(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
1.第1実施形態
(1)圧力検出装置の全体構造
図1を用いて、本発明の第1実施形態に係る圧力検出装置1の全体構造を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る圧力検出装置の概略図である。
【0019】
圧力検出装置1(圧力センサの一例)は、押圧荷重を測定する機能を有している。具体的には、圧力検出装置1は、ユーザが指又はペンによって装置の所定の箇所を押したときの荷重を測定する。
圧力検出装置1は、圧電部3と、温度補償部9とを有している。圧電部3は、与えられた荷重に応じた圧電信号を発生する部材である。温度補償部9は、圧電部3にて発生した圧電信号を検出する圧電信号検出部である。より具体的には、温度補償部9は、後述の温度検出電極23からの温度変化情報に基づいて、温度変化に起因する電荷発生量の変化を補償して、補償後の電荷発生量を出力する装置である。
以下、圧力検出装置1の構成を詳細に説明する。
【0020】
(2)圧電部
圧電部3は、主に、圧電センサ11と、ガラス13と、温度検出電極23とを有している。ガラス13は、第1主面13aと第2主面13bとを有する。第2主面13b上には、圧電センサ11が形成されている。この実施形態では、圧電センサ11は、ガラス13の第2主面13bの全面に形成されている。なお、圧電センサ11はガラス13の主面の全面に形成されていなくてもよく、つまりガラス13の主面の一部には、圧電センサ11が形成されていない部分があってもよい。
【0021】
図1及び
図2を用いて、圧電センサ11の構造を説明する。
図2は、圧電部の各層の平面図を展開した図である。
圧電センサ11は、主に、フィルム状の圧電シート15と、電荷検出電極17と、電荷検出電極としての基準電極19とを有している。電荷検出電極17は、圧電シート15のガラス13と反対側の面に形成されている。基準電極19は、圧電シート15のガラス13側の面に形成されており、基準電位に接続されている。圧電センサ11では、電荷検出電極17と基準電極19とには、圧電シート15に与えられた荷重に応じた圧電信号が発生する。なお、電荷検出電極と基準電極とは位置が入れ替わっていてもよい。
図2に示すように、電荷検出電極17と基準電極19は、圧電シート15に対して全面的に対応しているが、圧電シート15の額縁部には対応していない。ただし、
図1では、簡略化のために、電荷検出電極17と基準電極19は圧電シート15と同じ寸法のように描いている。
【0022】
(3)圧電シート
圧電シート15を構成する材料としては、セラミック圧電材料、フッ化物重合体又はその共重合体、キラリティーを有する高分子材料などが挙げられる。
セラミック圧電材料としては、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムなどが挙げられる。フッ化物重合体又はその共重合体としては、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体などが挙げられる。キラリティーを有する高分子材料としては、L型ポリ乳酸や、R型ポリ乳酸などが挙げられる。
【0023】
また、圧力検出装置1を、表示装置や、タッチパネルを備えた表示装置に適用する場合には、圧電シート15は、透明な材料により構成されることが好ましい。又は、圧電シート15は、光が十分に透過できる程度に薄く構成されることが好ましい。
【0024】
(4)電極
電荷検出電極17及び基準電極19は、導電性を有する材料により構成できる。導電性を有する材料としては、インジウム−スズ酸化物(Indium−Tin−Oxide、ITO)、スズ−亜鉛酸化物(Tin−Zinc−Oxide、TZO)などのような透明導電酸化物、ポリエチレンジオキシチオフェン(Polyethylenedioxythiophene、PEDOT)などの導電性高分子、などを用いることができる。この場合、上記の電極は、蒸着やスクリーン印刷などを用いて形成できる。
【0025】
また、導電性を有する材料として、銅、銀などの導電性の金属を用いてもよい。この場合、上記の電極は、蒸着により形成してもよく、銅ペースト、銀ペーストなどの金属ペーストを用いて形成してもよい。
【0026】
さらに、導電性を有する材料として、バインダー中に、カーボンナノチューブ、金属粒子、金属ナノファイバーなどの導電材料が分散したものを用いてもよい。
【0027】
なお、圧力検出装置1を表示装置又はタッチパネルを備えた表示装置に適用する場合には、圧電シート15と同様、電荷検出電極17及び基準電極19は、透明な材料により構成されることが好ましい。又は、電荷検出電極17及び基準電極19は、光が十分に透過できる程度に薄く構成されることが好ましい。
【0028】
(5)温度検出電極
温度検出電極23は、絶縁フィルム25を介して、電荷検出電極17の圧電シート15と反対側に設けられている。温度検出電極23は、温度によって抵抗が変化する電極である。温度検出電極23は、温度変化と抵抗率変化が比例している材料で形成されることが好ましい。温度検出電極23は、例えば、電荷検出電極17及び基準電極19と同じ材料によって形成される。
