特許第6284838号(P6284838)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東海理化電機製作所の特許一覧 ▶ SMK株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6284838-タッチ式入力装置 図000002
  • 特許6284838-タッチ式入力装置 図000003
  • 特許6284838-タッチ式入力装置 図000004
  • 特許6284838-タッチ式入力装置 図000005
  • 特許6284838-タッチ式入力装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284838
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】タッチ式入力装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20180215BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   G06F3/041 522
   G06F3/044 128
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-131711(P2014-131711)
(22)【出願日】2014年6月26日
(65)【公開番号】特開2016-9463(P2016-9463A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2016年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】今井 貴夫
(72)【発明者】
【氏名】吉川 治
【審査官】 ▲高▼橋 徳浩
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0176268(US,A1)
【文献】 特開2012−150747(JP,A)
【文献】 特開2014−035605(JP,A)
【文献】 特開2014−056512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の駆動電極と複数のセンサ電極とをこれらの間の絶縁を保ちつつ格子状に重ねたセンサパターンを有するタッチパネルと、
前記各駆動電極に駆動信号を印加するとともに、前記駆動電極と前記センサ電極との交点部分に形成されたコンデンサ毎の静電容量変化に基づいて前記タッチパネルの操作面に対するタッチ操作を検出するコントローラと、を備えるタッチ式入力装置において、
前記コントローラは、
前記コンデンサ毎の基準値に対する静電容量の変化量を示すデータ群に基づいてタッチ操作の有無を判定するものであり、
前記データ群に基づいて人体が接触したときと異なる極性の静電容量の変化量を検出しつつ異なる極性の静電容量の検出位置が移動した場合には、外来ノイズの影響による変化であると判定してタッチ操作の検出を停止し、
人体が接触したときと異なる極性の静電容量の変化量が検出されながら異なる極性の静電容量の検出位置が移動しない場合には、外来ノイズの影響による変化ではないと判定してタッチ操作を検出し、
タッチ操作がない場合には、温度変化に基づいて前記基準値の補正を行い、
外来ノイズの影響による変化を検出した場合には、温度変化に基づく前記基準値の補正を停止する
ことを特徴とするタッチ式入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチ操作を検出するタッチ式入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タッチパネルをタッチ操作することで、ディスプレイに表示されたマウスポインタ等の操作を行うタッチ式入力装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このタッチ式入力装置では、ユーザがタッチパネルの操作面に触れることで、例えばディスプレイに表示された複数の機能項目の中から一つを選択して、所望の画面を表示させたり付帯機器を作動させたりすることが可能になっている。また、近年では、タッチ操作として、単に操作面に接触する操作だけでなく、例えばタッチパネルの操作面をある一方向へなぞったり払ったりするなぞり操作(フリック操作)を検出するようにしたタッチ式入力装置が提案されている。なお、こうしたなぞり操作は、例えばディスプレイに表示する画面をそのなぞり方向へスクロールするといった特定の機能と対応付けられる。
