(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
平行な軸を有する2つの結合部(83,84)を備え、織機(M)に属するヘルドフレーム(14)へ開口装置(2)の出力レバー(4)の揺動運動を伝達するための連接棒(6;6’;6”)であって、
−第1の結合部(83)に結合しつつ長手方向のバー(610;610’;610”)に固定された第1の結合チップ(60;60’;60”)と、
−第2の結合部(84)に結合しつつ当該連接棒の一方側からアクセス可能なバーのクランプのための手段(621)を含む第2の結合チップ(62;62’;62”)と、
−これらチップを当該連接棒の長手軸(X6)に沿って分離するための手段(64;64’;64”)と
を備えている、前記連接棒において、
−前記分離手段(64;64’;64”)が、前記結合部の軸に対して垂直な平面(P6)内に含まれるとともに当該連接棒の長手軸(X6)に対して傾斜した法線(N612,N630;N614’;N614”)を有する傾斜した面(612;630;614’;614”)を備え、この傾斜した面で支持要素(640;642;632)を構成していること、
−前記支持要素(640;642;632)が前記結合部(83,84)の軸(X3,X4)を含む平面(P34)に対して垂直な方向(Y6)へ移動可能であること、及び
当該連接棒の前記チップを分離させるための前記手段(64;64’:64”)と、前記バー(610;610’;610”)のクランプのための手段(621)とが、当該連接棒の同一の側から抜き出すことが可能であること
を特徴とする連接棒。
前記傾斜した面(612,630;614’;614”)が、前記チップ(60,62)の少なくとも1つ又は前記バー(610’;610”)に属することを特徴とする請求項1記載の連接棒。
前記傾斜した面(612,630;614’;614”)の外側へ向けられた前記法線(N612,N630;N614’;N614”)が、当該連接棒(A612,A630;A614’;A614”)の前記長手軸(X6)に対して20°と50°の間の角度で傾斜していることを特徴とする請求項1又は2記載の連接棒。
前記支持要素が、前記第1のチップ(60)と前記第2のチップ(62)の間に挿入されつつ当該連接棒の前記長手方向軸(X6)に対して平行な軸(X640)に沿って延在する開口部(V640)を備え、かつ、前記バー(610)を包囲するあぶみ金(640)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の連接棒。
前記あぶみ金(640)が、当該連接棒の前記結合部(83,84)の軸(X3,X4)を含む平面(P34)に対して垂直な方向へ当該あぶみ金(640)を移動させることが可能な調整ネジ(642)を含んでいることを特徴とする請求項7又は8記載の連接棒。
前記あぶみ金(640)が、前記調整ネジ(642)の作用に対抗する当該あぶみ金(640)のための弾性復帰手段(644)を含んでいることを特徴とする請求項9記載の連接棒。
当該連接棒(6;6’;6”)が前記長手方向軸(X6)に沿った2つの前記チップ(60,62;60’,62’,60”,62”)間の分離を表示するための手段(66;66’)を備えていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の連接棒。
前記長手方向軸(X6)に沿った2つの前記チップ(60;62)間の分離を表示するための手段(66)が、2つの前記チップのうち1つ(60)と2つの前記チップを分離させるための前記手段(64)との間に作用することを特徴とする請求項11記載の連接棒。
【背景技術】
【0003】
一般に、この開口装置は、織機の側方に配置されつつ並んで配置された出力レバーを構成するとともにプログラム可能な所定の大きさの揺動運動において駆動されるアセンブリの形成を担うものである。各フレームは、互いに結合された1組の伝達要素によって出力レバーに結合されている。このアセンブリは、リフティングシステムと呼ばれている。ヘルドフレーム及びその協働するリフティングシステムは、経糸方向に非常に削減された大きさを有している。この大きさは、ピッチと呼ばれ、一般に12mmに制限されている。
【0004】
織機上では、ヘルドフレームの交差部における経糸のシートへの基礎からの垂直距離として定義された経糸のシートの高さが、しばしば、所望の織物の効果に基づき、引張バランスの目的に適合されている。それゆえ、各ヘルドフレームの高さが調整可能であることが必要である。
【0005】
