特許第6284844号(P6284844)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284844
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20180215BHJP
【FI】
   A63F7/02 320
【請求項の数】1
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2014-158187(P2014-158187)
(22)【出願日】2014年8月1日
(65)【公開番号】特開2016-34357(P2016-34357A)
(43)【公開日】2016年3月17日
【審査請求日】2016年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135210
【氏名又は名称】株式会社ニューギン
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(72)【発明者】
【氏名】石川 裕章
(72)【発明者】
【氏名】末原 勝公
(72)【発明者】
【氏名】木下 風太郎
(72)【発明者】
【氏名】小泉 弘一
【審査官】 木村 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−195371(JP,A)
【文献】 特開2008−142477(JP,A)
【文献】 特開2007−307254(JP,A)
【文献】 特開2007−185256(JP,A)
【文献】 特開2014−100385(JP,A)
【文献】 特開2014−039627(JP,A)
【文献】 特開2011−087769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部に画像を表示可能な第1表示装置および第2表示装置と、
前記表示部に画像を表示するように前記第1表示装置および第2表示装置を制御する表示制御手段とを備え、
前記第1表示装置および第2表示装置は各表示部が並んだ状態で相対的に可動可能に構成され、
前記各表示部に個々に表示された複数の画像によって一連の画像が形成されるように、前記表示制御手段で前記第1表示装置および第2表示装置を制御するよう構成され
駆動機構によって前記第1表示装置の前側を、該第1表示装置の第1表示部の縁部側の第1位置および該第1位置から離間した第2位置との間で往復移動される可動台に、前記第2表示装置が、該可動台の移動方向と交差すると共に前記第1表示部に沿う方向に延在する軸回りに回動可能に支持され、該第2表示装置は前側に臨む第2表示部に画像を表示可能に構成され、
前記可動台の第1位置において該可動台に対して前記第2表示装置を、第2表示部が第1表示部に沿う第1姿勢と第1表示部の前方を向くように傾斜する第2姿勢との間を傾動させる傾動機構と、
前記可動台を第1位置および第2位置の間で案内する第1案内レールと、
前記可動台の第2位置から第1位置に向けて前記第1案内レールと平行に延在する第2案内レールと、
前記可動台に対する第2表示装置の支持部から離間して該第2表示装置に設けられ、前記第2案内レールに係合可能な規制部とを備え、
前記第2表示装置は、前記可動台の第1位置では前記規制部が前記第2案内レールから離間して可動台に対する傾動が許容され、前記可動台が第1位置から離れた後に前記規制部が第2案内レールに係合案内されることで可動台に対する傾動が規制されるよう構成され、
前記傾動機構は、前記可動台の第1位置において前記第2表示装置に設けられた係合部に係合して該第2表示装置を第1姿勢と第2姿勢との間で傾動させる作動部材と、前記作動部材の動作に連動する規制部材とを備え、
前記規制部材は、前記作動部材が前記第2表示装置を第2姿勢に傾動する動作に連動して前記規制部の第2位置側に臨んで前記可動台の第2位置への移動を規制すると共に、前記作動部材が前記第2表示装置を第1姿勢に傾動する動作に連動して前記規制部の第2位置側から退避して前記可動台の第2位置への移動を許容するよう構成される
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を表示可能な表示装置を備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
代表的な遊技機であるパチンコ機は、機内にセットされる遊技盤の盤面に画成した遊技領域の略中央位置に枠状の枠状装飾体(所謂センター役物)が配設されて、該枠状装飾体の窓口を介して複数の図柄を変動表示する液晶式やドラム式等の図柄表示装置(表示装置)を後方から臨ませると共に、該遊技盤における枠状装飾体の下方位置に、パチンコ球(遊技球)の入賞により図柄表示装置での図柄変動を開始させる始動入賞装置(始動入賞手段)や大当り時等に開放する特別入賞装置を配設するよう構成されたものが多数提案されている。この種のパチンコ機では、前記遊技領域に打ち出されたパチンコ球が遊技領域内に植設された遊技釘等との接触により跳ね返りながら次第に自重により流下し、該遊技領域を流下する過程で前記始動入賞装置に入賞することにより、所定数の賞球が払い出されると共に、前記図柄表示装置での図柄変動演出に伴うリーチ演出等の各種の遊技演出がなされ、該図柄表示装置に図柄が所定の組み合わせで停止することにより所謂大当りが発生し、前記特別入賞装置が開放して多数の賞球を獲得し得るよう構成される。
【0003】
また、所要の動作を行う可動体を備えた可動式の演出装置(可動演出装置)を前記枠状装飾体等に配設し、該可動体を図柄表示装置での図柄変動演出に合わせて動作させることによって演出効果を向上するようにしたパチンコ機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−90814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年では、殆どのパチンコ機において図柄表示装置での演出に合わせて動作する可動体を備えており、単に可動体を動作するだけでは他のパチンコ機と差別化することは困難であった。また、可動体の動作態様を変えただけでは演出がマンネリ化し、遊技者に与えるインパクトに乏しいものであった。
【0006】
すなわち本発明は、従来の技術に係る遊技機に内在する前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、インパクトのある演出を行って興趣を向上し得る遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本願の請求項1に記載の発明では、
表示部(17a,56a)に画像を表示可能な第1表示装置(17)および第2表示装置(56)と、
前記表示部(17a,56a)に画像を表示するように前記第1表示装置(17)および第2表示装置(56)を制御する表示制御手段(44)とを備え、
前記第1表示装置(17)および第2表示装置(56)は各表示部(17a,56a)が並んだ状態で相対的に可動可能に構成され、
前記各表示部(17a,56a)に個々に表示された複数の画像(G1,G2,G3)によって一連の画像(SG)が形成されるように、前記表示制御手段(44)で前記第1表示装置(17)および第2表示装置(56)を制御するよう構成され
駆動機構(71)によって前記第1表示装置(17)の前側を、該第1表示装置(17)の第1表示部(17a)の縁部側の第1位置および該第1位置から離間した第2位置との間で往復移動される可動台(55)に、前記第2表示装置(56)が、該可動台(55)の移動方向と交差すると共に前記第1表示部(17a)に沿う方向に延在する軸回りに回動可能に支持され、該第2表示装置(56)は前側に臨む第2表示部(56a)に画像を表示可能に構成され、
前記可動台(55)の第1位置において該可動台(55)に対して前記第2表示装置(56)を、第2表示部(56a)が第1表示部(17a)に沿う第1姿勢と第1表示部(17a)の前方を向くように傾斜する第2姿勢との間を傾動させる傾動機構(78)と、
前記可動台(55)を第1位置および第2位置の間で案内する第1案内レール(60)と、
前記可動台(55)の第2位置から第1位置に向けて前記第1案内レール(60)と平行に延在する第2案内レール(61)と、
前記可動台(55)に対する第2表示装置(56)の支持部から離間して該第2表示装置(56)に設けられ、前記第2案内レール(61)に係合可能な規制部(69)とを備え、
前記第2表示装置(56)は、前記可動台(55)の第1位置では前記規制部(69)が前記第2案内レール(61)から離間して可動台(55)に対する傾動が許容され、前記可動台(55)が第1位置から離れた後に前記規制部(69)が第2案内レール(61)に係合案内されることで可動台(55)に対する傾動が規制されるよう構成され、
前記傾動機構(78)は、前記可動台(55)の第1位置において前記第2表示装置(56)に設けられた係合部(70)に係合して該第2表示装置(56)を第1姿勢と第2姿勢との間で傾動させる作動部材(80)と、前記作動部材(80)の動作に連動する規制部材(89)とを備え、
前記規制部材(89)は、前記作動部材(80)が前記第2表示装置(56)を第2姿勢に傾動する動作に連動して前記規制部(69)の第2位置側に臨んで前記可動台(55)の第2位置への移動を規制すると共に、前記作動部材(80)が前記第2表示装置(56)を第1姿勢に傾動する動作に連動して前記規制部(69)の第2位置側から退避して前記可動台(55)の第2位置への移動を許容するよう構成されることを要旨とする。
【0008】
請求項1の発明によれば、複数の表示装置の表示部に個々に表示される複数の画像によって一連の画像を形成し得るので、表示装置による動作演出に加えて、複数の表示装置でのインパクトのある表示演出を行うことができ、遊技の興趣を向上し得る。
また、可動台の移動時に第2表示装置が傾動するのを規制することができ、意図しないときに第2表示装置が傾動して他部材と干渉するのを防止し得る。
更に、第2表示装置が傾動した第2姿勢のまま第2位置に向けて移動するのを規制することができ、該第2表示装置が他の部材と干渉するのを防止し得る。また規制部材は、第2表示装置を傾動する作動部材の動作に連動するよう構成したので、該第2表示装置が第2姿勢に傾動された際には第2位置に向けて移動するのを確実に防止し得る。
【0009】
本願には、次のような技術的思想が含まれている。
前記複数の表示装置(17,56)は、定位置に固定配置された固定式の表示装置(17)と、該固定式の表示装置(17)に対して変位可能に可動する可動式の表示装置(56)とからなることを要旨とする。
この構成によれば、固定式の表示装置に表示される画像を基準とすることができるので、一連となる画像を適正に表示し得る。
【0010】
本願には、次のような技術的思想が含まれている。
前記固定式の表示装置(17)を挟む両側に、前記可動式の表示装置(56)が夫々設けられることを要旨とする。
この構成によれば、固定式の表示装置の両側に可動式の表示装置を夫々設けることで、複数の表示装置でよりインパクトのある一連の画像を表示することができる。
【0011】
本願には、次のような技術的思想が含まれている。
前記可動式の表示装置(56)は、表示部(56a)が固定式の表示装置(17)における表示部(17a)の前方を向くように傾動するよう構成されることを要旨とする。
この構成によれば、複数の表示装置に表示される画像に立体感(奥行き感)を与えることができ、興趣を向上し得る。
【0012】
本願には、次のような技術的思想が含まれている。
前記可動式の表示装置(56)は、固定式の表示装置(17)に近接する端部を支点として離間する端部が前側に変位するよう構成されることを要旨とする。
この構成によれば、可動式の表示装置における傾動前と傾動後での固定式の表示装置に近接する端部の位置が前後に大きく変化しないので、可動式の表示装置の傾動前と傾動後での両表示装置における画像の繋がりを一定に維持することができる。
【0013】
本願には、次のような技術的思想が含まれている。
前記可動式の表示装置(103)は、固定式の表示装置(17)に近接する端部を支点として離間する端部が前側に変位する第1状態と、固定式の表示装置(17)から離間する端部を支点として近接する端部が後側に変位する第2状態とに変化可能に構成されることを要旨とする。
この構成によれば、可動式の表示装置における表示部に表示される画像の遠近感を変化させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る遊技機によれば、複数の表示装置によりインパクトのある演出を行うことができ、興趣を向上し得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例に係るパチンコ機を示す正面図である。
図2】実施例に係る遊技盤の正面図であって、各第2表示装置が第1位置に位置している状態で示している。
図3】実施例に係る遊技盤の横断平面図であって、左右の第2表示装置が第1位置において第1姿勢となっている状態を示している。なお、遊技盤に配設されるその他の演出装置は図示省略してある。
図4】実施例に係る第1および第2可動演出装置が配設されている状態での設置部材の正面図であって、左右の第2表示装置が第1位置において第1姿勢となっている状態を示している。
図5】実施例に係る第1および第2可動演出装置の概略斜視図であって、左右の第2表示装置が第1位置において第1姿勢となっている状態を示している。
図6】実施例に係る第1可動演出装置を後側から見た要部概略斜視図である。
図7】実施例に係る第1可動演出装置の横断底面図であって、第2表示装置が第1位置に位置すると共に作動部材が待機位置に位置している状態で示している。
図8】実施例に係る第1可動演出装置を前側から見た要部分解斜視図である。
図9】実施例に係る第1可動演出装置を後側から見た要部分解斜視図である。
図10】実施例に係る傾動機構を前側から見た分解斜視図である。
