(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
加熱した切断部材によって第1のチューブの端部と第2のチューブの端部を溶断した後、前記第1のチューブの溶断した端部と前記第2のチューブの溶断した端部を入れ替えて接合するチューブ接合装置であって、
前記第1のチューブおよび前記第2のチューブを保持する保持部を備える筐体と、
前記筐体に設けられ、複数の前記切断部材を収容可能に構成された収容部と、
前記保持部に保持された前記第1のチューブおよび前記第2のチューブを溶断する際に前記切断部材を待機させる第1の位置へ前記収容部に収容された前記切断部材を移動させ、溶断作業後に、前記筐体から前記切断部材が取り出し可能となる第2の位置へ溶断に使用された使用済みの前記切断部材を移動させる移動機構と、
溶断作業後に使用済みの前記切断部材が前記第2の位置に残置されているか否かを検出する切断部材検出部と、
溶断に使用される前の未使用の前記切断部材を使用した溶断作業を開始する際に、前記切断部材検出部により前記第2の位置に使用済みの前記切断部材が残置されていることが検出された場合、溶断作業の進行を制限するように動作制御を行う制御部と、を有し、
前記筐体は、当該筐体の内外に連通し使用済みの前記切断部材が送り出される取出し口を有しており、
前記第2の位置は、前記取出し口付近に設定され、
前記切断部材は、前記第1の位置では、前記第1のチューブおよび前記第2のチューブを溶断する溶断ポジションと前記第1のチューブおよび前記第2のチューブから退避した待機ポジションとの間で移動する、チューブ接合装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0017】
図1は、本実施形態に係るチューブ接合装置を示す概観斜視図である。
図2は、
図1に示す矢印J1方向から見たチューブ接合装置の側面図である。
図3は、
図1に示す矢印J2方向から見たチューブ接合装置の側面図である。
図4は、チューブ接合装置を底面部側から見た斜視図である。
【0018】
チューブ接合装置1は、複数のチューブT1、T2(以下、第1のチューブT1および第2のチューブT2とする)のそれぞれの端部を溶断し、溶断した各端部同士を無菌状態で加圧して接合するものである。本実施形態の説明においては、腹膜透析液バッグの透析液チューブ(第1のチューブT1に相当する)と、腹膜透析をする際に使用される患者の腹膜カテーテル側のチューブ(第2のチューブT2に相当する)の接合に使用される医療装置に適用した例を通じてチューブ接合装置を説明する。
【0019】
図18、
図19に示すように、チューブ接合装置1は、加熱したウェハーWF(切断部材に相当する)によって第1のチューブT1の端部と第2のチューブT2の端部を溶断した後、第1のチューブT1の溶断した端部と第2のチューブT2の溶断した端部を入れ替えて接合するように構成されている。
【0020】
チューブ接合装置1の各構成について説明する。
【0021】
チューブ接合装置1の好ましい使用環境は、例えば、環境温度10〜40℃、相対湿度30〜85%である。ただし、各チューブT1、T2の端部を加圧溶着することが可能であれば、使用環境について特に制限はない。
【0022】
図1、
図2、
図3に示すように、チューブ接合装置1は、例えば、筐体2と、当該装置1に各チューブT1、T2をセットする際にそのセットの補助に使用されるチューブセット補助具4を有するように構成することができる。
【0023】
筐体2は、例えば、135mm(幅)×99mm(高さ)×268mm(奥行)の大きさで、重さが2.4kg程度で構成される。
【0024】
筐体2は、上筐体部分2Wと、上側筐体部分2Wと組み合わせられる下筐体部分2Vと、上側筐体部分2Wの上部側に設けられた開閉可能なクランプ蓋部3を有している。クランプ蓋部3を含む筐体2とチューブセット補助具4は、例えば、硬質のプラスチックにより作られるが、材質等について制限は特にない。
【0025】
筐体2は、後述するように、チューブ接合装置1の各構成要素を収容する。クランプ蓋部3は、この筐体2の上部に配置されている。
【0026】
チューブセット補助具4は、筐体2に対して着脱可能に取り付けられている。筐体2とクランプ蓋部3は、例えば、明度の比較的高い明るい色、具体的には、クリーム色あるいは白色で構成することが可能である。また、使用者(実際にチューブ接合装置を使用する者や患者等)が、筐体2、クランプ蓋部3、チューブセット補助部4のそれぞれを、視覚的に明確に区別できるようにするために、チューブセット補助具4は、例えば、オレンジ色で構成することが可能である。ただし、上記各部の色は、特に限定されず、任意に選択することができる。
【0027】
筐体2は、
図1〜
図4に示すように、底面部2Aと、正面部2Bと、右側面部2Cと、左側面部2Dと、背面部2Eと、上面部2Fを有するケースによって構成されている。このケースは、図示するように、面取りがされたほぼ直方体形状の形状を有している。
【0028】
図4に示すように、底面部2Aの四隅には、それぞれ設置用部材2Gが取り付けられている。これらの設置用部材2Gは、例えば円形状のプラスチック製あるいはゴム製の滑り止め部材で構成することができる。重量が比較的大きなチューブ接合装置1は、これらの設置用部材2Gが用いられることにより机面のような設置面に対して滑らないように置かれる。これにより、2本のチューブT1、T2を接合する作業時などにチューブ接合装置1に位置ずれが生じることを防止でき、接合作業を安定した状態で実施することが可能になる。
【0029】
底面部2Aには、例えば、バッテリ交換用の蓋部材2Hを設けることができる。この蓋部材2Hは、例えば、ねじ2Iのような固定部材により着脱可能に取り付けることができる。ねじ2Iを外して、蓋部材2Hを取り外せば、
図4中において破線で示されるバッテリBAを交換することが可能となる。蓋部材2Hは、例えば、正面部2Bよりも背面部2E寄り側に配置することができる。また、蓋部材2Hは、ファンFNの排気用開口部6からは離れた位置に配置している。
【0030】
図4に示すように、底面部2Aには、音声用開口部5と排気用開口部6が形成されている。音声用開口部5と排気用開口部6は、例えば、バッテリ交換用の蓋部材2Hと正面部2Bとの間に形成される。
【0031】
音声用開口部5は、複数の細長い貫通穴5Aにより構成されており排気用開口部6は、複数の細長い貫通穴6Aにより構成されている。
【0032】
底面部2Aの内側には、破線で示すようにスピーカSPと排気装置としてのファンFNが配置されている。このファンFNは、接合動作を終えた後にウェハーWFを冷却する冷却用ファンとしての機能も有する。
【0033】
音声用開口部5は、スピーカSPが発生する音声ガイダンスや警告音等を、筐体2の外側に出力するために設けられている。これにより、使用者は、スピーカSPが発生する音声ガイダンスや警告音等を、明瞭に聞くことができる。
【0034】
排気用開口部6は、冷却用のファンFNが作動することで筐体2の内部で発生する熱や、内部を通るガスを、筐体2の外部に強制的に排出するために設けられている。これにより、筐体2内の熱や内部を通るガスを、側面部2C、2Dではなく、底面部2A側から筐体2の外部に排出することができる。
【0035】
図4に示すように、筐体1の底面部2Aには、その他にも、複数本のリブ2JがY方向に平行に形成されている。これらのリブ2Jは、チューブセット補助具4を筐体2に対して着脱自在に取り付ける際の、ガイド部分としての機能を有している。チューブセット補助具4の詳細については後述する。
【0036】
次に、
図5を参照して、操作パネル部7と表示部8について説明する。
【0037】
図5(A)は、
図1に示す筐体2の正面部2B側に設けられている操作パネル部7の例を示している。
図5(B)は、
図1に示す筐体2の上面部2Fに設けられている表示部8の例を示している。
【0038】
図5(A)に示す操作パネル部7は、[電源]スイッチボタン7Bと、[電源]ランプ7Cと、[充電中]ランプ7Dと、[接合]ボタン7Eと、[接合]ランプ7Fと、[ウェハー取り出し]ランプ7Gを有している。
【0039】
[電源]ランプ7Cと[充電中]ランプ7Dと[接合]ランプ7Fと[ウェハー取り出し]ランプ7Gは、操作パネル部7における各種の状態を表す表示用のランプである。各ランプは、例えば、緑色のLED(発光ダイオード)ランプで構成することができる。
【0040】
[電源]スイッチボタン7Bは、チューブ接合装置1に電源を入れるために押されるボタンである。[電源]ランプ7Cは、[電源]スイッチボタン7Bを押すことにより点灯する。
【0041】
[接合]ボタン7Eは、使用者が2本のチューブT1、T2のそれぞれの端部を溶断して、そして各チューブT1、T2の端部を入れ替えて加圧接合する溶断−接合作業を開始する際に押すボタンである。[接合]ランプ7Fは、[接合]ボタン7Eを押すと点灯する。また、[接合]ランプ7Fは、チューブ接合装置1の故障時に、故障状態にあることを使用者に警告するために点滅するように構成することもできる。
【0042】
[充電中]ランプ7Dは、
図4に示すバッテリBAに対して商用交流電源側からの充電が行われている場合に点灯する。
【0043】
[ウェハー取り出し]ランプ7Gは、2本のチューブT1、T2の接合が終了して、後述するように、使用者が使用済みのウェハーWFを筐体2内から取り出して排出することができるような状態になると、点灯または点滅する。
【0044】
図5(B)に示す表示部8は、[カバー閉じる]ランプ8Bと、[ウェハーカセット交換]ランプ8Cと、[ウェハー不良]ランプ8Dと、[要充電]ランプ8Eと、[室温不適]ランプ8Fと、[装置故障]ランプ8Gと、[ウェハー残置]ランプ8Hを有している。
【0045】
[装置故障]ランプ8Gは、チューブ接合装置1が故障したことを知らせる警告ランプである。[装置故障]ランプ8Gは、例えば、赤色のLEDランプにより構成することができる。その他のランプは、警報表示ランプとして構成されており、例えば、黄色のLEDランプにより構成することができる。
【0046】
図1と
図2を再度参照し、筐体2の側面部2Cには、ウェハーカセット挿入部20と、ウェハーカセット取り出しボタン21が設けられている。
【0047】
