(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第一実施例)
以下、図面を参照して、本発明の第1実施例に係る電動調理器1について説明する。
【0016】
図1は第1実施例の電動調理器1の斜視図であり、
図2は
図1のA−A線で切断した断面図であり、
図3Aは
図2のB部を拡大した拡大図であり、
図3Bは
図3Aにおいて封止揺動弁で突出ノズル部を封止した際の拡大図であり、
図4は
図1の電動調理器1における蓋体5を示す斜視図であり、
図5は
図4の蓋体5を展開した展開図であり、
図6は
図5の封止揺動弁52を示す斜視図であり、
図7は
図6の封止揺動弁52を展開した展開図であり、
図8は
図5の下側蓋体55を示した斜視図である。
なお、電動調理器1の長手方向をx軸、電動調理器1の幅方向をy軸、電動調理器1の高さ方向をz軸とする。
【0017】
図1および2に示すように、引用符号1は、本実施例の電動調理器である。電動調理器1は、少なくとも一端を開口し、食材(不図示)を収容する容器2と、容器2内の底部に回動自在に軸支され、容器2内に収容された食材を調理する調理部材3と、容器2を着脱自在に載置する本体4と、容器2の開口端部を密封する蓋体5とを備える。また、電動調理器1は、容器2内等の圧力を検出する圧力検出部11(食材細片検出部)と、使用者からの各種操作入力が入力される操作入力部12と、操作入力部12で入力される電動調理器1の各種動作モードを記憶する記憶部(不図示)と、電動調理器1の動作時間を計測する時間計測部(不図示)と、操作入力部12の入力情報、時間計測部の計測時間および圧力検出部11の検出結果等に基づいて、電動調理器1全体の動作を制御する制御部13とを備える。
【0018】
容器2は、
図1および2に示すように、上方へ進むにつれて広がるように形成された容器本体21と、容器本体21の下部に気密に羅合する容器基台22とを有する。容器本体21は、例えば透明な樹脂材料やガラスなどからなり、内部を視認し易いように形成されている。但し、容器本体21をステンレスなどの金属材料から形成しても良い。容器基台22は、例えば樹脂材料などからなる。
【0019】
図1および2に示すように、容器本体21は、側面に把手21aが形成されている。容器基台22は、中央部および外周縁部を凸に形成しており、中央部には後述の容器側駆動軸31を挿通する挿通孔22aが形成されており、外周縁部には下方へ延びる基台嵌合部22bが形成されている。また、中央部と外周縁部の間に形成された基台羅合溝22cには、ゴムなどの弾性材料からなるシール部材23が収容されており、容器本体21の下端を羅合した際に、容器本体21と容器基台22を気密に接続する。
【0020】
調理部材3は、
図1および2に示すように、例えば外周へ進むにつれて、上方へ湾曲する湾曲刃と下方へ湾曲する湾曲刃で形成されており、容器2内に収容された食材に対して確実に当たるように形成されている。調理部材3は、容器側駆動軸31の一端で容器2内の底部に回動自在に軸支されている。容器側駆動軸31の他端には、端面を波状に形成した容器側伝達部32が形成されている。調理部材3としては、例えば、食材を切削するカッター部材、食材を細かく粉砕する粉砕部材、食材を薄く切削するスライス部材、食材を泡立てる泡立て部材などである。
【0021】
本体4は、
図1および2に示すように、水平方向に延びる水平基部41と、水平基部41の後方から垂直に立ち上がる垂直基部42と、基端が垂直基部42の上部に回動自在に取り付けられた回動接続部43とを有する。本体4は、例えば、ステンレス等のような金属材料や樹脂材料などからなる。
【0022】
水平基部41は、
図1および2に示すように、上面に基台嵌合部22bと嵌合する嵌合凸部42aが形成されており、容器基台22を着脱自在に形成している。
【0023】
回動接続部43の先端側には、操作レバー43aと連動して動く係合爪43bが形成されている。係合爪43bは、使用者による操作レバー43aの操作に応じて、係合爪43bが後述の突出ノズル部51aに係合する係合位置と、係合爪43bが係合しない非係合位置との間で動くように形成されている。また、回動接続部43における先端側には、通気路をL字状に屈曲させた屈曲ノズル部43cが形成されており、この屈曲ノズル部43cの係合爪43b側の端面には、例えばゴムなどの弾性材料からなるシール部材43dが形成されている。
【0024】
また、本体4の内部には、