図11】実施例に係る傾動機構を後側から見た分解斜視図である。
図12】実施例に係る第1可動演出装置を縦断した要部左側面図であって、(a)は第2表示装置が第1姿勢の状態を示し、(b)は第2表示装置が第2姿勢の状態を示している。
図13】実施例に係る第1可動演出装置を縦断した要部右側面図であって、(a)は第2表示装置が第1姿勢の状態を示し、(b)は第2表示装置が第2姿勢の状態を示している。
図14】実施例に係る第1可動演出装置の横断平面図であって、(a)は第2表示装置が第1姿勢の状態を示し、(b)は第2表示装置が第2姿勢の状態を示している。
図15】実施例に係る第1可動演出装置の横断底面図であって、(a)は第2表示装置が第1姿勢の状態を示し、(b)は第2表示装置が第2姿勢の状態を示している。
図16】実施例に係る遊技盤の横断平面図であって、左右の第2表示装置が第1位置において第2姿勢となっている状態を示している。なお、遊技盤に配設されるその他の演出装置は図示省略してある。
図17】実施例に係る遊技盤の正面図であって、左右の第2表示装置が第2位置に位置している状態で示している。
図18】実施例に係る遊技盤の横断平面図であって、左右の第2表示装置が第2位置に位置している状態を示している。なお、遊技盤に配設されるその他の演出装置は図示省略してある。
図19】実施例に係るパチンコ機の制御ブロック図である。
図20】実施例に係る第2表示装置の動作パターンと表示パターンとの関係を示す説明図である。
図21】実施例に係る第1表示装置の第1表示部および第2表示装置の第2表示部に表示される画像の形態を示す説明図である。
図22】別実施例に係る可動演出装置の概略説明図である。
図23】別実施例に係る可動演出装置における第2表示装置の姿勢を変化させた各形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明に係る遊技機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。なお、実施例では、遊技球としてパチンコ球を用いて遊技を行うパチンコ機を例に挙げて説明する。また、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」とは、特に断りのない限り、図1に示すようにパチンコ機を前側(遊技者側)から見た状態で指称する。
【実施例】
【0017】
(パチンコ機10について)
実施例に係るパチンコ機10は、図1に示すように、矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に固定される固定枠としての外枠11の開口前面側に、後述する遊技盤M(図2参照)を着脱可能に保持する本体枠としての中枠12が開閉および着脱可能に組付けられると共に、遊技盤Mの後側に、図柄を変動表示可能な第1表示装置(固定式の表示装置)17(図3参照)が着脱し得るよう配設されている。また、中枠12の前面側には、遊技盤Mを透視可能に保護する透明部材13aを窓部に備えた装飾枠としての前枠13が開閉可能に組付けられると共に、該前枠13の下方にパチンコ球を貯留する下球受け皿15が開閉可能に組付けられる。なお、実施例では、前枠13の下部位置に、パチンコ球を貯留する上球受け皿14が一体的に組付けられており、前枠13の開閉に合わせて上球受け皿14も一体的に開閉するよう構成される。
【0018】
前記第1表示装置17は、後述する始動入賞口26a,29aへのパチンコ球の入賞を契機として演出用の図柄(飾図という場合もある)を第1表示部(表示部)17aに変動表示させる図柄変動演出を行うよう構成される。また第1表示装置17では、図柄変動に関連して実行される各種の表示演出(リーチ演出、予告演出、報知演出等)を第1表示部17aに表示し得るようになっている。実施例では、前記第1表示装置17として、各種図柄や表示演出に係る画像を表示可能な液晶パネルを収容ケースに収容した液晶表示装置が採用されるが、これに限られるものではなく、有機EL(Electro-Luminescence)等、各種画像を表示可能なその他の表示原理が異なる各種装置を用いることができる。
【0019】
前記前枠13には、図1に示す如く、前記下球受け皿15の右側方に、前記中枠12に配設された打球発射装置(図示せず)を作動する操作ハンドル16が設けられる。この操作ハンドル16は、左回転方向に付勢された操作レバー16aを備えており、該操作レバー16aを右回転するよう遊技者が回動操作することで打球発射装置が作動されて、前記上球受け皿14に貯留されたパチンコ球が前記遊技盤Mに向けて発射されるようになっている。ここで、前記操作レバー16aの回動量に応じて前記打球発射装置によるパチンコ球の打球力が強弱変化するよう構成されており、遊技者が操作レバー16aを操作して回動量を調節することで、前記遊技盤Mに配設された後述する枠状装飾体25の左側の遊技領域21aをパチンコ球が流下する所謂「左打ち」と、該枠状装飾体25の右側の遊技領域21aをパチンコ球が流下する所謂「右打ち」とを打ち分け得るようになっている。また、前枠13の前部には、LED等の発光体による発光演出が可能なランプ装置18や、音声や効果音を出力可能なスピーカ19が配設されており、前記第1表示装置17での図柄変動演出に合わせてランプ装置18で発光演出を行ったりスピーカ19で音声演出を行い得るよう構成されている。
【0020】
(遊技盤Mについて)
本実施例では、図3に示す如く、所定板厚の略矩形状に形成されたアクリルやポリカーボネート等の合成樹脂材等からなる透明な平板状の板状部材21と、該板状部材21の裏側に着脱自在に取り付けられる設置部材22とから前記遊技盤Mが構成されている。板状部材21の表面には、図2に示す如く、略円形状に湾曲形成された案内レール23が配設され、該案内レール23によってパチンコ球が流下可能な遊技領域21aが画成されている。そして、該遊技領域21a内に、前記打球発射装置から発射されたパチンコ球が打ち出され、該遊技領域21a内をパチンコ球が流下して遊技が行われる。なお、板状部材21をベニア板等から形成してもよい。
【0021】
前記板状部材21には、前後に貫通する装着口が前記遊技領域21a内に複数開設されて、各装着口に対して各種の遊技部品が前側から取り付けられると共に、遊技領域21aの最下部位置には、該遊技領域21aに打ち出されたパチンコ球を排出するアウト口24が開設されている。なお、前記装着口の形成数は、板状部材21に対して取り付けられる各種の遊技部品の個数や配設位置等により必要に応じて適宜決定される。
【0022】
実施例の前記板状部材21には、前記案内レール23で囲まれた遊技領域21aの略中央の大部分が開口する第1装着口に、図3に示す如く、前後に開口する窓口25aが形成された枠状装飾体25が取り付けられ、該枠状装飾体25の窓口25aを介して第1表示装置17の第1表示部17aが板状部材21(遊技盤M)の前側に臨むよう構成されている。また、板状部材21における第1装着口(枠状装飾体25)の下方に開設された第2装着口に、遊技領域21aを流下するパチンコ球が入賞可能な第1始動入賞口(始動入賞手段)26aを有する始動入賞部26が取り付けられている。更に、板状部材21には、第2装着口(始動入賞部26)の左方から上方にかけて開設された第3装着口に、遊技領域21aを流下するパチンコ球が入賞可能な普通入賞口27aが設けられた第1サイド飾り27が取り付けられている。
【0023】
また、前記遊技盤Mにおいて前記枠状装飾体25の右側をパチンコ球が流下する遊技領域21aに、上側から第4装着口、第5装着口、第6装着口および第7装着口が開設される。そして、第4装着口に、遊技領域21aを流下するパチンコ球が通過可能な球通過ゲート28が取り付けられ、第5装着口に、遊技領域21aを流下するパチンコ球が入賞可能な第2始動入賞口(始動入賞手段)29aを有する始動入賞装置29が取り付けられ、第6装着口に、遊技領域21aを流下するパチンコ球が入賞可能な第1特別入賞口30aを有する第1特別入賞装置30が取り付けられ、第7装着口に、第2サイド飾り31が取り付けられている。実施例の第2サイド飾り31には、遊技領域21aを流下するパチンコ球が入賞可能な第2特別入賞口32aを有する第2特別入賞装置32および遊技領域21aを流下するパチンコ球が入賞可能な普通入賞口31aが設けられている。
【0024】
図2に示すように、前記板状部材21には、前記遊技領域21a内に多数の遊技釘33が設けられると共に、前記枠状装飾体25の左側方に、遊技領域21aを流下するパチンコ球の接触に伴って回転する所謂「風車」とも称される回転案内部材34が回転自在に配設されており、遊技釘33や回転案内部材34との接触によりパチンコ球の流下方向が不規則に変化するよう構成される。また、前記板状部材21には、前記始動入賞部26の第1始動入賞口26aと前記回転案内部材34との間に、該第1始動入賞口26aへ向けて下方傾斜する直線状に連続して前記遊技釘33が設けられている。なお、以下の説明では、第1始動入賞口26aへ向けて下方傾斜する直線状に連続した遊技釘群を案内連釘35と指称するものとする。また、前記案内連釘35を構成する遊技釘33は、適宜位置でパチンコ球が通過可能な隙間が空くよう設けられており、該案内連釘35上を移動するパチンコ球が普通入賞口27aやアウト口24側へ流下し得るようになっている。
【0025】
(枠状装飾体25について)
前記枠状装飾体25は、図3に示す如く、前記第1装着口の内側に沿って延在する環状に形成された枠状基部36と、該枠状基部36に設けられて前記板状部材21の前面より前方に突出し、前記遊技領域21aと第1表示装置17の第1表示部17aを区切る庇状部37と、該庇状部37の後縁から外方に延出する薄板状の台板部38とを備える。そして、前記枠状基部36を第1装着口に挿入すると共に台板部38を板状部材21の前面に当接した状態で、該台板部38をネジ等の固定手段で板状部材21に固定することで、枠状装飾体25が板状部材21に取り付けられて、該枠状装飾体25の外側、具体的には庇状部37と案内レール23との間にパチンコ球が流下する遊技領域21aが画成されるようになっている。なお、枠状装飾体25を板状部材21に取り付けた状態で、庇状部37の後端縁から外方に延出する台板部38が板状部材21の前面に沿って延在して、該台板部38の前側をパチンコ球が通り得るようになっている。また、枠状装飾体25は、全体が透明な合成樹脂製とされており、透明な板状部材21の前側に台板部38を重ねた状態で、該台板部38および板状部材21を介して裏側を透視可能に構成されている。
【0026】
前記枠状装飾体25の庇状部37は、枠状基部36の全周に亘って連続して延在するよう設けられており、前記遊技領域21aから窓口25a内にパチンコ球が飛び込むのを規制して、前記第1表示装置17における第1表示部17aの前側をパチンコ球が移動しないように構成してある。また庇状部37は、最上部位置から左右方向に下方傾斜するよう形成されて、遊技領域21aに打ち出されたパチンコ球が庇状部37上で滞ることなく枠状装飾体25の左側方または右側方へ誘導案内されるよう形成されている。
【0027】
前記枠状装飾体25には、図2に示す如く、パチンコ機10のモチーフとなる意匠が施された装飾部品39が、前記庇状部37の内周上縁部に設けられている。そして、本実施例では、装飾部品39および庇状部37によって、前記第1表示装置17の第1表示部17aを前側に臨ませる窓口25aが画成される。なお、本実施例のパチンコ機10では、図3に示す如く、前記枠状基部36の内側に配設された前後に離間する2枚の透明板40によって、枠状装飾体25の窓口25aが塞がれている。
【0028】
前記枠状装飾体25には、図2に示す如く、前記窓口25aの下縁部を画成する庇状部37から外方(下方)に延出する台板部38における第1装着口に臨む部位に、後方に凹むステージ41が左右方向に所定長さで設けられており、該ステージ41には前面開口から遊技領域21aを流下するパチンコ球が、前記案内連釘35等に接触して跳ね上がって飛び込み得るよう構成される。そして、ステージ41に飛び込んだパチンコ球は、ステージ41上を左右に転動した後に、前記始動入賞部26が設けられている遊技領域21aに排出されるようになっている。
【0029】
(始動入賞部26について)
前記板状部材21に配設された前記始動入賞部26の第1始動入賞口26aは、遊技領域21a内で常に上方へ開口する常時開放タイプの入賞口とされ、該第1始動入賞口26aは、前記遊技領域21aを流下するパチンコ球が常時一定の確率で入賞可能に構成される。また始動入賞部26は、前記第1始動入賞口26aに入賞したパチンコ球を検出する入賞検出手段としての第1始動入賞検出スイッチ45を備えている。第1始動入賞検出スイッチ45は、パチンコ機10の裏側に配設されたメイン制御手段42(図19参照)に配線接続されており、該第1始動入賞検出スイッチ45によるパチンコ球の検出(すなわち第1始動入賞口26aへのパチンコ球の入賞)を契機として所定数の賞球が払い出されるようになっている。
【0030】
(始動入賞装置29について)
前記始動入賞装置29の第2始動入賞口29aは、開閉部材29bによって開閉するよう構成されており、駆動手段としての始動入賞ソレノイド46(図19参照)の駆動に伴って開閉部材29bが第2始動入賞口29aを閉鎖する閉鎖位置と開放する開放位置に変位するよう構成されている。すなわち、第2始動入賞口29aは、始動入賞ソレノイド46を駆動することでパチンコ球の入賞確率を可変し得るよう構成される。なお、開閉部材29bを閉鎖位置から開放位置に変位して第2始動入賞口29aを開放する開放条件および開閉部材29bを開放位置から閉鎖位置に変位して第2始動入賞口29aを閉鎖する閉鎖条件としては、開閉部材29bが開放位置に変位している継続時間(第2始動入賞口29aの開放時間)が挙げられるが、その他の条件を設定してもよい。
【0031】
