特許第6285080号(P6285080)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6285080液圧ラッシュアジャスタを備えたバルブトレインで使用するためのバルブブリッジ内のロストモーションアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6285080
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】液圧ラッシュアジャスタを備えたバルブトレインで使用するためのバルブブリッジ内のロストモーションアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F01L 1/24 20060101AFI20180215BHJP
【FI】
   F01L1/24
【請求項の数】15
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-515191(P2017-515191)
(86)(22)【出願日】2015年9月18日
(65)【公表番号】特表2017-528647(P2017-528647A)
(43)【公表日】2017年9月28日
(86)【国際出願番号】US2015050984
(87)【国際公開番号】WO2016044748
(87)【国際公開日】20160324
【審査請求日】2017年5月17日
(31)【優先権主張番号】62/052,069
(32)【優先日】2014年9月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/858,644
(32)【優先日】2015年9月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505413266
【氏名又は名称】ジェイコブス ビークル システムズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バルトラッキ、ジャスティン
【審査官】 首藤 崇聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−127611(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0204818(US,A1)
【文献】 特表2001−526348(JP,A)
【文献】 特表2005−522622(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/006185(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の2つ以上のエンジンバルブのうちの少なくとも1つを作動させるための装置であって、
前記2つ以上のエンジンバルブに動作可能に接続されたバルブブリッジと、
前記バルブブリッジ内に配設された液圧作動ロストモーションアセンブリと
を備え、
前記液圧作動ロストモーションアセンブリは、
前記バルブブリッジ内に形成された第1のピストンボア内に配設され、バルブトレインに動作可能に接続するように構成された第1のピストンと、
前記第1のピストンを前記第1のピストンボアの外に付勢するように構成され、ラッシュアジャスタによって前記第1のピストンに加えられる第2の力よりも大きい第1の力を前記第1のピストンに提供するように更に構成された第1の付勢要素と、
前記第1のピストンボアの外への前記第1のピストンの移動を制限するように構成された移動リミッタと
を備え、
前記ラッシュアジャスタは、バルブ作動運動源及び前記バルブブリッジに動作可能に接続されるように構成されたバルブトレイン内の前記液圧作動ロストモーションアセンブリの上流に配設されている、装置。
【請求項2】
前記第1のピストンは、作動液供給源と流体連通するように構成された内部キャビティを備え、
前記内部キャビティ内に配設され、作動液を前記作動液供給源から前記内部キャビティ及び前記第1のピストンボアに一方向に流すことができるように構成された逆止バルブを、更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記作動液供給源は、可変量作動液供給源を備える、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
リセットアセンブリを更に備え、
前記リセットアセンブリは、
第1のピストンボアと流体連通する前記バルブブリッジ内に配設されたリセットバルブと、
前記リセットバルブと動作可能に接続して前記リセットバルブを開閉するように構成された固定反作用面と
を備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記バルブブリッジは、前記バルブブリッジ内に形成されたスレーブピストンボア内に配設されたスレーブピストンを更に備え、前記第1のピストンボア及び前記スレーブピストンボアと流体連通する液圧回路が、前記バルブブリッジ内に形成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
リセットアセンブリを更に備え、
前記リセットアセンブリは、
スレーブピストンボアと流体連通する前記バルブブリッジに形成されたブリード孔と、
前記バルブブリッジと動作可能に接続して前記ブリード孔との選択的な密封係合を提供するように構成された固定反作用面と
を備える、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記作動液供給源は、定量作動液供給源を備える、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
リセットアセンブリを更に備え、
前記リセットアセンブリは、
第1のピストンボアと流体連通する前記バルブブリッジ内に配設されたリセットバルブと、
前記リセットバルブを選択的に開閉するように構成されたアクチュエータと
