特許第6284964号(P6284964)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6284964
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20180215BHJP
【FI】
   A63F7/02 326D
   A63F7/02 326C
   A63F7/02 334
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-20088(P2016-20088)
(22)【出願日】2016年2月4日
(62)【分割の表示】特願2012-206373(P2012-206373)の分割
【原出願日】2012年9月19日
(65)【公開番号】特開2016-112465(P2016-112465A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2016年2月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135210
【氏名又は名称】株式会社ニューギン
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(72)【発明者】
【氏名】池田 貴史
【審査官】 尾崎 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−244609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体枠と、この本体枠に着脱可能に取り付けられる装飾枠とを備えた遊技機において、
記装飾枠には、別の遊技機に配設される遊技機構成部材と同種の機能を有する遊技機構成部材が、該装飾枠に設置された保護部における凹状の前面の前側に配設され
記保護部は、
当該保護部が設置される空間に対する不正部品の設置または進入を阻むよう壁状部により形成されて、当該壁状部によって前記装飾枠の後面よりも前記本体側に膨出する膨出部分が形成され
前記装飾枠の開放時に形成される空間の内で前記本体枠が画成する領域を該装飾枠の閉鎖時に前記膨出部分により分割、分断、区分けまたは充塞して、該領域に対する不正部品の設置または進入を阻むよう構成された
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
本体枠と、この本体枠に着脱可能に取り付けられる装飾枠とを備えた遊技機において、
記装飾枠には、別の遊技機に配設される遊技機構成部材と同種の機能を有する遊技機構成部材が、該装飾枠に設置された保護部における凹状の前面の前側に配設され
記保護部は、
当該保護部が設置される空間に対する不正部品の設置または進入を阻むよう壁状部により形成されて、当該壁状部によって前記装飾枠の後面よりも前記本体側に膨出する膨出部分が形成され
前記装飾枠の開放時に形成される空間の内で前記本体枠が画成する領域の一部を該装飾枠の閉鎖時に前記膨出部分により分割、分断、区分けまたは充塞して、該領域の一部に対する不正部品の設置または進入を阻むよう構成された
ことを特徴とする遊技機。
【請求項3】
前記本体枠に配置されて前記装飾枠の閉鎖時に前記膨出部分と近接する保護部材を備え、該保護部材は、当該本体枠が画成する空間の一部を分割、分断、区分けまたは充塞して、該空間の一部に対する不正部品の設置または進入を阻むよう構成された請求項1または2記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遊技盤を設置可能な本体枠とこの本体枠に配設した装飾枠とを備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
代表的な遊技機であるパチンコ機には、遊技店の設置枠台に固定される固定枠としての外枠の開口前面側に、遊技盤が着脱可能に保持された本体枠としての中枠が開閉および着脱可能に組み付けられている。中枠の前面側には、遊技盤を透視保護するガラス板を備えた装飾枠としての前枠が開閉および着脱可能に組み付けられ、前枠が遊技者から視認可能なパチンコ機の前面を構成している。そして、中枠や前枠には、スピーカー等の遊技機構成部材が配設されている。
【0003】
例えば特許文献1に開示のパチンコ機(第1のパチンコ機)のように、中枠における遊技盤保持部の下方に、前方に開口する中枠取付部を形成し、この中枠取付部にスピーカーを取り付けたものがある。また、特許文献2に開示のパチンコ機(第2のパチンコ機)のように、前枠における遊技窓の下方に、前方に開口する前枠取付部を形成し、この前枠取付部にスピーカーを取り付けたものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−218852号公報