【0029】
温度検出電極23は、
図2に示すように、電荷検出電極17及び基準電極19に対応するように形成されており、具体的には、広い面積にわたって密に蛇行する1本の線形状である。より具体的には、温度検出電極23は、絶縁フィルム25の長辺方向に延びる部分が絶縁フィルム25の短辺付近で折り曲げられさらに長辺方向に延びるようになっている。温度検出電極23は、電荷検出電極17の各部分において温度検出電極23から平面方向に所定距離以上離れた部分ができないように、張り巡らされている。
【0030】
温度検出電極23は、電荷検出電極17に対して、その全面の温度変化を測定できるように電荷検出電極17の全面に対応していることが好ましい。なお、温度変化測定の必要な場所が限定されている場合は、温度検出電極23の配置場所もそれに合わせて限定されてもよい。この実施形態では、温度検出電極23が、絶縁フィルム25を用いることで電荷検出電極17に対して層厚み方向に重ねて配置されているので、温度変化の測定精度が高くなっている。
【0031】
温度検出電極のパターン(形状及び位置)と本数は本実施形態に限定されない。例えば、温度検出電極の蛇行の形状は本実施形態と異なっていてもよい。また、温度検出電極の幅寸法、電荷検出電極の面積に対する面積の比率は本実施形態と異なっていてもよい。さらに、温度検出電極は複数に分割されており、それぞれから抵抗変化が出力されるように構成されていてもよい。
【0032】
以上の構成により、圧電シート15が押圧されたときに、電荷検出電極17と基準電極19との間(すなわち、圧電シート15の両主面間)圧電信号が発生する。
【0033】
(6)温度補償部
温度補償部9は、
図1に示すように、補正演算部27と、チャージアンプ29と、抵抗検出部31とを有している。チャージアンプ29は、電荷検出電極17で発生した電荷を電圧に変換するための積分回路である。
抵抗検出部31は、温度検出電極23の抵抗の変化(温度変化)を検出する装置である。抵抗検出部31、抵抗の変化をデジタル信号として補正演算部27に出力する。なお、抵抗検出部31は、ホイートストーンブリッジを用いて実現されてもよい。
補正演算部27には、チャージアンプ29から温度補償前の電圧(電荷発生量)と、抵抗検出部31からRtの抵抗値とが入力される。すると、補正演算部27は、電圧(電荷発生量)に対して温度変化の影響を取り除く補正を行い、補正後の電圧(電荷発生量)を出力する。
以上の構成及び動作により、圧電シート15に対する押圧力の変化量に起因して発生する微小な圧電信号に基づいて、圧電センサ11への押圧力を精度良く測定できる。
なお、補正演算部27は、CPU、RAM、ROMなどからなるコンピュータによって実行されるプログラムによって実現されていてもよいし、IC等のハードウェアによって実現されていてもよい。
【0034】
温度検出電極23は、単位長さあたりの抵抗を一定にすることが望ましい。その理由には、温度検出電極23の、単位長さあたりの抵抗が一定であれば、補正演算部27は、面内に温度分布がある場合でも、熱に起因する電荷検出電極17における電荷発生量を補正できるからである。以下にその理由を詳細に説明する。
例えば、
図2において電荷検出電極17の面積Sの円形の範囲だけ、温度の上昇変化がΔTであったとする。面積Sに対して、温度検出電極23が充分に密に張り巡らされている場合は、この円形の範囲内に存在する温度検出電極23の延べ長さLは、面積Sに比例すると考えてもよい。よって、以下の式が成立する。
L=k
1S(k
1は比例定数)
また、抵抗率変化が温度変化に比例する場合は、温度検出電極23の両端の抵抗の変化ΔRは、以下のように表される。
ΔR=k
2LΔT=k
1k
2SΔT(k
2は比例定数)
一方、温度変化による電荷検出電極17における電荷発生ΔQは、温度変化ΔTと面積Sに比例すると考えることができる。なぜなら、熱膨張も焦電性による電荷発生も温度変化に比例するからである。
ΔQ=k
3SΔT(k
3は比例定数)
よって、電荷発生ΔQと抵抗変化ΔRについては、以下の比例関係が成立する。
ΔR/ΔQ=k
1k
2/k
3
上記の式より、面内で温度変化があった場合でも、温度検出電極23における抵抗の変化に基づいて、補正演算部27は、温度変化に起因する電荷発生量の変化を補正することができる。
なお、温度検出電極が第2実施形態(後述)のように圧電シートの両面にある場合は、上記の式において両側の温度検出電極の抵抗変化の平均をΔRとする。
【0035】
なお、比例定数k
3は、実際には温度変化に伴って変化すると考えられる。したがって、好ましくは、温度変化に伴うk
3の変化も考慮して上記補正を行う。例えば、抵抗検出部31で検出される抵抗値から圧電部3の温度を推定しても良いし、温度計(例えば、熱電対、サーミスタ)を圧電部3近くに配置する又は貼り付けることで、圧電部3の温度を推定してもよい。
【0036】
次に、
図3を用いて、温度補償部9の動作を説明する。
図3は、温度補償制御を説明するためのグラフである。詳細には、
図3(a)は、電荷検出電極17から出力された電荷q[C]の時間経過に対する変化を示すグラフである。
