(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態を、
図1〜9を用いて説明する。なお、以下の説明にあたって、『乗物用シート』の例として、『車両用シート1』を説明することとする。また、以下の説明にあたって、上、下、前、後、左、右とは、上述した図に記載した、上、下、前、後、左、右の方向、すなわち、自動車等の車両(図示しない)の内部に車両用シート1を配置した状態を基準にしたときの上、下、前、後、左、右の方向を示している。
【0018】
まず、
図1を参照して、車両用シート1の構成を説明する。この車両用シート1は、シートクッション2と、シートバック3と、パワースライド装置4とから構成されている。なお、これらシートクッション2と、シートバック3と、パワースライド装置4とのうち、シートクッション2とシートバック3は公知のものであるため、以下に、パワースライド装置4のみを説明することとする。
【0019】
図2〜3に示すように、パワースライド装置4は、車両のフロア(いずれも図示しない)に組み付けられる左右のロアレール10、10と、この左右のロアレール10、10に対してスライド可能に組み付けられる左右のアッパレール20、20と、この左右のアッパレール20、20を左右のロアレール10、10に対して電動でスライドさせる電動駆動機構30とから構成されている。以下に、これら左右のロアレール10、10と、左右のアッパレール20、20と、電動駆動機構30とを個別に説明していく。
【0020】
はじめに、ロアレール10から説明する(
図9参照)。このロアレール10は、車両(図示しない)の前後方向に延びる長尺状に形成されている。このロアレール10は、底面10aと、この底面10aの左右から立ち上がる左右の側面10b、10bと、この左右の側面10b、10bの上縁から互いが近づく方向に向けて立ち下がる左右の立下面10c、10cとから構成されている。このロアレール10の内面には、複数(例えば、4個)の剛球12aを有する長尺状の樹脂シュー12が長手方向に沿ってスライド可能に組み付けられている。なお、この樹脂シュー12は、ロアレール10の内面の略四隅に固着されている。これにより、このロアレール10に対してアッパレール20をスライドさせるとき、このスライドを滑らかに行うことができる。
【0021】
また、このロアレール10の両端(前後端)には、ボルト(図示しない)を挿し込み可能な挿込孔10d、10dが形成されている(
図4参照)。これら挿込孔10d、10dは、このロアレール10を車両フロア(図示しない)に形成されている取付孔(図示しない)に対応するように形成されている。この取付孔における車両フロア側の反対側の縁には、ナット(図示しない)が固着されている。これにより、このロアレール10の挿込孔10d、10dにボルト(図示しない)を挿し込み、この挿し込んだボルトをナットに螺合させることで、このロアレール10を床フロアに締結できる。なお、このロアレール10は、左右に対を成すように形成されている。ロアレール10は、このように構成されている。
【0022】
次に、アッパレール20を説明する(
図9参照)。このアッパレール20も、上述したロアレール10と同様に、車両(図示しない)の前後方向に延びる長尺状に形成されている。このアッパレール20も、上面20aと、この上面20aの左右から立ち下がる左右の側面20b、20bと、この左右の側面20b、20bの下縁から互いが遠ざかる方向に向けて立ち上がる左右の立上面20c、20cとから構成されている。このアッパレール20は、ロアレール10に対して長手方向に沿ってスライド可能に組み付けられる。また、このアッパレール20の上面20aには、後述するように、このアッパレール20の内部に組み付けられる後述するホルダー44の凹み44aに収納されるギヤサブアッセンブリ40のウォームギヤ40aにシャフト34の他端を締結させるための開口22が形成されている。
【0023】
この開口22は、略T字状のカバー24によって覆われている。このとき、このカバー24を留めるビスB、Bは、アッパレール20を貫通して、このアッパレール20の内部に組み付けられる後述するホルダー44に留められている。この留めは、ホルダー44に形成されているビス孔44bの雌ネジ(図示しない)にビスBを螺合させることで行われている。このようにビス孔44bの雌ネジにビスBを螺合させることができると、このビスBを留めるための相手部材(例えば、ナット)を必要とすることがない。そのため、ビスBの先端がホルダー44から張り出すことを防止できる。したがって、このビスBの先端が後述するスクリュー36に接触することを防止できる。このように、ビスB、Bによって、カバー24はアッパレール20の上面に組み付けられると共に、ホルダー44はアッパレール20の内部に組み付けられている。なお、このアッパレール20も、ロアレール10と同様に、左右に対を成すように形成されている。アッパレール20は、このように構成されている。
