【実施例】
【0017】
(パチンコ機)
図1に示すように、実施例に係るパチンコ機10は、前後に開口する矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に縦置き姿勢で設置される固定枠としての外枠11の開口前面側に、
図2に示す遊技盤20を着脱可能に保持する本体枠としての中枠12が、開閉および着脱可能に組み付けられている。遊技盤20の裏側には、
図3に示すように、所定条件の成立(後述する第1始動入賞装置30の始動入賞口または第2始動入賞装置の始動入賞口へのパチンコ球(遊技球)の入賞)を契機として演出用の図柄(以下飾図という)を変動表示させて図柄変動演出を行う演出実行手段としての図柄表示装置38が、着脱可能に配設されている。また、中枠12の前面側には、遊技盤20を透視保護するガラス板や透明な合成樹脂材により形成された透視保護板19(
図1参照)で前後に開口する窓口13aを覆うよう構成された装飾枠としての前枠13が開閉可能に組み付けられると共に、該前枠13の下部前側に、パチンコ球を貯留する上球皿14および下球皿15が組み付けられており、前枠13の開閉に合わせて上球皿14および下球皿15も一体的に開閉するよう構成される。前枠13には、窓口13aの外周を囲繞するようランプ装置16が配設されると共に、該前枠13の上部左右に、音声や効果音を出力可能なスピーカ17が配設されている。すなわち、ランプ装置16に設けられたLED等の発光体(図示せず)を点灯・点滅したり、スピーカ17から適宜の音声を出力することで、図柄表示装置38の表示部38aでの図柄変動演出に合わせて発光演出や音声演出を行い得るよう構成されている。
【0018】
また、
図1に示すように、前枠13の右下部には、中枠12に配設された球発射装置(図示せず)および該前枠13の裏側に配設された球送り装置(図示せず)を作動する操作ハンドル18が設けられており、該操作ハンドル18の回転操作により、球送り装置および球発射装置が連動して作動することで、上球皿14に貯留されたパチンコ球が所定間隔で1球ずつ遊技盤20に向けて連続的に発射されるようになっている。なお、上球皿14と前枠13と別体に形成して、該上球皿14を中枠12に対して開閉可能に組み付けるようにしてもよい。
【0019】
(遊技盤)
遊技盤20は、アクリルやポリカーボネート等の光透過性の合成樹脂製板やベニア等の木製合板を材質とする略矩形状の板部材であって、
図2および
図3に示すように、中枠12に設けた遊技盤保持部(図示せず)の内縁形状に整合する外縁形成された略矩形の平板状に形成され、その前側には遊技領域21が設けられると共に、その後側には設置部材40が配設されている。遊技盤20の前側には、左下部から右上部にかけて円弧状に延在する外レール(第2領域画成部、領域画成部)22と、この外レール22の内側に右下部から左上部にかけて並べて配置された内レール(領域画成部)23と、外レール22の右上部から内レール23の右下部までの間が右方へ凹む湾曲形状に構成された盤面飾り部材(第1領域画成部、領域画成部)24等が配設されており、両レール22,23および盤面飾り部材24で囲まれた内側が遊技領域21として構成されている。また、遊技領域21の最下方に、遊技領域21を流下したパチンコ球を遊技盤20の裏側へ排出するアウト口25が形成されている。これにより、前枠13の上球皿14から中枠12に配設された球発射装置へ案内されて、該球発射装置から発射されたパチンコ球は、外レール22と内レール23との間を通って遊技領域21の打ち出し側である左上部に打ち出された後に該遊技領域21内を流下し、該パチンコ球の一部が第1始動入賞装置30、特別入賞装置32または普通入賞具33等に入賞し、これらに入賞しないパチンコ球は、アウト口25から遊技盤20の裏側へ排出されるようになっている。
【0020】
遊技盤20には、前後に貫通する複数の装着口が開設されており、該装着口には、各種の遊技盤設置部品(具体的には枠状装飾体26、第1始動入賞装置30、特別入賞装置32、ゲート部材34、普通入賞具33等が各装着口に対し前側から取り付けられる。すなわち、遊技盤20の略中央において前後に開口する大きな装着口には、