前記始動入賞装置29は、前記第2始動入賞口29aに入賞したパチンコ球を検出する入賞検出手段としての第2始動入賞検出スイッチ47を備えている。第2始動入賞検出スイッチ47は、前記メイン制御手段42に配線接続されており(図19参照)、該第2始動入賞検出スイッチ47によるパチンコ球の検出(すなわち第2始動入賞口29aへのパチンコ球の入賞)を契機として所定数の賞球が払い出されるようになっている。
【0032】
(第1および第2特別入賞装置30,32について)
前記第1および第2特別入賞装置30,32は、前記始動入賞口26a,29aへのパチンコ球の入賞を契機として大当り遊技が付与される場合に、決定された大当り遊技の種類に応じて開閉動作するよう構成されている。すなわち、第1および第2特別入賞装置30,32の夫々は、対応する特別入賞口30a,32aを開閉自在に閉成する開閉体(開閉部材)30b,32bを備えており、駆動手段としての特別入賞ソレノイド48,49(図19参照)の駆動に伴って開閉体30b,32bが独立して作動されて特別入賞口30a,32aを閉鎖する閉鎖位置と開放する開放位置に変位するよう構成されている。なお、各特別入賞ソレノイド48,49は、始動入賞口26a,29aへのパチンコ球の入賞を契機として大当り遊技が付与される場合に、大当り遊技の種類に応じて定められた所定の開閉動作パターンに従ってメイン制御手段42によって駆動制御される。
【0033】
また、前記第1および第2特別入賞装置30,32の夫々は、対応する特別入賞口30a,32aに入賞したパチンコ球を検出する特別入賞検出手段としての特別入賞検出スイッチ50,51を備えている。各特別入賞検出スイッチ50,51は、前記メイン制御手段42に配線接続されており(図19参照)、各特別入賞検出スイッチ50,51がパチンコ球を検出すると、検出信号をメイン制御手段42に出力し、メイン制御手段42の制御下に予め設定された数の賞球が払い出されるようになっている。なお、各特別入賞装置30,32は、開閉体30b,32bにより特別入賞口30a,32aを常には閉鎖(入賞不能状態と)するよう構成され、後述する大当り遊技(当り遊技)の発生に伴って特別入賞口30a,32aを開放(入賞可能状態と)するよう構成されている。すなわち、特別入賞装置30,32は、大当り遊技(特定遊技)で開放可能な入賞装置として機能する。なお、実施例における第1および第2特別入賞装置30,32の基本構成は共通しており、第1特別入賞装置30を構成する部材に対して「第1」を付加し、第2特別入賞装置32を構成する部材に対して「第2」を付加することで両者を区別する場合がある。
【0034】
実施例のパチンコ機10では、第1および第2始動入賞検出スイッチ45,47によるパチンコ球の検出(第1始動入賞口26aまたは第2始動入賞口29aへのパチンコ球の入賞)に伴って各種情報が取得され、この取得した情報に基づいて後述する特図当り抽選(当り判定)が行われるよう構成されている。そして、特図当り抽選の結果に基づいて前記第1表示装置17において図柄変動演出が実行され、該第1表示装置17での図柄変動演出の結果、該第1表示装置17の第1表示部17aに所定の組み合わせ(例えば同一飾図の3つ揃い等)で飾図が確定停止表示されることで、遊技者に有利な大当り遊技(当り遊技)が付与され、付与される(当選された)大当り遊技の種類に応じて特別入賞装置30,32の何れかの特別入賞口30a,32aを所定の開放条件で開放する大当り遊技が行われて、遊技者が賞球を獲得し得る機会が与えられるよう構成されている。
【0035】
(球通過ゲート28について)
前記球通過ゲート28には、該ゲート28を通過するパチンコ球を検出する球通過検出スイッチ52が設けられている。この球通過検出スイッチ52は、前記メイン制御手段42に配線接続されており(図19参照)、該球通過検出スイッチ52からメイン制御手段42への球検出信号の入力(すなわちパチンコ球の検出)に伴って普図当り抽選(後述)が行われ、該普図当り抽選の結果に応じて前記始動入賞装置29の始動入賞ソレノイド46が駆動制御されて開閉部材29bが開閉動作するようになっている。
【0036】
(普通入賞口27a,31aについて)
前記サイド飾り27,31に設けられた普通入賞口27a,31aは、前記遊技領域21a内で常に上方へ開口する常時開放タイプの入賞口とされ、遊技領域21aを流下するパチンコ球が常時一定の確率で入賞可能に構成されている。パチンコ機10は、普通入賞口27a,31aに入賞したパチンコ球を検出する普通入賞検出手段としての普通入賞検出センサ(図示せず)を備え、該普通入賞検出センサは前記メイン制御手段42に配線接続されている。そして、普通入賞検出センサがパチンコ球を検出すると、検出信号をメイン制御手段42に出力し、該メイン制御手段42の制御下に予め設定された数の賞球が払い出されるようになっている。
【0037】
(設置部材22について)
前記設置部材22は、図3,図4に示す如く、前記板状部材21の外郭形状より小さい略矩形状に形成された背面板(設置部)53と、該背面板53の外周縁部から前方に突出する画壁部54とから前方に開口した箱状に形成されて、該画壁部54の開口前端部を板状部材21の裏面に当接させた状態で、当該板状部材21と設置部材22とがネジ止め固定される。そして、前記設置部材22において前記板状部材21との間に画成される空間に、動作により演出を行う複数の可動演出装置N1,N2が設置されて、設置部材22を基材とする1つのユニットとして扱い得るようになっている。前記設置部材22の背面板53には、前記枠状装飾体25の窓口25aと前後に整列する位置に、略矩形状の開口部22aが前後に開口するよう開設される。そして、背面板53の裏面に配設した前記第1表示装置17の表示部17aが、前記開口部22aおよび窓口25aを介して板状部材21の前側に臨むようになっている。なお、以下の説明では、設置部材22の背面板53について、開口部22aに対する上下左右の各部位を、上板部53a,下板部53b,左板部53c,右板部53dと指称して区別する場合もある。また、設置部材22には、後述する第2表示装置56を備える可動演出装置N1,N2の他にも各種可動演出装置や発光演出装置等の遊技部品が配設されているが、図3,図4,図16,図18では、該遊技部品は図示省略してある。
【0038】
(可動演出装置N1,N2について)
図3,図4に示すように、前記設置部材22の背面板53における開口部22aの左側前面(左板部53cの前面)に、第1可動演出装置N1が配設されると共に、背面板53における開口部22aの右側前面(右板部53dの前面)に、第2可動演出装置N2が配設されている。第1可動演出装置N1および第2可動演出装置N2は、左右対称であるので、第1可動演出装置N1の構成について説明し、第2可動演出装置N2については第1可動演出装置N1と同じ部材に同一の符号を付して詳細説明は省略する。
【0039】
前記第1可動演出装置N1は、背面板53の板面に沿って左右方向に往復移動する可動台55と、該可動台55に動作可能に配設されて画像を表示可能な第2表示装置(可動式の表示装置)56とを備える(図3,図6参照)。そして、第1可動演出装置N1および第2可動演出装置N2は、可動台55,55(第2表示装置56,56)を、前記第1表示装置17における表示部17aの前側において左右方向で対向して相互に近接・離間移動し得るよう構成される(図2,図3,図17,図18参照)。すなわち、各可動演出装置N1,N2は、可動台55(第2表示装置56)を、後述する駆動機構71によって前記枠状装飾体25における窓口25aの対応する縁部側(開口部縁部側)の第1位置(図2,図3)と、該第1位置より窓口中央側(開口部中央側)の第2位置(図17,図18)との間を往復移動するよう構成される。言い替えれば、前記設置部材22に配設されて定位置に固定配置された固定式の第1表示装置17における第1表示部17aの前側を、該第1表示部17aの縁部側の第1位置および該第1位置から離間した第2位置との間で可動台55(第2表示装置56)が往復移動(変位可能に可動)するようになっている。また、実施例では、姿勢を変化することなく左右方向に往復移動する可動台55に対し、可動台55の往復移動方向と交差する方向(実施例では上下方向)の軸回りに回転(傾動)する動作を第2表示装置56が行い得るよう構成されている。なお、可動台55と一体で移動する第2表示装置56の位置について、可動台55の第1位置および第2位置と対応して第1位置および第2位置と指称するものとする。
【0040】
(支持基体57について)
前記第1可動演出装置N1は、前記背面板53の前面における上板部53aの左隅部から左板部53cおよび下板部53bにかけて配設されて、前記可動台55が移動自在に支持される支持基体57を備える。この支持基体57は、左板部53cの前面に重なる第1取付部57aと、該第1取付部57aの上端に連設されて上板部53aの前面に重なる第2取付部57bと、該第1取付部57aの下端に連設されて下板部53bの前面に重なる第3取付部57cとを備え(図8,図9参照)、これら各取付部57a,57b,57cが対応する板部53a,53b,53cにネジ止め固定されている。第2取付部57bに、第1レール部58が左右方向に延在するように設けられると共に、第3取付部57cに、第1レール部58と平行に延在する第2レール部59が設けられており、支持基体57に対して前記可動台55は、上下のレール部58,59で案内されて背面板53の前面に沿って左右方向に往復移動自在に支持される。なお、第2可動演出装置N2では、支持基体57が背面板53の前面における上板部53aの右隅部から右板部53dおよび下板部53bにかけて配設されて、各取付部57a,57b,57cが対応する板部53a,53b,53dにネジ止め固定されている。
【0041】
(第1レール部58について)
前記第1レール部58は、第2取付部57bに配設されて前記可動台55を案内する可動台用案内レール(第1案内レール)60と、該可動台用案内レール60の前側に平行に設けられて前記第2表示装置56を案内する表示用案内レール(第2案内レール)61とを備えている(図7,図12参照)。可動台用案内レール60は、図7に示す如く、第2取付部57bの前側に離間して第1レール体62を配設することで、両部材57b,62の対向面間に下方に開口するガイド溝を左右方向に所定長さで延在するように形成したものであって、前記可動台55に設けた後述するガイド突起64が、該可動台用案内レール60に摺動自在に支持されるようになっている。また、表示用案内レール61は、第1レール体62の前側に離間して第2レール体63を配設することで、両部材62,63の対向面間に下方に開口するガイド溝を左右方向に所定長さで延在するように形成したものであって、前記第2表示装置56に設けた後述する規制突起69が、該表示用案内レール61に摺動自在に支持されるようになっている。
【0042】
前記可動台用案内レール60の左右方向の長さは、図7に示す如く、前記可動台55が前記第1位置と第2位置との間を往復移動する間に亘ってガイド突起64を支持可能な寸法に設定される。これに対し、前記表示用案内レール61は、可動台用案内レール60より短い寸法に設定されて、可動台用案内レール60に対して可動台55の第2位置側に偏倚して設けられている。また表示用案内レール61は、可動台55の第1位置側にガイド溝を開放する出入口61aが形成されており、可動台55が第1位置と第2位置との間を移動する途中において前記規制突起69が表示用案内レール61のガイド溝に対して出入り可能に構成されている。すなわち、規制突起69が表示用案内レール61のガイド溝に入っている状態では、該表示用案内レール61によって規制突起69の前後方向(可動台55の往復移動方向と交差する方向)の変位を規制しつつ左右方向の移動を許容(案内)する。また、規制突起69が表示用案内レール61のガイド溝から外れて離間した状態では、規制突起69の前後方向の変位が許容されて、後述するように第2表示装置56を可動台55に対して傾動し得るよう構成される(図14,図15参照)。
【0043】
(第2レール部59について)
前記第2レール部59は、図4に示す如く、前記第3取付部57cに配設されて左右方向に延在するレール部材59aで構成され、該レール部材59aに前記可動台55に配設した後述するガイド部材65が摺動自在に支持される。そして、可動台55は、第1レール部58における可動台用案内レール60と、第2レール部59のレール部材59aとで支持された状態で、左右方向に平行移動するよう構成される。
【0044】
(可動台55について)
前記支持基体57の前側に移動自在に支持される前記可動台55は、図6,図8,図9に示す如く、該可動台55の往復移動方向と交差する上下方向に長尺に形成されて、上端部(長手方向の一端部)に、上方(外方)に延出するガイド突起64が設けられると共に、該可動台55の下端部(長手方向の他端部)には、第3取付部57cとの対向面である裏面にガイド部材65が設けられている。そして、可動台55は、ガイド突起64が、前記可動台用案内レール60に摺動自在に支持されると共に、ガイド部材65が、前記レール部材59aに摺動自在に支持される。また、可動台55の下端部には、左右方向に所定長さでラック55aが設けられており、該ラック55aが後述する駆動機構71の第1作動歯車73に噛合して、該第1作動歯車73の回転に伴って可動台55が左右方向に移動するよう構成されている。
【0045】
前記可動台55には、前記第1表示装置17における第1表示部17aの中央側の端部に、上下に貫通する通孔が形成された一対の支持部55b,55bが上下に離間して設けられており、両支持部55b,55bに後述する軸体68が支持されるようになっている。また可動台55には、上側の支持部55bの下側および下側の支持部55bの上側に、後側に凹む凹部55cが夫々形成されている。
【0046】
(第2表示装置56について)
