特許第6284801号(P6284801)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284801
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】固形粉末化粧料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/02 20060101AFI20180215BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20180215BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   A61K8/02
   A61Q1/10
   A61Q1/12
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-64939(P2014-64939)
(22)【出願日】2014年3月27日
(65)【公開番号】特開2015-187086(P2015-187086A)
(43)【公開日】2015年10月29日
【審査請求日】2017年1月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000158781
【氏名又は名称】紀伊産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167900
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 仁
(72)【発明者】
【氏名】高梨 航
(72)【発明者】
【氏名】根本 正樹
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 茂
(72)【発明者】
【氏名】小松 舞
【審査官】 池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−201829(JP,A)
【文献】 特開2012−219067(JP,A)
【文献】 特開平08−154732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
A45D 33/00−40/30
B65B 1/00− 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
皿状の容器に充填された化粧料に対してプレス処理を施して打型することによって、固形粉末化粧料を製造する固形粉末化粧料の製造方法であって、
前記容器の内周面に嵌合する外周面と、前記化粧料を打型するプレス面と、前記外周面を含むようにして前記プレス面に形成されるとともに、前記容器側に向かって突出するようにして形成された環状の突出部とを有する仮打型用プレスヘッドを用いることによって、前記化粧料に対してプレス処理を施して仮打型する仮打型ステップと、
前記仮打型用プレスヘッドとは異なる平面状に形成されたプレス面を有する本打型用プレスヘッドを用いることによって、前記仮打型ステップにて仮打型された前記化粧料に対してプレス処理を施して本打型する本打型ステップとを備え、
前記仮打型ステップは、前記容器の内周面の高さよりも前記化粧料の外縁の高さが低くなるように前記化粧料に対してプレス処理を施して仮打型することによって、前記容器の内周面に沿って前記化粧料の表面に凹みを形成することを特徴とする固形粉末化粧料の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載された固形粉末化粧料の製造方法において、
前記仮打型ステップは、外周側から内周側に向かうにしたがって突出量が小さくなるように形成された前記突出部を有する仮打型用プレスヘッドを用いることによって、前記化粧料に対してプレス処理を施して仮打型することを特徴とする固形粉末化粧料の製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載された固形粉末化粧料の製造方法において、
前記仮打型ステップにて仮打型された前記化粧料を前記容器から取り出して、当該容器とは異なる本打型用容器に収容する収容ステップを備え、
前記本打型ステップは、前記収容ステップにて前記本打型用容器に収容された前記化粧料に対してプレス処理を施して本打型することを特徴とする固形粉末化粧料の製造方法。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載された固形粉末化粧料の製造方法において、
前記本打型ステップは、前記化粧料を前記容器から取り出すことなく、前記仮打型ステップにて仮打型された前記化粧料に対してプレス処理を施して本打型することを特徴とする固形粉末化粧料の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載された固形粉末化粧料の製造方法において、