図2に示すように、前後に開口した演出窓口26aが形成されたセンター役とも称される枠状装飾体26が配設されており、該演出窓口26a内が演出領域とされている。枠状装飾体26は、複数の装飾部材を環状に連結してユニット化されており、設置部材40の後側に着脱可能に配設された図柄表示装置38の表示部38aで演出表示される遊技内容に合わせた所定の装飾等が施されている。そして、枠状装飾体26の演出窓口26aには、設置部材40に配設された図柄表示装置38の表示部38aや、該設置部材40の前側に配設される可動演出装置や装飾装置等(何れも図示せず)が臨むようになっている。ここで、遊技領域21は、枠状装飾体26が配設されることで、該枠状装飾体26の左側の第1流下領域21aおよび該枠状装飾体26の右側の第2流下領域21bに分れられている。
【0021】
図2示すように、枠状装飾体26の演出窓口26aに臨む下側部分に、パチンコ球が転動可能なステージ部27が左右に延在して設けられていると共に、該ステージ部27の後側に、透明な部材から形成された透明保護部材28が配設されている。この透明保護部材28は、枠状装飾体26の左部に形成されて第1流下領域21aに開口する球通入口29からステージ部27へ導入されたパチンコ球が、該ステージ部27の後方へ落下するのを防止する。なお、透明保護部材28は、図柄表示装置38の表示部38aの下部と前後に重なっているが、透明な部材であるから該表示部38aの透視を阻害するものではない。ステージ部27の左右中央、すなわち第1始動入賞装置30の直上となる位置には、該第1始動入賞装置30に向けてパチンコ球を排出する凹部27aが、前下がりの傾斜状に形成されている。
【0022】
遊技領域21内の下方において遊技盤20に形成された装着口には、
図2に示すように、第1始動入賞装置30が配設されていると共に、遊技領域21において、枠状装飾体26の右側下部には、装飾部材37の後側に第2始動入賞装置(図示せず)が配設されている。また、遊技盤20の遊技領域21内において、第1始動入賞装置30が配設される装着口の右側に形成された装着口には、特別入賞装置32が配設されると共に、枠状装飾体26の右部分には、別の特別入賞装置32が配設されている。すなわち、第2始動入賞装置および各特別入賞装置32,32には、遊技領域21の第2流下領域21bを流下したパチンコ球が入賞可能となっている。更に、遊技盤20の遊技領域21内において、第1始動入賞装置30が配設される装着口の左側に形成された装着口には、普通入賞具33が配設されている。また、遊技盤20の遊技領域21内には、第1流下領域21aおよび第2流下流域21bの両方に多数の遊技釘35が打設され、第1流下領域21aに回転案内具36が配設されると共に、第2流下領域21bにゲート部材34が配設されている。なお、装着口の形成数は、遊技盤20に取り付けられる各種遊技盤設置部品の個数や配設位置等により必要に応じて適宜変更される。
【0023】
(始動入賞装置)
第1始動入賞装置30は、始動入賞口が遊技領域21内で常に上方へ開口する常時開放タイプの入賞口とされ、遊技領域21を流下するパチンコ球が常時一定の確率で入賞可能に構成されている。また、図示しない第2始動入賞装置は、該遊技領域21に開口する始動入賞口を開閉自在に閉成する開閉部材を備えており、駆動手段の駆動に伴って開閉部材が閉鎖する閉鎖位置および開放する開放位置に変位して、該開閉部材が開放位置に変位した際に始動入賞口が開口するよう構成されている。すなわち、第1始動入賞装置30は、遊技領域21を流下するパチンコ球が常時一定の確率で入賞可能に構成され、第2始動入賞装置は、遊技領域21に配設されたゲート部材34をパチンコ球が通過したことを条件として実施される普図当り判定(普図当り抽選)の結果に応じて開閉部材が開閉することで、パチンコ球の入賞確率を可変し得るよう構成されている。そして、第1始動入賞装置30および第2始動入賞装置は、始動入賞口に入賞したパチンコ球を検出する始動入賞センサが配設されており、該始動入賞センサによる球検出信号が、中枠12の裏側に配設された主制御装置(図示せず)入力される。そして、各始動入賞センサによるパチンコ球の検出(すなわち第1始動入賞装置30または第2始動入賞装置へのパチンコ球の入賞)を契機として、所定数のパチンコ球が賞球として払い出されるようになっている。また、始動入賞センサによるパチンコ球の検出を契機として、図柄表示装置38の表示部38aにおいて図柄変動演出が行われる。
【0024】
(特別入賞装置)