【0003】
さて、こうしたタッチ式入力装置としては、複数の駆動電極と複数のセンサ電極とを格子状に配置してなるセンサパターンに形成されるコンデンサの静電容量に基づいてタッチ操作を検出する投影型静電容量方式のものがある。このうち、駆動電極とセンサ電極との交点部分に形成されたコンデンサ毎の静電容量の変化を検出する相互容量方式では、同時に複数のタッチ位置を検出することが可能になるといった利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−9321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、電磁波等の外来ノイズが存在すると、外来ノイズの影響を受けたコンデンサの静電容量が両方の極性が入り乱れて変化する。このような場合には、タッチ操作であるか外来ノイズであるか区別することができないため、タッチ操作を適切に検出することが困難になる。
【0006】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、外来ノイズの影響を考慮しつつ、タッチ操作を的確に検出することができるタッチ式入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について説明する。
上記課題を解決するタッチ式入力装置は、複数の駆動電極と複数のセンサ電極とをこれらの間の絶縁を保ちつつ格子状に重ねたセンサパターンを有するタッチパネルと、前記各駆動電極に駆動信号を印加するとともに、前記駆動電極と前記センサ電極との交点部分に形成されたコンデンサ毎の静電容量変化に基づいて前記タッチパネルの操作面に対するタッチ操作を検出するコントローラと、を備えるタッチ式入力装置において、前記コントローラは、前記コンデンサ毎の基準値に対する静電容量の変化量を示すデータ群に基づいてタッチ操作の有無を判定するものであり、前記データ群に基づいて人体が接触したときと異なる極性の静電容量の変化量を検出した場合には、外来ノイズの影響による変化であると判定してタッチ操作の検出を停止し、人体が接触したときと異なる極性の静電容量の変化量が検出されながら異なる極性の静電容量の検出位置が移動しない場合には、外来ノイズの影響による変化ではないと判定してタッチ操作を検出することをその要旨としている。
【0008】
上記構成によれば、指等の人体が接触したときと異なる極性の静電容量の変化量が検出されるということは、人体以外のものが操作面に接触しているか、外来ノイズによる影響が考えられるので、外来ノイズの影響と判定してこの検出値を使用しないようタッチ操作の検出を停止する。このため、外来ノイズの影響による誤ったタッチ操作の検出を抑制することで耐ノイズ性を確保することができる。また、外来ノイズであれば異なる極性の静電容量の検出位置が移動するので、異なる極性の静電容量の検出位置が移動しない場合には、外来ノイズの影響でなく、異物や操作面の変化によるものである。このため、濡れた指等によるタッチ操作が行われて、人体が接触したときと異なる極性の静電容量の変化量が検出されたとしても、タッチ操作として検出することができる。
【0009】
上記タッチ式入力装置について、前記コントローラは、タッチ操作がない場合には、温度変化に基づいて前記基準値の補正を行い、外来ノイズの影響による変化を検出した場合には、温度変化に基づく前記基準値の補正を停止することが好ましい。
【0010】
上記構成によれば、温度変化に基づく基準値の補正を行うことで、タッチ操作を的確に検出することができるようになる。また、外来ノイズの影響によって静電容量の変化量を検出した場合には、基準値の補正を停止することで、基準値が変化することで静電容量の変化量が変更してしまうことを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、外来ノイズの影響を考慮しつつ、タッチ操作を的確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】タッチ式入力装置の第1の実施形態における車両に搭載した状態を示す図。
図2】同タッチ式入力装置のタッチパネルの操作面及びその近傍を示す平面図。
図3】同タッチ式入力装置のタッチパネルの図2の3−3断面図。
図4】同タッチ式入力装置の概略構成を示すブロック図。
図5】同タッチ式入力装置の状態遷移を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