前記仮打型ステップは、外周側から内周側に向かうにしたがって突出量が小さくなるとともに、前記容器側に膨らむようにして湾曲した形状に形成された前記突出部を有する仮打型用プレスヘッドを用いることによって、前記化粧料に対してプレス処理を施して仮打型することを特徴とする固形粉末化粧料の製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載された固形粉末化粧料の製造方法において、
前記仮打型ステップは、弾性体からなる仮打型用プレスヘッドを用いることによって、前記化粧料に対してプレス処理を施して仮打型することを特徴とする固形粉末化粧料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形粉末化粧料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、皿状の容器に充填された化粧料に対してプレス処理を施して打型することによって、固形粉末化粧料を製造する固形粉末化粧料の製造方法が知られている。プレス処理に用いられるプレスヘッドの大きさは、化粧料に対して十分に圧力を加えられるように容器の開口よりも僅かに小さく形成されている。そして、このプレスヘッドは、容器の上端位置よりも僅かに低い位置まで下降することによって、化粧料に対してプレス処理を施して打型している。
【0003】
ここで、プレスヘッドと、容器の内周面との間には、クリアランスが存在しているので、化粧料に対してプレス処理を施して打型すると、このクリアランスに化粧料が入り込み、バリと呼ばれる余分な化粧料が容器の内周面に付着してしまうことになる。このバリは、衝撃などによって崩れて固形粉末化粧料の表面に落下してしまうので、固形粉末化粧料の外観を損なってしまうという問題がある。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1に記載された固形粉末化粧料のバリ取り方法は、容器の内周面に沿って移動するバリ除去手段を備えることによって、容器の内周面に付着したバリを除去している。
また、例えば、特許文献2に記載された固形粉末化粧料のバリ除去装置は、固形粉末化粧料の表面に沿って相対的にバリ除去部材を動かすことによって、容器の内周面に付着したバリを除去している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−247345号公報
【特許文献2】特開2013−203427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1,2に記載された発明は、容器の内周面にバリが付着してしまうことを前提としているので、固形粉末化粧料の外観を良好にするためにバリを除去する工程を設けなければならず固形粉末化粧料の製造効率が低下してしまうという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、容器の内周面に付着するバリを低減して外観を良好にすることができ、製造効率を向上させることができる固形粉末化粧料の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の固形粉末化粧料の製造方法は、皿状の容器に充填された化粧料に対してプレス処理を施して打型することによって、固形粉末化粧料を製造する固形粉末化粧料の製造方法であって、容器の内周面に嵌合する外周面と、化粧料を打型するプレス面と、外周面を含むようにしてプレス面に形成されるとともに、容器側に向かって突出するようにして形成された環状の突出部とを有する仮打型用プレスヘッドを用いることによって、化粧料に対してプレス処理を施して仮打型する仮打型ステップと、仮打型用プレスヘッドとは異なる平面状に形成されたプレス面を有する本打型用プレスヘッドを用いることによって、仮打型ステップにて仮打型された化粧料に対してプレス処理を施して本打型する本打型ステップとを備え、仮打型ステップは、容器の内周面の高さよりも化粧料の外縁の高さが低くなるように化粧料に対してプレス処理を施して仮打型することによって、容器の内周面に沿って化粧料の表面に凹みを形成することを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、仮打型ステップは、突出部を有する仮打型用プレスヘッドを用いることによって、化粧料に対してプレス処理を施して仮打型するので、プレス処理を施した後の化粧料の表面には、容器の周面に沿って凹みが形成されることになる。そして、本打型ステップは、平面状に形成されたプレス面を有する本打型用プレスヘッドを用いることによって、仮打型ステップにて仮打型された化粧料に対してプレス処理を施して本打型するので、容器の内周面に付着するバリを低減することができる。したがって、本発明によれば、固形粉末化粧料の外観を良好にすることができ、製造効率を向上させることができる。
【0010】
本発明では、仮打型ステップは、外周側から内周側に向かうにしたがって突出量が小さくなるように形成された突出部を有する仮打型用プレスヘッドを用いることによって、化粧料に対してプレス処理を施して仮打型することが好ましい。