図3(b)は、温度検出電極23から出力されてきた抵抗の変化ΔR[Ω]の時間経過に対する変化を示すグラフである。
図3(c)は、押圧力Fの時間経過に対するグラフである。
図3(a)では、全体的には時間経過に従って電荷q[C]は大きくなりつつも特に急激に上昇する上側凸状の変化を有している。しかし、実際の押圧力Fは、
図3(c)に示すように、ゼロから急激に大きくなりさらに急激に小さくりゼロになる上側凸状の変化である。
【0037】
一方、抵抗検出部31によって測定される抵抗の変化ΔR[Ω]は、
図3(c)に示すように、時間経過に比例して大きくなっている。
そこで、補正演算部27がチャージアンプ29からの電圧(電荷発生量)を、
図3(b)の抵抗変化に基づいて補正する。より具体的には、補正演算部27は、補正前の電荷q(t)[C]から温度変化により発生した電荷(例えば、上記の式を用いれば、ΔQ=ΔR(t)・(k
3/k
1k
2))を減算する。その結果、
図3(c)のようなグラフに対応する電圧(電荷発生量)が得られる。
なお、上記で説明したグラフは、実際に生じ得る押圧力の発生及び温度変化に起因する電荷発生の一例を示しただけである。
【0038】
2.第2実施形態
前記実施形態では温度検出電極は1個であったが、2個の温度検出電極を設けてもよい。その場合は、2個の温度検出電極からの抵抗変化を平均することで、温度情報の変化をより正確に得ることができる。
【0039】
図4及び
図5を用いて、第2実施形態を説明する。
図4は、第2実施形態に係る圧力検出装置の概略図である。
図5は、圧電部の各層の平面図を展開した図である。なお、第2の実施形態において第1実施形態と同様の構造及び機能については説明を省略する(以下、同じである。)。
【0040】
図4及び
図5に示すように、圧電部3は、第1温度検出電極33と、第2温度検出電極36(第1実施形態の温度検出電極23に相当)とを有している。第1温度検出電極33は、圧電センサ11に対して第2温度検出電極36と反対側に配置されており、具体的には、ガラス13と基準電極19との間に配置されている。より具体的には、第1温度検出電極33は、絶縁フィルム35の上に形成され、絶縁フィルム35が基準電極19に固定されている。
【0041】
第1温度検出電極33は、第2温度検出電極36と同じく、蛇行した形状である。この実施形態では、
図5に示すように、第1温度検出電極33と第2温度検出電極36は全く同じで形状であるが、両者は異なっていてもよい。例えば、両温度検出電極の幅、長さ、位置、パターンが互いに異なっていてもよい。
【0042】
温度補償部9は、第1抵抗検出部32と、第2抵抗検出部34(第1実施形態の抵抗検出部31に相当)と、平均演算部41を有している。第1抵抗検出部32は、第1温度検出電極33の抵抗Rt
1の変化(温度変化)を検出する装置である。第2抵抗検出部34は、第2温度検出電極36の抵抗Rt
2の変化(温度変化)を検出する装置である。平均演算部41は、第1抵抗検出部32からの抵抗Rt
1の変化と第2抵抗検出部34からの抵抗Rt
2の変化を入力して、それらの平均を算出する。そして、平均演算部41は、平均された抵抗変化(温度変化)を補正演算部27に出力する。
この場合、圧電センサ11の両側の温度変化の情報が平均化されて用いられるので、補正演算部27における補正(すなわち、温度補償部9による温度補償)がより正確になる。
【0043】
3.第3実施形態
第1及び第2実施形態では温度検出電極は電荷検出電極と別の層として形成されていたが、温度検出電極を電荷検出電極と同一面に形成してもよい。それにより、圧電部3の薄型化及び軽量化が実現される。具体的には、温度検出電極は、圧電フィルムの表面に電荷検出電極と共に形成できる。また、同じ面に形成された温度検出電極と電荷検出電極を同じ材料で形成してもよい。その場合、コストが低減される。
【0044】
図6及び
図7を用いて、上記の例としての第3実施形態を説明する。
図6は、第3実施形態に係る圧力検出装置の概略図である。
図7は、圧電部の各層の平面図を展開した図である。
【0045】
図7に示すように、電荷検出電極17Aは、圧電シート15の図下面において、複数の電極17Bから構成されている。複数の電極17Bは帯形状の電極であり、圧電シート15図下面全体にわたり、互いに平行に形成されている。この実施形態では、複数の電極17Bは、
図7の横方向に長く延びており、図縦方向に互いに隙間を空けて形成されている。
【0046】
図7に示すように、第2温度検出電極36Aは、圧電シート15の図下面において、複数の電極17Bの隙間内を連続して蛇行するように延びている。より具体的には、第2温度検出電極36Aは、複数の電極17Bの隙間内での往復を繰り返しており、各往復の始点と終点とが連結されている。
このように、第2温度検出電極36Aが、電荷検出電極17Aと共に圧電シート15の片面上に配置されているので、第2温度検出電極36Aをその上に形成する層を新たに設ける必要がない。したがって、圧電部3が薄型化及び軽量化される。
【0047】