以下、図1図5を参照して、タッチ式入力装置の第1の実施形態について説明する。
図1に示すように、ダッシュボード1の中央部(センタークラスタ)にはディスプレイ2が設けられている。センターコンソール4には、シフトレバー5が設けられており、その手前側には、タッチ式入力装置10のタッチパネル11がその操作面11aを露出させる態様で埋設されている。すなわち、本実施形態のタッチ式入力装置10は車両に搭載されている。そして、ユーザは、指やスタイラス等の導電体を用いてタッチパネル11をタッチ操作することにより、ディスプレイ2に表示された所望の機能項目の選択及び決定を行い、エアコンディショナやカーナビゲーション等の車載機器に所望の動作を実行させることが可能となっている。なお、タッチ操作には、単に操作面11aに接触する操作だけでなく、例えばタッチパネル11の操作面11aをある一方向へなぞったり払ったりするなぞり操作(フリック操作)も含まれる。
【0014】
図2及び図3に示すように、タッチパネル11には、複数の駆動電極12と複数のセンサ電極13とをこれらの間の絶縁を保ちつつ格子状に重ねたセンサパターン14が設けられている。なお、図2では、説明の便宜上、駆動電極12を7本、センサ電極13を5本だけ示している。
【0015】
具体的には、タッチパネル11は、駆動電極12が配置される駆動基板15と、駆動基板15上に設けられるとともにセンサ電極13が配置されるセンサ基板16と、センサ基板16上に設けられるカバー17とを備えている。駆動基板15、センサ基板16及びカバー17は、それぞれ絶縁性材料からなる。そして、カバー17の上面の一部がタッチパネル11の操作面11aを構成している。
【0016】
駆動電極12及びセンサ電極13は、それぞれ導電性材料からなり、帯状に形成されている。そして、駆動電極12は、駆動基板15における操作面11aと対向する範囲内で互いに平行になるように一方向(X方向)に沿って配置されている。一方、センサ電極13は、センサ基板16における操作面11aと対向する範囲内で互いに平行になるように上記一方向と直交する方向(Y方向)に沿って配置されている。これにより、駆動電極12及びセンサ電極13によって格子状のセンサパターン14が操作面11a内に形成されるとともに、図3において二点鎖線で示すように、駆動電極12とセンサ電極13との交点部分にはコンデンサCが形成されている。なお、本実施形態では、駆動電極12及びセンサ電極13は、それぞれ接着剤18により駆動基板15及びセンサ基板16に固定されている。
【0017】
図4に示すように、タッチ式入力装置10は、上記タッチパネル11と、そのセンサパターン14に駆動信号(パルス信号)を印加してタッチ操作を検出するコントローラ21とを備えている。なお、本実施形態のコントローラ21は、上記交点部分に形成されたコンデンサC毎の静電容量が変化することにより生じる充放電電流に基づいてタッチ位置を検出する相互容量方式を採用している。
【0018】
具体的には、コントローラ21は、各駆動電極12に接続される駆動部22と、各センサ電極13に接続される検出部23と、駆動部22及び検出部23の動作を制御する制御部24とを有している。駆動部22は、制御部24からの制御信号に基づいて、駆動信号を生成するとともに、駆動電極12を少なくとも1本ずつ選択して生成した駆動信号を印加する。検出部23は、制御部24からの制御信号に基づいて、センサ電極13を少なくとも1本ずつ選択し、駆動電極12に印加された駆動信号に応じて該センサ電極13に流れる充放電電流を出力信号として受信する。また、検出部23は、センサ電極13のそれぞれから出力される出力信号に基づいてコンデンサC毎の静電容量を検出し、これらコンデンサC毎の静電容量を示す検出信号を制御部24に出力する。そして、制御部24は、検出信号に基づいてタッチ操作及びその座標を検出し、その検出結果をディスプレイ2に出力する。
【0019】
ここで、制御部24は、例えば水滴や硬貨等の導電性の異物が操作面11aに接触したままの状態でも、タッチ操作を検出可能に構成されている。なお、本実施形態では、指等が接触した場合に静電容量が変化する極性をプラスとし、導電性の異物が接触した場合に静電容量が変化する極性をマイナスとする。
【0020】
詳述すると、制御部24にはメモリ24aが設けられている。メモリ24aには、センサパターン14の交点部分に形成されるコンデンサC毎に予め設定された初期基準値が記憶されている。なお、本実施形態では、初期基準値は、操作面11a上に物体が何も接触していない状態での静電容量の値(ゼロ)に設定されている。また、メモリ24aには、コンデンサC毎に異物の有無によって変更される制御基準値が記憶されている。
