特許第6284808号(P6284808)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6284808バレルとチップ、並びにこのチップとバレルを備えたダーツ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284808
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】バレルとチップ、並びにこのチップとバレルを備えたダーツ
(51)【国際特許分類】
   A63B 65/02 20060101AFI20180215BHJP
【FI】
   A63B65/02 A
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-76490(P2014-76490)
(22)【出願日】2014年4月2日
(65)【公開番号】特開2015-196017(P2015-196017A)
(43)【公開日】2015年11月9日
【審査請求日】2017年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】593190515
【氏名又は名称】株式会社ハマダ工商
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】浜崎 幸男
(72)【発明者】
【氏名】井口 勝夫
(72)【発明者】
【氏名】鷲山 真祥
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第5967915(US,A)
【文献】 登録実用新案第3172260(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3116156(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 65/02
A63H 33/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄、鋼でなるバレルであって、このバレルは、略フラット上面と、この上面の両端より略三角山形形状に収れんした側面とを備えた三角形状に形成する構成としたダーツ用のバレル。
【請求項2】
前記バレルは、三角形状の略樽型とする構成であって、その外周面に、複数の溝を、形成するとともに、始端と終端に一条の溝を、中心部に二条の溝を形成する構成とした請求項1に記載のダーツ用のバレル。
【請求項3】
前記バレルは、焼入れ手段を利用して、カラー化を可能にする構成とした請求項1に記載のダーツ用のバレル。
【請求項4】
前記バレルは、三角形状の樹脂製の略樽型カバー、又は樹脂製のいも型カバーを被覆する構成とした請求項1に記載のダーツ用のバレル。
【請求項5】
樹脂製のチップの中に、顔料を添加するとともに、少なくとも、一本の補強用のワイヤを備え
前記ワイヤを、前記チップの長手方向で、かつ根元の螺孔に貫設するように、少なくとも、一本貫設する構成としたダーツ用のチップ。
【請求項6】
前記ワイヤは、金属、硬質樹脂、硬質ゴムとする構成とした請求項5に記載のダーツ用のチップ。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のバレルと、
請求項5から請求項6のいずれか一項に記載のチップと、
このバレルに取付けたフライトと、
で構成したダーツ。
【請求項8】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のバレルと、
樹脂製のチップの中に、顔料を添加するとともに、少なくとも、一本の補強用のワイヤを備える構成のダーツ用のチップと、
このバレルに取付けたフライトと、
で構成したダーツ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダーツの部品であるバレルと、同チップ、並びにこのチップとバレルを備えたダーツに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のダーツは、図14に示すように、バレルは、タングステンを環状に形成し、その始端と終端(両端)を、単純に、絞り込んだ形状である。従って、把手した際に、三本の指で、略点接触の感じで支持する構造である。従って、一般的には、把手する位置の特定ができず、違和感が有り、かつ安定性がなく、また、不安になる。また、ダーツの楽しみと、競技では、高得点が望めないと考えられる。また、そのチップは、危険解除と簡易化等の面から、樹脂製とする構造が、普及する状況である。しかしながら、樹脂製であるが故に、耐久性にかけることと、前述のバレルの環状形成と、同じような問題を抱えている。
