特許第6284815号(P6284815)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284815
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】落下防止具
(51)【国際特許分類】
   F16B 45/02 20060101AFI20180215BHJP
   F16B 45/00 20060101ALI20180215BHJP
   F16B 1/02 20060101ALI20180215BHJP
   B60R 11/00 20060101ALN20180215BHJP
   B60P 7/135 20060101ALN20180215BHJP
【FI】
   F16B45/02 B
   F16B45/00 F
   F16B1/02 J
   F16B1/02 Q
   !B60R11/00
   !B60P7/135
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-87411(P2014-87411)
(22)【出願日】2014年4月21日
(65)【公開番号】特開2015-206412(P2015-206412A)
(43)【公開日】2015年11月19日
【審査請求日】2016年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】594016768
【氏名又は名称】オールセーフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(72)【発明者】
【氏名】中村 泰三
【審査官】 熊谷 健治
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭57−024983(JP,Y2)
【文献】 実開平05−062270(JP,U)
【文献】 特開2004−245396(JP,A)
【文献】 特開昭53−065554(JP,A)
【文献】 特開2010−254269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 45/00−47/00
F16B 1/02
B60P 7/135
B60R 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に開口する略J字状のフック部を一端にすると共に、他端にベルト材を貫通させる貫通孔を有し、平板材を打ち抜いた形態のフック部材と、
該フック部材に、その厚さ方向に延びる軸線回りに揺動可能に取り付けられ、前記フック部の開口を開閉可能なキーパ部材と、
前記フック部の開口を内側から閉じる方向に前記キーパ部材を付勢するバネと
前記フック部材の前記貫通孔を貫通して一端が取り付けられた帯状のベルト材と、
該ベルト材の他端に取り付けられ、搬送コンテナの内壁に固定されたレール板の貫通孔に着脱可能に取り付けられるベルト固定金具とを備え、
前記キーパ部材が、前記バネによる付勢方向の先端面よりも後方において、該キーパ部材の揺動平面から突出し、指を掛けることができる突起を備える落下防止具
【請求項2】
前記ベルト固定金具が取り付けられた前記ベルトの他端に、前記フック部を引っ掛け可能な環状部材が取り付けられている請求項に記載の落下防止具。
【請求項3】
前記キーパ部材が平板材からなり、
前記突起が、前記キーパ部材を構成する前記平板材を屈曲させて鍔状に形成されている請求項1又は2に記載の落下防止具
【請求項4】
前記突起が、前記フック部材の厚さ方向の両側に突出している請求項1から3のいずれかに記載の落下防止具
【請求項5】
前記フック部材に、前記キーパ部材によって開口が閉じられた状態で、前記キーパ部材の前記先端面の両側に、該先端面とともに外側に開く凹部を形成する導入部が設けられている請求項1から請求項のいずれかに記載の落下防止具
【請求項6】
前記フック部材が、一端に前記フック部を有し、他端に、ベルト材を貫通させる貫通孔を有する請求項1から請求項のいずれかに記載の落下防止具
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下防止具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、略U字状に打ち抜かれた金属製平板材からなるフック部材と、該フック部材に揺動可能に取り付けられ、フック部材の開口を内側から閉じる方向にバネにより付勢されたキーパ部材とを備えるスナップフックが知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
このスナップフックはフック部材を引っ掛ける棒状の相手部材をキーパ部材の外面に押し付けて、その押圧力によってキーパ部材を開口の内側に揺動させることにより、閉じられていた開口を開放して相手部材をフック部材の内側に導入する。そして、導入により相手部材からキーパ部材に加えられていた押圧力が解除されることにより、キーパ部材が開口を閉じて、フック部材が相手部材から外れないように引っ掛けられた状態に保持されるようになっている。
