(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6285192
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】ゲル状口唇化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/73 20060101AFI20180215BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20180215BHJP
A61Q 1/04 20060101ALI20180215BHJP
A61K 8/895 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/891
A61Q1/04
A61K8/895
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-20472(P2014-20472)
(22)【出願日】2014年2月5日
(65)【公開番号】特開2015-147740(P2015-147740A)
(43)【公開日】2015年8月20日
【審査請求日】2016年9月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100147865
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 美和子
(72)【発明者】
【氏名】奥山 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 章博
【審査官】
小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−131457(JP,A)
【文献】
特表2013−501795(JP,A)
【文献】
特表2007−519617(JP,A)
【文献】
特表2013−534218(JP,A)
【文献】
特開2009−073753(JP,A)
【文献】
特開平2−88511(JP,A)
【文献】
特開2005−206573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/89
A61Q 1/00−90/00
CAplus/REGISTRY(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(a)(b)及び(c);
(a)糖骨格を有する油ゲル化剤;
(b)メチルフェニルポリシロキサン;
(c)ジメチコジエチルベンザルマロネート
を含有するゲル状口唇化粧料。
【請求項2】
成分(a)がデキストリン脂肪酸エステルである請求項1に記載のゲル状口唇化粧料。
【請求項3】
成分(c)を1〜30%含有する請求項1又は2に記載のゲル状口唇化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゲル状口唇化粧料に関し、詳細には、なめらかな伸び広がりとツヤ感を有し、化粧にじみのなさに優れ、更に安定性の良好なゲル状口唇化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の口唇化粧料の市場は、使用感が良く、化粧持ちに優れた商品が求められており、それを演出するため様々な検討がなされている。
例えば、ツヤと安定性に優れた、ポリブテンとデキストリン脂肪酸エステルを含有するオイルゲル化粧料の技術(特許文献1)や、つやを損なわずに、軽い使用性の、オキシ酸エステルと重質流動イソパラフィンとメチルフェニルポリシロキサンを含む口紅用組成物の技術(特許文献2)等が検討されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−003340号公報
【特許文献2】特開2001−114648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ポリブテンとデキストリン脂肪酸エステルを含有するオイルゲル化粧料は、ツヤには優れるものの使用時の感触が重く、滑らかな伸び広がりを得られにくかった。また、オキシ酸エステルと重質流動イソパラフィンとメチルフェニルポリシロキサンを含む口紅用組成物の技術は、ツヤを損なうことなくのびが良い(軽い)使用性を得られるものの、組成物が液状や半固形状の場合には安定性に欠ける場合があった。このため、なめらかな伸び広がりとツヤ感を有し、化粧にじみのなさに優れ、更に安定性の良好なゲル状口唇化粧料の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは鋭意検討の結果、糖骨格を有する油ゲル化剤、ツヤと感触の軽さに優れるメチルフェニルポリシロキサン、及びジメチコジエチルベンザルマロネートとを組み合わることにより、ゲルの安定性が向上することを見出し、更には化粧料にチキソトロピー性が付与され、なめらかな伸び広がるが、膜厚な化粧膜を作ることで、化粧にじみがなく、ツヤ感に優れるゲル状口唇化粧料が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、以下の成分(a)(b)及び(c);
