(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284948
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】TM媒質共振器及びその実現方法、並びにTM媒質濾波器
(51)【国際特許分類】
H01P 7/10 20060101AFI20180215BHJP
H01P 1/20 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
H01P7/10
H01P1/20 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-546819(P2015-546819)
(86)(22)【出願日】2013年10月10日
(65)【公表番号】特表2016-503976(P2016-503976A)
(43)【公表日】2016年2月8日
(86)【国際出願番号】CN2013084994
(87)【国際公開番号】WO2014090031
(87)【国際公開日】20140619
【審査請求日】2016年9月23日
(31)【優先権主張番号】201210544036.7
(32)【優先日】2012年12月14日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】509024525
【氏名又は名称】ゼットティーイー コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユー,ワンリー
(72)【発明者】
【氏名】カン,ユーロン
(72)【発明者】
【氏名】ダイ,シャオウェン
【審査官】
岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】
中国実用新案第201725860(CN,U)
【文献】
中国実用新案第201749934(CN,U)
【文献】
実開昭59−121903(JP,U)
【文献】
国際公開第2009/096836(WO,A1)
【文献】
実開昭59−057008(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属接続板付きの媒質共振柱部品を加工することと、
一端を開口した金属キャビティ(4)を加工することと、
ねじ(5)で前記媒質共振柱部品の金属接続板を前記金属キャビティ(4)の内壁に締め付けることと、
予備成形したカバープレート(2)で前記金属キャビティ(4)の開口をカバーすることと、
予備成形した同調ねじ(1)を前記カバープレート(2)から前記金属キャビティ(4)の内部にねじ込むことと、を含み、
前記金属接続板付きの媒質共振柱部品を加工することが、
予備成形した円筒状媒質共振柱(3)の一端に金属化処理を施すことと、
予備成形した円盤状金属接続板(6)の上端面と下端面にそれぞれ環状溝(61)と第1の円形溝(62)を形成することと、
前記円筒状媒質共振柱(3)の金属化処理された一端を前記環状溝(61)内に配置し、前記円盤状金属接続板(6)に溶接して一体化することと、を含み、
前記金属キャビティ(4)の内壁に、前記円盤状金属接続板の下端面に整合する第2の円形溝が一つ形成され、
或いは、
前記金属接続板付きの媒質共振柱部品を加工することが、
予備成形した円筒状媒質共振柱(3)の一端に金属化処理を施すことと、
予備成形した円盤状金属接続板(6)の上端面に、前記円筒状媒質共振柱(3)の内面に整合する円柱形鍔部(63)を加工することと、
前記円筒状媒質共振柱(3)の金属化処理された一端を円柱形鍔部(63)の外面にカバーし、前記円盤状金属接続板(6)に溶接して一体化することと、を含み、
前記金属キャビティ(4)の内壁に、前記円盤状金属接続板(6)に整合するキャビティ溝が一つ形成されている、TM媒質共振器の実現方法。
【請求項2】
前記金属キャビティ(4)の内壁に、前記ねじ(5)に整合するねじ穴が形成されている請求項1に記載の方法。
【請求項3】
一端を開口した金属キャビティ(4)と、
前記金属キャビティ(4)内に配置される金属接続板付きの媒質共振柱部品と、
前記媒質共振柱部品を前記金属キャビティ(4)の内壁に締め付けるためのねじ(5)と、
