(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284876
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 11/08 20060101AFI20180215BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
B41J11/08
B41J2/01 305
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-260738(P2014-260738)
(22)【出願日】2014年12月24日
(65)【公開番号】特開2016-120619(P2016-120619A)
(43)【公開日】2016年7月7日
【審査請求日】2017年2月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】395003187
【氏名又は名称】株式会社OKIデータ・インフォテック
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(72)【発明者】
【氏名】長山 敏幸
【審査官】
大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−260341(JP,A)
【文献】
特開2004−268417(JP,A)
【文献】
特開2005−028506(JP,A)
【文献】
特開2003−096658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/00−11/70
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送する搬送装置と、インクを吐出するための複数のノズルを備える記録ヘッドと、前記記録ヘッドを前記記録媒体の搬送方向に対して交差する方向に移動する移動手段と、前記記録媒体と対向する面に複数の吸引孔を有する平板状のプラテンと、前記記録媒体を吸引する吸引孔に連通する吸引手段と、前記プラテン上に配置され、表裏を貫通する複数の貫通孔を備える平板状のプラテンカバーと、前記プラテンカバーを前記プラテンに固定する固定手段と、を備え、前記吸引孔は前記貫通孔を介して前記記録媒体を吸引し、前記記録媒体を前記プラテンカバーに吸着させながら搬送するインクジェット記録装置において、
単位面積当たりの前記貫通孔の開口率を、前記記録媒体の搬送方向の上流側の中央部から前記搬送方向の下流側に向うほど大きくし、かつ該中央部から前記記録ヘッドの移動方向の両端部に向うほど大きくすることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記貫通孔の前記開口率が、配置される前記貫通孔の数に応じて変わることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記貫通孔の前記開口率が、配置される前記貫通孔の開口面積に応じて変わることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記貫通孔の単位面積当たりの数は、前記プラテンカバーの何れの領域でも同じ数であることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記プラテンカバーは前記プラテンに固定された磁石の磁力によって固定されることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記記録ヘッドにより前記記録媒体に記録がされない領域であって、前記プラテンカバーの前記記録ヘッドが対向しない部分に、前記プラテンカバーが前記記録媒体の搬送に伴って移動しないように、前記プラテンに固定する移動防止手段が配置されていることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記プラテンと前記プラテンカバーの間に微小空間を設けるために、前記プラテンカバーの裏面に凹凸が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット式の記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット式の記録ヘッドを備え、ノズルからインク滴を吐出するインクジェット記録装置が知られている。インクジェット記録装置には、キャリッジに記録ヘッドを搭載し、そのキャリッジを移動させながらインク滴を吐出するものがある。平板状のプラテンには吸引孔が設けられ、その吸引孔によって記録媒体をプラテンに吸い付けて固定する。そのため記録媒体の記録面は、プラテンに沿って平面を保つことができる。プラテンに保持され記録媒体は、キャリッジに搭載された記録ヘッドのノズルからのインク滴を受ける。また、記録媒体は、吸引孔によって吸引されながら、搬送装置によってプラテン上を摺動し、搬送される。