図2に示すように、調理部材3を駆動する駆動部44と、容器2内の空気を吸引する吸引部45と、屈曲ノズル部43cに一端が接続され、吸引部45に他端が接続された通気チューブ46とが設けられている。駆動部44は、例えばモータなどであり、駆動部44における駆動軸44aの端部には、容器側伝達部32と噛み合うように波状に形成された駆動側伝達部44bが形成されている。吸引部45は例えば真空ポンプなどであり、通気チューブ46は例えば伸縮性のあるフッ素樹脂、シリコン樹脂またはポリ塩化ビニルなどからなる。
【0025】
蓋体5は、
図2乃至5に示すように、回動接続部43が接続し、吸引部45への吸引口となる突出ノズル部51aが形成された上側蓋体51と、突出ノズル部51aを封止する封止位置(以下、封上位置と言う)(
図3B)と突出ノズル部51aから離間する離間位置(以下、離間位置と言う)(
図3A)との間で揺動し、容器2内の状態に応じて突出ノズル部51aを封止する封止揺動弁52と、封止揺動弁52を収容し、容器本体21の開口端部と嵌合する下側蓋体55と、を有する。蓋体5は、例えば樹脂材料からなる。
【0026】
突出ノズル部51aは、
図2、4および5に示すように、中央から上方へ突出するように形成されており、下側には、下方へ進むにつれて広がる誘導面51bが形成され、外周には係合爪43bが係合する係合溝51cが形成されている。回動接続部43が上側蓋体51と接続した際に、係合爪43bが係合溝51cに係合して、回動接続部43と上側蓋体51とを一体的に固定する。また、上側蓋体51の外周縁部には、上下方向へ延びる外周壁面51dが形成されている。
【0027】
封止揺動弁52は、
図2、5、6および7に示すように、屈曲凸部53aが形成された封止揺動弁本体53と、屈曲凸部53aの上面に嵌合し、ゴムなどの弾性材料からなるシール部材54と、を有する。シール部材54は、下面に形成された嵌合突起54aをシール部材54の嵌合孔53bに嵌合させて、封止揺動弁本体53に対して一体的に固定される。
【0028】
ここで、屈曲凸部53aは、中央を上方へ屈曲させるように形成されており、上面を誘導面51bと対応した傾斜面53cで形成されている。この構成により、本実施例の電動調理器1は、封止揺動弁52が食材細片(不図示)などで押し上げられた際に、封止揺動弁52を円滑に封止位置(
図3B)へ誘導させることができる。
【0029】
下側蓋体55は、
図2、5および8に示すように、封止揺動弁52を収容する封止弁収容部55aと、封止弁収容部55aの周囲に形成された上方突起部55bと、封止弁収容部55aの周囲に形成された下方突起部55cとを有する。上方突起部55bが外周壁面51dの下部に羅合して、下側蓋体55と上側蓋体51とが一体的に固定される。また、封止弁収容部55aは、底面を複数の円形状のリブ55dで形成しており、リブ55dの上面には、封止揺動弁52を支持する支持突起55eが形成されている。また、封止弁収容部55aの底面の外周には、容器2内の空気を容器2外へ排気する排気孔55fが形成されている。
【0030】
この構成により、本実施例の電動調理器1は、リブ55dの上面に形成された支持突起55eで封止揺動弁52を支持することで、
図3Aに示すように、封止揺動弁52が離間位置に位置している際に、封止揺動弁52と封止弁収容部55aの底面との間に空間を形成して、容器2から吸引部45への通気路を確保することで、吸引部45で容器2内の空気を確実に吸引することができる。
【0031】
また、本実施例の電動調理器1は、封止揺動弁52を単に支持突起55eで支持し、かつ封止揺動弁52の底面をリブ構造にすることで、容器2内に多量の食材細片が発生した際に、食材細片が封止揺動弁52の底面を押し上げて、
図3Bに示す封止位置へ移動させることができる。具体的には、本実施例の電動調理器1は、容器2内に多量の食材細片、特に泡が発生して、蓋体5の近くまで上昇した際に、この泡が封止揺動弁52を押し上げて、
図3Bに示すように突出ノズル部51aを封止し、食材細片が突出ノズル部51a内に流入することを防ぐことができる。
【0032】
圧力検出部11は、
図2に示すように、例えば圧力センサなどであり、通気チューブ46内の途中に設けられている。圧力検出部11は、所定間隔で、通気チューブ46を介して容器2内の圧力を検出して検出圧力(以下、検出圧力と言う)を制御部13へ送信する。
【0033】
操作入力部12は、使用者からの各種操作入力を受け付け、入力情報を制御部13へ送信する。操作入力部12は、
図2に示すように、例えば水平基部41の前側に設けられている。
【0034】
