(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記凝縮器は、内室と;前記内室の外壁から延出する複数のウイングと;前記凝縮器の上部に配置されるファンとをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の蒸留装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図示された装置の構成に関する議論
概観と導入を述べると、本発明は少量の有機原料から少量の揮発性オイルと水性蒸留物を安全に生成するための装置および方法を対象にしている。本発明によって、一般的な家庭環境の下、小規模で短い処理時間のうちに揮発性オイルとヒドロゾルが生成される。ここに記載される処理方法や装置によりヒドロゾルや揮発性オイルを抽出する簡便な方法が提供されるが、これは特別な専門知識や装置を必要としないので、従来技術から技術が向上する。
【0013】
図1〜
図3に示されているように、本発明は少なくとも、(水等の)液体を保持する容器10と、(植物原料などの有機物、等の)原料を保持するカプセル20と、蒸気(スチーム)を液体に変化させる凝縮ユニット(凝縮器)30と、得られた蒸留物を(ヒドロゾル等の)水性蒸留物と揮発性オイルに分離するためのオイル分離ユニット40を含む。記載された部品のある構成例において、本装置は一般的な家庭のカウンタートップや収納設備に適合させるのに十分な寸法と重量を有している。本装置は、装置の運転環境に耐えることのできる標準的な市販原料ならどのようなものからでも形成することができる。例えば、
図2の蒸留装置は、金属か、プラスチックか、ガラスか、炭素繊維か、合成材料または繊維か、またはその他の天然素材かから形成される。
【0014】
説明を簡単にするため、本明細書において容器10は水容器とし、液体は水であるものとする。これは好ましく例示的な一実施例であるが、液体が水ではない他の実施例も可能である。
【0015】
ある一つの構成例において、容器10は蒸留処理での使用に必要な量の液体を保持できるようになっている。水容器10は、ある構成において、蒸気を生成するための任意の加熱ユニット(図示せず)を含む。ある部品構成では、ヒーターは電子ヒーターである。また別の部品構成では、ヒーターは燃焼式ヒーターである。ある部品構成において、ヒーターは水容器10の底部に配設される。この加熱ユニット11は、一例では、水容器に蓄えられている水から蒸気を生成するようにできている。例えばヒーター11は、体積の水を蒸発させるのに必要な熱エネルギーを安定して生成できるようになっている。ヒーター11は標準的な加熱技術や手法を利用できるようにもなっている。さらにある構成例において、ヒーター11は、蒸留装置から取り外し可能な市販のモジュールまたは追加装置とすることができる。運転中、蒸気は排出管6から水容器を出ていくように設計される。別の配置では、装置全体にカプセルを取り付ける前に水容器10の充填がなされる。また、その他の手順を考えることもできる。
【0016】
さらなる構成例において、水の加熱は、加熱ユニットと同一の広がりを持つオプション温度自動調節器によって制御される。該加熱ユニットは、過剰な熱エネルギーが発生した場合や故障した場合に加熱ユニットが停止するような、必要な安全対策が取られている。
【0017】
図3で示されているように、水容器10はカプセル20に直接接続される。また別の構成では、水容器10はアダプター使って連結される。図示の配置にあるように、排出管6はアダプター7に接続される。アダプター7はカプセル20に連結される。図に示された別の構成によると、排出管6を出る蒸気は、アダプター7上に形成された複数の管8に拡散する。これによってカプセル20内に蒸気をまんべんなく拡散させることができる。ある特定の部品構成では、凝縮器に流入する熱量を抑えるため、排出管6とアダプター7は耐熱プラスチックを使用できるように構成される。
【0018】
本発明の装置はさらに着脱可能なカプセル20を含む。カプセルは中空内部24を備え、そこに葉、小枝、種子、果実、根、花及びそれに類するものなどが満たされる。ある一構成例では、植物をカプセル内で圧縮させることができる。また別の構成例では、カプセルの中身を、(普通、磨り潰されているか粉砕されている)乾燥植物原料とすることができる。
【0019】
他の実施形態では、カプセル20は、アダプターチューブ8を対応するカプセルチューブ21の中に配置させることによってアダプター7へと接続する、複数の管21を含む。各カプセルチューブ21はその上部内側部分にOリングを含み(図示せず)、カプセルチューブ21と対応するアダプターチューブ8が密閉されるようになっている。この気密シールによって蒸気の漏洩が防がれ、すべての蒸気がカプセルに入ることが確実になる。また別の実施例では、必要に応じ、カプセルチューブがアダプターチューブよりも細くなっている。細身のカプセルチューブが太めのアダプターチューブに入り込み、アダプターチューブはその底部内側部分にOリングを備える。
【0020】
図4A〜
図4Fに図示されているように、カプセルチューブ21の上端に複数の網や格子22が配設される。網22は、植物がカプセルチューブ21に落下するのを防止するために適切な目開き寸法を有する。カプセル20に位置するチューブ21からカプセル20に蒸気が入り込み、蒸気は植物原料を通り抜ける。この動作によって、植物原料に含まれる揮発性オイルと揮発水溶性化合物が抽出される。抽出された揮発性オイルやその他の揮発物質はその後、蒸気と混ざり合う。混合蒸気は排出口26からカプセル20を出て凝縮器30に到達する。
【0021】