前記金属キャビティ(4)の開口した一端をカバーしてその内部を密封するカバープレート(2)と、
前記カバープレート(2)から前記金属キャビティ(4)の内部にねじ込む同調ねじ(1)と、を含み、
前記金属接続板付きの媒質共振柱部品が、
上端面と下端面にそれぞれ環状溝(61)と第1の円形溝(62)が形成されている円盤状の金属接続板(6)と、
前記環状溝(61)内に溶接される円筒状媒質共振柱(3)と、を含み、
前記円筒状媒質共振柱(3)の、前記金属接続板(6)に接触する一端が金属化処理され、
前記金属キャビティ(4)の内壁に、前記金属接続板の下端面に整合する第2の円形溝が一つ形成され、
或いは、
前記金属接続板付きの媒質共振柱部品が、
上端面に円柱形鍔部(63)が形成されている円盤状の金属接続板(6)と、
前記円柱形鍔部(63)の外面をカバーし、前記金属接続板(6)に溶接されて一体化される媒質共振柱(3)と、を含み、
前記媒質共振柱(3)の、金属接続板(6)に接触する一端が金属化処理され、
前記金属キャビティ(4)の内壁に、前記金属接続板(6)に整合するキャビティ溝が一つ形成されている、TM媒質共振器。
【請求項4】
1つ又は複数の請求項3に記載のTM媒質共振器を含むTM媒質濾波器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信技術分野に関し、具体的に、TM媒質共振器及びその実現方法、並びにTM媒質濾波器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電磁波が高誘電率の物質で伝送される場合その波長は短くなり、当該特性により、既存の金属材料の替わりに媒質材料を用いると、同一な指標にて、濾波器の体積は縮小される。媒質濾波器の研究は通信分野で注目を集めている。濾波器は無線通信製品の重要な部品として、媒質濾波器は通信製品の小型化に極めて重要な意味を持っている。
【0003】
図1に示すように、通常、TMモード媒質共振器は主に、媒質共振柱103と、密封カバープレート102と、同調ねじ101と、金属キャビティ104からなる。その中、媒質共振柱103の下面は金属キャビティ104に直接に溶接されて金属キャビティの底面にしっかり接触し、密封カバープレート102は金属キャビティ104をねじによって密封して密封室を形成する。媒質共振器が正常に作動する場合、媒質共振柱103の下端面と金属キャビティ104の結合部分には高電場が分布されている。媒質共振柱が金属キャビティの底部に直接溶接されるので、媒質共振柱の下端面と金属キャビティ104との接触が不十分で、インピーダンスが非連続で、電場のエネルギーを伝送することができず、媒質共振柱の高誘電率と高品質の因数を発揮できず、ひいては媒質を焼却してしまうこともあるので、媒質共振柱と金属キャビティとを一体に溶接する工程に対する要求は非常に高いであり、一方、媒質共振柱を金属キャビティに溶接する工程中に脱落現象が発生して、媒質共振器の性能及び使用寿命に影響を与えてしまう。従って、TMモード媒質共振器において、媒質共振柱の下面と金属キャビティの表面との接触が良いか否かはキーポイントであり、TMモード媒質共振柱の固定及び接触問題を如何に解決するかが媒質共振器を応用する際の主な研究方向となった。
【0004】
中国特許出願番号がCN201020643211である特許出願において、金属共振キャビティと、カバープレートと、同調ねじと、TMモード媒質共振器とを備え、前記TMモード媒質共振器がねじによって金属共振キャビティの内部に固定されるTMモード媒質濾波器であって、前記ねじのねじ軸部分が、TMモード媒質共振器の位置決め孔を貫通して金属共振キャビティの底部又は側壁に螺合され、ねじのねじ軸部分が上記位置決め孔の壁に接触せず、前記ねじの頭部とTMモード媒質共振器の位置決め孔の端面との間に両方を隔離するための移行座金が設けられることを特徴とするTMモード媒質濾波器が開示された。上記特許出願によると、具体的に実施する際、装着工程が複雑で、構造設計に対する要求が高く、性能に対する影響が多く、大量生産に不利であって、コストが高い問題が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記問題に鑑みて、本発明の実施例は、加工工程が簡単で、加工されたTM媒質共振器の体積が小さく、性能が優れており、動作信頼性が高いTM媒質共振器の実現方法を提供することをその目的とする。そして、本発明の実施例によると、上記方法で加工されたTM媒質共振器及び1つ又は複数のTM媒質共振器からなる媒質濾波器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例の上記目的を実現するため、本発明の実施例によるTM媒質共振器の実現方法は、