【0024】
最後に、電動駆動機構30を説明する。この電動駆動機構30は、モータ32と、左シャフト34aと右シャフト34bとを有するシャフト34、外周に螺子山36dが形成された左右のスクリュー36、36と、左右のナット38、38と、ウォームギヤ40aとホイールギヤ40bとをそれぞれ有する左右のギヤサブアッセンブリ40、40と、から構成されている。モータ32には、取付ブラケット32bを有する減速機ユニット32aが備えられている。この取付ブラケット32bは、後述する右のカバー24の先端にカシメによって締結されている。
【0025】
左シャフト34aは、その一端が減速機ユニット32aに連結され、その他端が左のギヤサブアッセンブリ40のウォームギヤ40aに締結されている。一方、右シャフト34bも、左シャフト34aと同様に、その一端が減速機ユニット32aに連結され、その他端が右のギヤサブアッセンブリ40のウォームギヤ40aに締結されている。
【0026】
この左のスクリュー36を説明すると、左のスクリュー36の後端には、ネジ36aが形成されている(
図5、8参照)。この後端は、その縦断面が円形を成すように形成されている。また、左のスクリュー36の後側の外周面には、後述する後ブラケット80の貫通孔82の縁に接触可能な鍔36bが形成されている。そのため、後述する後ブラケット80の貫通孔82に左のスクリュー36の後端を挿し込んで貫通させると、この左のスクリュー36の鍔36bが後ブラケット80の貫通孔82の縁に接触する。なお、
図8から明らかなように、ネジ36aは鍔36bより後側に形成されている。
【0027】
したがって、この貫通させたスクリュー36の後端を後述するカシメに必要な所定量だけ突出させることができる。もちろん、そうなるように、この左のスクリュー36の鍔36b位置は設定されている。なお、この左のスクリュー36のネジ36aの基端側は、不完全ネジ36cとなっている。また、この左のスクリュー36の後端面には、後述するカシメを行うための凹穴36dが形成されている。このように構成されている左のスクリュー36は、左のロアレール10の内部に固着されている。
【0028】
ここで、
図4〜8を参照して、この固着について詳述する。この左のスクリュー36の前端は、前ブラケット60とゴムダンパ70とを介して左のロアレール10の内部に固着されている。前ブラケット60は、底片62と、貫通孔64aを有する立片64とから略L字状を成すように一体的に形成されている。このように一体的に形成されていると、1つの部材で2つの機能を備えることとなる。具体的には、1つ目の機能として、後述するように、底片62にはフランジ62aが形成されているため、このフランジ62aを介して左のロアレール10の底面10aに前ブラケット60をかしめで締結できる。また、2つ目の機能として、後述するように、立片64には貫通孔64aが形成されているため、この貫通孔64aにゴムダンパ70の係合体74を係合させることができる。この立片64の上縁には、円弧状に凹んだ凹部64cが形成されている。
【0029】
また、ゴムダンパ70は、その前面72aと後面72bとの間を貫通する貫通孔72cを有しスクリュー36を挿し込んで保持可能な保持体72と、この保持体72の下側に並び前ブラケット60に対して係合可能な略円錐形状の突部78を有する係合体74とから構成されている。この保持体72の貫通孔72cは、左のスクリュー36の前端を挿し込み可能に形成されている。また、この係合体74の前面74aは、保持体72の前面72aに対して段差76を介して凹んだ状態となっている(
図6〜7参照)。そのため、前後方向において、係合体74は、保持体72より肉薄となっている。したがって、係合体74に対して保持体72を撓み易くできる。
【0030】
なお、保持体72の前側の下縁には、前ブラケット60にゴムダンパ70(係合体74)を組み付けたとき、この前ブラケット60の凹部64cに対応するように円弧状に突出した円弧部72dが形成されている。これにより、前ブラケット60にゴムダンパ70を組み付けると、この組み付けたゴムダンパ70の円弧部72dが前ブラケット60の凹部64cに支持されることとなる。また、この係合体74の前面74a(凹面)の凹み深さは、前ブラケット60の立片64の厚みより大きく設定されている(
図7参照)。
【0031】
また、係合体74の突部78は、立片64の貫通孔64aに挿し込み可能に形成されている。この突部78の外周面には、その先端に向かって先細りを成すように基端が張り出したフック78aが周方向に沿って形成されている。そして、立片64の貫通孔64aに突部78を挿し込むと、この挿し込んだ突部78のフック78aが貫通孔64aの縁に押し当てられて撓んでいく。やがて、撓んだフック78aが立片64の貫通孔64aの縁を乗り越えると、このフック78aの撓みが復元されて立片64の貫通孔64aの縁に引っ掛かる。これにより、ゴムダンパ70の係合体74を前ブラケット60の立片64に係合できる。このように係合されたゴムダンパ70は、左のアッパレール20の内部に配置されることとなる。そのため、このゴムダンパ70が左のアッパレール20に接触することがない。なお、この突部78がフック78aとなっているため、係合体74の突部78を立片64の貫通孔64aから抜け難くできる。