カプセル20は円形のドーム形の上部25を含む。混合蒸気の大半は排出口26からカプセルを出る。ここで、少量の蒸気がたまに液体に戻り、上壁が円錐状であることにより、液体がカプセル20の両側端および上端に集まることに注意されたい。上部25の液体はカプセルの両側端27へと流れ、そこから該両側端27に沿って周囲集液溝部28へと流れこむが、周囲集液溝部28はカプセルの底部ならびに注入口部分(および網22)を囲っている。この溝部28はカプセルの中で凝縮した液体を保持できるように構成されており、これにより液体が水容器10に逆戻りするのが防止される。さもなければ、液体が水容器へと逆戻りし、すでに植物から抽出した数多くの成分を含む液体が再び蒸気に変化するために、全蒸留処理の品質が低下する。100%純粋な水蒸気蒸留が実施されていないため、これにより継続中の蒸留処理の品質が影響を受ける。しかし本発明のカプセルでは、流入水蒸気が100%となるような100%の水蒸気蒸留が可能となり、(蒸気と植物抽出物の古い混合物を含む)液体が水容器へと戻っていくことが防止(又は、最小限に抑制)される。このような特徴により、より高品質のオイル抽出物およびヒドロゾルを得ることが可能となる。
図2Aにさらに図示されるように、排気口500が備えられる。
【0022】
図示される実施例にあるように、カプセル20の両側端27は、ある一例では傾いており、液体が(両側端27に沿って)周囲集液溝28へと流入するのを補助している。また、カプセルの底面は、一例では、傾いており、底面に溜まった液体が周囲集液溝28へと流入するのを補助する。
【0023】
さらに、カプセル20には排出口26の端に、閉鎖密閉用の取り外し可能部材29が設けられている。取り外し可能部材29は、図で示した実施例ではアルミフォイルである。しかし当業者であれば、記載した動作に適した様々な部材を想定することができるであろう。ある特定の操作手順では、締付レバー15が解除される(持ち上げられる)ことによって、凝縮器30と水容器10が互いに切り離されるようになっている。このような構造におけるカプセル20は、使い捨てや最充填が可能である。カプセル20はアダプター7の上に配設され、カプセルチューブ21がアダプターチューブ8を貫通するようになっている。取り外し可能部材29が取り外されると、(管状部材である)排出口26が凝縮器30の注入口31の下に配設される。図示した構成にあるように、注入口31もまた管状部材である。排出口26の底部内側部分には、(部材8および部材21に関連して説明したときと同様に)封止を効果的にするためのOリングが設けられる。ある特定の操作手順では、レバー15が下げられ注入口31が排出口26を貫通することで、密封される。このようにして、アダプターチューブ8とカプセルチューブ21が密閉される。よって、本装置は蒸留処理を十分に行えるようになっている。
【0024】
カプセル20を抽出するためのこのような一連の操作ステップを続け、レバー15で互いの部材を持ち上げれば、カプセル20を容易に取り外すことができる。
【0025】
図示した装置の別の構成によれば、
図4B〜
図4Fに示すように、水容器10はカプセル20に直接連結されるので、アダプターを必要としない。カプセル本体120は、カプセル120の床部に取り付けられた(または一体となった)複数の段違い部材(スポーク状の隆起した陸部)121を備え、それぞれに複数の孔122(ある実施例において、各孔は約2mmの直径を有している)が備えられている。カプセル本体120は円状カプセルベース部材123の中に配置される。カプセルベース部材は、(床部に対して隆起している)複数のトラック状扇部材125を含み、該トラック状扇部材125は対応する段違い部材121の下に配置される。水容器10からくる蒸気は(中の孔を通過することで)トラック状扇部材125を通過し、その後、孔122からカプセル本体120の内部へと入っていく。必要に応じて、カプセル20は円形のカプセルベース部材123の下に配置される集液トレイ126を有し、そこに周囲集液溝部28から来る所望でない凝縮液を(周囲集液溝部28の孔などにより)流出させることができる。
【0026】
図2A、
図2Bならびに
図5A〜5Fに示されるように、カプセル20は凝縮器30に連結される。カプセル20の排出口26から向けられた蒸気は、
図5Aに示すように、凝縮器30の注入口31に進入する。注入口31は、比較的短い管状部材である。蒸気は注入口31を出ると内室32へと入り、そこで蒸気が液体に凝縮される。凝縮器は内室32の外壁から延出している複数のウイング35を含む(
図1〜3、5、7を参照のこと)。内室32の壁は薄く、一例では、ステンレス鋼よりできている。(ある実施例でアルミニウムからなる)ウイング35は、内室32で生成された熱を吸収し、熱エネルギーを外気に放射させることによって、混合蒸気の冷却を補助する。ウイング35はしたがって、熱交換素子の役割を果たす。
【0027】
本発明の他の実施例によれば、加熱ユニット205は水容器の内部には配設されずに、
図1A〜
図1Eに示されているように、主要装置構造200の内部に配設される。主要装置構造200は、先に説明されるように、凝縮器と分離ユニット7を有する。しかしカプセル220は水容器210の上に配設され、ハンドル202を含むジョッキ状構造体203(以後、ジョッキ203と呼ぶこととする)が形成される。主装置部はさらに加熱ユニット205を含む。ジョッキ状構造体203は、加熱ユニット205上部の主要構造200の中に配設される。加熱ユニット205は、水容器210内部の水を加熱し蒸気を発生させる。カプセル220は、先に説明されるように、円状カプセルベース部材223の上に配設される。円状カプセルベース部材223は水容器210のカバーとしても使用される。
【0028】
取り外し可能なアルミフォイル229が除去されると、ジョッキ203が主要構造200の適当な内室273の中に挿入される。(内室273底部の)加熱ユニット205によって水容器が加熱され、蒸気が立ち上り、先に説明されるように蒸気はカプセルベース部材223からカプセル220に入り込む。立ち上る蒸留蒸気がカプセルを出ると凝縮器(図示せず)へと入るが、そこにカプセルが主要構造200に挿入された状態で(クリック/固定部材、等により)連結固定される。
【0029】