【0003】
この問題を解決するための一例として、バレルの環状形成を変更することが、最適である。また、チップの耐久性を確保できる文献として、次のような、発明と考案が挙げられる。
【0004】
文献(1)は、実用新案登録第3116156号公報に記載のダーツのバレルを、六角形か八角形にした構造である。しかしながら、単純な、多角形構造では、グリップ感の向上は可能であるが、依然として、改良点が考えられる。例えば、この構造では、違和感が残り、かつ安定性が今一であること、また、ダーツの楽しみと、競技では、必ずしも、高得点が望めないと考えられる。
【0005】
文献(2)は、実用新案登録第3118732号公報に記載のダーツシャフトのバレルを多角形か、楕円形とかにする構造である。しかし、この考案も、文献(1)と同様な、改良点が考えられる。
【0006】
また、文献(3)は、国際公開WO2007/000983号公報に記載のダーツチップ、ダーツシャフト、ダーツにおいて、チップに一条等の溝を形成することと、シャフト(バレル)を多角形か、楕円形とかにする構造である。しかし、この発明も、文献(1)と同様な、改良点が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3116156号公報
【特許文献2】実用新案登録第3118732号公報
【特許文献3】国際公開WO2007/000983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の問題を解決するための一例として、前記文献(1)〜文献(3)があり、有効である。しかしながら、本発明が意図するバレルの特徴、例えば、把手する位置の特定を達成し、違和感を無くし、かつ安定性確保と、また、不安感を無くして、ダーツ、及び/又は、競技を楽しみ、或いは、競技では、高得点を獲得すること、等に関しては、十分とは考えられない。
【0009】
また、本発明が意図するバレルの特徴、例えば、樹脂製の弱点回避と、適宜の重さ確保等とが図れ、しかも、違和感を無くし、かつ安定性確保と、また、ダーツ、及び/又は、競技を楽しみ、或いは、競技では、高得点を獲得すること、等に関しては、十分とは考えられない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記に鑑み、本発明は、バレルの外観形状を、略フラット上面と、この上面の両端より略三角山形形状に収れんした側面とを備えた三角形状に形成するとともに、始端と終端を、絞込み、全体として、略樽型とした構成とする。これにより、例えば、把手する位置の特定を達成し、違和感を無くし、かつ安定性確保と、また、不安感を無くして、ダーツ、及び/又は、競技を楽しみ、或いは、競技では、高得点が望め得る、等の目的を叶え得る。
【0011】
また、本発明は、チップに、顔料添加とともに、一本の補強用のワイヤを備える構造で、耐久性向上と、的への支持確保が図れる構成とする。これにより、例えば、樹脂製の弱点回避と、適宜の重さ確保等とが図れ、しかも、違和感を無くし、かつ安定性確保と、また、ダーツ、及び/又は、競技を楽しみ、或いは、競技では、高得点が望め得る、等の目的を叶え得る。
【0012】
上記、目的達成のために、請求項1〜請求項8を提案する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明は、鉄、鋼でなるバレルであって、バレルは、略フラット上面と、上面の両端より略三角山形形状に収れんした側面とを備えた三角形状に形成する構成としたダーツ用のバレルであり、把手する位置の特定を達成し、違和感を無くし、かつ安定性確保と、また、不安感を無くして、ダーツ、及び/又は、競技を楽しみ、或いは、競技では、高得点が望め得る、等の目的を叶え得る効果がある。
【0014】
請求項2の発明は、バレルは、三角形状の略樽型とする構成であって、外周面に、複数の溝を、形成するとともに、始端と終端に一条の溝を、中心部に二条の溝を形成する構成とした請求項1に記載のダーツ用のバレルであり、請求項1の目的達成とともに、把手する位置の特定を達成し、違和感を無くし、かつ安定性確保と、において、優れた効果がある。