【0003】
このようなインクジェット記録装置の記録動作は、記録媒体を予め決められた所定の移動距離だけ搬送させて停止させ、キャリッジを記録媒体の幅方向に走査させながら記録する。1回の走査が終わると再び記録媒体を所定距離だけ搬送して停止させ、上述と同様にインクを吐出して記録を行う。このような動作を繰り返すことで所望の画像を記録媒体上に形成する。
【0004】
記録媒体はプラテン上を摺動させる必要がある。しかし、プラテンと記録媒体との摩擦抵抗によって、または吸引孔による記録媒体への吸引力によって、記録媒体がプラテン上を平滑に移動せずに、波打状態など乱れた状態で搬送されることがある。このような問題に対して、例えば引用文献1のように、プラテンの表面にフッ素樹脂層を設けるなどの対策がされ、プラテンと記録媒体との摩擦抵抗を低減したインクジェット記録装置がある。また引用文献1では、プラテンと記録媒体との摩擦抵抗を低減するため、プラテンに溝を設けてプラテンと記録媒体間の接触面積を小さくしたインクジェット記録装置も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−122554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
インクジェット記録装置には、記録媒体としてPVCターポリンや布、あるいはポリエステルやPVCなどの様々な樹脂を原料とした樹脂シートなどが使われている。多種の記録媒体は、プラテンに対して夫々異なる摩擦抵抗をもつ。また、記録媒体は厚みや材料によっては撓みやすくなる。また、インクの乾燥を促進するヒーター付きのプラテンの場合に、プラテンに溝があると、溝に対応する部分の記録媒体の温度のほうが、プラテンと直接接している部分の記録媒体の温度より、低くなってしまう。その温度差によって、インクの乾燥速度に差が出てしまい、形成される画像に溝の模様がでてしまう場合がある。また、吸引孔の部分では、上述のような温度差による画像品質の悪化や、吸引によって微小な窪みによる画像品質の悪化の問題がある。吸引孔はなるべく小さくする必要があるが、プラテンはヒーターを裏面に設ける必要があること、温度を一定に保つために熱容量を高める必要があること、平坦を保つために強度を高める必要がある事などの理由により、厚くなってしまい、細かな穴を密集させて設けることが困難であった。また従来のプラテンでは、記録媒体の種類によっては、摩擦抵抗によって波打って搬送してしまい、適切な記録ができない場合がある。また記録媒体の種類によっては、プラテンの溝に沿って撓んでしまい、記録媒体上の所望の位置にインクを吐出できず、適切な記録ができない場合がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、様々な記録媒体を用いても記録媒体を適切に搬送し、プラテン上に適切に保持し、記録媒体に適切に記録することができるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための本発明のインクジェット記録装置は、記録媒体を搬送する搬送装置と、インクを吐出するための複数のノズルを備える記録ヘッドと、前記記録ヘッドを前記記録媒体の搬送方向に対して交差する方向に移動する移動手段と、前記記録媒体と対向する面に複数の吸引孔を有する平板状のプラテンと、前記記録媒体を吸引する吸引孔に連通する吸引手段と、前記プラテン上に配置され、表裏を貫通する複数の貫通孔を備える平板状のプラテンカバーと、前記プラテンカバーを前記プラテンに固定する固定手段と、を備え、前記吸引孔は前記貫通孔を介して前記記録媒体を吸引し、前記記録媒体を前記プラテンカバーに吸着させながら搬送するインクジェット記録装置において、
単位面積当たりの前記貫通孔の開口率を、前記記録媒体の搬送方向の上流側の中央部から前記搬送方向の下流側に向うほど大きくし、かつ該中央部から前記記録ヘッドの移動方向の両端部に向うほど大きくすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、記録媒体の種類が異なっても、記録媒体がプラテン上を円滑に搬送でき、また、記録媒体をプラテン上に適切に保持し、また、プラテンの表面温度のむらを抑制し、記録媒体に好適な記録が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、インクジェット記録装置の構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、プラテンの構成を説明する図である。