前記第2表示装置56は、図8,図9に示す如く、カバー部材66aとベース部材66bとを前後の関係で組付けることで構成される収容ケース66に、各種画像を表示可能な液晶パネル67を収容した液晶表示装置が採用され、収容ケース66に収容された液晶パネル67は、該収容ケース66における前側に位置するカバー部材66aに形成した開口部から前側に臨むよう構成される。以後、液晶パネル67におけるカバー部材66aの開口部から前側に臨む部位を第2表示部(表示部)56aと指称する。そして第2表示装置56では、後述する表示制御手段44の制御下に第2表示部56aで各種演出に係る画像を表示し得るよう構成されている。すなわち、第2表示装置56では、前記始動入賞口26a,29aへのパチンコ球の入賞を契機として第1表示装置17で実行される図柄変動演出と関連する演出や、該図柄変動演出とは別の演出を表示し得る他、客寄せのためのデモンストレーション演出(デモ演出)等も表示し得るよう構成される。図柄変動演出と関連した表出演出としては、例えば、特図当り抽選や普図当り抽選に当選する期待度等を示唆する予告演出や、該特図当り抽選や普図当り抽選の結果を報知する報知演出等が挙げられる。また、第2表示装置56では、前記第1始動入賞口26aおよび第2始動入賞口29aにパチンコ球が入賞した際に取得される入賞情報(各種乱数情報)を機内部の記憶手段に特図始動保留情報(特図当り抽選に際して当選の可否判定に係わる情報や図柄変動演出の内容を決定するために必要な情報)として記憶する場合に、当該特図始動保留情報の保留数を特定可能に表示し得ると共に、特図始動保留情報に応じて表示態様を変化させることができる。更に、第2表示装置56では、前記球通過ゲート28をパチンコ球が通過した際に取得される球通過検出情報(各種乱数情報)を、機内部の記憶手段に普図始動保留情報(普図当り抽選の当選の可否判定に係わる情報)として記憶する場合に、当該普図始動保留情報の保留数を特定可能に表示し得ると共に、普図始動保留情報に応じて表示態様を変化させることができる。なお、第2表示装置56は、第1表示装置17と同様に、液晶表示装置に限られるものではなく、有機EL(Electro-Luminescence)等、各種画像を表示可能なその他の表示原理が異なる各種装置を用いることができる。
【0047】
前記第2表示装置56は、第1位置に位置する状態で、図2,図3に示す如く、該第2表示装置56の第2表示部56aが、前記枠状装飾体25の窓口25a内における対応する側部に偏った位置で前側に臨んで、第2表示部56aに表示される各種画像をパチンコ機10の前側から視認し得るよう構成される。実施例では、両可動演出装置N1,N2の第2表示装置56,56が第1位置に位置する状態で、前記第1表示装置17における第1表示部17aの左右両側に第2表示部56a,56aが並ぶように位置して、3つの表示部17a,56a,56aが窓口25aを介してパチンコ機10の前側から視認し得るようになっている。そして、3つの表示部17a,56a,56aに個々に表示される後述する画像G1,G2,G3によって一連の画像(以後「一連画像SG」と指称する)を形成し得るようになっている(図21(a),(b)参照)。また第2表示装置56は、第1位置から第2位置に移動することで、該第2表示装置56の全体が前記第1表示装置17における第1表示部17aの前側に重なって該第1表示部17aを前側から視認可能な視認領域を変化(小さく)するよう構成されている(図17,図18参照)。すなわち、第2表示装置56の第2表示部56aは、第1位置および第2位置の何れの位置においても前側から視認可能に構成されており、該第2表示装置56が第1位置および第2位置に移動した状態で第2表示部56aに表示される演出によって興趣を向上し得るようになっている。なお、実施例では、両可動演出装置N1,N2の第2表示装置56,56が第2位置に位置する状態で、図17に示す如く、両第2表示装置56,56が略隙間なく並ぶと共に、第1表示装置17の窓口25aに臨む第1表示部17aの略全体が第2表示装置56,56で覆われるようになっている。そして、左右に並ぶ第2表示部56a,56aに個々に表示される後述する画像G2,G3によって一連画像SGが形成されるように構成されている(図21(c)参照)。
【0048】
ここで、実施例のパチンコ機10では、該パチンコ機10を前側から見た場合に、定位置に設置された前記第1表示装置17の第1表示部17aに対して左右の第2表示装置56,56の第2表示部56a,56aが夫々左右方向に並んだ状態で、該第1表示部17a(第1表示装置17)に対して第2表示部56a,56a(第2表示装置56,56)の夫々が相対的に移動(可動)するよう構成される。また、左右の第2表示装置56,56についても、一方の第2表示部56aと他方の第2表示部56aとが左右方向に並んだ状態で相対的に移動(可動)するようになっている。そして、左右の第2表示装置56,56が夫々左右方向に移動することで、後述するように複数の表示部17a,56a,56aに表示される一連画像SGの大きさを可変し得るようになっている。
【0049】
前記収容ケース66(具体的にはベース部材66b)には、前記第1表示装置17における第1表示部17aの中央側の端部に、上下方向に貫通する通孔が形成された一対の軸支部66c,66cが上下に離間して設けられている(図9参照)。各軸支部66cは、ベース部材66bの後側に突出しており、各軸支部66cを前記可動台55の対応する前記凹部55cに前側から挿入することで、該可動台55の支持部55bの通孔と軸支部66cの通孔とが上下に整列するよう構成される。そして、支持部55bおよび軸支部66cの通孔に軸体68を挿通することで、可動台55に対して第2表示装置56は、軸体68を中心として傾動し得るように支持される。すなわち、第2表示装置56は、可動台55の往復移動方向と交差すると共に前記第1表示装置17の第1表示部17aに沿う方向(実施例では上下方向)に延在する軸回りに回動自在に支持される。また、実施例では、可動台55に対して第2表示装置56は、第1表示部17aの中央側の端部(左右の第2表示装置56,56の対向端部側であって、第1位置において第1表示装置17に近接する側)で回動自在に支持されており、該第2表示装置56は軸体68を中心として第1表示部17aの中央側から離間する端部(第1位置において第1表示装置17から離間する端部)が前後に変位するように傾動するよう構成される(図16参照)。そして、後述する傾動機構78によって可動台55に対して第2表示装置56を傾動することで、該第2表示装置56は、第2表示部56aが前記第1表示装置17の第1表示部17aに沿うように前側を向く第1姿勢(図3参照)と、第2表示部56aが第1表示部17aの中央側前方を向く第2姿勢(図16参照)とに変化可能に構成されている。なお、第2表示装置56は、後述するように、第1位置でのみ傾動が可能で、第1位置から第2位置への移動途中および第2位置での傾動は規制されるようになっている。
【0050】
ここで、前記可動台55に対して前記軸体68により支持される第2表示装置56の端部側を支持側端部と指称すると共に、該支持側端部とは反対側で前後に変位する端部側を変位側端部と指称する場合もある。そして、第2表示装置56の支持側端部および変位側端部と、前記第1表示装置17の第1表示部17aに表示される画像G1との関係は、第2表示装置56の第2表示部56aに表示される画像G2と、第1表示部17aに表示される画像G1とにより一連画像SGが形成される場合に、両画像G1,G2の繋ぎ目側に支持側端部が位置して、両画像G1,G2の繋ぎ目側から離間して位置する変化側端部が前後に変位するよう設定されている。
【0051】
前記収容ケース66(具体的にはベース部材66b)には、前記第2表示装置56の支持側端部から変位側端部に離間する位置に、上方に突出する規制突起(規制部)69が設けられている。この規制突起69は、前記第1姿勢において前記表示用案内レール61に支持可能な位置(ガイド溝に出入り可能な位置)に位置しており、該規制突起69が表示用案内レール61のガイド溝内に位置する状態(係合状態)では、第2表示装置56は軸体68を中心とした傾動が表示用案内レール61で規制されるよう構成される(図7の二点鎖線参照)。これに対し、規制突起69が表示用案内レール61のガイド溝外に位置する状態(係合解除状態)では、第2表示装置56は軸体68を中心とした傾動が許容されるよう構成される(図15参照)。
【0052】
前記収容ケース66(具体的にはベース部材66b)には、図6,図8,図9に示す如く、前記規制突起69を挟んで支持側端部(軸体68による支持部)とは反対側に、上方に突出する係合突起(係合部)70が設けられている。この係合突起70は、前記可動台55(第2表示装置56)の往復移動に際して前記表示用案内レール61に干渉しないように、前記規制突起69より前側に位置している。そして、可動台55が第2位置から第1位置に移動することで、後述する傾動機構78の作動部材80に係合突起70が係合して、該作動部材80の動作に伴って第2表示装置56が軸体68を中心として傾動されるよう構成されている(図14,図15参照)。
【0053】
(駆動機構71について)
前記支持基体57の第3取付部57cに、前記可動台55を移動する駆動機構71が配設されている。この駆動機構71は、第3取付部57cに着脱自在に配設された第1取付台72および第3取付部57cの間に回転自在に支持された複数の歯車73,74,75と、駆動手段としての第1駆動モータ76とを備える。第1取付台72と第3取付部57cとの間に回転自在に支持された前記歯車73,74,75は、可動台55の前記ラック55aに噛合する第1作動歯車73(図5参照)と、第1駆動モータ76に連結された第1駆動歯車74と、第1作動歯車73および第1駆動歯車74に噛合する従動歯車75である。すなわち、可動台55は、ラック55aおよび歯車73,74,75を介して第1駆動モータ76に連繋されている。そして、第1駆動モータ76を正転および逆転するように駆動することで、可動台55が前記可動台用案内レール60およびレール部材59aに沿って左右方向に直線的に往復移動するよう構成される(図3,図18参照)。
【0054】
図5に示す如く、前記可動台55に第1検出片55dが設けられ、該第1検出片55dは、前記第1取付台72に配設された第1検出手段77によって検出可能に構成されている。第1検出手段77は、後述する統括制御手段43に配線接続されており(図19参照)、該第1検出手段77からの検出信号の入力に基づいて統括制御手段43が第1駆動モータ76を駆動制御し得るよう構成される。前記第1検出片55dは、第1位置において第1検出手段77で検出されて、該第1検出手段77の検出信号の入力に基づいて第1駆動モータ76を統括制御手段43が停止制御することで、可動台55(第2表示装置56)を第1位置に停止保持し得るよう構成される。第1駆動モータ76としてステッピングモータが採用され、該第1駆動モータ76の駆動によって第1位置から移動を開始した可動台55(第2表示装置56)を、移動パルス信号の制御によって第2位置で停止するように第1駆動モータ76を統括制御手段43で駆動制御し得るよう構成されている。また、第1駆動モータ76の回転方向について、可動台55を第1位置から第2位置へ移動させる方向を正転方向、可動台55を第2位置から第1位置へ移動させる方向を逆転方向と指称する場合もある。
【0055】
(傾動機構78について)
前記可動台55に支持された第2表示装置56は、前記第2取付部57bに配設された傾動機構78によって第1位置において可動台55に対して傾動されて第1姿勢と第2姿勢とに変化し得るよう構成される。傾動機構78は、第2取付部57bに配設された第2取付台79に移動自在に配設された作動部材80と、該作動部材80を動作する駆動手段としての第2駆動モータ81とを備える。第2取付台79には、図10,図11に示す如く、前後方向に延在する一対の長孔79a,79aが左右方向(可動台55の往復移動方向)に離間して形成されており、各長孔79aに、前記作動部材80に設けられて上方に突出する対応するガイド体85が摺動自在に挿通されている。すなわち、第2取付台79の下面側に位置する作動部材80は、左右に離間するガイド体85,85が長孔79a,79aで案内されて該長孔79a,79aの延在方向(前後方向)に移動自在に支持されている。実施例では、一方の長孔79aには2つのガイド体85,85が摺動自在に挿通されるのに対し、他方の長孔79aには1つのガイド体85が摺動自在に挿通されている。
【0056】
前記作動部材80は、図10,図11に示す如く、基部82から2本のアーム83,84が平行に延出するフォーク状の部材であって、基部82に、前後に離間して前記一対のガイド体85,85が配設されるのに対し、前側の第1アーム83の延出端に1つのガイド体85が配設されている。そして、3つのガイド体85,85,85によって第2取付台79に支持された作動部材80は、一対のアーム83,84の間に画成される係合溝80aが第2位置側に開放する姿勢となっている(図14,図15参照)。また、第1アーム83には、左右方向に延在するカム孔83aが形成されている。
【0057】
前記第2取付台79の下面側に、前記第2駆動モータ81に連結されて回転駆動される第2駆動歯車86および該第2駆動歯車86に噛合する第2作動歯車87の夫々が、上下方向に延在する軸回りに回動自在に支持されている。第2作動歯車87の下面(作動部材80との対向面)には、回転軸心から偏心した位置にカムフォロア88が一体的に回転するように配設されており、該カムフォロア88が、前記作動部材80に形成された前記カム孔83aに係合している。すなわち、第2駆動モータ81を正転および逆転するように駆動することで、図14図15に示す如く、第2作動歯車87の回転に伴い偏心回転するカムフォロア88とカム孔83aとの係合作用下に、第2取付台79に対して作動部材80が長孔79a,79aに沿って前後方向に直線的に往復移動するよう構成される。実施例では、作動部材80は、第1姿勢の第2表示装置56が可動台55と共に左右方向に往復移動する際における前記係合突起70の移動経路上に前記係合溝80aが臨む待機位置(図14(a),図15(a))と、該係合溝80aが前側に移動した作動位置(図14(b),図15(b))との間を往復移動するよう構成される。すなわち、作動部材80の待機位置では、第1位置と第2位置との間を移動する第1姿勢の第2表示装置56の係合突起70が係合溝80aに出入り可能に構成される。また、第2表示装置56が第1位置に至った状態で、係合突起70が係合溝80aの奥側(開放端から離間する端)に位置すると共に、前記規制突起69が表示用案内レール61のガイド溝から外れて第2表示装置56の傾動が許容されるようになっている。従って、第2表示装置56の第1位置において係合突起70が係合溝80aに入った状態で、作動部材80を待機位置から作動位置に移動することで、係合突起70に係合する後側の第2アーム84で該係合突起70が押されて第2表示装置56は前記軸体68を中心として前側に向けて傾動するよう構成される。