記憶部は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、MemoryまたはRAM(Random Access Memory)などであり、電動調理器1の各種調理モード(例えば、真空調理動作モード(容器2内を所定の圧力にして食材を調理部材3で調理するモード)や真空保存動作モード(容器2内を所定の圧力にして食材および食材細片を保存するモード)など)を記憶している。記憶部内には、操作入力部12からの入力情報に対応付けて、各種調理モードにおける、調理部材3が動作する設定時間(以下、設定時間と言う)、調理部材3を回動させる設定回動速度(以下、設定回動速度と言う)、および調理部材3の動作中における容器2内の設定圧力(以下、設定圧力と言う)などが記憶されている。
【0035】
時間計測部は、例えば計測タイマーなどであり、吸引部45の動作が開始した後に時間を計測し、制御部13へ計測時間を送信する。この時間計測部は、吸引部45の動作時間および駆動部44の駆動時間を計測する。
【0036】
制御部13は、
図2に示すように、例えばCPU(Central Processing Unit)などであり、駆動部44、吸引部45、圧力検出部11、操作入力部12、時間計測部および記憶部に電気的に接続されている。この制御部13は、設定時間、設定圧力、設定回動速度、計測時間および検出圧力等に応じて、駆動部44および吸引部45の動作を制御する。具体的には、制御部13は、操作入力部12からの入力情報を取得すると、この入力情報に対応する調理モードに関する情報(設定時間、設定回動速度、設定圧力など)を記憶部から取得して、この取得した情報(設定時間、設定回動速度、設定圧力など)に基づいて、駆動部44および吸引部45を動作させる。また、制御部13は、後述の環境圧力判定と後述の平均圧力差判定を組み合わせて、異常状態を判定して、吸引部45の動作を停止させる。
【0037】
なお、異常状態とは、吸引部45が吸引動作中において、容器2内に発生した食材細片、特に泡で、封止揺動弁52が押し上げられて、
図3Aの離間位置から
図3Bの封止位置へ封止揺動弁52が移動した状態や、食材細片による突出ノズル部51aへ向かう流れが生じた状態のことである。
【0038】
このように、本実施例の電動調理器1は、調理モードに応じて、容器2内の設定圧力、調理部材3の設定回動速度および設定時間を変化させることで、容器2内に収容された食材に対して各種調理モードに適した調理を行うことができる。
【0039】
次に、本実施例の電動調理器1における制御部13の異常状態の判定方法(環境圧力判定および平均圧力差判定)について説明する。初期条件として、食材を収容した容器2を本体4に装着し、駆動側伝達部44bと容器側伝達部32が噛み合い、駆動部44の駆動力を調理部材3へ伝達できる状態とする。また、本体4の開口端部には蓋体5が嵌合されており、係合爪43bが突出ノズル部51aに係合されており、回動接続部43と蓋体5が一体的に固定されているものとする。
【0040】
図9は、
図1の電動調理器1における異常状態の判定方法を示す制御フローチャートである。
【0041】
<環境圧力判定>
制御部13は、吸引部45の動作開始前において圧力検出部11で検出圧力を検出して、開始圧力P
startとし、境界圧力値P
limitを0に設定する(STEP1、2、3)。制御部13は、吸引部45を動作させると、所定時間(a(s))の間に受信した複数の検出圧力の平均値を算出して、圧力平均値P
m(0)を算出する(STEP4YES、STEP5)。同様に、制御部13は、次の所定時間(a(s))の間に受信した複数の検出圧力の平均値を算出して、次の圧力平均値P
m(1)を算出する(STEP6)。
【0042】
制御部13は、圧力平均値P
m(0)から次の圧力平均値P
m(1)を減算して、平均圧力差P
d(0’)を算出する(STEP7)。平均圧力差P
d(0’)を算出すると、制御部13は、相対圧力(標準大気圧P
0(101.3kPa)を開始圧力P
startで除算したもの)を平均圧力差P
d(0’)に乗算して、相対平均圧力差P
d(0)を算出する(STEP8)。制御部13は、この相対平均圧力差P
d(0)が1kPaより大きいか否かを判定する(STEP9)。
【0043】
制御部13が、相対平均圧力差P
d(0)が1kPa以下と判定した場合には、再度、所定時間に受信した複数の検出圧力の圧力平均値を算出し(STEP9No、STEP5)、STEP6、7、8および9の処理を繰り返す。また、制御部13が、相対平均圧力差P