金属接続板付きの媒質共振柱部品を加工することと、
一端を開口した金属キャビティを加工することと、
ねじで前記媒質共振柱部品の金属接続板を前記金属キャビティの内壁に締めることと、
予備成形したカバープレートで前記金属キャビティの開口を密封することと、
予備成形した同調ねじを前記カバープレートから前記金属キャビティの内部にねじ込むことと、を含む。
【0007】
ここで、金属接続板付きの媒質共振柱部品を加工することは、
予備成形した円筒状媒質共振柱の一端に金属化処理を施すことと、
予備成形した円盤状の金属接続板の上端面と下端面にそれぞれ環状溝と第1の円形溝を形成することと、
媒質共振柱の金属化処理された一端を前記環状溝の内部に配置し、金属接続板に溶接して一体化することと、を含む。
【0008】
前記金属キャビティの内壁に第2の円形溝を一つ形成し、且つ、第2の円形溝が前記金属接続板の下端面に整合していることが好ましい。
【0009】
又は、金属接続板付きの媒質共振柱部品を加工することが、
予備成形した円筒状媒質共振柱の一端に金属化処理を施すことと、
予備成形した円盤状金属接続板の上端面に、前記媒質共振柱の内面に整合する円柱形鍔部を加工することと、
媒質共振柱の金属化処理された一端を円柱形鍔部の外面にカバーして金属接続板に溶接して一体化することと、を含む。
【0010】
前記金属キャビティの内壁に、前記金属接続板に整合するキャビティ溝を一つ形成することが好ましい。
【0011】
前記金属キャビティの内壁に、前記ねじに整合するねじ穴が更に形成されることが好ましい。
【0012】
本発明の実施例によると、一端を開口した金属キャビティと、金属キャビティの内部に装着される金属接続板付きの媒質共振柱部品と、媒質共振柱部品を金属キャビティの内壁に締めるためのねじと、金属キャビティの開口端をカバーしてその内部を密封するカバープレートと、カバープレートから金属キャビティの内部にねじ込む同調ねじと、を備え、上記方法で加工されるTM媒質共振器を提供する。
【0013】
ここで、前記金属接続板付きの媒質共振柱部品は、上端面と下端面にそれぞれ環状溝と第1の円形溝が形成される円盤状の金属接続板と、環状溝内に溶接される円筒状媒質共振柱と、を含み、媒質共振柱の、金属接続板に接触する一端は金属化処理されている。
【0014】
又は、前記金属接続板付きの媒質共振柱部品は、上端面に円柱形鍔部が形成された円盤状の金属接続板と、円柱形鍔部の外面をカバーし金属接続板に溶接されて一体化される媒質共振柱と、を含み、媒質共振柱の金属接続板に接触する一端は金属化処理されている。
【0015】
本発明の実施例によると、1つ又は複数のTM媒質共振器を含むTM媒質濾波器を提供する。
【発明の効果】
【0016】
既存技術に比べ、本発明の実施例のTM媒質共振器の実現方法によると、以下のようなメリットを有する。
1)本発明の実施例において、金属接続板付きの媒質共振柱部品をねじで金属キャビティの内壁に締めることで、加工工程が簡単であって、媒質共振柱部品と金属キャビティとの接触が十分であり、媒質共振柱部品が電場エネルギーを有効に伝達することができ、TM媒質共振器の性能及び動作信頼性を高めることができる。
2)本発明の実施例の媒質共振柱部品によると、金属化処理された媒質共振柱の一端を金属接続板に溶接し、金属キャビティの外部で溶接を行うことができ、溶接の工程が簡単で、実現しやすいので、大量生産に有利で、コストを低下させることができる。