加熱ユニット205は、内室273底面の上部に配設されるか、内室273の床底面の下に隠し、内室273の底面に対向して配設される。加熱ユニット205の長さと幅はそれぞれ、一例では、3cm〜5cmとなる。
【0030】
凝縮器と分離ユニット、またそれらの接続部は、主要構造200のカバー(一実施例においてプラスチック製)に覆われているため、図示されない。これらの機能と作用は先に説明した通りである。オイル回収ボトル271とヒドロゾル回収ボトル277は
図1Aおよび
図1Bに示される。使用者は透明窓272から分離槽を覗くことができる。
【0031】
追加ファン36は凝縮器の上部に設置されており、これにより気柱がウイング35に送られる。別の実施例では、ファン36が上向きの気流を生成し、気流はウイング35の横をファン36に向かって上向きに流れ、冷却処理はこのようにして完了する。
【0032】
また別の実施例によれば、
図5Cおよび
図8に示すように、凝縮器30はさらに凝縮器を縦方向に覆う円筒状の被覆外壁39を備える。ファン36は大量の空気を円筒状の被覆外壁39の内部に流し込むことによりウイング35脇を流れる気流を増加させ、より高い能率で冷却させることができるため、円筒状の被覆外壁39は冷却機能の効率化に貢献している。ウイング脇に溜まっている熱気が吹き飛ばされるのである。円筒状の被覆外壁39は、例えば金属などの熱伝導物質を含んでいる。
【0033】
内室32を冷却することによって、混合蒸気はここで蒸留物と呼ばれる液体混合物に変わり、蒸留物は分離ユニット40へと繋がっている排出管38に集まる。内室32の床底部37は傾いており、得られた蒸留物すべてを、床底部37の最も底縁に位置している排出管38へと下向きに流出させる。内室32の天井部33もまた傾いており、例えば円錐形をしている(
図5Aを参照のこと)。これによって液体が内室32の両側端へと下向きに流れ、液体の滴が落ちて天井部33から注入口31へと逆戻りし、カプセル20に返るのを防止することができる。したがって液体に変わるほぼ全ての蒸気を、本発明によって効率よく回収することができる。ある特定の実施例では、天井部33aはドーム形をしており(
図5B、
図5D、
図5Eに図示)、これによっても同様の効果を得ることができる。
【0034】
図に示した構成によると、
図5Fに示されているように、床底部37aは内側に(中心部に向かって低く)傾いている。蒸留物は内側に流れ、床底部の中心に位置している円状溝部34へと落ち込む。液体蒸留物はその後排出管38から溝部34を出る。排出管38はある実施例において約2〜5cmかそれ以上の長さを有し、一例では約1cmの直径を有する。一例において排出管38はステンレス鋼より構成されているが、プラスチックなど、その他の素材から構成されていてもよい。一例として、得られた全ての蒸留物が凝縮器30を出ていくように、溝部34は、排出管38が前記溝部34の最低部分に配設されるようにして傾いている。凝縮器30の内面と排出管38の内面はなめらかになっており、液体の流動性が助長されるようになっている。床底部37aおよび溝部34は、液体をできるだけ冷めた状態にしておくため、一例では、プラスチックからできている。
【0035】
一例として、凝縮器30は、一般に7cm〜13cm(10cm等)の(被覆外壁39の)直径を有する。凝縮器30は一般に6cm〜10cm(8cm等)の高さを有する。被覆外壁39は、例えばアルミニウムなどの金属からなる。ウイング35は、例えば被覆外壁39の一般的な直径と同じ長さを有して延出している。複数のウイング35は、例えば約2mmの間隔を置いて配置される。
【0036】
一例として、ファン36は、一般に7cm〜13cm(10cm等)の直径を有する。ファン36はまた、1.5cm〜2.5cmまで(2cm等)の高さを有する。ファン36は、例えば(家庭用のパソコンやノートパソコンなどに用いられるファンのように)プラスチックからできている。
【0037】
内室32の内壁は、他の例ではステンレス鋼からなり、なめらかに磨かれている。このような特徴によって洗浄が促進され、廃棄物の堆積が防止される。内室32の内壁の直径は、一例として3cm〜5cmまで(他の例では、4cm等)となる。内室32の内壁の一般的な高さは、例えば、5cm〜9cm(7cm等)となる。
【0038】
例えば、排出管38はステンレス鋼から構成される。このとき、排出管の一般的な直径は0.5cm〜1.5cm(1cm等)となる。排出管38の長さは、例えば3cm〜5cmまで(4cm等)となる。
【0039】
チューブ31はプラスチックなどからできている(したがって凝縮器30への熱伝導性が抑えられる)。チューブ31の一般的な直径は、例えばlcm〜2cm(1.6cm等)である。チューブ31の長さは例えばlcm〜2.5cm(1.5cm等)である。
【0040】
天井部33aは、また別の実施例においては、なめらかに磨かれたステンレス鋼より構成される。その底部の一般的な直径は例えば3cm〜5cm(4cm等)となる。天井部33aの高さは、例えば、lcm〜2cm(1.5cm等)となる。
【0041】
円状溝部34は例えば耐沸騰性プラスチックからできている(したがって熱伝導性が抑えられている)。円状溝部34の直径は、例えば2cm〜5cmまで(3cm等)である。円状溝部34の深さは、例えば0.5cm〜1.5cmまで(1cm等)である。
【0042】
蒸留処理の間、本装置のシステムは密閉されたシステムではなくて、外気に開放されたシステムである。つまり、本装置の部材の至るところに孔が形成され、装置のシステム内部に(蒸気圧等の)圧力が蓄積されないようになっている。システム内部に圧力がかかると、所望とする植物原料の一部の加水分解が加速される虞がある。これは揮発性オイルとヒドロゾルの品質に悪影響を与える。この種の孔(例えば3mm〜5mmの直径を有する)は、例えば溝部34や排出管38の上部などに設けられる。
【0043】
凝縮器30は分離ユニットに連結されている。
