(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
(異方性導電フィルム)
本発明の異方性導電フィルムは、導電性粒子含有層と、剥離性基材とを少なくとも有し、更に必要に応じてその他の層や成分を有する。
前記異方性導電フィルムは、第1の電子部品の端子と第2の電子部品の端子とを異方性導電接続させる異方性導電フィルムである。
【0014】
<導電性粒子含有層>
前記導電性粒子含有層は、接着層形成成分と、粘着付与成分と、導電性粒子とを少なくとも含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
【0015】
<<接着層形成成分>>
前記接着層形成成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱硬化性樹脂、膜形成樹脂、硬化剤、シランカップリング剤、結晶性樹脂、非晶性樹脂、エラストマー、などが挙げられる。
【0016】
これらの中でも、前記熱硬化性樹脂と前記膜形成樹脂と前記硬化剤と前記シランカップリング剤とを併用した場合には、前記異方性導電フィルムの接続抵抗を十分に維持しつつ仮貼り特性を向上させることができる点で有利である。また、前記結晶性樹脂と前記非晶性樹脂とを併用した場合には、より好ましくは前記結晶性樹脂と前記非晶性樹脂と前記エラストマーとを併用した場合には、前記異方性導電フィルムの接続抵抗を十分に維持しつつ仮貼り特性を向上させ、その上、低温かつ短時間での電子部品との接続が可能である点で有利である。
【0017】
−熱硬化性樹脂−
前記熱硬化性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。
【0018】
−−エポキシ樹脂−−
前記エポキシ樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、それらの変性エポキシ樹脂等の熱硬化性エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記接着層形成成分における前記エポキシ樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0019】
−−アクリル樹脂−−
前記アクリル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、リン酸基含有アクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、テトラメチレングリコールテトラアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレートなどが挙げられる。なお、前記アクリレートをメタクリレートにしたものを用いることもできる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記接着層形成成分における前記アクリル樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0020】
−膜形成樹脂−
前記膜形成樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェノキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。前記膜形成樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、製膜性、加工性、接続信頼性の点からフェノキシ樹脂が特に好ましい。
前記フェノキシ樹脂とは、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンより合成される樹脂であって、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記接着層形成成分における前記膜形成樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0021】
−硬化剤−
前記硬化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カチオン系硬化剤、ラジカル系硬化剤などが挙げられる。
【0022】
−−カチオン系硬化剤−−
前記カチオン系硬化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スルホニウム塩、オニウム塩などが挙げられる。これらの中でも、芳香族スルホニウム塩が好ましい。
前記カチオン系硬化剤は、前記熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂と併用することが好ましい。
前記接着層形成成分における前記カチオン系硬化剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0023】
−−ラジカル系硬化剤−−
前記ラジカル系硬化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機過酸化物などが挙げられる。
