特許第6284904号(P6284904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284904
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】オイル分離装置
(51)【国際特許分類】
   F01M 13/04 20060101AFI20180215BHJP
【FI】
   F01M13/04 E
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-109411(P2015-109411)
(22)【出願日】2015年5月29日
(65)【公開番号】特開2016-223340(P2016-223340A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2017年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000252252
【氏名又は名称】和興フィルタテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100097984
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(72)【発明者】
【氏名】高城 誠一
(72)【発明者】
【氏名】大宮 大輔
(72)【発明者】
【氏名】印田 健太郎
【審査官】 齊藤 彬
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭34−016701(JP,Y1)
【文献】 特開2007−064029(JP,A)
【文献】 実開昭62−010220(JP,U)
【文献】 特開2010−216315(JP,A)
【文献】 特開2004−132199(JP,A)
【文献】 特開2001−054711(JP,A)
【文献】 実開平02−035912(JP,U)
【文献】 特開昭61−223214(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0266346(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0308249(US,A1)
【文献】 米国特許第07550035(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンのクランクケース内のブローバイガスを吸気系に流すブローバイガス流路に設けられ、ブローバイガスに含まれるミスト状のオイルを分離するオイル分離装置であって、
流入口から流出口へ繋がる空間を複数の分割された空間に仕切るように設けられ、上下方向に貫通形成された複数の小孔を有する複数のプレート部材と、
前記複数のプレート部材のそれぞれの下流側に位置する前記分割された空間のそれぞれに、前記プレート部材の下方に位置するとともに前記複数の小孔と対向して設けられた複数の濾材とを備え
前記流入口から流入したブローバイガスが最も上流側の前記分割された空間に流入し、この最も上流側の前記分割された空間を下流側の前記分割された空間から仕切る前記プレート部材の前記小孔を通過して前記ブローバイガスが前記下流側の前記分割された空間に設けられた前記濾材に上方から吹き付けられ、当該濾材によりブローバイガスに含まれるオイルを捕集させ、
前記下流側の前記分割された空間内に残されたブローバイガスが、前記下流側の前記分割された空間をさらに下流側の前記分割された空間から仕切る前記プレート部材の前記小孔を通過して前記さらに下流側の前記分割された空間に設けられた前記濾材に上方から吹き付けられ、当該濾材によりブローバイガスに含まれるオイルを捕集させ、
最も下流側の前記分割された空間内に残されたブローバイガスが前記流出口から排出されるように構成されており、
前記流出口側の前記プレート部材の前記小孔の径が、前記流入口側の前記プレート部材の前記小孔の径よりも小さく形成されたことを特徴とするオイル分離装置。
【請求項2】
前記流入口に設けられ、前記流入口から流入したブローバイガスの流れを螺旋状に回転させるガイド部材と、
前記ガイド部材により螺旋状に回転されたブローバイガスが吹き付けられる位置に設けられたオイル分離プレートとを備え、
前記オイル分離プレートに吹き付けられたブローバイガスが前記最も上流側の前記分割された空間に流入するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のオイル分離装置。
【請求項3】
前記オイル分離プレートの下方位置に設けられたオイル貯留室と、
前記オイル貯留室の下方開口に設けられ、前記オイル貯留室に溜まったオイルが所定量以上になると当該オイルの自重により開く逆止弁とを備えたことを特徴とする請求項2に記載のオイル分離装置。