【特許文献2】特開2010−178941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、パチンコ機で空間を空けたまま残しておくと、不正の利益を得る目的で配線の途中に接続される不正基板などの不正部品が空間に配設されたり、空間を介して中枠内部に不正なアクセスが図られるなど、空間が不正行為に用いられるおそれがある。
【0006】
すなわち本発明は、従来の技術に係る遊技機に内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、空間に対する不正行為を防止し得る遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明の遊技機は、
本体枠(12)と、この本体枠(12)に着脱可能に取り付けられる装飾枠(14)とを備えた遊技機において、
記装飾枠(14)には、別の遊技機に配設される遊技機構成部材(110)と同種の機能を有する遊技機構成部材(32)が、該装飾枠(14)に設置された保護部(35)における凹状の前面の前側に配設され
記保護部(35)は、
当該保護部(35)が設置される空間に対する不正部品の設置または進入を阻むよう壁状部により形成されて、当該壁状部によって前記装飾枠(14)の後面よりも前記本体枠(12)側に膨出する膨出部分(35a)が形成され
前記装飾枠(14)の開放時に形成される空間(S)の内で前記本体枠(12)が画成する領域を該装飾枠(14)の閉鎖時に前記膨出部分(35a)により分割、分断、区分けまたは充塞して、該領域に対する不正部品の設置または進入を阻むよう構成されたことを要旨とする。
また、前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項2に係る発明の遊技機は、
本体枠(12)と、この本体枠(12)に着脱可能に取り付けられる装飾枠(14)とを備えた遊技機において、
記装飾枠(14)には、別の遊技機に配設される遊技機構成部材(110)と同種の機能を有する遊技機構成部材(32)が、該装飾枠(14)に設置された保護部(35)における凹状の前面の前側に配設され
記保護部(35)は、
当該保護部(35)が設置される空間に対する不正部品の設置または進入を阻むよう壁状部により形成されて、当該壁状部によって前記装飾枠(14)の後面よりも前記本体枠(12)側に膨出する膨出部分(35a)が形成され
前記装飾枠(14)の開放時に形成される空間(S)の内で前記本体枠(12)が画成する領域の一部を該装飾枠(14)の閉鎖時に前記膨出部分(35a)により分割、分断、区分けまたは充塞して、該領域の一部に対する不正部品の設置または進入を阻むよう構成されたことを要旨とする。
請求項1および2に係る発明によれば、空間に対する不正部品の設置などの不正行為を防止することができる。
請求項3に係る発明は、
前記本体枠(12)に配置されて前記装飾枠(14)の閉鎖時に前記膨出部分(35a)と近接する保護部材(50)を備え、該保護部材(50)は、当該本体枠(12)が画成する空間の一部を分割、分断、区分けまたは充塞して、該空間の一部に対する不正部品の設置または進入を阻むよう構成されたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る遊技機によれば、空間に対する不正行為を防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例に係るパチンコ機を前側から示す正面図である。
図2】実施例のパチンコ機を後側から示す概略斜視図である。なお、遊技盤は取り外した状態にある。
図3】実施例のパチンコ機を前側から示す正面図であって、前枠を取り外した状態を示す。
図4】実施例の前枠を示す背面図である。
図5】実施例の前枠を前側から示す分解斜視図である。
図6図1のA−A線断面図である。
図7図1のBーB線で破断した断面図である。
図8】実施例の下中枠部を示す概略斜視図であり、(a)は正面視であり、(b)は背面視である。
図9】実施例の下中枠部を、保護部材を取り外した状態で示す概略斜視図であり、(a)は正面視であり、(b)は背面視である。
図10】実施例の保護部材を分解した状態で示す概略斜視図であり、(a)は正面視であり、(b)は背面視である。
図11】別のパチンコ機を前側から示す概略斜視図であり、(a)は前枠を中枠に対して閉じた状態を示し、(b)は前枠を開放した状態を示す。
図12】別のパチンコ機における下中枠部を示す概略斜視図であり、(a)は正面視であり、(b)は背面視である。