【0058】
ここで、前記作動部材80の係合溝80aは表示用案内レール61のガイド溝と平行に延在するよう形成されている。また、前記作動部材80が待機位置に位置する状態で、前記第2表示装置56が第1位置から第2位置に移動する際には、前記係合突起70が作動部材80の係合溝80aから抜ける前に規制突起69が表示用案内レール61のガイド溝に進入するように、係合突起70および規制突起69の配設位置が設定されている。また、第2表示装置56が第2位置から第1位置に移動する際においては、規制突起69が表示用案内レール61のガイド溝から抜ける前に係合突起70が作動部材80の係合溝80aに進入するようになっている。すなわち、第2表示装置56が第1位置と第2位置との間を移動する際に、両突起69,70が何れもフリーとなる状態が生ずることはなく、左右方向の移動中における第2表示装置56の傾動を確実に規制し得るようになっている。
【0059】
(規制部材89について)
前記第2取付台79に、第1位置に位置する第2表示装置56が第2姿勢となった状態で、該第2表示装置56(可動台55)が第2位置へ移動するのを規制する規制部材89が配設されている。規制部材89は、前記可動台55の往復移動方向に延在する軸孔89aが形成された軸部89bと、該軸部89bから径方向の外方に延出する規制片89cとを備える。また、第2取付台79に、可動台55の往復移動方向に延在する軸ピン90が配設されており、該軸ピン90が前記軸孔89aに挿通された状態で規制部材89が第2取付台79に回動自在に支持されている。そして、規制部材89は、第2姿勢となった状態での第2表示装置56における前記規制突起69の第2位置側に規制片89cが臨む規制位置(図12(b),図13(b))と、該規制突起69の第2位置側から規制片89cが退避する非規制位置(図12(a),図13(a))との間を回動可能に構成されている。すなわち、規制部材89は規制位置において、第2表示装置56が第2姿勢となった状態で左右方向に移動する場合における規制突起69の移動経路上に規制片89cが臨むように構成されており、第2表示装置56が第2姿勢のまま第2位置に向けて移動する場合には、規制突起69が規制片89cに当接して第2位置への移動が規制されるようになっている。また、規制部材89の軸部89bに、一端が第2取付台79に係合すると共に他端が規制片89cに係合する付勢手段としてのねじりコイルバネ91が巻かれており、該ねじりコイルバネ91によって規制部材89は、常には規制位置に向けて回転付勢されるようになっている。
【0060】
前記規制部材89は、前記第2表示装置56を第1姿勢と第2姿勢との間で傾動させる前記作動部材80の動作に連動して前記非規制位置と規制位置との間で動作するよう構成されている。すなわち、規制部材89は、前記規制位置において規制片89cが前記作動部材80における後側の第2アーム84の移動経路上に位置しており、該作動部材80が作動位置から待機位置に移動する際に(第2表示装置56を第2姿勢から第1姿勢に傾動する動作の際に)、第2アーム84が規制片89cに当接して規制部材89はねじりコイルバネ91の付勢力に抗して非規制位置に回動されるよう構成される。また、作動部材80の待機位置においては、非規制位置まで回動された規制部材89の規制片89cが第2アーム84に当接して規制位置への回動が規制されて(図13(a)参照)、該第2アーム84によって規制部材89は非規制位置に保持されるようになっている。そして、作動部材80が待機位置から作動位置に移動する動作(第2表示装置56を第1姿勢から第2姿勢に傾動する動作)に連動して規制部材89は、ねじりコイルバネ91の付勢力によって非規制位置から規制位置に回動するよう構成される。
【0061】
前記作動部材80の前記基部82に第2検出片82aが設けられ、該第2検出片82aは、前記第2取付台79に配設された第2検出手段92によって検出可能に構成されている。第2検出手段92は、前記統括制御手段43に配線接続されており(図19参照)、該第2検出手段92からの検出信号の入力に基づいて統括制御手段43が第2駆動モータ81を駆動制御し得るようになっている。第2検出片82aは、作動部材80の待機位置において第2検出手段92で検出されて、該第2検出手段92の検出信号に基づいて第2駆動モータ81を統括制御手段43が停止制御することで、作動部材80を、前記係合溝80aに対して第2表示装置56の係合突起70が出入り可能な待機位置に停止保持し得るよう構成される。第2駆動モータ81としてステッピングモータが採用され、該第2駆動モータ81の駆動によって待機位置から移動を開始した作動部材80を、移動パルス信号の制御によって作動位置で停止するように第2駆動モータ81を統括制御手段43で駆動制御し得るよう構成されている。また、第2駆動モータ81の回転方向について、作動部材80を待機位置から作動位置へ移動させる方向を正転方向、該作動部材80を作動位置から待機位置へ移動させる方向を逆転方向と指称する場合もある。
【0062】
(発光装置93について)
前記支持基体57における第1取付部57aの前面に、発光装置93が配設されている。この発光装置93は、図3に示す如く、第1取付部57aの前面に配設した発光基板94と、該発光基板94の前面に実装された複数のLED等の発光体94aと、発光基板94の前側に配設されると共に、複数の透光部が設けられた装飾カバー95とから構成され、発光体94aを点灯することで装飾カバー95の各透光部から光が前方に照射されるよう構成される。前記第2表示装置56は、第1位置において装飾カバー95における全ての透光部の前側に重なるように位置すると共に、第2表示装置56は、第2位置において装飾カバー95における全ての透光部の前側に重ならないように位置するよう構成されている。すなわち、第2表示装置56が第2位置に移動した場合は、該第2表示装置56で隠れていた装飾カバー95が前側から視認可能に露出すると共に発光体94aによる発光演出によって演出の興趣を高め得るようになっている。
【0063】
(パチンコ機10の制御構成について)
次に、パチンコ機10の制御構成について説明する。実施例のパチンコ機10には、図19に示す如く、パチンコ機10を全体的に制御する制御手段としてのメイン制御手段42と、該メイン制御手段42からの制御信号に基づいて各制御対象を制御する制御手段としてのサブ制御手段43,44とが設けられている。すなわち、メイン制御手段42では、パチンコ機10に備えられた各種検出スイッチ(検出手段)からの検出信号に基づいて各種処理が実行され、その処理結果に応じた各種の制御信号(制御コマンド)がサブ制御手段43,44に出力されるようになっている。
【0064】
実施例のパチンコ機10には、サブ制御手段として、遊技演出を全体的に制御する統括制御手段43と、前記第1表示装置17および第2表示装置56,56での表示内容(表示する画像)を制御する表示制御手段44等を備えている。すなわち、メイン制御手段42が出力した制御信号(制御コマンド)に基づいて、前記統括制御手段43が表示制御手段44を制御するよう構成されており、パチンコ機10で実行される各種遊技演出(図柄変動演出等)を統括制御手段43が表統括的にコントロールし得るようになっている。また、統括制御手段43は、メイン制御手段42が出力した制御信号(制御コマンド)に基づいて、前記第1および第2可動演出装置N1,N2での動作内容を制御するよう構成されている。ここで、表示制御手段44は、統括制御手段43から出力された制御信号(制御コマンド)に基づいて、第1表示装置17および第2表示装置56,56に表示される表示演出(画像)の内容を制御するよう構成される。なお、表示演出としては、図柄(飾図)や背景画像等の図柄変動演出やデモ画像演出等がある。
【0065】
(メイン制御手段42について)
前記メイン制御手段42は、制御処理を実行するメイン制御CPU、該メイン制御CPUが実行する制御プログラムを記憶するメイン制御ROM、当該メイン制御CPUの処理に必要なデータの書込み・読出しが可能なメイン制御RAM等を備えている。そして、前記始動入賞検出スイッチ45,47、特別入賞検出スイッチ50,51、球通過検出スイッチ52等の各種スイッチが前記メイン制御手段42に接続されている。また、メイン制御手段42には、前記始動入賞ソレノイド46および特別入賞ソレノイド48,49が接続されており、該メイン制御手段42での制御処理結果に基づいて各ソレノイド46,48,49を駆動させることで、対応する開閉部材29bや開閉体30b,32bが開閉するよう構成される。
【0066】
前記メイン制御手段42は、前記第1始動入賞口26aまたは第2始動入賞口29aへパチンコ球が入賞したこと(より具体的には始動入賞検出スイッチ45,47がパチンコ球を検出したこと)を契機として特図当りか否かを判定する特図当り抽選(大当り判定ともいう)を実行するよう設定される。ここで、特図当り抽選は、各始動入賞検出スイッチ45,47からパチンコ球の検出信号が入力された時点において、メイン制御手段42に予め設定された多数種類の乱数値(特図当り判定用)の内から1つを取得する乱数抽選が行われ、該取得した乱数値(特図当り判定用)に基づいて特図当りを発生するか否かを決定する。なお、パチンコ機10は、前記第1および第2始動入賞口26a,29aへの入賞を契機として実行される特図当り抽選の結果を示す報知用の特図を特定可能に表示する特図表示部(図示せず)を備え、該特図表示部では、対応する始動入賞検出スイッチ45,47によるパチンコ球の検出を契機として複数種類の特図を変動させて特図当り抽選の結果に対応する1つの特図を導出する特図変動表示が行われる。そして、前記第1表示装置17では、特図表示部に表示される特図に対応する飾図が、図柄変動演出の結果として表示されるように統括制御手段43(表示制御手段44)によって制御される。
【0067】
前記メイン制御手段42は、前記球通過ゲート28をパチンコ球が通過したこと(より具体的には球通過検出スイッチ52がパチンコ球を検出したこと)を契機として普図当りか否かを判定する普図当り抽選を実行するよう設定される。ここで、前記普図当り抽選は、球通過検出スイッチ52からパチンコ球の検出信号が入力された時点において、メイン制御手段42に予め設定された多数種類の乱数値(普図当り判定用)の内から1つを取得する乱数抽選が行われ、該取得した乱数値(普図当り判定用)に基づいて普図当りを発生するか否かを決定する。すなわち、メイン制御手段42は、第1始動入賞口26aまたは第2始動入賞口29aにパチンコ球が入賞した特定条件が成立したときに、特図当り(当り)か否かの判定を行う特図当り判定手段(当り判定手段)としての機能を有する。またメイン制御手段42は、球通過ゲート28をパチンコ球が通過した条件が成立したときに、普図当りか否かの判定を行う普図当り判定手段としての機能を有する。なお、パチンコ機10は、普図当り抽選の結果を示す報知用の普図を特定可能に表示する普図表示部(図示せず)を備え、該普図表示部では、球通過検出スイッチ52によるパチンコ球の検出を契機として、複数種類の普図を変動させて普図当り抽選の結果に対応する1つの普図を導出する普図変動表示が行われる。
【0068】
前記メイン制御手段42には、複数種類の変動パターンが記憶されている。変動パターンは、前記始動入賞口26a,29aへのパチンコ球の入賞を契機として図柄(飾図)の変動が開始してから図柄(飾図)が確定停止表示されるまでの間に実行される演出の基本となるパターンであって、図柄変動演出の変動内容(演出表示内容)および変動時間(演出時間)を特定するものである。メイン制御手段42に記憶される変動パターンは、大当り用(当り用)変動パターン、はずれ用変動パターン、はずれリーチ用変動パターンとに分類されており、大当り判定の結果に応じてこれら複数種類の変動パターンから1つが選択(決定)される。大当り用変動パターンは、大当り判定の結果が肯定の場合に決定可能な変動パターンであり、はずれ用変動パターンおよびはずれリーチ用変動パターンは、大当り判定の結果が否定の場合に決定可能な変動パターンである。また、メイン制御手段42は、大当り判定の結果に応じて、図柄変動演出の終了時に停止表示する図柄を決定する。そして、メイン制御手段42は、決定した変動パターンを指定する変動パターン指定コマンドを統括制御手段43に出力すると共に、決定した変動パターンに定められている演出時間の経過時に図柄の停止を指示する全図柄停止コマンドを統括制御手段43に出力するようになっている。すなわち、全図柄停止コマンドは、図柄変動演出の終了を指示するコマンドである。
【0069】
前記メイン制御手段42は、前記大当り判定(特図当り抽選)の判定結果が肯定の場合(当りに当選した場合)に図柄変動演出の終了後に付与される大当り遊技において、当選した大当りの種類に応じて選択された前記特別入賞装置30,32において、特別入賞口30a,32aへのパチンコ球の入賞が阻まれる不利な入賞不能状態(特別入賞口30a,32aの開閉体30b,32bによる閉鎖)と、特別入賞口30a,32aへのパチンコ球の入賞が許容される入賞可能状態(特別入賞口30a,32aの開閉体30b,32bによる開放)とに変動されるラウンド遊技を繰返すように前記特別入賞ソレノイド48,49を制御するよう構成される。ここで、ラウンド遊技とは、不利な入賞不能状態から有利な入賞可能状態に移行し、再び不利な入賞不能状態に移行するまでを云い、大当り遊技において予め決定された継続回数のラウンド遊技が繰返されるようになっている。また、ラウンド遊技において入賞不能状態から入賞可能状態への移行は、入賞可能状態から入賞不能状態へ移行してからの入賞可能状態の継続時間(特別入賞口30a,32aの開放時間)、または入賞可能状態での特別入賞口30a,32aへのパチンコ球の入賞数(規定個数)の何れかが、予め設定された値となったことを条件として行われる。またメイン制御手段42は、前記普図当り抽選で当選した場合(普図当りの場合)に、前記始動入賞ソレノイド46を駆動制御して開閉部材29bを所定の動作パターンで開閉動作するよう構成される。
