(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6285315
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】ベースユニット
(51)【国際特許分類】
H05K 7/14 20060101AFI20180215BHJP
【FI】
H05K7/14 C
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-155017(P2014-155017)
(22)【出願日】2014年7月30日
(65)【公開番号】特開2016-32070(P2016-32070A)
(43)【公開日】2016年3月7日
【審査請求日】2017年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】川松 豊
(72)【発明者】
【氏名】深谷 良延
【審査官】
白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−244140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/14
H05K 5/00 − 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板金ベースと基板が積層されたベースユニットにおいて、
前記板金ベースのパネル取付け部の近傍に立設された曲げ部と、
前記曲げ部に装着されたエッジング部材と、を備え、
前記エッジング部材が前記板金ベースと前記基板との間の開口部を塞いで、パネル取付け用のねじの前記開口部への侵入を防止することを特徴とするベースユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のベースユニットにおいて、
前記曲げ部は、前記パネル取付け部の近傍の前記板金ベースから切り起こし、前記板金ベースから立設された曲げ部で形成されるベースユニット。
【請求項3】
請求項1に記載のベースユニットにおいて、
前記曲げ部は、前記パネル取付け部に連なる前記板金ベースの周辺部を折り曲げて、前記板金ベースから立設された曲げ部で形成されるベースユニット。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のベースユニットにおいて、
前記エッジング部材は絶縁体であることを特徴とするベースユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、制御盤にてI/Oモジュールを基板に取り付けて固定するベースユニットのパネル取付け機構に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
プラント等の制御に用いる制御盤は、一般的に、各種機器を必要に応じて組み合わせて
構成される。制御盤に用いられる電子機器の一つであるI / O モジュールは、制御盤のベースユニットの基板に穿設された穴にねじ止めによって固定される。
【0003】
特許文献1に示された発明では、I/Oモジュールを基板にねじ止めする際に基板の破損が起こらない取り付け構造を提供する。そこでは、ベースユニットに固定した基板に、電子回路基板を収容したモジュールを取り付けるモジュール取り付け構造であって、前記ベースユニットに取り付けられて前記基板を貫通して突出し、スタッドと、前記スタッドの前記めねじ部に螺合するおねじ部を有するおねじ部材とを備え、前記モジュールの前記取り付け穴に挿通した前記おねじ部材が、前記スタッド収容部内の前記スタッドにねじ止めされることを特徴とするモジュール取り付け構造が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−219394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示すように、当該ベースユニットにI/Oモジュールを装着する際の技術はかなり進んでいて、基板の破損等を防止することが種々図られている。
【0006】
一方、ベースユニット自体をパネルその他キャビネットなどに設置する必要があるのだが、その組み立て作業時に組付け用のねじを落として、ベースユニット内部に侵入させてしまう事態は起こりうるものだった。
【0007】
本願発明は、このようなベースユニットにおいて、ベースユニットのパネルへの取付け作業時にねじをベースユニット内に侵入させてしまうことを防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、板金ベースと基板が積層されたベースユニットにおいて、
前記板金ベースのパネル取付け部の近傍に立設された曲げ部と、
前記曲げ部に装着されたエッジング部材と、を備え、
前記エッジング部材が前記板金ベースと前記基板との間の開口部を塞いで、パネル取付け用のねじの前記開口部への侵入を防止することを特徴とするベースユニットである。
【0009】
特に、前記曲げ部は、前記パネル取付け部の近傍の前記板金ベースから切り起こしされて、前記板金ベースから立設された曲げ部であるか、または、
前記パネル取付け部に連なる前記板金ベースの周辺部を折り曲げて、前記板金ベースから立設された曲げ部で形成されるベースユニットである。
【0010】
さらに、前記エッジング部材は絶縁体であることを特徴とするベースユニットである。
【発明の効果】
【0011】
本願発明のベースユニットであれば、板金ベースと基板の間の開口部をエッジング部材で塞ぐ壁を簡便に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】ベースユニットにかかる従来技術を示す図である。
【