したがって、フレームを出力レバーに結合するリフティング要素に介在するヘルドフレームの高さを調整するための手段が存在する。より詳細には、特許文献1に、フレームに対する連接棒の長さ、すなわちヘルドフレームの直下に位置する連接棒が調整可能な織機が開示されている。この文献には、経済的ではあるもののヘルドフレームの2つの端部に対応する2つの点において介在が必要な、フレームに対する連接棒が開示されている。実際、フレームに対するこの連接棒は、その長さを維持するためのいかなる装置とも組み合わされていない。それゆえ、ヘルドフレームの長さが調整されるときには、重力の作用による釣り合いが維持される必要がある。実際上、ヘルドフレームの高さの調整には、一方ではフレームを維持するために、他方では連接棒の長さを調節するために、2人の人が必要である。
【0006】
この欠点を解消するために、フレームに対する連接棒ではなく、開口装置の出力レバーに結合された、作動ロッドと呼ばれる第1の連接棒の結合部の位置へ作用させることが知られている。このために、特許文献2には、織りシステムの出力レバーに調整可能に固定された開口調整クリップを用いることが開示されている。このクリップは、連動する2つのあぶみ金で形成されており、これらあぶみ金は、ネジによって互いに対して可動となっている。第1のものが出力レバー上でクランプ手段を支持している一方、第2のものは、リフティングシステムの作動ロッドの結合部を支持している。コーナー部の使用に基づく構造により、出力レバーにおけるクリップの同時のブロック及び2つのボルトの相対的な固定を達成することが可能である。フレームの高さは出力レバーのヒンジピンに対して全体的に垂直な方向へ、これらボルトを互いに対して互いに移動させることで調整される。この解決手段は、非常に人間工学的ではあるものの、このタイプのクリップは、壊れやすい。なぜなら、ピッチにおいて、すなわち小さな空間に互いに連動する2つのボルトを形成する必要があるためである。これは、特に複雑であるとともに、製造コストがかさんでしまう。
【0007】
特許文献3に開示された他の代替形態によれば、フレームの高さは、第1の結合部に結合しつつ当該第1のチップをクランプするための手段を備えた第2の結合部へ結合する第2の結合チップへ摺動可能な第1の結合チップを構成する動作ロッドの長さに作用することで調整される。これら2つのチップは、調整ネジに作用することで分離され、この調整ネジの軸は、連接棒の長手軸に対して平行となっている。この調整ネジは、人間工学的に配置されていない。なぜなら、操作者は、その操作中に、連接棒の近傍において妨害されるためである。加えて、キーを回すのに可能な移動角距離がより小さい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、より簡易かつより人間工学的な操作により調整可能な長さを有する連接棒を提供することにより、とりわけ上記欠点を解消することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、平行な軸を有する2つの結合部を備え、織機に属するヘルドフレームへ開口装置の出力レバーの揺動運動を伝達するための連接棒であって、第1の結合部に結合しつつ長手方向のバーに固定された第1の結合チップと、第2の結合部に結合しつつ当該連接棒の一方側からアクセス可能なバーのクランプのための手段を含む第2の結合チップと、これらチップを当該連接棒の長手軸に沿って分離するための手段とを備えている、前記連接棒に関するものである。この分離手段は、その法線が前記結合部の軸に対して垂直な平面内に含まれた傾斜した面上で支持要素を構成しているとともに、連接棒の前記長手軸に対して傾斜している。この支持要素は、前記結合部の軸を含む平面に対して垂直な方向へ移動可能である。
【0011】
本発明により、連接棒の近傍により妨害されることなく単一の介在点において連接棒の長さを調整することが可能である。連接棒は、単純かつ利用しやすい分離手段を含んでいる。これにより、手段が削減される。なぜなら、チップを互いに近づけるための手段と組み合わせる必要がないためである。
【0012】
利点ではあるが本発明の追加の態様であるものによれば、連接棒は、技術的に許容される組合せにおいて、以下の特徴のうち1つ又は複数を組み合わせることが可能である。
−傾斜した面が、チップの少なくとも1つ又はバーに属する
−傾斜した面の外側へ向けられた法線が、連接棒の長手軸に対して20°と50°の間の角度で傾斜している
−傾斜した面がバー上に形成されている
−支持要素が、バーの傾斜した面上で支持されたコーナー部である
−支持要素が調整ネジである
−支持要素が、第1のチップと第2のチップの間に挿入されつつ連接棒の長手方向軸に対して平行な軸に沿って延在する開口部を備え、かつ、バーを包囲するあぶみ金である