d(0)が、1kPaよりも大きいと判定した場合には、次の平均圧力差判定へ進む(STEP9YES)。
【0044】
<平均圧力差判定>
制御部13は、相対平均圧力差P
d(0)が1kPaよりも大きいと判定すると、再度所定時間(a(s))の間に受信した複数の検出圧力の平均値を算出して、圧力平均値(P
m(n))とする(STEP9YES、STEP10)。制御部13は、同様に、次の所定時間(a(s))の間に受信した複数の検出圧力の平均値を算出し、次の圧力平均値(P
m(n+1))とする(STEP11)。
【0045】
制御部13は、圧力平均値(P
m(n))から次の圧力平均値(P
m(n+1))を減算して、平均圧力差P
d(n)を算出する(STEP12)。制御部13は、環境圧力判定で算出した最初の相対平均圧力差P
d(0)に対して閾値(例えば、閾値=4)と圧力平均値(P
m(n))を乗算するとともに、標準大気圧P
0で除算して、境界圧力値P
limitを算出する(STEP13)。制御部13は、この算出した境界圧力値P
limitが平均圧力差P
d(n)より小さいか否かを判定する(STEP14)。
【0046】
制御部13が、境界圧力値P
limitが平均圧力差P
d(n)より大きいと判定すると、再度、制御部13は、所定時間(a(s))の間において受信した複数の検出圧力の平均値を算出して、圧力平均値に設定して(STEP14NO、STEP10)、STEP11、12、13および14の処理を繰り返す。制御部13が、境界圧力値P
limitが平均圧力差P
d(n)以下と判定すると、制御部13は吸引部45の吸引動作を停止させて、異常状態の判定を終了する(STEP14YES、STEP15、16)。
【0047】
本実施例の電動調理器1は、圧力検出部11からの検出圧力のみを用いて異常状態を判定するため、単に電気抵抗を電気信号に変換する圧力センサを圧力検出部11とした場合においても、確実に異常状態を検出することができる。
【0048】
本実施例の電動調理器1は、圧力検出部11による容器2内の圧力を検出して異常状態を判定して、駆動部44を停止させるため、突出ノズル部51aへ向かう食材細片の流れを通気チューブ46に流入する前で規制することができる。
【0049】
本実施例の電動調理器1は、環境圧力判定をも含めて異常状態を判定することで、環境要素による圧力差(例えば、使用場所の高低差による圧力差)を考慮して、異常状態を判定することができる。
【0050】
また、本実施例の電動調理器1は、平均圧力差判定の前に環境圧力判定を行うことで、明らかに異常状態ではない場合(ノイズ)を除外して、異常状態判定を迅速に行うことができる。
【0051】
さらに、本実施例の電動調理器1は、常に圧力傾斜が変動するような検出が難しい状態においても、制御部13が、境界圧力値P
limitと平均圧力差P
d(n)とを比較して異常状態を判定するため、正確に異常状態を判定することができる。すなわち、本実施例の電動調理器1は、圧力検出部11における検出圧力を用いて算出した境界圧力値P
limitや平均圧力差P
d(n)などを用いて、正確に判定することができる。
なお、制御部13による上記異常状態の判定方法は、真空調理動作モードおよび真空保存動作モードの両方において適用される。
【0052】
次に、本実施例の電動調理器1における調理動作について説明する。初期条件として、食材を収容した容器2を本体4に装着し、駆動側伝達部44bと容器側伝達部32が噛み合い、駆動部44の駆動力を調理部材3へ伝達できる状態とする。また、本体4の開口端部には蓋体5が嵌合されており、係合爪43bが突出ノズル部51aに係合されており、回動接続部43と蓋体5が一体的に固定されているものとする。
【0053】
図10は、
図1の電動調理器1の調理動作を示す制御フローチャートである。
【0054】
図10に示すように、制御部13は、まず、操作入力部12に入力情報が入力されたか否かを判定する(STEP21、22)。制御部13が操作入力部12から入力情報を取得すると(STEP22YES)、制御部13は、記憶部から入力情報に対応する、設定圧力、設定時間および設定回動速度に関する情報を取得して、吸引部45および時間計測部を動作させる(STEP23、24)。制御部13は、圧力検出部11から異常検出状態でないかを判定する(STEP24)。具体的には、制御部13は、環境圧力判定および平均圧力差判定を行い、異常状態でないか否かを判定する。
【0055】