第1始動入賞装置30の右隣りに配設された特別入賞装置32は、横長に開口する特別入賞口を開閉する板状の開閉部材32aを備えており、駆動手段の駆動に伴って該開閉部材32aが前後方向へ回動することで特別入賞口を開閉するようになっている。枠状装飾体26の右部分に配設された特別入賞装置32は、左右方向へ回動する開閉部材32aを備えており、駆動手段の駆動に伴って開閉部材32aが閉鎖位置から開放位置へ回動することで特別入賞口が画成されるよう構成されている。また、各特別入賞装置32には、特別入賞口に入賞したパチンコ球を検出する特別入賞検出手段としての特別入賞センサ(図示せず)が設けられて、該特別入賞センサはメイン制御基板に配線接続されており、該特別入賞センサからメイン制御基板への入賞検出信号の入力に伴って所定数(実施例では15個)の賞球が払い出されるようになっている。ここで、特別入賞装置32の駆動手段は、第1始動入賞装置30または第2始動入賞装置へのパチンコ球の入賞を契機として各特別入賞装置32の特別入賞口を開放する当り遊技(大当り遊技)が付与される場合に、当りの種類に応じた所定の開閉条件に従ってメイン制御基板によって駆動制御され、開閉部材32aが回動することで特別入賞口に対して多数のパチンコ球が入賞可能となる。
【0025】
(図柄表示装置)
図柄表示装置38は、
図3に示すように、遊技盤20の後側に取り付けられた設置部材40に配設され、各種図柄を表示可能な表示部38aをなす液晶パネルが収容ケースに収容されたユニット部材である。図柄表示装置38の収容ケースの後面には、該図柄表示装置38の表示部38aの表示制御を行う表示制御装置や、当該パチンコ機10の遊技演出を統括的に制御する統括制御基板が収容された統括制御装置が配設されている。図柄表示装置38の表示部38aには、飾図を変動表示可能な図柄列が複数列(例えば3列)設定されており、第1始動入賞装置30または第2始動入賞装置へのパチンコ球の入賞を契機として、各図柄列の飾図が変動開始されると共に背景画像等が表示され、選択された図柄変動演出(リーチ演出や外れ演出等)を行った後に、予め決定された最終停止図柄を、入賞ライン上に停止表示するようになっている。なお実施例では、図柄表示装置38として、表示部38aが液晶パネルである液晶表示装置が採用されるが、これに限られるものではなく、ドラム式の図柄表示装置やドットマトリックス式の図柄表示装置等の各種図柄を停止および変動表示可能な従来公知の各種の表示装置も採用可能である。
【0026】
(主制御装置)
実施例のパチンコ機10の遊技を総合的に制御する主制御装置の主制御基板は、図柄表示装置38が配設された設置部材40に、基板ケースに収容されて配設されている。主制御基板は、制御動作を所定の手順で実行することができるメイン制御CPU、メイン制御CPUの制御プログラムを格納するメイン制御ROMおよび必要なデータの書き込みおよび読み出しができるメイン制御RAMを備えている。
【0027】
主制御基板は、大当り判定用乱数、大当り図柄用乱数、変動パターン振分用乱数、普図当り判定用乱数等の各種乱数の値を所定の周期毎に更新し、更新後の値をメイン制御RAMの設定領域に記憶(設定)することで更新前の値を書き換えており、乱数更新処理(乱数生成処理)を実行するようになっている。例えば、主制御基板では、第1始動入賞装置30または第2始動入賞装置の始動入賞センサから検出信号が入力されると、メイン制御CPUがメイン制御ROMから大当り判定用乱数を取得し、この大当り判定用乱数とメイン制御ROMに記憶されている大当り判定値とを比較し、大当りとするか否かの大当り判定(大当り抽選)を行う。また主制御基板では、大当り判定の結果が肯定の場合には、大当り演出のみが含まれる変動パターンテーブルから大当り演出用の変動パターンを決定する。これに対して、大当り判定の結果が否定の場合には、はずれ演出のみが含まれる変動パターンテーブルからはずれ演出用の変動パターンを決定する。大当り演出用およびはずれ演出用の変動パターンの決定は、大当り判定と同様に、メイン制御CPUがメイン制御ROMから取得した乱数により行う。なお、変動パターンテーブルから決定される大当り演出およびはずれ演出の変動パターンは、少なくとも図柄変動ゲームの変動時間および演出内容を特定するものである。そして、パチンコ機10では、主制御基板の大当り判定の結果に応じて出力された統括制御基板の制御信号に基づいて、図柄表示装置38に所定の演出表示を行わせると共に、主制御基板の制御により出力された球払出しに係る制御信号に基づいて、図示しない球払出装置によって所定数の賞球が上球皿14へ払い出される。