図13】別のパチンコ機において、図1のB−B線に相当する位置で破断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明に係る遊技機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。なお、実施例では、遊技球としてパチンコ球を用いて遊技を行うパチンコ機を例に挙げて説明する。また、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」とは、特に断りのない限り、図1に示すようにパチンコ機を前側から見た状態で指称する。
【実施例】
【0011】
(パチンコ機P1について)
図1および図2に示すように、実施例に係るパチンコ機P1は、矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に固定される固定枠としての外枠11の開口前面側に、遊技盤13(図3参照)が着脱可能に保持された本体枠としての中枠12が開閉および着脱可能に組み付けられている。また、遊技盤13の裏側には、各種演出用の図柄を変動表示可能な図柄表示装置(図示せず)が着脱可能に配設されている。中枠12の前面側には、中枠12に設置された遊技盤13を透視保護する透視保護板15を備えた装飾枠としての前枠14が開閉可能に組み付けられると共に、前枠14の下方にパチンコ球を貯留する下球皿16が組み付けられる。そして、前枠14の下部には、下球皿16の上側に位置して、パチンコ球を貯留する上球皿17が組み付けられており、前枠14の開閉に合わせて下球皿16および上球皿17も一体的に開閉するよう構成される。また、中枠12には、下球皿16の右側に位置するように回動操作可能な操作ハンドル18が配設されており、該操作ハンドル18の回動操作によって中枠12の下部に設けられた球発射装置19(図3参照)により上球皿17に貯留したパチンコ球が遊技盤13の遊技領域13aに向けて打ち出されるようになっている。なお、下球皿16および上球皿17は、前枠14と別体に形成して中枠12に対して開閉可能に組み付けるようにしてもよい。
【0012】
(中枠12について)
図3に示すように、中枠12は、外枠11の開口形状に略整合すると共に上方側に偏った位置で前後に開口する矩形枠状に形成されており、該中枠12の左上部位置および左下部位置に、当該中枠12と外枠11とを着脱および開閉可能に連結するヒンジ部20が設けられている。すなわち、中枠12は、ヒンジ部20を介して左側部が外枠11に対して開閉可能に軸支される。図5に示すように、中枠12は、球発射装置19などの各種遊技機構成部材が設置される下中枠部21と、この下中枠部21の左右の側部に設けられて中枠12の左右側縁をなす左右の横中枠部22,23と、該左右の横中枠部45,46の上端部に設けられて中枠12の上縁をなす上中枠部24とから構成されて、これら各中枠部21〜24を組み付けた際に、全体が外枠11の開口形状に整合する大きさの枠体状に形成される。そして、これら各中枠部21〜24を組み付けた際に画成される開口部12aの開口内側に、遊技盤13が着脱可能に設置されている。なお、実施例では中枠12を構成する中枠部21〜24が独立した部材であるが、中枠部21〜24のうちの複数または全てを樹脂等で一体成形することも可能である。
【0013】
(前枠14について)
図1,図4および図5に示すように、前枠14は、外枠11の開口形状に略整合する矩形状に形成された前枠基体部28に、前後に貫通する窓口14aが開口する枠状に形成されており、該前枠14を中枠12に対して閉鎖した状態で、遊技盤13に形成された遊技領域13aが窓口14aを介して前方に露出するよう構成されている。そして、前枠基体部28の後面側には、窓口14aの開設位置に対応してガラス板等の透明な透視保護板15が着脱可能に配設されており、パチンコ機P1の前側から遊技盤13を視認可能な状態で透視保護している。なお、図4では、前枠14に取り付けられる透視保護板15の図示を省略すると共に、中枠12の下中枠部21に配設される球発射装置19を参考のため図示してある。また、前枠14の左上部位置および左下部位置は、前記ヒンジ部20に対して着脱および開閉可能に連結される。すなわち、前枠14は、ヒンジ部20を介して左側部が中枠12に対して開閉可能に軸支され、前枠14を中枠12に対して閉じた際に、中枠12の前面全体が前枠14で被覆されるよう構成されている。
【0014】
前記前枠14における前枠基体部28の前面には、窓口14aの周囲を囲繞するよう飾り部材30が配設されると共に、この飾り部材30の後側にランプ装置(図示せず)が配設されて、パチンコ機P1の前面を装飾している。また、前枠14には、窓口14aの上側位置に、一対の上部スピーカーユニット31が左右に離間して配設されると共に、下球皿16と操作ハンドル18との間に下部スピーカーユニット32が配設されている。すなわち、ランプ装置に設けられたLED等の発光体を点灯・点滅したり、スピーカーユニット31,32から適宜の音声や効果音を出力することで、図柄表示装置での図柄変動表示などに合わせて発光演出や音声演出を行い得るよう構成される。