図3および
図6Aで示されているように、凝縮器30の排出管38からくる液体は、分離ユニット40の注入口41に入り、そこに排出口38が連結される。注入口41は比較的短い管状部材である。液体蒸留物は注入口41を出ると、分離槽42(ガラスなどから構成される)へと侵入し、そこで(混合)ヒドロゾルとオイル抽出物を含む蒸留物が分離される。揮発性オイル70が低密度となることにより、ヒドロゾル75の上部にオイルが浮いて蓄積し、分離処理はこのようにして達成される。
【0044】
ある操作手順において、分離処理は、分離槽底部のバルブを解放し、ヒドロゾルをボトルに取り、バルブを閉め、今度はオイルボトルを持ってきてバルブを解放し、揮発性オイルをオイルボトルの中に集めることによって実施することができる。しかしこの操作によってオイルがこぼれ、汚れてしまう虞がある。
【0045】
これを受け、精油回収方法を改善するために提供される別の一連手順によれば、分離ユニット40はさらに、分離槽42を通ってピストン44を駆動させるための電気モーター43を備えていて(
図6A)、ピストン44のヘッドは分離槽42の直径と同じサイズの直径を有しており、その端が分離槽42の側面に密に押し付けられていて、側面から液体が漏洩することのないようになっている。浮遊オイル70を保持するヒドロゾル75はピストン44上部に認められる。ヒドロゾル75とオイル70が所定量だけ回収されると、蒸留処理が停止する。全ての蒸気が液体に変わって分離槽42に流出した後、オイルが分離される。
【0046】
モーターが作動すると、オイルを排出管46に流出させるようにピストンが上方に駆動する。(電極等の)センサー45は、分離槽42の内側端に設置されており、排出口46の底部に軽く接触している。センサー45は水性ヒドロゾルや揮発性オイルの存在を検知する。具体的には、センサー45はオイルと水性ヒドロゾル混合物の伝導性の変化を検知できるように設計されている。センサー45によってオイルが検知されると、ピストン44が上向きに駆動し、オイルが排出管46を出て回収ボトル71へ入る。ほぼ全てのオイルがチューブ排出口46を出た瞬間、ヒドロゾルがセンサーに達し、ここにオイルが検知されないということを示す信号をセンサーに送信させる。これによって電気回路が閉じ、モーター43が停止する。その後モーター43によってピストン44が下向きに駆動され、ピストンはヒドロゾルが回収可能になる場所に到達する。具体的には、排出管76へと接続しているバルブが解放してヒドロゾルが排出管76を出て回収ボトル77に入る。さらに、第二のセンサーを第二の排出管76の下に設置させ、その場所に液体が検知されないことで処理の終了を感知するように前記センサーを構成することもできる(液体の存在を検知するセンサー、等)。
【0047】
さらに凝縮器の床底部37を傾斜させ、全蒸留物の流れを発生させることでオイルの抽出過程で蒸留物の滴がオイル層に滴下することが防止されるように、床底部37が構成されている。一方、すべてのオイル相を取り除いた後にヒドロゾル相を回収することで、アロマセラピー等の使用に好ましいヒドロゾル生成物が生成される。
【0048】
また別の一連手順によれば、
図6Bに示されるように、ピストン44は排出管76の流出部より上に配置される(ステージ1)。オイルが排出管76に進入しないよう、(例えばタイマーで設定した時間の後に)十分な蒸留物が回収されると、ピストン44が(モーター43によって)排出管76の出口より下に下げられ(ステージ2)、ヒドロゾルが排出管76に入って排出管76の他端から流出し、分離槽42における液体上部の水位(上部のオイル+底部のヒドロゾル)がサイフォンの原理に従って排出管76の最上部と同じ水位になる。蒸留処理の間、蒸留物は分離槽42に入り、ヒドロゾルが回収される。(ただしサイフォンの原理で分離槽42や排出管76に溜まるヒドロゾルを除く。蒸留処理の最後、分離槽42は、2.5ccのオイルの下に約1.5ccのヒドロゾルが保持される)。ステージ3では、ピストン44が上昇してオイルが回収されると、先に説明したように、センサーがマテリアルを区別してピストン44を停止させる。その後のステージ4では、ピストン44が排出管76出口や集液トレイ78の下まで下げられ、分離槽や排出管76に残っているヒドロゾルが集液トレイ78に排出される。必要に応じて、このような操作モードを自動化することができる(操作開始、各ステージでのピストン位置、加熱ユニットやファンのスイッチオフ、オイルの回収、など)。このような自動化機能には、記憶されている命令セットを実行するためのコンピュータやプロセッサなどの制御装置の使用が含まれる。具体的に、
図9Bには、記載されている装置とその機能を制御するための、制御回路502が示されている。
【0049】
分離槽42内部の蒸留物は、(底部の)ヒドロゾルと上部のアロマオイルに分離する。高品質の蒸留処理を心掛けていても、少量の植物原料ワックスがよく蓄積する。ワックスは主にオイル層とヒドロゾル層の間に蓄積するが、一度オイルと混合するとオイル層の下に堆積するまで時間がかかり、それまでの間オイルはある程度濁りが入った状態となる。蒸留物が注入口41から落ちてオイル層の上に飛び散ると、オイルとワックスが混ざり合う。このような問題を避け(オイルがワックスと混ざり合う事なく純粋で澄んだ状態に保たれ)るために、本発明の別の実施例では、蒸留物は凝縮器30から分離槽へと届けられる。
【0050】
図6A〜
図6Cに見てとれるように、円盤型部材85(プラスチックやステンレス鋼などから構成される)が注入口41の底端部に接続され、蒸留物が複数の孔81を通って注入口41から円盤型部材85の表面へと流出するようになっている。前記複数の孔81は、例えば2mmの直径を有することができる。注入口41はチューブ状の形状をしており、例えば約8mmの直径を有する。円盤型部材85は分離槽42の直径よりもわずかに小さな直径を有しており、蒸留物82が円盤型部材85の上から端へと流れ、(例えば約1mmの)わずかな隙間を通って静かに分離槽42の内壁を流れ落ちるようになっている。蒸留物は分離槽42内部のオイル層上部70に静かに到達することができるため、ワックス層はアロマオイルとほとんど混じり合わない。このため、オイルは純粋(きれい)なまま保たれ、ワックスで汚されることがなく、望み通り澄んでいる。このように純粋で澄んだアロマオイルは直ぐにでも使用することができる。