上述したように、本実施形態では、電荷検出電極17Aが互いに隙間を空けた複数の電極17Bを有しており、第2温度検出電極36Aが複数の電極17Bと間を空けて隙間内に延びている。言い換えると、第2温度検出電極36Aが圧電シート15の全面に広がって延びている。この結果、第2温度検出電極36Aが温度変化を正確に検出できる。
なお、電荷検出電極の複数の電極の形状は前記実施形態に限定されない。例えば、複数の電極は
図7の縦方向に延びていてもよい。また、複数の電極は曲線状に延びていてもよいし、ブロック形状であってもよい。
【0048】
また、温度検出電極の形状及び本数は前記実施形態に限定されない。例えば、温度検出電極は、複数の電極の隙間を複数回往復するように蛇行していてもよい。また、温度検出電極は複数に分割されており、それぞれから抵抗変化が出力されるように構成されていてもよい。
この実施形態では、第1温度検出電極33Aは第2温度検出電極36Aとパターン(形状及び位置)が同じであるが、異なっていてもよい。
【0049】
4.第4実施形態
第3実施形態では、一方の温度検出電極のみが電荷検出電極と同一面に形成されていたが、両方の温度検出電極がそれぞれ電荷検出電極と同一面に形成されていてもよい。
図8及び
図9を用いて、上記の例としての第4実施形態を説明する。
図8は、第4実施形態の圧力検出装置の概略図である。
図9は、圧電部の各層の平面図を展開した図である。
【0050】
図9に示すように、電荷検出電極17Aは、圧電シート15の図下面において、短冊状の複数の電極17Bから構成されている。この実施形態では、複数の電極17Bは、図横方向に長く延びており、図縦方向に互いに隙間を空けて形成されている。基準電極19Aは、圧電シート15の図上面において、短冊状の複数の電極19Bから構成されている。この実施形態では、複数の電極19Bは、図横方向に長く延びており、図縦方向に互いに隙間を空けて形成されている。
【0051】
図9に示すように、第2温度検出電極36Aは、圧電シート15の図下面において、複数の電極17Bの隙間内を連続して蛇行するように延びている。より具体的には、第2温度検出電極36Aは、複数の電極17Bの隙間内での往復を繰り返しており、隣接する往復部分の始点と終点とが連結されている。一方、第1温度検出電極33Aは、圧電シート15の図上面において、複数の電極19Bの隙間内を連続して蛇行するように延びている。より具体的には、第1温度検出電極33Aは、複数の電極19Bの隙間内での往復を繰り返しており、隣接する往復部分の始点と終点とが連結されている。
この実施形態では、第2温度検出電極36Aと電荷検出電極17Aの組のパターン(形状及び位置)と、第1温度検出電極33Aと基準電極19Aの組のパターン(形状及び位置)は同じであり、平面視で重なっている。
【0052】
このように、第2温度検出電極36Aが、電荷検出電極17Aと共に圧電シート15の片面上に配置されているので、第2温度検出電極36Aをその上に形成する層を新たに設ける必要がない。したがって、圧電部3が薄型化及び軽量化される。さらに、第1温度検出電極33Aが、基準電極19Aと共に圧電シート15の片面上に配置されているので、第1温度検出電極33Aをその上に形成する層を新たに設ける必要がない。したがって、圧電部3が薄型化及び軽量化される。
なお、前述のように、電荷検出電極と温度検出電極のパターン(形状及び位置)は、前記実施形態に限定されない。また、圧電シートの両側に配置された電荷検出電極と温度検出電極の組同士のパターン(形状及び位置)は互いに同じでなくてもよい。
【0053】
5.第5実施形態
第4実施形態の圧電部に、接触位置検出センサとしてのタッチパネルとしての機能を持たせてもよい。
具体的には、前記実施形態のガラスの代わりに、タッチパネルを用いる。なお、タッチパネルとしては、静電容量方式、抵抗膜方式、光学方式が挙げられる。以下に、静電容量方式の場合について説明する。
図10及び
図11を用いて、第5実施形態を説明する。
図10は、第5実施形態の圧力検出装置の概略図である。
図11は、圧電部の各層の平面図を展開した図である。
【0054】
圧力検出装置1は、タッチパネルとしての機能(接触及び接触位置の検出機能)と押圧荷重を測定する機能を有するタッチ検出装置である。
圧力検出装置1は、圧電センサ11と、接触検出部としてのタッチパネル71と、を有している。圧電センサ11の構造及び機能は第4実施形態と同じである。
【0055】
タッチパネル71は、圧電部3の一部に組み込まれている。具体的には、タッチパネル71は、ガラス13と、圧電センサ11との間に配置されている。タッチパネル71は、絶縁層73と、その両面に設けられた第1タッチ検出電極75及び第2タッチ検出電極77とを有しており、静電容量を測定する方式である。
絶縁層73は、圧電センサ11の基準電極19A及び第1温度検出電極33Aの上側面に設けられている。
【0056】
第1タッチ検出電極75は、絶縁層73の基準電極19Aと反対側の面に形成されている。第1タッチ検出電極75は、
図11に示すように、図縦方向に延びる複数の電極75Aから構成されている。複数の電極75Aは帯形状の電極であり、絶縁層73の上面全体にわたり、互いに平行に形成されている。