を備える、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置を備える前記2つ以上のエンジンバルブを作動させるためのシステムであって、
前記ロストモーションアセンブリへの作動液供給源を更に備え、前記作動液供給源は、前記ロストモーションアセンブリに動作可能に接続され、且つ、前記ロストモーションアセンブリと流体連通する前記バルブトレインの構成要素を介して提供され、前記作動液供給源は、前記液圧ラッシュアジャスタ用の別の作動液供給源と独立して構成されている、システム。
【請求項10】
請求項1に記載のロストモーションアセンブリを備える前記2つ以上のエンジンバルブを作動させるためのシステムであって、
前記ロストモーションアセンブリへの作動液供給源を更に備え、前記作動液供給源は、前記ロストモーションアセンブリに動作可能に接続され、且つ、前記ロストモーションアセンブリと流体連通する前記バルブトレインの構成要素を介して提供され、前記作動液供給源は、前記液圧ラッシュアジャスタにも供給するように構成されている、システム。
【請求項11】
前記液圧ラッシュアジャスタは、
前記作動液供給源と流体連通するように構成されたラッシュピストンボアを有するラッシュアジャスタハウジングと、
前記ラッシュピストンボア内に摺動可能に配設され、前記ラッシュアジャスタハウジングと前記ラッシュピストンとの間にチャンバを形成しているラッシュピストンであって、前記作動液供給源と流体連通するように構成された内部キャビティを有し、前記内部キャビティと前記チャンバとの間に開口部を有するラッシュピストンと、
前記チャンバ内に配設され、前記ラッシュピストンボア、前記内部キャビティ、及び前記開口部を介して前記チャンバへの作動液の一方向流を可能にするように構成された逆止バルブと
を更に備え、
前記ラッシュアジャスタハウジングは、前記作動液供給源と流体連通するように構成された第1の作動液通路を更に備え、前記第1の作動液通路は、前記ラッシュピストンボア、前記ラッシュピストン、及び前記逆止バルブをバイパスし、作動液を前記ロストモーションアセンブリと流体連通するように構成された出力ポートに提供するように更に構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記バルブトレインは、ロッカーアームを備え、前記ロッカーアームは、第2の作動液通路と前記ロッカーアームに形成されたラッシュアジャスタボアとを有し、
前記ラッシュアジャスタハウジングは、前記第2の作動液通路が前記第1の作動液通路への前記作動液供給源となるように、前記ラッシュアジャスタボア内に配設されている、請求項11に記載システム。
【請求項13】
前記ラッシュアジャスタハウジングは、側壁を備え、前記第1の作動液通路は、前記側壁に形成された開口部を介して前記第2の作動液通路と流体連通するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記ラッシュアジャスタボアは、前記ラッシュアジャスタボアを画定する壁に形成され、前記壁に沿って軸線方向に延伸する横方向作動液通路を備え、前記横方向作動液通路は、前記第2の作動液通路から前記ラッシュアジャスタボアへの流体連通を提供する、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記横方向作動液通路は、前記第2の作動液通路からの作動液が前記横方向作動液通路よりも前記第1の作動液通路を通って流れやすくなるように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、内燃機関のエンジンバルブの作動に関し、特に、液圧ラッシュアジャスタを備えるバルブトレインで使用するためのバルブブリッジ内のロストモーションアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の技術分野で知られているように、そのようなエンジンの低温始動時には、特定の構成要素が発熱し、熱膨張を経験することがある。さらに、エンジンの寿命にわたって、エンジン構成要素が摩耗し、したがってサイズおよび形状が変化する可能性がある。エンジンポペットバルブ(エンジンバルブ)およびそれらを作動させるために使用されるシステム(バルブトレイン)は、著しい温度変化および潜在的な摩耗にさらされ、したがって、これらのシステムは熱膨張およびエンジンバルブの作動に影響を及ぼす可能性のある他の現象を見込んでおかなければならない。熱膨張等に対応する1つの技術は、エンジンバルブ(または2つ以上のエンジンバルブにまたがるバルブブリッジ)とバルブトレインとの間、および/またはバルブトレインの構成要素、例えばロッカーアーム、カム、プッシュチューブなど、の間にギャップまたはラッシュスペースを設けることであった。構成要素が熱膨張を経験するにつれて、理想的には、エンジンバルブと対応するバルブトレインとの間またはバルブトレイン自体内での連続的な機械的接続が提供されるようラッシュスペースが取られる。このラッシュスペースは、エンジンバルブとバルブトレインとの間またはバルブトレイン内の液圧ラッシュアジャスタを介して手動で、または場合によっては設定することができる。
【0003】