制御部13が、異常状態でないと判定すると(STEP25NO)、制御部13は、時間計測部における吸引部45の動作時間が所定時間(例えば3分)を経過したか否かを判定する(STEP26)。制御部13が、時間計測部で計測した吸引部45の動作時間が所定時間を経過したと判定すると(STEP26NO)、圧力検出部11の検出圧力が設定圧力よりも高いか否かを判定する(STEP27)。ここで、制御部13が異常状態と判定した場合(STEP25YES)や吸引部45の動作時間が所定時間を経過したと判定した場合(STEP26YES)には、制御部13は吸引部45を停止させて、調理動作を終了する(STEP21、STEP22)。
【0056】
本実施例の電動調理器1は、吸引部45が所定時間を越えて動作する場合に、吸引部45を停止させることで、吸引部45の動作による過負荷を防止することができる。
【0057】
制御部13は、圧力検出部11の検出圧力が設定圧力以下と判定すると(STEP27NO)、吸引部45の動作を停止させ、駆動部44を動作させ、時間計測部で駆動部44の動作時間を計測する(STEP28、STEP29)。駆動部44を動作させた後、制御部13は、時間計測部における駆動部44の動作時間が設定時間を経過したか否かを判定する(STEP30)。制御部13が、時間計測部における駆動部44の動作時間が設定時間を経過していないと判定した場合は、再度時間判定を行う(STEP30NO、STEP30)。
【0058】
制御部13が、時間計測部の計測時間が設定時間を経過したと判定すると、駆動部44を停止させて、調理動作を終了する(STEP30YES、STEP32、STEP33)。
【0059】
本実施例の電動調理器1は、吸引部45の動作中において、異常状態か否かを判定して、食材細片が突出ノズル部51aへ流入する前に、吸引部45の動作を停止させることで、吸引部45内へ食材細片が流入し、吸引部45の耐久性が短くなることを防止することができる。特に、本実施例の電動調理器1において、食材を調理中に食材細片が突出ノズル部51a側へ移動した際には、この移動する食材細片により封止揺動弁52が押し上げられて、突出ノズル部51aを封止することで、圧力検出部11が異常信号を制御部13へ送信して、制御部13は吸引部45の動作を停止させて、吸引部45内へ食材が吸入されることを防ぎ、吸引部45の耐久性を向上させることができる。
【0060】
また、本実施例の電動調理器1は、吸引部45により容器2内を低酸素状態にすることができるため、調理中に食材が酸化して栄養成分が減少することも防ぐことができる。
【0061】
(第2実施例)
第2実施例の電動調理器1’は、第1実施例における回動接続部43’、蓋体5’および制御部13’の構成のみが異なるため、これらの異なる構成については説明し、他の構成については第1実施例と同じ構成であるため説明を省略する。
なお、座標系は第1実施例と同じものとする。
【0062】
図11は、第2実施例における電動調理器1’の概略断面図である。
【0063】
回動接続部43’は、基端が回動自在に軸支されており、先端側には、操作レバー43aと連動して動く係合爪43bが形成されている。係合爪43bは、使用者による操作レバー43aの操作に応じて、係合爪43bが後述の突出ノズル部51aに係合する係合位置と、係合爪43bが係合しない非係合位置との間で動くように形成されている。また、回動接続部43’における先端側には、通気路がL字状に屈曲した屈曲ノズル部43cが形成されており、この屈曲ノズル部43cの係合爪43b側の端面には、例えばゴムなどの弾性材料からなるシール部材43dが形成されている。
【0064】
また、回動接続部43’の蓋体5’側には、蓋体5’側へ突出する温度検出部14(食材細片検出部)が形成されている。この温度検出部14としては、例えばサーミスタなどの温度センサなどであり、検出した温度(以下検出温度と言う)を制御部13’へ送信する。
【0065】
蓋体5’は、
図11に示すように、回動接続部43’が接続し、吸引部45の吸引口となる突出ノズル部51aが形成された上側蓋体51’と、容器本体21の開口端部と嵌合する下側蓋体55’と、を有する。蓋体5’は、例えば樹脂材料からなる。
【0066】
突出ノズル部51aは、
図11に示すように、中央から上方へ突出するように形成されており、下側には、下方へ進むにつれて広がる誘導面51bが形成され、外周には係合爪43bが係合する係合溝51cが形成されている。回動接続部43’が上側蓋体51’と接続した際に、係合爪43bが係合溝51cに係合して、回動接続部43’と上側蓋体51’とを一体的に固定する。