【請求項4】
前記濾材に捕集された前記ブローバイガスに含まれるオイルを排出する排出口を備えことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のオイル分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンのクランクケース内のブローバイガスを吸気系に流すブローバイガス流路に設けられ、ブローバイガスに含まれるミスト状のオイルを分離するオイル分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車や産業機械のエンジンは、ピストンリングとシリンダ壁の間隙からクランクケース内に漏れ出したブローバイガスを、シリンダヘッドカバー(ロッカーカバー)に形成した吸気系に繋がる流路を介して、吸気系において生じる負圧により吸い込んで吸気系に戻し、混合気とともに燃焼室に供給するブローバイガス還元システムを備えている。クランクケース内にはエンジンオイルが充満しているため、クランクケース内から吸い込んだブローバイガスにはミスト状のオイルが含まれている。そのため、ブローバイガス還元システムには、ブローバイガスからミスト状のオイルを分離して捕集するオイル分離装置を備えたものが知られている(例えば、特許文献1および2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007‐64155号公報
【特許文献2】特開2008‐121478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなオイル分離装置については、従来から種々のものが提案されているが、高いミスト捕集効果のある製品はブローバイガスに含まれる金属粉(カーボン等)により目詰まりが発生し、分離体(エレメント)を交換する必要がある。金属粉(カーボン等)による目詰まりが発生せず、半永久使用でき、且つミスト状のオイルをより一層効率的に分離して捕集することができる構成のものが求められている。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、ブローバイガスに含まれる金属粉(カーボン等)およびミスト状のオイルを効率的に分離して捕集することができるオイル分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、エンジンのクランクケース内のブローバイガスを吸気系に流すブローバイガス流路に設けられ、ブローバイガスに含まれるミスト状のオイルを分離するオイル分離装置であって、流入口から流出口へ繋がる空間を複数の分割された空間に仕切るように設けられ、上下方向に貫通形成された複数の小孔を有する複数のプレート部材と前記複数のプレート部材のそれぞれの下流側に位置する前記分割された空間のそれぞれに、前記プレート部材の下方に位置するとともに前記複数の小孔と対向して設けられた複数の濾材とを備える。そして、前記流入口から流入したブローバイガスが最も上流側の前記分割された空間に流入し、この最も上流側の前記分割された空間を下流側の前記分割された空間から仕切る前記プレート部材の前記小孔を通過して前記ブローバイガスが前記下流側の前記分割された空間に設けられた前記濾材に上方から吹き付けられ、当該濾材によりブローバイガスに含まれるオイルを捕集させ、前記下流側の前記分割された空間内に残されたブローバイガスが、前記下流側の前記分割された空間をさらに下流側の前記分割された空間から仕切る前記プレート部材の前記小孔を通過して前記さらに下流側の前記分割された空間に設けられた前記濾材に上方から吹き付けられ、当該濾材によりブローバイガスに含まれるオイルを捕集させ、最も下流側の前記分割された空間内に残されたブローバイガスが前記流出口から排出されるように構成される。さらに、前記流出口側の前記プレート部材の前記小孔の径が、前記流入口側の前記プレート部材の前記小孔の径よりも小さく形成される
【0007】
上記構成のオイル分離装置において、前記流入口に設けられ、前記流入口から流入したブローバイガスの流れを螺旋状に回転させるガイド部材と、前記ガイド部材により螺旋状に回転されたブローバイガスが吹き付けられる位置に設けられたオイル分離プレートとを備え、前記オイル分離プレートに吹き付けられたブローバイガスが前記最も上流側の前記分割された空間に流入するように構成されることが好ましい。
【0008】
また、上記構成のオイル分離装置において、前記オイル分離プレートの下方位置に設けられたオイル貯留室と、前記オイル貯留室の下方開口に設けられ、前記オイル貯留室に溜まったオイルが所定量以上になると当該オイルの自重により開く逆止弁とを備えて構成されることが好ましい。
【0009】