前記ラジカル系硬化剤は、前記熱硬化性樹脂としてのアクリル樹脂と併用することが好ましい。
前記接着層形成成分における前記ラジカル系硬化剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0024】
−シランカップリング剤−
前記シランカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エポキシ系シランカップリング剤、アクリル系シランカップリング剤、チオール系シランカップリング剤、アミン系シランカップリング剤などが挙げられる。
前記接着層形成成分における前記シランカップリング剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0025】
−結晶性樹脂−
前記結晶性樹脂としては、結晶領域を有する樹脂であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、などが挙げられる。ここで、前記結晶性樹脂かどうかは、例えば、示差走査熱量分析において、昇温過程で吸熱ピークが観察されることにより確認できる。
前記ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂などが挙げられる。
前記ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレン樹脂、などが挙げられる。
【0026】
−非晶性樹脂−
前記非晶性樹脂としては、前記結晶性樹脂の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
本発明において前記非晶性樹脂を前記結晶性樹脂と併用する場合には、互いに同種の樹脂を併用するのが好ましく、例えば、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂との組合せ、結晶性ポリウレタン樹脂と非晶性ポリウレタン樹脂との組合せ、結晶性ポリオレフィンと非晶性ポリオレフィンとの組合せなどが好ましい。前記結晶性樹脂と前記非晶性樹脂とで同種のものを併用すると、前記結晶性樹脂と前記非晶性樹脂とを混合して前記結晶性樹脂が溶剤に溶解しやすい状態を作製できるため、前記結晶性樹脂がほぼ均一に含有された導電性粒子含有層を得ることができる。
そして、得られる導電性粒子含有層は、低温及び短時間での接続を可能にする。これは、得られる導電性粒子含有層を加熱して軟化した後に、加熱状態が解かれて常温に戻る際に、前記結晶性樹脂に由来して速やかに凝固するためと考えられる。
【0027】
前記結晶性樹脂と前記非晶性樹脂の質量を比較した比率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記結晶性樹脂:前記非晶性樹脂が50:50〜84:14が好ましく、50:50〜75:25がより好ましい。
【0028】
−エラストマー−
前記エラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリウレタン樹脂(ポリウレタン系エラストマー)、アクリルゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴムなどが挙げられる。
【0029】
前記エラストマーは、ゴム状の弾力性を有する点で、前記結晶性樹脂、及び前記非晶性樹脂とは異なる。
【0030】
前記結晶性樹脂及び前記非晶性樹脂の質量の和(X)と、前記エラストマーの質量(Y)を比較した比率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、X:Yが50:50〜100:0が好ましく、75:25〜100:0がより好ましい。
【0031】
<<粘着付与成分>>
前記導電性粒子含有層は、粘着付与成分を含有する。
本発明で粘着付与成分とは、異方性導電性フィルムをイソプロピルアルコール(IPA):水=3:1(質量比)の混合溶剤や、IPA:トルエン:水=60:20:20の混合溶剤などで溶かした際、抽出させる成分をいう。
【0032】
前記粘着付与成分を含有することにより、前記導電性粒子含有層は、以下の性質を有する。
前記導電性粒子含有層の前記剥離性基材と接する側の面の粘着性が、前記剥離性基材と反対側の面の粘着性の2.0倍以上である。
前記剥離性基材と接する側の面の粘着性と前記剥離性基材と反対側の面の粘着性の比が、特に2.5〜4.0であるとより好ましい。尚、この比は、5.0より大きくなると、ロール品で保管した際に、フィルム背面へのブロッキングの発生が懸念されるため、5.0以下が好ましい。
【0033】
粘着性の測定は、以下のようにして行う。
[粘着性の測定]
対象となる層の表面に対し、タック試験機((株)レスカ製TACII)を用い、22℃の雰囲気下において、プローブ直径(φ)5mm(ステンレス製鏡面、円柱状)、押し付け荷重196gf、押し付け速度30mm/min、剥離速度5mm/minの測定条件で行い、ピーク強度を各サンプルの粘着性(g/5mmφ)とする。
【0034】
前記粘着付与成分は、前記接着層形成成分に対し非相溶なものである。