【
図3】
図3は、プラテンカバーの第1の例を説明する図である。
【
図4】
図4は、プラテンカバーの貫通孔の開口率を説明する図である。
【
図5】
図5は、プラテンカバーの好ましい配置を説明する図である。
【
図6】
図6は、プラテンカバーの表面の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、インクジェット記録装置の構成を示す斜視図である。インクジェット記録装置1は、
図1に示すように、破線で示されたフィルム状あるいは板状の記録媒体17を搬送し、インクジェット方式によって、記録媒体17の表面に画像データに応じた画像や文字などを記録する。記録媒体17は、紙、PVCターポリン、布、ポリエステルやPVCなどの合成樹脂製のフィルム、板などがある。インクジェット記録装置1は、大まかに、基台13と、この基台13に設けられた記録媒体17を搬送する搬送装置10と、記録媒体17に印字記録する印字記録装置2とを備えて構成されている。
【0012】
搬送装置10は、モータの回転駆動を受けて回転する搬送ローラ9と、この搬送ローラ9を加圧する加圧ローラユニット8を少なくとも備えている。なお、この搬送ローラ9と加圧ローラユニット8との間に記録媒体17を挟み込み、これらローラの回転によって搬送される。また、この搬送装置10と隣接する箇所においては、記録媒体17を支持するプラテン12が設けられている。このプラテン12の上にプラテンカバー20が載置され固定されている。このプラテン12及びプラテンカバー20は、印字記録装置2によって記録媒体17に印字記録する箇所となっている。また、このプラテン12の下には、このプラテン12を加熱するためのヒーターが設けられている。このヒーターによって、プラテン12及びプラテンカバー20が加熱され、さらに記録媒体17が加熱され、記録媒体17に吐出されたインクの定着を促進する。また、プラテン12は、記録媒体17が搬送される方向と直交する方向に延びるように基台13に設けられている。また、搬送ローラ9と加圧ローラユニット8とを対にして、プラテン12の隣接した箇所の同一軸線上に所定間隔、例えば87.65mmの間隔、で19組配置されている。
【0013】
印字記録装置2は、大まかに、記録媒体17にインク滴を吐出して記録を行うインクジェットヘッド3と、このインクジェットヘッド3を収容するキャリッジ4と、このキャリッジ4に連結する搬送ベルト11と、この搬送ベルト11を掛け回している駆動プーリ5と従動プーリ6と、この駆動プーリ5を回転駆動させる駆動モータ18と、記録媒体17の搬送方向に直交する方向へキャリッジ4の走査を案内するガイドレール7とを備えている。また、この搬送ベルト11とガイドレール7とは、プラテン12と同様に、記録媒体17が搬送される方向と直交する方向に延びるように基台13に設けられている。キャリッジ4は、記録媒体17が搬送される方向と直交する方向、すなわち図中双方向矢印AB方向にスライド移動するようになっている。
【0014】
また、インクジェットヘッド3に供給するインクはインクカートリッジ14に蓄えられている。インクカートリッジ14は交換可能なカートリッジ式のインク容器である。インクがなくなると交換する。
【0015】
加圧ローラユニット8は、記録媒体17を搬送する搬送ローラ9毎に対をなすように配設されている。搬送ローラ9に向けて記録媒体17を加圧しながら、加圧ローラユニット8のローラが従動回転する。つまり、記録媒体17は、下面は搬送ローラ9と接し、上面は加圧ローラユニット8のローラと接する。また、この加圧ローラユニット8は、プリンタ1の基台13に固定して取り付けられる。
【0016】
インクジェット記録装置1には記録媒体17をプラテンカバー20あるいはプラテン12に吸着させる吸引手段が備わっている。吸引手段は、大まかに、プラテン12に設けられ、プラテン12を貫通する吸引孔につながるプラテンカバー20に設けられた貫通孔19から、空気を吸引する吸引ファン16と、吸引孔と吸引ファン16を接続する吸引室15とを備えている。プラテン12は吸引室15に連通する複数の吸引孔を備えている。吸引室15の内部は、4つの部屋に仕切られ、夫々の部屋に対して吸引ファン16を備える。プラテンカバー20の貫通孔19は、プラテンカバー20を貫通している。詳しくは後述する。
【0017】