(a)糖骨格を有する油ゲル化剤
(b)メチルフェニルポリシロキサン
(c)ジメチコジエチルベンザルマロネート
を含有するゲル状口唇化粧料である。
【発明の効果】
【0007】
本発明はゲル状口唇化粧料に関し、なめらかな伸び広がりとツヤ感を有し、化粧にじみのなさに優れ、更に安定性に優れるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
本発明における成分(a)糖骨格を有する油ゲル化剤を構成する糖は単糖から多糖まで用いることができる。糖としては、単糖やオリゴ糖、グルコース、ガラクトース、フルクトース、マンノース、ショ糖、ラフィノース、フラクトオリゴ糖、デキストリン、イヌリン等の多糖類を挙げることができ、特に制限されないが、成分(a)はこれらの糖と脂肪酸より得られる、ショ糖脂肪酸エステルや、デキストリン脂肪酸エステル等が挙げられる。具体的には、ステアリン酸スクロース、ラウリン酸スクロース、ミリスチン酸デキストリン、パルミチン酸デキストリン、パルミチン酸/2−エチルヘキサン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、パルミチン酸/ステアリン酸デキストリン、オレイン酸デキストリン、イソパルミチン酸デキストリン、イソステアリン酸デキストリン等が挙げられる。これらの市販品としては、シュガーワックスS−10E、シュガーワックスA−10E(以上、第一工業製薬社製)、レオパールMKL2、レオパールKL2、レオパールTL2、レオパールTT2、レオパールISK2(以上、千葉製粉社製)等がある。なかでも、経時での安定性の点において、デキストリン脂肪酸エステルが好ましく、特にパルミチン酸デキストリンが好ましく用いられる。
【0010】
本発明において成分(a)は1種または2種以上を用いることができ、含有量はゲル状口唇化粧料中に1〜15質量%(以下、単に%と示す。)が好ましく、更に好ましくは3〜10%である。この範囲であると塗布時に適度な粘性を与え、なめらかに伸び広がるが、塗布後は流動性の低い化粧膜を形成し化粧にじみのなさを得ることができる。また、経時での安定性の点において好ましい。
【0011】
本発明の成分(b)メチルフェニルポリシロキサンは通常化粧料に用いられるものであればいずれのものも使用することができる。成分(b)は、ジメチルポリシロキサンのメチル基が一部、フェニル基に置換されたものであり、分子量やフェニル基の数に特に限定されないが、25℃で屈折率1.45を超えるものであると化粧膜にツヤを付与することができる。具体的には、フェニルメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、トリフェニルトリメチコン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。市販品としては、KF−54(屈折率1.5:信越化学工業社製)、KF−56(屈折率1.49:信越化学工業社製)、SH556FLUID(屈折率1.46:東レ・ダウコーニング社製)、PH−1555(屈折率1.58:東レ・ダウコーニング社製)等が挙げらる。中でも屈折率が1.5を越えるものであるとツヤ感の演出の点でより好ましい。
【0012】
本発明において成分(b)は1種または2種以上を用いることができ、含有量はゲル状口唇化粧料中に1〜50%が好ましく、更に好ましくは、5〜30%である。この範囲であると、ツヤ感の点で好ましい。
【0013】
本発明における成分(c)ジメチコジエチルベンザルマロネート(「化粧品基準」収載名)は、化学名:α-(trimethylsilyl)-ω-(trimethylsilyloxy)poly[oxy(dimethyl)silylene]-co-[oxy(methyl)(2-{p-[2,2-bis(ethoxycarbonyl)vinyl]phenoxy}-1-methyleneethyl)silylene]-co-[oxy(methyl)(2-{p-[2,2-bis(ethoxycarbonyl)vinyl]phenoxy}prop-1-enyl)silylene]、INCI名:Polysilicone-15で示され、鎖長約60のジメチコンのうち約7.5%を2種の置換基で置換したシリコーン誘導体である。市販品としては、PARSOL SLX(DSM NUTRITION PRODUCTS社製)が例示できる。
【0014】
成分(c)は、成分(a)と(b)と組み合わせると、本発明のゲル状口唇化粧料に粘性を与え、塗布時には滑らかに伸び広がるが、口唇に塗布されると流動性の低い化粧にじみのしにくい膜を形成しすることができる。成分(c)の含有量は、1〜30%が好ましく、更に好ましくは5〜20%である。この範囲であるとゲル状口唇化粧料に粘度を与え、なめらかな伸び広がり、化粧にじみのなさ、化粧料の安定性の点で好ましい。
【0015】