図3】本願発明の実施の形態1にかかるベースユニットの構造を示す図である。
【
図4】本願発明の実施の形態2にかかるベースユニットの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願発明の実施の形態を以下、図面に基づいて説明する。まず、
図1は、本願発明の実施の形態に係るベースユニットを含む制御盤の構成を示す斜視図である。本ベースユニットの板金ベース50に積層固定された基板20の上に、外部との通信を行うI/Oモジュール10、不図示のセンサおよび制御対象機器等を接続する端子台30、端子台30と連接してセンサ等とI / O モジュール10 とを接続するシグナルユニット40が取り付けられている。基板20の上に取り付ける機器類は用途に応じて種類・数を任意に組み合わせればよく、また配置も任意である。このようにして全体で制御盤が構築される。
【0014】
従来、ネジ侵入防止の構造はどのような状況があったかを、
図2を用いて説明する。本図左側で基板20と板金ベース50の平面図(上面図)を示し、右側ではその取付けにかかる側面図を示す。このように基板20は板金ベース50に積層されて固定されるものである。そのため、基板20にはねじ貫通穴21が、板金ベース50にはその受け側の取付(ねじ)穴51が設けられている。単純に基板20を板金ベース50に取り付けただけでは、板金ベース50をパネル取付け部(ねじ穴)60を通じてパネル(図外)に、取付けねじ61で固着作業する時に、基板20と板金ベース50の間に間隙があるので、容易にねじ侵入の危険がある。
【0015】
そのため、板金ベース50の少なくも四隅にあるパネル取付け部60の近傍に、板金ふた取付穴62が刻まれており、L字形状の板金ふた63がその取付け穴62に嵌合されて立設することであった。こうすれば、基板20と板金ベース50との間の開口部が板金ふた63で閉じられる。なお、板金ベース50の周囲は直角に折り曲げられているものとした。一応これで取り付けねじ61の基板20と板金ベース50の間に侵入する隙間は生じない。
【0016】
しかし、板金ふた63で開口部を塞ぐ構造では、板金ふた63の作成費がかかる。また、板金ふた63に隣接する基板20の部分は電気的ショートを避けるために導電パターン禁止としなければならないなどの不都合があった。
【0017】
この他に、導電パターン範囲を減らさずに当該開口部を塞ぐ方法として絶縁体を開口部に設ける方法が考えられたが次の問題点があった:
・両面テープ付のスポンジ、ゴム材の貼付では材料が経年変化してしまう。
・プラスチック片の貼付では、両面テープでの貼付けが必要で作業性が悪い。
・プラスチック片をネジ締結嵌合により組付けでは、プラスチック材に加工が必要となりコストがかかる。
【実施例】
【0018】
(1) 実施の形態1:板金ベースの切り曲げ加工
図3で本願発明の実施の形態1にかかるベースユニットの構造を説明する。(以降
図2と共通の部位には符号を省略する)
ここでは、板金ベース50のパネル取付け部60(四隅)の近傍に、内側から略45度の角度で切り起こされた曲げ部80が立設されている。そこに適当な寸法のエッジング部材70を装着する。装着の方法は
図3中の右上で示すとおりである。装着時の様子はA−A断面図で示す。こうすることで、当該開口部をエッジング部材70で容易に塞ぐことができる。エッジング部材70は市販のものを利用することでよい。
【0019】
また、エッジング部材70は基板20により上部から圧力が加わり、抜け止めされる。また、エッジング部材70は基板20に接触しても、絶縁体(例えば、合成樹脂製)であれば、基板20の導電パターン配置への影響はない。
【0020】
(2)実施の形態2:板金ベースの縁加工
図4で本願発明の実施の形態2にかかるベースユニットの構造を説明する。
本例では、板金ベース50のパネル取付け部60(四隅)の周辺外側から略45度の角度で折り曲げられた曲げ部81が立設される。そこに適当な寸法のエッジング部材71を装着すればよい。装着の方法は
図4中の右上で示すとおりである。装着時の様子はC−C断面図で示してある。こうすることで、当該開口部をエッジング部材71で容易に塞ぐことができる。エッジング部材71は市販のものを利用することで安価であるし、その付随的効果は実施の形態1に同様である。
【0021】
(3)その他の実施例
ここでは、設計上の変形例を紹介する。
図5Aと
図5Bの両図で示す。
どちらの例も、板金ベース50の両端部の二つのパネル取付け穴60を一括で処理する。
図5Aでは、板金ベース50の上面から見て左右端に、平行に切り起こされた曲げ部83が立設される。これにエッジング部材73を装着する。装着時の様子はB−B断面図で示す。
【0022】
一方、
図5Bでは、板金ベース50の両端部の二つのパネル取付け穴60を一括で処理するのは、
図5Aと同様であるが、
図5Bの例では、板金ベース50の上面から見て上下周囲の縁部から折り曲げた曲げ部84が立設される。これにエッジング部材74を装着する。装着時の様子はD−D断面図で示す。
【0023】
以上のように、基板20と板金ベース50との間の開口部を塞ぐ構造であれば、本願発明の要旨を満たす限り、どのような設計であっても、本願発明の範囲に入るものである。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本願発明は、制御盤に限らず、分電盤などベースユニットの構造を備えたモジュール全般のねじ侵入対策に利用可能な発明である。
【符号の説明】
【0025】
10 I/Oモジュール
20 基板
21 (基板ねじ)貫通穴
30 端子台
40 シグナルユニット
50 板金ベース
51 (基板ねじ)取付穴
60 パネル取付け部
61 パネル取付けねじ
62 板金ふた取付穴
63 板金ふた
70〜74 エッジング部材
80〜84 曲げ部