ここで非相溶とは、接着層形成成分と粘着付与成分を共通の溶剤(例えばトルエン、メチルエチルケトンなどに溶解し、フィルム状に保持し溶剤を揮発させた際、明らかな白濁を眼視にて確認できる状態をいう。
【0035】
また前記粘着付与成分は、以下の性質を有する。
異方性導電フィルムから粘着付与成分を抽出し、該抽出した粘着付与成分5質量部とイソプロピルアルコール:トルエン:純水の60:20:20(質量比)の混合溶剤95質量部とを含む溶解液を前記剥離性基材に滴下したときの接触角を測定する(以下、Bの接触角という)。異方性導電フィルムから接着層形成成分を抽出し、該抽出した接着層形成成分95質量部とメチルエチルケトン:トルエン:シクロヘキサノンの50:40:10(質量比)の混合溶剤400質量部とを含む溶解液を前記剥離性基材に滴下したときの接触角を測定する(以下、Aの接触角という)。
本発明の粘着付与成分は、Bの接触角がAの接触角よりも大きくなるものが選択される。
接触角の測定は、JIS規格(JIS R3257 1999)に則り測定することができる。
【0036】
ここで、異方性導電フィルムから粘着付与成分を抽出する方法としては、異方性導電性フィルムをイソプロピルアルコール(IPA):水=3:1(質量比)の混合溶剤や、IPA:トルエン:水=60:20:20の混合溶剤などで溶かし抽出する方法が挙げられる。また、異方性導電フィルムから接着層形成成分を抽出する方法としては、異方性導電性フィルムをテトラヒドロフラン(THF)、メチルエチルケトン、トルエン、酢酸エチルなどの溶剤で溶かし抽出する方法が挙げられる。
接触角の測定において、Aの接触角とBの接触角を測定する際に使用する剥離性基材は、同じ種類のものを用いる。
【0037】
前記粘着付与成分の導電性粒子含有層における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.3質量%〜5.0質量%が好ましく、0.5質量%〜1.5質量%がより好ましい。
【0038】
前記粘着付与成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ポリアミド樹脂、ポリビニルアセタールなどが挙げられる。粘着付与成分を液状状態で含有させると、非反応型バインダーの場合においては耐熱性が低下するため、好ましくは高分子状態で含有させるとよい。
【0039】
<<導電性粒子>>
前記導電性粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属粒子、金属被覆樹脂粒子などが挙げられる。
【0040】
前記金属粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニッケル、コバルト、銀、銅、金、パラジウム、半田などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ニッケル、銀、銅が好ましい。これらの金属粒子は、表面酸化を防ぐ目的で、その表面に金、パラジウムを施していてもよい。更に、表面に金属突起や有機物で絶縁皮膜を施したものを用いてもよい。
【0041】
前記金属被覆樹脂粒子としては、樹脂粒子の表面を金属で被覆した粒子であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、樹脂粒子の表面をニッケル、銀、半田、銅、金、及びパラジウムの少なくともいずれかの金属で被覆した粒子などが挙げられる。更に、表面に金属突起や有機物で絶縁皮膜を施したものを用いてもよい。低抵抗を考慮した接続の場合、樹脂粒子の表面を銀で被覆した粒子が好ましい。
前記樹脂粒子への金属の被覆方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無電解めっき法、スパッタリング法などが挙げられる。
前記樹脂粒子の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ベンゾグアナミン樹脂、架橋ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−シリカ複合樹脂などが挙げられる。
【0042】
前記導電性粒子は、異方性導電接続の際に、導電性を有していればよい。例えば、金属粒子の表面に絶縁皮膜を施した粒子であっても、異方性導電接続の際に前記粒子が変形し、前記金属粒子が露出するものであれば、前記導電性粒子である。
【0043】
前記導電性粒子の平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2μm〜40μmが好ましく、5μm〜30μmがより好ましく、10μm〜25μmが更により好ましく、10μm〜20μmが特に好ましい。
前記平均粒子径は、任意に10個の導電性粒子について測定した粒子径の平均値である。
前記粒子径は、例えば、走査型電子顕微鏡観察により測定できる。
【0044】
前記導電性粒子の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0045】
<剥離性基材>
前記剥離性基材としては、仮貼り時に導電性粒子含有層から剥がされるフィルムであれば、特に制限なく用いることができ、例えば、剥離性基材の水に対する接触角が80°以上である剥離性基材を用いることができる。