第2タッチ検出電極77は、基準電極19Aの複数の電極19Bが兼用されている。すなわち、基準電極19Aの複数の電極19Bが、第2タッチ検出電極77の複数の電極77Aとしても機能する。第2タッチ検出電極77の電極77A(すなわち、電極19B)は、図横方向に延びる帯形状の電極であり、圧電シート15の図上面全体にわたり、互いに平行に形成されている。
図11に示すように、複数の電極77Aと複数の電極75Aは、互いに直交して配置されている。
【0057】
上述のように、電荷検出電極がタッチパネル電極を兼用しているので、タッチパネルの第2電極と19Aとの間を絶縁するための別の層が不要になり、したがって、圧電部3が軽量化及び薄型化される。また、電極材料が低減される。
【0058】
圧力検出装置1は、さらに、
図10に示すように、タッチパネルコントローラ81を有している。タッチパネルコントローラ81は、タッチパネル71の第1タッチ検出電極75と第2タッチ検出電極77(基準電極19A)とに接続されている。
この構成により、第1タッチ検出電極75から静電容量検出Rxがタッチパネルコントローラ81に出力される。さらに、第2タッチ検出電極77(基準電極19A)から静電量容量検出Tx(基準電圧を兼ねる)がタッチパネルコントローラ81に出力される。これにより、温度補償部9は、タッチパネルコントローラ81に出力された基準電極19Aの電圧を基準電圧として用いて、圧電センサ11の圧電信号を検出する。
この圧力検出装置1では、接触対象物が圧電部3のどの位置に接触したかという情報と、押圧力の測定結果とを組み合わせて検出される。
【0059】
この実施形態では、第4実施形態の圧電部にタッチパネルの機能を持たせさらに圧電部とタッチパネルとで電極の共通化を行ったが、圧電センサとタッチパネルの組み合わせはこの実施形態に限定されない。例えば、電極の共通化をすることなく、第4実施形態の圧電センサにタッチパネルの機能を持たせてもよい。さらに、第1実施形態、第2実施形態、又は第3実施形態のいずれかの圧電センサにタッチパネルの機能を持たせてもよい。
【0060】
6.第6実施形態
前記実施形態では圧電センサは一定の面積にわたって広がった平板状であったが、本発明はそのような形状に限定されない。例えば、圧電センサが枠線状であってもよい。
図12及び
図13を用いて、上記の例としての第6実施形態を説明する。
図12は、第6実施形態の圧電センサの概略断面図である。
図13は、圧電部の各層の平面図を展開した図である。
【0061】
図に示すように、圧電部103は、主に、ガラス113と、圧電センサ111と、温度検出電極123とを有している。
ガラス113は、第1主面113aと第2主面113bとを有する。第2主面113b上には、圧電センサ111が形成されている。圧電センサ111は、図に示すように、ガラス113の第2主面113bの外周部分において枠状に(つまり細長い形状で全体を囲むように延びて)形成されている。つまり、圧電センサ111は、第2主面113bの外周縁全体に沿って形成されている。圧電センサ111の配置位置は、例えば表示装置が設けられる装置の場合に、表示装置よりも外側にあるいわゆる額縁部分に対応している。
【0062】
圧電センサ111は、主に、圧電シート115と、電荷検出電極117と、基準電極119とを有している。電荷検出電極117は、圧電シート115のガラス113と反対側の面に形成されている。基準電極119は、圧電シート115のガラス113側の面に形成されている。圧電センサ111では、電荷検出電極117と基準電極119との間には、圧電シート115に与えられた荷重に応じた圧電信号が発生する。なお、電荷検出電極と基準電極は位置が入れ替わっていてもよい。
【0063】
なお、圧力検出装置は、圧電部103を支持するための筐体131を有している。具体的には、圧電センサ111が筐体131の上面に支持又は固定されている。筐体131は、剛性が高い部材であることが好ましい。筐体131には表示装置が装着されていてもよい。
【0064】
温度検出電極123は、絶縁フィルム125を介して、電荷検出電極117の圧電シート115と反対側に設けられている。温度検出電極123は、温度によって抵抗が変化する電極である。温度検出電極123は、温度変化と抵抗率変化が比例している材料で形成されることが好ましい。
【0065】
温度検出電極123は、図に示すように、電荷検出電極117及び基準電極119に対応するように形成されている。具体的には、温度検出電極123は、枠状に(つまり細長い形状で全体を囲むように延びて)形成されており、一部が切れたようになって両端を有している。
【0066】
温度検出電極123によって前記実施形態と同じ効果が得られる。
さらに、温度検出電極123が電荷検出電極117及び基準電極119に対して平面視で対応する位置に形成されているので、温度検出電極123が温度変化を正確に検出できる。
【0067】
本実施形態の変形例として、第2〜第4実施形態のように、ガラス113と基準電極119との間に第2温度検出電極を設けてもよい。
本実施形態の変形例として、第5実施形態のように、圧電部103にタッチパネルの機能を付加してもよい。