【0028】
(統括制御装置)
統括制御装置の統括制御基板には、統括制御CPUが備えられると共に、該統括制御CPUには、統括制御ROMおよび統括制御RAMが接続されている。また、統括制御CPUは、実行可否判定用乱数や動作演出パターン抽選用乱数等の各種乱数の値を所定の周期毎に更新し、更新後の値を統括制御RAMの設定領域に記憶(設定)して更新前の値を書き換えている。更に、統括制御ROMには、図柄表示装置38の表示部38aにおける演出内容を制御する表示制御基板、ランプ装置16を制御するランプ制御基板を統括的に制御するプログラムや、スピーカ17を制御する音制御基板等を統括的に制御するプログラムや、演出装置を作動制御するプログラム等が記憶されている。
【0029】
統括制御CPUは、各種制御コマンドを入力すると、統括制御プログラムに基づき各種制御を実行する。例えば、統括制御基板では、主制御基板のメイン制御CPUから変動パターン指定コマンドが入力されると、統括制御CPUが統括制御ROMから実行可否判定用乱数を取得し、この実行可否判定用乱数と統括制御ROMに記憶されている実行可否判定値とを比較し、演出装置の可動体演出を実行するか否かの実行可否判定を行う。そして、統括制御基板は、実行可否判定の結果が肯定の場合において、演出装置を動作させる。
【0030】
(緩衝構造)
次に、遊技盤20において、遊技領域21におけるパチンコ球の打ち出し側(実施例では左側)と反対側(実施例では右側)の上部に設けられ、該遊技領域21に打ち出されたパチンコ球が衝突することで該パチンコ球の勢いを低減させる緩衝構造につき、図面を引用して説明する。遊技盤20には、遊技領域21の右側を盤面飾り部材(第1領域画成部)24の上部に、緩衝部材64を取り付けるための部材取付部55が設けられている。これにより、実施例の遊技盤20は、前述した球発射装置により遊技領域21内へ打ち出されて外レール22に沿って該遊技領域21の右上部まで到来したパチンコ球を、部材取付部55に配設した緩衝部材64に衝突させることで、当該パチンコ球の勢いを低減させ得ると共に、該パチンコ球の衝突による異音の発生を抑制し得るよう構成されている。
【0031】
(盤面飾り部材)
盤面飾り部材24は、
図2に示すように、遊技盤20の上下寸法と略同じ上下寸法に形成された合成樹脂製の一体成形部材である。盤面飾り部材24は、遊技盤20の前面における遊技領域21の外側における右上コーナー部および右下コーナー部を覆い得る形状をなしている。すなわち、盤面飾り部材24は、上下方向の略中央において左右寸法が最小で、該最小部分から上方および下方にいくにつれて左方へ延出する形状をなしており、上端部よりも下端部の左右寸法が大きくなっている。盤面飾り部材24は、
図2、
図3および
図7に示すように、遊技盤20の前面から前方に離間して位置する前壁45と、該前壁45の左縁から後方へ延出し、該左縁に沿って右方へ凹となる湾曲に延在する内側壁46と、該前壁45の上縁、右縁および下縁から後方へ延出して、該上縁、右縁および下縁に沿って延在する外側壁47とを備えている。内側壁46は、盤面飾り部材24の上方に設けた部材取付部55から下方へ延在して遊技領域21を画成するレール部46aと、該部材取付部55から上方へ延在して外レール22の外側(上側)に位置する上内側面46bとからなる。して該外レール22に沿って延在するようになっている。なお、盤面飾り部材24の前後寸法は、パチンコ球の直径と同等以上でかつ直径の2倍より小さく設定されている(
図3参照)。
【0032】
盤面飾り部材24は、
図5、
図7および
図8(b)に示すように、縦方向および横方向へ延在する補強リブ48が、前壁45の裏面に一体に形成されている。また、盤面飾り部材24を遊技盤20に取り付けるための盤面取付部49が、当該盤面飾り部材24の裏側に複数設けられている。盤面取付部49は、盤面飾り部材24の裏側に設けられた補強リブ48に一体に形成されて後方へ突出し、後側から見て十字型をなすボス状部であり、遊技盤20の前面所要位置に設けられた差し込み孔(図示せず)に前側から圧入して係止される。また、盤面飾り部材24における部材取付部55の上方には、中枠12に設けられた遊技盤固定具(図示せず)が係止する取付凹部50が、前壁45から後方へ凹んだ形状に設けられている。