【0067】
上側蓋体51’の外周縁部には、上下方向へ延びる外周壁面51dが形成されている。また、上側蓋体51’における回動接続部43’側の面には、温度検出部14が挿入する蓋側挿入孔51eが形成されている。
【0068】
下側蓋体55’は、
図11に示すように、蓋体5’内に流入した食材細片を収容する食材細片収容部55gと、食材細片収容部55gの周囲に形成された上方突起部55bと、食材細片収容部55gの周囲に形成された下方突起部55cとを有する。上方突起部55bが外周壁面51dの下部に羅合して、下側蓋体55’と上側蓋体51’とが一体的に固定される。
【0069】
食材細片収容部55gには、
図11に示すように、突出ノズル部51aの下方を囲う囲い壁55hが形成されている。この囲い壁55hは、上側蓋体51’と下側蓋体55’が一体的に固定された際に、温度検出部14の外側に位置しており、囲い壁55hを越えた食材細片や水蒸気が温度検出部14を接触または通過するような高さで形成されている。また、下側蓋体55’の底面における囲い壁55hと下方突起部55cの間には、容器2内の空気を容器2外へ排気する排気孔55fが形成されている。
【0070】
制御部13’は、
図11に示すように、例えばCPU(Central Processing Unit)などであり、駆動部44、吸引部45、温度検出部14、圧力検出部11、操作入力部12、時間計測部(不図示)および記憶部(不図示)に電気的に接続されている。この制御部13’は、設定時間、設定圧力、設定回動速度、計測時間、検出圧力および検出温度等に応じて、駆動部44および吸引部45の動作を制御する。具体的には、制御部13’は、操作入力部12からの入力情報を取得すると、この入力情報に対応する調理モードに関する情報(設定時間、設定回動速度、設定圧力など)を記憶部から取得して、この取得した情報(設定時間、設定回動速度、設定圧力など)に基づいて、駆動部44および吸引部45を動作させる。
【0071】
また、制御部13’は動作中において、食材細片が温度検出部14に触れることで検出温度が変化しているかを監視する。制御部13’が、温度検出部14からの検出温度が急激に変化したと判断すると、異常状態と認定し、駆動部44および吸引部45の動作を停止させる。
【0072】
この構成により、本実施例の電動調理器1’は、食材細片が囲い壁55hを乗り越えて、突出ノズル部51a内へ流入する場合においても、温度検出部14における検出温度が急激に変化することで、制御部13’は異常状態を正確に判定して、駆動部44および吸引部45の動作を停止させ、吸引部45内へ食材細片が侵入することを防ぎ、吸引部45の耐久性を向上させることができる。
【0073】
また、本実施例の電動調理器1’は、蓋体5’内に囲い壁55hを形成することで、排気孔55fから蓋体5’内へ流入した食材細片や水蒸気が囲い壁55hに衝突して勢いを減退させて、食材細片収容部55g内に食材細片や水蒸気を収容することができる。
【0074】
さらに、本実施例の電動調理器1’は、食材細片、特に水蒸気が囲い壁55hを超えて突出ノズル部51aの内壁面に付着して、電動調理器1’の動作後冷却されて液化した場合に、この液化した食材細片を食材細片収容部55g内に収容することができる。
【0075】
(第3実施例)
第3実施例の電動調理器1’’は、第2実施例における回動接続部43’、蓋体5’および制御部13’の構成のみが異なるため、これらの異なる構成についてのみ説明し、他の構成については第1実施例と同じ構成であるため説明を省略する。
なお、座標系は第3実施例と同じものとする。
【0076】
図12は、第3実施例における電動調理器1’’の概略断面図である。
【0077】
蓋体5’’は、
図12に示すように、回動接続部43’’が接続し、吸引部45の吸引口となる突出ノズル部51aが形成された上側蓋体51’’と、容器本体21の開口端部と嵌合する下側蓋体55’’と、を有する。蓋体5’’は、例えば樹脂材料からなる。
【0078】
図12に示すように、上側蓋体51’’の回動接続部43’’側には、後述の一対の光学式センサ43eを収容する一対の収容凹部51fが形成されている。下側蓋体55’’には、蓋体5’’内に流入した食材細片を収容する食材細片収容部55g’と、収容凹部51fを挟むように上方へ延びる一対の上方延出部55iと、が形成されている。下側蓋体55’’における上方延出部55iが形成された端部側には、容器2内の空気を容器2外へ排気する排気孔55fが形成されている。