ウェハーカセット挿入部20は、
図1に示すウェハーカセットWCを着脱可能に挿入するための長方形状の開口部により構成されている。ウェハーカセットWCがウェハーカセット挿入部20を通じて筐体2内に挿入された状態で、使用者が指でウェハーカセット取り出しボタン21を押し込むことで、ウェハーカセットWCはウェハーカセット挿入部20を通じて筐体2の外部に取り出すことができる。なお、ウェハーカセットWCについては後述するが、このウェハーカセットWCは各チューブT1、T2の溶断に使用される複数個のウェハーWFが収容された容器によって構成されている。
【0048】
図3に示すように、筐体2の左側面部2Dには、音量調整ボリューム22と、音声メッセージ切替えスイッチ23が設けられている。
【0049】
使用者が音量調整ボリューム22をスライドすることで音声メッセージの音量の大小を好みに応じて調整できる。また、使用者が音声メッセージ切替えスイッチ23を例えば「無」の状態から「有」の状態にスライドすることで、所定の音声メッセージを
図4に示すスピーカSPから出力することができる。使用者が音声メッセージ切替えスイッチ23を例えば「無」の状態にすれば、スピーカSPから、例えば、所定のブザー音を出力させることができる。
【0050】
次に、接合対象となる各チューブT1、T2を説明する。
【0051】
図15には、チューブ接合装置1により接合される2本のチューブT1、T2が例示されている。各チューブT1、T2としては、例えば、塩化ビニル製のチューブを選択することが可能である。ただし、各チューブT1、T2の材質は、溶断および加圧により相互に接合可能なものであればよく、その限りにおいて限定されない。例えば、各チューブT1、T2の材質がそれぞれ異なるものであってもよい。
【0052】
図15に示す例では、第1のチューブT1は、その先端部にコネクターCTを有している。第1のチューブT1は、透析液バッグBLの透析液チューブTBLに対して分岐管9を介して接続されている。さらに第1のチューブT1は、排液用バッグHLの排液チューブTHLに対して分岐管9を介して接続されている。
【0053】
チューブT2は、例えば、延長チューブ10と保護チューブ11を有するように構成することができる。延長チューブ10は、連結管12、シリコーンチューブ13、カテーテルジョイント14を介して、腹膜カテーテル15に接続されている。腹膜カテーテル15は、患者Mの腹腔内に挿入されている。
【0054】
図15に示すように、チューブ接合装置1は、第1のチューブT1の斜線で示す接合部分C1とチューブT2の斜線で示す接合部分C2を積み重ねた状態で、チューブT1の接合部分C1とチューブT2の接合部分C2を、後述するように加熱したウェハーWFを用いて溶断する(
図18(A)を参照)。そして、溶断した後、チューブT1の溶断した端部と、チューブT2の溶断した端部とを入れ替えて加圧して接合する(
図18(C)、(D)を参照)。
【0055】
次に、筐体2に設置されたクランプ蓋部3について説明する。
【0056】
クランプ蓋部3は、溶断作業を実施する際に、後述する筐体側クランプ部50との間で2本のチューブT1、T2を挟み込んで固定保持する機能を備えている。
図1に示すように、このクランプ蓋部3は、例えば、操作パネル部7と表示部8との間に配置することができる。
【0057】
図6は、
図1に示す矢印RT方向にクランプ蓋部3を開いた状態における筐体1を示す斜視図である。
図7は、
図6に示す矢印SS方向から見た筐体1の内部およびクランプ蓋部3の内部を示す斜視図である。
【0058】
クランプ蓋部3は、
図1と
図2に示すように、クランプ板30と、クランプ操作部31と、被覆カバー32を有している。
【0059】
クランプ操作部31は使用者が手指でクランプ蓋部3を開閉する際に使用される。クランプ操作部31と、クランプ板30および被覆カバー32とを、それぞれ目視で容易に区別できるようにするために、例えば、クランプ操作部31は緑色に着色することができ、クランプ板30と被覆カバー32は、例えば、クリーム色あるいは白色に着色することができる。
【0060】
図1に示すように、クランプ板30の表面には、2本のチューブT1、T2の挿入状態を模式的に記した確認シール30Sを貼り付けることができる。チューブ接合装置1を使用する際に、使用者が確認シール30Sを目視することにより、2本のチューブT1、T2が、クランプ蓋部3と筐体側クランプ部50との間に正しく挟み込まれているか否かを簡易的に確認することが可能になる。
【0061】
図1と
図6に示すように、クランプ蓋部3のクランプ板30は、中心軸CLを中心として
図1に示す閉じた状態から
図6に示す90度を超える角度まで開くことができるように、筐体2に対して取り付けられている。
【0062】
クランプ蓋部3の被覆カバー32は、筐体2に対して中心軸CL1を中心にして回転できるように取り付けられている。この被覆カバー32に設けられた突起32Tは、クランプ板30に設けられたガイド溝30Rにはめ込まれている。突起32Tとガイド溝30Rとが設けられることにより、クランプ板30が筐体2に対して中心軸CLを中心として
図6に示す90度を超える角度まで開く際に、被覆カバー32がクランプ板30の動きに追従して持ち上げられるように構成される。
【0063】
図1と
図6に示すように、クランプ操作部31は、クランプ板30の先端部30Dに所定のピン(図示省略)を介して取り付けられている。クランプ操作部31は、このピンにより、中心軸CL2を中心として回転できるように軸支されている。
【0064】
図6に示すように、クランプ操作部31は、幅方向にそれぞれ所定の間隔を空けて配置された一対の係合爪31Mを有している。筐体2には、幅方向にそれぞれ所定の間隔を空けて配置された一対の突起部33が突出して設けられている。クランプ操作部31の各突起部33は、筐体2の各係合爪31Mにそれぞれ引っ掛けて固定することが可能に構成されている。
【0065】
図6に示すように、クランプ蓋部3が開いた状態で、使用者がクランプ操作部31を指で持って、中心軸CLを中心にして矢印RS方向に回転させると、
図1に示すように、クランプ板30により筐体側クランプ部50が上側から覆われる。そして、使用者がクランプ操作部31を指で持って、中心軸CL2を中心に矢印RG方向に回転させると、
図6に示す一対の係合爪31Mは、それぞれ筐体2の対応する位置に形成された突起部33に対して噛み合わされる。これにより、クランプ蓋部3は、筐体2に設けられた筐体側クランプ部50を上から閉じる。その結果、各チューブT1、T2の接合中にクランプ蓋部3が誤って開かないように機械的に固定される。
【0066】
次に、
図6と
図7を参照して、クランプ板30の内側に配置された各構成要素と、筐体側クランプ部50の内側に配置された各構成要素を説明する。
【0067】
クランプ板30の内側には、接合する際に第1のチューブT1を押えるために用いられる第1のチューブ押さえ部材35と、第1収容部材36と、第2収容部材37が配置されている。
【0068】
第1のチューブ押さえ部材35、第1収容部材36、第2収容部材37は、例えば、硬質のプラスチックで形成することが可能であるが、材質等は特に制限されない。第1のチューブ押さえ部材35は、第1収容部材36との間に所定の隙間38を形成するように第1収容部材36から離隔した位置に設けられている。
【0069】
第1収容部材36は、凹部36Aと凹部36Bの二つの凹部を有している。同様に、第2収容部材37は、凹部37Aと凹部37Bの二つの凹部を有している。
【0070】
筐体側クランプ部50の内側には、接合する際に第1のチューブT1を挟み込むために用いられる第1のチューブ挟み込み部51と、接合する際に第2のチューブT2を挟み込むために用いられる第2のチューブ挟み込み部52が配置されている。
【0071】
第1のチューブ挟み込み部51は、第1突起51Aと第2突起51Bを有している。
図7に示すように、第1突起51Aと第2突起51Bは、両突起51A、51Bの間に第1のチューブT1と第2のチューブT2を潰さないようにして挟み込むための挟み込み間隔SDが形成されるように対面して配置されている。
【0072】
第2のチューブ挟み込み部52は、第1突起52Aと第2突起52Bを有している。
図7に示すように、第1突起52Aと第2突起52Bは、両突起52A、52Bの間に第1のチューブT1と第2のチューブT2を潰さないようにして挟み込むための挟み込み間隔SDが形成されるように対面して配置されている。
【0073】
クランプ蓋部3を閉じた状態では、筐体側クランプ部50に設けられた第1のチューブ挟み込み部51の第1突起51Aと第2突起51Bのそれぞれは、クランプ板30側に設けられた凹部37A、37Bにそれぞれ収納される。同様にして、筐体側クランプ部50に設けられた第2のチューブ挟み込み部52の第1突起52Aと第2突起52Bのそれぞれは、クランプ板30側に設けられた凹部36A、36Bにそれぞれ収納される。
【0074】
第1のチューブ挟み込み部51と第2のチューブ挟み込み部52の間には、接合する際に第2のチューブT2を押えるために用いられる第2のチューブ押さえ部材53が配置されている。
【0075】
第2のチューブ押さえ部材53は、クランプ板30側の第1のチューブ押さえ部材35に対応させて筐体側クランプ部50に設けられている。第1のチューブ押さえ部材35と第2のチューブ押さえ部材53は、それぞれ半円筒形状の空間部を有している。
図1に示すようにクランプ蓋部3を閉じた状態では、筐体側クランプ部50に設けられた第2のチューブ押さえ部材53とクランプ板30側に設けられた第1のチューブ押さえ部材35が重なる。重なった際に第1のチューブ押さえ部材35と第2のチューブ押さえ部材53は、第1のチューブT1と第2のチューブT2を収容可能な円筒状の空間を両部材の間に形成する。
【0076】
第1のチューブ押さえ部材35と第2収容部材37は一体化した部材で構成することができる。同様にして、第2のチューブ押さえ部材53と第1のチューブ挟み込み部51は一体化した部材で構成することができる。
【0077】
ここで、
図7に示すように、例えば、第1のチューブ押さえ部材35と第2のチューブ押さえ部材53の周囲にはギア55を形成することができる。このギア55は、各チューブT1、T2を溶断した後、各チューブT1、T2の端部の位置を入れ替える動作を駆動するクランプモータ56のギア56Gと噛み合うように構成されている。