【0015】
(下部スピーカーユニット32について)
図5に示すように、下部スピーカーユニット32は、スピーカー本体32a(図7参照)が箱状ケース33に収容されており、箱状ケース33の前面に振動板が臨んでいる。下部スピーカーユニット32は、前枠基体部28の下部前面左側に配設された下球皿16の下球皿本体34と、前枠基体部28の下部前面右側に設けられた操作ハンドル18との間に設けられた前枠設置部35に配設される。前枠設置部35は、前枠基体部28の後面よりも後方へ突出する突出部35aを有する前方に開口した凹状に形成され、前枠14を中枠12に対して閉じた際に、突出部35aが中枠12に設けられた後述する中枠取付部40の前側に重なるよう構成される(図7参照)。下部スピーカーユニット32は、後部を凹状の前枠設置部35に嵌め込こんだ状態でネジで固定され、前枠基体部の下部に配設される下部飾りカバー部材36の内側に下球皿本体34と共に収納される。なお、図5の符号37は、上球皿17を有する上部飾りカバー部材である。
【0016】
(遊技盤13について)
前記遊技盤13には、遊技領域13aが前面に設けられるベニヤ板や透明なアクリル板からなる板状本体の後側に配設した裏ユニットとも呼ばれる設置部材(図示せず)に、各種図柄を変動表示可能な図柄表示装置が配設される。遊技盤13には、図柄表示装置の表示部に対応する位置に前後に開口する表示開口部(図示せず)が開設され、該表示開口部に所要の装飾を施したセンター役物とも称される装飾部材(図示せず)で囲うようになっている。また、遊技盤13の所要位置には、パチンコ球の入賞により図柄表示装置の図柄を変動開始させる始動入賞装置や、大当りの発生時に開放する特別入賞装置(何れも図示せず)等が配設されている。また、遊技盤13の所要位置には、モータやソレノイド等の駆動手段の駆動により動作する可動物を備えた可動演出装置や、LED等の発光体の点灯・点滅により発光演出を行う発光装置(何れも図示せず)が配設される。なお、実施例のパチンコ機P1では、図柄表示装置として、液晶画面からなる表示部で各種演出表示を行う液晶タイプが採用されるが、図柄表示装置としては、ドラム式の図柄表示装置やドットマトリックス式の図柄表示装置等の各種図柄を停止および変動表示可能な従来公知の各種の表示装置を採用し得る。
【0017】
(パチンコ機P1の制御構成)
図2に示すように、パチンコ機P1の裏側には、当該パチンコ機P1を全体的に制御する主制御装置や、可動演出装置や発光装置を制御したり、前枠に設けられるランプ装置やスピーカーユニット31,32などを制御する統括制御装置や、図柄表示装置を制御する表示制御装置(何れも図示せず)などの各種制御装置が配設されている。また、中枠12における下中枠部21の裏側には、賞球や貸し球の払い出しを制御する払出制御装置C1などが配設されている。主制御装置は、遊技盤13に備えた入賞装置の入賞センサなどの各種検出センサ(検出手段)からの検出信号などに基づいて各種処理を実行し、その処理結果に応じた各種の制御信号(制御コマンド)を統括制御装置に出力する。そして、統括制御装置は、主制御装置が出力した制御信号(制御コマンド)に基づいて、表示制御装置を制御すると共に、ランプ装置や発光装置の点灯・消灯のタイミングや発光強度等を制御し、スピーカーユニット31,32からの音声出力のタイミングや大きさ等を制御するよう構成されており、パチンコ機P1で実行される各種遊技演出(図柄変動演出や発光演出、音声演出)を統括的にコントロールし得るようになっている。また、払出制御装置C1は、入賞センサの検出信号や上球皿17に設けられた貸し球ボタン17aの操作信号などにより主制御装置から出力された制御信号に基づいて、球払出装置により所定数のパチンコ球を払い出すように制御する。
【0018】
(中枠12の下中枠部21について)
図8に示すように、下中枠部21の前面中央部には、上球皿17から球送り装置により送り込まれたパチンコ球を遊技盤13の遊技領域13aに向けて打ち出す球発射装置19が配設されている。また、下中枠部21の左側位置には、上球皿17に入らなかったパチンコ球を下球皿16に案内する案内通路26aと、球発射装置19から打ち出したものの遊技領域13aに到達せずに流下するパチンコ球(ファール球)を回収して下球皿16に案内する回収通路26bとを有する通路形成部26が設けられている。更に、図8および図9に示すように、下中枠部21の右側位置には、別のパチンコ機P2(図11参照)で用いられる中枠スピーカーユニット(遊技機構成部材)110(図11(b)および図12参照)を取り付け可能な中枠取付部(取付部)40が設けられ、この中枠取付部40に保護部材50が配設されている。すなわち、実施例の下中枠部21は、別のパチンコ機P1において中枠取付部40に中枠スピーカーユニット110を配設して用いられ、中枠取付部40とは別の部位にスピーカーユニット31,32を配設する仕様の前記パチンコ機P1と、中枠取付部40にスピーカーユニット110を配設する仕様の別のパチンコ機P2との間で、下中枠部21が共用される。