【0011】
このような構成によれば、例えば、断面矩形状の突出部を有する仮打型用プレスヘッドを用いることによって、化粧料に対してプレス処理を施して仮打型した場合と比較してプレス処理を施した後の化粧料の表面を滑らかにすることができる。したがって、仮打型ステップにて仮打型された化粧料に対してプレス処理を施して本打型するときに、化粧料に対して無理なく圧力を加えることができ、容器の内周面に付着するバリを更に低減することができる。
【0012】
本発明では、仮打型ステップにて仮打型された化粧料を容器から取り出して容器とは異なる本打型用容器に収容する収容ステップを備え、本打型ステップは、収容ステップにて本打型用容器に収容された化粧料に対してプレス処理を施して本打型することが好ましい。
【0013】
このような構成によれば、収容ステップは、仮打型ステップにて仮打型された化粧料を容器から取り出して、この容器とは異なる本打型用容器に収容するので、仮打型ステップにて容器の内周面に付着したバリを取り除いて本打型用容器に収容することができる。そして、本打型ステップは、収容ステップにて本打型用容器に収容された化粧料に対してプレス処理を施して本打型するので、本打型用容器の内周面に付着するバリを低減することができる。したがって、本発明によれば、固形粉末化粧料の外観を良好にすることができ、製造効率を向上させることができる。
【0014】
本発明では、本打型ステップは、化粧料を容器から取り出すことなく、仮打型ステップにて仮打型された化粧料に対してプレス処理を施して本打型することが好ましい。
【0015】
このような構成によれば、固形粉末化粧料の製造方法を簡素にすることができるとともに、固形粉末化粧料の外観を良好にすることができ、製造効率を向上させることができる。
【0016】
本発明では、仮打型ステップは、外周側から内周側に向かうにしたがって突出量が小さくなるとともに、前記容器側に膨らむようにして湾曲した形状に形成された前記突出部を有する仮打型用プレスヘッドを用いることによって、前記化粧料に対してプレス処理を施して仮打型することが好ましい。
【0017】
このような構成によれば、外周側から内周側に向かうにしたがって突出量が小さくなるように形成された突出部を有する仮打型用プレスヘッドを用いることによって、化粧料に対してプレス処理を施して仮打型した場合と比較してプレス処理を施した後の化粧料の表面のうち、容器の外周面に近い部位を更に凹ませることができる。したがって、本打型ステップにて化粧料を容器から取り出すことなく、仮打型ステップにて仮打型された化粧料に対してプレス処理を施して本打型した場合であっても容器の内周面に付着するバリを確実に低減することができる。
【0018】
本発明では、仮打型ステップは、弾性体からなる仮打型用プレスヘッドを用いることによって、化粧料に対してプレス処理を施して仮打型することが好ましい。
【0019】
このような構成によれば、仮打型用プレスヘッドは、弾性体からなるので、その大きさを容器の開口よりも僅かに大きく形成した場合であっても容器の開口に対して挿抜することができる。したがって、本発明によれば、容器の内周面に付着するバリを更に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態に係る固形粉末化粧料の外観を示す図
図2】化粧料を充填する金型を示す模式図
図3】金型に化粧料を充填した状態を示す模式図
図4】仮打型用プレス装置を示す図
図5】化粧料に対してプレス処理を施して仮打型した状態を示す模式図
図6】仮打型された化粧料を金型から取り出した状態を示す模式図
図7】金型から取り出された化粧料を化粧皿に収容した状態を示す模式図
図8】化粧料に対してプレス処理を施して本打型した状態を示す模式図
図9】本発明の第2実施形態に係る化粧料を充填する化粧皿を示す模式図
図10】化粧皿に化粧料を充填した状態を示す模式図
図11】仮打型用プレス装置を示す図
図12】化粧料に対してプレス処理を施して仮打型した状態を示す模式図
図13】化粧料に対してプレス処理を施して本打型した状態を示す模式図
図14】突出部の他の形状の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る固形粉末化粧料の外観を示す図である。具体的には、図1の上図は、固形粉末化粧料1を上面側から見た図であり、下図は、固形粉末化粧料1の断面を示す図である。
固形粉末化粧料1は、図1に示すように、化粧皿2に充填された化粧料Cに対してプレス処理を施して打型することによって製造されている。
化粧皿2は、底面部21と、この底面部21の周囲に設けられた側壁部22とを有し、プラスチック成形によって上面を凹状に陥没させた略矩形板状に形成されている。
なお、固形粉末化粧料1としては、ファンデーションや、アイシャドウなどを例示することができる。
以下、このような固形粉末化粧料1の製造方法について説明する。
【0022】
