(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284909
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】遊具の取付部品
(51)【国際特許分類】
F16B 37/14 20060101AFI20180215BHJP
A63G 9/00 20060101ALI20180215BHJP
F16B 41/00 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
F16B37/14 C
A63G9/00
F16B41/00 Q
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-133215(P2015-133215)
(22)【出願日】2015年7月2日
(65)【公開番号】特開2017-15187(P2017-15187A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2017年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】301001155
【氏名又は名称】日本体育産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯田 弘巳
【審査官】
鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭53−64872(JP,U)
【文献】
特開2006−71066(JP,A)
【文献】
実開昭57−85616(JP,U)
【文献】
実開昭50−150676(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 23/00−43/02
A63G 9/00
F16J 15/00−15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルトと、
該ボルトに螺合し、且つ座面に座部が形成された座付ナットと、
座金と、
前記ボルトに螺合させた前記座付ナットの外周を覆うボルトキャップと、を具備する遊具の取付部材であって、
前記ボルトキャップは、
前記座付ナットの座面が当接する底部と、該底部の周囲側面から上方にかけて曲線状に形成され、座付ナットが露出するように上面に開口部が形成された壁面部とを有する台座部と、
前記台座部の開口部を閉塞する蓋体部とを有しており、
前記台座部は、
前記底部に、前記座付ナットの座部が収納可能な径であって且つ前記ボルトが貫通できる座部収納穴が形成され、前記座付ナットが配置される側と反対側の面には、前記座金を収納する凹部が形成されていることを特徴とする遊具の取付部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公園に設置される遊具に用いられる取付部品に関する。
【背景技術】
【0002】
公園には、滑り台やブランコなどの遊具が設置され、子供達がこれらの遊具で遊ぶことができるようになっている。
公園に設置される遊具は、特に子供達の安全に配慮した構成にしなくてはならず、一般社団法人日本公園施設業協会では、遊具の安全に関する規準を作成して遊具が安全規準を満たすように啓蒙している。
【0003】
また、遊具の組み立てにはボルト及びナットが用いられることが多いが、ボルトやナットが遊具から突出していると、衝突の危険性があるため好ましくない。
【0004】
そこで、特許文献1から特許文献3に示されるように、遊具を連結する部材においてナットが収納されるように構成することで、ナットが直接触れることができないような技術が提案されている。
【0005】
しかし、このような連結部材を使用することができない箇所においては、
図5に示すように、ナットが収納できる樹脂製のボルトキャップ10を用いて、ナット13が露出しないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3095923号公報
【特許文献2】特開2007−127204号公報
【特許文献3】特開2009−250302号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図5に示されるような樹脂製のボルトキャップを採用する場合、次のような課題がある。
すなわち、ボルトキャップ10は、ボルト9を貫通する貫通穴11が、底面部12に形成されている。ナット13を締めつけるとナット13が底面部12に食い込んでいき、底面部12が潰れたり、また破損するおそれがあったり、適切な締め付けトルクが得られないといった課題がある。
【0008】
そこで本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、ボルトキャップの潰れや破損を防止でき、且つボルト及びナットに適切な締め付けトルクを加えることができる遊具の取付部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる遊具の取付部品によれば、ボルトと、該ボルトに螺合し、且つ座面に座部が形成された座付ナットと、座金と、前記ボルトに螺合させた前記座付ナットの外周を覆うボルトキャップと、を具備する遊具の取付部材であって、前記ボルトキャップは、前記座付ナットの座面が当接する底部と、該底部の周囲側面から上方にかけて曲線状に形成され、座付ナットが露出するように上面に開口部が形成された壁面部とを有する台座部と、前記台座部の開口部を閉塞する蓋体部とを有しており、前記台座部は、前記底部に、前記座付ナットの座部が収納可能な径であって且つ前記ボルトが貫通できる座部収納穴が形成され、前記座付ナットが配置される側と反対側の面には、前記座金を収納する凹部が形成されていることを特徴としている。