【0033】
(部材取付部)
盤面飾り部材24に設けられた部材取付部55は、
図5、
図7および
図8に示すように、レール部46aの上端部および上内側壁46bの下端部の間に設けられている。部材取付部55は、前壁45の裏側に設けられると共に、上内側壁46bおよびレール部46aの間から遊技領域21へ開口して設けられている。これにより、
図2および
図8(a)に示すように、部材取付部55に取り付けられた緩衝部材64は、遊技盤20の前側から僅かに視認される状態で遊技領域21へ露出するように配置される。部材取付部55は、前壁45の一部よりなり、緩衝部材64を前側から保持する第1保持壁56と、前壁45の裏面から後方へ延出し、緩衝部材64を下方から保持する第2保持壁57とを備えている。また、部材取付部55は、第2保持壁57に形成され、緩衝部材64に設けられた第1部材係止部74が嵌合して係止する第1係止部58と、第1保持壁56から後方へ延出して形成され、緩衝部材64に設けられた第2部材係止部75に差し込まれる第2係止部59とを備えている。
【0034】
(第1保持壁)
第1保持壁56は、
図7および
図8(a)に示すように、緩衝部材64の前端面68が当接するようになり、上下方向および左右方向に向いて平坦な平滑面に形成されている。また、第1保持壁56における遊技領域21に臨む縁部56aは、緩衝部材64の前端面68の外縁に近似した輪郭形状に形成されている。これにより、第1保持壁56は、部材取付部55に取り付けた緩衝部材64の前端面68における上端面70および左側端面73に沿う部分を残して覆うようになっている(
図8(a)参照)。
【0035】
(第2保持壁)
第2保持壁57は、
図4、
図5、
図7および
図8(b)に示すように、緩衝部材64の下端部65の下面形状(下端面71の形状)に合わせて、左右方向において下方へ凹となる湾曲した形状に形成されている。第2保持壁57は、下内側壁56bに連なって設けられると共に、該第2保持壁57に隣接する補強リブ48と連なって設けられており、緩衝部材64にパチンコ球が衝突した際の衝撃に対して変形し難く構成されている。また、第2保持壁57は、その右端部が、取付部55に隣接して配設される後述のアース金具80と接触するように形成されており(
図5参照)、これによっても補強が図られている。
【0036】
(第1係止部)
第1係止部58は、
図7および
図8(b)に示すように、第2保持壁57に、前後方向へ直線に延在すると共に、上方および後方へ開口した凹溝部である。第1係止部58の底部は、補強リブ48と連なって設けられている。
【0037】
(第2係止部)
第2係止部59は、
図4、
図5および
図7に示すように、第1保持壁56における第2保持壁57から上方へ離間した位置において、後方へ延出して形成されている。第2係止部59は、第1保持壁56から後方へ水平かつ直線状に延出した棒状部であり、盤面飾り部材24を遊技盤20に取り付けた状態で、突出端(後端)が該遊技盤20の前面に当接または近接する延出長さに設定されている。また、第2係止部59は、延出方向と直交した方向での断面形状が俵形状をなしていると共に(
図4参照)、断面における長手側が鉛直方向に対して斜めとなるように形成されている。すなわち、第2係止部59は、外レール22における緩衝部材64と隣接する隣接部22aの延在方向に略沿う方向が長手となる俵形状の断面形状をなす棒状部となっている。これにより第2係止部59は、外レール22に沿う方向(左斜め上方)から加わる外力に対する剛性が向上している。従って、第2係止部59に係止された緩衝部材64に対し、外レール22に沿って飛翔したパチンコ球が衝突した際に、該第2係止部59に加わる外力を適切に受け止め得るようになっている。
【0038】
(緩衝部材)
緩衝部材64は、
図4〜
図8に示すように、外レール22と、該外レール22の内側に位置する盤面飾り部材24におけるレール部46aの上端部46cとの間から、遊技領域21内に該外レール22に沿って配置されるブロック状の部材である。この緩衝部材64は、弾力性を有すると共に、耐摩耗性や耐衝撃性等が優れた素材から形成されており、例えばウレタンゴムやニトリルゴム等から形成される。すなわち、硬球であるパチンコ球が勢いよく多数回衝突しても、長期に亘って弾力性が維持されると共に割れや欠け等の破損し難い特性を有している。
【0039】
緩衝部材64は、