【0051】
また別の実施例によれば、
図6Dに示されている通り、円盤型部材86は分離槽42よりも小さな直径を有している。注入口41は、分離槽42の内面へと向けられた複数の孔83を備えている。分離槽42と円盤型部材86との間に隙間がある状態で、蒸留物は前記複数の孔83を出て、分離槽42の内面に隣接した円盤型部材86の表面を流れ下る。このように、蒸留物が分離槽42の片側の内壁を流れ下り、上の実施例と同じような緩やかな流動効果が達成される。また分離槽42には、圧力の蓄積を防止するための一乃至複数の孔84が設けられているので、緩やかな流れが可能になる。
【0052】
別の実施例では、蒸留物は排出管38により、分離槽42の上部に配置され排出管38末端の下に設けられた漏斗部材90に排出される。蒸留物は、漏斗部材90の底の幅狭部から、固定軸によって漏斗部材の下に配設された円錐部材91の上に落ちる。蒸留物は円錐部材91の背面を流れる。円錐部材91の広底部は分離槽42の直径よりもわずかに小さな直径を有しており、蒸留物が円錐部材91底部と分離槽42のわずかな隙間から分離槽42内面をつたって下向きに流れることができるようになっている(前記の隙間は、例えば約0.3mmである)。その他の実施例として、円錐部材91をベル状の部材に置き換えることができる。これによって蒸留物がまとまって静かに流れるようになり、ワックスとオイルの混合が防止される。
【0053】
別の実施例では、蒸留物は排出管38によって、排出管38の末端の下に設けられた漏斗部材93に排出され、そこで漏斗部材93の底の幅狭部が分離槽42の外面に取り付けられ(封止)される。
図6Fに示されているように、分離槽42は、漏斗部材93の取り付け位置のすぐ上の側壁に複数の孔94を有する。蒸留物は漏斗部材93の底の幅狭部に蓄積し、孔94を通ってゆっくり分離槽42の内壁を流れ下り、これによって蒸留物がまとまって静かに流れるようになり、ワックスとオイルの混合が防止される。
【0054】
また必要に応じて、本発明ではさらにろ過ユニット92が備えられ、
図6Gに示されているように、排出管38は、前記ろ過ユニット92から蒸留物を漏斗部材93へと排出する(ろ過ユニット92は排出管38末端部の下に設置される)。ろ過ユニット92は複数のガラスボール96を備える。一例として、ガラスボールはそれぞれ約2mmの直径を有している。ガラスボールは表面に植物ワックスを吸収できるようになっており、これにより純度の高い蒸留物が生成される。ろ過ユニット92の底部にはネットやメッシュスクリーン95が設置され、これによってガラスボール96をろ過ユニット92の内部に保持し、ガラスボール96がろ過ユニット92からこぼれ落ちるのを防止している。その他の構成として、布フィルターをハーブの上に設置し、蒸留処理でのワックス状の物質を吸収させることもできる。
【0055】
孔94,81および83の一般的な直径は、一例では、1mm−3mm(−2mmなど)である。前記分離槽42の一般的な直径は、一例では、0.8cm−1.5cm(−1cmなど)である。分離槽42の長さは、一例では、4cm−9cmである。前記漏斗部材90は、一例では、ステンレス鋼またはプラスチック製である。漏斗部材90の上の大きな部分の直径は、一例では、0.8cm−1.5cm(−1cmなど)である。漏斗部材90の底の小さな部分の直径は、一例では、0.3cm−0.7cm(−0.5cmなど)である。漏斗部材90の高さは、一例では、0.3cm−0.7cm(−0.5cmなど)である。
【0056】
円錐部材91は、一例では、ステンレス鋼またはプラスチック製である。前記の通り、円錐部材91の底の幅広部は、分離槽42の直径と比較して、ほんのわずかに小さい直径を有する。円錐部材91の上の幅狭部の直径は、一例では、0.3cm〜0.7cm(0.5cmなど)である。円錐部材90の高さは、一例では、0.3cm〜0.7cm(0.5cmなど)である。
【0057】
部材93の大径は、一具体例では、1.2cm〜2cm(1.5cmなど)である。部材93の小径は、一例では、0.5cm〜1.4cm(1cmなど)である。ろ過ユニット92の一般的な直径は、一具体例では、0.7cm〜1.3cm(1cmなど)である。ろ過ユニット92の長さは、一具体例では、2cm〜5cm(3cmなど)である。ろ過ユニット92は、一例では、ステンレス鋼またはプラスチック製である。
【0058】
部材86は、一例では、ステンレス鋼またはプラスチック製である。部材86の一般的な直径は、一例では、8mm〜15mm(9.5mmなど)である。
【0059】
注入口41の直径は、一例では、0.2cm〜0.6cm(一例では、〜0.4cm)である。注入口41の長さは、一例では、1cm〜5cm(一例では、〜3cm)である。
【0060】
図6A〜6Mに図示されるように、前記管38は、(分離槽42の上部の周囲の)円形の円状溝87に連結される。蒸留液体は、前記管38から出て、前記円形の円状溝87に溜まる。
図6H〜6Iに示されるように、前記液体は、分離槽42の上部のスリット88を通過する。前記液体はさらにスリット88を通過し、槽42の内側の周壁に沿って流下する。本発明の他の形態によると、
図6K〜6Mに示されるように、前記管38から出た前記蒸留液体は、溝87に入る前に、(上述の理由で)複数のガラスボール96を通過する。
【0061】
図6Jには、ボールの槽42内への落下を防止する(また、液体が直接、槽42内に流入することを防止する)ボールブロッキング部材97が図示される。ボール96を通過した液体は、溝87に溜まり、スリット89を通過し、槽42の内側の周壁に沿って流下する。各ボールの直径は、一例では、約2mmであり、複数のボールの体積は、一例では、約5ccである。