【0003】
このスナップフックは、上述したようにキーパ部材の外面に加えた押圧力によりキーパ部材を揺動させてフック部材の開口を開放する構造であるため、フック部材を相手部材に引っ掛ける際にはキーパブ材を操作しなくても簡単に引っ掛けることができる。一方、フック部材を相手部材から取り外す際には、キーパ部材を指で内側に揺動させてフック部材の開口を開く必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】アンクラジャパン総合カタログVol.9、「スナップフック」、p22、アンクラジャパン株式会社、2008.08発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のスナップフックは、フック部材を相手部材から取り外す際には、フック部材を相手部材に引っ掛ける際に相手部材によって押圧力を加えた位置と同じ位置を指で押してキーパ部材を揺動させる必要があり、相手部材が通過可能な広さよりも指の厚さ分だけ広げるためにキーパ部材を必要以上に大きく揺動させなければならない。また、キーパ部材を揺動させた指の背側を通過させて相手部材を取り外す必要があり、指が邪魔になることがある。
【0006】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、フック部材を相手部材から取り外すときの操作性を向上することができるスナップフック、ベルトおよび落下防止具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の一態様は、一方向に開口する略J字状のフック部を一端にすると共に、他端にベルト材を貫通させる貫通孔を有し、平板材を打ち抜いた形態のフック部材と、該フック部材に、その厚さ方向に延びる軸線回りに揺動可能に取り付けられ、前記フック部の開口を開閉可能なキーパ部材と、前記フック部の開口を内側から閉じる方向に前記キーパ部材を付勢するバネと、前記フック部材の前記貫通孔を貫通して一端が取り付けられた帯状のベルト材と、該ベルト材の他端に取り付けられ、搬送コンテナの内壁に固定されたレール板の貫通孔に着脱可能に取り付けられるベルト固定金具とを備え、前記キーパ部材が、前記バネによる付勢方向の先端面よりも後方において、該キーパ部材の揺動平面から突出し、指を掛けることができる突起を備える落下防止具を提供する。
【0008】
本態様によれば、キーパ部材がバネの付勢力によってフック部の開口を内側から閉じている状態で、棒状の相手部材にキーパ部材の先端面を相手部材に押し当てることにより、先端面に加えられた押圧力により、キーパ部材がフック部材に対して揺動させられてフック部の開口が開かれるので、相手部材がフック部内に挿入される。相手部材がフック部内に導かれることによりキーパ部材の先端面から外れると、キーパ部材はバネによってフック部の開口を閉じる方向に揺動させられる。これにより、相手部材からフック部が外れないように引っ掛けられる。
【0009】
一方、相手部材に引っ掛かっている状態のフック部材を取り外すには、キーパ部材をフック部材に対して揺動させてフック部の開口を開くことにより、フック部の開口内から相手部材を取り出してフック部材を相手部材から取り外すことができる。この場合において、操作者は、キーパ部材に設けられた突起に指を引っかけてキーパ部材を揺動させる。突起はキーパ部材の先端面よりも後方に配置されているので、先端面に直接指をかけてキーパ部材を揺動させる場合と比較して、指の背の位置を後退させることができる。
【0010】
すなわち、先端面に直接指をかけてキーパ部材を揺動させる場合には、指の厚さ分だけ余計にキーパ部材を揺動させなければ相手部材を通過可能な寸法だけ開口を広げることができない。このため、キーパ部材が十分に揺動されていない場合には、操作者の指が相手部材を取り外す際の障害になるが、本態様によれば、先端面から後退した位置に配置された突起に指をかけてキーパ部材を揺動させるので、操作する指が障害になる不都合を低減することができる。これにより、フック部材を相手部材から取り外す際の操作性を向上することができる。
【0011】
また、本態様によれば、ベルト材の他端に取り付けられたベルト固定金具を搬送コンテナの内壁に固定されたレール板の貫通孔に取り付け、ベルト材の一端に取り付けられたフック部材を相手部材に引っ掛けることにより、相手部材を含む積荷が搬送コンテナ内壁に繋ぎ止められて、搬送コンテナ内から落下する不都合の発生を未然に防止することができる。
【0012】
上記態様においては、前記ベルト固定金具が取り付けられた前記ベルトの他端に、前記フック部を引っ掛け可能な環状部材が取り付けられていてもよい。
