(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6285088
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】列車制御システム
(51)【国際特許分類】
B61L 27/00 20060101AFI20180215BHJP
B60L 15/40 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
B61L27/00 K
B60L15/40 B
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-277639(P2011-277639)
(22)【出願日】2011年12月19日
(65)【公開番号】特開2013-126848(P2013-126848A)
(43)【公開日】2013年6月27日
【審査請求日】2014年12月17日
【審判番号】不服2016-9304(P2016-9304/J1)
【審判請求日】2016年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 充広
(74)【代理人】
【識別番号】100181146
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 啓
(72)【発明者】
【氏名】内田 敏博
(72)【発明者】
【氏名】松田 和之
(72)【発明者】
【氏名】高岡 洋介
【合議体】
【審判長】
藤井 昇
【審判官】
遠藤 尊志
【審判官】
堀川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開平9−267749(JP,A)
【文献】
特開2008−49754(JP,A)
【文献】
特開2004−203177(JP,A)
【文献】
特開2005−47348(JP,A)
【文献】
国際公開第98/41435(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 1/00-99/00
B60L15/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車の軌道を分割した複数の区間の境界部分にそれぞれ設置され、中央装置からそれぞれ送られる前記複数の区間を構成する各区間に対応した区間線路データについて、前記列車が走行する区間の前方隣接区間についての区間線路データを前記列車に送信する複数の地上装置と、
前記複数の地上装置を構成する各地上装置を通過する際に走行していた区間についての区間線路データから書き換えられた前記前方隣接区間についての新たな区間線路データに基づいて前記列車の走行制御を行うとともに、前記新たな区間線路データの取得ができなかった場合に前記列車を停止させる車上装置と、
を備えていることを特徴とする列車制御システム。
【請求項2】
前記中央装置は、列車の軌道を分割した各区間ごとの区間線路データが格納された線路データベースを備え、前記線路データベースにおいて全区間の区間線路データを一括して管理することを特徴とする請求項1に記載の列車制御システム。
【請求項3】
前記複数の地上装置を構成する各地上装置から前記車上装置への対応する区間の区間線路データの通信手段は、前記地上装置に設けられた地上無線機と、前記列車に搭載され前記地上無線機からの区間線路データを受信する車上無線機とから構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の列車制御システム。
【請求項4】
前記中央装置は、前記軌道が分岐している場合に、この分岐した位置に対応する前記地上装置に分岐した各区間の区間線路データを送るとともに、当該地上装置に各列車が走行すべき区間についての情報である進路条件を送り、前記地上装置は、前記進路条件に対応した区間の区間線路データを前記列車に送ることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の列車制御システム。
【請求項5】
前記中央装置は、前記軌道が分岐している場合に、この分岐した位置に対応する前記地上装置に分岐した各区間の区間線路データを送るとともに、当該地上装置に各列車が走行すべき区間についての情報である進路条件を送り、前記地上装置は、前記列車に分岐した各区間の区間線路データと前記進路条件とを送り、前記車上装置は、前記進路条件に基づいて区間線路データを選択することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の列車制御システム。
【請求項6】
前記区間線路データは、隣り合う区間の区間線路データと一部が重複することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の列車制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は列車制御システムに係り、特に、線路データの書き換え作業を容易に行うことができるとともに、線路データを搭載するハードウェアの小容量化により設備コストの低減を図ることを可能とした列車制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動列車停止装置や自動列車制御装置などの列車に搭載される車上装置は、停止信号、速度制限に対して列車が冒進や速度超過をしないようにするため速度照査機能を持ったものが存在している。
このような速度照査機能の方式としては、地上装置からの情報に従って速度照査パターンを出力し制御する地上主体型と、車上装置に線路データを搭載し、車上装置が認識した列車位置と線路データ、地上装置から受信する進路条件を照合し、列車位置と開通進路に対する速度照査パターンを出力する車上主体型とがある。
【0003】