液圧ラッシュアジャスタは、典型的には、ハウジング内に摺動プランジャを含み、エンジンオイルのような作動液の連続供給によって動作する。摺動プランジャとハウジングとの間に形成されたチャンバ内への作動液の一方向の流れは、エンジンバルブに作動が加えられていないとき、すなわちエンジンバルブが閉じられていてラッシュアジャスタに負荷がないかまたは比較的低い負荷がかかるときに生じる。チャンバが作動液で満たされると、摺動プランジャがハウジング内で長手方向に摺動し、それによって液圧ラッシュアジャスタの全長が長くなり、バルブトレインとエンジンバルブの連結部内のラッシュが取り除かれる。一方、エンジンバルブが作動(開)されると、すなわち摺動プランジャに負荷がかかったとき、チャンバ内の液圧ロックがプランジャの摺動を防止する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、液圧ラッシュアジャスタは、エンジンバルブと正のパワーおよび補助エンジンバルブイベント(エンジンブレーキイベントなど)の両方を提供するように設計されたバルブ作動システムとの間のラッシュスペースを調節するためにそのようなバルブ作動システムがいわゆるロストモーション構成要素を含む程度には使用されていない。内燃機関との関連において、ロストモーションは、可変長の機械式、液圧式または他のリンケージアセンブリによるバルブ作動運動源によって規定されるバルブ運動を修正するための一種の技術的解決法に適用される用語である。ロストモーションシステムでは、バルブ作動運動源は、エンジン動作条件の全範囲にわたって必要とされる最大ドウェル(時間)および最大のリフト運動を提供することができる。次いで、可変長システムが、開バルブすべきバルブとバルブ作動運動源との間のバルブトレインリンケージに含まれ、バルブ作動運動源からバルブに与えられた運動の一部または全部を減じまたは「失う」。この可変長システム、またはロストモーションシステムは、完全に拡長したときに、利用可能な運動のすべてをバルブに伝達し、完全に収縮したときには、利用可能な運動がエンジンバルブに全く伝達しないかまたは最小限にしか伝達しない。
【0005】
しかしながら、液圧ラッシュアジャスタをロストモーション構成要素と組み合わせて使用すると、液圧ラッシュアジャスタが、ロストモーション中に利用可能なラッシュを取り、その結果、液圧ラッシュアジャスタの過度の伸びまたは「抜け」の原因となる危険性がある。換言すれば、これは、失われると想定されるエンジンバルブに対する運動が加わり、したがって、エンジンに致命的な損傷を与える可能性がある。
【0006】
したがって、既存のシステムのこれらの欠点に対処するシステムを提供することが有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、バルブ作動運動源からバルブトレインを介してバルブ作動運動を受ける2つ以上のエンジンバルブを備える内燃機関で使用するためのバルブブリッジに配設されたロストモーションアセンブリを記載し、バルブトレインは、ロストモーションアセンブリの上流のバルブトレイン内に配設された液圧ラッシュアジャスタを備える。特に、ロストモーションアセンブリは、バルブブリッジに形成された第1のピストンボア内に配設された第1のピストンを備える。第1のピストンは、バルブトレインの構成要素と動作可能に接続するように構成される。付勢要素が設けられ、液圧ラッシュアジャスタによって第1のピストン(おそらくはバルブトレインを介して)に加えられる第2の力よりも大きい第1の力で第1のピストンを第1のピストンボアの外に付勢するように構成されている。ロストモーションアセンブリは、(付勢要素によって加えられる力のために)第1のピストンボアの外への第1のピストンの移動を制限するように構成された移動リミッタをさらに備え、好ましくは最大ロストモーション距離以下である。一実施形態では、第1のピストンは、作動液供給源と流体連通するように構成された内部キャビティを備え、内部キャビティに作動液の一方向の流れを可能にする逆止バルブをさらに有することができる。
【0008】
作動液供給源が可変量作動液供給源を備える場合、リセットアセンブリが、第の1ピストンボアと流体連通するバルブブリッジ内に配設されて、リセットアセンブリが設けられてもよく、固定反作用面は、リセットバルブと動作可能に接続するように構成され、それによりリセットバルブを開閉する。あるいは、バルブブリッジは、バルブブリッジ内に形成されたスレーブピストンボア内に配設されたスレーブピストンを備えてもよく、また、第1のストンボアとスレーブピストンボアの両方に流体連通するバルブブリッジ内に形成された液圧回路をさらに備える。この場合、リセットアセンブリは、スレーブピストンボアと流体連通するブリード孔と、ブリード孔と選択的に密封係合を提供するように構成された固定反作用面とを備えることができる。他の実施形態では、作動液供給源は、定量作動液供給源を備えてもよい。この場合、リセットアセンブリは、第1のピストンボアと流体連通するバルブブリッジ内に配設されたリセットバルブと、リセットバルブを選択的に開閉するように構成されたアクチュエータとを備えることができる。
【0009】
一実施形態では、ロストモーションアセンブリへの作動液供給源は、バルブトレインの構成要素を介して提供され、液圧ラッシュアジャスタのための別の作動液供給源とは独立してさらに構成される。しかしながら、別の実施形態では、作動液アセンブリは、バルブトレインの構成要素によって提供されるが、作動液を液圧ラッシュアジャスタに供給するようにさらに構成される。この実施形態では、液圧式ラッシュアジャスタは、内部に形成されたラッシュピストンボアを有し、作動液供給源と流体連通するように構成されたラッシュアジャスタハウジングを備えることができる。ラッシュピストンは、ラッシュピストンボアと摺動可能に配設され、ラッシュアジャスタハウジングとラッシュピストンとの間にチャンバを形成する。ラッシュピストンはまた、作動液供給源と流体連通するように構成された内部キャビティと、内部キャビティとチャンバとの間の開口部とを有する。逆止バルブがチャンバ内に配設され、ラッシュピストンボア、内部キャビティおよび開口部を介してチャンバへの作動液の一方向流れを可能にするように構成されている。ラッシュアジャスタハウジングは、作動液供給源と流体連通するように構成された第1の作動液通路をさらに備える。第1の作動液通路は、ラッシュピストンボア、ラッシュピストンおよび逆止バルブをバイパスして、ロストモーションアセンブリと流体連通するように構成された出力ポートに作動液を供給する。一実施形態では、バルブトレインは、第2の作動液通路と、ロッカーアームに形成されたラッシュアジャスタボアとを有するロッカーアームを備える。この実施形態では、ラッシュアジャスタハウジングがラッシュアジャスタボア内に配設され、第2の作動液通路が第1の作動液通路への作動液供給源として機能する。さらに、この実施形態では、ラッシュアジャスタハウジングは、第1の作動液通路が側壁に形成された開口部を介して第2の作動液通路と流体連通するように構成されるようにそこに形成された開口部を有する側壁を備えることができる。さらになお、ラッシュアジャスタボアは、ラッシュアジャスタボアを画定する壁に沿って形成され、ラッシュアジャスタボアを画定する壁に沿って延びる横方向作動液通路を備え、横方向作動液通路が第2の作動液通路からラッシュアジャスタボアまで流体連通を提供する。この場合、横方向作動液通路を、第2の作動液通路からの作動液が、横方向作動液通路よりも第1の作動液通路を通って流れやすくなるように構成してもよい。