図2は、化粧料を充填する金型を示す模式図である。
金型3は、図2に示すように、化粧皿2の側壁部22の内周面と同じ形状の内周面を有する枠状部31と、この枠状部31と嵌合する形状に形成されるとともに、枠状部31の内部に下方側から挿入される台座部32とを備えている。この金型3は、枠状部31に台座部32の上端部を僅かに挿入した状態とすることによって、化粧料Cの充填空間Sを形成している。換言すれば、金型3は、化粧料Cを充填する皿状の容器として機能している。
【0023】
図3は、金型に化粧料を充填した状態を示す模式図である。
固形粉末化粧料1を製造するには、まず、ターンテーブルなどの搬送手段(図示略)を介して金型3を充填装置(図示略)に搬送する。
この充填装置は、図3に示すように、金型3に形成された充填空間Sに化粧料Cを充填する(S1:充填ステップ)。なお、充填装置は、枠状部31の上端の高さまで化粧料Cを充填し、化粧料Cの表面を擦り切ることによって平面状に形成する。
【0024】
図4は、仮打型用プレス装置を示す図である。
次に、ターンテーブルなどの搬送手段を介して金型3を仮打型用プレス装置4に搬送する。
仮打型用プレス装置4は、図4に示すように、金型3の枠状部31の開口と対応する形状に形成された仮打型用プレスヘッド41を備えている。
【0025】
仮打型用プレスヘッド41は、金型3の枠状部31の開口よりも僅かに大きく形成されたプレス面411と、金型3の枠状部31の内周面に嵌合する外周面412と、外周面412を含むようにしてプレス面411に形成されるとともに、金型3側に向かって突出するようにして形成された環状の突出部413とを有している。突出部413は、外周側から内周側に向かうにしたがって突出量が小さくなるように形成された傾斜面414を有している。
【0026】
また、この仮打型用プレスヘッド41は、弾性体としてのウレタンを素材として採用している。
なお、本実施形態では、仮打型用プレスヘッド41は、ウレタンを素材として採用しているが、ゴムなどの他の弾性体を素材として採用してもよく、金属などを素材として採用してもよい。
【0027】
図5は、化粧料に対してプレス処理を施して仮打型した状態を示す模式図である。
この仮打型用プレス装置4は、図5に示すように、仮打型用プレスヘッド41を下降させることによって(図中矢印参照)、金型3の枠状部31の内周面の高さよりも化粧料Cの外縁の高さが低くなるように化粧料Cに対してプレス処理を施して仮打型する(S2:仮打型ステップ)。その後、仮打型用プレス装置4は、仮打型用プレスヘッド41を上昇させることによって、金型3から仮打型用プレスヘッド41を引き抜く。
ここで、仮打型用プレスヘッド41は、金型3の枠状部31の開口よりも僅かに大きく形成されたプレス面411を有しているので、仮打型用プレスヘッド41と、金型3の枠状部31との間に化粧料Cが入り込みにくくなっている。
【0028】
図6は、仮打型された化粧料を金型から取り出した状態を示す模式図である。図7は、金型から取り出された化粧料を化粧皿に収容した状態を示す模式図である。
次に、ターンテーブルなどの搬送手段を介して金型3を移行装置(図示略)に搬送する。
この移行装置は、図6に示すように、金型3の台座部32を上昇させることによって(図中矢印参照)、仮打型ステップS2にて仮打型された化粧料Cを金型3から取り出した後、図7の矢印に示すように、この化粧料Cをロボットアーム(図示略)にて把持することによって移動させて本打型用容器としての化粧皿2に収容する(S3:収容ステップ)。したがって、化粧皿2は、容器としての金型3とは異なる本打型用容器として機能する。
これによって、金型3の枠状部31の内周面に付着していたバリは完全に除去されることになる。
なお、化粧皿2は、図7に示すように、ハカマ6の内部に収納されている。そして、化粧皿2は、ハカマ6を移動させることによって、後述の本打型用プレス装置5に搬送される。
【0029】
図8は、化粧料に対してプレス処理を施して本打型した状態を示す模式図である。
次に、ターンテーブルなどの搬送手段を介して化粧皿2を本打型用プレス装置5に搬送する。
本打型用プレス装置5は、図8に示すように、化粧皿2の開口と対応する形状に形成されるとともに、化粧料Cに対して十分に圧力を加えられるように化粧皿2の開口よりも僅かに小さく形成されたプレス面を有する本打型用プレスヘッド51を備えている。
【0030】
この本打型用プレスヘッド51のプレス面は、仮打型用プレスヘッド41とは異なり、平面状に形成されている。また、本打型用プレスヘッド51は、仮打型用プレスヘッド41とは異なり、金属を素材として採用している。
なお、本打型用プレスヘッド51は、仮打型用プレスヘッド41と同様に弾性体を素材として採用してもよい。
【0031】
この本打型用プレス装置5は、本打型用プレスヘッド51を下降させることによって(図中矢印参照)、収容ステップS3にて化粧皿2に収容された化粧料Cに対してプレス処理を施して本打型する(S4:本打型ステップ)。その後、本打型用プレス装置5は、本打型用プレスヘッド51を上昇させることによって、化粧皿2から本打型用プレスヘッド51を引き抜く。