【0019】
(中枠取付部40について)
図9に示すように、前記中枠取付部40は、前記中枠スピーカーユニット110に合わせて形成されており、下中枠部21に前後に貫通形成された取付開口41と、この取付開口41の周縁部に形成され、上下左右が壁で囲われた取付段部42とを備えている。また、中枠取付部40における取付段部42の前面には、前方へ突出する取付ボス43が、上下および左右に互いに離間して複数(実施例では4つ)形成されている。そして、取付ボス43は、前方に開口するネジ孔43aを有しており、このネジ孔43aにネジNを螺合して、保護部材50が固定される。
【0020】
(保護部材50について)
図6および図7に示すように、前記保護部材50は、前記中枠取付部40に配設することで、中枠スピーカーユニット110を中枠取付部40に取り付けた場合に該中枠スピーカーユニット110が占める占有空間S(図7の2点鎖線および図13参照)を分割または充塞して、該占有空間Sに対する不正部品の設置を阻むよう構成される。図10に示すように、保護部材50は、該保護部材50の前側部分を構成する第1保護部52と、該保護部材50の後側部分を構成する第2保護部58とによって、内部空間50aを有する箱状に形成されている。ここで、不正部品とは、例えば、始動入賞装置や特別入賞装置などの入賞装置を誤作動させたり、予め設定された制御条件とは異なった制御条件で前記払出制御装置C1などの制御装置に遊技を実行させるためなど、不正の利益を得る目的で設置される基板や装置、器具等を指している。また、占有空間Sを分割するとは、不正行為に用いられる不正部品の大きさを想定して、この想定した不正部品が設置できない大きさで占有空間Sを、単独の保護部材50または複数の保護部材50,35によって、分断または区分けすることである。更に、占有空間Sを充塞するとは、占有空間Sに合わせた外形形状で形成された保護部材50または組み合わせた際に占有空間Sに合わせた外形形状になる複数の保護部材50,35によって占有空間Sを占めて、想定した不正部品が設置可能なスペースを残さないことである。
【0021】
(占有空間Sについて)
ここで、前記占有空間Sとは、図12および図13に示すように、中枠取付部40に配設した中枠スピーカーユニット110が三次元的に占める領域をいう。すなわち、中枠取付部40に前側から取り付けられた中枠スピーカーユニット110は、中間部分110aが取付段部42の内側に嵌り込んで該取付段部42に整合すると共に、取付開口41に嵌合した後部突出部分110bが下中枠部21の裏側に突出する(図12(b)参照)。また、中枠スピーカーユニット110は、中間部分110aから左側から右側に向かうにつれて前方に突出する前部突出部分110cが、下中枠部21の前面よりも前方に突出する(図12(a)参照)。そして、中枠スピーカーユニット110の前部突出部分100cは、該前部突出部分110cの前面に設けられた振動板110dが、別のパチンコ機P2で用いる別の前枠104を中枠12に対して閉じた際に、該別の前枠100の下部に設けられた音出力口100aに臨む。このように、中枠取付部40に配設した中枠スピーカーユニット110は、中枠取付部40だけでなく、中枠12における下中枠部21の前面および別の前枠14の後面の間の所定領域と、下中枠部21の後側の所定領域とを充塞している。
【0022】
(第1保護部52について)
前記第1保護部52は、ポリカーボネート等の透明な合成樹脂からなる成形品であって、外周壁53が中枠取付部40における取付段部42の内周面に整合する外形形状とされた後方に開口する略トレイ状に形成される(図10参照)。また、第1保護部52の後面には、第1区画壁54が外周壁53の内側に上下および左右に延在する格子状に形成されており、この第1区画壁54によって第1保護部52の前壁および外周壁53で囲われる空間が、前記不正部品の設置不能な小空間に分割される。なお、第1区画壁54は、その後端が外周壁53の後端に揃ったものと、後端が外周壁53の後端よりも前側に位置しているものとがある。第1保護部52の下部右側には、前方へ膨出する前方膨出部55が形成され(図10(a)参照)、この前方膨出部55が前枠14における前枠基体部28の後面との間を充塞するようになっている。