【0010】
この開示に記載された特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。これらの特徴および付随する利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を検討することから明らかになるであろう。添付の図面を参照して、単なる一例として1つ以上の実施形態を説明するが、同様の参照番号は同様の要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示によるロストモーションアセンブリの概略ブロック図である。
図2】定量作動液供給源を備え、バルブブリッジ内に配設された本開示によるロストモーションアセンブリをさらに備えるシステムの概略ブロック図である。
図3】可変量作動液供給源を備え、バルブブリッジ内に配設された本開示によるロストモーションアセンブリをさらに備えるシステムの概略ブロック図である。
図4】可変量作動液供給源を備え、バルブブリッジ内に配設された本開示によるロストモーションアセンブリをさらに備える別のシステムの概略ブロック図である。
図5】本開示と図2のシステムによるロストモーションアセンブリを備えるバルブブリッジの実装形態を示す。
図6図5の実施に関連して使用され得る例示的なバルブリフトを示す。
図7】本開示と図3のシステムによるロストモーションアセンブリを備えるバルブブリッジの実装形態を示す。
図8図7の実施に関連して使用され得る例示的なバルブリフトを示す。
図9】定量作動液供給源からの液圧ラッシュアジャスタおよびロストモーションアセンブリへの作動液の同時供給を可能にする第1の作動液通路を有する液圧ラッシュアジャスタと関連する図5の実装形態をさらに示す。
図10】ラッシュアジャスタボアを画定する壁内に形成された横方向作動液通路と同様に、そこに形成された第2の作動液通路およびラッシュアジャスタボアを有するロッカーアームの実装形態を示す図である。
図11】ラッシュアジャスタへの定量作動液供給源と、ロストモーションアセンブリへの可変量作動液供給源とに関連する、図6の実装形態をさらに示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで図1を参照すると、本開示によるロストモーションアセンブリ100は、内部に形成された第1のピストンボア112と、第1のピストンボア114に配設された第1のピストン114とを有するロストモーションハウジング106を備える。一般に、ロストモーションハウジング106は、例えば、プッシュロッド、ロッカーアーム、バルブブリッジなどのバルブトレインの任意の構成要素によって具体化される。しかしながら、説明の目的で、ロストモーションハウジング106がバルブブリッジによって具体化される様々な実装形態を以下に説明する。当技術分野で知られているように、第1のピストン114は、作動液の選択的な適用により、第1のピストン114が、そこを通り伝達されるすべてのバルブ作動運動(任意の補助バルブ作動運動を含む)を引き起こす動作モードの間、またはそのようなバルブ作動運動の一部または全部が失われた別のモードの間でシフトすることを可能にすることができるように(下記の様々な実施形態に示されるように)構成されてもよい。一般に、第1のピストン114が失うことができるバルブ作動運動の量は、何らかの様式で、ある最大距離、例えば数ミリメートル以下程度に制限される。例えば、運動を失うとき、第1のピストン114は、最大ロストモーション距離よりも少ない量だけ第1のピストンボア114内を自由に移動することができる一方、第1のピストン114の変位を最大ロストモーション距離よりも大きくさせるバルブ作動運動は、第1のピストン114がロストモーションハウジング106と強固に接触し(例えば、第1のピストンボア112に形成された肩部などによって)ロストモーションハウジング106を介してそのような運動を伝達する。
【0013】
限定ではなく例示を目的として、図1はまた、1つ以上の上流のバルブトレイン構成要素130と、1つ以上の下流のバルブトレイン構成要素またはエンジンバルブ140とを示しており、バルブトレイン構成要素は、上記の周知の任意の構成要素を含むことができる。本明細書で使用される「上流」および「下流」という用語は、バルブ作動運動源から1つ以上のエンジンバルブに向かう方向に関連する。図1には示されていないが、図1に示すように、液圧ラッシュアジャスタは、当技術分野で知られている技術を使用して、バルブトレイン構成要素130、140のいずれかの内部または間に展開されてもよい。本開示による液圧ラッシュアジャスタは、以下でさらに詳細に説明される。
【0014】
図1にさらに示すように、付勢要素118は、第1のピストン114に動作可能に接続され、第1のピストン114を第1のピストンボア114の外に付勢するように構成される。付勢要素118が第1のピストンボア112内に展開された状態で図1に示されているが、これは要件ではないことに留意されたい。例えば、第1のピストン114は、付勢要素118との係合を可能にするリップまたはフランジなどの構造を備えることができ、それによって付勢要素118を第1のピストンボア112の外側に展開することを可能にする。一般に、付勢要素118は、任意の適切な種類のばね、例えば、コイルばね、板ばね、弾性変形可能な材料などを含むことができる。以下でさらに詳細に説明するように、付勢要素118は、好ましくは、第1のピストン114に加わる第1の力がロストモーションアセンブリと協働するバルブトレイン内に展開された液圧ラッシュアジャスタによって第1のピストン114に加えられる第2の力よりも大きくなる。