図2は、プラテンの構成を説明する図である。プラテンカバー20には複数の貫通孔19が、ほぼ一面に配置されている。また、プラテン12には吸引孔35が複数備えられている。1つの吸引孔35の開口部の面積は、1つの貫通孔19の開口部の面積より大きい。しかし、プラテン12の吸引孔35の配置された部分に関して、単位面積当たりの吸引孔35の開口率は、プラテンカバー20の単位面積当たりの貫通孔19の開口率より低い。すなわち、貫通孔19は、小さい開口面積の穴が非常に多く配置されているので開口部の開口面積が全体で広くなる。一方、吸引孔35は開口面積の大きい穴が少なく配置されている。これは、プラテンカバー20の厚みを、プラテン12より薄くできるので、小さな穴を細かなピッチであけることができるからである。厚いプラテン12は、小さな穴を多数あけることが困難である。全体を均一な温度にするために、熱容量を大きくする必要があり、また、裏面にヒーターも配置されるのでそこを避ける必要があり、小さな穴を多数空けることが困難である。
【0018】
このプラテンカバー20を置くことで、記録媒体17の裏面を、広い範囲で吸着して、より平坦にすることができる。また、開口が小さければ小さいほど、記録媒体17が薄くてしなやかでも、そこで窪むことが無くなり、より平坦に保つことができる。
【0019】
また、プラテン12の長手方向に所定間隔で磁石21が配置されている。プラテンカバー20を、ステンレスなどの鉄合金で作ることで、磁石21を固定手段としてプラテン12に固定することができる。また、固定手段として、ネジや、溝に掛ける構造でも可能だが、着脱が容易にできる磁石が好ましい。
【0020】
また、プラテン12は、記録媒体17を均一に加熱する必要があり、熱伝導率の高いアルミニウム製あるいはアルミニウム合金製が好ましい。プラテン12がアルミニウム製、プラテンカバー20がステンレス製であると、双方の熱膨張率が異なる。接着剤、あるいはネジ等で、プラテン12とプラテンカバー20を一体になる様に固定してしまうと、温度の変化による変形量が異なりプラテンカバー20に撓みが発生する。一方、磁石21で固定することで、表面を摺動させることが可能となるので、撓みの発生を防止できる。そのため、平坦である事を確保することができる。
【0021】
また、プラテン12の長手方向に沿って、記録媒体17の搬送方向の上流側に溝22が設けられている。この溝22は、プラテンカバー20の曲げ部23を嵌め、記録媒体17が搬送されるときに、プラテンカバー12が記録媒体17に連れて移動しないようにするためのものである。曲げ部23は、プラテンカバー20の搬送方向の上流側を折り曲げた部分である。
【0022】
図3は、プラテンカバーの第1の例を説明する図である。プラテンカバー20の中央部27は記録媒体17の搬送方向の上流側にある。搬送方向の上流部には、曲げ部23がある。また、中央部27はプラテンカバー20の主走査方向、すなわち記録ヘッドが移動する方向の中央部でもある。その部分の単位面積当たりの貫通孔19の開口率は低くい。破線24は、プラテンカバー20の主走査方向の中央を示す線である。一点破線28は中央部27と最端部29を含む直線である。最端部29は、記録媒体17の搬送方向の下流側であり、主走査方向の端部である。最端部29の貫通孔19の開口率は高い。破線24で区切った一方側の一方側領域25と他方側の他方側領域26は、破線24を境に対称に貫通孔19が設けられている。
【0023】
左右対称とすることで、記録媒体17の幅方向の中央を、プラテンカバー20の中央部27に合わせて搬送させることで、記録媒体17を中央から両端に向かい引きのばしながら搬送できるので、効果が大きい。また左右同様の力が加わり、搬送時の斜行を防止できる。また、例えば記録媒体17の幅方向の端をプラテンカバー20の端に合わせてセットした場合に、記録媒体17の端に斜行を規制する規制部材を配置することで、記録媒体17の皺を伸ばしながらの搬送は可能である。しかし、記録媒体17の中央とプラテンカバー20の中央を合わせる使用方法が好ましい。また、搬送方向の上流部には、曲げ部23があり、記録媒体17に伴ってプラテンカバー20がずれない。
【0024】
中央部27から主走査方向の端部に向かい、貫通孔19の開口率が高くなるように、貫通孔19が配置されている。また、中央部27から搬送方向の下流に向かい、貫通孔19の開口率が高くなるように、貫通孔19が配置されている。
図3中では、プラテンカバー20の濃い部分が、開口率が高く、薄い部分が、開口率が低いことを表している。
【0025】
このように貫通孔19を配置することで、記録媒体17の搬送時に中央部27より最端部29の方が、吸引力が強くなる。すなわち、中央部27から離れるに従い吸引力が強くなる。また、曲げ部23から搬送方向に離れるに従い吸引力が強くなる。