このようにすることで、落下防止具を使用しないときには、ベルト固定金具を搬送コンテナの内壁のレール板に固定した状態で、フック部をベルト固定金具の近傍の環状部材に引っ掛けておくだけで、搬送中に落下防止具が暴れないように片づけておくことができる。使用時には、フック部を環状部材から容易に外してそのまま相手部材に引っ掛けるだけで済み、操作を極めて簡易にすることができる。
【0013】
上記態様においては、前記キーパ部材が平板材からなり、前記突起が、前記キーパ部材を構成する前記平板材を屈曲させて鍔状に形成されていてもよい。
このようにすることで、キーパ部材を簡易に構成することができるとともに、鍔状の突起を指で押すので、指からの押圧力を面で受けることができ、指に加わる面圧を軽減して負担を低減することができる。
【0014】
また、上記態様においては、前記突起が、前記フック部材の厚さ方向の両側に突出していてもよい。
このようにすることで、操作者の利き腕が左右いずれの場合であっても、取り外し操作を容易に行うことができる。
【0015】
また、上記態様においては、前記フック部材に、前記キーパ部材によって開口が閉じられた状態で、前記キーパ部材の前記先端面の両側に、該先端面とともに外側に開く凹部を形成する導入部が設けられていてもよい。
このようにすることで、フック部材を相手部材に引っ掛ける際に、キーパ部材によって閉じられた開口の外側に、キーパ部材と導入部とで凹部が構成されているので、操作者は、手探りでも凹部に相手部材を容易に配置することができ、そのまま、相手部材にキーパ部材の先端面を押しつけるだけでフック部材を相手部材に引っ掛けることができる。
【0016】
また、上記態様においては、前記フック部材が、一端に前記フック部を有し、他端に、ベルト材を貫通させる貫通孔を有していてもよい。
このようにすることで、ベルト材を貫通孔に貫通させた状態で固定し、ベルトによる固縛や落下防止措置を行う際の相手部材へのベルトの着脱を容易に行うことができる。
【0017】
また、本発明の他の態様は、前記フック部材、前記キーパ部材、および前記バネを有するスナップフックと、該スナップフックの前記貫通孔を貫通して一端が取り付けられた帯状のベルト材とを備えるベルトを提供する。
本態様によれば、ベルト材の一端に取り付けたフック部材を相手部材に引っ掛けることにより、ベルト材による固縛や落下防止措置を容易に行うことができ、相手部材からの取り外しも容易に行って固縛状態や落下防止状態を容易に解除することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、フック部材を相手部材から取り外すときの操作性を向上することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る落下防止具を示す正面図である。
図2図1の落下防止具に備えられるベルト固定金具とレール板とを示す斜視図である。
図3図2のベルト固定金具をレール板の貫通孔に取り付ける際の(a)取付開始状態、(b)途中状態、(c)取付終了状態をそれぞれ示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係るスナップフックの正面図である。
図5図4のスナップフックの左側面図である。
図6図4のスナップフックの右側面図である。
図7図4のスナップフックの平面図である。
図8図4のスナップフックの底面図である。
図9図4のスナップフックの背面図である。
図10図4のスナップフックのキーパ部材を揺動させて開口を開放した状態を示す正面図である。
図11図4のスナップフックの斜視図である。
図12図4のスナップフックを相手部材に取り付ける際の(a)取付前の状態、(b)開口を開いた状態、(b)取付後の状態をそれぞれ示す正面図である。
図13図4のスナップフックを相手部材から取り外す際の(a)キーパ部材に指をかけた状態(b)指でキーパ部材を揺動させた状態をそれぞれ示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態に係るスナップフック1、ベルト2および落下防止具3について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る落下防止具3は、図1に示されるように、本実施形態に係るベルト2と、該ベルト2の一端に取り付けられたベルト固定金具4および環状部材5とを備えている。
【0021】
ベルト固定金具4は、図2に示されるように、搬送コンテナ等の対向する内側面のそれぞれに長さ方向に沿って配置されたレール板6に、長さ方向に間隔をあけて複数設けられた矩形状の貫通孔7に挿入されて固定されるものである。このベルト固定金具4は、金属板を側面視略U字状に2つ折りに湾曲させた形状の金具本体8と、該金具本体8を構成する金属板の隙間に、該金属板の板厚方向に延びる軸線A回りに揺動可能に取り付けられたストッパ部材9とを備えている。
【0022】
また、金具本体8には、金属板の湾曲部8aとは逆側の端部近傍に、幅方向に沿って延びる長孔10が設けられている。長孔10は、後述するベルト材11を挿入可能な長さ寸法および幅寸法を有している。ベルト材11は、長孔10を通過させた端部をそれ自体の長さ方向の途中位置に縫合等してループを形成することによりベルト固定金具4を端部に固定している。