【0032】
このように係合体74の突部78が係合した前ブラケット60の底片62を左のロアレール10の内部の前側にかしめで締結する。ここで、このかしめについて詳述すると、前ブラケット60の底片62には、バーリング処理が施されたフランジ62aが形成されている。そして、このフランジ62aをロアレール10の底面10aに形成されている取付孔10eに挿し込んでいく。この挿し込みが完了すると、この挿し込んだフランジ62aの先端を径方向の外側に広げてかしめていく。このようにして、前ブラケット60の底片62がロアレール10の底面10aにかしめられる。
【0033】
このとき、前ブラケット60の底片62に形成されている突起62bをロアレール10の底面10aに形成されている取付孔10fに挿し込んでいる。そのため、上述したようにかしめを施しても、前ブラケット60がロアレール10の底面10aに対して回転することを防止できる。なお、上述したようにゴムダンパ70の突部78を前ブラケット60の立片64の貫通孔64aに係合させると、このゴムダンパ70の保持体72の前面72aより立片64の表面64bが凹みを成す位置に設定されることとなる。したがって、保持体72は立片64を覆う格好で前方に張り出した状態となっている。また、上述したようにゴムダンパ70の突部78を前ブラケット60の立片64の貫通孔64aに係合させると、この係合させたゴムダンパ70は左のロアレール10の内部に配置されると共に、左のアッパレール20がスライドしても、このスライドした左のアッパレール20の内部に位置することとなる。
【0034】
一方、この左のスクリュー36の後端も、後ブラケット80を介して左のロアレール10の内部に固着されている。この後ブラケット80を説明すると、この後ブラケット80は、側面視が略L字を成すように形成されている(
図8参照)。また、この後ブラケット80の上面は、アーチ状に形成されている(
図9参照)。また、この後ブラケット80には、その上側が前後方向に貫通する貫通孔82が形成されている。なお、この後ブラケット80の材質は鉄である。この貫通孔82も、スクリュー36の後端に対応するように、その縦断面が円形を成すように形成されている。また、この貫通孔82は、その前側が太径部84となっており、その後側が段差86を介して細径部88となっている。なお、この細径部88の内面には、左のスクリュー36のネジ36aに螺合可能なネジ88aが形成されている。
【0035】
そして、左のスクリュー36の鍔36bが後ブラケット80の貫通孔82の縁に接触するまで、この後ブラケット80の貫通孔82に左のスクリュー36の後端を挿し込んで貫通させる。すなわち、左のスクリュー36の鍔36bが後ブラケット80の貫通孔82の縁に接触するまで、この後ブラケット80の貫通孔82のネジ88aに左のスクリュー36のネジ36aを螺合させていく。
【0036】
次に、この後ブラケット80の貫通孔82から所定量だけ突出した左のスクリュー36の後端(ネジ36aの先端)を後ブラケット80に対して自身の半径方向の外側に向けてカシメ(例えば、スピンカシメ)ていく(
図8参照)。このカシメが特許請求の範囲に記載の「変形」に相当する。この
図8における36eがカシメされた部位(カシメ部36e)である。これにより、この後ブラケット80に対して左のスクリュー36の後端が締結されることとなる。このようにカシメられると、既に説明したように、スクリュー36の後端はその縦断面が円形を成すように形成されているため、このカシメ部36eが周方向に形成されることとなる。そのため、カシメた後のスクリュー36の後端が後ブラケット80の貫通孔82から抜け難くできる。また、このカシメ部36eは周方向に均等に広がって形成されるため、スクリュー36からの荷重を安定して受け止めることができる。このように後ブラケット80に対して後端が締結された左のスクリュー36には、左のナット38が螺合される。
【0037】
また、次に、ゴムダンパ70の突部78が挿し込まれた前ブラケット60の底片62に形成されているフランジ62aを左のロアレール10の内部の前側にカシメで締結する。また、その後、この締結させた前ブラケット60に組み付けられているゴムダンパ70の貫通孔70aに左のスクリュー36の前端を挿し込んでいく。最後に、この後ブラケット80を左のロアレール10の内部の後側にボルトB2で締結する。この締結は、ボルトB2を左のロアレール10の底面10aに形成されている挿込孔10gを介して後ブラケット80の底面に形成されているボルト孔80aの雌ネジ(図示しない)に螺合させることで行われている(
