水の流速が低減される。そして、流速調整管32の下流側端部32cは、上流側端部32bより上方に位置するので、流速調整管32内を塩水は下方から上方に流れる。よって、流速が低減されたことによって塩水と一緒に流れていた固形の塩が重力によって下方に落下し、下方で貯留されることになる。これにより、固形の塩が下流に設けられたポンプ34に流入することによってポンプ34が詰まったり、破損したりすることが防止される。また、塩が貯留する部分は流路の断面積が小さいため、当該部分では流速が速くなっている。そのため、固形の塩が溶けやすくなる。このことによって、流路が固形の塩の貯留によって詰まることが防止され、連続した不純物の除去が円滑に実施される。
【0048】
更に、電解次亜水生成装置1では、塩水還流路Lにおいてポンプ34より上流側の部分及びポンプ34は、塩水の水面22aより下方に配置されており、塩水戻し管38が水面22aより上方に位置している。そのため、ポンプ34を作動させる前に、ポンプ34より上流側の部分及びポンプ34は自然と塩水で満たされる。従って、ポンプ34の破損を防止するために、空気抜きの動作を別途行う必要がないので、電解次亜水生成装置1の操作が容易である。
【0049】
電解次亜水生成装置1では、塩水タンク20に戻される塩水が塩水タンク20の側壁20bに沿って流れるように、塩水戻し管38が側壁20bに対して傾斜して設けられている。この構成では、塩水は、側壁20bに向けて塩水戻し管38から流出され、側壁20bに沿って流れる。その結果、側壁20bに不純物が付着していたとしても、その不純物は側壁20bから流れ落とされる。そして、流れ落とされた不純物は、不純物除去ユニットUで除去されるので、塩水タンク20内の不純物がより確実に除去される。特に、塩水戻し管38が、周方向において、塩水取出管30とずれており、塩水戻し管38の開口端部が塩水取出管30と反対側に位置するので、
図3に示されたような周方向に沿った塩水の流れが生じ易い。この場合、塩水タンク20の側壁20bに付着した不純物が塩水取出管30に流れ込みやすいので、塩水タンク20内の不純物がより除去され易い。
【0050】
(5)実験結果
固形の塩を流速調整管32内に貯留し得ることを、実験結果に基づいて説明する。
【0051】
実験では、塩水搬送管31の流路の断面積a1に対する本体部32aの流路の断面積a2の断面積比R(=a2/a1)を変化させて、塩水搬送管31と流速調整管32との連結部での塩の貯留状態を調べた。断面積比Rを、塩水搬送管31の内径φ1を13mmに固定し、本体部32aの内径φ2を変化させることによって、調整した。断面積比Rが1の場合は、本体部32aを直接、塩水搬送管31と塩水搬送管33とに連結した。固形の塩の貯留状態を調べるために、塩水取出管30の開口端部から所定量の塩を塩水還流路Lに塩水と共に流し、T秒後における塩水搬送管31と流速調整管32との連結部での固形の塩の貯留状態を調べた。上記T秒は、設定した流量(8l/分)で塩水還流路Lに塩水を流した場合に、塩水取出管30の開口端部から流した塩が塩水搬送管31を流れて流速調整管32に到達すると想定される時間である。表1に実験結果を示す。表1中、“×”は、塩水還流路Lに流した固形の塩が全く貯留していない状態を示し、“△”は、固形の塩の一部が貯留していることを示し、“○”は、固形の塩がほぼ貯留していることを示し、“◎”は固形の塩が全部貯留していることを示す。
【表1】
【0052】
表1の結果より、流速調整管32より下流に固形の塩が流れることを抑制するには、断面積比Rが3以上であればよく、流速調整管32より下流に固形の塩が流れることを防止するためには、断面積比Rは、3.7倍以上であればよく、4倍以上が好ましいことがわかる。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0054】
上記実施形態では、塩水搬送管31の内径より大きな内径を有する流速調整管32を流速調整部として設けているが、流速調整部は設けなくてもよい。流速調整部を設けない場合、下流のポンプ34への固形の塩の流入を防止する観点からは、塩水還流路Lにおいてポンプ34より上流側であって塩水タンク20の外側に、塩を除去するためのフィルタを配置してもよい。このようにフィルタを配置しても、そのフィルタは、塩水タンク20の外部に配置されているので、取り替えが容易である。
【0055】
流速調整部としての流速調整管32を設ける場合、塩水搬送管31より内径が大きければ、
図2に示した形状に限定されない。例えば、例示した形状の上流側端部32b及び下流側端部32cの少なくとも一方は設けられていなくてもよい。
【0056】
塩水還流路Lにおいて、ポンプ34より上流側は、水面22aより下方に位置するとしたが、これに限定されない。ポンプ34より上流側の少なくとも一部が水面22aより上方に位置する場合には、ポンプ34の駆動前に空気抜きを行えばよい。
【0057】
塩水戻し管38の側壁20bに対する取り付け位置は、周方向において、塩水取出管30とずれていなくてもよい。塩水戻し管38は、塩水タンク20に戻される塩水が塩水タンク20の側壁20bに沿って流れるように、塩水戻し管38が側壁20bに対して傾斜して設けられていなくてもよい。例えば、塩水戻し管38は、塩水戻し管38からの塩水が側壁20bに当たらずに、水面に直接流れるように設けられていてもよい。塩水戻し管38は、水面22aより下方に配置されていてもよい。