更に、例えば、シリコーン系フィルム、弗素系フィルム、シリコーン系や弗素系などの離型剤で離型処理されたPET、PEN、グラシン紙などが挙げられる。これらの中でも、シリコーン系の剥離性基材が好ましい。
前記剥離性基材の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、12μm〜75μmが好ましい。
【0046】
<異方性導電フィルムの製造方法>
前記粘着付与成分は、前記接着層形成成分に対し非相溶であるため、接着層形成成分が非熱硬化性樹脂である場合、従来の製造方法では、粘着付与成分を所望の状態で導電性粒子含有層に含有させることができない。そこで、本発明では以下の工程により、異方性導電フィルムを製造するとよい。
接着層形成成分を溶剤に溶解しワニスAを調製するワニスA調製工程と、
粘着付与成分を溶剤に溶解しワニスBを調製するワニスB調製工程と、
前記ワニスBと前記ワニスAとを混合し、その後導電性粒子を加えて異方性導電組成物を得る異方性導電組成物調製工程と、
前記異方性導電組成物を剥離性基材上に塗布し乾燥させる工程により異方性導電フィルムを製造する。
前記接着層形成成分に使用する溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルエチルケトン:トルエン:シクロヘキサノンの50:40:10(質量比)の混合溶剤、トルエン:酢酸エチルの50:50(質量比)の混合溶剤などを用いることができる。前記粘着性付与成分に使用する溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソプロピルアルコール:トルエン:純水の60:20:20(質量比)の混合溶剤、IPA:水の3:1(質量比)などを用いることができる。
【0047】
<第1の電子部品及び第2の電子部品>
前記第1の電子部品及び前記第2の電子部品としては、前記異方性導電フィルムを用いた異方性導電接続の対象となる、端子を有する電子部品であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス基板、フレキシブル基板、リジッド基板、IC(Integrated Circuit)チップ、TAB(Tape Automated Bonding)、液晶パネルなどが挙げられる。前記ガラス基板としては、例えば、Al配線形成ガラス基板、ITO配線形成ガラス基板などが挙げられる。前記ICチップとしては、例えば、フラットパネルディスプレイ(FPD)における液晶画面制御用ICチップなどが挙げられる。
【0048】
前記異方性導電フィルムの平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm〜100μmが好ましく、10μm〜60μmがより好ましく、20μm〜50μmが特に好ましい。
【0049】
(接続方法)
本発明の接続方法は、第1の配置工程と、剥離性基材の剥離工程と、第2の配置工程と、加熱押圧工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
前記接続方法は、第1の電子部品の端子と第2の電子部品の端子とを異方性導電接続させる方法である。
【0050】
前記第1の電子部品、及び前記第2の電子部品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の前記異方性導電フィルムの説明で例示した前記第1の電子部品、及び前記第2の電子部品がそれぞれ挙げられる。
【0051】
<第1の配置工程>
前記第1の配置工程としては、前記第2の電子部品の端子上に本発明の前記異方性導電フィルムを配置する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0052】
<剥離性基材の剥離工程>
前記剥離性基材の剥離工程としては、前記異方性導電フィルムの剥離性基材を導電性粒子含有層から剥離する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0053】
<第2の配置工程>
前記第2の配置工程としては、前記導電性粒子含有層上に前記第1の電子部品を、前記第1の電子部品の端子が前記導電性粒子含有層と接するように配置する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0054】
<加熱押圧工程>
前記加熱押圧工程としては、前記第1の電子部品を加熱押圧部材により加熱及び押圧する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記加熱押圧部材としては、例えば、加熱機構を有する押圧部材などが挙げられる。前記加熱機構を有する押圧部材としては、例えば、ヒートツールなどが挙げられる。
前記加熱の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100℃〜140℃が好ましい。
前記押圧の圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5MPa〜10MPaが好ましい。