【0070】
実施例のパチンコ機10は、大当り遊技の終了後に遊技者に有利な遊技状態として確変状態を付与する機能を備えている。確変状態は、前記特別入賞口30a,32aへのパチンコ球の入賞契機が、当該確変状態が付与されていない非確変状態に較べて増加する状態である。具体的には、確変状態では、特図当り確率(特図当り抽選において大当りに当選する確率)を低確率から高確率に変動することにより特別入賞口30a,32aへのパチンコ球の入賞契機を増加することができる。このように、確変状態が付与されると、特図当りの抽選確率が高確率に変動して大当り遊技が生起され易くなるため、確変状態は遊技者にとって有利である。
【0071】
また、実施例のパチンコ機10は、大当り遊技の終了後に遊技者に有利な遊技状態として変短状態を付与する機能を備えている。この変短状態としては、前記第2始動入賞口29aへのパチンコ球の入賞契機が、当該変短状態が付与されていない非変短状態と較べて増加する入賞率向上状態である。変短状態において第2始動入賞口29aへのパチンコ球の入賞契機が当該変短状態が付与されていない状態と較べて増加する具体例としては、変短状態では、(1)普図当り抽選に伴う普図変動表示の変動時間の短縮、(2)普図当り抽選確率(普図当り抽選において当りに当選する確率)を低確率から高確率に変動、(3)普図当り1回についての第2始動入賞口29aを開放する開閉部材29bの開放時間を増やすこと、により第2始動入賞口29aへのパチンコ球の入賞契機を増加することができる。なお、変短状態では、上記(1)〜(3)を単独または複数を組み合わせることができる。本実施例では、大当り遊技、確変状態で行われる遊技および変短状態で行われる遊技が、遊技者に有利な特別遊技である。なお、枠状装飾体25の右側の遊技領域21aに球通過ゲート28および第2始動入賞口29aを配置した実施例の盤面構成では、大当り遊技および変短状態が付与された場合に「右打ち」を実行することで、当該大当り遊技および変短状態に係る特典を効率的に享受させ得るよう構成されている。
【0072】
前記確変状態および変短状態は、各始動入賞口26a,29aへの入賞を契機としてメイン制御手段42で実行される特図当り抽選で当選した大当りの種類(具体的には大当り図柄の種類)が、予め定めた確変図柄および変短図柄であることを条件として、大当り遊技の終了後に付与される。すなわち、メイン制御手段42は、始動入賞口26a,29aへの入賞を契機として、遊技者に有利な特別遊技を図柄変動演出の終了後に付与するか否かを判定する特別遊技実行判定手段としての機能を備えている。
【0073】
(統括制御手段43について)
前記統括制御手段43には、制御処理を実行する統括制御CPU、該統括制御CPUが実行する制御プログラムを記憶する統括制御ROM、当該統括制御CPUの処理に必要なデータの書込み・読出しが可能な統括制御RAM等が備えられている。統括制御手段43には、図柄変動演出において実行する図柄変動演出の具体的な演出内容および図柄変動演出に伴って第2表示装置56,56(可動演出装置N1,N2)の具体的な動作内容を特定する演出パターンが記憶されている。前記演出パターンは前記変動パターンに対応付けられており、メイン制御手段42により決定された変動パターンに基づいて対応する演出パターンを統括制御手段43が決定するようになっている。なお、前記演出パターンは、前記変動パターンに対して一対一の関係で対応付けられたものではなく、1つの変動パターンに対して複数の演出パターンが対応付けられている。また、統括制御手段43には、表示制御手段44を統括的に制御するための統括制御プログラムが記憶されている。そして、統括制御手段43は、各種制御コマンドを入力すると、当該統括制御プログラムに基づき各種制御を実行する。
【0074】
前記統括制御手段43には、図19に示す如く、前記第1駆動モータ76,76、第2駆動モータ81,81が接続されている。また、統括制御手段43には、前記第1検出手段77,77、第2検出手段92,92が接続されており、該統括制御手段43での制御処理結果に基づいて各モータ76,76,81,81を駆動させることで、対応する第2表示装置56,56が移動(動作)するよう構成されている。すなわち、統括制御手段43は、第2表示装置56,56(可動演出装置N1,N2)を制御する動作演出制御手段としての機能を有する。また統括制御手段43には、前記ランプ装置18およびスピーカ19が接続されている。
【0075】
(表示制御手段44について)
前記表示制御手段44は、制御処理を実行する表示制御CPU、該表示制御CPUが実行する制御プログラムや各種データを記憶する表示制御ROM、当該表示制御CPUの処理に必要なデータの書込み・読出しが可能な表示制御RAM等を備えている。そして、表示制御手段44には、図19に示す如く、第1表示装置17および第2表示装置56,56が接続される。なお、表示制御手段44の表示制御ROMには、具体的には第1表示装置17および第2表示装置56,56の表示内容を制御するための表示制御プログラムや各種の画像データ(図柄、各種背景画像、文字、キャラクタなどの画像データ)が記憶されている。
【0076】
(図柄変動演出時の第2表示装置56,56の動作について)
前記始動入賞口26a,29aへのパチンコ球の入賞を契機としてメイン制御手段42から出力された変動パターン指定コマンドが統括制御手段43に入力されると、該統括制御手段43は、変動パターン指定コマンドで指定される変動パターンに対応する前記演出パターンを決定し、該演出パターンに基づいて前記可動演出装置N1,N2を制御するよう構成される。演出パターンで特定される第2表示装置56,56の動作パターンとしては、2つの第2表示装置56,56(可動台55,55)を第1位置に保持した状態で、両第2表示装置56,56を第1姿勢と第2姿勢との間で傾動する第1動作パターンP1、2つの第2表示装置56,56(可動台55,55)を第1位置に保持した状態で、一方の第2表示装置56のみを第1姿勢と第2姿勢との間で傾動する第2動作パターンP2、2つの第2表示装置56,56(可動台55,55)を第1位置と第2位置との間で往復移動する第3動作パターンP3、一方の第2表示装置56(可動台55)を第1位置に保持した状態で、他方の第2表示装置56(可動台55)を第1位置と第2位置との間で往復移動する第4動作パターンP4が設定されている(図20参照)。そして、前記第1表示装置17(第1表示部17a)で図柄変動演出が行われている状態で、統括制御手段43が決定した演出パターンに基づいて第2表示装置56,56を動作することで、演出の興趣を向上し得るようになっている。なお、第2表示装置56,56の動作パターンとしては、上記4種類に限らずその他の動作パターンを設定してもよい。また、演出パターンと動作パターンとは1対1の関係でなく、1つの演出パターンに対して複数の動作パターンが組み合わされて設定されたものであってもよい。
【0077】
(図柄変動演出時の第1表示装置17、第2表示装置56,56の表示演出について)
前記統括制御手段43は、前記動作パターンP1〜P4を決定すると、各動作パターンP1〜P4に対応する動作パターン演出コマンドを表示制御手段44に出力するよう設定される。そして、表示制御手段44では、動作パターン演出コマンドが入力されると、該コマンドで特定される演出パターンに対応する演出内容を示す表示データを選択し、該演出パターンに対応した表示内容で図柄変動演出を実行させるように第1表示装置17および第2表示装置56,56を制御するよう構成される。演出パターンで特定される第1表示装置17および第2表示装置56,56で表示される表示パターンとしては、図20に示す如く、前記第1動作パターンP1に対応する第1一連表示パターンR1−1、第1非一連表示パターンR1−2、前記第2動作パターンP2に対応する第2一連表示パターンR2−1、第2非一連表示パターンR2−2、前記第3動作パターンP3に対応する第3一連表示パターンR3−1、第3非一連表示パターンR3−2、前記第4動作パターンP4に対応する第4一連表示パターンR4−1、第4非一連表示パターンR4−2が設定される。
【0078】
前記一連表示パターンR1−1〜R4−1は、前記枠状装飾体25の窓口25aを介して前側に露出する複数の表示部17a,56a,56aに個々に表示された画像によって一連の画像が形成される表示パターンであり、非一連表示パターンR1−2〜R4−2は、枠状装飾体25の窓口25aを介して前側に露出する複数の表示部17a,56a,56aに個々に表示された画像によって一連の画像が形成されない表示パターンである。ここで、第1表示部17aに表示される画像を第1画像G1と指称し、左側の第2表示部56aに表示される画像を第2画像G2と指称し、右側の第2表示部56aに表示される画像を第3画像G3と指称すると共に、複数の画像によって形成される一連の画像については、一連画像SGと指称する。なお、一連表示パターンR1−1〜R4−1および非一連表示パターンR1−2〜R4−2に表示される各画像は、背景やキャラクタ等が異なる複数種類が設定されている。
【0079】
前記第1動作パターンP1によって第1表示部17aを挟んで第2表示部56a,56aが左右両側に並んで位置した状態(図2参照)で第2表示装置56,56が姿勢変化する形態において選択される前記第1一連表示パターンR1−1は、第1表示部17aに表示される第1画像G1と、左側に位置する第2表示部56aに表示される第2画像G2と、右側に位置する第2表示部56aに表示される第3画像G3とによって一連画像SGが形成される表示パターンである。例えば、第1一連表示パターンR1−1では、図21(a)に示す如く、左側の第2表示部56aに第2画像G2として魚の頭部が表示され、第1表示部17aに第1画像G1として魚の胴部が表示され、右側の第2表示部56aに第3画像G3として魚の尾が表示されることで、全体として一匹の魚(一連画像SG)が表示される。なお、第1動作パターンP1では、左右の第2表示装置56,56の夫々が傾動する中心位置(軸体68での支持部)が、第1画像G1に対する第2画像G2および第3画像G3の繋ぎ目側となっているので、各第2表示部56a,56aが傾動しても第1画像G1に対して第2画像G2および第3画像G3がずれて一連画像SGが正常に見えなくなるのは抑制される。
【0080】
前記第2動作パターンP2によって第1表示部17aを挟んで第2表示部56a,56aが左右両側に並んで位置した状態で一方の第2表示装置56,56が姿勢変化する形態において選択される前記第2一連表示パターンR2−1は、前記第1一連表示パターンR1−1と基本的には同じであって、第1〜第3画像G1,G2,G3によって一連画像SGが形成される表示パターンである。第2動作パターンP2では、左右何れか一方の第2表示装置56が傾動する中心位置(軸体68での支持部)が、第1画像G1に対する第2画像G2または第3画像G3の繋ぎ目側となっているので、一方の第2表示部56aが傾動しても第1画像G1に対して第2画像G2または第3画像G3がずれて一連画像SGが正常に見えなくなるのは抑制される。
【0081】
前記第3動作パターンP3によって第2表示装置56,56が左右方向に往復移動する形態において選択される前記第3一連表示パターンR3−1は、両第2表示装置56,56が第2位置に移動して第2表示部56a,56aが左右に並んだ状態(図21参照)で、左側に位置する第2表示部56aに表示される第2画像G2と、右側に位置する第2表示部56aに表示される第3画像G3とによって一連画像SGが形成される表示パターンである。例えば、第3一連表示パターンR3−1では、図21(b)に示す如く、左側の第2表示部56aに第2画像G2として魚を2分割した頭部側が表示されるのに対し、右側の第2表示部56aに第3画像G3として魚を2分割した魚の尾側が表示されることで、全体として一匹の魚(一連画像SG)が表示される。
【0082】
前記第4動作パターンP4によって一方の第2表示装置56が第1位置に保持されたもとで、他方の第2表示装置56が左右方向に往復移動する形態において選択される前記第4一連表示パターンR4−1は、前記第1一連表示パターンR1−1と基本的には同じであって、第1〜第3画像G1,G2,G3によって一連画像SGが形成される表示パターンである。但し、第4一連表示パターンR4では、図21(c)に示す如く、一方の第2表示装置56が第1位置に保持されると共に、他方の第2表示装置56が第2位置に保持された状態で、第1〜第3画像G1,G2,G3によって一連画像SGが形成される表示パターンを含んでいる。すなわち、第1位置に位置する左側の第2表示部56aに第2画像G2として魚の頭部が表示され、第1表示部17aに第1画像G1として魚の胴部が表示され、第2位置に位置する右側の第2表示部56aに第3画像G3として魚の尾が表示されることで、全体として一匹の魚(一連画像SG)が表示される表示パターンと、第2位置に位置する左側の第2表示部56aに第2画像G2として魚の頭部が表示され、第1表示部17aに第1画像G1として魚の胴部が表示され、第1位置に位置する右側の第2表示部56aに第3画像G3として魚の尾が表示されることで、全体として一匹の魚(一連画像SG)が表示される表示パターンとを含んでいる。
【0083】