−あぶみ金が少なくとも1つの支持面を含み、その法線が連接棒の長手方向軸に対して傾斜している
−あぶみ金が、連接棒の結合部の軸を含む平面に対して垂直な方向へ当該あぶみ金を移動させることが可能な調整ネジを含んでいる
−あぶみ金が、調整ネジの作用に対抗する当該あぶみ金のための弾性復帰手段を含んでいる
−連接棒のチップを分離させるための手段と、バーのクランプのための手段とが、当該連接棒の同一の側から抜き出すことが可能である
−連接棒が長手方向軸に沿った2つのチップ間の分離を表示するための手段を備えている
−長手方向軸に沿った2つのチップ間の分離を表示するための手段が、2つのチップのうち1つと2つのチップを分離させるための手段との間に作用する。
【0013】
本発明は、上述の連接棒を備えることを特徴とする織機に関するものでもある。
【0014】
本発明は、連接棒のその原理の、単に1つの例として示された添付の図面を参照した4つの実施形態の以下の説明に照らして理解され、その他の利点もより明確になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、より簡易かつより人間工学的な操作により調整可能な長さを有する連接棒を提供することにより、とりわけ従来の欠点を解消することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1にはいくつかのヘルドフレーム14を含む、本発明による織機Mが示されており、これらヘルドフレームのうち符号14を付された1つのみがこの図面において視認できる。このヘルドフレーム14は、2つの垂直材144及び2つの横ばり142で形成されている。平面P14はヘルドフレーム14の平面として規定されており、この平面P14は、垂直材144及び横ばり142が延在する2つの線に沿って形成されている。また、この平面P14は、
図1の平面でもある。このフレーム14は、数十又は数百の経糸ガイドヘルドを有しており、そのうち3つが符号15を付されて
図1に示されている。説明を明確にするために、1つのみのヘルドフレーム14が
図1に示されているが、実際には、経糸においてひ口を形成するために少なくとも2つのヘルドフレームが必要である。ひ口を形成するためには、ヘルドフレーム14を、交互に垂直方向の動きへ、すなわち経糸のシートに対して垂直に動作させる必要がある。この動きは、
図1において双方向矢印F1で示されている。この動作は、平面P14に対して垂直な軸に沿って互いに結合されつつ織機MのリフティングシステムTを形成する1組のひ口調整クリップ、連接棒、シャフト及びレバーによって実行される。このリフティングシステムTは、この例においてドビー2である開口装置と協働する。このドビー2は、各ヘルドフレーム14に対して、この使用形態において
図1の平面に対して垂直な軸X2周りに揺動する出力レバー4を含んでいる。
【0018】
この出力レバー4は、連接棒6の第1の端部が結合された結合部83を支持するひ口調整クリップ42を備えている。ひ口調整クリップ42を出力レバー4における異なる高さで締め付けることで、ヘルドフレーム14の動作の大きさが変化する。連接棒6の第2の端部は、固定された回転軸X8を有する旋回軸86周りに、織機Mに対して相対的に回転可能なレバー8によって支持された結合部84に結合されているとともに、平面P14に対して垂直である。レバー8は、フレーム12Aへの連接棒の第1の端部が結合する他の結合部82Aを支持し、これについて、第2の端部は、ヘルドフレーム14に対して固定された他の結合部に結合されている。さらに、レバー8はヘルドフレーム14の下方で水平方向に延在する連接棒10の第1の端部を結合する他の結合部86を有しており、これについて、第2の端部は、固定された回転軸X16を有する旋回軸18周りに、織機Mに対して相対的に回転可能なレバー16によって支持された結合部20に結合されているとともに、ここでも平面P14に対して垂直である。レバー16は、フレーム12Bへの連接棒の第1の端部が結合する他の結合部82Bを支持しており、その第2の端部は、ヘルドフレーム14に対して固定された他の結合部に結合されている。全ての結合部は、1つのリフティング要素Tをヘルドフレーム14の平面P14に対して垂直な軸周りに他のものに対して回転させるためのベアリングを用いている。この結果、出力レバー4の揺動がレバー8、16に伝達されるとともに、方向F1へのヘルドフレーム14の並進運動に変換される。リフティングシステムTは、2つの連接棒がフレーム12に対して同様の垂直方向の運動を有するように設定されている。
【0019】
ヘルドフレーム14のハウジング(不図示)に対する高さを調整することができるように、織機Mの連接棒6が、調節可能な長さと、ヘルドフレーム14の平面P14に含まれる、連接棒が当該方向に沿って延伸又は縮小する方向とを有しているという事実が利用されている。