【0078】
クランプモータ56が制御部100(
図11を参照)の指令により作動してギア56Gを回転させると、第1のチューブ押さえ部材35と第2のチューブ押さえ部材53は、第2の収容部材37と第1のチューブ挟み込み部51が一体になった状態で180度正回転し、または180度逆回転する。この回転が行われている間は、溶断された第1のチューブT1と第2のチューブT2が第1のチューブ押さえ部材35と第2のチューブ押さえ部材53により保持される。そして、溶断した後の第1のチューブT1の端部の位置と第2のチューブT2の端部の位置は、180度上下逆転する(
図18(C)を参照)。これにより、溶断する前は、第2のチューブT2が上側に、第1のチューブT1が下側に位置し、溶断した後は、第1のチューブT1の溶断した端部が上側に位置し、第2のチューブT2の溶断した端部が下側に位置する。
【0079】
図7に示すように、第2のチューブ押さえ部材53と第2のチューブ挟み込み部52との間には、ウェハーWが移動可能に挿入されるウェハー挿入用の隙間57が形成されている。
【0080】
図8は、クランプ蓋部3の内部構造と、筐体側クランプ部50の内部構造を示す別の角度から見た斜視図である。
【0081】
クランプ蓋部3の第1収容部材36と筐体側クランプ部50の第2のチューブ挟み込み部52は、2本のチューブT1、T2を挟み込んで固定するための固定クランプユニット71を構成している。この固定クランプユニット71に対して、クランプ蓋部3の第1のチューブ押さえ部材35および第2収容部材37と、筐体側クランプ部50の第2のチューブ押さえ部材53および第1のチューブ挟み込み部51とにより、可動クランプユニット72が構成されている。
【0082】
可動クランプユニット72と固定クランプユニット71は、2本のチューブT1、T2を挟み込んで固定する。そして、溶断した後に、可動クランプユニット72は、固定部分である固定クランプユニット71に対して、2本のチューブT1、T2を180度回転させる。この回転動作は、前述したようにクランプモータ56により駆動される。
【0083】
図8に示すように、筐体2の上面部2Fには、その左右の位置に斜面部分2P、2Rが形成されている。斜面部分2Pには、例えば、透析液バッグ側の第1のチューブT1が入れ込まれる側であることを示す表示ラベル2Xが取り付けられる。一方、斜面部分2Rには、患者のお腹側の第2のチューブT2が入れ込まれる側であることを示す表示ラベル2Yが取り付けられる。
【0084】
図6と
図8に示すように、操作パネル部7の付近には、溶断に使用された使用済みのウェハーWFが送り出される取出し口58が設けられている。筐体2の操作パネル部7の付近には、当該筐体2の内外に連通し溶断に使用されたウェハーWFが送り出される取出し口58が設けられている。この取出し口58は、第2のチューブ押さえ部材53と第2のチューブ挟み込み部52との間に形成された隙間57(
図7を参照)の延長上に配置されている。取出し口58を、ウェハーWFが通る隙間57の延長線上に設けることにより、使用者は、ウェハーの取出し部58に案内されたウェハーWFを、指で摘んで容易に取り出すことができる。
【0085】
図8に示すように、取出し口58の付近には、円形の穴59が形成されている。また、この円形の穴59には、棒状のインターロック60が配置されている。
【0086】
インターロック60は、例えば、電磁駆動式のソレノイド61のロッドにより構成される。ソレノイド61は、制御部100から送信される指令により、
図8中の破線で示す状態から実線で示すZ1方向へ上昇する。上昇したインターロック60によりクランプ操作部31の前端部が押さえられる。その結果、例えば2本のチューブT1、T2を溶断して接合している最中に、クランプ蓋部3が開かないようにして閉じた状態をより確実に保持することが可能になる。
【0087】
図8に示すソレノイド検出センサ89は、例えば、光89Lを出射する発光部89Aと、光89Lを受光可能な受光部89Bとを有するフォトカプラにより構成することができる。ソレノイド検出センサ89によりクランプ蓋部3の開閉状態が検出される。検出結果は制御部100へ送信される(
図11を参照)。
【0088】
図9は、
図7に示すクランプ蓋部3の内部構造と筐体側クランプ部50の内部構造を拡大して示す斜視図である。
【0089】
図9に示すように、第2のチューブ挟み込み部52の第1突起52Aと第2突起52Bとの間には、各突起52A、52Bよりも低い位置に形成された底部が設けられる。この底部には、円形の穴部74が形成されている。そして、円形の穴部74には、各チューブT1、T2のセット状態を検出するためのチューブ検出ピン75が配置されている。
【0090】
各チューブT1、T2が、第1突起51Aと第2突起51Bの間に形成されたはめ込み溝51Cと、第1突起52Aと第2突起52Bの間に形成されたはめ込み溝52Cにはめ込まれると、チューブ検出ピン75は、
図9の紙面と直交する方向に押される。チューブ検出ピン75は、押される際に受ける力に基づいて、各チューブT1、T2が正確にはめ込まれたことを検出する。
図14に示すように、チューブ検出ピン75の先端部75Aは、2本のチューブT1、T2を受ける部分として構成されている。チューブ検出ピン75の後端部75Bにはマグネット91が取り付けられている。チューブ検出ピン75の後端部75Bと筐体2の間には、チューブ検出ピン75をZ1方向に押し上げるためのスプリング92が配置されている。
【0091】
図10は、チューブ接合装置1の筐体2内に配置されている構成要素の概略の配置例を示す斜視図である。
【0092】
図10に示すように、筐体2内には、メイン基板80と、DC入力基板81と、ウェハーカセット収納ユニット82と、ウェハー送りユニット83と、固定クランプユニット71と、可動クランプユニット72と、ソレノイド61と、スピーカSPと、ファンFNと、そしてバッテリBAが収容されている。
【0093】
DC入力基板81は、例えば、メイン基板80から可能な限り離れた位置に配置されていることが好ましい。DC入力基板81からのノイズがメイン基板80に搭載されている回路要素に対して影響を与えないようにするためである。
【0094】
次に、
図11を参照して、チューブ接合装置1の制御部100の機能を説明する。
図11は、チューブ接合装置1の電気ブロックを示している。
【0095】
図11に示すように、チューブ接合装置1は、当該装置の各部の動作を統轄的に制御する制御部100を有している。制御部100は、マイクロコンピュータなどのCPUと、CPUにより実行される装置全体の制御プログラムや各種データを記憶するROMと、ワークエリアとして測定データや各種データを一時的に記憶するRAMとを備えている。
【0096】
制御部100は、DC入力基板81側のバッテリBAから電源供給を受ける。このDC入力基板81は、ジャック84と、切り替えスイッチ85を有している。ジャック84は、充電器86の接続ピン86Pに接続されることで、商用交流電源から交流/直流変換した所定のDC電源を受ける。なお、充電器86とジャック84は、
図1にも示している。
【0097】
図11に示す切り替えスイッチ85は、ジャック84とバッテリBAを接続する。充電器86からのDC電源は、バッテリBAの充電に用いられる。そして、バッテリBAに充電されたDC電源は、制御部100へ供給される。
【0098】
図11に示すように、制御部100には、サーミスタ等の温度センサ87が電気的に接続されている。この温度センサ87は、筐体2の周囲の環境温度(外気温度)を検出して制御部100へ外気温度情報TFを供給する。制御部100は、各チューブT1、T2を加熱する際に外気温度情報TFを参照して、例えば、各外気温度が予め定めた温度よりも低い場合には、2本のチューブT1、T2の加熱時間を長くするといった処理を実行する。また、制御部100は、例えば、環境温度をスピーカSPで患者に報知するように動作制御を行う。
【0099】
図11に示すように、
図5(A)にそれぞれ示された操作パネル部7の[電源スイッチ]ボタン7Bと、[接合]ボタン7Eと、各ランプ7C、7D、7F、7Gが制御部100に電気的に接続されている。
【0100】
図11に示すように、スピーカSPは、音声合成部88を介して制御部100に電気的に接続されている。スピーカSPは、制御部100の指令により予め決められている音声ガイダンス等を発声する。
【0101】
音量調整ボリューム22と、音声メッセージ切替えスイッチ23は、制御部100に電気的に接続されている。音声メッセージ切替えスイッチ23が「有」である場合には、音声ガイダンスをスピーカSPから出すことができ、音声メッセージ切替スイッチ23が「無」である場合には、図示しないブザーを鳴らすことができる。
【0102】
図11に示すように、
図5(B)にそれぞれ示された表示部8の[カバー閉じる]ランプ8Bと、[ウェハーカセット交換]ランプ8Cと、[ウェハー不良]ランプ8Dと、[要充電]ランプ8Eと、[室温不適]ランプ8Fと、[装置故障]ランプ8Gと、[ウェハー残置]ランプ8Hは、制御部100の指令により点灯または点滅するように構成されている。
【0103】
図11に示すように、
図8に示すインターロック60のソレノイド61は、制御部100の指令により作動する。具体的には、
図8に例示するように、ソレノイド61のインターロック60が下端位置60Lにある場合には、インターロック60が破線で示すように発光部89Aからの光89Lを遮るので、受光部89Bは、制御部100に対して「クランプ蓋部3をインターロックしていないという信号」を送信する。これに対して、ソレノイド61のインターロック60が上端位置60Hにある場合には、インターロック60が実線で示すように発光部89Aからの光89Lを遮らないので、受光部89Bは、制御部100に対して「クランプ蓋部3をインターロックしているという信号」を送信する。これにより、制御部100は、クランプ蓋部3のロック状態あるいは非ロック状態を把握する。
【0104】
図11に示すように、筐体側クランプ部50のホールセンサ90は、制御部100に電気的に接続されており、検出結果を制御部100へ送信するように構成されている。