成分(c)ジメチコジエチルベンザルマロネートは、UV−B吸収剤として知られており、広く用いられているが、成分(a)や(b)と組み合わせ、なめらかな伸び広がりや、にじみのない化粧料を得られることは知られていない。
【0016】
本発明のゲル状口唇化粧料は、上記の成分(a)〜(c)の他に、通常化粧料に使用される成分、油性成分、無機顔料、有機顔料及び色素等の粉体およびそれらのシリコーン処理物やフッ素化合物処理物、界面活性剤、繊維、多価アルコール、水溶性高分子、水溶性皮膜形成性樹脂、保湿剤等の水性成分、糖類、紫外線吸収剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料等を本発明の効果を妨げない範囲で含有することができる。
【0017】
油性成分としては、成分(a)(b)(c)以外の通常化粧料に用いられる油であれば特に制約なく使用することができ、動物油、植物油、合成油等の起源や半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、フッ素系油類等を使用することができる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレンの炭化水素類、オリーブ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、ホホバ油、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル等のエステル類、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、油溶性美容成分等が挙げられる。中でも、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル等のエステル類は本発明のゲル状口唇化粧料に用いるとツヤ感をより効果的に演出することができる。
【0018】
粉体成分としては、化粧料に一般に使用される粉体として用いられる粉体であれば、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的に例示すれば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、チタン・酸化チタン焼結物、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、シリカ、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、カオリン、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質粉体、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等の光輝性粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン等の有機低分子性粉体、シルク粉末、セルロース粉末、デキストリン粉末等の天然有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等や、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいは更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体、ナイロン、ポリエステル、レーヨン、セルロース等の維等が挙げられる。これらはフッ素化合物、シリコ−ン油、粉体、油剤、ゲル化剤、エマルションポリマー、界面活性剤等で表面処理されていてもよい。これらの粉体は、1種又は2種以上を用いることができ、更に複合化したものを用いても良い。
【0019】
界面活性剤としては、化粧料一般に用いられている界面活性剤であればいずれのものも使用でき、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。水性成分としては、水または水に可溶な成分であれば何れでもよく、水の他に、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ水等の植物抽出液が挙げられる。
【0020】
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系等、例えば、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル2,4,6−トリス[4−(2−エチルへキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン等をあげることができる。酸化防止剤としては、例えばトコフェロール、アスコルビン酸等、美容成分としては例えばビタミン類、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、1,2−ペンタジオール、ヘキサンジオール等が挙げられる。
【0021】