【0020】
連接棒6は、ひ口調整クリップ42によって支持された回転軸X3を有する結合部83へ結合する第1の結合チップ60と、レバー8によって支持された回転軸X4を有する結合部84へ結合する第2の結合チップ62とを含んでいる。この連接棒は、回転軸X3,X4を直交して横切りつつヘルドフレームの平面P14に属する長手軸X6に沿って延在している。さらに、Y6は、リフティングシステムTの平面に含まれた軸を表すとともに、軸X6に対して垂直である。それゆえ、連接棒6の「長手」方向は、軸X6に対して平行な方向であり、連接棒6の「横」方向は、軸Y6に対して平行な方向である。
【0021】
P6は、軸X6及び軸Y6を含む平面を示している。P34は、軸X3及び軸X4を含む平面を示している。平面P6及びP34は、垂直である。
【0022】
第1のチップ60は、バー610にリベット留めされた2つのフランジ600部によって形成されており、バー610は、四角形の部分を有しているとともに、軸X6に沿って延在している。このバー610は、結合軸X3及びX4に対して平行な軸に沿った2つの貫通孔611を備えており、これら貫通孔は、取付中に、2つのフランジの貫通孔604と一直線に並んでいる。チップ60のリベットは、図示されていないが、実際には、フランジ600の貫通孔604,611及びバー610にそれぞれ挿入されている。
【0023】
第2のチップ62は、四角形の部分を有する中空チューブから製造されている。
【0024】
各チップ60,62は、それぞれ連接棒6の1つの端部6A,6Bを規定している。L6は、軸X6に対して平行に測定した結合軸X3とX4の間の連接棒6の長さを表している。
【0025】
以下の説明においては、チップの「前側」方向は、当該チップによって規定される連接棒6の端部とは反対の方向、すなわち連接棒の中心方向とみなされる。
図2における方向F2及びF3は、それぞれチップ60及び62の前側方向を示している。それゆえ、第1のチップ60はその後端部6Aにおいて回転軸X3に沿った貫通孔602を備えており、この貫通孔により、結合手段を、ひ口調整クリップ42によって支持された結合部83において通過させることが可能である。同様に、第2のチップ62はその後端部6Bにおいて回転軸X4に沿った貫通孔628を備えており、この貫通孔により、レバー8の結合部84に結合させるための手段を通過させることが可能である。
【0026】
前側において、第1のチップ60は、フランジ部600のの厚さにおいて機械加工された面612を備えており、これについて、外側への部分から向けられた法線N612は、連接棒6の長手軸X6に対して角度A612で傾斜している。同様に、その前側端部において、第2のチップ62は、中空チューブの部分において機械加工された面630を含んでおり、これについて、外側への部分から向けられた法線N630は、軸X6に対して角度A630で傾斜している。法線N612及びN630は、平面P6内に形成されている。面612及び630は逆の勾配によって傾斜しているが、角度A612の大きさは、角度A630の大きさと同一である。
【0027】
実際、角度A612及びA630の大きさは、20°と50°の間、好ましくは25°と45°の間で選択され、更に好ましくは約28°である。
【0028】
連接棒6は、第1のチップ60と第2のチップ62の分離のために、軸X6に沿って分離手段64も備えている。この分離手段64は、四角形の部分を有する中空チューブで形成されたあぶみ金640を備えており、このあぶみ金は、軸X640に沿って延在しているとともに、横方向に2つの箇所に切断されている。連接棒6上に取り付けられたあぶみ金640の形状においては、軸X640が連接棒6の軸X6に対して平行であるか、又は連接棒6の軸X6に組み合わされている。あぶみ金640の2つの切断面は、650及び652で示されている。これら各面650及び652は外側の部分から向けられつつチューブの長手軸に対して傾斜した法線N650又はN652を有しており、前記チューブ内において、第1のチップ60及び第2のチップ62の法線N612及びN630それぞれと同様にあぶみ金640が切断されている。換言すれば、あぶみ金640から外側へ向けられた、面650の法線の傾斜角A650と、あぶみ金640から外側へ向けられた、面652の法線の傾斜角A652とは、長手軸X6に対してそれぞれ角度A612及びA630と同一となっている。法線N612、N630、N650及びN652並びに角度A612、A630、A650及びA652は、
図9により良好に視認できるようになっている。
【0029】