図9、
図14に示すように、第1突起52Aと第2突起52Bの間のはめ込み溝52Cに、第1のチューブT1と第2のチューブT2が順番にはめ込まれると、チューブT1とチューブT2により、スプリング92の力に抗してチューブ検出ピン75がZ2方向へ押し込まれる。この押し込みにより、チューブ検出ピン75が下がるため、ホールセンサ90によりマグネット91の磁力が検出される。そして、ホールセンサ90は制御部100へ、「2本のチューブT1、T2が正しくはめ込まれたこと」を通知する旨の信号を送信する。仮に、チューブT1とチューブT2がはめ込み溝52Cに十分にはめ込まれていないか、あるいはどちらか1本のチューブだけがはめ込まれている場合には、ホールセンサ90がマグネット91の磁力を検出できない。この際、ホールセンサ90は、制御部100へ、「2本のチューブT1、T2が正しくはめ込まれていないこと」を通知する旨の信号を送信する。
【0105】
図11に示すように、筐体側クランプ部50は、マイクロスイッチ93を有している。マイクロスイッチ93は、クランプ蓋部3の開閉状態を検出するセンサである。マイクロスイッチ93は、
図6に示すようにクランプ蓋部3のクランプ操作部31を指で持って、矢印RS方向に中心軸CLを中心にして回転させた際に、
図1に示すようにクランプ板30が、筐体側クランプ部50を閉じたことを検知する。なお、マイクロスイッチ93としては、例えば、筐体側クランプ部50が閉じられた際に、筐体2の任意の位置に対して当接により閉じられたことを検出する機械式のセンサや、筐体側クランプ部50の位置に基づいて閉じられたことを検出する電気式のセンサなど公知のセンサを使用することが可能である。
【0106】
図11に示すように、ウェハーカセット収納ユニット82は、ウェハー有無センサ101と、ウェハー残量検出センサ102を有している。ウェハー有無センサ101は、
図1に示すウェハーカセットWC内にウェハーWFが残っているか否かを検出するセンサである。ウェハー残量検出センサ102は、
図1に示すウェハーカセットWC内に何枚のウェハーWFが残っているか、すなわちウェハーWFの残枚数を検出するセンサである。ウェハー有無センサ101とウェハー残量検出センサ102には、例えば、公知のフォトセンサ等を使用できる。
【0107】
図11に示すウェハー送りユニット83は、ウェハーカセットWC内のウェハーWFを所定の待機ポジションPS1まで直線移動するためのユニットである。ウェハー送りユニット83は、モータ103、モータドライブ104、前進端センサ105、中間センサ106、そして後進端センサ107を有する。モータドライブ104は、制御部100からの指令を受けると、モータ103を駆動して、ウェハーカセットWC内のウェハーを一枚ずつ待機ポジションPS1へ直線移動させる。なお、ウェハー送りユニット83の詳細については後述する。
【0108】
図11に示すように、制御部100は、ウェハー加熱ヒータ110、モータドライブ111、カムモータセンサ112、クランプモータセンサ113、ウェハー電流検出部115、ウェハー電圧検出部116、ファンFNのそれぞれと電気的に接続されている。モータドライブ111が制御部100から指令を受けると、モータドライブ111は、各チューブT1、T2を溶断および接合するためにカムモータ117やクランプモータ56を駆動する。
【0109】
図11に示すカムモータ117は、ウェハーWFを上下移動させる動作と、2本のチューブを寄せる動作を行う。このカムモータ117が行うウェハーWFを上下移動させる動作とは、ウェハーWFを待機ポジションPS1からその上方に位置する溶断ポジションPSmに上昇させ、逆にウェハーWFを溶断ポジションPSmから待機ポジションPS1に下降させる動作である(
図21、
図22を参照)。また、カムモータ117は、2本のチューブT1、T2を溶断した後、各チューブT1、T2同士を寄せる動作を実施する。ウェハーWFを溶断ポジションPSmから待機ポジションPS1に下げて待機させた後に、第1のチューブT1の溶断した端部と第2のチューブT2の溶断した端部を、相手方のチューブの溶断した端部に対してそれぞれ寄せることにより加圧接合する動作である。カムモータ117の動作例については後述する。
【0110】
クランプモータ56は、
図7に例示した可動クランプユニット72の180度の回転と、180度回転した後の復帰回転を行う。
【0111】
カムモータセンサ112は、カム位置と原点を検出する例えばフォトセンサで構成される。クランプモータセンサ113は、可動クランプユニット72の回転時の原点を検出する例えばフォトセンサで構成される。
【0112】
ウェハー加熱ヒータ110は、制御部100からの指令によりウェハーを加熱するために設けられている。通電の際には、ウェハー電流検出部115は、ウェハーに供給されているウェハー電流値を検出する。また、ウェハー電圧検出部116は、ウェハーに供給されているウェハー電圧値を検出する。
【0113】
次に、
図12、
図13を参照して、ウェハーカセット収納ユニット82およびウェハーカセットWCについて説明する。
【0114】
図12は、筐体2のウェハーカセット挿入部20と、ウェハーカセット取り出しボタン21の周辺部と、ウェハーカセットWCを示している。
図13(A)は、ウェハーカセットWCの下面側を示す斜視図であり、
図13(B)は、ウェハーカセットWCの上面側を示す斜視図である。
【0115】
ウェハーカセット挿入部20とウェハーカセット取り出しボタン21は、
図10に示すウェハーカセット収納ユニット82に配置されている。
【0116】
図12(A)に示すように、ウェハーカセットWCの上面部120には、挿入方向を示す矢印21Yが設けられている。使用者がウェハーカセットWCを矢印21Yに従って、
図12(B)に示すようにウェハーカセット挿入部20内に挿入する。その後、ウェハーWFを使用したことでウェハーカセットWC内のウェハーWFが無くなると、使用者は
図12(C)に示すようにウェハーカセット取り出しボタン21を指で押すことにより、空のウェハーカセットWCをウェハーカセット挿入部20内から取り出すことができる。
【0117】
図13(A)、(B)に示すように、ウェハーカセットWCは、複数枚のウェハーWFを収容するための容器として構成されている。ウェハーカセットWCは、好ましくは、内部のウェハーWFを目視で確認できるようにするために、透明のプラスチックにより作られる。
【0118】
ウェハーカセットWCは、上面部120と、底面部121と、正面部122と、側面部123、124と、背面部125とにより構成されている。
【0119】
正面部122の内側には、一枚ずつウェハーWFが配置される。そして、
図13(B)に示すように、ウェハーWFに対して押し出し用の部材126をY1方向に押し付けることで、1枚のウェハーWFは、ウェハーカセットWCの内部から一枚ずつY1方向に沿って所定の待機位置PS1へ押し出される。ウェハーWFの移動動作の詳細は後述する。
【0120】
図13(A)、(B)に示すように、ウェハーカセットWCの内部には、2本のスプリング128とスプリング受け部材129が収容されている。2本のスプリングの各一端部は、ウェハーカセットWCの背面部125の内面に支持されている。一方、2本のスプリングの各他端部は、スプリング受け部材129に支持されている。このスプリング受け部材129は、各スプリング128がずれないようにするための位置ずれ防止部130を有している。
【0121】
2本のスプリング128は、スプリング受け部材129を介して、複数枚のウェハーWFを正面部122の内面に対して押し付ける。各ウェハーWFが2本のスプリング128によって保持された状態で、正面部122側に位置するウェハーWFに対して押し出し用の部材126をY1方向に押し付けると、最も外側に位置する1枚のウェハーWFだけがウェハーカセットWC内からY1方向に沿って取り出される。
【0122】
図13(A)に示すように、切断部材として用いられるウェハーWFは、ウェハー加熱ヒータ110(
図11、
図14を参照)により加熱可能な略長方形状に形成された銅製の金属板(厚み:0.3mm程度、幅:34mm程度、高さ13mm程度)で構成されている。なお、ウェハーWFは、加熱される際にウェハー加熱ヒータ110に接続される2つの接点131を有している。
【0123】
次に、チューブセット補助具4について説明する。
【0124】
チューブセット補助具4は、筐体2に対して使用者が必要に応じて取り付けることができる。チューブセット補助具4は、使用者が
図12(C)に示すように、2本のチューブT1、T2を筐体2に保持する作業を確実に行えるようにするためのガイド機能を有している。これにより、
図12(C)に示すように、使用者は、2本のチューブT1、T2を挟み込んで保持する場合に、その作業を簡単かつ迅速に行うことが可能になる。
【0125】
図2、
図3、
図4に示すように、チューブセット補助具4は、第1側部135と、第2側部136と、裏面連結部137を有している。
【0126】
図2に示すように、第1側部135は、爪部分135Aと、分岐部135B、135Cを有している。爪部分135Aは、筐体2の操作パネル部7の周辺部に取り付け可能に構成されている。
【0127】
図3に示すように、第2側部136は、爪部分136Aと、分岐部136B、136Cと、チューブを受けるためのU字型の受け部138を有している。爪部分136Aは、筐体2の操作パネル部7の周辺部に取り付け可能に構成されている。受け部138は、
図13(C)に示すように、2本のチューブT1、T2を受けるようになっている。また、
図3に示すように、分岐部136Bと分岐部136Cの間に空間を設けることにより、音量調整ボリューム22を露出させることができ、使用者が音量調整ボリューム22を操作し易く構成されている。
【0128】
図4に示すように、チューブセット補助具4の裏面連結部137は、第1連結部分137Aと第2連結部分137Bを有している。第1連結部分137Aには、設置用部材2Gを通す開口部137Cが形成されている。第2連結部分137Bには、設置用部材2Gの高さに合わせた突起部137Dが設けられている。これにより、筐体2は、4つの設置用部材2Gと2つの突起部137Dにより、例えば机面等に対して、所定間隔だけ浮かせた状態で設置することができる。