図4〜6に示すように、直方体が部分的に変形した形状をなし、前面視において、長手方向が鉛直方向に対し左方へ傾いた斜め姿勢で部材取付部55に取り付けられるようになっている。すなわち、緩衝部材64は、遊技領域21へ打ち出されて外レール22に沿って右方へ飛翔するパチンコ球が接近する方向に向けて傾いた斜め姿勢で部材取付部55に取り付けられる。
【0040】
(緩衝部材の形状について)
緩衝部材64は、
図6に示すように、第1保持壁56に対向する前端面68および遊技盤20の前面に対向する後端面69は、平坦に形成されていると共に平行となっている。遊技領域21におけるパチンコ球の打ち出し側に向いた上端面70は平坦に形成されると共に、第2保持壁57に対向する下端面71は、下方へ凸となると共に左右方向で湾曲した形状に形成されている。そして、外レール22に対向する右側端面72は、長手方向の略中央に段差が形成されて、上端部67側より下端部65側が該外レール22から離間しており、段差部分を除いて平坦に形成されている。また、遊技領域21側を向いて枠状装飾体26に対向する左側端面73は、上端面70に隣接する部分が右側端面72と平行な平坦面となっているが、該平坦部分以外は、枠状装飾体26側へ凸となるよう膨出した湾曲形状をなして下端面71に連続している。すなわち、緩衝部材64は、パチンコ球の打ち出し側に向いた上端部67よりも、部材取付部55に保持される中間部66および下端部65が、左右方向の寸法が大きく形成されると共に、中間部66よりも下端部65が左右方向の寸法が大きくなっている。
【0041】
(第1部材係止部)
緩衝部材64には、
図4〜
図7に示すように、該緩衝部材64の下端部65に、部材取付部55の第2保持壁57に形成された前述の第1係止部58に係止可能な第1部材係止部74が設けられている。第1部材係止部74は、下端面71から下方へ突出すると共に前後方向へ延在する突条部である。第1部材係止部74は、緩衝部材64を部材取付部55に取り付ける際に、後方へ開口した第2係止部59に対して後方から挿入可能に構成されている。
【0042】
(第2部材係止部)
緩衝部材64は、
図4〜
図7に示すように、該緩衝部材64の下端部65と上端部67との間の中間部66に、部材取付部55の第1保持壁56に設けられた第2係止部59に係止する第2部材係止部75が設けられている。第2部材係止部75は、緩衝部材64の下端部65と上端部67との中間部において前後に直線状に延在して、前端面68および後端面69に開口する貫通孔である。また、第2部材係止部75の開口形状は、第2係止部59の断面形状と同じ俵形状をなしており、該開口における長手側が、当該緩衝部材64の長手方向に対し僅かに斜め(右斜め)となる向きに形成されている。
【0043】
(取付部に対する緩衝部材の取付態様)
前述のように構成された実施例の緩衝構造では、
図7に示すように、部材取付部55に設けられた第1係止部58および第2係止部59を、緩衝部材64の第1部材係止部74および第2部材係止部75に夫々整合させ、該緩衝部材64を部材取付部55に対し後方から第1保持壁56に向けて押し込むことで、
図8に示すように、部材取付部55の第1係止部58および第2係止部59と緩衝部材64の第1部材係止部74および第2部材係止部75が夫々係止し、当該緩衝部材64が部材取付部55に取り付けられる。緩衝部材64は、第1部材係止部74と第1係止部58とが係止すると共に第2部材係止部75と第2係止部59とが係止することで、下端部65および中間部66の弾性変形が規制された状態となっている。これに対し、中間部66より上方の上端部67は、第1係止部58および第2係止部59により弾性変形が規制されず、パチンコ球の衝突による弾性変形が許容された状態となっている。そして、緩衝部材64は、その上端面70および左側端面73が遊技領域21へ露出した状態で配設されている。
【0044】
(外レールと緩衝部材との隙間について)
実施例の緩衝構造では、
図4および
図5に示すように、部材取付部55に取り付けられた緩衝部材64が、遊技領域21における外レール22の内側に、該外レール22と隙間Sを空けて重なるように配置される。すなわち、部材取付部55に取り付けられた緩衝部材64の右側端面72と、外レール22の隣接部22aとの間に、隙間Sが画成されている。これにより、