【0062】
ヒドロゾル回収ボトル77及びオイル回収ボトル71は、長期間の貯蔵することが可能なガラス又は他の材料からなる。前記管76,46及び38は、一例では、ステンレス鋼又はテフロン(登録商標)コーティング材料からなる。分離プロセスを追い、装置ユーザに独自に認識させるために、前記分離ユニットのピストン管は可視である。管46は、随意に、オイルが正しく流れているか視認するための拡大鏡を備えた透明な材料からなる1回限りの使い捨て管である。
【0063】
この実施態様は、特に、オイル分離機能(電極、ピストンなど)の点で、有益である。得られるオイルは、水−蒸留物(ヒドロゾル)を含まず、純度が高い。この方法で得られるオイルは、それらまたはそれに類するものを混合したヒドロゾルから蓄積されたオイルをさらに洗浄する必要がない。
【0064】
漏斗部材90の下の小さな部分の直径は、一例では、12mm〜20mm(16mmなど)である。
【0065】
管76の厚さは、一具体例では、4mm〜8mm(6mmなど)である。その長さの一例は、約8cmである(その4部分は、それぞれ約1cm、4cm、2cmおよび0.5cmである)。
【0066】
管46の直径は、一例では、3mm〜6mm(一例では、〜4mm)である。管46の長さは、一例では、1.5cm〜3cm(一例では、〜2cm)である。
【0067】
ボトル77は、一例では、ガラス製であり、一例では、100ccの液体を含有することができる。その長さは、一例では、8cmである。
【0068】
ボトル71は、日光を防ぐために、一例では、褐色ガラス製であり、一例では、2.5ccの液体を含有することが可能である。その長さは、一例では、3cmであり、直径は、一例では、1cmである。
【0069】
他の実施例によると、前記装置は、12分間の操作時間内で、約80ccのヒドロゾル水を生成するように構成される。この時間内で、ほぼ全てのアロマオイルが、植物から放出される。植物原料ワックスの最少量(仮にあったとしたら)が、この時間内に放出される。さらに、約3ccのアロマオイルが、この操作時間の間に、生成される。
【0070】
図9に示されるように、前記装置は、前記加熱ユニットの起動のために、加熱ユニットに連結される起動スイッチ60を含む。前記スイッチ60は、異なる温度に加熱するために、加熱ユニットの制御を可能にする温度調整器を起動する。前記加熱ユニットは、電気プラグ61を介して、電気ソケットに接続される。電気プラグ65は、電気ソケットに接続され、前記装置、すなわち、凝縮器ファン36および分離ユニットモーター43の他の電動ユニットに電力を供給する。前記凝縮器30は、作動/非作動ファン(activating/deactivating fan)36のためのスイッチ69を含む。オイルを抽出し、前記分離槽42に蓄積したオイルをすべてボトル71にすべて回収するために、前記装置は、前記モーター43を起動させるスイッチ67をさらに含む。前記モーター(43)の操作前に、ピストン44を初期状態に位置させる。スイッチ67を押すことで、前記モーター(43)により、本明細書に記載されるように、ヒドロゾルが1個または2個の電極に接触するまで、ピストン44を駆動させ、移動させる。その後、すべてのオイルが除去された後に、前記モーターにより、ピストン44を駆動させ、初期状態に戻るように移動させる。
【0071】
一例では、スイッチ69を押すことにより、前記凝縮器ファン36が起動される。起動の数分後、前記加熱ユニットの電源を切る。その後、前記凝縮器ファン36も、停止させる。その後、スイッチ67を押すことにより、オイルが回収される。
【0072】
スイッチを1回押すことにより、全体の工程が実施されるように、前記装置は、自動的に、すべての電動部材を起動させ、動作を停止させるスイッチを随意に含む。(本明細書に記載されるように)これは、前記加熱ユニットおよびファン36の起動と、停止と、前記分離ユニットモーターを起動させることとを含む。また、これは、当技術分野で既知のように、制御装置、チューナーなどを含む。また、前記装置は、オイルを回収した後に、起動されるLEDなどの工程の終了を表示する表示装置を含む。
【0073】
部材の他の構成では、本発明の前記装置は、自己洗浄のための有利な機能のために、提供される。このモードでは、前記加熱ユニットが起動される。蒸気は、植物を含有する状態の使用したカプセル20又は空のカプセル20を通って移動する。蒸気は、注入口31に指向する。前記ファン36が停止することにより、前記蒸気の大部分は、前記凝縮器の内室32で、水へと変わらず、内室32を洗浄し、(管38も洗浄しながら)管38を通り前記分離ユニットへと続く。蒸気は、前記分離ユニット内のすべての管/室を移動し、それらを洗浄し、掃除する。随意に、前記ファンは、交互に、オンオフされ、ここで、ある時間には水、またある時間には蒸気となり、前記凝縮器を通って、前記分離ユニット40に移動する。よって、すべての管、室及び通路を、洗浄及び掃除する。洗浄工程の終わりに、洗浄水が、液体回収トレイ78に、回収される。他の例では、自動の洗浄スイッチ又はボタンが、洗浄工程を始動させる。
【0074】
本発明の他の操作モードは、飲料の蒸留に関する。本発明のカプセルは、コーヒー及び茶粉末などの蒸留に必要な固体の有機原料が充填される場合がある。例えば、上述の装置を使用することで、蒸気は粉末と混合するが、コーヒーは揮発性ではないので、蒸気と共にカプセルから流出しない。しかし、コーヒー内の他の物質は、揮発性であり、蒸気で抽出され、(濃縮後の)得られた液体は、コーヒーの香りとコーヒーの味を有する透明液体である(ここで、液体は、主に揮発性化合物を含む)。この場合、前記分離槽は、(分離のためでなく)得られた液体を回収し、分散するために使用されるだけである。蒸気/温水をコーヒーと混合し、揮発性物質と主に不揮発性物質とを含むコーヒーを製造するとき、従来技術のコーヒーカプセルが使用される。本発明の利点は、例えば、水蒸留下で、非揮発性であるカフェインが蒸気で抽出されないことである。よって、カフェインを含まない飲料が、本発明を用いて、得ることができる。また、前記装置は、コーヒー飲料を抽出し、生成するために使用された同一の機器を用いて、茶飲料を生成するために構成される。