また、上記構成のオイル分離装置において、前記濾材に捕集された前記ブローバイガスに含まれるオイルを排出する排出口(例えば、実施形態における排出口29)を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るオイル分離装置によれば、流入口から流入したブローバイガスをプレート部材における複数の小孔を通過させて濾材に吹き付けさせるように構成されている。ブローバイガスをプレート部材の小孔を通過させることにより、ブローバイガスの流速を上昇させることができ、小孔の下方に設置された濾材にブローバイガスを勢いよく吹き付けることができる。従って、濾材においてブローバイガスから金属粉(カーボン等)およびミスト状のオイルを確実に且つ効率的に分離させて捕集することができる。
【0011】
また、流入口に近いプレート部材の小孔を通過して濾材に吹き付けたブローバイガスを、隣のプレート部材の小孔を通過させて再び濾材に吹き付けさせるように構成されている。そのため、ブローバイガスの流速を上昇させて濾材に勢いよく吹き付けることを複数回行うことができ、これによりブローバイガスに含まる金属粉(カーボン等)およびミスト状のオイルをより一層確実に且つ効率的に分離させて捕集することができる。
【0012】
また、流入口から流入するブローバイガスの流れを螺旋状に回転させるガイド部材を備える構成とすれば、ブローバイガスを濾材に吹き付ける前に、ガイド部材によってサイクロン効果を発生させることにより、ブローバイガスに含まれる金属粉(カーボン等)および比較的大きな粒径のミスト状のオイルを遠心分離させて捕集することができる。さらに、流入口に近いプレート部材においても、残った金属粉(カーボン等)および比較的大きな粒径のミスト状のオイルを捕集することができる。そして、このように捕集したオイル・金属粉(カーボン等)を排出口からクランクケース内に戻すことができる。
【0013】
また、濾材に捕集されたオイルを排出する排出口を備える構成とすれば、濾材によって捕集されたオイルを排出口からクランクケース内もしくはオイルタンク内に戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るオイル分離装置の斜視図である。
図2】本発明に係るオイル分離装置の図1における矢印II‐II部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。本発明に係るオイル分離装置1を図1および図2に示している。なお、以下では、図2に示す上下および左右の矢印の方向を、上下方向および左右方向として説明する。
【0016】
オイル分離装置1は、内部空間を有する箱状の装置本体10を有し、エンジンのシリン
ダヘッドカバー(ロッカーカバー)にも取り付けられるように構成されている。装置本体10には、クランクケース内と連通するケース側流路が接続される流入口11と、吸気系(例えば、エアクリーナの2次側(出口側))と連通する吸気系側流路が接続される流出口12とが形成されている。すなわち、オイル分離装置1は、クランクケース内のブローバイガスを吸気系に流すブローバイガス流路に設置されるようになっている。
【0017】
装置本体10の内部には、流入口11に設けられ流入口11から流入するブローバイガスの流れを螺旋状に回転させるガイド部材13と、ガイド部材13により螺旋状に回転されたブローバイガスが吹き付けられる位置に設けられた平板状の分離プレート14とが設けられている。分離プレート14は、ブローバイガスが吹き付けられる位置に平面を向けて上下に延びるように配置されている。
【0018】
装置本体10の内部において、分離プレート14の下方位置には、下方に延びるオイル貯留室15が設けられている。オイル貯留室15は下方に開口しており、この下方開口に逆止弁16が設けられている。逆止弁16は、オイル貯留室15に溜まったオイルが所定量以上になると、そのオイルの自重により開くように構成されている。オイル貯留室15の下方開口には逆止弁16を介してクランクケース内に繋がる流路が接続されている。従って、逆止弁16が開くと、この流路を介してオイル貯留室15に溜まったオイルをクランクケース内に戻すように構成されている。
【0019】
装置本体10の内部において、分離プレート14の右方(流出口12側)位置には、左右方向に延びる平板状の第1小孔プレート17が設けられている。第1小孔プレート17には、上下方向に貫通した複数の小孔17aが形成されている。第1小孔プレート17の下方位置には、左右方向に延びる第1濾材21が設けられている。装置本体10の内面には、第1濾材21を支持する複数の突起部23が形成されている。第1濾材21は、多孔質材料(例えば、メラミン樹脂フォーム(スポンジ)もしくは不織布等によって構成されている。第1濾材21の下面は、オイル貯留室15に露出するようになっている。
【0020】