図8〜9参照)。このようにして左のロアレール10に対する左のスクリュー36の固着が完了する。なお、右のスクリュー36も、左のスクリュー36と同様に、右のロアレール10の内部に固着されている。
【0038】
また、上述したように、左のナット38に左のスクリュー36を螺合させるとき、この螺合させる左のスクリュー36は、後述するダンパゴム42とホルダー44と左のハウジング50とにそれぞれ形成されている貫通孔42a、44c、(52a、52b、54a、54b)に挿し込まれている。そして、この螺合が完了すると、この左のナット38の内面に形成された雌ネジと左のスクリュー36の外面に形成された雄ネジとが噛み合った状態となっている。そのため、この左のナット38を回転させると、この左のナット38に対して、この左のスクリュー36を相対的に前後に移動させることができる。なお、この左のナット38の外面には、左のギヤサブアッセンブリ40のホイールギヤ40bが形成されている。すなわち、この左のナット38とホイールギヤ40bとは、一体を成すように形成されている。そのため、このホイールギヤ40bを回転させると、この左のナット38に対して、この左のスクリュー36を相対的に前後に移動させることができる。一方、右のナット38も、左のナット38と同様に、右のスクリュー36に螺合した状態で組み付けられている。この右のナット38の外面には、右のギヤサブアッセンブリ40のホイールギヤ40bが形成されている。
【0039】
左のギヤサブアッセンブリ40のウォームギヤ40aは、上述したように、左シャフト34aの他端に締結されている。なお、この左のギヤサブアッセンブリ40のウォームギヤ40aとホイールギヤ40bとは、互いの回転軸方向が直交するように連結されている。一方、右のギヤサブアッセンブリ40のウォームギヤ40aも、左のギヤサブアッセンブリ40のウォームギヤ40aと同様に、上述したように、右シャフト34bの他端に締結されている。なお、この右のギヤサブアッセンブリ40のウォームギヤ40aとホイールギヤ40bとは、互いの回転軸方向が直交するように連結されている。
【0040】
このように構成されている左右のギヤサブアッセンブリ40、40は、左右のハウジング50、50にそれぞれ保持されている。ここで、これら左右のハウジング50、50について説明する。なお、これら左右のハウジング50、50およびその組み付け構造は、左右において対称であるため、左のハウジング50を説明することで、右のハウジング50の説明を省略することとする。
【0041】
左のハウジング50は、左のケース52と右のケース54とから構成されている。これら左右のケース52、54は、半割構造となっており、ビスB1、B1によって組み付け可能となっている。これら左右のケース52、54には、このビスB1、B1を挿し込み可能な貫通孔52c、52cと、このビスB1、B1に螺合する雌ネジを有するビス孔54c、54cが形成されている。そのため、このビスB1、B1を介して、これらを組み付けると、上述した左のギヤサブアッセンブリ40を保持可能な左のハウジング50が出来上がる。なお、出来上がった左のハウジング50に左のスクリュー36を挿し込み可能な貫通孔が形成されるように、これら左右のケース52、54には、予め、半円状の切欠52a、52b、54a、54bが形成されている。なお、これら左右のケース52、54は、射出成形によって剛性を有する合成樹脂からそれぞれ一体を成すように形成されている。
【0042】
これら左右のケース52、54から構成されている左のハウジング50は、左のギヤサブアッセンブリ40のウォームギヤ40aとホイールギヤ40bとを挟み込んだ状態で左のダンパゴム42を介してU字状の左のホルダー44の凹み44aに収納されている。
【0043】
そして、この左のハウジング50が収納された左のホルダー44は、上述したように、左のアッパレール20の内部に組み付けられている。このように組み付けられると、開口22から左のギヤサブアッセンブリ40のウォームギヤ40aが突出するため、左シャフト34aの他端をこの突出したウォームギヤ40aに締結できる。電動駆動機構30は、このように構成されている。これら左右のロアレール10、10と、左右のアッパレール20、20と、電動駆動機構30とからパワースライド装置4は構成されている。
【0044】
続いて、このパワースライド装置4を備えた車両用シート1の動作を説明する。モータ32を駆動させると、左右のシャフト34(左シャフト34a、右シャフト34b)と左右のギヤサブアッセンブリ40(左のウォームギヤ40a、左のホイールギヤ40bと、右のウォームギヤ40a、右のホイールギヤ40b)とを介して左右のナット38、38が回転する。これにより、この回転した左右のナット38、38が左右のスクリュー36、36に対して移動するため、左右のロアレール10、10に対して左右のアッパレール20、20を電動でスライドできる。