【0015】
第1のピストン114が第1のピストンボア112の外に変位され得る距離を制限するために、特に付勢要素118によって第1のピストン114に加えられる力に応じて、移動リミッタ120が備えられる。例えば、移動リミッタ120は、第1のピストン114が第1のピストンボア114の外に所定の距離だけ移動したときに、第1のピストン114との強固な接触を提供するように構成されてもよい。一実施形態では、移動リミッタ120は、ロストモーションアセンブリ100によって提供される最大ロストモーション距離より大きくならないように第1のピストン114の移動を制限するように構成され、その様々な例を以下でさらに説明する。本明細書で使用される用語「最大ロストモーション距離」は、所与のシステムにおいて失われることが意図される運動の最大距離だけでなく、移動リミッタ120がエンジンバルブの全閉を妨げないようにバルブトレインにおける任意のコンプライアンス(すなわち、バルブばねからの力を受けたときに、バルブトレイン負荷経路の機械的および液圧的構成要素内で生成する偏差の量)を説明するために含むと理解される。さらに、移動リミッタ120がバルブブリッジ106を構成する構成要素であるか、またはバルブブリッジ106に一体化されているとして図1に示されているが、これは要件ではない。例えば、以下に記載される様々な実施形態では、移動リミッタ120は、バルブブリッジ106の外面に取り付けられ、第1のピストン114が、それが第1のピストンボア112の外に変位されるにつれて、その内部で移動することが期待できる空間容積と部分的に交差する構成要素を備えることができる。あるいは、固定接触面(例えば、オーバーヘッド固定具または類似の構造体に一体化された)の場合のように、移動リミッタ120は、バルブブリッジ106から離れていても、そこに近接して位置しても、ないしは第1のピストン114の移動を制限するように構成されてもよい。
【0016】
図2は、定量作動液供給源216を備え、バルブブリッジ206内に配設された実質的に上述したロストモーションアセンブリをさらに備えるシステム200を示す。図示のように、システム200は、一端をバルブ作動運動源204に、および他端をバルブブリッジ206に動作可能に接続されたバルブトレイン202を備える。上述したように、バルブトレイン202は、当技術分野で一般的に使用されているタイプの1つ以上の構成要素を含むことができる。同様に、バルブ作動運動源204は、バルブ作動運動を発生させるための当該技術分野において既知の任意の機構、例えば、カムシャフト上に存在するカムまたは適切に制御されたアクチュエータを備えることができる。さらに図示するように、液圧ラッシュアジャスタ210は、以下でさらに詳細に説明する以外は、周知の技術に従ってバルブトレイン202内に展開される。例えば、液圧ラッシュアジャスタは、ロッカーアーム、プッシュロッド、カムフォロア、などの運動受容端部または運動付与端部のいずれか内に展開されてもよい。図示の実施形態では、スイッチレスエンジンオイル供給ラインなどを含み得る、定量作動液供給源216は、バルブブリッジ206、特に、第1のピストン214(第1のピストン214の図示されていない液圧構成要素および機構を介して)に作動液217を供給し、この実施形態ではさらに作動液217aを液圧ラッシュアジャスタ210に供給する。後述するように、バルブブリッジ206と液圧ラッシュアジャスタ210の両方に供給するとき、定量作動液供給源216は、作動液217、217aを他方の供給先に対して優先的にどちらかの供給先に供給するように構成することができる。さらに、バルブトレイン202は、バルブ作動運動源204から受け取ったバルブ作動運動205を第1のピストン214を介してバルブブリッジ206に運ぶ。
【0017】
さらに図2に示すように、バルブブリッジ206は、2つ以上のエンジンバルブ208を既知の技術に従って動作可能に接続される。このようにして、バルブブリッジ206に加えられるバルブ作動運動は、2つ以上のエンジンバルブ208に伝達され得、同様に、エンジンバルブ208によって(図示しないバルブばねを介して)運ばれるバルブ閉鎖力は、バルブブリッジ206に伝達され戻され得る。さらに、バルブブリッジ206は、図1に関して上述したように、第1のピストンボア212およびその中に配設された第1のピストン214を備えるロストモーションアセンブリと、第1のピストンボア212の外に第1のピストン214を付勢するよう構成された付勢要素218と、前のように第1のピストン214の変位を制限するように構成された移動リミッタ220を備える。しかしながら、図2の実施形態では、バルブブリッジ206は、第1のピストンボア212と流体連通するリセットバルブ222と、リセットバルブ222を選択的に開閉するように構成されたアクチュエータ224とを含むリセットアセンブリをさらに含む。当技術分野で知られているように、ロストモーションアセンブリは、第1のピストンボア212内に液圧ロックが確立されたときに(第1のピストン214内に配置された逆止バルブによって、図示されていない)失われたバルブ作動運動を伝達することができる。しかしながら、ロストモーションモードに迅速に戻って、利用可能なバルブ作動運動の一部のみが運ばれることが時々望ましい。この目的のために、リセットバルブ222は、特に液圧ロックが確立されたときに、第1のピストンボア212との密封係合を(必要に応じて、付勢要素の助けを借りて、図示せず)提供するバルブを備えることができる。アクチュエータ224(任意の適切に制御されたアクチュエータ、例えば、液圧、空気圧、電気、を含む)の制御下で、リセットバルブ222の密封係合が中断され、そうでなければ液圧ロックされた流体が急速に漏れ、(システム200の最大ロストモーション距離の影響を受ける)後続のバルブ作動動作が失われる可能性がある。