図9に2点鎖線で示すように、遊技領域21へ打ち出されて外レール22に沿って緩衝部材64側へ到来するパチンコ球が、該緩衝部材64の上端部67に衝突した際に、該上端部67が外レール22側へ近接する弾性変形が許容され、緩衝部材64の変形自由度が高められている。
【0045】
実施例の緩衝構造では、緩衝部材64に対するパチンコ球の衝突により上端部67が外レール22側へ弾性変形した場合には、
図9に2点鎖線で示す状態、すなわち上端部67が外レール22に当接した状態以上の該上端部67の弾性変形は、外レール22により規制されるようになっている。すなわち、緩衝部材64は、外レール22に接触するまでの上端部67の弾性変形は許容され、外レール22に上端部67が接触した状態以上の過剰な弾性変形は規制されるよう構成されている。
【0046】
また、実施例の緩衝構造では、部材取付部55に取り付けられた緩衝部材64は、上端面70および左側端面73が遊技領域21に露出しており、上端部67の遊技領域21側への弾性変形が規制されないようになっている。従って、緩衝部材64に対するパチンコ球の衝突時には、
図9に1点鎖線で示すように、上端部67が遊技領域21側(外レール22と反対側)へ弾性変形することが可能である。
【0047】
更に、実施例の緩衝構造では、
図2および
図8(a)に示すように、部材取付部55に取り付けられた緩衝部材64が、部材取付部55の第1保持壁56の縁部56aよりも遊技領域21の内側へ突出している。このため、パチンコ球が緩衝部材64の上端部67の上端面70側や、中間部66の左側端面73側に衝突した際に、該パチンコ球が第1保持壁56には接触しないようになっている。これにより、パチンコ球の接触による第1保持壁56の損傷を防止し得ると共に、パチンコ球と第1保持壁56との接触による異音の発生も防止し得るよう構成されている。
【0048】
(アース金具)
実施例の遊技盤20は、
図5および
図8(b)に示すように、盤面飾り部材24における部材取付部55に隣接した位置に、当該遊技盤20に帯電した静電気をアースするためのアース金具80が配設されている。このアース金具80は、盤面飾り部材24における部材取付部55に隣接して設けられた金具取付部78にネジ固定することで、外レール22の隣接部22aの端面に接触する第1接触部81と、遊技盤20の後側に取り付けられる前述の設置部材40に取り付けられ、機外に電気的に接続されたアース部(図示せず)に接触する第2接触部82とを備えている。これにより、遊技盤20の遊技領域21へ打ち出されたパチンコ球が静電気を帯電している場合に、該パチンコ球が外レール22に接触することで、該静電気が外レール22およびアース金具80を介して機外へアースされるようになっている。
【0049】
〔実施例の作用〕
実施例のパチンコ機10は、操作ハンドル18により発射操作を行うことで球送り装置および球発射装置が作動し、上球皿14内に貯留されたパチンコ球が、遊技盤20の左上部から遊技領域21内へ所定間隔毎に打ち出される。主制御装置において大当り抽選の結果に基づく大当り条件の成立前では、操作ハンドル18により球発射装置の打ち出し強さを調節して、遊技領域21へ打ち出された各パチンコ球が該遊技領域21の第1流下領域21aを流下するようにする。第1流下領域21aに打ち出されたパチンコ球は、遊技釘35や回転案内具36等に接触しながら流下し、該パチンコ球の一部は、第1始動入賞装置30の始動入賞口や普通入賞具33の普通入賞口に入賞する。そして、第1始動入賞装置30にパチンコ球が入賞して、該始動入賞装置30の始動入賞センサからの検出信号を主制御装置が受信すると、該主制御装置は、大当り抽選を行う一方、統括制御装置に制御信号を出力して図柄表示装置38で図柄変動演出を行わせると共に、中枠12の後側に配設された払出制御装置に制御信号を出力して、球払出装置に所定数の賞球を払い出させる。
【0050】
第1始動入賞装置30へのパチンコ球の入賞を契機とした主制御装置における大当り抽選の結果に基づき、所定の大当り条件が成立して特別遊技状態が発生した場合には、図柄表示装置38の表示部38aでの図柄変動演出の後に、該表示部38aに所定の図柄組合わせで図柄が停止表示されると共に、特別入賞装置32の開閉部材32aを開放させ、該特別入賞装置32に対してパチンコ球が入賞可能となる。
【0051】