【0021】
制御部24は、検出部23から検出信号が入力されると、初期基準値に対するコンデンサC毎の静電容量の変化量を示す素データ群に基づいて導電性の異物の有無、すなわち操作面11aに異物が接触したか否かを判定する。具体的には、素データ群の少なくとも1つのデータ(初期基準値に対する各コンデンサCのうちの少なくとも1つの静電容量)の変化量が所定のマイナスの値に設定された異物判定閾値以下となった場合に異物が有ると判定する。また、制御部24は、素データ群に基づいて異物が有ると判定された場合には、制御基準値に対するコンデンサC毎の静電容量の変化量を示す制御データ群に基づいて導電性の異物の有無、すなわち操作面11aに別の異物が接触したか否かを判定する。具体的には、制御データ群の少なくとも1つが異物判定閾値以下となった場合に異物が有ると判定する。そして、制御部24は、制御データ群に基づいてタッチ操作の有無を判定する。具体的には、制御データ群の少なくとも1つが所定のプラスの値に設定されたタッチ判定閾値以上となった場合に、タッチ操作が有った、すなわちタッチ操作が行われたと判定する。
【0022】
コンデンサC毎の制御基準値は、素データ群に基づいて操作面11aに異物が有ると判定された場合には、このときの素データ群の対応する交点のデータ(コンデンサCの静電容量)と同一の値(以下、素データ基準値)にそれぞれ設定される。つまり、制御基準値が素データ基準値に設定されると、制御データは、操作面11aに異物が接触した状態をゼロ点にしたコンデンサC毎の静電容量を示すことになる。一方、コンデンサC毎の制御基準値は、素データ群に基づいて操作面11aに異物が無いと判定された場合には、初期基準値にそれぞれ設定される。また、コンデンサC毎の制御基準値は、制御データ群に基づいて操作面11aに異物が有ると判定された場合には、このときの制御データ群の対応する交点のデータ(コンデンサCの静電容量)と同一の値(以下、制御データ基準値)にそれぞれ設定される。つまり、制御基準値が制御データ基準値とされると、制御データは、操作面11aに別の異物が接触した状態をゼロ点にしたコンデンサC毎の静電容量を示すことになる。一方、コンデンサC毎の制御基準値は、制御データ群に基づいて操作面11aに異物が無いと判定された場合には、素データ基準値にそれぞれ設定される。
【0023】
次に、図5を参照して、タッチ式入力装置10の状態遷移について説明する。
図5に示すように、タッチ式入力装置10のコントローラ21は、電源がONされて起動されると、タッチ操作の検出を待つ検出待機状態(ステップS101)となる。
【0024】
制御部24は、タッチ操作がない(タッチOFF)状態(ステップS102)においては、温度変化によって基準値が変化するので、制御基準値を温度変化に対応する基準値に更新する。制御部24は、制御データ群に基づいてノイズ又は異物が有ると判定された場合には、ノイズ検出・異物検出中状態(ステップS103)に移行する。すなわち、制御部24は、制御データ群に基づいて人体が接触したときと異なる極性(例えばマイナス)の静電容量の変化量を検出すると、ノイズが存在すると判定して、ノイズ検出・異物検出中状態(ステップS103)に移行する。制御部24は、ノイズ検出・異物検出中状態(ステップS103)において、人体が接触したときと異なる極性の静電容量の変化量が検出されながら異なる極性の静電容量の検出位置が移動しない場合には、ノイズの影響による変化ではない(ノイズ印加中でない)と判定して、制御データ群に基づいてタッチ操作があると判定すると、タッチ操作を検出するタッチON状態(ステップS104)に移行する。すなわち、導電性の異物が操作面11aに有る場合や操作面11aのシートが変化したときでも、コンデンサCの寄生容量が変化するので、タッチ操作を検出するタッチON状態に移行することができる。
【0025】
制御部24は、ノイズ検出・異物検出中状態(ステップS103)において、制御基準値に対するコンデンサC毎の静電容量の変化量を示す制御データ群に基づいて人体が接触したときと異なる極性の静電容量の変化量の検出がなくなると、ノイズが存在しないと判定して、タッチ操作がない(タッチOFF)状態に移行する(ステップS102)。ここで、制御部24は、ノイズ検出・異物検出中状態(ステップS103)において、制御基準値が変わってしまうと、静電容量の変化量が変化してしまうので、制御基準値を温度変化に対応する基準値への更新を停止する。
【0026】