【0018】
さらに、上述したように、付勢要素218は、液圧ラッシュアジャスタ210によって第1のピストン214上に加えられる第2の力よりも大きい第1のピストン214上の第1の力を提供する。例えば、典型的な液圧ラッシュアジャスタにおいて、液圧ラッシュアジャスタ210が加えることができる全膨張力は、(i)作動液217aが作用する液圧ラッシュアジャスタ210の断面積を乗じた作動液217aの圧力と、(ii)液圧ラッシュアジャスタ210内に設けられた任意の膨張ばねによって加えられる力の合計である。第1のピストン214に供給される作動液217の圧力(したがって、第1のピストンボア212が作動液で満たされるときに第1のピストンボア212の外へそれを付勢させる)が液圧ラッシュアジャスタ210に供給される作動液217aの圧力と本質的に等しいと仮定し、また作動液217によって作用される第1のピストン214の断面積もまた液圧ラッシュアジャスタ210の断面積と本質的に同じであるとさらに仮定すると、付勢要素218を、液圧ラッシュアジャスタ210内の膨張ばねによって加えられるいかなる力よりも大きい第1の力を提供するように選択することができる。このシナリオでは、付勢要素218の力は、好ましくは、膨張ばねの力よりわずかに高いが、実際には、付勢要素218の力が拡張ばねの力よりも大きくなる量は、用途によって変化する。例えば、付勢要素218の力を膨張ばねの力よりも約20%大きくすることは、多くの場合十分であり得る。最大として、付勢要素118の力が、第1のピストン214の断面積に作用する作動液217によって加えられる力を超えないように制限することが望ましい場合がある。それにもかかわらず、このように、第1のピストン214は、少なくとも液圧ラッシュアジャスタ210の膨張を防止するために十分な力で第1のピストンボア212の外に常に付勢され、それにより、ロストモーションアセンブリのロストモーション動作モードの間、液圧ラッシュアジャスタ210の過剰拡張またはジャッキを防ぐ。しかしながら、移動リミッタ220によって第1のピストン214の外向きの変位を制限することによって、付勢要素218によって加えられる力は、液圧ラッシュアジャスタ210に過剰圧縮を生じさせず、それによって構成要素間に望ましくないラッシュスペースを生成することが防止される。さらに、第1のピストン214に加えられる任意のバルブ作動運動205が、付勢要素218によって第1のピストン214に加えられる力に打ち勝つことができるように、第1の力は十分に低く(上述のような液圧ラッシュアジャスタの力よりもさらに大きい)、これにより、必要に応じて、ロストモーションアセンブリを介してそれらを伝達することが可能になる。
【0019】
ここで図3を参照すると、図2からの同様の数字の構成要素が上述したのと本質的に同じ方法で構成され動作する、システム300が示されている。しかしながら、図示されているように、システム300は、定量作動液供給源316aと可変量作動液供給源316bの両方を含む多くの際立った特徴を有する。この場合、上述したように、定量作動液供給源316aは、(図3に示す構成要素に対して、実際には他の多くの構成要素を同様に供給することができる)液圧ラッシュアジャスタ210だけに作動液を供給するように構成される。対照的に、第1のピストン214に供給される作動液317は、可変量作動液供給源316bによって供給され、この作動液供給源316bは、作動液の流れが適切な電磁弁などによって制御される流れを制御するために選択的に開閉することができる作動液通路を備えることができる。図3のロストモーションアセンブリは、図2と同様に、上述したように、第1のピストンボア212、第1のピストン214、付勢要素218および移動リミッタ220を含む。
【0020】
しかしながら、図3にさらに示すように、バルブブリッジ206は、バルブブリッジ206内に形成された液圧回路328を介して第1のピストンボア212と流体連通する第2のまたはスレーブピストンボア330をさらに備える。さらに、リセットアセンブリが、スレーブピストンボア330と、ブリード孔334と動作可能に接続するように構成された固定反作用面336、例えばこの場合はバルブブリッジ206の動きに対して可動ではない面と、に流体連通するように形成されたブリード孔334を介して備えられ、ブリード孔334との密封係合を選択的に提供する。一般に、バルブばね(図示せず)の付勢力でエンジンバルブ208が閉じられると、バルブブリッジ206も同様に固定反作用面336と接触するように付勢される。第2のスレーブピストン332がスレーブピストンボア330内に配設され、図示のように、少なくとも2つのエンジンバルブ208のうちの第1のバルブと動作可能に接続するように構成されている。一般的に、スレーブピストン332は、スレーブピストンボア330内を制限された距離だけ移動する(しばしば付勢される)ことができるので、スレーブピストン332がバルブブリッジ206と強固に接触し、それにより少なくともいくつかのバルブ作動運動205をロストモーションアセンブリがロストモーションモードで動作しているとき、すなわち、必ずしもすべてではないが一部のバルブ作動運動を失うときに、第1のエンジンバルブ208に運ばれる。
【0021】
当技術分野で知られているように、第1のピストンボア212が作動液で充填されているとき、作動液はスレーブピストンボア330を自由に充填する(そして場合によってはスレーブピストン332をそのボア330から延ばす)。バルブ作動運動205が第1のピストン214に加えられると、第1のピストン214と第1のピストンボア212を介してスレーブピストン332および液圧回路328とスレーブピストンボア330の間に確立された液圧ロックは、スレーブピストン332、ひいては第1のエンジンバルブ208に、第1のピストン214が第1のピストンボア212内に移動できる最大のロストモーション距離まで適用されることを要する。その後、最大ロストモーション距離を超えるさらなるバルブ作動運動205は、第1のピストン214をバルブブリッジ206と強固に接触させ、それによりバルブ作動運動をバルブブリッジ206全体に、ひいては少なくとも2つのエンジンバルブ208に供給する。バルブブリッジ206がこのように移動すると、固定反作用面336とブリード孔334との間の密封係合が壊され、スレーブピストンボア内の液圧ロックされた液が急速に逃げることができ、それによりロストモーション動作を再開する。
