特許第6284795号(P6284795)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284795
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】フォールトトレラントサーバ装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/20 20060101AFI20180215BHJP
   G06F 11/30 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   G06F11/20 605
   G06F11/30 140T
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-56297(P2014-56297)
(22)【出願日】2014年3月19日
(65)【公開番号】特開2015-179386(P2015-179386A)
(43)【公開日】2015年10月8日
【審査請求日】2016年10月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】501158538
【氏名又は名称】三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099461
【弁理士】
【氏名又は名称】溝井 章司
(74)【代理人】
【識別番号】100122035
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】山本 丈博
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 仁則
【審査官】 田中 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−172220(JP,A)
【文献】 特開平09−034809(JP,A)
【文献】 特開2012−063828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/20
G06F 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のCPUと、第1の入出力ユニットと、前記第1の入出力ユニットからの制御に基づきネットワーク通信を行う第1の通信制御装置とを有する主系の第1のサーバ部と、
第2のCPUと、第2の入出力ユニットと、前記第2の入出力ユニットからの制御に基づきネットワーク通信を行う第2の通信制御装置とを有する従系の第2のサーバ部と
を備え、
前記第1の通信制御装置が正常な場合には前記第1の通信制御装置によってネットワーク通信を行うフォールトトレラントサーバ装置であって、
前記第1のCPUと前記第2のCPUとのいずれかのCPUを用いることにより、正常時の前記第1の通信制御装置を監視して前記第1の通信制御装置の故障を検出する検出部と、
前記第1のCPUと前記第2のCPUとのいずれかのCPUを用いることにより、前記検出部が前記第1の通信制御装置の故障を検出した場合に前記第2の通信制御装置を前記第1の通信制御装置として機能させる機能情報を前記第2の通信制御装置に設定すると共に、前記第2の通信制御装置以外の機器の設定をすることなく前記第1の通信制御装置から前記第2の通信制御装置に切り替えて、前記第1の通信制御装置を前記第2の通信制御装置で代替する切替部と
を備え
前記切替部は、
前記機能情報として、ネットワークにおけるアドレスを示すアドレス情報と、アプリケーションが前記第2の通信制御装置を識別するための識別情報とを設定することを特徴とするフォールトトレラントサーバ装置。
【請求項2】
前記機能情報として設定される前記アドレス情報及び前記識別情報は、
前記第1の通信制御装置に設定された前記アドレス情報及び前記識別情報と同一である請求項に記載のフォールトトレラントサーバ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フォールトトレラントサーバにおける第1の通信制御装置から第2の通信制御装置への切り替えに関する。
【背景技術】
【0002】
図4は従来のフォールトトレラントサーバ10における通信制御装置140の冗長化を示す図である。図5は従来のフォールトトレラントサーバ10の構成を示す図である。
【0003】
図5のように、フォールトトレラントサーバ10は、ネットワーク30にシーケンサ21、シーケンサ22と共に接続し、シーケンサ21,22等と通信を行う。
【0004】
図5のようにフォールトトレラントサーバ10は主系サーバ部100と、従系サーバ部200を備える。主系サーバ部100は、CPU(Central Processing Unit)110、I/Oユニット130、通信制御装置140を備えている。I/Oユニット130はフェイルオーバドライバ131及びドライバ132を備えている。従系の従系サーバ部200も主系サーバ部100と同様の構成である。
【0005】
図4図5に示すように、従来ではフォールトトレラントサーバ10に搭載する通信制御装置を冗長化するには、I/Oユニット130に含まれる、専用のフェイルオーバドライバ131,231が必要であった。このため、通信制御装置として使用できるのは、専用のフェイルオーバドライバ131,231によって制御できる通信制御装置に限定されていた。
【0006】
フェイルオーバドライバ131は、通信制御装置140の故障を検出した場合、通信制御装置140を通信制御装置240に切り替える。その際、フェイルオーバドライバ131は、通信制御装置240が通信制御装置140に代替するように通信制御装置240を設定することに加え、通信制御装置240以外の機器の設定も変更する必要があった。
【0007】
特許文献1ではデータ転送経路の冗長化技術を開示しているが、主系、従系のそれぞれに故障検知モジュールが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−44637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、フェイルオーバドライバを介さずに通信制御装置の故障を検出し、故障が検出されると他方の通信制御装置に切り替えるフォールトトレラントサーバの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明のフォールトトレラントサーバ装置は、
第1のCPUと、第1の入出力ユニットと、前記第1の入出力ユニットからの制御に基づきネットワーク通信を行う第1の通信制御装置とを有する主系の第1のサーバ部と、
第2のCPUと、第2の入出力ユニットと、前記第2の入出力ユニットからの制御に基づきネットワーク通信を行う第2の通信制御装置とを有する従系の第2のサーバ部と
を備え、
前記第1の通信制御装置が正常な場合には前記第1の通信制御装置によってネットワーク通信を行うフォールトトレラントサーバ装置であって、