3)本発明の実施例の媒質共振柱部品中の媒質共振柱は、金属接続板に溶接されて固定され、外力又は運送中に両方が良好に接触し、TM媒質共振器の性能及び使用寿命を向上させ、共振器及び濾波器の体積を有効に縮小させることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、既存技術に係るTM媒質共振器の構造を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例に係るTM媒質共振器の実現方法を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施例のTM媒質共振器の構造を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1の実施例の金属接続板の構造を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1の実施例の金属キャビティの構造を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の第2の実施例のTM媒質共振器の構造を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の第2の実施例の金属接続板の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図2に示すように、本発明の実施例のTM媒質共振器の実現方法は、
金属接続板付きの媒質共振柱部品を加工することと、
一端を開口した金属キャビティ4を加工することと、
媒質共振柱部品の金属接続板をねじ5で金属キャビティ4の内壁に締めることと、
予備成形したカバープレート2で金属キャビティ4の開口を密封することと、
予備成形した同調ねじ1をカバープレート2から金属キャビティ4の内部にねじ込むことと、を含む。
【0019】
本発明の実施例において、まず、金属接続板付きの媒質共振柱部品を加工し、次に、一端を開口した金属キャビティを加工し、その後、ねじ5で媒質共振柱部品の金属接続板を金属キャビティ4の開口した一端に対応する底部の内壁に締めてから、予備成形したカバープレート2で金属キャビティ4の開口した一端を密封し、最後に予備成形した同調ねじ1をカバープレート2の上部から金属キャビティの内部の一定の長さまでねじ込むことによって、密封されたTM媒質共振器を形成することが好ましい。
【0020】
本発明の実施例のTM媒質共振器の実現方法において、異なる方法で金属接続板付きの媒質共振柱部品を加工すると共に、異なる構造を有するTM媒質共振器及びTM媒質濾波器を加工し、以下、具体的な実施例によって詳しく説明する。
【0021】
実施例1
本実施例において、金属接続板付きの媒質共振柱部品を加工するステップは
予備成形した円筒状媒質共振柱3の一端を金属化処理を施すことと、
予備成形した円盤状金属接続板6の上端面と下端面にそれぞれ、環状溝61と第1の円形溝62を形成することと、
媒質共振柱3の金属化処理された一端を環状溝61の内部に配置し、金属接続板6に溶接して一体化することと、を含む。
【0022】
金属接続板付きの媒質共振柱部品を加工する際、予備成形された円筒状媒質共振柱3の一端に金属化処理を施すことが好ましい。金属化処理を行う場合、電気メッキの方法で媒質共振柱3の一端に金属層をメッキするか、又は、既存技術における他の媒質共振柱3の一端に金属層をメッキすることのできる方法で行うことができる。
【0023】
金属接続板と媒質共振柱との溶接を行う前、予備成形された円盤状金属接続板を加工しなければならず、
図4、
図5に示すように、金属接続板6の上端面に環状溝を形成し、金属接続板6の下端面に第1の円形溝を形成し、金属接続板の中央に貫通ねじ穴64を形成する。本発明の実施例の金属接続板が良好な導電性を有するように、本発明の実施例の金属接続板として、表面に銀メッキされた金属シート、又は、銅からなる金属シートを利用する。
【0024】
媒質共振柱の一端が金属化処理され金属接続板の加工を完成した後、一定の環境で、媒質共振柱の金属化処理された一端を金属接続板に形成された環状溝内に配置し、その後、金属接続板6に溶接して一体化する。加工する際、金属接続板上の環状溝を適切な深さに形成することで、媒質共振柱を金属接続板の環状溝内に配置して溶接する場合、余分のはんだペーストが外部へ流れて金属接続板の表面が汚れたりすることがなく、媒質共振器の電気性能に影響を与えることがなく、また、溶接を完成した後、媒質共振柱と金属接続板の接触シートが金属接続板の上端面より完全に低いので、電磁場の伝播に有利である。