装置本体10の内部において、第1小孔プレート17の右方(流出口12側)位置には、左右方向に延びる平板状の第2小孔プレート18が設けられている。第2小孔プレート18にも、第1小孔プレート17と同様に、上下方向に貫通した複数の小孔18aが形成されている(図2では一つの小孔18aしか図示していないが、実際には前後方向に複数形成されている)。第2小孔プレート18の下方位置には、左右方向に延びる第2濾材22が設けられている。第2濾材22は、第1濾材21と同様に、多孔質材料(例えば、メラミン樹脂フォーム(スポンジ)もしくは不織布等によって構成されている。
【0021】
装置本体10の内部において、第2小孔プレート18の右方(流出口12側)位置には、左右方向に延びる平板状の第3小孔プレート19が設けられている。第3小孔プレート19にも、第1小孔プレート17と同様に、上下方向に貫通した複数の小孔19aが形成されている。第2濾材22は第3小孔プレート19の下方位置まで延びており、第2および第3小孔プレート18,19の下方位置には一つの第2濾材22が設けられている。なお、第3小孔プレート19の小孔19aの直径は、第2小孔プレート18の小孔18aの直径よりも小さくなっている。さらに、第2小孔プレート18の小孔18aの直径は、第1小孔プレート17の小孔17aの直径よりも小さくなっている。
【0022】
また、装置本体10の内部には、流入口11から流入して分離プレート14に吹き付けられたブローバイガスを、第1小孔プレート17の上方から小孔17aを通過させて第1濾材21に吹き付けさせるように導く流路を形成する第1流路形成プレート25が設けられている。また、第1濾材21に吹き付けられたブローバイガスを、第2小孔プレート18の上方から小孔18aを通過させて第2濾材22に吹き付けさせるように導く流路を形
成する第2流路形成プレート26,26が設けられている。また、第2小孔プレート18の小孔18aを通過して第2濾材22に吹き付けられたブローバイガスを、第3小孔プレート19の上方から小孔19aを通過させて第2濾材22に吹き付けさせるように導く流路を形成する第3流路形成プレート27,27が設けられている。さらに、第3小孔プレート19の小孔19aを通過して第2濾材22に吹き付けられたブローバイガスを流出口12に導く第4流路形成プレート28が設けられている。
【0023】
装置本体10の内部において、第2濾材22の右側(流出口12側)端部の近傍位置には排出口29が設けられている。この排出口29には、エンジンのオイルタンク内のオイル中に連通する配管が接続されている。
【0024】
このように構成されるオイル分離装置1では、クランクケース内からのブローバイガスが流入口11から装置本体10内に流入すると、そのブローバイガスの流れはガイド部材13によって螺旋状に回転させられる。これによりサイクロン効果を発生させ、ブローバイガスに含まれる金属粉(カーボン等)および比較的大きな粒径のミスト状のオイルを遠心分離させるようになっている。さらに、螺旋状に回転するブローバイガスは分離プレート14に吹き付けられる。この分離プレート14との衝突によってもブローバイガスから金属粉および比較的大きな粒径のミスト状のオイルを分離させるようになっている。このように分離されたオイル等は自重によって落下してオイル貯留室15内に溜められ、オイル貯留室15内のオイル等が所定量以上になると逆止弁16が開き、このオイル等をクランクケース内に戻すようになっている。この段階で金属粉(カーボン等)を捕集する事によって、さらに直径の小さくなった第2小孔プレート18以降の小孔の目詰まりを防止する。
【0025】
分離プレートに14に吹き付けられたブローバイガスは、第1小孔プレート17の上方から複数の小孔17aを通過して第1濾材21に吹き付けられる。このとき、ブローバイガスを小孔17aを通過させることにより、ブローバイガスの流速を上昇させてブローバイガスを第1濾材21に勢いよく吹き付けるようになっている。これにより、ガイド部材13による遠心分離および分離プレート14との衝突によってブローバイガスから分離されなかったミスト状のオイル等を第1濾材21において分離させて捕集するようになっている。第1濾材21に捕集されたオイル等は、自重によって落下してオイル貯留室15内に溜められ、上記のようにクランクケース内に戻されるようになっている。
【0026】
第1濾材21に吹き付けられたブローバイガスは、第2小孔プレート18の上方から複数の小孔18aを通過して第2濾材22に吹き付けられる。ここでも、ブローバイガスを小孔18aを通過させることにより、ブローバイガスの流速を上昇させてブローバイガスを第2濾材22に勢いよく吹き付けるようになっている。これにより、第1濾材21においてもブローバイガスから分離されなかったミスト状のオイル等を第2濾材22において分離させて捕集するようになっている。
【0027】