第1保護部52には、前壁を貫通する通孔56が、中枠取付部40の取付ボス43に対応して上下左右に離間して4箇所に形成されている。そして、第1保護部52は、前壁後面を中枠取付部40の取付ボス43の前端に突き当てると共に、前側から通孔56に挿通したネジNを取付ボス43のネジ孔43aに螺合して中枠取付部40に取り付け可能になっている。なお、第1保護部52における前壁後面には、通孔56を囲うように嵌合片52aが立設され、中枠取付部40への取り付け時に取付ボス43が嵌合片52aの内側に嵌合するようになっている。このように、第1保護部52は、第2保護部58を組み合わせることなく単独でも中枠取付部40に取り付け可能であり、中枠取付部40に取り付けた際に、取付開口41を覆うと共に取付段部42の内側を塞ぐように構成される。
【0023】
(第2保護部58について)
前記第2保護部58は、第1保護部52と同様にポリカーボネート等の透明な合成樹脂からなる成形品である。図10に示すように、第2保護部58は、前方に開口する箱状の後方膨出部59と、この後方膨出部59の前端から上方、下方および左側方への三方に延びる鍔部60とを有する略ハット形状に形成される。第2保護部58は、後方膨出部59の右側縁および鍔部60の外周縁で構成される外周縁前部が、中枠取付部40における取付段部42の内周面に略整合する外形形状に形成されると共に、後方膨出部59の外周壁で構成される外周縁後部が、中枠取付部40の取付開口41に整合する外形形状に形成される。また、後方膨出部59の内側には、第2区画壁61が上下および左右に延在する格子状に形成されており、この第2区画壁61によって後方膨出部59の内側の空間が、前記不正部品の設置不能な小空間に分割される。ここで、第2区画壁61は、その前端が鍔部60の前面に揃えて形成される(図10(a)参照。そして、第2保護部58には、鍔部60の左上部、左下部および右下部に、中枠取付部40の取付ボス43に対応して、前後に貫通するボス孔62が形成されると共に、後方膨出部59の右上部に、中枠取付部40における右上部の取付ボス43に対応してボス凹部63が形成される。
【0024】
図6および図7に示すように、保護部材50は、第1保護部52の外周壁53の後端と、第2保護部58の前面外周縁に前方に突出形成された突片64とを突き当てて組み合わせられ、第1保護部52と第2保護部58との間に内部空間50aが画成される。そして、内部空間50aは、第1区画壁54および第2区画壁61によって所定サイズの前記不正部品を設置することができない空間に分割される。保護部材50では、第2保護部58の第2区画壁61の間隔よりも第1保護部52の第1区画壁54の間隔が細かく形成されている。また、保護部材50では、第2保護部58の後方膨出部59に向かい合う第1保護部52の第1区画壁54が、隣り合う第2区画壁61の間にずらして配置されており、内部空間50aが細かく分割されている。ここで、内部空間50aを分割するとは、不正行為に用いられる不正部品の大きさを想定して、この想定した不正部品が設置できない大きさで内部空間50aを区画壁54,61で分断または区分けすることを意味する。すなわち、区画壁54,61同士の間隔または区画壁54,61と内部空間50aを画成する外壁との間隔が、想定した不正部品の縦・横・厚さの何れかよりも小さく設定されると共に、想定された不正部品が設置不能な分割スペースを画成するように、区画壁54,61が適宜配置される。また、透明な第1保護部52および第2保護部58を組み合わせた保護部材50は、内部を透視可能に構成され、内部空間50aを外側から確認できるようになっている。
【0025】
前記保護部材50は、第1保護部52と第2保護部58とを組み合わせた際に、第1保護部52の右上部に設けた通孔56が、第2保護部58の右上部に凹設されたボス凹部63を介して後方に露出するよう構成される(図9(b)参照)。保護部材50は、中枠取付部40の右上部の取付ボス43を除く他の取付ボス43をボス孔62に挿通すると共に、前側から通孔56を介して取付ボス43のネジ孔43aにネジNを螺合することで、第2保護部58が取付段部42と第1保護部52との間に挟持された状態で取り付けられる。これにより、保護部材50は、第2保護部58の後方膨出部59が中枠取付部40の取付開口41に嵌合して、占有空間Sの後側を充塞し、第1保護部52および第2保護部58の鍔部60が取付段部42に嵌合して占有空間Sの中間部を充塞する。また、前枠14を中枠12に対して閉じた際に、中枠取付部40より前方に突出する保護部材50の前方膨出部55が、前枠14における前枠基体部28の後面に沿って不正部品を設置可能な間隔を空けることなく延在し、前方膨出部55により占有空間Sの前側の一部を充塞するようになっている。このように、保護部材50は、中枠取付部40に配設した際に、前記占有空間Sの大部分を充塞すると共に、下中枠部21を前後に貫通する取付開口41を塞ぐよう構成される。