【0032】
このような本実施形態によれば、以下の作用・効果を奏することができる。
(1)仮打型ステップS2は、突出部413を有する仮打型用プレスヘッド41を用いることによって、化粧料Cに対してプレス処理を施して仮打型するので、プレス処理を施した後の化粧料Cの表面には、金型3の周面に沿って凹みが形成されることになる。そして、本打型ステップS4は、平面状に形成されたプレス面を有する本打型用プレスヘッド51を用いることによって、仮打型ステップS2にて仮打型された化粧料Cに対してプレス処理を施して本打型するので、化粧皿2の内周面に付着するバリを低減することができる。したがって、本実施形態によれば、固形粉末化粧料1の外観を良好にすることができ、製造効率を向上させることができる。

【0033】
(2)突出部413は、外周側から内周側に向かうにしたがって突出量が小さくなるように形成された傾斜面414を有しているので、例えば、断面矩形状の突出部を有する仮打型用プレスヘッドを用いることによって、化粧料Cに対してプレス処理を施して仮打型した場合と比較してプレス処理を施した後の化粧料Cの表面を滑らかにすることができる。したがって、仮打型ステップS2にて仮打型された化粧料Cに対してプレス処理を施して本打型するときに、化粧料Cに対して無理なく圧力を加えることができ、化粧皿2の内周面に付着するバリを更に低減することができる。
【0034】
(3)収容ステップS3は、仮打型ステップS2にて仮打型された化粧料Cを金型3から取り出して、この金型3とは異なる化粧皿2に収容するので、仮打型ステップS2にて金型3の枠状部31の内周面に付着したバリを取り除いて化粧皿2に収容することができる。そして、本打型ステップS4は、収容ステップS3にて化粧皿2に収容された化粧料Cに対してプレス処理を施して本打型するので、化粧皿2の内周面に付着するバリを低減することができる。したがって、本実施形態によれば、固形粉末化粧料1の外観を良好にすることができ、製造効率を向上させることができる。
【0035】
(4)仮打型用プレスヘッド41は、弾性体からなるので、その大きさを金型3の枠状部31の開口よりも僅かに大きく形成した場合であっても金型3の枠状部31の開口に対して挿抜することができる。したがって、本実施形態によれば、金型3の枠状部31の内周面に付着するバリを更に低減することができる。
【0036】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、既に説明した部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0037】
図9は、本発明の第2実施形態に係る化粧料を充填する化粧皿を示す模式図である。
化粧皿2は、図9に示すように、ハカマ6の内部に収納されている。そして、化粧皿2は、ハカマ6を移動させることによって、後述の充填装置や、プレス装置などに搬送される。
【0038】
図10は、化粧皿に化粧料を充填した状態を示す模式図である。
固形粉末化粧料1を製造するには、まず、ターンテーブルなどの搬送手段(図示略)を介してハカマ6を移動させることによって、化粧皿2を充填装置(図示略)に搬送する。
この充填装置は、図10に示すように、化粧皿2の充填空間S(図9参照)に化粧料Cを充填する(S11:充填ステップ)。なお、充填装置は、化粧皿2の上端の高さまで化粧料Cを充填し、化粧料Cの表面を擦り切ることによって平面状に形成する。
【0039】
図11は、仮打型用プレス装置を示す図である。
次に、ターンテーブルなどの搬送手段を介してハカマ6を移動させることによって、化粧皿2を仮打型用プレス装置4Aに搬送する。
仮打型用プレス装置4Aは、図11に示すように、化粧皿2の開口と対応する形状に形成された仮打型用プレスヘッド41Aを備えている。
【0040】
仮打型用プレスヘッド41Aは、化粧皿2の開口よりも僅かに大きく形成されたプレス面411Aと、化粧皿2の内周面に嵌合する外周面412Aと、外周面412Aを含むようにしてプレス面411Aに形成されるとともに、化粧皿2側に向かって突出するようにして形成された環状の突出部413Aとを有している。突出部413Aは、外周側から内周側に向かうにしたがって突出量が小さくなるとともに、化粧皿2側に膨らむようにして湾曲した形状に形成された湾曲面414Aを有している。
【0041】
また、この仮打型用プレスヘッド41Aは、弾性体としてのウレタンを素材として採用している。
なお、本実施形態では、仮打型用プレスヘッド41Aは、ウレタンを素材として採用しているが、ゴムなどの他の弾性体を素材として採用してもよく、金属などを素材として採用してもよい。
【0042】
図12は、化粧料に対してプレス処理を施して仮打型した状態を示す模式図である。