【0023】
金具本体4は、レール板6に設けられた矩形状の貫通孔7の横幅寸法より若干小さい厚さ寸法と、貫通孔7の縦幅寸法より若干大きな幅寸法とを有するとともに、幅方向の両端面の長さ方向の途中位置に厚さ方向に沿って、レール板6の板厚より大きな溝幅寸法を有する溝12,13を備えている。
【0024】
一方の溝12は浅く、他方の溝13は深く形成されており、ストッパ部材9は揺動によって深い方の溝13の深さを切り替えるようになっている。そして、ベルト固定金具4をレール板6に取り付けるには、ストッパ部材9を揺動させて溝13の深さを深くした状態で、最初に、図3(a)に示されるように、深い方の溝13内にレール板6を挿入するように金具本体8を傾斜させて貫通孔7に挿入し、次いで、図3(b)に示されるように、傾きを戻して浅い方の溝12内に金具本体8の端部を挿入する。その後、図3(c)に示されるように、ストッパ部材9によって深い方の溝13の深さを浅くすることにより、ベルト固定金具4がレール板6の貫通孔7から外れないように保持されるようになっている。
【0025】
環状部材5は、金属製丸棒を湾曲させて環状に形成したもので、ベルト固定金具4を取り付けるためにベルト材11に形成されたループにベルト固定金具4とともに取り付けられている。
【0026】
本実施形態に係るベルト2は、ベルト材11と、該ベルト材11の一端に取り付けた本実施形態に係るスナップフック1とを備えている。
ベルト材11は、平坦な帯状に形成されている。
【0027】
本実施形態に係るスナップフック1は、フック部材14と、該フック部材14に揺動可能に取り付けられたキーパ部材15と、該キーパ部材15を一方向に付勢するバネ16とを備えている。
フック部材14は、金属製平板材を打ち抜いたような平坦な形態を有し、一端に一方向に開口する略J字状のフック部14aを備え、他端にベルト材11を貫通可能に形成された長孔14bを備えている。フック部材14はプレス加工によって打ち抜くことにより形成されてもよいし、ワイヤカットや切削加工等の他の任意の加工法によって形成されてもよい。
【0028】
キーパ部材15は、図4図11に示されるように、金属製平板材をプレス加工等によって屈曲することにより、フック部材14の厚さ寸法より若干大きな内幅寸法の横断面U字状に形成された本体部分15aと、該本体部分15aを構成する金属製平板材2つの端部を互いに逆方向に90°屈曲させることにより形成された鍔状の突起部15bとを備えている。そして、キーパ部材15は、本体部分15aによって、フック部材14を厚さ方向に挟むように配置され、フック部材14を厚さ方向に貫通するピン17によって、ピン17の軸線回りに揺動可能にフック部材14に取り付けられている。
【0029】
また、キーパ部材15は、一方向に揺動させられることにより、その先端が、フック部14の開口14cの内面に突き当たる長さ寸法を有し、突き当たることによって、フック部14の開口14cを閉じることができるようになっている。また、キーパ部材15は、他方向に揺動させられる際には、本体部分15aの内側にフック部材14を挿入しつつ揺動させられ、相手部材Bを通過させるのに十分な開口幅となるように開口14cを開放することができるようになっている。
【0030】
また、キーパ部材15に設けられた鍔状の突起部15bは、横断面U字状に形成された本体部分15aの2つの端部を屈曲して形成されているので、キーパ部材15が開口14cを閉じた状態では、開口14cの外側に向かう本体部分15aの一端面(以下、先端面という。)15cよりも開口14cの内側に離れた位置に配置され、フック部材15の厚さ方向の両側に突出している。先端面15cと突起部15bとの距離は、任意の寸法でよいが、操作者の人差し指の厚さ寸法と同等以上であることが好ましい。
【0031】
バネ16は、例えば、トーションバネであり、先端面15cの裏側とフック部14aの内面との間に配置されて、両者の距離を広げる方向に常にキーパ部材15を付勢している。これにより、外力を加えない状態では、キーパ部材15がフック部14aの開口14cの内面に突き当たる位置まで揺動させられて開口14cを閉じた状態となっている。
また、フック部材14には、開口14cを閉じた状態のキーパ部材15の先端面15cよりも外側に、先端面15cとともに外側に開口する凹部18を形成する導入部18aが設けられている。
【0032】
このように構成された本実施形態に係るスナップフック1、ベルト2および落下防止具3の作用について以下に説明する。
本実施形態に係るスナップフック1を棒状の相手部材Bに引っ掛けるには、操作者は、フック部材14のベルト材11が取り付けられている位置付近を持って、図12(a)に示されるように、キーパ部材15の先端面15cを相手部材Bに押しつける。
【0033】