図5に示されているように、面650は2つの単一の面650A及び650Bで形成されており、これら面は、バー610が係合し、連接棒6の取り付けられた形態における第1のチップ60に属する、あぶみ金の内部体積V640の各側において、それぞれあぶみ金640の壁部640A及び640Bの部分によって規定されている。同様に、面652は、壁部640A及び640Bの1つの部分によってそれぞれ規定された2つの面で形成されている。単一の壁部650A,650B及び同等のものは、一方ではフランジ600において支持され、他方ではチップ52を形成する中空チューブの大きな側で支持された面において適合している。それゆえ、あぶみ金640は、傾斜した面612及び630に作用する支持部材である。
【0030】
以下の説明において、方向「上方」及び「下方」は、
図3〜
図8の形態についてのものである。
【0031】
それゆえ、あぶみ金640は、全体的に四角形の形状を有している。このあぶみ金は調整ネジ642を含んでおり、この調整ネジは、あぶみ金640を通して横方向に、スペーサ646を備えたネジ切り部643へ挿入されている。このネジ切り部643は、ネジ642のピッチに対して相補的なネジピッチを有している。スペーサ646は、あぶみ金640の上方エッジ部に対して固定されており、前記上方エッジ部は、
図2〜
図4の上側部分として規定されている。このスペーサ646は、溶接によってあぶみ金640に対して固定されたままとなっている。
【0032】
Y642は、ネジ642が沿って延在する軸を表しており、このネジ642は、第1のチップ60の前側へ向かって長手方向に突出するバー610上で支持されている。この軸Y642は、ネジ642があぶみ金640上に取り付けられるときに軸Y6と結合される。軸Y642がネジ642に対して垂直であり、フレーム14の平面P14内に含まれていることに留意すべきである。このようにして、ネジ642は、容易にアクセスできるとともに、簡易に操作可能である。また、バー610は、あぶみ金640を通過し、部分的に第2のチップ62へ挿入されている。バー610は、2つのフランジ部600の間においてリベット留めによって第1のチップ60に固定されている。調整ネジ642の反対側かつあぶみ金640の内部にはフレキシブルブレード644が挿入されており、このフレキシブルブレードは、一方ではあぶみ金640の底部で、他方ではバー610上で支持されている。したがって、このブレード644は、あぶみ金640の弾性復帰のための手段である。
【0033】
第2のチップ62は、チップ62をバー上でクランプするためのクランプ手段621を含んでいる。バー610が第1のチップ60に対して固定されるよう設定されているので、クランプ手段621により、第2のチップに第1のチップを固定することが可能である。クランプ手段621は、調整ネジ642に対して平行に向けられた3つの締付ネジ620を備えており、これら締付ネジ620は、チューブの壁部に形成された孔を通ってクランププレート622に穿設された3つのネジ切り部623へ挿入されている。締付ネジは、連接棒の長さ調整のためのネジと同じ側から抜き出されることが可能である。これにより、調整作業がより人間工学的となる。クランププレート622の下方には支持ブレード624がある。それゆえ、締結時には、ネジ620が下方へ向けて支持ブレード624へ圧力を作用させる。この支持ブレード624は、バー610のバリ取りを避けるために、高強度鋼で形成されている。
図3におけるバーの下方にはフランジプレート626が示されており、このフランジプレートによって、バー610を万力で保持することが可能である。それゆえ、ネジ620を締めることで、フランジプレート626及び支持ブレード624で形成された装置の閉鎖に至る。
【0034】
第1のチップ60は、連接棒6の軸X6に対して平行に延在する分離されたインジケータ66も含んでいる。この分離されたインジケータ66は、第1のチップ60の2つのフランジ部600の間の連接棒6に対して側方に固定されたハウジング660を備えている。ハウジング660は探触フィンガ662を備えており、この探触フィンガは、軸X6に対して横方向かつ軸Y6に対して平行に向けられたピン664を外側で支持するものである。探触フィンガ662は、一方ではスプリング668を支持し、他方ではスペーサ646の湾曲部648を支持している。ピン664は、目盛りが付されたスロット666を通ってハウジング660から突出しており、目盛りが付されたスロットにより、ハウジング660に対するフィンガ662の動きを測定することが可能である。
【0035】
図3及び