【0129】
チューブセット補助具4の第1連結部分137Aと第2連結部分137Bの間には、音声用開口部5と排気用開口部6を露出させ、かつ、排気装置であるファンFNの排気用開口部6AとスピーカSP用の音声用開口部5Aを開放する開放部分144が形成されている。このため、ファンFNは、筐体2の内部の気体や熱を開口部6を通じて筐体2の外部に確実に放出できる。また、スピーカSPが発生する音声ガイダンスや警告音等は、開口部5を通じて筐体2の外部に確実に出力できるので、音声ガイダンスや警告音等がこもらずに聞き易くなる。
【0130】
次に、
図14を参照して、ファンFNと、筐体側クランプ部50における2本のチューブT1、T2とウェハーWFとの位置関係を説明する。
【0131】
図14には、クランプ蓋部3および筐体側クランプ部50によって固定保持された各チューブT1、T2をウェハーカセットWCから送り出されたウェハーWFにより切断する前後の様子が模式的に示されている。
【0132】
ウェハーWFは、
図10に示すウェハー送りユニット83が備える移動機構500(
図15を参照)を作動させることにより、ウェハーカセットWCからY1方向に送られ、待機ポジションPS1に配置される。
【0133】
図14に示すように、ウェハーWFが待機ポジションPS1に配置されると、ウェハーWFの2つの接点131は、ウェハー加熱ヒータ110に接続される。そして、ウェハー加熱ヒータ110は、制御部100の指令により接点を通電して発熱する。この発熱によりウェハーWFは加熱される。加熱されたウェハーWFの下方には、ファンFNが配置されている。
【0134】
各チューブT1、T2は、溶断される際に、
図9に示す各はめ込み溝51C、52CにZ2方向に積み重ねた状態ではめ込まれる。そして、
図14に示すように、ウェハーWFが待機ポジションPS1から溶断ポジションPS2に上昇すると、ウェハーWFにより2本のチューブT1、T2が溶断される。この際、2本のチューブT1、T2の構成材料である可塑剤が気化してガスが発生する。ガスは回転駆動されるファンFNにより、矢印MYで示す排出経路に沿って底面部2Aの排気用開口部6から筐体2の外部へ排出される。このため、筐体2の付近にプラスチック製品等が置かれていても、可塑剤のガスがプラスチック製品に対して直接吹き付けられることが無いので、プラスチック製品の一部が溶ける等といった悪影響を受けない。
【0135】
次に、
図16〜
図19を参照して、2本のチューブT1、T2を接合する作業工程を説明する。
図16、
図17は、チューブ接合装置1に各チューブT1、T2をセットする工程を概略的に示す図であり、
図18、
図19は、チューブ接合装置1による溶断作業の流れを概略的に示す図である。
【0136】
チューブ接合装置1による溶断作業を開始するにあたり、インターロック60は筐体2内に引っ込んで格納された状態にある(
図8の破線で示す状態)。まず、使用者は、チューブ接合装置1のクランプ操作部31を掴んで、
図1に示す矢印RT方向に持ち上げる。すると、
図6に示すように、クランプ蓋部3が筐体側クランプ部50から離れて、筐体側クランプ部50が外部に開いた状態となる。
【0137】
次に、
図16(A)に示すように、チューブT1を準備する。そして、
図16(B)に示すように、チューブT1の接合部分C1を筐体側クランプ部50のはめ込み溝51Cとはめ込み溝52Cにはめ込む(
図9をも参照)。この際、第1のチューブT1は、はめ込み溝52C側からX1方向に向けてはめ込む。この作業により、チューブT1のコネクターCT側の部分はチューブセット補助具4のU字型の受け部138上に配置され、コネクターCTは受け部138の外側に位置される。
【0138】
次に、
図16(C)に示すように、第1のチューブT1に接合される第2のチューブT2を準備する。なお、チューブT2としては、例えば、当該接合作業の前に、既に前回の接合の際に形成された接合部141を有したものを使用することができる。この接合部141の断面は円形状に形成されている。
【0139】
次に、
図17(A)に示すように、第1のチューブT1の上側に第2のチューブT2を積み重ねる。第2のチューブT2の接合部141を、筐体側クランプ部50に設けられた位置決め用突起140の先端に合わせるようにして、第2のチューブT2をセットする。
【0140】
第2のチューブT2は、筐体側クランプ部50のはめ込み溝51Cとはめ込み溝52Cにはめ込む。この際、第2のチューブT2は、はめ込み溝51C側からX2方向に向けてはめ込む。これにより、
図17(B)に示すように、第2のチューブT2は第1のチューブT1の上側においてZ1方向に沿って積み重ねる。この状態で、各チューブT1、T2を矢印RZ方向に押し込んで、はめ込み溝51C、52C内で確実に固定させる。
【0141】
次に、使用者は、
図6に示すように開いた状態にあるクランプ蓋部3を閉じる作業を行う。クランプ操作部31を掴んで、クランプ蓋部3を
図6に示すRS方向に沿って回転させると、クランプ蓋部3が閉じる。これにより、
図18(A)に示すように、各チューブT1、T2は、第1のチューブ挟み込み部51と第2収容部材37の間、および、第2のチューブ挟み込み部52と第1収容部材36の間にそれぞれ挟み込まれる。
【0142】
そして、ウェハーWFがウェハーカセットWC内から、
図18(B)に示すように各チューブT1、T2の下方に位置する待機ポジションPS1へ移動される。この際、ウェハーWFは、
図14に示すウェハー加熱ヒータ110の加熱により、例えば、約300℃に加熱される。加熱されたウェハーWFは、後述するカムモータ117の作動により、
図18(B)に示すように、破線で示す待機ポジションPS1から実線で示す溶断ポジションPSmまでZ1方向に沿って上昇する。その結果、ウェハーWFにより各チューブT1、T2が溶断される。
【0143】
続いて、
図18(C)に示すように、
図7に示すクランプモータ56が制御部100の指令により作動して、クランプモータ56がギア56Gを回転させる。すると、第2収容部材37と一体的に構成された第1のチューブ押さえ部材35と、第1のチューブ挟み込み部51と一体的に構成された第2のチューブ押さえ部材53は、第1のチューブT1と第2のチューブT2を保持したまま180度回転する。その結果、第1のチューブT1の溶断した端部が上側に配置され、第2のチューブT2の溶断した端部が下側に配置される。
【0144】
次に、
図18(D)に示すように、ウェハーWFが溶断ポジションPSmから待機ポジションPS1にZ2方向に沿って下がるとともに、180度回転された側に位置する各チューブT1、T2がX2方向へ押される。
【0145】
これにより、ウェハーWFにより溶断され、かつ、180度回転された側に位置する第1のチューブT1の一方の端部は、回転されていない側に位置する第2のチューブT2の他方の端部に対して加圧して接合される。また、ウェハーWFにより溶断され、かつ、180度回転された側に位置する第2のチューブT2の一方の端部は、回転されていない側に位置する第1のチューブT1の他方の端部に対して加圧して接合される。その後、各チューブT1、T2が冷却されて接合が完了する。
【0146】
接合が完了した後、溶断に使用した使用済みのウェハーWFは、後述する移動機構500により、取出し口58へ排出される。これにより、使用者は使用済みのウェハーWFを指で摘んで取り出すことができる。
【0147】
その後、使用者は、クランプ操作部31を掴んで、
図1に示す矢印RT方向に持ち上げる。すると、
図6に示すようにクランプ蓋部3が筐体側クランプ部50から離れる。使用者は、
図19(A)、(B)に示すように接合した後の各チューブT1、T2を筐体側クランプ部50から取り外して分離する。以上のようにして、
図15に示す透析液バッグBL側のチューブT1と、使用者M側のチューブT2とを、無菌的にしかも簡便に接合することができる。
【0148】
次に、ウェハーカセットWC内のウェハーWFを、待機ポジションPS1と、排出ポジションPS2へ移動させる移動機構500について、
図20を参照して説明する。
図20は、移動機構500とウェハーカセット収納ユニット82の平面図である。
【0149】
図20に示す移動機構500は、筐体2内のウェハー送りユニット83に位置され、ウェハーカセット収納ユニット82と取出し口58の付近に配置されている。
【0150】
ウェハーカセット収納ユニット82内には、前述したようにウェハーカセットWCが収納されている。移動機構500は、このウェハーカセットWC内の未使用のウェハーWF1を1枚ずつY1方向に押し出して、待機ポジションPS1へ送る。さらに、移動機構500は、溶断に使用された使用済みのウェハーWFを、取出し口58へ移動させる。なお、以下の説明において、便宜上、溶断に使用される前のウェハーを未使用のウェハーWF1とし、溶断に使用されたウェハーを使用済みのウェハーWF2とし、これらのウェハーを総称してウェハーWFとする。
【0151】
図20に示すように、移動機構500は、ウェハー移動操作部501と、ウェハー送り位置検出部502と、ウェハーホルダー503を有している。ウェハー移動操作部501は、ウェハーカセット収納ユニット82に対面する位置において、Y1方向に沿って設けられている。
【0152】
ウェハー移動操作部501の構造を説明する。
【0153】
ウェハー移動操作部501は、移動体(スライダー)510と、第1基部511と、第2基部512と、送りネジ513と、ガイドバー514と、モータ103を有している。第1基部511と第2基部512は、間隔をおいて対面するようにして、筐体2の底面シャーシ2NにおいてZ1方向に立設されている。
【0154】
ガイドバー514は、第1基部511と第2基部512の間に固定されている断面円形の細い部材である。送りネジ513の一端部は、第1基部511に対して回転可能に取り付けられ、送りネジ513の他端部は、第2基部512に対して回転可能に取り付けられている。送りネジ513の一端部にはギア515が取り付けられている。ギア515は、モータ103の出力軸に固定されている別のギア516にかみ合っている。制御部100がモータドライブ104に指令を与えると、モータ103はギア515、516を介して送りネジ513を正回転と逆回転させる。
【0155】