ここで、前記第1一連表示パターンR1−1、第2一連表示パターンR2−1および第4一連表示パターンR4−1は、3つの表示部17a,56a,56aで表示される画像を繋ぎ合わせて一連画像SGを形成する表示パターンの他に、第1画像G1と第2画像G2を繋ぎ合わせて一連画像SGを形成する表示パターン、第1画像G1と第3画像G3を繋ぎ合わせて一連画像SGを形成する表示パターンを含んでいる。すなわち、第1表示部17aに表示される第1画像G1と、一方の第2表示部56aに表示される第2画像G2または第3画像G3を繋ぎ合わせて一連画像SGを形成する表示パターンを含んでいる。そして、一連画像SGを形成しない第2表示部56aに表示される第2画像G2または第3画像G3は、一連画像SGに関連する画像が表示されるように設定される。
【0084】
なお、図21に示す画像G1,G2,G3は一例であって、一連画像SGの向きは左向き(頭が左で尾が右)に限らず右向き(頭が右で尾が左)であってもよい。また、一連画像SGに向きがないものであってもよく、複数の画像を繋ぎ合わせることで1つの物が認識できるものであればよい。
【0085】
(特別遊技での第2表示装置56,56の演出について)
前記統括制御手段43は、前記特別遊技(大当り遊技、確変状態、変短状態)が行われる場合は、前記可動演出装置N1,N2を制御し、前記第2表示装置56,56を、前記図柄変動演出時と同様の動作パターンで動作することで、遊技の興趣を高めるよう構成される。また、統括制御手段43は、特別遊技が行われる場合に、前記第1表示装置17および第2表示装置56,56を制御し、前記第1表示部17a、第2表示部56a,56aにおいて特定の演出(大当り演出、図柄変動演出、予告演出等)を行わせるよう構成される。具体的には、特別遊技が行われる場合に統括制御手段43から特別遊技指定コマンドが表示制御手段44に出力される。そして、表示制御手段44では、特別遊技指定コマンドが入力されると、該コマンドで特定される演出パターンに対応する演出内容を示す表示データを選択し、該演出パターンに対応した表示内容の演出を実行させるように第1表示装置17および第2表示装置56,56を制御するよう構成されている。また、特別遊技での表示装置17,56,56の表示パターンについても、前記図柄変動演出時と同様に、動作パターンに対応する表示パターンが決定されて表示されるようになっている。
【0086】
〔実施例の作用〕
次に、前述した実施例に係るパチンコ機10の作用につき説明する。
【0087】
前記前枠13に設けられた前記操作ハンドル16の操作レバー16aを遊技者が回転操作すると、前記打球発射装置から発射されたパチンコ球が前記板状部材21の遊技領域21a内に打ち出される。この遊技領域21aに打ち出されたパチンコ球は、前記枠状装飾体25の外周囲を流下し、該パチンコ球が前記始動入賞口26a,29aに入賞すると、前記統括制御手段43および表示制御手段44の制御に基づいて前記第1表示装置17の第1表示部17aにおいて図柄(飾図)が変動開始され、所要の図柄変動演出が展開される。第1表示部17aで展開される図柄変動演出の結果、該第1表示部17aに所定の図柄組合わせで図柄が停止表示されたときに大当りが発生する。そして、大当りが発生すると、第1表示装置17の第1表示部17aに表示された図柄組み合わせ(大当りの種類)に応じて、前記板状部材21の下部に設けられた第1特別入賞装置30の第1特別入賞口30aまたは第2特別入賞装置32の第2特別入賞口32aの何れかが開放され、遊技者は多くの賞球が獲得可能となる。
【0088】
前記第1表示装置17の第1表示部17aで展開される図柄変動演出に応じて、前記統括制御手段43の制御に基づいて前記可動演出装置N1,N2の各第2表示装置56,56が動作されて動的な演出により遊技の興趣が高められる。また、前記表示制御手段44の制御に基づいて、第2表示装置56,56の第2表示部56a,56aにおいて第1表示部17aで展開される図柄変動演出に対応する演出(画像)が表示されて、第1表示部17aおよび第2表示部56a,56aでの表示演出の組み合わせによって遊技の興趣が高められる。更には、第1表示部17aでの図柄変動演出に応じてパチンコ機10に配設されたランプ装置18で発光演出が行われたりスピーカ19で音声演出が行われることで、遊技の興趣がより高められる。
【0089】
(第1および第2可動演出装置N1,N2の作用について)
前記第1可動演出装置N1および第2可動演出装置N2は、前述したように左右対称であって、第2表示装置56,56の動作形態は同じであるので、第1可動演出装置N1の作用について詳細に説明するものとし、第2可動演出装置N2における第2表示装置56の動作については、第1可動演出装置N2における第2表示装置56の動作と関連する部分についてのみ説明するものとする。
【0090】
前記第1可動演出装置N1において、前記可動台55が第1位置に位置すると共に第2表示装置56が第1姿勢となっている状態(図3)で前記第2駆動モータ81を正転方向に回転するように駆動すると、前記作動部材80が第2作動歯車87のカムフォロア88とカム孔83aとの係合作用下に、該作動部材80が待機位置から作動位置に向けて移動する(図14,図15参照)。作動部材80の移動に伴って該作動部材80の係合溝80a内に位置する前記係合突起70が前側に変位することで、図14(b),図15(b)に示す如く、前記第2表示装置56は、前記軸体68を中心として変位側端部が前側に変位するように傾動する。第2駆動モータ81が予め設定された回転数(パルス数)だけ回転すると、前記統括制御手段43により第2駆動モータ81が停止制御され、前記作動部材80が作動位置で停止すると共に、第2表示装置56は第2姿勢で停止する。すなわち、第2表示装置56の第2表示部56aが、前記第1表示装置17の第1表示部17aに沿う第1姿勢から第1表示部17aの中央前側を向く斜めの第2姿勢に変化することで(図3,図16参照)、該第2表示部56aに表示されている画像G2(G3)の遊技者からの見え方が変わって興趣が向上される。
【0091】
前記作動部材80の待機位置から作動位置への移動に伴って、図12(b),図13(b),図14(b)に示す如く、前記規制部材89がねじりコイルバネ91の付勢力によって非規制位置から規制位置に移動し、前記第1位置において第2姿勢となった第2表示装置56の前記規制突起69の第2位置側に前記規制片89cが臨むようになる。すなわち、規制部材89が規制位置に位置する状態では、第2姿勢となっている第2表示装置56の第2位置側への移動が規制片89cによって規制される。従って、第2表示装置56が傾動した第2姿勢のまま第2位置に向けて移動するのを規制することができ、該第2表示装置56が他の部材と干渉するのを防止し得る。また、規制部材89は、第2表示装置56を傾動する作動部材80の動作に連動するよう構成したので、該第2表示装置56が第2姿勢に傾動された際には第2位置に向けて移動するのを確実に防止し得る。また、規制部材89を動作させる別の駆動源を省略することができるので、傾動機構78の小型化を図ると共に製造コストを低減し得る。
【0092】
前記作動部材80が作動位置に位置する状態から第2駆動モータ81を逆転方向に回転するように駆動すると、前記第2作動歯車87のカムフォロア88とカム孔83aとの係合作用下に作動部材80は待機位置に向けて移動する。作動部材80の移動に伴って係合溝80a内に位置する前記係合突起70が該作動部材80に押されて後方に移動することで、第2表示装置56は軸体68を中心として第1姿勢に向けて傾動する(図14(a),図15(a)参照)。そして、前記第2検出手段92が作動部材80の第2検出片82aを検出すると、前記統括制御手段43により第2駆動モータ81が停止制御され、作動部材80は待機位置で停止する。また、前記作動部材80の作動位置から待機位置への移動に伴って、図12(a),図13(a)に示す如く、前記規制部材89が作動部材80の第2アーム84で押されて規制位置から非規制位置に移動し、該作動部材80の待機位置では該第2アーム84によって規制部材89は、規制片89cが前記規制突起69の第2位置側から退避した位置に保持される。すなわち、第2表示装置56が第1姿勢となっている状態では、該第2表示装置56の第2位置への移動は許容される。
【0093】
前記第1可動演出装置N1において、前記可動台55が第1位置に位置する状態(第2表示装置56は第1姿勢となっている状態)で前記第1駆動モータ76を正転方向に回転するように駆動すると、前記第1駆動歯車74、従動歯車75、第1作動歯車73およびラック55aとの噛合作用下に、可動台55は、上下のレール部58,59で案内されて窓口中央側に向けて直線的に移動する。前記第2表示装置56の第2位置に向けた移動途中において、前記規制突起69が前記表示用案内レール61のガイド溝に出入口61aから進入し、以後は該規制突起69が表示用案内レール61で係合案内されて第2表示装置56は第1姿勢を維持したまま第2位置に向けて移動する。そして、第1駆動モータ76が予め設定された回転数(パルス数)だけ回転すると、前記統括制御手段43により第1駆動モータ76が停止制御され、前記可動台55および第2表示装置56は、図17,図18に示す如く、前記枠状装飾体25における窓口25aの中央側に最も移動した第2位置で停止する。前記可動台55が第1位置から第2位置に移動する際には、規制突起69が表示用案内レール61で係合案内されて第2表示装置56の傾動は規制されているので、意図しないときに第2表示装置56が傾動して他部材と干渉するのを防止することができる。また、第2表示装置56が第1位置から第2位置に移動する際に、前記係合突起70が作動部材80の係合溝80aから抜ける前に規制突起69が表示用案内レール61のガイド溝に進入するので、両突起69,70が何れもフリーとなる状態が生ずることはなく、左右方向への移動中における第2表示装置56の傾動は確実に規制される。
【0094】
前記可動台55および第2表示装置56が第2位置に位置する状態から前記第1駆動モータ76を逆転方向に回転するように駆動すると、前記第1作動歯車73とラック55aとの噛合作用下に可動台55および第2表示装置56は第1位置に向けて移動する。第2表示装置56が第1位置に近づくと、前記係合突起70が、待機位置に位置する前記作動部材80の係合溝80aに進入し、該係合突起70の前後方向の変位が作動部材80により規制される。次いで、第2表示装置56の前記規制突起69が前記表示用案内レール61のガイド溝から離間することで、当該規制突起69の前後方向の変位は許容された状態となる。そして、前記第1検出手段77が可動台55の第1検出片55dを検出すると、前記統括制御手段43により第1駆動モータ76が停止制御され、可動台55および第2表示装置56は第1位置で停止する。
【0095】
前記第2表示部56aで表示演出を行う第2表示装置56を、前記第1表示装置17における第1表示部17aの前側で移動するよう構成したので、第2表示装置56による動作演出に加えて、第2表示部56aに表示される画像の位置が物理的に移動することでインパクトのある演出を行うことができ、遊技の興趣を向上し得る。また、第2表示装置56は、単に左右方向に直線的に往復移動する動作のみでなく、往復移動方向と交差する回転軸回りに傾動する動作を行うことで、第2表示部56aに表示される画像の遊技者からの見え方を物理的に変えることができるので、遊技者によりインパクトを与えることができる。
【0096】
実施例では、前記第1表示装置17における第1表示部17aの左右両側に可動演出装置N1,N2を配設し、図3,図18に示す如く、該第1表示部17aの前側で対向する第2表示装置56,56を近接・離間移動するよう構成してあるので、第1表示部17aで行われる図柄変動演出と第2表示装置56,56の動作演出との組み合わせによって興趣を向上することができる。また、第1表示部17aの左右両側に位置する一対の第2表示装置56,56は、枠状装飾体25の窓口縁部側と窓口中央側との間を直線的に移動するのみでなく、図16に示す如く、窓口縁部側の第1位置において傾動する動作を行うので、図柄変動演出との組み合わせによる一層の興趣向上を図り得る。
【0097】
(第1および第2可動演出装置N1,N2の表示による作用について)
前記第1および第2可動演出装置N1,N2の各可動台55および第2表示装置56が第1位置に位置する状態では、図2に示す如く、前記枠状装飾体25の窓口25aには、中央に第1表示装置17の第1表示部17aが露出すると共に、該第1表示部17aの左右両側に第2表示装置56,56の第2表示部56a,56aが並んで露出している。前記統括制御手段43により決定された第1動作パターンP1に基づいて前記表示制御手段44が第1一連表示パターンR1−1を決定した場合は、図21(a)に示す如く、左右方向に並んだ3つの表示部17a,56a,56aに個々に表示された画像G1,G2,G3により一連画像SGが形成される。
【0098】
実施例では、単に平面的な画面に一連の画像が形成されるものではないので、新鮮で今までにない視覚効果が得られ、遊技の興趣を向上することができる。また、第1表示部17aの左右両側に位置する第2表示装置56,56を第1姿勢から第2姿勢に変位することで(図16参照)、該第2表示装置56,56の第2表示部56a,56aに表示されている画像G2,G3が第1表示部17aの中央前側に向けて斜めとなり、一連画像SGに立体感(奥行き感)を付与して遊技者にインパクトを与えて、興趣をより高めることができる。すなわち、平面的な表示画面に画像を立体的に表示可能な高価な3D表示装置を用いることなく立体感をだすことができ、低コストでインパクトのある表示演出を行い得る。また、第2表示装置56は、第1表示部17aに表示されている第1画像G1と第2表示部56aに表示されている第2画像G2および第3画像G3の繋ぎ目側の端部を中心として傾動するので、第2表示装置56の傾動前と傾動後での両表示装置17,56における第1画像G1と第2画像G2および第3画像G3の繋がりを一定に維持することができる。
【0099】