前記加熱及び押圧の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5秒間〜10秒間が好ましい。
【0055】
(接合体)
本発明の接合体は、上記接続方法により接続された接合体であればよく、第1の電子部品と、第2の電子部品と、導電性粒子含有層とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
【実施例】
【0056】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0057】
(実施例1)
<異方性導電フィルムの作製>
エラストマー成分A1となるニッポランN−5196(日本ポリウレタン工業株式会社製、ポリカーボネート骨格のポリウレタン系エラストマー、固形分30質量%)を120℃のオーブンで2時間乾燥させ、固形成分A1−1を抽出した。
得られた固形成分A1−1 24質量部に結晶性樹脂A2であるアロンメルトPES−111EE(東亜合成株式会社製、結晶性ポリエステル樹脂を主成分とする結晶性樹脂)35質量部、非晶性樹脂A3であるエリーテルUE3500(ユニチカ株式会社製、非晶性ポリエステル樹脂)35質量部、及び混合溶剤(メチルエチルケトン(MEK):トルエン:シクロヘキサノン=50:40:10(質量比))400質量部を混合及び撹拌し、溶解液を作製し、混合ワニスAを得た。
【0058】
続いて、粘着付与成分であるマクロメルト6202(ヘンケルジャパン株式会社製 ポリアミド樹脂)5質量部と、60℃に加熱した混合溶剤(イソプロピルアルコール:トルエン:純水=60:20:20(質量比))95質量部とを混合攪拌し、溶解させたのち室温にて自然冷却させ、粘着付与成分の混合ワニスBを得た。
調製後の混合ワニスBと、混合ワニスAとを、固形分(質量)比でA:B=94:1となるように混合し、その後、撹拌し樹脂溶解成分を作製した。
続いて、平均粒子径20μmの球状Agめっき樹脂粒子(下記の製造方法で得られた導電性粒子)5質量部を加えて、異方性導電組成物を得た。
得られた異方性導電組成物を、シリコーン系の離型剤で離型処理された50μm厚みのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に乾燥後の平均厚みが35μmとなるように塗布し、80℃で10分間乾燥させ、異方性導電フィルムを作製した。
【0059】
<シリコーン系離型処理フィルムの作製>
付加反応型シリコーン溶液(信越化学工業株式会社の商品名「KS−847」、シリコーン濃度30質量%)を13質量部と、白金硬化触媒(信越化学工業株式会社製の商品名「PL−50T」)を0.3質量部とを、トルエン40質量部とメチルエチルケトン47質量部の混合溶媒に添加して剥離層用の塗布液を作成した。
上記剥離層用の塗布液を用い、厚さ50μmで両面未処理のPETフィルム上に塗布、乾燥し、シリコーン系剥離フィルムを得た。
尚、これら塗布液の塗布にはコイルバーを用いた。塗布層の硬化は、全体を160℃で1分間加熱した。シリコーン系離型材の乾燥後の膜厚は0.1μmであった。
【0060】
−導電性粒子の製造−
−−ジビニルベンゼン系樹脂粒子の製造−−
ジビニルベンゼン、スチレン、及びブチルメタクリレートの混合比を調整した溶液に、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイドを投入して高速で均一攪拌しながら加熱を行い、重合反応を行うことにより微粒子分散液を得た。前記微粒子分散液をろ過し減圧乾燥することにより微粒子の凝集体であるブロック体を得た。更に、前記ブロック体を粉砕することにより、ジビニルベンゼン系樹脂粒子を得た。
−−樹脂粒子の銀めっき−−
銀塩として硝酸銀4.25gを純水625mLに室温で溶解した溶液に、還元剤としてベンズイミダゾール15gを加えて溶解し、当初生成した沈殿が完全に溶解したのを確認した後、錯化剤としてコハク酸イミド5g、及びクエン酸1水和物3gを溶解し、その後、結晶調整剤としてグリオキシル酸13gを投入し完全溶解させ無電解銀メッキ液を調製した。
次に、上記で得られた前記ジビニルベンゼン系樹脂粒子を前記無電解銀メッキ液に投入し、この液を攪拌しながら加熱して温度を50℃に保った。その後、ブフナー漏斗で濾別して粒子を分離し真空乾燥機で80℃2時間乾燥し、平均粒子径20μmの球状Agめっき樹脂粒子(導電性粒子)を得た。
【0061】
<粘着性の測定>
タック試験機((株)レスカ製TACII)を用い、22℃の雰囲気下において、プローブ直径(φ)5mm(ステンレス製鏡面、円柱状)、押し付け荷重196gf、押し付け速度30mm/min、剥離速度5mm/minの測定条件で行い、ピーク強度を各サンプルの粘着性(g/5mmφ)とした。
上記方法により、前記剥離性基材と接する側の面の粘着性を測定した。また、前記剥離性基材と反対側の面の粘着性を測定した。そして、それら両面の粘着性の比を求めた。
【0062】
<接触角の測定>
−粘着付与成分の抽出−
剥離性基材と導電性粒子含有層が積層されてなる本願発明の異方性導電フィルムを100mm×100mmに切り出した。