送りネジ513とガイドバー514は、Y1方向に沿って設けられており、互いに平行に配置される。移動体510は、メネジ部分517と円筒状の受け部材518を有している。送りネジ513はメネジ部分517にかみ合っており、ガイドバー514は受け部材518を通っている。
【0156】
移動体510は、位置指示部材520と、押圧部材530を有している。位置指示部材520はX1方向を向いており、押圧部材530はY1方向を向いている。
【0157】
押圧部材530は、Y1方向とZ1方向に沿う平面に延在する板状の金属製の部材によって構成されている。その厚みは、ウェハーWFの厚み(0.3mm程度)より僅かに薄く構成されている。また、押圧部材530は移動体510からY1方向に突き出すように配置されている。押圧部材530は移動体510のウェハーカセット収納ユニット82に近い位置に取り付けられている。
【0158】
移動体510がY1方向に移動することで、移動体510の押圧部材530は、ウェハーカセット収納ユニット82に収納されているカセットWC内から未使用のウェハーWF1を一枚ずつY1方向に沿って直線的に送り出す。
【0159】
図20に示すウェハーホルダー503は、Y1方向に沿って押圧部材530の延長線上に配置されている。ウェハーホルダー503は、ウェハーカセットWCからY1方向に押し出されてきたウェハーWF1の下端面を支えながら、ウェハーWF1をY1方向に案内して待機ポジションPS1に位置決めする。このため、ウェハーホルダー503は、断面U字型の溝を有していて、その溝幅は、ウェハーWF1の厚み(0.3mm程度)より僅かに大きくなっている。このウェハーホルダー503は、使用済みのウェハーWF2を取出し口58にまで案内する機能も有している。
【0160】
次に、移動機構500のウェハー送り位置検出部502を説明する。
【0161】
ウェハー送り位置検出部502は、前進端センサ105と、中間センサ106と、後進端センサ107の少なくとも3つのセンサを有している。これらの各センサ105、106、107は、例えば、公知のフォトセンサによって構成することが可能である。
【0162】
図20に示すように、前進端センサ105は、光105Lを発生する発光部105Aと、この光105Lを受光する受光部105Bを有する。また、中間センサ106は、光106Lを発生する発光部106Aと、この光106Lを受光する受光部106Bを有する。また、後進端センサ107は、光107Lを発生する発光部107Aと、この光107Lを受光する受光部107Bを有する。
【0163】
前進端センサ105の発光部105A、中間センサ106の発光部106A、後進端センサ107の発光部107Aは、例えば、赤外発光ダイオードで構成することができる。また、前進端センサ105の受光部105B、中間センサ106の受光部106B、後進端センサ107の受光部107Bは、例えば、フォトトランジスタで構成することができる。また、発光部105Aと受光部105B、発光部106Aと受光部106B、発光部107Aと受光部107は、例えば、それぞれが小型樹脂にモールドされた一体型の反射型フォトセンサで構成することができる。なお、前進端センサ105、中間センサ106、後進端センサ107は、例えば、透過型フォトセンサで構成することも可能である。
【0164】
前進端センサ105の発光部105Aの発生する光105Lは、前進端位置PM1に移動体510の位置指示部材520が到達すると、位置指示部材520により反射されることで、受光部105Bに受光される。同様にして、中間センサ106の発光部106Aの発生する光106Lは、中間位置PM2に移動体510の位置指示部材520が到達すると、位置指示部材520により反射されることで、受光部106Bに受光される。また、同様にして、後進端センサ107の発光部107Aの発生する光107Lは、後進端位置PM3に移動体510の位置指示部材520が到達すると、位置指示部材520により反射されることで、受光部107Bに受光される。
【0165】
前進端センサ105の受光部105Bと、中間センサ106の受光部106Bと、後進端センサ107の受光部107Bが、それぞれ光105L、106L、107Lを受光すると、受光信号105S、106S、107Sが制御部100へ送られる。これにより、制御部100は、移動体510の位置指示部材520のY1方向に関する位置、すなわちウェハーWFのY1方向に関する押し出し位置を確認することができる。
【0166】
次に、移動機構500によるウェハーWFの位置決め動作を説明する。
【0167】
前述したように、チューブ接合装置1を使用した各チューブT1、T2の接合を行うにあたり、使用者は、
図6に示すようにクランプ蓋部3を開いた状態にする。そして、各チューブT1、T2を筐体側クランプ部50にセットする。
【0168】
また、接合を開始する前の準備作業として、ウェハーカセット収納ユニット82内にウェハーカセットWCをセットする作業を行う。
図20に示すように、ウェハーカセットWCをセットした段階においては、移動機構500が備えるウェハー移動操作部501の移動体510は、後進端位置PM3に位置決めされる。これにより、ウェハーカセットWC内に収納されたウェハーWF1の後端部530Rが、移動機構500が備えるウェハー移動操作部501の押圧部材530の先端部530Tに突き当たる位置に配置される。
【0169】
制御部100が、モータドライブ104に指令を与えると、モータ103がギア515、516を介して送りネジ513を正回転させる。これにより、移動体510は、ガイドバー514に沿ってY1方向に直線移動を始める。そして、押圧部材530の先端部530Tは、ウェハーカセットWC内の未使用のウェハーWF1を、1枚ずつY1方向に押し出して待機ポジションPS1に位置決めする。
【0170】
押圧部材530により未使用のウェハーWF1が待機ポジションPS1へ送られると、移動体510に設けられた位置指示部材520がY1方向に前進するので、位置指示部材520の位置が後進端センサ107、中間センサ106、そして前進端センサ105の順番で検出される。後進端センサ107、中間センサ106、そして前進端センサ105がそれぞれ位置指示部材520を検出すると、受光信号107S、106S、105Sを制御部100に送る。これにより、制御部100は、移動体510の位置指示部材520のY1方向に関する位置、すなわちウェハーWF1のY1方向に関する押し出し位置を確認することができる。
【0171】
図20に示すように、未使用のウェハーWF1が1枚ずつY1方向に押し出されて待機ポジションPS1に位置決めされると、制御部100はウェハー加熱ヒータ110に通電する。これにより、ウェハー加熱ヒータ110は、ウェハーWFに設けられた2つの接点131(
図13(A)を参照)を介してウェハーWFを通電・加熱して所定の温度に上げる。
【0172】
その後、制御部100は、
図11に示すモータドライブ111に指令を出す。これにより、カムモータ117が駆動して、ウェハーWF1を載せたウェハーホルダー503がZ1方向に押し上げられる。ウェハーWF1は待機ポジションPS1からZ1方向に持ち上げられて溶断ポジションPSmに位置決めされる。これにより、2本のチューブT1、T2が溶断される。なお、ウェハーホルダー503の動作の詳細については、後述する。
【0173】
次に、制御部100は、モータドライブ111に指令を出して、カムモータ117を駆動して、溶断に使用された使用済みのウェハーWF2を載せたウェハーホルダー503を溶断ポジションPSmから待機ポジションPS1までZ2方向に沿って下げる。
【0174】
次に、
図18(C)に示すように第1のチューブT1と第2のチューブT2が同時に180°回転されることで第1のチューブT1の溶断した端部と第2のチューブT2の溶断した端部が入れ替えられた後、それぞれの端部が加圧接合される。
【0175】
待機ポジションPS1に戻った使用済みのウェハーWF2は、押圧部材530によりY1方向にさらに移動されることで、使用済みのウェハーWF2を筐体から取り出すことが可能となる取出し口58まで押し出される(
図1、
図6を参照)。そして、使用者が指で使用済みのウェハーWF2を摘むことで、筐体2内に使用済みのウェハーWF2を落としてしまうこと無く取り出すことが可能になる。
【0176】
2本のチューブT1、T2を溶断して加圧接合を行った後、制御部100が
図11に示すモータドライブ104に指令を与えて送りネジ513を逆回転させると、移動体510と押圧部材530は、Y2方向に沿って直線移動して後進端位置PM3に復帰する。
【0177】
ここで、位置指示部材520が、後進端センサ107により検出されている状態では、押圧部材530の先端部530Tは未使用のウェハーWF1を押し始めていないので、未使用のウェハーWF1はウェハーカセットWC内からY1方向に飛び出していない。したがって、この時点では、ウェハーカセットWCをウェハーカセット収納ユニット82から取り出すことが可能である。
【0178】
一方で、位置指示部材520が、中間センサ106により検出されている状態では、押圧部材530と未使用のウェハーWF1がウェハーカセットWCに掛かっているので、ウェハーカセットWCをウェハーカセット収納ユニット82から取り出すことができない。同様にして、位置指示部材520が前進端センサ105により検出されている状態では、押圧部材530がウェハーカセットWCに掛かっているので、ウェハーカセットWCをウェハーカセット収納ユニット82から取り出すことができない。
【0179】
このように、後進端センサ107、中間センサ106、そして前進端センサ105が、Y1方向に沿って互いに間隔をおいて配置されているため、ウェハーカセット収納ユニット82からウェハーカセットWCを取り出すことが可能なタイミングを検出することができる。そして、このウェハーカセットWCの取出し可能なタイミングを示す案内は、例えば
図20に例示するように表示部8に表示することができる。
【0180】
次に、
図21、
図22を参照して、ウェハーホルダー503について説明する。
図21、
図22は、ウェハーホルダー503を簡略化して示す側面図である。
【0181】