キーパ部材15の先端面15cが相手部材Bから受ける押圧力がバネ16による付勢力を越えると、図12(b)に示されるように、キーパ部材15がフック部材14に対して揺動させられて開口14cが開かれ、相手部材Bがキーパ部材15の先端面15cをスライドしてフック部14a内に導かれる。相手部材Bがフック部14a内に入ってキーパ部材15から外れると、バネ16の付勢力によってキーパ部材15が戻り、フック部14aの開口14cが再度閉鎖される。これにより、図12(c)に示されるように、スナップフック1が相手部材Bから外れないように引っ掛けられることになる。
【0034】
この場合において本実施形態に係るスナップフック1は、相手部材Bによって押されるキーパ部材15の先端面15cより外側に、該先端面15cと導入部18aとによって外側に開く凹部18が形成されているので、操作者は相手部材Bに押しつける先端面15cを簡単に相手部材Bに位置合わせすることができる。すなわち、操作者は、凹部18内に相手部材Bを配置しさえすれば、先端面15cが相手部材Bに位置合わせされるので、後は相手部材Bに先端面15cを押しつけるように力を加えるだけで、スナップフック1を相手部材Bに簡単に引っ掛けることができる。したがって、操作者は手探りでもスナップフック1を相手部材Bに簡易に引っ掛けることができるという利点がある。
【0035】
一方、相手部材Bに引っ掛けられた状態のスナップフック1を相手部材Bから取り外すには、キーパ部材15を揺動させてフック部14aの開口14cを開くことにより、開かれた開口14cから相手部材Bを取り外すことができる。
この場合に、操作者は、図13(a)に示されるように、キーパ部材15に備えられた突起部15bに人差し指Cをかけ、親指Dをフック部材14の外面に当てて、両指C,Dを近接させる方向に外力をかけることにより、キーパ部材15がバネ16の付勢力に抗して揺動させられる。
【0036】
このとき人差し指Cをかけている突起部15bが先端面15cよりも後退した位置に配置されているので、図13(b)に示されるように、突起部15bにかけられている人差し指Cの背を先端面15cから大きく突出させずに済む。すなわち、フック部14aの開口14cが開かれたときにはキーパ部材15の先端面15c側を相手部材Bが通過するので、その際に人差し指Cの背が突出していないことによって、人差し指Cが取り外しの邪魔にならないという利点がある。
【0037】
しかも、先端面15cを直接人差し指Cで押してキーパ部材15を揺動させる場合と比較して、揺動角度が小さくても相手部材Bを取り外すことができる。キーパ部材15を大きく揺動させるためには、揺動角度の増加とともに大きくなるバネ16の付勢力を越える外力を加える必要があるので、揺動角度が小さくて済めば、それだけ取り外し作業の操作性を向上することができるという利点がある。
【0038】
また、本実施形態においては、突起部15bが、キーパ部材15の一部を屈曲させた鍔状に形成されているので、人差し指Cによって加えられる押圧力が広い面積で受けられて面圧が軽減され、操作者にかかる負担を軽減することができる。
また、本実施形態においては、突起部15bがフック部材14の厚さ方向の両側に突出しているので、操作者の利き腕が左右いずれの場合にも操作性を向上することができる。
【0039】
そして、このように構成された本実施形態に係るスナップフック1を備えるベルト2によれば、スナップフック1の取り付け、取り外しの操作性を向上し、ベルト材11によって簡易に固縛作業等を行うことができる。
【0040】
また、本実施形態に係るスナップフック1を備えた落下防止具3によれば、ベルト2の一端に取り付けられたベルト固定金具4を搬送コンテナの内壁に取り付けられたレール板6の貫通孔7に固定しておき、パイプ材等で構成された荷物の運搬用の台車(籠車)のパイプ材(相手部材B)にスナップフック1を引っ掛けておくだけで、トラックに備え付けのリフトによって台車を昇降させる際にも、台車がリフトから誤って落下することを未然に防止することができる。
【0041】
そして、本実施形態に係る落下防止具3によれば、使用しないときには、ベルト固定金具4をレール板6の貫通孔7に取り付けたままの状態で、スナップフック1を環状部材5に引っ掛けることにより、ベルト材11を吊り下げた状態にして、落下防止具3がトラックによる搬送中に暴れないように片づけておくことができる。したがって、片づけ作業が簡単になり、また、使用時にもスナップフック1を環状部材5から取り外して相手部材Bに掛け替えるだけで済むので便利である。
【符号の説明】
【0042】
C 人差し指(指)
1 スナップフック
2 ベルト
3 落下防止具
4 ベルト固定金具
5 環状部材
6 レール板
7 貫通孔
11 ベルト材
14 フック部材
14a フック部
14b 長孔(貫通孔)
14c 開口
15 キーパ部材
15b 突起部(突起)
15c 先端面
16 バネ
17 ピン(軸線)
18 凹部
18a 導入部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13