前述のように、特別遊技状態が発生して特別入賞装置32の開閉部材32aが開放したら、該特別入賞装置32に対してパチンコ球を入賞させるため、操作ハンドル18を操作量を変更して球発射装置の打ち出し強さを増加させて「右打ち状態」に変更する。これにより、球発射装置から発射されたパチンコ球は、勢いよく遊技領域21の左上部から該遊技領域21へ打ち出され、外レール22に沿って右方へ飛翔して緩衝部材64に衝突する。これにより、緩衝部材64の上端部67が、外レール22の隣接部22a側へ弾性変形するか、該外レール22の隣接部22aと反対側の遊技領域21側へ弾性変形するようになり、該緩衝部材64の弾性変形によりパチンコ球の勢いが低減される。そして、減勢されたパチンコ球は、緩衝部材64の左側から遊技領域21の第2流下領域21bを流下するようになり、該第2流下領域21bの中間部に位置する特別入賞装置32の特別入賞口や、該第2流下領域21bの下部に位置する特別入賞装置32の特別入賞口に入賞するようになり、入賞したパチンコ球は特別入賞センサで検出される。
【0052】
前述のように構成された実施例のパチンコ機10では、遊技領域21におけるパチンコ球の打ち出し側と反対側を画成する盤面飾り部材24の上部に設けられた部材取付部55に取り付けた緩衝部材64が、該遊技領域21おける打ち出し側から盤面飾り部材24の下内側壁56bの上端部67までの間を画成する外レール22の内側に、該外レール22と隙間Sを空けて重なるよう配置される。これにより、遊技領域21に打ち出されて外レール22に沿って移動したパチンコ球が緩衝部材64に衝突した際には、隙間Sの範囲内で当該緩衝部材64の外レール22側への弾性変形が許容される。すなわち、パチンコ球が衝突した際の緩衝部材64の変形自由度が高められていることで、該緩衝部材64の弾性変形に伴ってパチンコ球の勢いを適切に低減することができる。そして、緩衝部材64と外レール22との隙間Sの大きさ以上の該緩衝部材64の変形は規制されるので、緩衝部材64の過剰な変形を規制して当該緩衝部材64の破損等を防止し得る。
【0053】
緩衝部材64は、下端部65に設けられた第1部材係止部74と部材取付部55に設けられた第1係止部58との係止により該下端部65が部材取付部55に保持され、上端部67にパチンコ球が衝突した際には該上端部67が外レール22に向けて弾性変形するか、外レール22と反対側の遊技領域21側に向けて変形することで、パチンコ球の勢いを好適に低減することができる。
【0054】
更に、緩衝部材64が、第1部材係止部74および第2部材係止部75で盤面飾り部材24に設けられた部材取付部55に保持されるので、該緩衝部材64が部材取付部55に対して適切な姿勢で保持されるようになり、緩衝部材64を、外レール22と適切な隙間Sを空けた姿勢で配置することが可能である。
【0055】
更に、緩衝部材64が、部材取付部55における第1保持壁56の縁部56aよりも遊技領域21の内側へ突出しているので、パチンコ球が該部材取付部55の縁部56aに接触することが防止され、該第1保持壁56の破損を防止し得ると共に、パチンコ球と第1保持壁56との衝突による異音の発生も防止し得る。
【0056】
また、部材取付部55に設けた第2保持壁57が補強リブ48と連設されていると共に、第2係止部59が俵形状をなす断面形状に形成されているので、緩衝部材64にパチンコ球が衝突した際の衝撃が繰り返し加わっても、部材取付部55の変形や破損を防止することができる。
【0057】
(変更例)
本発明に係る遊技機は、実施例に例示の形態に限らず種々の変更が可能である。
(1)緩衝部材の形状は、実施例で例示した形状に限らず、直方体、角錐台または平行六面体等、様々な形状とすることが可能である。
(2)取付部に設けた第1係止部を突条部とすると共に、緩衝部材に設けた第1部材係止部を、該第1係止部が嵌合して係止可能な凹溝部としてもよい。
(3)取付部に設けた第2係止部の断面形状は、実施例で例示した俵形状に限るものではなく、円形状、楕円形、三角形や四角形等の多角形や、十字型やH型等としてもよい。
(4)取付部の第2保持壁は、緩衝部材の下端部の外面全体に当接する形状としてもよい。
(5)第2領域画成部と緩衝部材との間の隙間は、緩衝部材の過剰な弾性変形とならない範囲(例えば2〜4mm程度)で、適切な間隔に設定することが可能である。
(6)実施例では、遊技機としてのパチンコ機を示したが、遊技機はパチンコ機に限られるものではなく、アレンジボール機等であってもよい。