【0079】
なお、上側蓋体51’’に形成された突出ノズル部51a、外周壁面51dの構成および下側蓋体55’’に形成された上方突起部53bの構成は、第2実施例と同じため、説明を省略する。
【0080】
この構成により、上側蓋体51’’と下側蓋体55’’を羅合させた際に、排気孔55fから突出ノズル部51aへ連通する流路が上下に屈曲するような連通通気路55jにする。
【0081】
回動接続部43’’の蓋体5’’側には、蓋体5’’側へ突出し、一対の収容凹部51fに収容される一対の光学式センサ43e(食材細片検出部)が形成されている。一対の光学式センサ43eは、光を投光する投光部43fと、投光部43fから投光された光を受光する受光部43gとからなり、例えば、光学式透過型センサや光学式吸光度センサなどである。投光部43fおよび受光部43gは、投光部43fから投光された光が連通通気路55jを通り受光部43eへ受光できるように形成されている。また、投光部43fおよび受光部43eは、制御部13’’と電気的に接続されている。
【0082】
制御部13’’は、投光部43fおよび受光部43eからの検出結果(受光部43eで受光した光量に変化があるか否かの検出結果)から、異常状態を判定する。具体的には、制御部13’’は、投光部43fからの光が連通通気路55j内を通過する食材細片で遮断されて、受光部43eで受光した光量に変化が生じたときに異常状態と判定する。制御部13’’は、異常状態と判定すると少なくとも吸引部45を停止させる。
【0083】
なお、回動接続部43’’および制御部13’’のその他の構成に関しては、第2実施例の回動接続部43’’および制御部13’’の構成と同じであるため、説明を省略する。
【0084】
このように、本実施例の電動調理器1’’においても、突出ノズル部51aに流入する前に蓋体5’’内へ流入した食材細片を検出して、制御部13’’が異常状態と判定し、少なくとも吸引部45を停止させることで、吸引部45内へ食材細片が侵入することを防ぎ、吸引部45の耐久性を向上させることができる。
【0085】
ここで、上記実施例において、光学式センサ43eを投光部43fと受光部43gからなる一対のものとして説明したが、特にこれに限られるものではなく、1つの光学式センサ43eとしても良い。
【0086】
この場合、光学式センサ43eとして、例えば反射型光学式センサを用いる。具体的には、光学式センサ43eとして反射型光学式センサを用いる場合には、制御部13’’は、光学式センサ43eからの光が連通通気路55j内を通過する食材細片で反射して、光学式センサ43eで受光した場合に、異常状態と判定する。
【0087】
また、上記実施例において光学式センサ43eにより蓋体5’’内に流入した食材細片を検出するものとして説明したが、特にこれに限られるものではなく、光学式センサ43eの代わりに静電容量形近接センサ(不図示)を用いて、蓋体5’’内に流入した食材細片を検出しても良い。この場合、制御部13’’は、連通通気路55j内を通過する食材細片による静電容量の変化を、静電容量形近接センサで検出した場合に異常状態と判定する。
【0088】
(第4実施例)
第4実施例の電動調理器1’’’は、第1実施例における蓋体5、垂直基部42および制御部13の構成のみが異なるため、これらの異なる構成については説明し、他の構成については第1実施例と同じ構成であるため説明を省略する。
なお、座標系は第4実施例と同じものとする。
【0089】
図13は、第4実施例における電動調理器1’’’の概略断面図である。
【0090】
蓋体5’’’は、
図13に示すように、回動接続部43が接続し、吸引部45の吸引口となる突出ノズル部51aが形成された上側蓋体51’’’と、容器本体21の開口端部と嵌合する下側蓋体55’’’と、を有する。蓋体5’’’は、例えば樹脂材料からなる。
【0091】
下側蓋体55’’’は、
図13に示すように、容器本体21の内壁面に密着させるように凹状に形成されており、蓋体5’’’内に流入した食材細片を収容する食材細片収容部55g’’と、食材細片収容部55g’’の底面に形成され、容器2内の空気を容器2外へ排気する排気孔55fと、食材細片収容部55g’’の底面から上方へ延び、排気孔55fと食材細片収容部55g’’の中央部とを仕切る延出仕切部55hと、を有する。
なお、上側蓋体は第1実施例と同じ構成であるため、説明を省略する。
【0092】
上側蓋体51’’’と下側蓋体55’’’を羅合し、一体的に固定することで、蓋体5’’’内へ流入した粉砕細片は延出仕切部55hで誘導されて上方へ移動し、上側蓋体55’’’の中央部へ流入するように形成されている。