イソプロピルアルコール(IPA):水=3:1(質量比)の混合溶剤を10mL準備し、切り出した異方性導電フィルムの最表層を、当該混合溶剤にて洗い流し抽出成分含有溶剤を回収した。
上記作業を3回繰返し、抽出成分含有溶剤を回収後、100℃のオーブンにて溶剤を乾燥させ、粘着付与成分の抽出成分を得た。
抽出成分が粘着付与成分の抽出成分であることは、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR法)で確認した。
【0063】
−粘着付与成分の抽出成分の接触角測定−
上記で得られた粘着付与成分の抽出成分を再度、イソプロピルアルコール:トルエン:純水=60:20:20(質量比)の混合溶剤にて溶解させた。この時、回収された抽出成分5質量部に対し、混合溶剤は95質量部添加し、粘着付与成分の溶解液B1を得た。
作製された溶解液B1にて、本実施例1で異方性導電フィルムを塗布作製する際に使用したシリコーン系剥離性基材と同様のフィルムを用い、接触角BをJIS規格(JIS R3257 1999)に則り、画像処理式接触角計CA−X型(協和界面科学株式会社製)を用いて測定した。結果を表1−1に示す。
【0064】
−接着層形成成分の抽出−
剥離性基材と導電性粒子含有層が積層されてなる本願発明の異方性導電フィルムを100mm×100mmに切り出した。
切り出した異方性導電フィルムから剥離性基材を慎重に剥離し、該異方性導電フィルムの最表面とは反対となる面(剥離基材が貼付されていた側の面、以下、反対面1という)を露出させた。
露出させた異方性導電フィルムを、反対面1側から30μmのところまでマイクロナイフで削りとって、あらかじめ準備したテトラヒドロフラン(THF)10mLへ溶解させ、溶解液A4を得た。
溶解液A4を試験管に移し、遠心分離機にて1,000rpm 10分間遠心分離を行い導電性粒子を沈殿させ、上澄み液をピペットで回収、溶解液A5を得た。
上記の溶解液A5を、100℃のオーブンにて乾燥させ、接着層形成成分の抽出成分を得た。
抽出成分が接着層形成成分の抽出成分であることは、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR法)で確認した。
【0065】
−接着層形成成分の抽出の接触角測定−
上記で得られた接着層形成成分の抽出成分を再度、メチルエチルケトン:トルエン:シクロヘキサノンの50:40:10(質量比)の混合溶剤にて溶解させた。この時、抽出成分95質量部に対し、混合溶剤は400質量添加し、接着層形成成分の溶解液A6を得た。
作製された溶解液A6にて、接触角Bの測定時に使用したものと同じ種類のシリコーン系剥離性基材を用い、接触角AをJIS規格(JIS R3257 1999)に則り測定した。結果を表1−1に示す。
【0066】
<塗工形状の評価>
塗工形状の評価では実施例で完成した異方性導電フィルムにおいて、フィルムを100mm×100mmサイズに切り落とした後、目視にて確認した。この時フィルム上のADH抜けの確認を行い、抜けがあった場合にはきょう雑物測定図表(国立印刷局製)を用いて5mm
2より大きいものを「ハジキ」とした。
このようにしてハジキの個数を計測し、下記の評価基準で評価した。
結果を表1−1に示す。
〔評価基準〕
○:ハジキがない。又は2個未満
△:ハジキが2個以上10個未満
×:ハジキが10個以上
【0067】
<仮貼り性の評価>
設定45℃のホットステージ上にPETフィルム(以下、対象部材−1という)をセットし、その上に50mm角にカットした本発明の異方性導電フィルムを配置して5kgローラーで2往復加圧後、異方性導電フィルムから剥離性基材を剥離した。
その上にPETフィルム(以下、対象部材−2という)を重ね合わせた後、対象部材−2の上から対象部材−1と対象部材−2のPETフィルム同士を仮固定する目的で再度5kgローラーにて2往復加圧して仮接着サンプルを作製した。
上記1連の仮接着サンプルを作製する工程で、剥離性基材を剥離する際、剥離性基材が導電性粒子含有層からきれいに剥離され、導電性粒子含有層がPETフィルム上にきれいにラミネートされ接着されており、PETフィルム同士を仮接着させた際も、導電性粒子含有層がPETフィルムに仮接着しており、仮接着サンプルがきちんと作製できた場合を成功と判断した。
一方、異方性導電フィルムから剥離性基材を剥離する際、導電性粒子含有層に折れ・シワ等が発生してラミネートできない場合や、対象部材−1と対象部材−2が仮接着し難く、互いに外れてしまい、仮接着サンプルを作成できない場合を失敗と判断した。
判定は、上記仮接着作業を10回行い、その成功回数で判断した。結果を表1−1に示す。
〔評価基準〕
○:10回中 10回成功
△:10回中 5〜9回成功
×:10回中 5回未満成功
【0068】
<接合体の製造、及び接合体の評価>
以下の方法により接合体を製造し、以下に示す評価を行った。結果を表1−1に示す。
第2の電子部品として、プリント配線板〔0.4mmピッチ(ライン/スペース=0.2/0.2)、厚み1.0mmの基材上に厚み35μmの銅パターンでニッケル/金めっき処理されたもの〕を用いた。
第1の電子部品として、フレキシブルプリント基板〔0.4mmピッチ(ライン/スペース=0.2/0.2)、厚み25μmのポリイミド基材上に厚み12μmの銅パターンでニッケル/金めっき処理されたもの〕を用いた。