【0045】
本発明の実施例に係る車両用シート1は、上述したように構成されている。この構成によれば、ロアレール10には、貫通孔82を有する後ブラケット80が締結されている。
貫通孔82には、スクリュー36の後端が挿し込まれている。スクリュー36の後端は、後ブラケット80に対して自身の半径方向の外側にカシメられたカシメ部36eが形成されている。そのため、従来技術と同様に、ロアレール10に締結された後ブラケット80に対してスクリュー36の後端を締結できる。また、従来技術とは異なり、溶接を必要とすることなく後ブラケット80に対してスクリュー36の後端を締結できるため、この締結したスクリュー36の真直の度合いが低下してしまうことがない。また、溶接を必要としないため、後ブラケット80が大型になってしまうことがない。また、溶接を必要としないため、この溶接の部位を隠すカバー等を必要とすることがない。また、溶接を必要としないため、スクリュー36へ溶接のスパッタが飛び跳ねることがない。
【0046】
また、この構成によれば、後ブラケット80の貫通孔82に左のスクリュー36の後端の挿し込みは、螺合によって行われている。そのため、螺合によって行われることなく、単なる、挿し込みの場合と比較すると、後ブラケット80に対するスクリュー36の後端の締結の度合いを高めることができる。
【0047】
また、この構成によれば、スクリュー36の後側の外周面には、後ブラケット80の貫通孔82の縁に接触可能な鍔36bが形成されている。そのため、後ブラケット80の貫通孔82にスクリュー36の後端を挿し込んで貫通させると、このスクリュー36の鍔36bが後ブラケット80の貫通孔82の縁に接触する。したがって、この貫通させたスクリュー36の後端をカシメに必要な所定量だけ突出させることができる。もちろん、そうなるように、このスクリュー36の鍔36b位置は設定されている。したがって、挿し込んだスクリュー36において、カシメに必要な突出量が一定となるため、出来上がったカシメ部36eの見栄えを高めることができる。
【0048】
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施の形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。
【0049】
実施例では、『乗物用シート』の例として、『車両用シート1』を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、『乗物用シート』は、各種の乗物のシート、例えば、『船舶のシート』、『飛行機のシート』、『鉄道車両のシート』等であっても構わない。
【0050】
また、実施例では、『スクリュー36の後端をカシメる』形態を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、『スクリュー36の前端をカシメる』形態であっても構わない。もちろん、『スクリュー36の後端および前端をカシメる』形態であっても構わない。その場合でも、実施例と同様の作用効果を得ることができる。
【0051】
また、実施例では、『規制部』の例として、『後ブラケット80の貫通孔82の縁82aにスクリュー36の鍔36bが接触する』形態(実施例)を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、『後ブラケット80の貫通孔82の段差86にスクリュー36の鍔36bが接触する』形態(変形例1)でも構わない。その場合でも、実施例と同様の作用効果を得ることができる。また、段差86によって簡便に規制できる。
【0052】
また、『規制部』の例として、『スクリュー36の不完全ネジ36cが後ブラケット80のネジ88aの基端側(前側)に食い込む』形態(変形例2)でも構わない。その場合でも、実施例と同様の作用効果を得ることができる。このように、実施例、変形例1、変形例2のいずれかのみで規制を行っても構わないし、実施例と変形例2とを組み合わせて規制を行っても構わないし、変形例1と変形例2とを組み合わせて規制を行っても構わない。このように組み合わせて規制を行うと、スクリュー36の挿し込みの規制を強固に行うことができる。
【0053】
また、実施例では、『カシメ』の例として、『スピンカシメ』を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、『バーリングカシメ』、『プレスカシメ』等、公知のカシメであれば、どのようなカシメであっても構わない。
【0054】
また、実施例では、『変形』の例として、『カシメ』を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、『抜け止め構造』になっていれば構わない。