そして、従来から、列車制御装置において、地上、車上間においてデータベースを転送するシステムとして、列車が駅に到着した際に、車上装置により車上無線機を介して車上データベースに記録されたデータの更新要求を送信し、車上無線機から送信された更新要求を地上装置が受信した場合に、地上処理装置により、更新要求に基づいて更新データを作成し、地上装置から車上装置に更新データを送信するようにした技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−203369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の技術においては、車上装置において、線路データに基づいて線路条件に応じた細かい制御ができるものの、各列車への線路データの搭載状況や線路データのデータベースの管理に非常に手間がかかってしまうという問題を有している。また、線路データが修正された場合に、線路データを各列車ごとに書き換える必要があり、線路データの書き換え作業に膨大な時間と手間がかかってしまうという問題を有している。さらに、列車が走行する路線全域にわたる線路データを車上装置に格納する必要があることから、膨大な線路データを搭載するための大容量のハードウェアが必要となり、設備コストが高くなってしまうという問題をも有している。
【0006】
本発明は前記した点に鑑みてなされたものであり、線路データの書き換え作業を容易に行うことができるとともに、線路データを搭載するハードウェアの小容量化により設備コストの低減を図ることのできる列車制御システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記目的を達成するために、請求項1の発明に係る列車制御システムは、列車の軌道を分割した複数の区間の境界部分にそれぞれ設置され、中央装置からそれぞれ送られる前記複数の区間を構成する各区間に対応した区間線路データについて、前記列車が走行する
区間の前方隣接区間についての区間線路データを前記列車に送信する複数の地上装置と、
前記複数の地上装置を構成する各地上装置を通過する際に走行していた区間についての区間線路データから書き換えられた
前記前方隣接区間についての新たな区間線路データに基づいて前記列車の走行制御を行うとともに、前記新たな区間線路データの取得ができなかった場合に前記列車を停止させる車上装置と、
を備えていることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記中央装置は、列車の軌道を分割した各区間ごとの区間線路データが格納された線路データベースを備え、前記線路データベースにおいて全区間の区間線路データを一括して管理することを特徴とする。
【0008】
請求項
3に係る発明は、請求項1
または請求項2において、
前記複数の地上装置を構成する各地上装置から前記車上装置への対応する区間の区間線路データの通信手段は、前記地上装置に設けられた地上無線機と、前記列車に搭載され前記地上無線機からの区間線路データを受信する車上無線機とから構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項において、前記中央装置は、前記軌道が分岐している場合に、この分岐した位置に対応する前記地上装置に分岐した各区間の区間線路データを送るとともに、当該地上装置に
各列車が走行すべき区間についての情報である進路条件を送り、前記地上装置は、前記進路条件に対応した区間の区間線路データを前記列車に送ることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項において、前記中央装置は、前記軌道が分岐している場合に、この分岐した位置に対応する前記地上装置に分岐した各区間の区間線路データを送るとともに、
当該地上装置に各列車が走行すべき区間についての情報である進路条件を送り、前記地上装置は、前記列車に分岐した各区間の区間線路データ
と前記進路条件とを送り、前記車上装置は、前記進路条件に基づいて区間線路データを選択することを特徴とする。
【0012】
請求項
6に係る発明は、請求項1から請求項
5のいずれか一項において、前記区間線路データは、隣り合う区間の区間線路データと一部が重複することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、中央装置から各区間に対応した区間線路データが送られる地上装置を備え、地上装置から送られる走行する
区間の前方隣接区間についての新たな区間線路データに基づいて車上装置により、列車の走行制御を行うようにできる。
請求項2に係る発明によれば、中央装置の線路データベースから各区間に対応する区間線路データが送られる地上装置を備え、例えば地上装置から通信手段を介して送られる区間線路データを列車の区間線路データ格納部に格納して、この区間線路データに基づいて車上装置により、列車の走行制御を行うようにできるので、データの転送量が少なくて済み、通信時間を短くすることができる。また、列車の線路データ格納部には、1つの区間の区間線路データを格納できる容量があればよいので、メモリなどのハードウェアの容量を小さくすることができ、設備コストの低減を図ることができる。また、各区間線路データを中央装置の線路データベースで一括して管理するようにしているので、線路データを修正する必要が生じた場合に、線路データベースの区間線路データを修正するだけで、この修正後の区間線路データにより列車の走行制御を行うことが可能となり、列車に格納される区間線路データの管理および各列車ごとの線路データの書き換え作業が不要となり、線路データの書き換えに伴う作業を大幅に低減させることができる。
【0014】
請求項
3に係る発明によれば、通信手段を、地上装置に設けられた地上無線機と、列車に搭載され地上無線機からの区間線路データを受信する車上無線機とから構成するようにしているので、地上無線機と車上無線機とにより、地上装置から区間線路データを列車側に通信することができる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、中央装置により、軌道が分岐している場合に、この分岐した位置に対応する地上装置に分岐した各区間の区間線路データを送るとともに、当該地上装置に