【0093】
垂直基部42’は、
図13に示すように、水平基部41の後方から垂直に立ち上がるように形成されており、容器本体21に下側蓋体55’’’を組み込んだ際の延出仕切部55hに対応した位置に検出部42b(食材細片検出部)が位置するように設けられている。この検出部42bとしては、例えば反射型光学式センサや静電容量形近接センサなどであり、制御部13’’’と電気的に接続されている。
【0094】
制御部13’’’は、検出部42bからの検出結果から、異常状態を判定する。具体的には、検出部42bが反射型光学式センサである場合には、制御部13’’’は、検出部42bから照射した光が、蓋体5’’’内に流入した食材細片で反射して受光するか否かにより、異常状態を判定する。また、検出部42bが静電容量形近接センサである場合には、制御部13’’’は、蓋体5’’’内に流入した食材細片で検出部42bにより検出した静電容量に変化があるか否かで、異常状態を判定する。制御部13’’’は、このように異常状態を判定すると、少なくとも吸引部45を停止される。
【0095】
このように、本実施例の電動調理器1’’’においても、突出ノズル部51aに流入する前に蓋体5’’’内へ侵入した食材細片を検出して、制御部13’’’が異常状態と判定し、少なくとも吸引部45を停止させることで、吸引部45内へ食材細片が流入することを防ぎ、吸引部45の耐久性を向上させることができる。
【0096】
(他の実施例)
第1実施例の電動調理器1において、吸引部45を1つとして説明したが、特にこれに限られるものでなく、2つ配置するものとしても良い。吸引部45を2つ配置するものとしては、2つのポンプを1つのモータで駆動するDUALポンプヘッド方式や真空ポンプ(ポンプにモータを組み込んだもの)を2つ配置ものとしても良い。
【0097】
このように2つの吸引部45により容器2内の空気を吸引することで、1つの吸引部45に比べて、より早く容器2内の圧力を所定の圧力とし、容器2内を低酸素状態にすることができる。また、この場合、容器2内の圧力が低くなり、1つの吸引部45では吸引速度が遅く、時間経過に伴う圧力検出部14の検出圧力の差が少なくなり、制御部13での異常状態の判定が難しい場合においても、吸引速度を早くして、時間経過に伴う圧力検出部14の検出圧力の差を大きくし、制御部13が正確に異常状態を判定することもできる。
【0098】
なお、上記実施例において、2つの吸引部45を設けるものとして説明したが、特にこれに限られるものでなく、吸引部45を3つや4つなどの複数配置するものとしても良い。
【0099】
第1実施例乃至第4実施例において、制御部13、13’、13’’、13’’’は異常状態を判定すると、少なくとも吸引部45を停止させるものとして説明したが、特にこれに限られるものではなく、通気チューブ46の途中に排出ポンプなどの大気解放手段(不図示)を設け、仮に通気チューブ46内に食材細片が流入したような場合においても蓋体5、5’、5’’、5’’’内へ戻すような動作を組み込んでも良い。
【0100】
また、第2実施例乃至第4実施例において、制御部13’、13’’、13’’’は、各種センサ(温度センサ、光学式センサ43eおよび静電容量形近接センサなど)を用いて、蓋体5’’’内に侵入した食材細片を検出するものとして説明したが、特にこれに限られるものではなく、突出ノズル部51aから吸引部45へ向かう管路にコイル(不図示)を巻きつけ、その管路内に生じる起電力の発生の有無により異常状態を判定する電磁式の判定方式を用いても良い。具体的には、制御部13’、13’’、13’’’は、例えば水分等の導電性物質である食材細片がコイルが巻かれた管路内を通過する際に生じる起電力の有無を判定し(ファラデーの電磁誘導の法則を利用した判定方法)、異常状態を判定する。
【0101】
さらに、第2実施例乃至第4実施例において、各種センサ(温度センサ、光学式センサ43eおよび静電容量形近接センサなど)を蓋体5’、5’’、5’’’の近傍に設けるものとして説明したが、特にこれに限られるものではなく、突出ノズル部51aから吸引部45へ向かう管路に設けるものとしても良い。
【0102】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく。他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替及び改質は、すべて本発明の範囲内のものである。