図4には、それぞれ連接棒6が短縮された位置及び分離された位置が示されている。連接棒6の長さの調整中には、締付ネジは620がバー610を第2のチップ62から分離させるためにまず緩められ、その結果、第1のチップ60が第2のチップ62から分離される。リフティングシステムTの幾何形状が設定されているので、重力の効果により、第1のチップ60及び第2のチップ62をあぶみ金640に対して支持したままとすることが可能である。
【0036】
ヘルドフレーム14の高さを上昇させるために、連接棒6の長さは、例えば
図3の形態から
図4の形態へ移行することにより上昇させられる必要がある。このために、ネジ642がスペーサ646のネジ切り部643において締め付けられる。ネジ642は、バー610において支持されているため、後者は、軸Y642に沿った移動においてバー610に対して固定される。これにより、ネジピッチを合わせることで、スペーサ646を
図3及び
図4における上方へ移動、すなわちバー610から離間するように移動させることが可能である。スペーサ646は、あぶみ金640に対した固定されている。それゆえ、後者も上方へ、すなわちバー610に対して、調整ネジ642の側で移動する。あぶみ金640は、軸Y6に対して平行に、すなわち結合部83及び84の軸X3及びX4を含む平面P34に対して垂直に移動し、そして、第1のチップ60及び第2のチップ62を後方へ押圧する。より詳細には、面612及び630についての傾斜を合わせることで、面650及び652が、チップ60及びチップ62を分離する長手方向力を軸X6に沿って伝達する。それゆえ、面650及び652は、カム面である。そのため、あぶみ金640は、ネジ642の締付による横方向力を長手方向力へ変換するコーナーとして機能する。これは、コーナー装置と呼ばれる。横方向力は
図3において矢印F4で示されており、チップ60及び62に作用する長手方向力は、矢印F5及びF6によって示されている。あぶみ金640の上方への移動は、フレキシブルブレード644が圧縮されることを意味している。それゆえ、後者は、バー610に対して上方への弾性力を作用させる。
【0037】
さらに、軸Y6に平行な移動中には、あぶみ金640も、軸X6に対して平行に、チップ60及び62のそれぞれに対して移動する。したがって、あぶみ金640は、チップ60及び62それぞれに対して、平面P6における軸X6及びY6に沿って移動され得る。
【0038】
実際には、28°に等しい傾斜角度A650及びA652に対して、連接棒6の長さL6の調整範囲は12mmであり、あぶみ金640の横方向の移動量は、11.3mmに等しい。ヘルドフレーム14が経糸のシートの交差部にあれば、連接棒6の長さL6において6mmの増加により、それぞれ結合部86の軸X8から150mm及び200mmの距離において結合部84及び82の軸を配置するレバー8の幾何形状に対するフレームの高さの8mmの増加が生じる。
【0039】
その結果、より低いヘルドフレーム14に対して、操作者は、ネジ642をあぶみ金640から緩める。ネジの緩め作業により、バー610における横方向のネジ642の支持がストップされるが、
図1に示すリフティングシステムTの場合には、フレーム14の重さの影響により、連接棒6に圧縮力が作用する。この圧縮力は、連接棒6の長手軸X6に沿って生じ、2つのチップ60及び62を共に連続的に近付く傾向がある。それゆえ、面612及び630は、それぞれ、あぶみ金640の面650及び652において継続的に支持する。
【0040】
ネジ642が緩められたため、あぶみ金640が軸Y6に対して平行に自由に移動する、なぜなら、バー610によって支持されていないためである。それゆえ、チップ60及び62の圧縮力により、面612及び630のあぶみ金の面650及び652との適合のために、あぶみ金640へ伝達される横方向力が生じる。面612、630、650及び652は、全て軸Y6に対して上方へ集束している。それゆえ、あぶみ金640は、ネジ642がバー610に接触するまで下方へ移動する。このようにして、ネジ642とバー610の間に継続的な接触が設定されている。それゆえ、この場合には、あぶみ金640の移動は単に重力によるものであるとともに、ブレード644は目的を提供しない。
【0041】
しかしながら、これについてのリフティングシステムを考えることで、幾何形状によってフレームの重さについて連接棒6への圧縮力を生じさせることはなく、ネジ642を緩めることは、あぶみ金640を移動させるのに十分ではない。そのために、あぶみ金640のを下方へ移動させることが可能なのはブレード644である。より詳細には、連接棒6が分離された位置、すなわち