なお、前記統括制御手段43により決定された第2動作パターンP2に基づいて前記表示制御手段44が第2一連表示パターンR2−1を決定した場合においても、前記第1一連表示パターンR1−1と同様に、左右方向に並んだ3つの表示部17a,56a,56aに個々に表示された画像G1,G2,G3により一連画像SGが形成されて、興趣を高めることができる。
【0100】
前記統括制御手段43により決定された第3動作パターンP3に基づいて、前記第1駆動モータ76,76が駆動制御されると、図17,図18に示す如く、左右の第2表示装置56,56が第1表示部17aの前側において相互に近接して該第1表示部17aを略全面的に隠すインパクトのある演出が行われ、興趣を向上し得る。そして、第3動作パターンP3に基づいて前記表示制御手段44が第3一連表示パターンR3−1を決定した場合は、図21(b)に示す如く、前記枠状装飾体25の窓口25aの中央で並ぶ第2表示部56a,56aに表示される画像G2,G3により一連画像SGが形成され、遊技者にインパクトを与えることができる。
【0101】
また、前記統括制御手段43により決定された第4動作パターンP4に基づいて、第1および第2可動演出装置N1,N2の何れか一方の第1駆動モータ76が駆動制御され、一方の第2表示装置56のみが第1表示部17aの前側中央側に移動して第2位置で停止することで、第1表示部17aを部分的に隠すインパクトのある演出が行われ、興趣を向上し得る。そして、統括制御手段43により決定された第4動作パターンP4に基づいて前記表示制御手段44が第4一連表示パターンR4−1を決定した場合においては、図21(c)に示す如く、左右方向に並んだ3つの表示部17a,56a,56aに個々に表示された画像G1,G2,G3により一連画像SGが形成されて、興趣を高めることができる。
【0102】
実施例のパチンコ機10では、複数の表示装置17,56a,56aの表示部17a,56a,56aに個々に表示される複数の画像G1,G2,G3によって一連画像SGを形成し得るので、第2表示装置56,56の左右方向の往復動作および傾動動作に加えて、複数の表示装置17,56a,56aでのインパクトのある表示演出を行うことができ、遊技の興趣を向上し得る。また、第1一連表示パターンR1−1、第2一連表示パターンR2−1および第4一連表示パターンR4−1において、複数の表示部17a,56a,56aに表示される画像G1,G2,G3によって一連画像SGを形成する際には、定位置に固定配置されている第1表示装置17の第1表示部17aに表示される第1画像G1を基準とすることができるので、一連画像SGを適正に表示し得る。
【0103】
〔別実施例〕
図22,図23は、第1および第2可動演出装置N1,N2の別実施例を示すものであって、両可動演出装置N1,N2は左右対称であるので、第1可動演出装置N1の構成について説明し、第2可動演出装置N2については第1可動演出装置N1と同じ部材に同一の符号を付して詳細説明は省略する。また、実施例と共通の構成部分については、説明を省略する。
【0104】
別実施例の第1可動演出装置N1は、逆コ字状(第2可動演出装置N2はコ字状)の可動台100における上下に離間する張出し部100a,100a間に、左右方向の各端部において切替え軸101,102を介して第2表示装置(可動式の表示装置)103が選択的に回動可能に支持されるよう構成される。第2表示装置103には、第1位置において第1表示装置17における第1表示部17aの中央側に近接する一方の端部(固定式の表示装置に近接する端部)に第1切替え軸101が上下に出没可能に配設されると共に、第1表示部17aの中央側から離間する他方の端部(固定式の表示装置から離間する端部)に第2切替え軸102が上下に出没可能に配設されている。各切替え軸101,102は、第2表示装置103に設けられた対応する作動機構104,104によって第2表示装置103から突出する支持位置と第2表示装置103に没した非支持位置との間で移動されるよう構成されている。また、前記可動台100における上下の張出し部100a,100aには、第1切替え軸101に対応する位置に該第1切替え軸101が挿脱可能な第1支持凹部105が夫々設けられると共に、第2切替え軸102に対応する位置に該第2切替え軸102が挿脱可能な第2支持凹部106が夫々設けられている。そして、作動機構104,104により切替え軸101,102が支持位置に移動されることで、該切替え軸101,102が対応する支持凹部105,106に挿入されて回動自在に支持されると共に、該作動機構104,104により切替え軸101,102が非支持位置に移動されることで、該切替え軸101,102が支持凹部105,106から離間して支持状態が解除されるよう構成される。
【0105】
また、別実施例の第1可動演出装置N1は、可動台100が第1位置に位置した状態で、前記第2表示装置103における第1表示部17aの中央側から離間する端部に係脱自在に係合して、該端部を前側に変位させる第1傾動機構(図示せず)および第2表示装置103における第1表示部17aの中央側に近接する端部に係脱自在に係合して、該端部を後側に変位させる第2傾動機構(図示せず)を備えている。なお、別実施例において可動台100は、実施例と同じ駆動機構によって左右方向に往復移動するよう構成されている。
【0106】
別実施例の第1可動演出装置N1では、作動機構104,104により両切替え軸101,102を支持位置に移動して両切替え軸101,102を対応する支持凹部105,106に挿入することで、可動台100に対して第2表示装置103は第2表示部103aが第1表示部17aに沿う第1姿勢に保持される。そして、第2表示装置103の第1姿勢において、第1切替え軸101を支持位置に保持したまま、作動機構104により第2切替え軸102を非支持位置に移動することで、前記可動台100に対して第2表示装置103は、第1表示部17aの中央側に近接する端部側を支点として傾動可能な第1状態に切り替えられる。この第1状態で、第1傾動機構により第2表示装置103における第1表示部17aの中央側から離間する端部を前側に変位させることで、該第2表示装置103は第2表示部103aが傾斜する第2姿勢となる(図23(b)参照)。また、作動機構104により第2切替え軸102を支持位置に移動すると共に、作動機構104により第1切替え軸101を非支持位置に移動することで、前記可動台100に対して第2表示装置103は、第1表示部17aの中央側から離間する端部側を支点として傾動可能な第2状態に切り替えられる。この第2状態で、第2傾動機構により第2表示装置103における第1表示部17aの中央側に近接する端部を後側に変位させることで、該第2表示装置103は第2表示部103aが傾斜する第2姿勢となる(図23(c)参照)。すなわち、別実施例の可動演出装置N1(N2)は、可動台10に対して切替え軸101,102による支持位置を切り替えることで、第1表示装置17に近接する端部を支点として離間する端部が前側に変位する第1状態と、第1表示装置17から離間する端部を支点として近接する端部が後側に変位する第2状態とに変化可能に構成されている。
【0107】
別実施例の第1および第2可動演出装置N1,N2では、図23(b)に示す如く、前記可動台100,100に対して第2表示装置103,103を、第1表示部17aの中央側に近接する端部を支点として離間する端部を前側に変位させた第2姿勢と、図23(c)に示す如く、前記可動台100,100に対して第2表示装置103,103を、第1表示部17aの中央側から離間する端部を支点として近接する端部を後側に変位させた第2姿勢とに切り替えることができる。すなわち、図23(b)に示すように、第2表示装置103を、第1表示部17aの中央側に近接する端部を支点として離間する端部を前側に変位させた場合は、該第2表示装置103の第2表示部103aに表示されている画像G2,G3が前側(遊技者側)に近接するように変位することで迫力のある表示ができる。これに対し、図23(c)に示すように、第2表示装置103を、第1表示部17aの中央側から離間する端部を支点として近接する端部を後側に変位させた場合は、該第2表示装置103の第2表示部103aに表示されている画像G2,G3が後側(遊技者から離間する側)に離間するように変位することで奥行き感のある表示ができる。すなわち、第2表示装置103の支点を切り替えて傾動させることで、第1表示部17aおよび第2表示部103a,103aに個々に表示される画像G1,G2,G3により形成される一連画像SGの遠近感を変化させることができ、表示演出の幅を広げて興趣を向上し得る。
【0108】
〔変更例〕
本願発明は、前述した実施例の構成に限定されるものではなく、その他の構成を適宜に採用することができる。
(1) 実施例では、第1表示装置における第1表示部の左右両側に第2表示装置を配設したが、該第1表示部の上下両側に第2表示装置を配設して一対の第2表示装置が上下方向に移動(可動)する構成を採用し得る。また、第2表示装置は、第1表示部に沿って該第1表示部の前側を左右方向や上下方向に移動する構成に限らず、斜め方向に移動するものであってもよい。
(2) 実施例では、2つの第2表示装置(可動式の表示装置)を設ける場合で説明したが、第2表示装置(可動式の表示装置)を1つまたは3つ以上設けるものであってもよい。
(3) 実施例では、第1位置の第2表示装置において、第1表示装置における第1表示部の中央側の端部を中心として該第2表示装置を傾動するよう構成したが、第1表示部の中央から離間する端部を中心として第2表示装置を傾動する構成を採用し得る。
(4) 可動式の表示装置を1つとした場合に、該可動式の表示装置を固定式の表示装置の左縁部側(一方の縁部側)と右縁部側(他方の縁部側)との間を移動するよう構成すると共に、該可動式の表示装置おける傾動中心を左右方向の中央に設定し、可動式の表示装置を固定式の表示装置の左縁部側に位置させた状態では左端部側を前側に変位するように傾動させ、可動式の表示装置を固定式の表示装置の右縁部側に位置させた状態では右端部側を前側に変位するように傾動させる構成を採用し得る。
【0109】
(5) 実施例では、規制部材を作動部材の動作に連動するよう構成したが、規制部材を別途専用の作動手段によって作動させる構成を採用することができる。
(6) 実施例では、第2表示装置の第2姿勢を1つの場合で説明したが、傾斜角度が異なる複数の第2姿勢を設定し、第2表示部に表示される表示演出に応じて傾斜角度の異なる第2姿勢を選択するようにしてもよい。
(7) 実施例では、駆動機構を、駆動モータの回転を歯車およびラックを介して可動台に伝えて直線的に往復移動するよう構成したが、駆動モータの回転を可動台に伝える機構は、歯車とラックとを用いた機構に限定されるものでなく、リンク手段やベルト、その他各種公知の機構を採用し得る。
(8) 実施例では、第2表示装置を傾動する傾動機構として、カムフォロアとカム孔とによる機構を用いて作動部材を移動するよう構成したが、駆動モータの回転を作動部材に伝える機構は、ラックとピニオン、リンク手段、ベルト等、その他各種公知の機構を採用し得る。
(9) 実施例では、第2表示装置を傾動する傾動機構を定位置に固定配置した場合で説明したが、可動台に設けた傾動機構によって第2表示装置を傾動させる構成を採用し得る。この構成によれば、第2表示装置を任意の位置で傾動させることができ、興趣を向上し得る。
【0110】
(10) 実施例では、第2表示装置が第1位置および第2位置で停止した状態で該第2表示部および第1表示装置の第1表示部に個々に表示される画像によって一連画像を形成する場合で説明したが、第2表示装置が移動中においても、第1表示部に表示される画像と第2表示部に表示される画像とによって一連画像が形成される構成を採用し得る。すなわち、表示制御手段により決定される表示パターンに、第2表示装置が移動中に第2表示部に表示される画像と第1表示部に表示される画像との繋ぎ目が適正となる表示となる移動用表示パターンが設定されていればよい。例えば、第2表示装置の移動に伴って第1表示部に表示される画像と第2表示部に表示される画像とによって形成される一連画像が縮小したり拡大するように表示することができる。
(11) 実施例では、パチンコ機の全体を制御するメイン制御手段と、該メイン制御手段からの制御信号に基づいて各制御対象を制御するサブ制御手段とを設け、該サブ制御手段が可動演出装置の動作や第1および第2表示装置の表示内容(画像)を制御するよう構成したが、パチンコ機を構成する全ての装置を1つの制御手段によって制御する構成を採用し得る。すなわち、メイン制御手段が、サブ制御手段(統括制御手段および表示制御手段)の機能を全て備えるようにすればよい。すなわち、メイン制御手段に、複数の表示部に画像を表示するように複数の表示装置を制御する表示制御手段としての機能を備えさせるようにしてもよい。
(12) 実施例では、統括制御手段によって可動演出装置の動作を制御すると共に、表示制御手段によって各表示装置の表示内容(画像)を制御するようにしたが、表示制御手段の機能の全てを統括制御手段に備えるようにしたり、または統括制御手段の機能の全てを表示制御手段に備えるようにすることができる。すなわち、統括制御手段に、複数の表示部に画像を表示するように複数の表示装置を制御する表示制御手段としての機能を備えさせるようにしてもよい。
(13) 遊技機としては、パチンコ機に限られるものではなく、アレンジボール機や遊技媒体としたパチンコ球やメダルを用いたスロットマシン等、その他各種の遊技機であってもよい。
【符号の説明】
【0111】
17 第1表示装
7a 第1表示部(表示部)
44 表示制御手段
55 可動台
56 第2表示装
6a 第2表示部(表示部)
60 可動台用案内レール(第1案内レール)
61 表示用案内レール(第2案内レール)
69 規制突起(規制部)
70 係合突起(係合部)
71 駆動機構
78 傾動機構
80 作動部材
89 規制部材
G1 第1画像(画像)
G2 第2画像(画像)
G3 第3画像(画像)
SG 一連画像(一連の画像)
図1
図2
図3
図4
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