【0026】
このように、吸引力に差を設けることで、搬送時に吸引力が小さい方から強い方に記録媒体17が引かれる。その結果、記録媒体17は、撓みや皺が吸引力の差によって伸ばされながら搬送される。記録媒体17を平面に保ちながら搬送することができる。
【0027】
開口率の差は、同一の貫通孔19の配置する数に応じて変える方法が考えられる。これは、吸引力を強くしたい場所には、単位面積当たりの数を多くし、逆に弱くしたい場所には、単位面積当たりの数を少なくする。また、別の方法としては、貫通孔19の開口面積を異ならせる方法が考えられる。これは、貫通孔19の単位面積当たりの数を何処でも同一にし、吸引力を強くしたい場所には、開口面積が大きい貫通孔19を用い、逆に弱くしたい場所には、開口面積が小さい貫通孔19を設ける。また、両方の方法を同時に用いる方法も考えられ、より効果が望まれる。
【0028】
図4は、プラテンカバーの貫通孔の開口率を説明する図である。第1の線31は、中央部27を始点、最端部29をA点とした場合の開口率を示している。開口率は所望の値であるB%である。B%は0から100%の間にあり、実験等で好ましい開口率にすることが望まれる。始点から離れるに従い、開口率が高くなる。また、第2の線32は、中央部27から記録媒体17の搬送方向の下流端であるC点に向かった場合の開口率を示している。
図3の破線24の位置の開口率を示している。C点での開口率は、所望の値であるD%である。D%は、第1の線31の示す視点からの距離が同一である場合の開口率より低い値である。第1の線31と第2の線32は直線で示されているが、第3の線30の様に、始点から離れるに従い、開口率が高くなる条件を満たしながら、曲線で示される開口率としても良い。第2の線32は中央部27から最端部29に向かった線上の開口率を示している。
【0029】
図5は、プラテンカバーの好ましい配置を説明する図である。プラテンカバー20には多数の粗密に配置された貫通孔19がある。プラテンカバー20とプラテン12の間に隙間34があると、プラテンカバー20の広範囲でエアーが吸える。また、プラテンカバー20とプラテン12の間に隙間が無いとプラテン12の吸引孔35の開口部の真上しかエアーが吸えない。プラテンカバー20のほぼ全面にわたり貫通孔19が設けられている。貫通孔19は、吸引孔35より細孔なので、そこでは記録媒体17が吸引により沈み込みにくく、平坦を保つことができる。また、記録媒体17との接触面積を減らして摩擦抵抗を下げられる。また、プラテン12は全体に均一な温度となる様に熱容量も高く、プラテンカバー20によって覆われても、表面温度のむらを少なくできる。また、隙間34は、プラテンカバー20の裏面に塗装やメッキをすることで微小な凹凸を設けるつくることができる。また、磁石21をプラテン12に固定するときにプラテン表面からの高さを調節し、磁石21の表面をプラテン12の表面に対して微小に高くすることで設けることができる。また、プラテン12にプラテンカバー20を配置する位置に微小な溝を設けてもよい。
【0030】
プラテン12の裏面には、ヒーター線36を嵌め込む溝が設けられ、そこへヒーター線36が嵌められている。ヒーター線36をプラテン12の裏面側に配置し、所望の温度に加熱する。
【0031】
図6は、プラテンカバーの表面の例を説明する図である。プラテンカバー20とプラテン12の間に隙間を設ける手段の例である。プラテンカバー20の裏面に微小な凹凸38を設けることで、隙間を作ることができる。プラテンカバー20の記録媒体側にも微小な凹凸37を設けることで、記録媒体との接触面積を減らし、摩擦抵抗を更に下げることができ、スムーズに搬送ができる。凹凸の加工方法はエッチング、ブラスト、研磨、塗装、メッキなどがある。また、プラテン12の表面に同様の凹凸をつけることをしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
上記本発明のインクジェット記録装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 インクジェット記録装置
2 印字記録装置
3 インクジェットヘッド
4 キャリッジ
5 駆動プーリ
6 従動プーリ
7 ガイドレール
8 加圧ローラユニット
9 搬送ローラ
10 搬送装置
11 搬送ベルト
12 プラテン
13 基台
14 インクカートリッジ
15 吸引室
16 吸引ファン
17 記録媒体
18 駆動モータ
19 貫通孔
20 プラテンカバー
21 磁石
28 ヒーター線
35 吸引孔