前記第1のCPUと前記第2のCPUとのいずれかのCPUを用いることにより、正常時の前記第1の通信制御装置を監視して前記第1の通信制御装置の故障を検出する検出部と、
前記第1のCPUと前記第2のCPUとのいずれかのCPUを用いることにより、前記検出部が前記第1の通信制御装置の故障を検出した場合に前記第1の通信制御装置を前記第2の通信制御装置として機能させる機能情報を前記第2の通信制御装置に設定すると共に、前記第1の通信制御装置から前記第2の通信制御装置に切り替えて前記第1の通信制御装置を前記第2の通信制御装置で代替する切替部と
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、フェイルオーバドライバを介さずに通信制御装置の故障を検出し、故障が検出されると他方の通信制御装置に切り替えるフォールトトレラントサーバを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1の図で、フォールトトレラントサーバ1000における通信制御装置の冗長化を示す図。
図2】実施の形態1の図で、フォールトトレラントサーバ1000の構成を示す図。
図3】実施の形態1の図で、通信制御装置の切り替えの手順を示す図。
図4】従来の技術を示す図で、従来のフォールトトレラントサーバ10における通信制御装置の冗長化を示す図。
図5】従来の技術を示す図で、従来のフォールトトレラントサーバ10の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
図1図3を参照して、実施の形態1のフォールトトレラントサーバ1000(フォールトトレラントサーバ装置)を説明する。
図1は、フォールトトレラントサーバ1000における通信制御装置の冗長化を示す図である。
図2は、フォールトトレラントサーバ1000の構成を示す図である。
図3は、通信制御装置の切り替えの手順を示す図である。
【0014】
図1図4に対応する図である。図1のように、実施の形態1のフォールトトレラントサーバ1000では、常駐モニタプログラム(後述する検出部)が主系の通信制御装置140(第1の通信制御装置)の故障を検出すると、切替部(後述する)が通信制御装置140を通信制御装置240(第2の通信制御装置)に切り替える。
【0015】
図2は、主系サーバ部100(第1のサーバ部)と従系サーバ部200(第2のサーバ部)とからなるフォールトトレラントサーバ1000の構成を示す図であり、図5に対応する。以下では図5と異なる点を説明する。図2のフォールトトレラントサーバ1000は図5のフォールトトレラントサーバ10に対して以下の点が異なる。
(1)フォールトトレラントサーバ1000ではI/Oユニット130(第1の入出力ユニット)、I/Oユニット230(第2の入出力ユニット)がフェイルオーバドライバ131,132を持たない。
(2)フォールトトレラントサーバ1000は、メモリー120、220を有する。フォールトトレラントサーバ1000は、メモリー120に格納された通信制御装置140の故障検出のプログラム(常駐モニタプログラム)をCPU110(第1のCPU)が実行することで、通信制御装置140を監視し、その故障を検出する。常駐モニタプログラムとCPU110とは、主系の通信制御装置140の故障を検出する検出部を構成する。なお、メモリー220に格納された常駐モニタプログラムをCPU210(第2のCPU)が実行することで、通信制御装置140を監視し、その故障を検出してもよい。この場合、メモリー220の常駐モニタプログラムとCPU210とが、検出部を構成する。
(3)またフォールトトレラントサーバ1000では、メモリー120に格納された切替プログラムをCPU110が実行することで、故障が検出された通信制御装置140を通信制御装置240に切り替える。切替プログラムとCPU110とは、切替部を構成する。なお、メモリー220に格納された切替プログラムをCPU210が実行することで、通信制御装置140を通信制御装置240に切り替えても良い。この場合、メモリー220の切替プログラムとCPU210とが、切替部を構成する。
(4)上記では常駐モニタプログラムと切替プログラムは別個のプログラムとして説明したが、一体のプログラムであってもよい。なお図2ではメモリー120とメモリー220とは別個としているが一体でも構わない。
【0016】
(S10)
図3を参照してフォールトトレラントサーバ1000の通信制御装置の切替動作を説明する。図3の説明では、メモリー120に記憶された常駐モニタプログラムとCPU110とが検出部を構成し、メモリー120に記憶された切替プログラムとCPU110とが切替部を構成する場合を説明するが、メモリー220に記憶された常駐モニタプログラムとCPU210とが検出部を構成し、メモリー220に記憶された切替プログラムとCPU210とが切替部を構成してもよいことは、上記のとおりである。
【0017】
(ステップS10)
検出部は、CPU110を用いることにより、正常時の通信制御装置140を監視して、通信制御装置140の故障を検出する(S10)。検出部は、通信制御装置140の故障を検出すると、故障検出の通知を切替部に送信する。
【0018】
(ステップS20)
切替部は検出部から故障検出の通知を受信すると、通信制御装置140をネットワーク30から切り離す(S20)。
【0019】
(ステップS30、ステップS40)
切替部は、CPU110を用いることにより、通信制御装置40を通信制御装置40として機能させる機能情報を通信制御装置240に設定する(S30)。ここで「機能情報」とは、例えば、ネットワーク30におけるアドレスを示す「アドレス情報」と、フォールトトレラントサーバ1000で実行されるアプリケーションが通信制御装置240を識別するための「識別情報」である。アドレス情報の例は図2に示す「局番」である。「アドレス情報」及び「識別情報」は、通信制御装置140に設定されていたものである。切替部は、CPU110を用いることにより、通信制御装置240をネットワーク30に接続し、通信制御装置140から通信制御装置240に切り替えて通信制御装置140を通信制御装置240で代替する。
【0020】
以上のようにフォールトトレラントサーバ1000では、CPUとメモリーに記憶されたプログラムとが、検出部、切替部として機能するので、フェイルオーバドライバが不要であり、通信制御装置は汎用の装置を使用することができる。
また、フォールトトレラントサーバ1000では、切替部が通信制御装置240に機能情報を設定することで通信制御装置140から通信制御装置240に引き継ぐことができるので通信制御装置240以外の機器の設定が不要となり、簡単に別の通信制御装置に引き継ぐことができる。
【符号の説明】
【0021】
21,22 シーケンサ、30 ネットワーク、100 主系サーバ部、110 CPU、120 メモリー、130 I/Oユニット、131 フェイルオーバドライバ、132 ドライバ、140 通信制御装置、200 従系サーバ部、210 CPU、220 メモリー、230 I/Oユニット、231 フェイルオーバドライバ、232 ドライバ、240 通信制御装置、1000 フォールトトレラントサーバ。
図1
図2
図3
図4
図5