前述したように、各チューブT1、T2を溶断する作業を実施する際には、移動機構500により、未使用のウェハーWF1が一枚ずつウェハーホルダー503へ送られる。そして、未使用のウェハーWF1がウェハーホルダー503に配置された状態で、ウェハーホルダー503が上昇動作を実施することにより、ウェハーホルダー503の上方にセットされた各チューブT1、T2が溶断される。
【0182】
図21(A)に示すように、ウェハーホルダー503は、未使用のウェハーWF1の下端面が載置されるU字型の溝(図示省略)が形成された本体部601と、この本体部601を筐体2の所定の位置に対して昇降可能に支持する支持部材602と、当該ウェハーホルダー503の昇降動作を駆動するカム651に当接されるベアリング部603と、当該ウェハーホルダー503の昇降状態を検出するために設けられた検出端604を有している。
【0183】
ウェハーホルダー503に設けられたベアリング部603は、カム651の回転に伴い当該カム651の外表面に沿って摺動する。ベアリング部603が摺動することにより、ウェハーホルダー503は所定方向(Z1、Z2方向)に昇降する。カム651の表面形状の変化によってウェハーホルダー503が所定のタイミングでZ1方向へ上昇して、ウェハーWFが溶断ポジションPSmに到達すると、各チューブT1、T2が溶断される。一方で、溶断が終了した後、カム651を回転させると、カム651の表面形状の変化によってウェハーホルダー503が所定のタイミングでZ2方向へ下降し、ウェハーWFが待機位置PS1へ戻される。
【0184】
カム651の回転動作は、制御部100からカムモータ117へ送信される指令に基づいて実施される。制御部100は、カム651を回転させるタイミングおよび停止させるタイミングやカム651の回転速度等を制御する。
【0185】
制御部100によるウェハーホルダー503の昇降動作の制御を正確に行うことを可能にするために、例えば、
図21(A)に示すようなウェハーホルダーセンサ661が用いられる。このウェハーホルダーセンサ661は、ウェハーホルダー503の検出端604との接触・非接触状態を検知可能な公知の接触式センサにより構成することができる。
【0186】
ウェハーホルダー503の検出端604がウェハーホルダーセンサ661に接触しているときには、ウェハーホルダー503が下降した状態にあることが検出され、ウェハーホルダー503の検出端604がウェハーホルダーセンサ661に接触していないときには、ウェハーホルダー503が上昇した状態にあることが検出される。これらの検出結果は制御部100へ送信される。制御部100は、送信された検出結果に基づいて、カム651の回転動作をフィードバック制御する。なお、ウェハーホルダーセンサ661は、ウェハーホルダー503の動作状態を検出可能であれば特に制限されることはなく、例えば、公知のフォトセンサ等によって構成することも可能である。
【0187】
次に、
図21、
図22を参照して、ウェハーWFがウェハーホルダー503へ送られ、その後に取出し口58まで送り出される動作例を説明する。
【0188】
図21(A)に示すように、二本のチューブT1、T2の溶断−接合作業を開始するにあたり、
図20に示す移動機構500によってウェハーカセットWCから未使用のウェハーWF1がウェハーホルダー503へ送られる。未使用のウェハーWF1は、溶断を開始する前の待機ポジションPS1に位置決めされる。この際、ウェハーWF1に設けられた2つの接点131を介してウェハーWF1が加熱される。
【0189】
次に、
図21(B)に示すように、制御部100からカムモータ117へ指令を送信してカム651を回転させる。カム651が回転すると、ベアリング部603を介してカム651に当接したウェハーホルダー503が持ち上げられる。これにより、ウェハーWFが溶断ポジションPSmに位置決めされる。ウェハーホルダー503が持ち上げられると、ウェハーホルダー503の上方に保持された各チューブT1、T2がウェハーWFにより溶断される。
【0190】
次に、
図22(A)に示すように、カム651を再び回転させると、カム651の表面形状に従ってウェハーホルダー503が下降動作を開始する。溶断に使用された使用済みのウェハーWF2は待機ポジションPS1に位置決めされる。
【0191】
溶断−接合作業が終了した後、
図20に示す移動機構500によってウェハーカセットWCから未使用のウェハーWF1がウェハーホルダー503へ送られる。この際、
図22(B)に示すように、未使用のウェハーWF1の先端部が使用済みのウェハーWF2の後端部に突き当てられる。未使用のウェハーWF1は、使用済みのウェハーWF2に突き当てられた状態でそのまま前進移動する。その結果、使用済みのウェハーWF2は、筐体2内に設けられた所定の搬送路611を通って取出し口58付近まで送り出される。以上のように、ウェハーWFは筐体2内において各ポジションに位置決めされた後、取出し口58へ移動される。
【0192】
溶断−接合作業を終えた後、他のチューブの溶断作業を引き続き実施する場合には、使用済みのウェハーWF2が取出し口58から取り除かれた後、
図5(A)に示す[接合]ボタン7Eが使用者により押下される。[接合]ボタン7Eが押下されると、ウェハーカセットWC内から送られた未使用のウェハーWF1による溶断作業が開始される。ここで、取出し口58に使用済みのウェハーWF2が残置された状態で[接合]ボタン7Eが押下されて溶断作業が進行すると、以下に説明する対比例のような問題が発生し得る。
【0193】
図23(A)は対比例に係るチューブ接合装置の筐体902を示し、
図23(B)は対比例に係るウェハーホルダー903の側面図を示す。また、各図には、使用済みのウェハーWF2が筐体902に残置された状態で溶断作業を進行させた際の様子が示される。
【0194】
図23(A)、(B)に示すように、使用済みのウェハーWF2は未使用のウェハーWF1によって押し出されて筐体902内の所定の搬送路906に沿って略直線的に移動するが、移動した後、他の部材等により支持等されないと、
図19(A)の矢印d1で示すように筐体2内で倒れ込んでしまう。このような倒れ込みが生じると、ウェハーホルダー903の動作範囲内に含まれる意図しない場所に使用済みのウェハーWF2が置かれてしまう。この状態で未使用のウェハーWF1による溶断作業が進行すると、昇降動作を行うウェハーホルダー903と使用済みのウェハーWF2が干渉してしまう。なお、ホルダー部903と使用済みのウェハーWF2の干渉はホルダー部903が持ち上げられる上昇動作時にも発生し得る。ウェハーホルダー903と使用済みのウェハーWF2が干渉すると、タイムアウトエラーや接合不良などの問題が発生してしまう。
【0195】
上記のような点を鑑みて、本実施形態に係るチューブ接合装置1は、使用済みのウェハーWF2が装置に残置されているか否かを検出し、その検出結果に応じて溶断作業の進行を制限するように動作制御を実施する。
【0196】
概説すると、チューブ接合装置1は、第1のチューブT1および第2のチューブT2を保持する筐体側クランプ部50(保持部に相当する)を備える筐体2と、筐体2に設けられ、複数のウェハーWFを収容可能に構成されたウェハーカセット収納ユニット82(収容部に相当する)と、筐体側クランプ部50に保持された第1のチューブT1および第2のチューブT2を溶断する際にウェハーWFを待機させる待機ポジションPS1(第1の位置に相当する)へウェハーカセット収納ユニット82に収容されたウェハーWFを移動させ、溶断作業後に、筐体2からウェハーWFが取り出し可能となる排出ポジションPS2(第2の位置に相当する)へ溶断に使用された使用済みのウェハーWF2を移動させる移動機構500と、溶断作業後に使用済みのウェハーWF2が排出ポジションPS2に残置されているか否かを検出するウェハー残置検出センサ700(切断部材検出部に相当する)と、溶断に使用される前の未使用のウェハーWF1を使用した溶断作業を開始する際に、ウェハー残置検出センサ700により排出ポジションPS2に使用済みのウェハーWF2が残置されていることが検出された場合、溶断作業の進行を制限するように動作制御を行う制御部100と、を有している。
【0197】
使用済みのウェハーWF2の残置を検出するために用いられるウェハー残置検出センサ700について説明する。
【0198】
図6、
図20に示すように、ウェハー残置検出センサ700は、取出し口58付近に位置する排出ポジションPS2に向けて光を出射する発光部701と、発光部701が出射した光の受光の有無により使用済みのウェハーWF2が排出ポジションPS2に残置されているか否かを検知する受光部702とを備えるフォトセンサによって構成している。
【0199】
ウェハー残置検出センサ700は、例えば、筐体2の内部における取出し口58の付近に配置される。また、発光部701と受光部702は、互いの間を使用済みのウェハーWF2が通過することが可能となるように所定の間隔を空けて配置される。
【0200】
発光部701は、制御部100から送信される指令に基づいて所定のタイミングで光を出射する。具体的には、チューブの溶断および接合が終了して、使用済みのウェハーWF2が取出し口58へ移動された後に光を出射する。この光が、受光部702に到達すると、受光部702は当該受光部702と発光部701との間に使用済みのウェハーWF2が存在していないとの検出結果を得る。一方、発光部701から出射された光が受光部701に到達しない場合には、受光部702は当該受光部702と発光部701との間に使用済みのウェハーWF2が存在するとの検出結果を得る。これらの検出結果は
図11に示すように、ウェハー残置検出センサ700から制御部100へ送信される。
【0201】
制御部100は、発光部701と受光部702との間に使用済みのウェハーWF2が存在しているとの検出結果を得た場合には、「溶断作業後に使用済みのウェハーWF2が取出し口58に残置されている」と判定する。また、制御部100は、発光部701と受光部702との間に使用済みのウェハーWF2が存在していないとの検出結果を得た場合には、「溶断作業後に使用済みのウェハーWF2が取出し口58に残置されていない」と判定する。制御部100は上記の判定結果に基づいて、所定の処理動作を実行するようにチューブ接合装置1の各部へ動作指令を送信する。
【0202】
次に、
図24を参照して、チューブ接合装置1の動作制御例を説明する。