【0075】
本発明のさらなる構成では、前述の装置は、(図示されない)水希釈装置で、構成される。提供される構成では、前記水希釈装置が、濃縮されたヒドロゾルから飲料水を生成するために使用される。
【0076】
前記装置のさらなる構成では、前記装置は、(特定の温度範囲に一致させて)冷却されたまたは温かいろ過された水道水を用いて、前記水性蒸留物を希釈することにより生成された飲料を製造するために、標準の浄水器、冷却装置およびヒーターを用いて、構成される。例えば、本装置は、ろ過された水を冷却または加熱し、水性蒸留物および他の抽出物と、抽出工程で発生する任意の他の化合物の(特定の濃度範囲に)希釈された飲料を製造するために、設計される炭素フィルター、電熱器および圧縮機モジュールを装備する。よって、前記装置の構成は、(単純な天然飲料および治療などに)すぐに使用することができる冷却されたまたは温められた水性蒸留物飲料を製造する。
【0077】
前記装置は、さらに、添加剤カートリッジを用いて、構成することができる。例えば、前記装置は、水/ヒドロゾル混合物を前記添加剤カートリッジ内に貯蔵されたフレーバー、甘味料または他の抽出物を用いて風味付けするために、構成することが可能である。例えば、前記装置は、ヒドロゾル濃縮物の予め砂糖を加えた容器を収容するように設けられる。この構成では、前記装置は、回収された水が前記カートリッジ内に含まれる予め砂糖を加えた濃縮物と、ヒドロゾルとを混合、または組み合わせるように、予め砂糖を加えたカートリッジに連結される。さらなる構成では、前記添加剤カートリッジは、全体的な混合物が炭酸を含むように、適した部材を含む。
【0078】
先述のいずれかでは、製造された前記飲料は、着脱可能な貯蔵容器内に、確保される場合がある。また、前記飲料容器は、使用者の所望に基づき、冷却または温められる。
【0079】
部材のさらなる構成では、前記本装置は、前記水容器内に貯蔵された(酵母により主に発酵させた)任意の種類の発酵した有機原料から飲料等級アルコールを抽出し、蒸留するために、装備される。この場合、空のカプセルが、純度の高い蒸留されたアルコールを得るために前記装置に挿入されなければならない。使用者が揮発性の植物性化合物を含有するエタノールを得ることを所望する場合、適当な植物を含有するカプセルを使用しなければならない。一構成では、例えば、温度計により制御される加熱部材を、蒸留工程の間、液体を蒸留するために沸点以上の固定された温度に維持するために構成することができる。一例では、エタノールは、発酵した液体からエタノールを蒸留するために、78℃(エタノールの沸点)まで上昇させる。この場合、蒸留されたアルコールは、ヒドロゾルボトル位置にあるボトル内に回収される。温度計を備えた前記装置は、64℃(すなわち、メタノールの沸点)以上であり、78℃(エタノールの沸点)以下の温度範囲での、短時間の前蒸留工程により、微量のメタノール(酵母により同時に発生する場合がある非常に有害なアルコール)の除去が可能になる。当業者は、他の液体が、前蒸留および蒸留の温度の異なる形態を用いて、同じ方法で蒸留することができると理解するであろう。
【0080】
さらなる実施態様では、前記装置は調製された揮発性オイルを受け入れ、すぐに使用することができる揮発性オイルを製造するための添加剤カートリッジポートを収納できるように構成されている。特定の組成及び濃度の調製されたオイルが問題となっている装置によって生成され、製造されるように、揮発性オイル抽出物はアロマセラピーで汎用されるキャリアオイルなどの油溶性化合物で希釈される場合があり、調製された組成物は貯蔵される希釈されたオイルの容器へと指向する。この方法では、前記装置により発生されるオイルの適当な混合物及び濃度が、維持される。
【0081】
さらなる実施態様では、本発明に記載される装置は、天然香料を製造するために、調製された揮発性オイルと、添加剤カートリッジに貯蔵される揮発性オイルとに対応するように装備される。揮発性オイル(または他の抽出物)は、キャリアアルコール(または他の油溶性化合物)で希釈される場合がある。特定の組成および濃度の調製された香料が問題となっている装置によって生成され、製造されるように、香料および調製された香料は貯蔵される希釈されたアルコール性香料の容器へと指向する。この方法では、前記装置により発生されるオイルの適当な混合物および濃度が、維持される。
【0082】
前記構成は、上述の装置が、操作が簡便で、且つ、家庭での使用に適した総合的な飲料製造設備であることを定める。また、記載される前記発明は、カスタマイズ可能な添加剤および香味料を提供するという、さらなる利点を有する種々の単一の機能の装置の適当な代替物である。
【実施例】
【0083】
上述の例は、本発明の方法および記載された装置の部材の特定な寸法の具体的な典型的な記載を供するものである。当業者は、上述の例が典型的なものであり、他の材料、寸法および方法を用いることができると理解するであろう。
【実施例1】
【0084】
先に示されるように、カプセル内に位置する蒸留ハーブは、グリッド上に位置する蒸留ハーブと比較して、より多量の揮発性オイルを生成する。GCMS法により検出されるように、前記カプセルは、グリッド上と比較して、より高品質の揮発性オイルおよびヒドロゾルを生成する。タンク内に残留した水は、グリッドを用いた場合と比較して、透明であり、きれいである。
【0085】