本実施形態の変形例として、第1〜第5実施形態のように、温度検出電極を蛇行させてもよい。
【0068】
7.第7実施形態
第1〜第6実施形態においては、補正演算部が温度変化に起因する電荷発生量の変化を補正するために用いた「温度検出電極からの温度変化情報」は、1つの抵抗検出部によって検出された抵抗値(第1実施形態)、又は、2つの抵抗検出部によって検出された抵抗値同士の平均(第2〜第5実施形態)であった。しかし、「温度検出電極からの温度変化情報」は上記のものに限定されない。以下、第7〜第12実施形態において、「温度検出電極からの温度変化情報」が第1〜第6実施形態とは異なる実施形態を説明する。
【0069】
図14及び
図15を用いて、本発明の第7実施形態に係る圧力検出装置1の全体構造を説明する。
図14は、第7実施形態に係る圧力検出装置の概略図である。
図15は、圧電部の各層の平面図を展開した図である。
【0070】
圧力検出装置1の基本的な構成及び機能は、第2実施形態と同様である。したがって、以下、異なる点を中心に説明する。
【0071】
圧電シート15Aは、押圧力が加えられたわみが発生すると、両面に加えられた押圧力に応じた電位差を発生するシートである。圧電シート15Aは、第1圧電シート15aと第2圧電シート15bとから構成されている。両シートは同じ形状であり、互いに対向している。第1圧電シート15aは基準電極19側(図の上側)に配置され、第2圧電シート15bは電荷検出電極17側(図の下側)に配置されている。第1圧電シート15aと第2圧電シート15bは、例えば、PSAからなる中間接着層(図示せず)を介して互いに接着されている。
【0072】
第1圧電シート15a及び第2圧電シート15bの材料は、強誘電体材料をシート状に成形したのちに厚み方向に分極させたシートを用いることができる。強誘電体材料としては、PVDFや、PVDFとTrFEやETFEなどの共重合体、PZTがある。第1圧電シート15aと第2圧電シート15bは互いに分極方向が上下逆になるように積層される。
第1圧電シート15a及び第2圧電シート15bの材料の組み合わせは特に限定されない。ただし、両シートは同じ特性を有する材料が用いられることが好ましい。温度変化による熱応力と焦電効果によって生じる圧電シートからの出力をキャンセルできるからである。
【0073】
減算演算部41Aは、第1抵抗検出部32からの抵抗Rt
1の変化と第2抵抗検出部34からの抵抗Rt
2の変化を入力して、それらの差を算出する。そして、減算演算部41Aは、抵抗変化(温度変化)同士の差を補正演算部27に出力する。この場合、圧電センサ11の両側の温度変化の情報が減算されて用いられるので、補正演算部27における補正(すなわち、温度補償部9による温度補償)がより正確になる。なお、温度補償部9による温度補償は、後に詳細に説明する。
【0074】
以下、圧電シートにおける焦電効果に起因する出力をキャンセルするメカニズムを説明する。なお、以下の説明は、第1圧電シート15aの温度変化と第2圧電シート15bの温度変化が同じ場合(微差の場合を含む)の一般的な説明である。
【0075】
第1圧電シート15aと第2圧電シート15bが強誘電体から構成される場合、第1圧電シート15aと第2圧電シート15bは、無押庄状態での分極方向が互いに逆方向になるよう構成されていることが好ましい。上記のように構成されていると、圧力検出器100内で温度変化が生じて、圧電シート15A内に焦電効果が発生した場合に、第1圧電シート15aの入力面側と第2圧電シート15bの背面側で正負同じ電荷が生じる。
第1圧電シート15aと第2圧電シート15bは、同じ特性を有する材料から構成し、同じ厚みにすることが好ましい。その場合、第1圧電シート15aの背面側の面と第2圧電シート15bの入力面側の面との間で、電位同士がほぼ等しくなる。
【0076】
したがって、上記のように構成すると、圧電シート15Aが焦電効果の影響を受けた場合、焦電効果に起因して発生する第1圧電シート15aの上側の面の電位と第2圧電シート15bの下側の面の電位はほぼ等しくなる。すると、圧力検出器100において、第1圧電シート15aと第2圧電シート15bが焦電効果の影響を受けた場合に、電荷検出電極17及び基準電極19によって検出される圧電シート15Aとして焦電効果に起因する電位差は、ほぼ「0」となる。したがって、第1圧電シート15aと第2圧電シート15bに焦電効果が発生しても、圧電シート15A全体としては焦電効果に起因する電位差がほとんど検出されない。その結果、温度変化に伴う誤動作(特に、焦電効果に起因した誤動作)がほとんど生じない。
【0077】
次に、押圧力が加えられたときに、圧電シート15Aにおいて電荷が発生するメカニズムを説明する。圧電部3に押圧を加えたとき、ガラス13は圧電シート15A、基準電極19、及び電荷検出電極17に比べて高い剛性を有しているため、圧電シート15A(第1圧電シート15aと第2圧電シート15b)には引張応力が生じる。このとき、第1圧電シート15aには引張応力σ
uが生じ、第2圧電シート15bには引張応力σ