前記第2の電子部品の端子上に、上記で得られた異方性導電フィルム(フィルム幅2.0mm)を配置した。剥離性基材側から、45℃、1MPa、2秒間の条件で仮圧着し、剥離性基材を剥がし、続いて、前記導電性粒子含有層上に、前記第1の電子部品を配置した。続いて、緩衝材(シリコーンラバー、厚み0.2mm)を介して、加熱ツール(幅2.0mm)により、45℃、1MPa、2秒間の条件で仮圧着した後、120℃、2MPa、5秒間の条件で、前記第1の電子部品を加熱及び押圧し、接合体を得た。
【0069】
<<導通抵抗値(接続抵抗)>>
得られた接合体の初期抵抗値、及び高温高湿試験(60℃95%RH環境下で500時間放置)後の抵抗値を以下の方法で測定し、評価を行った。
デジタルマルチメーター(品番:デジタルマルチメーター34401A、アジレント社製)を用いて4端子法にて電流1mAを流したときの抵抗値を測定した。30チャンネルについて抵抗値を測定し、最大の抵抗値を以下の評価基準で評価した。結果を表1−1に示す。
〔評価基準〕
○:抵抗値が0.11Ω未満
△:抵抗値が0.11Ω以上0.15Ω未満
×:抵抗値が0.15Ω以上
【0070】
<<ピール強度>>
フレキシブルプリント基板をプリント配線板から90°方向で剥離する90°剥離試験(JIS K6854−1)を行った。剥離試験には、1cm幅にカットした試験片を用いた。ピール強度を測定し以下の評価基準で評価した。結果を表1−1に示す。
〔評価基準〕
○:8.0N/cm以上
△:6.0N/cm以上8.0N/cm未満
×:6.0N/cm未満
【0071】
(実施例2〜6)
実施例1において、混合ワニスBを、混合ワニスAに、固形分(質量)比でA:Bが、それぞれ94.7:0.3(実施例2)、94.5:0.5(実施例3)、93.5:1.5(実施例4)、93:2.0(実施例5)、90:5(実施例6)となるように添加し、表1−1に記載の配合に変えた以外は、実施例1と同様にして、異方性導電フィルム及び接合体を作製した。
得られた異方性導電フィルム及び接合体について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1−1に示す。
【0072】
(実施例7)
実施例1において、結晶性樹脂、非晶性樹脂、及びエラストマーの配合を表1−2に記載の配合に変えた以外は、実施例1と同様にして、異方性導電フィルム及び接合体を作製した。
得られた異方性導電フィルム及び接合体について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1−2に示す。
【0073】
(実施例8)
実施例1において、粘着付与成分をKX−5(積水化学株式会社製 ポリビニルアセタール樹脂)に変えた以外は、実施例1と同様にして、異方性導電フィルム及び接合体を作製した。
得られた異方性導電フィルム及び接合体について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1−2に示す。
【0074】
(実施例9)
フェノキシ樹脂(品名:YP50、新日鐵化学株式会社製)65質量部と、液状エポキシ(品名:JER828、三菱化学株式会社製)30質量部と、硬化剤(品名:2MZ−A、四国化成社製)5質量部と、シランカップリング剤(品名:A−187、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)1質量部とで構成された接着層形成成分中に、実施例1で使用したのと同じ粘着付与成分(マクロメルト6202(ヘンケルジャパン株式会社製 ポリアミド樹脂))を1質量部分散させ、さらに実施例1の導電性粒子を5質量部分散させた。分散後の配合物を実施例1と同様のシリコーン系の離型剤で剥離処理された50μm厚みのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に乾燥後の平均厚みが35μmとなるように塗布し、70℃で10分間乾燥させ、異方性導電フィルムを作製した。
実施例1における第1の電子部品を加熱、押圧する圧着条件を120℃、2MPa、5秒間から180℃、2MPa、60秒間へ条件を変更した以外は実施例1と同様にして、接合体を作製した。
得られた異方性導電フィルム及び接合体について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1−2に示す。
【0075】
(比較例1〜2)
実施例1と7において、粘着付与成分を除き、表1−3の配合に従って、異方性導電フィルムを作製した。
得られた異方性導電フィルム及び接合体について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1−3に示す。
【0076】
(比較例3)
実施例1において、粘着付与成分を除き、表1−3の配合に従って、異方性導電フィルムを作製した後、以下のようにして粘着付与成分Bからなる厚さ5μmの表面タック層(「粘着付与成分層」ともいう)を異方性導電フィルム上に形成した。
【0077】
<粘着付与成分層の形成>