【0026】
(第2の保護部材35について)
前記中枠12および前枠14のうちで中枠取付部40の形成側と反対側となる前枠14には、保護部材50と共に前記占有空間Sを充塞または分割して、該占有空間Sに対する不正部品の設置を阻む第2の保護部材として機能する前枠設置部35が設けられている。前述した如く、前枠設置部35には、別のパチンコ機P2で中枠取付部40に配設される中枠スピーカーユニット110と同種の機能を有する遊技機構成部材としての下部スピーカーユニット32が配設される(図5参照)。図7に示すように、前枠14に設けられた前枠設置部35は、後方に突出する突出部35aを備えており、前枠14を中枠12に対して閉じた状態で突出部35aが保護部材50における前方膨出部55の左側領域に重なるよう構成される。突出部35aの後面は、保護部材50の前面に沿って不正部品を設置可能な間隔を空けることなく延在し、該突出部35aにより占有空間Sの前側の一部を充塞するようになっている。このように、パチンコ機P1では、中枠12に設けた中枠取付部40に配設した保護部材50と、中枠12および前枠14のうちで中枠取付部40の形成側と反対側となる前枠14に設けた第2の保護部材として機能する前枠設置部35とで分担して、前記占有空間Sを充塞している。なお、同種の機能を有する遊技機構成部材とは、別のパチンコ機P2で中枠取付部40に配設される遊技機構成部材が例えば中枠スピーカーユニット110であれば、電気信号を音声に変換して出力し得るという基本的な機能が同じである装置を指し、出力やバスレフ型などの形式などは相違していてもよい。
【0027】
(実施例の作用)
次に、実施例に係るパチンコ機の作用について説明する。ところで、例えば、段落〔0003〕に示した第1のパチンコ機で採用した中枠を第2のパチンコ機でも用いる場合に、第2のパチンコ機では、前枠にスピーカーがあるので、中枠にスピーカーを設置しなくてもよい。そして、中枠にスピーカーを設置しない第2のパチンコ機では、第1のパチンコ機において中枠の中枠取付部にスピーカーを取り付けた際に該スピーカーが占める占有空間が空いてしまうことになる。第2のパチンコ機において、前記占有空間を空けたまま残しておくと、不正の利益を得る目的で配線の途中に接続される不正基板などの不正部品が占有空間に配設されたり、占有空間を介して中枠内部に不正なアクセスが図られるなど、占有空間が不正行為に用いられるおそれがある。すなわち、占有空間を空けたままでは、中枠または前枠を複数のパチンコ機で共用化することはできない。
【0028】
ここで、実施例のパチンコ機P1は、中枠取付部40に配設した保護部材50と前枠に設けた前枠設置部35とによって、別のパチンコ機P2で用いられる中枠スピーカーユニット110を中枠取付部40に取り付けた場合に占める占有空間Sを充塞しているので、占有空間Sに対して所定サイズの不正部品を設置する不正行為を防止することができる。しかも、保護部材50は、下中枠部21を前後に貫通する中枠取付部40の取付開口41を塞いでいるので、該中枠取付部40に中枠スピーカーユニット110を配設した場合と同様に、取付開口41を介する中枠12の裏側へのアクセスを防止することができる。すなわち、中枠12の裏側には、払出制御装置C1など、遊技者の利益に関連する制御を行う制御装置が配設されており、これらの制御装置は、不正行為の標的にされ易いので、占有空間Sを分割するのではなく、該占有空間Sを充塞することで、不正部品の設置だけでなく、不正な配線や不正行為を行うための針金等の不正具の挿通も防止することができ、高いレベルで不正防止を図り得る。このように、中枠取付部40に中枠スピーカーユニット110を取り付けない仕様のパチンコ機P1であっても、保護部材35,50により占有空間Sに対する不正行為を適切に防止することができるので、別のパチンコ機P2で用いられる中枠12を前記パチンコ機P1でも用いることができ、別のパチンコ機P2との間において、中枠12の共用化を図り得る。
【0029】
前記占有空間Sは、平面的ではなく三次元的な領域であるので、この占有空間を充塞するためにある程度の大きさが必要となるが、前記保護部材50は、内部空間50aを有する箱状に形成されているので、軽量化することができる。また、保護部材50は、内部空間50aを分割するように形成された区画壁54,61により、内部空間50aに対する不正部品の設置などの不正行為を防止することができる。そして、保護部材50の内部を透視可能であるので、例えば区画壁54,61を破壊して不正部品を設置したり、不正な配線を通したりするなど、保護部材50に対して不正行為があったか否かを判別し易い。ここで、保護部材50は、該保護部材50の前側を構成する第1保護部52が透明に形成されているので、前枠14を開放すれば、保護部材50を中枠取付部40から取り外すことなく、前側から内部空間50aを確認することができる。