【0015】
請求項3の発明は、バレルは、焼入れ手段を利用して、カラー化を可能にする構成とした請求項1に記載のダーツ用のバレルであり、請求項1の目的達成とともに、各人の趣向性にマッチしたダーツを提供できる効果がある。
【0016】
請求項4の発明は、バレルは、三角形状の樹脂製の略樽型カバー、又は樹脂製のいも型カバーを被覆する構成とした請求項1に記載のダーツ用のバレルであり、金属アレルギー防止用と、軽量化確保等とが図れ、しかも、違和感を無くし、かつ安定性確保と、また、ダーツ、及び/又は、競技を楽しみ、或いは、競技では、高得点が望め得る、等の目的を叶え得る効果がある。
【0017】
請求項5の発明は、樹脂製のチップの中に、顔料を添加するとともに、少なくとも、一本の補強用のワイヤを備え、ワイヤを、チップの長手方向で、かつ根元の螺孔に貫設するように、少なくとも、一本貫設する構成としたダーツ用のチップであり、請求項4の目的達成とともに、樹脂製の弱点回避と、適宜の重さ確保等とが図れる等の優れた効果がある。
【0019】
請求項の発明は、ワイヤは、金属、硬質樹脂、硬質ゴムとする構成とした請求項5に記載のダーツ用のチップであり、請求項5の目的達成とともに、違和感を無くし、かつ安定性確保と、また、ダーツ、及び/又は、競技を楽しみ、或いは、競技では、高得点が望め得る、等の優れた効果がある。
【0020】
請求項の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のバレルと、
請求項5から請求項6のいずれか一項に記載のチップと、
このバレルに取付けたフライトと、
で構成したダーツであり、請求項1に記載の効果、及び/又は、請求項5に記載の効果、を達成するに最適である。
請求項8の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のバレルと、
樹脂製のチップの中に、顔料を添加するとともに、少なくとも、一本の補強用のワイヤを備える構成のダーツ用のチップと、
このバレルに取付けたフライトと、
で構成したダーツである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】チップとバレルを備えた第1のダーツを示した縮尺斜視図
図2】第1のダーツのバレルの斜視図
図3-1】第1のダーツのバレルの左側面図
図3-2】第1のダーツのバレルの右側面図
図4】第1のダーツのバレルの断面図
図5】第1のダーツのチップの斜視図
図6-1】チップの断面図
図6-2】他のチップの断面図
図7】チップとバレルを備えた第2のダーツを示した縮尺斜視図
図8】第2のダーツのバレルの斜視図
図9】第2のダーツの横端面図
図10】チップとバレルを備えた第3のダーツを示した縮尺斜視図
図11】第3のダーツのバレルの斜視図
図12】第3のダーツの横端面図
図13】(イ)〜(ハ)は、第3のダーツを、図14に示す、従来のダーツに被せた状態の拡大断面図であり、(イ)は、バレルの始端と終端の端面までとする例、(ロ)は、バレルの始端と終端の端面より延設し、チップ、及び/又は、シャフトの一部まで被せる特異な例、また、(ハ)は、バレルの始端では、チップの一部を被せ、かつ終端の端面を被せる他の特異な例を示す
図14】チップとバレルを備えた従来のダーツを示した縮尺斜視図
【発明を実施するための形態】
【0022】
図中1はダーツであり、チップ2と、バレル3、並びにフライト5(羽根)とでなる。
【0023】
バレル3は、図1図5に示した第1のダーツ1と、図7図9に示した第2のダーツ1−1、並びに図10図12に示した第3のダーツ1−2等が好ましい一例である。以下、順に説明する。
【0024】
図1図5に示した第1のダーツ1のバレル3は、重さと焼入れを考慮し、鉄、鋼でなる。このバレル3は、略フラット上面3aと、上面3aの両端より略三角山形形状に収れんした側面3b、3cとでなる、三角形状に形成した、略樽型構造となっている。そして、始端3dと終端3eは、環状で、かつ中心部3fに対して、収れんした構造である。この第1のダーツ1は、鉄、鋼でなる金属素材を、焼入れで形成するとともに、顔料を添加して、各種の色彩を施す構造である。各人の趣向性の向上を図る。この樽型形状では、上面3aに人差し指が面接触し、両端側面3b、3cに、親指と中指が面接触する状態が確保できるので、目的とする三点支持が確保される。これにより、前述した、把手する位置の特定と、違和感を無くし、かつ安定性確保と、また、不安感を無くし、ダーツ、及び/又は、競技を楽しみ、或いは、競技では、高得点が望め得る、等の効果がある。図中6、7は螺孔を示す。また、8は溝であり、樽の外周面方向に凹設されており、この例では、始端3dと終端3eに一条の溝8を、中心部3fに二条の溝8を形成する構成である。この溝8は滑り止めである。