この構成を採用することによって、座付ナットの座部が座部収納穴に収納され、座付ナットの座面は、座部収納穴の周囲の台座部の底部を押圧しながら座金に直接当接するので、座部の厚さ以上に台座部の底部が押しつぶされることが無く、ボルトキャップの潰れや欠けを確実に防止でき、且つボルト及びナットに適切な締め付けトルクを加えることができる。
なお、座付ナットの座部と座金との間において、座付ナットの締め付け前は互いに当接していなくてもよく、この場合には、座付ナットを締めつけていくにしたがってボルトキャップの底部が圧縮して座付ナットと座金とが当接するようになる。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる遊具の取付部材によれば、ボルトキャップの潰れや欠けを防止することができ、且つボルト及びナットに適切な締め付けトルクを加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る遊具の取付部材の立面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明にかかる遊具の取付部材について、図面に基づいて説明する。
ここでいう遊具は、公園、幼稚園、保育園、学校などに設置されるものであり、例えばすべり台、ブランコ、ジャングルジム、シーソー、雲梯、鉄棒、その他これらの遊具を組み合わせた大型の遊具など様々なものがある。
【0013】
遊具の組み付けには一般的にはボルト及びナットが使用されることが多いが、ボルトやナットが露出していると、子供達が触れるおそれがある。そこで、従来の技術でも説明したように、ボルト頭部若しくはナットが完全に凹部内に収納されて触れることができないようにするか、又はボルトキャップをボルト頭部若しくはナットに装着する必要がある。
【0014】
図1は、遊具の取付部材の立面正面図である。
本実施形態の取付部材は、取付部材30は、ボルト50と、ボルト50に螺着可能な座付ナット52と、ボルトキャップ40とを備えている。
ボルトキャップ40は、全体が樹脂製で形成されている。ボルトキャップ40は、台座部41と、蓋体部48とを有している。
【0015】
さらにボルトキャップ40の台座部41は、遊具の取付面に平行な底部42と、底部42の上方をほぼ半球状に覆う壁面部44とを備えている。壁面部44の上面は、座付ナット52を台座部41内に収納させるための開口部46が形成されている。この開口部46に蓋体部48が装着されて、座付ナット52が露出しないように閉塞される。
【0016】
ボルトキャップ40は、樹脂製であり、底部42と壁面部44とは一体に形成されている。
ボルトキャップ40の壁面部44は、外形が半球状であり、底部42の外周端部から上方に向けて円弧状に形成され、その上面に上述するような平面視円形の開口部46が形成されている。開口部46は座付ナット52が収納できる程度の径を有している。
【0017】
図2及び
図3に示すように、本実施形態におけるナットは、座部54が形成された座付ナット52を採用している。この座付ナット52としては、JISB1181に規定されたナットを採用することができる。
座部54は、座付ナット52の座面52aから締め付け方向(図面上では下方)に突出する部位である。座部54の形状としては、座面52a方向から見ると円形であり、座部54の厚さとしては、1mm程度である。
【0018】
ボルトキャップ40の底部42には、座付ナット52の座部54が収納可能な径の座部収納穴49が形成されている。座部収納穴49には、座付ナット52の座部が収納されるとともにボルト50が貫通する。そして、ボルト50と座付ナット52とが螺合する。
【0019】
また、台座部41の底部42の遊具の取付面側(座付ナット52が収納される反対側)の面には、座金68が収納される凹部47が形成されている。凹部47と座部収納穴49は連通している。凹部47の方が座部収納穴49よりも大径である。
凹部47の凹みの深さは、収納する座金68の厚さとほぼ同じ長さとなるように設けられている。したがって、凹部47に座金68を収納すると、座金68の底面が底部42の遊具の取付面側と同一平面となる。
【0020】
座付ナット52を、ボルトキャップ40内の底部42に配置すると、座部54が座部収納穴49内に収納され、座部54の周囲の座面52aが底部42の座部収納穴49の周囲の上面に当接する。また、座金68には穴68aが形成されているので、ボルト50は座金68の穴68aも貫通する。
この状態で、座付きナット52をボルト50に締め付けていくと、座部54は凹部47内の座金68に当接する。そして座部54の周囲の座面52aは、底部42の座部収納穴49の周囲を座金68との間で挟み込む。このとき、座部54と座金68とは当接しているので、座部54の厚さ分までは底部42が圧縮されるが、破損するまでは圧縮されることはない。このため、座付ナット52の締め付けによるボルトキャップ40にかかる力を低減してボルトキャップ40の潰れや欠けを防止できる。また、ボルト50と座付ナット52に適切な締め付けトルクを加えることができる。
【0021】
図4に、遊具の取付部材と、遊具の取り付け部分の分解構成図を示す。
ここでは遊具の2か所の取り付け部分60、62を、ボルト50と座付ナット52によって固定する例について示している。座付ナット52は、座面52aに座部54が形成されている。
遊具の取り付け部分60、62にはそれぞれボルト挿入孔63、64が形成されており、ボルト挿入孔63、64に1本のボルト50が挿入されて、座付ナット52がボルト50に螺合して、取り付け部分60と62が固定される。
【0022】
また、座付ナット52が遊具の表面に直接露出しないように、座付ナット52はボルトキャップ40内に収納され、開口部46は蓋体部48によって閉塞され、安全性を図ることができる。
【符号の説明】
【0023】
30 取付部材
40 ボルトキャップ
41 台座部
42 底部
44 壁面部
46 開口部
47 凹部
48 蓋体部
49 座部収納穴
50 ボルト
52 座付ナット
52a 座面
54 座部
60、62 取り付け部分
63、64 ボルト挿入孔
66、68 座金
68a 穴