ある実施例では、上述の装置は、一例では、1cm〜2cm(〜1.6cmなど)の排出管6を用いて構成される。前記カプセルの体積は、一例では、300cc〜500cc(〜400ccなど)である。前記カプセルの底部の直径は、一例では、6cm〜10cm(〜8cmなど)である。前記カプセルの高さは、一例では、4.5cm〜7.5cm(〜6cmなど)である。前記アダプター7の一般的な直径は、一例では、4.5cm〜7.5cm(〜6cmなど)であり、金属または耐煮沸性プラスチック製である。排出口26の一般的な直径は、一例では、1cm〜2cm(〜1.6cmなど)である。前記排出口26の長さは、一例では、0.3cm〜4cm(〜0.5cmなど)である。排出口26は、一例では、プラスチック製である。管8の直径は、一例では、3mm〜7mm(〜5mmなど)である。管8の長さは、一例では、3mm〜7mm(〜5mmなど)である。管8は、一例では、プラスチックまたはステンレス鋼製である。管21の直径は、一例では、2.8mm〜5.2mm(一例では、〜4.1mm)である。管21の長さは、一例では、4.5mm〜7.5mm(一例では、〜6mm)である。前記カプセル20は、随意に、透明であり(または部分的に透明)、一例では、プラスチック製(例えば、再生可能プラスチック)であり、前記カプセル20内に含まれる植物原料が、前記カプセル20を通して見ることができる。前記カプセル20は、一例では、濃縮を最小限にするために、プラスチックなどの熱的に隔離された物質を含む。
【0086】
操作時に、80グラムのラベンダーの新鮮な葉が、上述のオイル抽出装置のグリッド上に置かれる。水が容器内で加熱され、発生した蒸気が熱湯の上のグリッド上に位置する前記ラベンダーの葉に通される。凝縮器内で、蒸気が凝縮され、得られた液体がヒドロゾルとアロマオイルとに分離される。操作の10分後、100mlのヒドロゾルが得られ、0.7mlのオイルが得られた。
【0087】
また、80グラムのラベンダーの新鮮な葉が、本発明のカプセル内に置かれた。水が水容器内で加熱され、蒸気が発生し、カプセル内に通された。凝縮器内で、蒸気が凝縮され、分離ユニット内で、得られた液体がヒドロゾルとアロマオイルとに分離された。操作の10分後、100mlのヒドロゾルが得られ、0.9mlのオイルが得られた。
【0088】
図10Aに示されるように、カプセルを含む本発明は、29%より効率が良いことがわかった。
【実施例2】
【0089】
実施例1と同じ装置を用いて、120グラムの新鮮なオロブランコ(グレープフルーツxブンタンのハイブリッド種)の皮が、上述のオイル抽出装置のグリッド上に置かれた。水が容器内で加熱され、蒸気が発生し、熱湯の上のグリッド上に位置するラベンダーの葉に通された。凝縮器内で、蒸気が凝縮され、得られた液体がヒドロゾルとアロマオイルとに分離された。操作の10分後、100mlのヒドロゾルが得られ、0.8mlのオイルが得られた。
【0090】
また、120グラムの新鮮なオロブランコの皮が、本発明のカプセル内に置かれた。水が水容器内で加熱され、蒸気が発生し、カプセル内に通された。凝縮器内で、蒸気が凝縮され、分離ユニット内で、得られた液体がヒドロゾルとアロマオイルとに分離された。操作の10分後、100mlのヒドロゾルが得られ、1.2mlのオイルが得られた。
【0091】
図10Bに示されるように、カプセルを含む本発明は、50%より効率が良いことがわかった。
【実施例3】
【0092】
120グラムの新鮮なネーブルオレンジの皮が、上述のオイル抽出装置のグリッド上に置かれた。水が容器内で加熱され、蒸気が発生し、熱湯の上のグリッド上に位置するラベンダーの葉に通された。凝縮器内で、蒸気が凝縮され、得られた液体がヒドロゾルとアロマオイルとに分離された。操作の10分後、100mlのヒドロゾルが得られ、0.35mlのオイルが得られた。
【0093】
また、120グラムの新鮮なネーブルオレンジの皮が、本発明のカプセル内に置かれた。水が水容器内で加熱され、蒸気が発生し、カプセル内に通された。凝縮器内で、蒸気が凝縮され、分離ユニット内で、得られた液体がヒドロゾルとアロマオイルとに分離された。操作の10分後、100mlのヒドロゾルが得られ、0.9mlのオイルが得られた。
【0094】
図10Dに示されるように、カプセルを含む本発明は、157%より効率が良いことがわかった。
【0095】
本発明の種々の組合せ、代替および改良が、当業者により考案されることが理解されるべきである。本発明は、添付の特許請求の範囲内に含まれるすべてのかかる代替、改良および変形を包含することを意図する。
【0096】
また、本明細書は水である液体について記載しているが、本発明の内容が実現される限り、他の液体を使用することができることが理解されるであろう。
【0097】
本発明は、特に、好適なその実施態様を参照して、説明され、記載されるが、当業者により、形式上および細部の種々の変形が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、なされる場合があることが理解されるであろう。
【実施例4】
【0098】
【表1】
【0099】
結論
カプセル内での少量(約60グラム)のラベンダーの蒸留は、グリッド上と比較して、33%より多量のオイルを得る。
【0100】
多量(約180グラム)のハーブ(ラベンダー)を使用すると、カプセルまたはグリッドを使用しても、オイルの収量に検出可能な差異は見られなかった。
【実施例5】
【0101】
カプセル内に置かれたまたはグリッド上に置かれたスイート・マジョラム(Origanum majorana)の新鮮な枝の蒸留
【0102】
【表2】
【0103】
結論
1−「サビネン水和物」分子の2つの異性体(シスおよびトランス)が、非常に分解(脱水)しやすい化合物であると考えられるので、蒸留方法の品質を判定するために、マジョラムが使用された。
【0104】
2−上述の結果は、植物がグリッド上に置かれたときに起こる完全な分解と比較して、カプセルを用いた方法が、両方の異性体を維持し、それらの分解を防ぐことを明らかに示す。
【0105】
3−カプセルも、グリッドも使用せずに得られたヒドロゾル内には、両方の異性体は検出されない。