実施例の粘着付与成分で用いた、マクロメルト6202を190℃ 10分加熱した後、50μmのGapの押し出し機にて射出成形後冷却し、50μmの成形粘着付与成分層B50を得た。作製したB50を30cm角に切り出し、20t熱プレス機にて150℃ 1MPa 5分加熱プレスすることで5μm膜厚の粘着付与成分層B5を得た。
作製したB5を比較例1で準備した異方性導電フィルム上に積層した後、実施例1と同じ条件で接合体の接合を行った。
得られた異方性導電フィルム及び接合体について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1−3に示す。但し、この表面タック層を積層してなる異方性導電フィルムは、本発明でいう粘着付与成分を含有する1層で形成された異方性導電フィルムとは構成が異なっている。本発明は1層における両側の粘着性を測定しているため、比較例3においては、測定する面が異なっているため、粘着性の測定は行わなかった。
【0078】
(比較例4)
実施例9において、粘着付与成分を除き、異方性導電フィルムを作製した。また、実施例9と同様にして接合体を作製した。
得られた異方性導電フィルム及び接合体について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1−3に示す。
【0079】
(実施例10〜14)
実施例1において、結晶性樹脂、非晶性樹脂、及びエラストマーの配合、並びに導電性粒子の配合量を表1−4に記載の配合に変えた以外は、実施例1と同様にして、異方性導電フィルム及び接合体を作製した。
得られた異方性導電フィルム及び接合体について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1−4に示す。
【0080】
(実施例15)
実施例11において、結晶性樹脂をバイロンGA−6400(東洋紡株式会社製、結晶性ポリエステル樹脂)に代え、非晶性樹脂をエリーテルUE3600(ユニチカ株式会社製、非晶性ポリエステル樹脂)に代えた以外は、実施例11と同様にして、異方性導電フィルム及び接合体を作製した。
得られた異方性導電フィルム及び接合体について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1−4に示す。
【0081】
(実施例16)
実施例11において、エラストマーをテイサンレジンSG−80H(ナガセケムテックス株式会社製、アクリルゴム系エラストマー)に代えた以外は、実施例11と同様にして、異方性導電フィルム及び接合体を作製した。
得られた異方性導電フィルム及び接合体について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1−4に示す。
【0082】
(実施例17)
実施例1において、混合ワニスBを、混合ワニスAに、固形分(質量)比でA:B=85:10となるように添加し、表1−4に記載の配合に変えた以外は、実施例1と同様にして、異方性導電フィルム及び接合体を作製した。
得られた異方性導電フィルム及び接合体について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1−4に示す。
【0083】
【表1-1】
【0084】
【表1-2】
【0085】
【表1-3】
【0086】
【表1-4】
表1−1〜表1−4における各組成の配合量(含有量と同じ)の単位は質量部である。
【0087】
実施例1〜17から、本発明の異方性導電フィルムが、十分な接続抵抗を維持しつつ、仮貼り特性に優れていること、特に実施例1〜8、10〜17は、十分な接続抵抗を維持しつつ、低温(120℃)及び短時間(5秒間)での接続が可能であることが確認できた。また、ピール強度についても優れていることが確認できた。
実施例2と比較した実施例1、3〜6の結果から、粘着付与成分は接着層形成成分に対し、0.3%質量以上含有されているとよいことが確認できた。
また、実施例17の結果から、粘着付与物質が導電性粒子含有層における含有量が5質量%を超えた場合には、塗工形状の結果に改良の余地があるものの、十分な接続抵抗を維持しつつ、仮貼特性に優れていることという、本発明の目的は満足していることがわかる。
また、実施例1〜6、8〜13、15〜17の結果から、結晶性樹脂と非晶性樹脂との質量比(結晶性樹脂:非晶性樹脂)が、50:50〜75:25であると、導通抵抗値及びピール強度の接続特性がより優れることが確認できた。
【0088】
実施例1〜9、及び12〜13の結果から、結晶性樹脂の含有量及び非晶性樹脂の含有量の和(X)と、エラストマーの含有量(Y)との質量比(X:Y)が、75:25〜100:0であると、高温高湿試験後でも接続抵抗値がより優れることが確認できた。
【0089】
比較例1〜4の結果から、粘着付与成分を含有させないと十分な仮貼り特性が得られないことが確認できた。特に、比較例4と比較した実施例9の結果から、接着層形成成分が熱硬化樹脂バインダータイプであっても、粘着付与成分を含有させることにより、仮貼り特性が向上することが確認できた。
比較例3より、粘着成分の層を別途、異方性導電フィルム上に設けるより、本発明の粘着付与成分を導電性粒子含有層に含有させた方が導通抵抗値及びピール強度の接続特性がより優れることが確認できた。