各列車が走行すべき区間についての情報である進路条件を送り、地上装置により、進路条件に対応した区間の区間線路データを列車に送るようにしているので、進路条件に応じた区間線路データに基づいて列車の走行制御を行うことができる。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、中央装置により、軌道が分岐している場合に、この分岐した位置に対応する地上装置に分岐した各区間の区間線路データを送るとともに、列車に
当該地上装置に各列車が走行すべき区間についての情報である進路条件を送り、地上装置により、列車に分岐した各区間の区間線路データ
と進路条件とを送り、車上装置により、進路条件に基づいて区間線路データを選択するようにしているので、進路条件に応じた区間線路データに基づいて列車の走行制御を行うことができる。
【0018】
請求項
6に係る発明によれば、区間線路データは、隣り合う区間の区間線路データと一部が重複するようにしているので、各区間の境界部分における区間線路データを常に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る列車制御システムの第1実施形態における列車部分を示す概略構成図である。
【
図2】本発明に係る列車制御システムの第1実施形態を示す概略構成図である。
【
図3】本発明に係る列車制御システムの第2実施形態における列車部分を示す概略構成図である。
【
図4】本発明に係る列車制御システムの第2実施形態を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、本発明に係る列車制御システムの第1実施形態を示す概略構成図であり、本実施形態においては、所定の軌道1上を走行する列車2には、車上装置3が搭載されている。この車上装置3は、CPUを中心に構成された演算処理部(図示せず)を有していて、列車2の速度制御や制動制御などの各種制御を行うように構成されている。また、列車2には、通信手段としての車上無線機4が搭載されており、列車2には、所定の区間の線路データを格納する線路データ格納部5が搭載されている。
【0022】
図2は、本発明の列車制御システムが適用される軌道1の例を示したものであり、本実施形態においては、列車2が走行する軌道1は、複数の区間に分割されている。これら各区分の境界部分には、それぞれ地上装置6が設置されており、これら各地上装置6には、列車2の車上無線機4と通信を行うための通信手段としての地上無線機7が設置されている。また、各地上装置6には、列車2の路線の区間線路データを一括して管理する中央装置8が接続されており、中央装置8には、各区間ごとの区間線路データが格納されている線路データベース9が設けられている。
【0023】
そして、線路データベース9から各区間の区間線路データを各対応する区間に設置された地上装置6に送るように構成されており、各地上装置6は、該当する区間を走行する列車2に対して、区間線路データを地上無線機7を介して車上無線機4に送信し、車上無線機4により受信した区間線路データは、線路データ格納部5に格納するように構成されている。そして、車上装置3は、線路データ格納部5に格納された区間線路データに基づいて列車2の走行制御を行うように構成されている。
【0024】
なお、本実施形態においては、地上無線機7および車上無線機4により通信手段を構成するようにしているが、その他、例えば、トランスポンダなどにより通信手段を構成するようにしてもよい。
【0025】
図2において、区間Aを区間Bに向けて列車2が走行している場合には、車上装置3は、線路データ格納部5に格納された区間Aの区間線路データに基づいて列車2の走行制御を行うものであり、列車2が区間Aと区間Bとの境界部分に差し掛かった場合に、区間Aと区間Bとの境界部分に設置された地上装置6から、区間Bの区間線路データが送られ、線路データ格納部5は、区間Aの区間線路データを区間Bの区間線路データに書き換えるものである。そして、その後は、車上装置3により、区間Bの区間線路データに基づいて、走行制御が行われる。
【0026】
なお、この場合において、線路データ格納部5に記録される区間線路データは、例えば、各区間の境界部分の一部が重複する区間線路データで構成するようにしてもよい。このように区間線路データを構成することにより、各区間の境界部分における区間線路データを常に確保することができるものである。また、線路データ格納部5に記録される区間線路データとしては、地上装置6から、2つの区間の線路データを列車2に送信するようにしてもよい。
【0027】
また、
図2に示すように、軌道1が区間Bから区間Cおよび区間Dに分岐している場合に、分岐の手前位置には、信号機10が設置されており、中央装置8には、列車2の進路条件に基づいて信号機10を切り換え制御する信号制御部11が設置されている。そして、走行する列車2の進路条件に基づいて、信号制御部11により信号機10の切り換え制御を行うように構成されており、列車2の進路条件は、信号機10により進路制御を行う区間に対応する地上装置6にも送られるように構成されている。そして、地上装置6は、列車2の進路条件に基づいて、列車2が走行すべき区間(区間Cまたは区間D)の区間線路データを列車2に送信するように構成されている。
【0028】
なお、本実施形態においては、信号機10から地上装置6に送られる列車2の進路条件に基づいて、いずれの区間の区間線路データを列車2に送信するかを選択するようにしているが、例えば、列車2の進路条件を地上装置6または中央装置8から送信しておき、地上装置6からは区間Cの線路データおよび区間Dの区間線路データを送信し、車上装置3により、いずれの区間の区間線路データを用いるかを選択するようにしてもよい。