この仮打型用プレス装置4Aは、図12に示すように、仮打型用プレスヘッド41Aを下降させることによって(図中矢印参照)、化粧皿2の内周面の高さよりも化粧料Cの外縁の高さが低くなるように化粧料Cに対してプレス処理を施して仮打型する(S12:仮打型ステップ)。その後、仮打型用プレス装置4Aは、仮打型用プレスヘッド41Aを上昇させることによって、化粧皿2から仮打型用プレスヘッド41Aを引き抜く。
ここで、仮打型用プレスヘッド41Aは、化粧皿2の開口よりも僅かに大きく形成されたプレス面411Aを有しているので、仮打型用プレスヘッド41Aと、化粧皿2との間に化粧料Cが入り込みにくくなっている。
【0043】
図13は、化粧料に対してプレス処理を施して本打型した状態を示す模式図である。
次に、ターンテーブルなどの搬送手段を介して化粧皿2を本打型用プレス装置5に搬送する。
本打型用プレス装置5は、図13に示すように、本打型用プレスヘッド51を下降させることによって(図中矢印参照)、化粧皿2に収容された化粧料Cに対してプレス処理を施して本打型する(S13:本打型ステップ)。その後、本打型用プレス装置5は、本打型用プレスヘッド51を上昇させることによって、化粧皿2から本打型用プレスヘッド51を引き抜く。
したがって、本打型ステップS13は、化粧料Cを化粧皿2から取り出すことなく、仮打型ステップS12にて仮打型された化粧料Cに対してプレス処理を施して本打型する。
【0044】
このような本実施形態によれば、前記実施形態における(1),(2),(4)と同様の作用・効果を奏することができる他、以下の作用・効果を奏することができる。
(5)本打型ステップS13は、化粧料Cを化粧皿2から取り出すことなく、仮打型ステップS12にて仮打型された化粧料Cに対してプレス処理を施して本打型するので、固形粉末化粧料1の製造方法を簡素にすることができるとともに、固形粉末化粧料1の外観を良好にすることができ、製造効率を向上させることができる。
【0045】
(6)突出部413Aは、外周側から内周側に向かうにしたがって突出量が小さくなるとともに、化粧皿2側に膨らむようにして湾曲した形状に形成された湾曲面414Aを有しているので、突出部413を有する前記第1実施形態の仮打型用プレスヘッド41を用いることによって、化粧料Cに対してプレス処理を施して仮打型した場合と比較してプレス処理を施した後の化粧料Cの表面のうち、化粧皿2の外周面に近い部位を更に凹ませることができる。したがって、本打型ステップS13にて化粧料Cを化粧皿2から取り出すことなく、仮打型ステップS12にて仮打型された化粧料Cに対してプレス処理を施して本打型した場合であっても化粧皿2の内周面に付着するバリを確実に低減することができる。
【0046】
〔実施形態の変形例〕
なお、本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記第1実施形態では、仮打型用プレスヘッド41は、突出部413を備え、この突出部413は、外周側から内周側に向かうにしたがって突出量が小さくなるように形成された傾斜面414を有していた。また、前記第2実施形態では、仮打型用プレスヘッド41Aは、突出部413Aを備え、この突出部413Aは、外周側から内周側に向かうにしたがって突出量が小さくなるとともに、化粧皿2側に膨らむようにして湾曲した形状に形成された湾曲面414Aを有していた。
これに対して、突出部は、外周面を含むようにしてプレス面に形成されるとともに、容器側に向かって突出するようにして形成された環状の部位であればよい。
【0047】
図14は、突出部の他の形状の例を示す図である。
例えば、仮打型用プレスヘッド41Bは、図14(a)に示すように、プレス面411Bと、外周面412Bと、突出部413Bとを備え、この突出部413Bは、外周側から内周側に向かうにしたがって突出量が小さくなるように形成された傾斜面414Bと、外周面412Bおよび傾斜面414Bの間に形成された平坦面415Bとを有していてもよい。
また、例えば、仮打型用プレスヘッド41Cは、図14(b)に示すように、プレス面411Cと、外周面412Cと、突出部413Cとを備え、この突出部413Cは、外周側から内周側に向かうにしたがって突出量が小さくなるとともに、化粧皿2側とは反対側(図中上側)に凹むようにして湾曲した形状に形成された湾曲面414Cを有していてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上のように、本発明は、固形粉末化粧料の製造方法に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0049】
1 固形粉末化粧料
2 化粧皿(容器,本打型用容器)
3 金型(容器)
4,4A 仮打型用プレス装置
5 本打型用プレス装置
6 ハカマ
21 底面部
22 側壁部
31 枠状部
32 台座部
41,41A 仮打型用プレスヘッド
51 本打型用プレスヘッド
411,411A プレス面
412,412A 外周面
413,413A 突出部
414,414A 傾斜面
C 化粧料
S 充填空間
図1
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