図4の形態にあるときには、ブレード644が横方向に圧縮される。それゆえ、ネジ642が緩められると、バーに作用する力のみがブレード644の弾性復帰力である。バー610が横方向に固定されているため、ブレード644は、あぶみ金640を下方、すなわちネジ642の反対方向へ押し戻す。それゆえ、ブレード644は、あぶみ金640の下方への復帰のための弾性復帰手段を形成しており、動きは、面650と612の間及び面630と652の間で生じる。したがって、チップ60及び62は、手動で互いに近づかされる。
【0042】
このブレード644を用いることにより、2つのチップがあぶみ金にいかなる力を作用させないとしても、調整ネジ642とバー610の間の接触が保証される。特に、この場合には、あぶみ金640が、2つのチップ60及び62が分離されたバー610に保持される。このために、連接棒6は、どのようなリフティングシステムの幾何形状にも適用することが可能である。
【0043】
操作者がヘルドフレーム14の高さの満足な調整に至ると、この操作者は、第1のチップ60を第2のチップ62に固定するために、締付ネジ620を締め付ける。ネジ620の締付により、バー610において支持ブレード624を押圧する力が生じ、この力は、クランププレート622及び支持部レート624によって形成された万力におけるバー610のクランプを強めるものである。つづいて、この力は、追加の締付トルクを調整ネジに作用させてこの調整ネジ642をブロックし、この締付トルクは、操作中に調整ネジが固定されるように保証するものである。連接棒6のチップ60及び62を、分離させ、及び2つの結合軸を含む平面に対して垂直な軸に沿ったあぶみ金640の位置に対してあらかじめ設定した量だけ互いに近づけることにより、分離手段64が連接棒6の長さL6の調整のための手段を構成している。
【0044】
一旦長さが調整されれば、行われた分離の量をインジケータ66によって知ることが可能である。より本質的に見て、あぶみ金640の移動中には、スペーサ646の湾曲部648及びスプリング668が同時に探触フィンガ662に作用する。連接棒6を縮小させる場合には、探触フィンガは、スプリングの弾性力に抗して押圧される。フィンガ662によって支持されたピン664も、目盛りを付けられたスロット666において移動し、それによって、ピンの移動量が測定され、分離の量も測定される。逆に、分離操作中には、スプリング668が担税復帰によって緩め、フィンガ662をスペーサ668の湾曲部648に抗して押圧する。目盛りを付けられたスロット666を通したフィンガ662及びこれに伴うピン664の移動により、2つのチップ間の分離を示すことが可能である。
【0045】
第2から第4の実施形態が
図6以降に示されており、第1の実施形態と類似の要素には、同様の符号が付されているとともに、同様に動作する。以下では、主に、これら実施形態と第1の実施形態の間の差異について説明する。
【0046】
図6には、
図2〜
図4に示された分離インジケータ66に対する代替が示されている。この実施形態の分離インジケータ66’は2つの湾曲ブレード661,663で形成されており、これら湾曲ブレードは、それぞれ第1のチップ及び第2のチップに固定されている。したがって、2つのチップ60及び62の間の分離は、2つのブレード661及び663の間の分離によって直接測定され得る。
【0047】
図7に示された実施形態は、連接棒6があぶみ金を含んでいないため、最初の2つとは異なる。また、第1のチップ60’に属するバー610’がその前端部で面614’を含んでいるため、バー610’の外側へ向かうその法線N614’が連接棒6の長手軸X6に対して角度A614’で傾斜している。この法線N614’は、第1の実施形態において規定されたような連接棒の平面P6において設定されている。第1のチップ60’は、不図示の手段によってバー610’に固定されている。第1のチップ60’の軸X6に沿った分離手段64’及び連接棒6’の第2のチップ62’は、クランププレート622’に形成されたネジ切り部643’に挿入されたネジ642を含んでおり、軸X6に対して横方向に、前記プレート622’が第2のチップ62’において固定されている。ネジ642’は、バー610の傾斜した面614’において支持されており、そのため、この実施形態においては、ネジ642’バー610’の傾斜した面614’に作用する支持部材を構成している。クランププレート622’は、分離の調整及びクランプの調整の両方に作用する。なぜなら、クランププレートは、締付ネジ620が第1の実施形態におけるような支持プレート624と協働するためである。ネジ642を締め付けることで、締付ネジ642の横方向力F7をバー610’の傾斜した面614’に作用させることが可能である。この力は、傾斜した面614’を用いることで長手方向力F8へ変換され、この力により、バー610’を後方へ移動させることが可能である。さらに、バー610’がクランププレート622及びフランジプレート626によって形成された万力においてまだクランプされていないため、移動の変換が可能である。換言すれば、バー610’のクランププレートは、バー610’が第2のチップ62に対して長手方向へ連接棒の軸に対して摺動可能にするものである。バー610’が第1のチップ60に固定されているため、第2のチップ62’に対する第1のチップ60’の移動が達成される。ネジ642を緩めることで、2つのチップ60’及び62’を再び互いに近づけることが可能である。連接棒6’が