【0025】
金属接続板付きの媒質共振柱部品の加工を完成した後、一端を開口した金属キャビティを加工する。
図6に示すように、金属キャビティの一端を開口した後、開口した一端に対応する底部の内壁に、金属接続板の下端面に整合する第2の円形溝41を形成し、また、金属キャビティの底部の内壁に、貫通ねじ穴64に整合するねじ穴42を形成する。
【0026】
金属接続板付きの媒質共振柱部品と一端を開口した金属キャビティの加工を完成した後、金属接続板付きの媒質共振柱部品上の金属接続板を金属キャビティの第2の円形溝に合わせてその中に配置し、次に、ねじ5が順に金属接続板上の貫通ねじ穴と金属キャビティ上のねじ穴を貫通して、媒質共振柱部品の金属接続板を金属キャビティ4の底部の内壁に締め付ける。金属接続板と金属キャビティとの接触した後の接触面の接触が良好であることで電磁波の伝送インピーダンスを低下させ電気性能を向上させるため、金属キャビティの第2の円形溝を加工する際、該第2の円形溝の中央部分の凹み深さが第2の円形溝の外周部分の凹み深さ未満であるべきで、即ち、該第2の円形溝が逆凹字形に形成されることで、金属接続板をその中に配置する際、金属接続板と該金属キャビティの接触面が外面が高く中央が低い表面に形成されることができる。
【0027】
金属接続板付きの媒質共振柱部品を金属キャビティの内壁に締め付けた後、予備成形したカバープレート2によって金属キャビティ4の開口した一端を密封し、最後に予備成形した同調ねじ1をカバープレート2の上部から金属キャビティ内部の一定の長さまでねじ込んで、密封されたTM媒質共振器を形成することができる。
【0028】
本発明の実施例によると、上記方法で加工されたTM媒質共振器を提供し、
図3に示すように、一端を開口した金属キャビティ4と、金属キャビティ4内に配置される金属接続板付きの媒質共振柱部品と、媒質共振柱部品を金属キャビティ4の内壁に締め付けるためのねじ5と、金属キャビティ4の開口した一端をカバーして内部を密封するカバープレート2と、カバープレート2から金属キャビティ4の内部にねじ込む同調ねじ1と、を含む。
【0029】
ここで、本発明の実施例の金属接続板付きの媒質共振柱部品は、表面に銀メッキ処理された金属シート又は銅材からなる金属シートであって、上端面と下端面にそれぞれ環状溝61と第1の円形溝62が形成されており、その中央に貫通ねじ穴64が形成された円盤状の金属接続板6と、環状溝61内に溶接される円筒状媒質共振柱3と、を含み、媒質共振柱3の金属接続板6に接触する一端は金属化処理されている。
【0030】
本発明の実施例の金属キャビティ4の開口した一端に対応する底部の内壁に第2の円形溝が形成されており、該第2の円形溝は金属接続板の下端面に整合し、該底部の内壁に貫通ねじ穴64に整合するねじ穴が形成されている。
【0031】
本発明の実施例の第2の円形溝の中央部分の凹み深さが円周部分の凹み深さ未満である、即ち、該第2の円形溝の形状が逆凹字形であることが好ましい。
【0032】
本実施例によると、上記1つ又は複数のTM媒質共振器を接続してなるTM媒質濾波器を提供する。
【0033】
実施例2
本実施例において、金属接続板付きの媒質共振柱部品を加工するステップは、
予備成形した円筒状媒質共振柱3の一端に金属化処理を施すことと、
予備成形した円盤状金属接続板6の上端面に媒質共振柱3の内面に整合する円柱形鍔部63を形成することと、
媒質共振柱3の金属化処理された一端を円柱形鍔部63の外面にカバーし、金属接続板6と溶接して一体化することと、を含む。
【0034】
金属接続板付きの媒質共振柱部品を加工する際、予備成形された円筒状媒質共振柱3の一端に金属化処理を施すことが好ましい。金属化処理を行う場合、電気メッキの方法で媒質共振柱3の一端に金属層をメッキするか、又は、既存技術における他の媒質共振柱3の一端に金属層をメッキすることのできる方法を利用することができる。
【0035】
金属接続板と媒質共振柱とを溶接する前、予備成形された円盤状金属接続板を加工しなければならず、