本発明のゲル状口唇化粧料は、30℃で液状や半固形状の化粧料を指す。例えば、単一円筒型回転粘度計ビスメトロン(芝浦システム社製)等のブルックフィールド型粘度計を使用して30℃で4号ローターを用いて測定した場合、値が1〜150Pa・s、さらには、20〜80Pa・sであるのが好ましい。また、本発明のゲル状口唇化粧料は、油性成分を連続相とする油性ゲル状口唇化粧料が好ましい。この場合、水等の水性成分を含有する場合は、水性成分が油性成分中に分散しているものであり、水性成分は化粧料中に1%以下、更には0.5%以下であることが好ましい。本発明のゲル状口唇化粧料としては、口紅、リップグロス、口紅オーバーコート、口紅下地、リップクリーム、リップエッセンス等を挙げることができる。
【0022】
本発明のゲル状口唇化粧料の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば成分(a)〜(c)を含む油性成分を高温で加熱溶解した後、必要に応じて粉体成分を含む他の成分をロールミル等で混練しながら冷却することにより得ることができる。
【実施例】
【0023】
以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
実施例1〜7及び比較例1〜3:リップグロス
下記表1に示す処方のリップグロスを調製し、イ.なめらかな伸びひろがり、ロ.ツヤ感、ハ.化粧にじみのなさ、ニ.安定性について下記評価方法により評価した。その結果も併せて表に示す。尚、()内に平均点を記載した。
【0024】
【表1】
【0025】
※1:レオパールKL2(千葉製粉社製)
※2:KLEAROL WHITE MINERAL OIL(SONNBORN LLC社製)
※3:KF−54(信越化学工業社製)
※4:コスモール43 (日清オイリオグループ社製)
※5:PARSOL SLX(DSM NUTRITION PRODUCTS製)
※6:AEROSIL 380(日本アエロジル社製)
※7:チミロンスーパーレッド(メルク社製)2%ジメチルポリシロキサン処理
【0026】
(製造方法)
A:成分(1)〜(6)を90℃にて均一に加熱溶解する。
B:Aに成分(7)〜(12)を加え、ロールミルにて冷却しながら均一に混合分散する。
C:Bを塗布体付き容器に室温にて容器に充填する。
【0027】
(評価方法)
下記評価項目について各々下記方法により評価を行った。
(評価項目)
イ.なめらかな伸びひろがり
ロ.ツヤ感
ハ.化粧にじみのなさ
ニ.安定性
イ〜ハの項目について、各試料について専門パネル20名による使用テストを行った。パネル各人が下記評価基準1にて7段階に評価し評点をつけ、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記判定基準1により判定した。イ、ロは試料を口唇に塗布した直後に、ハは塗布2時間後の化粧膜の評価を行った。また、ニについては、40℃にて4週間静置した後、各試料の外観を下記判定基準2により判定した。
【0028】
<評価基準1>
(評点):(評価)
6 :非常に良い
5 :良い
4 :やや良い
3 :普通
2 :やや悪い
1 :悪い
0 :非常に悪い
【0029】
<判定基準1>
(判定):(評点の平均点) :(評価)
◎ :5点を超える :非常に良好
○ :3.5点を超え5点以下 :良好
△ :1点を超え3.5点以下 :やや不良
× :1点以下 :不良
<判定基準2>
(判定):(状態)
◎ :均一である
○ :表面にわずかに分離と発汗が見られるが問題ない
△ :表面に明らかに分離が見られる
× :分離が著しい
【0030】
表1の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜7のリップグロスは、比較例1〜3に比べ、なめらかな伸び広がり、化粧にじみのなさ、ツヤ感及び安定性に優れたものであった。
一方、成分(c)のジメチコジエチルベンザルマロネートを含有しない比較例1では、系に十分な粘度が出ず、なめらかな伸び広がりに欠け、化粧膜も柔らかすぎるため、化粧にじみしてしまい、満足のいくものが得られなかった。
また、成分(b)のメチルフェニルポリシロキサンがを含有しない比較例2では、屈折率の高い油剤が少なく、化粧膜のツヤ感の点で満足のいくものが得られなかった。
さらに、成分(a)の油ゲル化剤を含有しない比較例3では、系に粘度がなく、なめらかな伸び広がり、化粧にじみのなさの点、また分離が著しく、安定性の点で満足のいくものが得られなかった。
【0031】
実施例8:リキッドルージュ
(成分) (%)
1.ステアリン酸イヌリン※8 0.5
2.12−ヒドロキシステアリン酸※9 0.5
3.マイクロクリスタリンワックス※10 5
4.重質流動イソパラフィン※11 20
5.酢酸液状ラノリン※12 20
6.メチルフェニルポリシロキサン※13 5
7.デカメチルシクロペンタシロキサン 10
8.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 残量
9.ジメチコジエチルベンザルマロネート※5 1
10.シリル化処理無水ケイ酸※14 3
11.赤色201号 0.5