【0022】
図4は、図2および3の同様の番号を付した構成要素が上述した方法と本質的に同じ方法で構成され動作するシステムを示す。このシステム400では、スレーブピストンボア330、スレーブピストン332、ブリード孔334、または固定反作用面336が設けられていない。その代わりに、図2に関して上述したリセットバルブ222と実質的に同様のリセットバルブ422が、第1のピストンボア212と流体連通して備えられる。さらに、固定反作用面424がリセットバルブ422と動作可能に接続して設けられている。
【0023】
図3および図4の付勢要素218の構成および動作は、実質的に図2に関して記述されたものと同様であり、すなわち、液圧ラッシュアジャスタ210の過剰伸長またはジャッキを防止することに留意されたい。
【0024】
ここで図5を参照すると、本開示によるロストモーションアセンブリと図2のシステム200とを含むバルブブリッジ406の実施形態がさらに示されている。特に、ロストモーションアセンブリは、第1のピストンボア512内に配設された第1のピストン514と、第1のピストンボア512内に配設され、第1のピストンボア512の外に第1のピストン514を付勢する付勢要素418とを備える。アクチュエータ(図示せず)の方向の下で選択的に開閉される、リセットバルブ522が、第1のピストンボア512と流体連通するように設けられている。同様に、この実施形態では、第1のピストン514の壁に形成された肩部542に係合するのに十分な幅のフランジ付きヘッドを有するねじ部品として、移動リミッタ520が設けられている。この実装形態において、第1のピストン514は、第1のピストン514の頂部の開口部に作動液を供給することになる作動液供給源(図示せず)と流体連通するように構成された内部空洞515を備える。当技術分野では第1のピストン414の上部の開口部と密封係合するように付勢された逆止ボールもしくはプレートを備えることで知られる、逆止バルブ540が、内部キャビティ515内に配設され、それにより内キャビティ515および第1のピストンボア512内への作動液の一方向流れのみを可能にする。
【0025】
図6に最もよく示されているように、第1のピストンボア514の第1のピストンボアの外への移動は、最大ロストモーション距離608に制限される。第1のピストンボア512が作動液で充填されると、第1のピストンは、その伸長位置に液圧ロックされ、それにより上部バルブリフトプロファイル606がバルブに伝達される。図示した例では、上部バルブリフトプロファイル606は、吸気エンジンバルブに適用され得る、いわゆるミラーサイクルバルブリフトプロファイルを備える。ロストモーションプロファイルを生成するために、リセットピン522の下にあるアクチュエータ(図示せず)が選択的に伸長されると、バルブリフトは、図6の点線604によって示されるリセットピン522とアクチュエータとの接触点において減少する。第1のピストンボア512内の液圧ロックされた液が放出され、それにより、第1のピストン514がより低いバルブリフトプロファイル602に落ち込み、より短いバルブプロファイルが得られる。下部バルブリフトプロファイルが完了した後、逆止バルブ540を通る作動液の供給は、第1のピストンボア512を補充し、次のバルブリフトイベントの開始前にその第1のピストン514をその伸長位置に液圧ロックする。これは、吸気バルブに時には望ましいように、修正されていない開放時期でのバルブイベントの選択的な閉鎖タイミングを可能にする。
【0026】
ここで図7を参照すると、本開示によるロストモーションアセンブリを備えるバルブブリッジ706の実装形態および図3のシステム300が示されている。特に、ロストモーションアセンブリは、第1のピストンボア712に配設された第1のピストン714と、第1のピストンボア712内に配設され、第1のピストンボア712の外に第1のピストン714を付勢する付勢要素718とを備える。図5に示すように、移動リミッタ720は、第1のピストン714の壁に形成された肩に係合するのに十分な幅を有するフランジ付きヘッドを有するねじ部品の形態で設けられる。さらに、図5に示すように、第1のピストン714は、その中に配設された逆止バルブ740を有する内部キャビティを備える。液圧回路728(部分的に示される)は、スレーブピストンボア730と第1のピストンボア712との間の流体連通を供給する。さらに、ブリード孔734がスレーブピストンボア730と流体連通するように設けられており、スレーブピストン732は、スレーブピストンボア730内に配設される。図7の実施形態に従って実施され得るバルブ作動運動の例は、図8にさらに示される。
【0027】
図8では、2つのロストモーションイベント804、706、すなわちバルブブリッジ706のロストモーション動作中に失われるバルブリフトイベントが続くメインイベント開口部802を備えるバルブリフトプロファイル(カムシャフトの全回転をカバーする)が示されている。すなわち、ロストモーション動作中、第1のピストンボア712が作動液により選択的に充填されていないとき、第1のピストン614は自由に最大ロストモーション距離808まで移動して第1のピストンボア内に入り、それにより、2つのロストモーションイベント804、806は弁ブリッジ706を介して伝達されず、すなわち失われる。反対に、第1のピストンボア712が作動液で選択的に充填され、それにより第1の位置714をその伸長位置に液圧ロックすると、ロストモーションイベント804、806が回路728内の液圧ロックされた液を介して第1のピストン714からスレーブピストン732へ伝達される。最大ロストモーション距離808よりも大きい後続のバルブ作動運動、すなわちメインイベント802は、バルブブリッジ706の動きを誘発し、それによりブリード孔734を介して液圧ロックされた液の放出を可能にし、スレーブピストン732は落ち込み、エンジンバルブの過剰伸長を防止する。