さらに、第2小孔プレート18の小孔18aを通過して第2濾材22に吹き付けられたブローバイガスは、第3小孔プレート19の上方から複数の小孔19aを通過して第2濾材22に吹き付けられる。ここでも、ブローバイガスを小孔19aを通過させることにより、ブローバイガスの流速を上昇させてブローバイガスを第2濾材22に勢いよく吹き付けるようになっている。これにより、これまでにブローバイガスから分離されなかったミスト状のオイル等を第2濾材22において分離させて捕集するようになっている。第2濾材22に捕集されたオイル等は、ブローバイガスの流れにより第2濾材22の右側(流出口12側)端部から流れ出て、排出口29からエンジンのオイルタンクに戻されるようになっている。
【0028】
そして、上記のようにガイド部材13による遠心分離、分離プレート14との衝突、並びに第1および第2濾材22における分離捕集によってミスト状のオイル等が取り除かれたブローバイガスが、流出口12からエンジンの吸気系に戻されるようになっている。
【0029】
以上のようにオイル分離装置1によれば、流入口11から流入するブローバイガスの流れを螺旋状に回転させるガイド部材13を備えている。そのため、このガイド部材13によってサイクロン効果を発生させ、ブローバイガスに含まれる金属粉(カーボン等)および比較的大きな粒径のミスト状のオイルを遠心分離させることができる。さらに、その螺旋状に回転したブローバイガスを分離プレート14に吹き付けるようになっているため、ブローバイガスから金属粉および比較的大きな粒径のミスト状のオイルをより確実に分離させることができる。そして、このように分離させたオイル等をオイル貯留室15からクランクケース内に戻すことができる。
【0030】
また、分離プレート14に吹き付けたブローバイガスを第1小孔プレート17における複数の小孔17aを通過させて第1濾材21に吹き付けさせるように構成されている。そのため、ブローバイガスを小孔17aを通過させることにより、ブローバイガスの流速を上昇させることができ、小孔プレート17の下方に設置された第1濾材21にブローバイガスを勢いよく吹き付けることができる。従って、ガイド部材13による遠心分離および分離プレート14との衝突によってブローバイガスから分離されなかった金属粉(カーボン等)およびミスト状のオイル等を第1濾材21において確実に且つ効率的に分離させて捕集することができる。
【0031】
また、第1濾材21に吹き付けたブローバイガスを、第2小孔プレート18における複数の小孔18aを通過させて第2濾材22に吹き付けさせ、さらに第3小孔プレート19における複数の小孔19aを通過させて第2濾材22に吹き付けさせるように構成されている。そのため、ブローバイガスの流速を上昇させて第1および第2濾材21,22に勢いよく吹き付けることを複数回行い、これによりブローバイガスに含まる金属粉(カーボン等)およびミスト状のオイル等をより一層確実に且つ効率的に分離させて捕集することができる。
【0032】
また、第2濾材22の流出口12側の端部の近傍位置に排出口29が設けられている。そのため、第2濾材22に捕集されてブローバイガスの流れにより第2濾材22の当該端部から流れ出たオイルを、この排出口29からエンジンのオイルタンク内に戻すことができる。
【0033】
これまで本発明に係る実施形態について説明してきたが、本発明の範囲は上述の実施形態に示したものに限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、第1〜第3の小孔プレート17〜19が流入口11から流出口12に向かう方向に並んで設けられ、小孔を通過させて濾材に吹き付けることを三回行うように構成されているが、小孔プレートの数は特に限定されるものでななく、一つ、二つもしくは四つ以上の小孔プレートを設ける構成としてもよい。
【0034】
また、上述の実施形態では、排出口29にエンジンのオイルタンク内のオイル中に連通する配管が接続され、第2濾材22から流れ出たオイルをオイルタンク内に戻す構成であるが、排出口29に逆止弁16と同様の弁を設け、第2濾材22から流れ出たオイルをクランクケース内に戻すように構成してもよい。また、上述の実施形態では、オイル分離装置1がエンジンのシリンダヘッドカバー(ロッカーカバー)に取り付けられるものであると説明したが、オイル分離装置1はロッカーカバーの外部やエンジンの他の部分に取り付けられるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 オイル分離装置 10 装置本体
11 流入口 12 流出口
13 ガイド部材 14 分離プレート(流路形成部材)15 オイル貯留室(第1排出口) 17 第1小孔プレート
18 第2小孔プレート 19 第3小孔プレート
21 第1濾材 22 第2濾材
25 第1流路形成プレート(流路形成部材)
26 第2流路形成プレート(流路形成部材)
27 第3流路形成プレート(流路形成部材)
28 第4流路形成プレート(流路形成部材)
29 排出口(第2排出口)
図1
図2