12.黄色4号 0.3
13.酸化チタン被覆ホウケイ酸(Ca/Al)※15 3
14.雲母チタン※16 1
15.ベンガラ被覆雲母チタン※17 5
16.2,6−ジ−ターシャリーブチル−パラクレゾール 0.5
17.天然ビタミンE 0.1
18.香料 0.1
※8:レオパールISK2(千葉製粉社製)
※9:12−ヒドロキシステアリン酸(伊藤製油社製)
※10:MULTIWAX W445(SONNEBORN社製)
※11:パールリーム18(日油社製)
※12:ACELAN SP(クローダジャパン社製)
※13:KF−56(信越化学工業社製)
※14:AEROSIL R972(日本アエロジル社製)
※15:メタシャイン1080RC−Y(日本板硝子社製)
※16:TIMICA EXTRA BRIGHT 1500(BASF社製)
※17:クロイゾネルージュフランベ(BASF社製)2%パーフルオロオクチルトリエトキシシラン処理
(製造方法)
A:成分(1)〜(9)を90℃にて均一に加熱溶解する。
B:Aに成分(10)〜(18)を加え、ロールミルにて冷却しながら均一に混合分散する。
C:Bを塗布体つき容器に室温にて充填する。
実施例8のリキッドルージュは、なめらかな伸び広がり、化粧にじみのなさ、ツヤ感及び安定性に優れたものであった。
【0032】
実施例9:リップエッセンス
(成分) (%)
1.パルミチン酸デキストリン※18 12
2.パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 5
3.トリメチルペンタフェニルトリシロキサン※19 25
4.ポリエチレンワックス 5
5.ポリブテン※20 5
6.2−エチルヘキサン酸セチル 残量
7.ジメチコジエチルベンザルマロネート※5 30
8.N−ラウロイル−グルタミン酸
ジ(フィトステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)※21 5
9.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
10.ミツロウ 0.5
11.精製オリーブ油 0.1
12.精製ホホバ油 0.1
※18:レオパールTL2(千葉製粉社製)
※19:PH−1555(東レ・ダウコーニング社製)
※20:ポリブテン2000H(出光興産社製)
※21:エルデュウPS−304(味の素社製)
(製造方法)
A:成分(1)〜(12)を90℃にて均一に加熱溶解する。
B:Aをロールミルにて冷却しながら均一に混合分散する。
C:Bをジャー容器に室温にて充填する。
実施例9のリップエッセンスは、なめらかな伸び広がり、化粧にじみのなさ、ツヤ感及び安定性に優れたものであった。
【0033】
実施例10:リップクリーム
(成分) (%)
1.パルミチン酸デキストリン※1 0.1
2.ワセリン 20
3.重質流動イソパラフィン※11 10
4.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 残量
5.メチルフェニルポリシロキサン※13 0.5
6.ジメチコジエチルベンザルマロネート※5 0.5
7.ジイソステアリン酸ポリグリセリル※22 10
8.無水ケイ酸※6 3
9.赤色226号 0.5
10.メチルシロキサン網状重合体※23 2
11.精製水 10
12.グリセリン 5
13.カミツレエキス 0.1
※22:コスモール42(日清オイリオグループ社製)
※23:トスパール2000B(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
(製造方法)
A:成分(1)〜(7)を90℃にて均一に加熱溶解する。
B:Aに成分(8)〜(13)を加え、ロールミルにて冷却しながら均一に混合分散する。
C:Bをチューブ容器に室温にて充填する。
実施例10のリップクリームは、なめらかな伸び広がり、化粧にじみのなさ、ツヤ感及び安定性に優れたものであった。
【0034】
実施例11:口紅オーバーコート
(成分) (%)
1.ポリステアリン酸スクロース※24 1
2.トリメチルペンタフェニルトリシロキサン※19 25
3.メチルフェニルポリシロキサン※13 25
4.ジメチルポリシロキサン 3
5.トリメチルシロキシケイ酸※25 5
6.デカメチルシクロペンタシロキサン 残量
7.ジメチコジエチルベンザルマロネート※5 10
8.シリル化処理無水ケイ酸※14 8
9.アルニカエキス 0.1
10.香料 0.1
※24:シュガーワックスS−10E(第一工業製薬社製)
※25:シリコンKF−7312J(信越化学工業社製)50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液
(製造方法)
A:成分(1)〜(7)を90℃にて均一に加熱溶解する。
B:Aに成分(8)〜(10)を加え、ロールミルにて冷却しながら均一に混合分散する。
C:Bをチューブ容器に室温にて充填する。
実施例11の口紅オーバーコートは、なめらかな伸び広がり、化粧にじみのなさ、ツヤ感及び安定性に優れたものであった。