【0029】
次に、本実施形態の制御動作について説明する。
【0030】
本実施形態においては、まず、中央装置8の線路データベース9から、各地上装置6に対応する区間の区間線路データを送信しておく。そして、列車2が地上装置6の設置位置に来たら、地上装置6から、地上無線機7を介して車上無線機4に区間線路データを送信する。この区間線路データは、列車2の線路データ格納部5にすでに格納されている区間線路データから新たに受信した区間線路データに書き換えられ、この新たな区間線路データに基づいて車上装置3により、列車2の走行制御を行う。なお、新たな区間線路データを取得することができなかった場合には、例えば、列車2を停止させるなどの安全制御が行われる。
【0031】
一方、中央装置8の信号制御部11は、走行する列車2の進路条件に基づいて信号機10の切り換え制御を行い、信号機10により進路制御を行う区間に対応する地上装置6に、列車2の進路条件を送信する。そして、列車2が信号機10の設置位置に来たら、地上装置6により、列車2の進路条件に基づいて、列車2が走行すべき区間の区間線路データを列車2に送信し、列車2は、進路条件に基づいて取得した区間線路データに基づいて走行制御を行う。
【0032】
以上述べたように、本実施形態においては、路線を複数の区間に分割した各区間の線路データを地上装置6から列車2に送信するようにしているので、データの転送量が少なくて済み、通信時間を短くすることができる。また、列車2の線路データ格納部5には、1つの区間の区間線路データを格納できる容量があればよいので、ハードウェアの容量を小さくすることができ、設備コストの低減を図ることができる。
【0033】
また、各区間線路データを中央装置8の線路データベース9で一括して管理するようにしているので、線路データを修正する必要が生じた場合に、線路データベース9の区間線路データを修正することにより、中央装置8で修正された区間線路データが各地上装置6に送られ、この修正後の区間線路データにより列車2の走行制御を行うことが可能となる。そのため、列車2に格納される区間線路データの管理および各列車2ごとの線路データの書き換え作業が不要となり、線路データの書き換えに伴う作業を大幅に低減させることができる。さらに、列車2が走行する路線の区間線路データを、列車2が地上装置6の設置位置を通過する際に取得するものであるため、区間線路データを取得できなかった場合に、列車2を停止させるなどの安全制御が可能となる。
【0034】
次に、本発明の第2実施形態について、
図3および
図4を参照して説明する。
【0035】
本実施形態においては、列車制御システムを駅の近傍に適用した場合の例を示している。本実施形態においては、駅の近傍において、軌道1が分岐して駅の進入番線など進路制御が必要な場合に、軌道1の分岐位置手前に、信号機10に連動して進路条件を送信する地上子12を設置するようにしたものである。
【0036】
また、列車2には、地上子12と電磁結合して進路条件を受信する車上子13が搭載されており、この車上子13は、車上子13により受信した進路条件を車上装置3に送るように構成されている。
【0037】
その他、列車2に搭載された車上無線機4および線路データ格納部5、地上装置6に設けられた地上無線機7に関する構成については、前記第1実施形態と同様であるため、同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0038】
次に、本実施形態の制御動作について説明する。
【0039】
本実施形態においても前記第1実施形態と同様に、中央装置8の線路データベース9から、各地上装置6に対応する区間の区間線路データを送信しておき、列車2が地上装置6の設置位置に来たら、地上装置6から、地上無線機7を介して車上無線機4に区間線路データを送信する。そして、線路データ格納部5の区間線路データを新たに受信した区間線路データに書き換え、この新たな区間線路データに基づいて車上装置3により、列車2の走行制御を行うものである。
【0040】
そして、列車2が駅に近づいたら、地上子12と車上子13とが電磁結合して駅への進路条件を列車2が受信し、車上装置3により、区間線路データに基づいて列車2の走行制御を行うとともに、進路条件に基づいて列車2の進路制御を行う。
【0041】
以上述べたように、本実施形態においても前記第1実施形態と同様に、路線を複数の区間に分割した各区間の線路データを地上装置6から列車2に送信するようにしているので、データの転送量が少なくて済み、通信時間を短くすることができるとともに、列車2のハードウェアの容量を小さくすることができ、設備コストの低減を図ることができる。
【0042】
また、各区間線路データを中央装置8の線路データベース9で一括して管理するようにしているので、線路データを修正する必要が生じた場合に、線路データベース9の線路データの区間線路データを修正すればよく、列車2に格納される区間線路データの管理および各列車2ごとの線路データの書き換え作業が不要となり、線路データの書き換えに伴う作業を大幅に低減させることができる。さらに、列車2が走行する路線の区間線路データを、列車2が地上装置6の設置位置を通過する際に取得するものであるため、区間線路データを取得できなかった場合に、列車2を停止させるなどの安全制御が可能となる。
【0043】
さらに、本実施形態においては、駅の近傍に進路条件を列車2に送信する地上子12を設置しているので、区間線路データに基づいて列車2の走行制御を行うとともに、地上子12から受信した進路条件に基づいて列車2の進路制御を行うことが可能となる。
【0044】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 軌道
2 列車
3 車上装置
4 車上無線機
5 線路データ格納部
6 地上装置
7 地上無線機
8 中央装置
9 線路データベース
10 信号機
11 信号制御部
12 地上子
13 車上子