【0030】
前記前枠14は、別のパチンコ機で中枠取付部40に配設される中枠スピーカーユニット110と同種の機能を有する下部スピーカーユニット32が、下球皿16と操作ハンドル18との間に配設されるが、下球皿16や操作ハンドル18などとの干渉を避けるために、下部スピーカーユニット32が設置される前枠設置部35は多くの制約を受ける。これと比べて、保護部材50は、占有空間Sを充塞または分割して不正部品の設置を阻むことができれば足りるので、形状などの自由度が比較的高い。すなわち、前枠14を中枠12に対して閉じた状態で中枠取付部40の前側に位置する前枠14側の下部スピーカーユニット32を設置するための前枠設置部35を、占有空間Sに突出することで、該下部スピーカーユニット32の配設スペースを前枠14の後側に確保することができると共に、占有空間Sを充塞または分割して該占有空間Sへの不正部品の設置を阻むことができる。そして、中枠取付部40に配設する保護部材50の前部は、前枠14における中枠取付部40に臨む前枠設置部35の突出部35aに合わせて適宜に形成することができ、実施例のように保護部材50の前部を前枠設置部35の突出部35aなどの前枠14の後面に合わせて形成することで、占有空間Sを充塞することができる。なお、保護部材50の前面および該保護部材50に相対する前枠14の後面は、互いに沿わせて形成されていなくても、保護部材50と前枠14との間を所定サイズの不正部品が設置不能な間隔になるよう構成して、保護部材50と前枠14とにより占有空間Sを分割してもよい。
【0031】
(変更例)
なお、遊技機の構成としては、前述した実施例に示したものに限らず、種々の変更が可能である。
(1)別の遊技機で用いられる遊技機構成部材を取り付け可能な取付部を前枠に設け、取付部に遊技機構成部材を取り付けた場合に該遊技機構成部材が占める占有空間を、取付部に配設した保護部材によって分割または充塞する構成であってもよい。
(2)実施例では、取付部40に配設した保護部材50と、中枠12および前枠14のうちで取付部40の形成側と反対側に設けた第2の保護部材35とにより占有空間Sを充塞または分割する構成を説明したが、取付部40に配設した保護部材50だけで占有空間Sを充塞または分割してもよい。
(3)実施例では、箱状の保護部材50によって占有空間Sを充塞する構成を説明したが、板体や棒状体などを組み合わせて構成した保護部材によって、実施例で説明した内部空間50aのように、占有空間Sを不正部品を設置不能な小空間に分割する構成であってもよい。
(4)別の遊技機で取付部に取り付けられる遊技機構成部材としては、スピーカーユニットに限定されず、例えば発光装置や通路形成部材など、その他の部材であってもよい。
(5)実施例では、遊技機としてパチンコ機を例示して説明したが、これに限られるものではなく、アレンジボール機やピンボール機、スロットマシン機等の各種遊技機を採用し得る。
【0032】
また、本願には、以下のような技術的思想が含まれている。
(A) 本体枠(12)と、この本体枠(12)に着脱可能に取り付けられる装飾枠(14)とを備えた遊技機において、
前記本体枠(12)および前記装飾枠(14)の一方に設けられ、別の遊技機(P2)で用いられる遊技機構成部材(110)を取り付け可能な取付部(40)と、
前記取付部(40)に配設され、前記遊技機構成部材(110)を該取付部(40)に取り付けた場合に該遊技機構成部材(110)が占める占有空間(S)を分割または充塞して、該占有空間(S)に対する不正部品の設置を阻む保護部材(50)とを備えたことを要旨とする。
この構成によれば、別の遊技機で用いられる遊技機構成部材を取り付け可能な取付部に保護部材を配設して、遊技機構成部材を取付部に取り付けた場合に該遊技機構成部材が占める占有空間を保護部材によって分割または充塞しているので、占有空間に対する不正部品の設置などの不正行為を防止することができる。これにより、別の遊技機との間において、本体枠または装飾枠の共用化を図り得る。
【符号の説明】
【0033】
12 中枠(本体枠)
14 前枠(装飾枠)
32 下部スピーカーユニット(遊技機構成部材)
35 前枠設置部(保護部)
35a 突出部(膨出部分)
50 保護部
110 中枠スピーカーユニット(遊技機構成部材)
P2 別のパチンコ機(別の遊技機)
S 占有空間(空間)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13