制御部24は、タッチOFF状態(ステップS102)において、制御データ群に基づいてタッチ操作が有ると判定すると、指の検出ありとしてタッチ操作がある(タッチON)状態(ステップS104)に移行する。制御部24は、タッチON状態において、タッチ操作の座標位置を演算し、その検出結果をディスプレイ2に出力する。
【0027】
制御部24は、ノイズ検出・異物検出中状態(ステップS103)において、異物がありながら、制御データ群に基づいてタッチ操作が有ると判定すると、指の検出ありとしてタッチ操作があるタッチON状態(ステップS104)に移行する。ここで、制御部24は、タッチON状態(ステップS104)においても、制御基準値が変わってしまうと、静電容量の変化量が変化してしまうので、制御基準値を温度変化に対応する基準値への更新を停止する。
【0028】
このように、本実施形態のタッチ式入力装置10は、外来ノイズが存在するときにはタッチ操作の検出を停止することで、誤った操作の検出を抑制している。また、人体が接触したときと異なる極性の静電容量の変化量が検出されながら異なる極性の静電容量の検出位置が移動しない場合には、外来ノイズの影響ではないので、タッチ操作を検出することで、ノイズによる影響を考慮しながら、タッチ操作を検出することができるようになる。
【0029】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)指等の人体が接触したときと異なる極性の静電容量の変化量が検出されるということは、人体以外のものが操作面に接触しているか、外来ノイズによる影響が考えられるので、外来ノイズの影響と判定してこの検出値を使用しないようタッチ操作の検出を停止する。このため、外来ノイズの影響による誤ったタッチ操作の検出を抑制することで耐ノイズ性を確保することができる。また、外来ノイズであれば異なる極性の静電容量の検出位置が移動するので、異なる極性の静電容量の検出位置が移動しない場合には、外来ノイズの影響でなく、異物や操作面の変化によるものである。このため、濡れた指等によるタッチ操作が行われて、人体が接触したときと異なる極性の静電容量の変化量が検出されたとしても、タッチ操作として検出することができる。
【0030】
(2)温度変化に基づく制御基準値の補正を行うことで、タッチ操作を的確に検出することができるようになる。また、外来ノイズの影響によって静電容量の変化量を検出した場合には、制御基準値の補正を停止することで、制御基準値が変化することで静電容量の変化量が変更してしまうことを防ぐことができる。
【0031】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもができる。
・上記実施形態では、制御部24は、素データ群に基づいてその少なくとも1つのデータが異物判定閾値以下となった場合に異物が接触したと判定した。しかし、これに限らず、例えば素データ群の少なくとも1つのデータが異物判定閾値以下になるとともに、他の少なくとも1つのデータがプラス側に設定された閾値以上となった場合等、他の条件で素データ群に基づく異物判定を行ってもよい。同様に、他の条件で制御データ群に基づく異物判定を行ってもよい。また、タッチ操作の検出も、制御データ群の少なくとも1つがタッチ判定閾値以上となる以外の条件で行ってもよい。
【0032】
・上記実施形態では、素データ基準値を、操作面11aに異物が接触したと判定されたときの素データ群の各データと同一の値としたが、このときの素データに応じた値であれば完全に同一でなくてもよい。同様に、制御データ基準値は、操作面11aに異物が接触したと判定されたときの制御データ群の各データと完全に同一の値でなくてもよい。また、初期基準値は、操作面11a上に物体が何も接触していない状態での静電容量の値と完全に同一の値でなくてもよい。
【0033】
・上記実施形態では、素データ群に基づいて異物の有無の判定を行い、制御データ群に基づいてタッチ操作の有無の判定を行ったが、異物の有無による基準値の変更を行わず、コンデンサC毎の基準値(初期基準値)に対する静電容量の変化量を示すデータ群(素データ群)に基づいてタッチ操作の有無を判定してもよい。
【符号の説明】
【0034】
1…ダッシュボード、2…ディスプレイ、4…センターコンソール、5…シフトレバー、10…タッチ式入力装置、11…タッチパネル、11a…操作面、12…駆動電極、13…センサ電極、14…センサパターン、15…駆動基板、16…センサ基板、17…カバー、21…コントローラ、22…駆動部、23…検出部、24…制御部、24a…メモリ、C…コンデンサ。
図1
図2
図3
図4
図5