図24には、チューブ接合装置1による溶断−接合作業の工程を概略的に表したフローチャートが示される。制御部100は、ROMに予め格納された制御プログラムを実行することによって
図24に示す各作業を装置の各部に実行させるように指令を発信する。
【0203】
最初に、チューブ接合装置1の使用に際して、所定の準備作業が行われる。具体的には、クランプ蓋部3を開いて接合対象となるチューブT1、T2を筐体側クランプ部50にセットする作業と、クランプ蓋部3を閉じる作業と、ウェハーカセットWCをウェハーカセット収納ユニット82にセットする作業が行われる。
【0204】
準備作業が完了した後、ステップ101として、第1のチューブT1および第2のチューブT2のセット状態、開閉可能なカバーとしての機能を備えるクランプ蓋部3の開閉状態、ウェハーカセット収納ユニット82内へのウェハーWFの収容状態がそれぞれ正常であるか否かが検出される。
【0205】
各チューブT1、T2が正常にセットされているか否かは、
図11に示すホールセンサ90(チューブ検出部に相当する)により行われる。また、クランプ蓋部3が正常に閉められているか否かは、
図11に示すマイクロスイッチ93(カバー検出部に相当する)により行われる。また、ウェハーカセット収納ユニット82内にウェハーWFが正常に収容されているか否かは、
図11に示すウェハー有無センサ101およびウェハー残量検出センサ102(収容状態検出部)により行われる。
【0206】
ステップ101において、チューブT1、T2のセット状態、クランプ蓋部3の開閉状態、ウェハーWFの収容状態のいずれか一つでも正常でないと検出された場合は、溶断作業の進行が制限されてステップ111に進む。
【0207】
ここで、チューブT1、T2のセットが正常でない状態とは、例えば、各チューブT1、T2が上下方向に整列して配置されていない場合やチューブT1、T2のうちの一方または他方がセットされていない場合などが該当する。クランプ蓋部3が正常に閉められていない状態とは、例えば、クランプ蓋部3が開かれたままで閉じられていない状態などが該当する。ウェハーWFが正常に収容されていない状態とは、例えば、ウェハーカセットWCがウェハーカセット収納ユニット82にセットされていない状態やウェハーカセットWC内にウェハーWFが収容されていない状態などが該当する。
【0208】
ステップ111では、ステップ101において検出された結果が正常でない旨を使用者に報知する。報知は、チューブ接合装置1に設けられた報知部により実施される。この報知部としては、例えば、
図11に示す音声部や
図5(B)に示す表示部8が用いられる。報知方法としては、例えば、音声部から警告音声や警告音を発したり、表示部8の各ランプ8B、8C、8D等を点灯・点滅させたりする方法で行われる。報知が実施された後、ステップ101に進み、再度検出が行われる。
【0209】
ステップ101において正常との検出結果が得られた場合は、ステップ102に進む。ステップ102において、使用者が
図5に示す[接合]ボタンを押下するとステップ103に進む。
【0210】
ステップ103では、
図15に示す移動機構500により未使用のウェハーWF1が待機ポジションPS1へ送られる。次にステップ104に進む。
【0211】
ステップ104では、
図15に示すウェハー残置検出センサ700により、現在進行中の溶断作業に先立って使用された使用済みのウェハーWF2が取出し口58付近に残置されているか否かの検出が行われる。
【0212】
ステップ104において、取出し口58に使用済みのウェハーWF2が残置されていることが検出された場合は、溶断作業の進行が制限されて、ステップ112に進む。
【0213】
ステップ112では、取出し口58に使用済みのウェハーWF2が残置されていることを報知する。報知する方法は、ステップ111と同様に、例えば、音声部から警告音声や警告音を発したり、表示部8の[ウェハー残置]ランプ8Hを点灯・点滅させたりする方法で行われる。報知が実施された後、ステップ104に進み、使用済みのウェハーWF2が残置されているか否かの検出が再度行われる。
【0214】
ステップ104において、取出し口58に使用済みのウェハーWF2が残置されていないことが検出された場合は、ステップ105に進む。
【0215】
ステップ105では、ステップ101と同様に、第1のチューブT1および第2のチューブT2のセット状態、クランプ蓋部3の開閉状態、ウェハーカセット収納ユニット82内のウェハーWFの収容状態がそれぞれ正常であるか否かが検出される。溶断を開始する前工程であるウェハーWFの加熱が実施される前に上記の各項目を再度確認することにより、使用者が誤操作等を行っていないかが再度チェックされる。ウェハーWF2を取り除く作業時に各チューブT1、T2に位置ズレが生じているような場合や、ウェハーWF2を取り除いた後にクランプ蓋部3が開いた状態のままである場合には、タイムアウトエラー等の原因となるため、これらの問題が生じていないか否かが確認的にチェックされる。
【0216】
ステップ105において、チューブT1、T2のセット状態、クランプ蓋部3の開閉状態、ウェハーWFの収容状態のいずれか一つでも正常でないと検出された場合は、溶断作業の進行が制限されて、ステップ113に進む。ステップ113では、前述したステップ111と同様に、報知部による報知が行われる。報知が実施された後、ステップ105に進み、再度検出が行われる。
【0217】
ステップ105において、正常との検出結果が得られた場合は、ステップ106に進む。
【0218】
ステップ106では、ウェハーWFを加熱する。ウェハーWFを加熱した後、ステップ107に進む。
【0219】
ステップ107では、カムモータ117の上昇動作が駆動され、ウェハーホルダー503による各チューブT1、T2の溶断が行われる(
図21(B)を参照)。
【0220】
次に、ステップ108に進み、カムモータ117の下降動作が駆動される(
図22(A)を参照)。
【0221】
次に、ステップ109に進み、溶断に使用された使用済みのウェハーWF2を冷却する。
【0222】
このように
図24に示すフローチャートにしたがって各工程を実施することで、取出し口58に使用済みのウェハーWF2が残置された状態で溶断作業が進行されるのを好適に防止することが可能になる。
【0223】
以上、本実施形態に係るチューブ接合装置1によれば、未使用のウェハーWF1を使用した溶断作業を開始する際に、溶断に使用された使用済みのウェハーWF2が当該装置1からウェハーが取り出し可能となる排出ポジションPS2に残置されていることが検出された場合には、溶断作業の進行が制限される。このため、排出ポジションPS2に使用済みのウェハーWF2が残置されていることに起因して生じ得るタイムアウトエラーや接合不良などの問題が発生することを好適に防止することが可能になる。
【0224】
また、チューブ接合装置1が、使用済みのウェハーWF2の残置の有無の検出を実施する前および/またはその後に、各チューブT1、T2のセット状態が正常か否か、クランプ蓋部3の開閉状態が正常か否か、ウェハーWFの収容状態が正常か否かをそれぞれ検出し、各条件が満たされた場合に溶断作業を進行するように構成されているため、準備が整えられていない状態で溶断作業が進行してしまう誤動作の発生を好適に防止することができる。特に、ウェハー残置検出センサ700による検出の後に実施することで、排出ポジションPS2から使用済みのウェハーWF2を取り除く作業中に生じ得るチューブT1、T2の位置ズレ、クランプ蓋部3の閉め忘れ等が発生している場合に、その旨を使用者が容易に把握することが可能になるため、これらの不具合に迅速に対応することが可能になる。
【0225】
また、制御部100によって溶断作業の進行が制限される動作制御がなされる場合に、その旨を報知する報知部を有するように構成されているため、溶断作業の進行が制限される旨を使用者が明確に把握することが可能になる。
【0226】
また、筐体2の内外に連通する取出し口58付近に排出ポジションPS2が設定されているため、筐体2内部から送り出された使用済みのウェハーWF2が取出し口58に滞留して生じるタイムアウトエラーの発生を好適に防止することが可能になる。
【0227】
また、ウェハー残置検出センサ700がフォトセンサを有するように構成されている場合、精度良く使用済みのウェハーWF2の残置の有無を検出することが可能になる。
【0228】
以上、実施形態を通じて本発明に係るチューブ接合装置を説明したが、本発明は実施形態において説明した内容に限定されることはなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜改変することが可能である。
【0229】
例えば、使用済みのウェハーの残置を検出するタイミングは、ウェハーホルダーが昇降動作を開始する前に設定されればよく、その限りにおいて変更することが可能である。一例として、ウェハーを昇温する工程の直前に実施してもよい。
【0230】
また、例えば、チューブのセット状態、カバーの開閉状態、ウェハーのセット状態の検出については、その実施を省略してもよい。実施形態において説明したように実施する場合においても、例えば、使用済みのウェハーの残置を検出する工程を行う前後のいずれかのタイミングで少なくとも実施されていればよい。
【0231】
また、例えば、ウェハー残置検出センサの構成は、フォトセンサのみに限定されず、排出ポジションに送り出された使用済みのウェハーを検出可能な限りにおいて変更することが可能である。一例として、排出ポジション付近で使用済みのウェハーに接触することで残置の有無を検出するように構成された接触式のセンサなどを使用することができる。
【0232】
また、例えば、チューブ接合装置の筐体や各部の構成は、当該装置が使用される用途や目的、設計上の都合等に応じて変更可能であり、図示した構成のみに限定されることはない。同様に、使用済みのウェハーの検出が行われる第2の位置を筐体に設けられた取出し口付近に設定した例を説明したが、第2の位置は装置の構成等に合わせて適宜変更することが可能である。ウェハー残置検出センサの配置位置についても第2の位置との関係で変更することが可能である。
【0233】
また、接合対象となるチューブは、溶断した後に端部の位置を切り替えて加圧接合を行う対象となるチューブであればよく、腹膜透析に用いられるチューブに限定されることはない。