【0028】
また、図9および10は、図5の実装形態によるならびにロストモーションアセンブリおよび液圧ラッシュアジャスタ910に同時に作動液を供給する作動液供給源を備えるシステム900を示す。具体的には、システム900は、第1のピストンボア914に配設された第1のピストン912を有するバルブブリッジ906、および図5の実施形態と実質的に同様の第1の付勢要素918を備える。システム900は、ロッカーアーム970の運動付与端に形成されたラッシュアジャスタボア852を有するロッカーアーム970をさらに備える。図9に示されないが、図10に関連して以下にさらに詳細に説明するように、ロッカーアーム970は、ラッシュアジャスタボア952と流体連通する(第2の)作動液通路をさらに備える。
【0029】
ラッシュアジャスタ910は、ラッシュアジャスタボア952内に摺動可能に配設され、内部に形成されたラッシュアジャスタボア951を有するラッシュアジャスタハウジング950を含む。ラッシュピストンボア951には、ラッシュピストン954が摺動自在に配設されている。図示のように、ラッシュアジャスタハウジング950とラッシュピストン954との間にはチャンバ956が形成されている。ラッシュピストン954は、内部キャビティ958とチャンバ956との間の流体連通を可能にする開口部960をさらに含む。逆止バルブ962がチャンバ956内に配設され、これにより、ラッシュピストンボア951、キャビティ958および開口部960を通ってチャンバ956に入る一方向の作動液の流れを可能にする。さらに示されるように、この実施形態のラッシュアジャスタハウジング950は、ロッカーアーム、すなわち第2の作動液通路(図示せず)によって供給される作動液供給源と流体連通するように構成された第1の作動液通路964を備える。図示の実施形態では、ラッシュアジャスタハウジング950は側壁を備え、第1の作動液通路964は、側壁に形成された開口部を介して作動液供給源と連通している。その他端では、第1の作動液通路964は、ロストモーションアセンブリ、特に、前述した第1のピストン914と流体連通するように構成された出力ポート966で終端する。第1の作動液通路は、ラッシュピストンボア951、ラッシュピストン954および逆止バルブ962をバイパスするので、作動液供給源は、ラッシュアジャスタ910およびロストモーションアセンブリの両方に作動液を同時に供給することができる。
【0030】
ロッカーアーム970のさらなる詳細は、図10にさらに示されている。特に、図10に示すように、壁1074は、ロッカーアーム970内のラッシュアジャスタボア952を画定する。さらに、ロッカーアーム970は、図示のようにラッシュアジャスタボア952で終端する第2の作動液通路1072を備える。実際には、第2の作動液通路1072は、当該技術分野で知られているように、ロッカーアーム970を支持するために使用されるロッカーシャフト(図示せず)内に形成された別の作動液通路と流体連通することができる。それにもかかわらず、図9のロストモーションアセンブリに作動液を供給するために、図9に示すように、第2の作動液通路1072は、ラッシュアジャスタハウジング950の第1の作動液通路がラッシュアジャスタボア952と整列するように、ラッシュアジャスタボア952に沿った点で終端するように構成される。ラッシュアジャスタ910に作動液をさらに供給するために、ラッシュアジャスタボア952を画定する壁1074に沿って横方向作動液通路1076が形成され、軸線方向に延びる。横方向作動液通路1076は、上述したように、ラッシュピストン954の内部キャビティ958と流体連通するのに十分な長さである。図10の実施形態に示すように、横方向作動液通路1076の断面積は、第1の作動液通路964への液の流れが、横方向作動液通路1076を通るよりも容易に達成されるように選択することができる。
【0031】
図11は、図7の実施形態によるならびに定量作動液供給源1190および可変量作動液供給源1180の両方を備えるシステム1100をさらに示す。図示されているように、システム1100は、図7の実施形態による、上述したロストモーションアセンブリを含む、バルブブリッジ706を含む。この場合、システム1100は、ロッカーアーム1170の運動受容端部に液圧ラッシュアジャスタ1192を設けたロッカーアーム1170をさらに備える。定量作動液供給源1190は、作動液を液圧ラッシュアジャスタ1192に供給する。一方、可変量作動液供給源1180は、バルブブリッジ706内のロストモーションアセンブリに作動液を供給する。図11はさらに、ロッカーアーム1170に形成されたロッカーシャフト開口部1195を示しており、さらに、定量作動液供給源1190および可変量作動液供給源1180がロッカーシャフト開口部1195でどのように終端しているかを示し、それらはロッカーアームシャフト(図示せず)によって提供される適切なスイッチ式液供給源と流体連通している。
【0032】
特定の好ましい実施形態が示され、記載されたが、当業者は、本教示から逸脱することなく、変更および修正を行うことができることを理解するであろう。したがって、上述の教示のいずれかおよびすべての変更、変形または同等物は、上記に開示され、特許請求された基本的な原理の範囲内に入ると考えられる。
図1
図2
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図4
図5
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図7
図8
図9
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図11