【0025】
図7図9に示した第2のダーツ1−1のバレル3−1は、第1のダーツ1のバレル3と同じく、外観形状は、略樽型形状(略樽型カバー)であるが、この例のダーツ1−1は、図14に示した従来のダーツ100に、被せて使用する一例であり、ダーツ100のバレル300に、被せるための貫通孔10を備えた、原則として、樹脂製とする。そして、バレル3−1の外観形状は、上面3aと両端側面3b、3cとを有する。この実施例では、原則として螺孔6、7は備えない。また、従来のバレル300より、太さを確保でき、把持した際に、感覚的に優れ、かつ重量増加もなく、総合的には、違和感が全くない等の利点がある。尚、場合により、金属製も可能であるが、一部の効果が阻害される。しかし、従来のダーツ100利用という観点からは効果がある。その他は、第1のダーツ1に準ずる。
【0026】
図10図12に示した第3のダーツ1−2のバレル3−2は、第1のダーツ1のバレル3とは異なる形状であり、外観形状は、いも型形状(いも型カバー)であるが、この例のダーツ1−2は、図14に示した従来のダーツ100に、被せて使用する一例であり、ダーツ100のバレル300に、被せるための貫通孔10を備えた、原則として、樹脂製とする。この実施例では、原則として螺孔6、7は備えない。また、従来のバレル300より、太さを確保でき、把持した際に、感覚的に優れ、かつ重量増加もなく、総合的には、違和感が全くない等の利点がある。尚、場合により、金属製も可能であるが、一部の効果が阻害される。しかし、従来のダーツ100利用という観点からは効果がある。その他は、第1のダーツ1に準ずる。
【0027】
図5図6−2に示したチップ2は、樹脂製であり、その補強、及び/又は、重さの確保のために、顔料11と、ワイヤ12(金属、硬質樹脂、硬質ゴム、木材、セラミック等)を設ける。顔料11は、全体に混合し、素材の樹脂と同じとするか、又は異なる色彩とする。また、ワイヤ12は、軸方向の全体に設け、素材の樹脂と同じとするか、又は異なる色彩とする。この例では、素材に汎用形の樹脂を利用し、コストの低廉化、利便性等を確保する。そして、使用に際しては、ダーツ1等の的への支持確保と、重量バランス確保等に有効と考えられる。図中13は螺軸であり、バレル3の螺孔6に螺着される。
【0028】
フライト5は、羽根5aとシャフト5bで構成されている。シャフト5bに設けた螺軸(図示せず)は、バレル3の螺孔7に螺着される。
【0029】
ダーツ1の主体をなす、バレル3を、樽型形状の上面3aに人差し指が面接触し、その下側に向かった両端側面3b、3cに、親指と中指が面接触する状態が確保できるので、目的とする三点支持が確保される。これにより、違和感なく把手できる特徴があり、前述した、把手位置の特定と、かつ安定性確保と、また、不安感を無くし、ダーツ、及び/又は、競技を楽しみ、或いは、競技では、高得点が望め得る、等の効果がある。また、樽の外周面方向に凹設した、始端3dと終端3eに一条の溝8を、中心部3fに二条の溝8を形成する構成である。滑り止めと、前記把手位置の特定と、かつ安定性確保に役立ち、かつ落着いた状態での投擲を楽しむことができる。また、被せ方式と、樹脂の特性とを利用して、金属アレルギーを無くし、安心して競技を楽しめる。
【0030】
また、チップ2では、ワイヤ12を含めた適度の重みと、樹脂の特性を利用して、危険性の回避と、軽量化とカラフル化等を楽しめる。
【符号の説明】
【0031】
1 ダーツ
1−1 ダーツ
1−2 ダーツ
2 チップ
3 バレル
3−1 バレル
3−2 バレル
3a 上面
3b 側面
3c 側面
3d 始端
3e 終端
3f 中心部
5 フライト
5a 羽根
5b シャフト
6 螺孔
7 螺孔
8 溝
10 貫通孔
11 顔料
12 ワイヤ
13 螺軸
100 ダーツ
300 バレル
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14