lが生じる。その結果、第1圧電シート15aと第2圧電シート15bの入力面側の面と背面側の面には、上記引張応力に応じた電荷がそれぞれ発生する。そして、発生した電荷によって、第1圧電シート15a及び第2圧電シート15bのそれぞれの入力面側と背面側の面との間には電位差が発生する。第1圧電シート15aの間で発生する電位差V
1は、第1圧電シート15aの入力面側の電位と背面側の電位との差であり、電位差V
1は引張応力σ
uの大きさに比例している。第2圧電シート15bの間で発生する電位差V
2は、第2圧電シート15bの入力面側の電位と背面側の電位との差であり、電位差V
2は引張応力σ
lの大きさに比例している。
【0078】
次に、
図16を用いて、本実施形態特有の温度補償部9による温度補償原理を説明する。なお、以下の説明は、第1圧電シート15aの温度変化と第2圧電シート15bの温度変化が異なる場合の説明である(第8〜第12実施形態の場合も同様)。
図16は、温度補償制御を説明するためのグラフである。このグラフでは、横軸が時間変化であり、縦軸が各物性値である。なお、グラフの左端が測定開始時刻(t=0)である。測定開始時刻は、圧力センサの制御部の電源をONした時刻でもよいし、ONしてから所定の時間が経過した時刻でもよい。また、タッチパネル機能を有している場合は、タッチを検出した時刻でもよい。
【0079】
図16(a)は、第1温度検出電極33により検出される温度の変化ΔT
1(t)と、第2温度検出電極36により検出される温度の変化ΔT
2(t)と、両者の差ΔT
1(t)−ΔT
2(t)とを示している。
図16(a)に示すように、第1圧電シート15aと第2圧電シート15bの温度の変化が異なっており、両者に差が生じることが分かる。この実施形態では、両者の差ΔT
1(t)−ΔT
2(t)は、
図16(c)に示すように、時間経過に比例して大きくなっている。
図16(b)は、押圧力F(t)を示している。この実施形態では、実際の押圧力Fは、途中で急激に大きくなりさらに急激に小さくなる変化を有している。
【0080】
図16(c)は、第1温度検出電極33及び第2温度検出電極36から出力されてきた抵抗の変化ΔR[Ω]の時間経過に対する変化を示すグラフである。
図16(c)に示すように、第1温度検出電極33及び第2温度検出電極36で検出された抵抗値の変化が異なっており、両者に差があることが分かる。なお、この変化の差は、第1圧電シート15aと第2圧電シート15bの温度変化の差に対応している。なお、このように第1圧電シート15aと第2圧電シート15bの温度変化に差が生じるのは、指などでガラス13を押した場合には、指の熱が第1圧電シート15a、第2圧電シート15bの順番で伝達するからであり、つまり第1圧電シート15aが先に暖まるからである。
図16(c)では、具体的には、第1抵抗検出部32が抵抗の変化ΔRt
1(t)を検出し、さらに、第2抵抗検出部34が抵抗の変化ΔRt
2(t)を検出する。そして、減算演算部41Aが、両者の差ΔRt
1(t)−ΔRt
2(t)を演算によって取得する。この実施形態では、抵抗の変化の差ΔRt
1(t)−ΔRt
2(t)は、
図16(c)に示すように、時間経過に比例して大きくなっている。
図16(d)は、電荷検出電極17から出力された電荷q[C]の時間経過に対する変化を示すグラフである。
図16(d)では、全体的には時間経過に従って電荷q[C]は、大きくなりつつも、急激に上昇する上側凸状の変化を有している。
【0081】
そこで、補正演算部27が、チャージアンプ29からの電圧(電荷発生量)を、
図16(c)の抵抗差の変化に基づいて補正する。より具体的には、補正演算部27が、両検出電極からの抵抗の変化の差に比例定数Aを乗じることでA(ΔRt
1(t)−ΔRt
2(t))を得る。続いて、補正演算部27は、補正前の圧電フィルムから出力される電荷q(t)[C]から、A(ΔRt
1(t)−ΔRt
2(t))を減算することで、温度変化に関して補正された電荷発生量(電圧)を生成する。つまり、
図16(e)のようなグラフに対応する電荷qが得られる。
以上の結果、本実施形態では、バイモルフの2枚の圧電シートの温度変化が異なる場合には、焦電性による出力をキャンセルできる。
なお、上記で説明したグラフは、実際に生じ得る押圧力の発生及び温度変化に起因する電荷発生の一例を示しただけである。
【0082】
8.第8実施形態
図17及び
図18を用いて、本発明の第8実施形態に係る圧力検出装置1の全体構造を説明する。
図17は、本発明の第8実施形態に係る圧力検出装置の概略図である。
図18は、圧電部の各層の平面図を展開した図である。
この実施形態は、第3実施形態に対して、圧電シート15Aが第1圧電シート15a及び第2圧電シート15bからなるバイモルフであり、減算演算部41Aを採用している点のみが異なる。以上より、基本的な構造及び効果については第3実施形態と同様であり、上記相違点による効果については第7実施形態と同様である。
【0083】
9.第9実施形態
図19及び
図20を用いて、第9実施形態を説明する。
図19は、第9実施形態の圧力検出装置の概略図である。
図20は、圧電部の各層の平面図を展開した図である。
【0084】