図1に示すようにリフティングシステムTの作動ロッドとして使用されている場合には、互いに近づくことは、単に重力によるものであるとともに、ネジ642に緩め中に継続的に生じる。
【0048】
図8には、本発明の第4の実施形態が示されている。この実施形態は、チップ60”及び62”の軸X6に沿った分離手段64”について前の2つのものとは異なる連接棒6”を示している。調整ネジ642は前面部634を有するコーナー部632で支持されており、この前面部は、チップ60”に属するバー610”の面614”と相補的に傾斜している。したがって、第1の実施形態のようにコーナー装置が存在する。このために、コーナー部632は、ネジ642の端部を収容するための穴636を含んでいる。また、この穴636は、ネジ642の周囲に配置された弾性的な保持リング638を収容するのに適した円形の溝637を含んでいる。このようにして、コーナー部632は、ネジ642とコーナー部632の間の軸Y642に沿った軸方向の並進運動において安定されている。バー610”の外側へ向いた面614”の法線N614”と軸X6の間の角度と、コーナー部632の外側へ向いた面634の法線N634と
図7における平面における軸X6の間の角度は、それぞれA614”及びA634で示されている。これら角度A614”及びA634は同じ値であり、この値は、第1の実施形態と同様であり得る。法線N614”は、第1の実施形態として規定された平面P6において設定されている。
【0049】
コーナー部632におけるネジ642によって働く横方向力F9により、面634と614”を合わせることで、バー610”におけるコーナー部632によって働く長手方向力F10が生じる。連接棒6’と類似のように、バー610”のクランプ動作により、バー610”が連接棒の長手方向において摺動することが可能である。このようにして、第1のチップ60’と第2のチップ62’の間で分離が形成される。さらに、連接棒6”は、調整及びクランプの両方に使用されるクランププレート622”を含んでいる。なぜなら、このクランププレートは、調整ネジ642を収容するためのネジ切り部643”を備えているためである。このプレート622”は、更に連接棒6”の軸に対して横方向に延在するタブ623を含んでいる。このタブ623により、軸Y642に対して平行にコーナー部632をガイドすることが可能である。第1の実施形態と類似のように、一旦長さが調整されれば、クランプ手段621は、チップ60”及び62”を互いに対して固定するために移動されるべきである。
【0050】
第3及び第4の実施形態においては、ネジ642及びコーナー部632は、その端部において、連接棒の結合軸を含む平面に対して垂直に移動する。これは、この平面が第1の実施形態の平面P34と同様であるためである。
【0051】
全ての実施形態に適用可能な代替形態によれば、締付ネジ642は、連接棒6の横方向軸Y6に対して約30°の角度で傾斜している。これにより、アクセス性が改善され得るものの、連接棒6の長手軸X6に対して厳密に垂直なネジの使用と同様に同一の分離を得るために回転する追加の調整ネジが必要であるという欠点がある。
【0052】
他の代替形態によれば、ドビー2の代わりに基本的な織りシステムを使用することが可能である。
【0053】
他の代替形態によれば、可変長さの連接棒6は、ドビー装置2の出力部ではなく、例えばフレームへの連接棒であるリフティングシステムTの他の位置に配置されている。
【0054】
最初の2つの実施形態に適用可能な代替形態によれば、唯一の傾斜した面が、チップ60とチップ62の間の分離の形成のためにチップ上及びあぶみ金640上に存在する。そして、調整範囲は、本発明の最初の2つの実施形態におけるものよりも2倍短い。
【0055】
他の代替形態によれば、スペーサ646が押し込みによりあぶみ金640に固定されたままとなっている。
【0056】
他の代替形態によれば、分離手段64は、フレキシブルブレード644を含んでいない。
【0057】
上記考察した実施形態及び代替形態の技術的な特徴は、新たな実施形態を提供するために互いに組み合わせることが可能である。