図8、
図9に示すように、金属接続板6の上端面に円柱形鍔部63を形成し、金属接続板の中央に貫通ねじ穴64を形成する。本発明の実施例の金属接続板が良好な導電性を有するように、本発明の実施例の金属接続板として、表面に銀メッキした金属シート、又は、銅からなる金属シートを利用する。
【0036】
媒質共振柱の一端が金属化処理され金属接続板の加工を完成した後、一定の環境で、媒質共振柱の金属化処理された一端を円柱形鍔部63の外面にカバーし、金属接続板6に溶接して一体化する。
【0037】
金属接続板付きの媒質共振柱部品の加工を完成した後、一端を開口した金属キャビティを加工する。金属キャビティの一端を開口した後、開口した一端に対応する底部の内壁に金属接続板の外面に整合するキャビティ溝を形成し、金属キャビティの底部の内壁に金属接続板の貫通ねじ穴に整合するねじ穴を形成する。
【0038】
次に、金属接続板付きの媒質共振柱部品上の金属接続板を金属キャビティのキャビティ溝内に配置し、溶接の方式で媒質共振柱の外周を金属キャビティの底部の内壁に固定し、その後、ねじ5で順に金属接続板上の貫通ねじ穴と金属キャビティ上のねじ穴を貫通して、媒質共振柱部品の金属接続板を金属キャビティ4の底部の内壁に締め付ける。
【0039】
金属接続板付きの媒質共振柱部品を金属キャビティの内壁に締め付けた後、予備成形したカバープレート2で金属キャビティ4の開口した一端をカバーし、最後に、予備成形した同調ねじ1をカバープレート2の上部から金属キャビティの内部の一定の長さまでねじ込んで、密封されたTM媒質共振器を形成する。
【0040】
本実施例によると、上記方法で加工されたTM媒質共振器を提供し、
図7に示すように、一端を開口した金属キャビティ4と、金属キャビティ4内に配置される金属接続板付きの媒質共振柱部品と、媒質共振柱部品を金属キャビティ4の内壁に締め付けるねじ5と、金属キャビティ4の開口した一端をカバーして内部を密封するカバープレート2と、カバープレート2から金属キャビティ4の内部にねじ込む同調ねじ1と、を含む。
【0041】
ここで、本実施例の金属接続板付きの媒質共振柱部品は、上端面に円柱形鍔部63が形成された円盤状の金属接続板6と、円柱形鍔部63の外面をカバーし、金属接続板6に溶接されて一体化された媒質共振柱3と、を含み、媒質共振柱3の金属接続板6に接触する一端は金属化処理されている。
【0042】
本発明の実施例の金属キャビティ4の開口した一端に対応する底部の内壁に円形のキャビティ溝が形成されており、該キャビティ溝が金属接続板の外面に整合することで、金属接続板をその中に安全に配置することができ、また、該底部の内壁に貫通ねじ穴64に整合するねじ穴が形成されている。
【0043】
本実施例によると、上記1つ又は複数のTM媒質共振器を接続してなるTM媒質濾波器を提供する。
【0044】
本発明の実施例1と実施例2において、実際需要に応じて、金属接続板付きの媒質共振柱部品と一端を開口した金属キャビティを加工するステップを調節することができ、例えば、まず一端を開口した金属キャビティを加工してから、金属接続板付きの媒質共振柱部品を加工することができ、又は、一端を開口した金属キャビティと金属接続板付きの媒質共振柱部品を同時に加工することができる。
【0045】
以上、本発明を詳しく説明したが、本発明はこれらに限定されず、当業者は本発明の原理に従って修正することができるので、本発明の原理に従って行った各種の修正は全て本発明の保護範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の実施例の技術案を媒質濾波器分野に応用することができ、TM媒質共振器の性能及び使用寿命を改善し、共振器及び濾波器の体積を有効に縮小し、工程が簡単で、実現しやすく、大量生産に有利であって、コストを低下させることができる。また、媒質共振柱部品の電場エネルギーの有効伝達を保証し、TM媒質共振器の性能及び動作信頼性を高めることができる。
【符号の説明】
【0047】
1:同調ねじ、2:カバープレート、3:媒質共振柱、4:金属キャビティ、
5:ねじ、6:金属接続板、41:第2の円形溝、42:ねじ穴、
61:環状溝、62:第1の円形溝、63:円柱形鍔部、64:貫通ねじ穴。