この実施形態は、第4実施形態に対して、圧電シート15Aが第1圧電シート15a及び第2圧電シート15bからなるバイモルフであり、減算演算部41Aを採用している点のみが異なる。以上より、基本的な構造及び効果については第3実施形態と同様であり、上記相違点による効果については第7実施形態と同様である。
【0085】
10.第10実施形態
図21及び
図22を用いて、第10実施形態を説明する。
図21は、第10実施形態の圧力検出装置の概略図である。
図22は、圧電部の各層の平面図を展開した図である。
この実施形態は、第5実施形態に対して、圧電シート15Aが第1圧電シート15a及び第2圧電シート15bからなるバイモルフであり、減算演算部41Aを採用している点のみが異なる。以上より、基本的な構造及び効果については第5実施形態と同様であり、上記相違点による効果については第7実施形態と同様である。
【0086】
11.第11実施形態
図23及び
図24を用いて、第11実施形態を説明する。
図23は、第11実施形態の圧力検出装置の概略図である。
図24は、圧電部の各層の平面図を展開した図である。
この実施形態は、第6実施形態に対して、圧電シート115Aが第1圧電シート115a及び第2圧電シート115bからなるバイモルフであり、減算演算部(図示せず)を採用している点のみが異なる。以上より、基本的な構造及び効果については第6実施形態と同様であり、上記相違点による効果については第7実施形態と同様である。
【0087】
12.第12実施形態
第7実施形態では、補正演算部に入力される抵抗値同士の差は2つの抵抗検出部と減算演算部とによって生成されているが、本発明はそのような実施形態に限定されない。
図25を用いて、第7実施形態の変形例としての第12実施形態を説明する。
図25は、第12実施形態の温度補償部のブロック図である。
【0088】
温度補償部9Aは、第7実施形態と同様に、補正演算部27と、チャージアンプ29とを有している。温度補償部9Aは、さらに、抵抗接続部149と、差動アンプ150とを有している。
抵抗接続部149は、第1温度検出電極33によって検出される抵抗Rt
1に直列に接続される抵抗R
1と、第2温度検出電極36によって検出される抵抗Rt
2に直列に接続される抵抗R
2とを有している。抵抗R
1と抵抗R
2は、それぞれ、抵抗Rt
1と抵抗Rt
2と概ね同じ抵抗値を有する固定抵抗とする。「概ね同じ」とは温度によって変化するRt
1およびRt
2の、使用温度領域(たとえば−20℃〜60℃)での平均値と概ね同じという意味である。また、抵抗R
1及び抵抗Rt
1と、抵抗R
2及び抵抗Rt
2は並列に配置され、それらに電圧が印加されている。
【0089】
差動アンプ150は、複数のアナログ入力電圧の差を求める差動増幅回路である。差動アンプ150は、抵抗R
1と抵抗Rt
1との間に接続された第1入力部と、抵抗R
2と抵抗Rt
2との間に接続された第2入力部とを有している。差動アンプ150は、さらに、ADコンバータ151を経由して補正演算部27に接続された出力部を有している。以上の構成により、差動アンプ150は、第1入力部からの入力電圧と第2入力部からの入力電圧の差を算出し、それを出力する。この出力値は、抵抗の変化ΔRt
1−ΔRt
2と対応する。
【0090】
ADコンバータ151は、差動アンプ150から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して、それを補正演算部27に出力する。
以上の結果、本実施形態では、バイモルフの2枚の圧電シートの温度変化が異なる場合には、焦電性による出力をキャンセルできる。
【0091】
13.共通の実施形態
第1〜第12実施形態は、下記の内容を共通に有している。
圧力センサ(例えば、圧力検出装置1)は、圧電センサ(例えば、圧電センサ11、圧電センサ111)と、温度検出電極(例えば、温度検出電極23、第1温度検出電極33、第2温度検出電極36、温度検出電極123、第1温度検出電極33A、第2温度検出電極36A)と、補正演算部(例えば、補正演算部27)とを備えている。
圧電センサは、与えられた荷重に応じた圧電信号を発生する圧電シート(例えば、圧電シート15、圧電シート115、圧電シート15A、圧電シート115A)を有する。
温度検出電極は、圧電センサの少なくとも1つの面に設けられている(例えば、
図1に示すように、温度検出電極23は、絶縁フィルム25を介して圧電センサ11に設けられている。)。
補正演算部は、温度検出電極からの温度変化情報に基づいて、温度変化に起因する電荷発生量の変化を補正して、補正後の電荷発生量を出力する。
【0092】
このセンサでは、圧電シートに荷重が作用すると、圧電シートがたわんで電荷を発生する。一方、温度検出電極の抵抗変化を検出することによって、圧電センサ近傍の温度変化が検出される。次に、補正演算部が、温度検出電極からの温度変化情報に基づいて電荷発生量の変化を補正し、補正後の電荷発生量を出力する。これにより、温度変化に起因する圧電シートの電荷発生の変化の影響を無くすことができる。以上の結果、押圧力は正確に検出される。
【0093】
14.他の実施形態
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。