特許第6285320号(P6285320)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6285320
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】情報表示媒体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20180215BHJP
   G06K 19/02 20060101ALI20180215BHJP
   B42D 25/305 20140101ALI20180215BHJP
【FI】
   G06K19/077 112
   G06K19/077 140
   G06K19/02 020
   B42D15/10 307
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-167589(P2014-167589)
(22)【出願日】2014年8月20日
(65)【公開番号】特開2016-45568(P2016-45568A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年4月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】トッパン・フォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】杉本 隼一
(72)【発明者】
【氏名】木村 健太郎
【審査官】 甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−091695(JP,A)
【文献】 特開2014−119803(JP,A)
【文献】 特開2012−073727(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/00 −19/18
B42D 25/00 −25/485
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
基板の一方の面に表示部を具備するとともに他方の面に電子部品が実装され、前記フレームに内設されたモジュールと、
前記電子部品に応じた貫通孔を具備し、前記貫通孔に前記電子部品が入り込むようにして前記モジュールの前記他方の面上に載置された緩衝材と、
前記フレーム、前記モジュール及び前記緩衝材を挟持し、少なくとも前記表示部に対向する領域が透明な材料からなる一対の基材と、
前記モジュール及び前記緩衝材と、前記フレームと、前記基材との間にそれぞれ充填された接着用硬化樹脂とを有し、
前記モジュールの比重が前記接着用硬化樹脂の硬化前の比重よりも小さく、前記一対の基材のうち前記モジュールの表示部側の基材と、前記モジュールの前記表示部の表面との間隔が、0よりも大きく25μm以下である情報表示媒体。
【請求項2】
請求項1に記載の情報表示媒体の製造方法であって、
前記一対の基材のうち前記モジュールの前記表示部側となる第1の基材上に、硬化前の接着用硬化樹脂を塗布し、前記フレームを載置する工程と、
前記接着用硬化樹脂が塗布された第1の基材上に、前記モジュールを前記表示部が前記第1の基材側となるように前記フレームに内設させて載置する工程と、
前記貫通孔に前記電子部品が入り込むように前記モジュールの前記他方の面上に緩衝材を載置し、該緩衝材及び前記モジュール上に硬化前の接着用硬化樹脂を塗布する工程と、
前記一対の基材のうち前記モジュールの表示部とは反対側となる第2の基材を、前記接着用硬化樹脂が塗布された前記緩衝材及び前記モジュール、並びに前記フレーム上に載置し、前記第2の基材側から加圧する工程と、
前記第1の基材が天側となるように設置して養生して前記接着用硬化樹脂を硬化させる工程とを有する、情報表示媒体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示部付きモジュールを有する情報表示媒体に関し、特に、表示部上に樹脂が積層されることによる視認性低下を回避する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、情報をカードに記録し、該カードを用いた情報管理や決済等が行われている。このような情報管理や決済等に用いられるカードとしては、表面に情報が印字されただけの簡単なものから、表面にエンボス加工が施されたもの、さらには、情報を電磁的に記録可能な磁気カードやICカード等がある。
【0003】
近年、このようなカードにおいて、情報を可変表示する機能を付加したものが考えられており、例えば、特許文献1に開示されている。
【0004】
図5は、情報を可変表示する機能を付加したカードの一例を示す図であり、その断面を示す。
【0005】
本例のカードは図5に示すように、複数の電子回路部品112と、情報を可変表示する表示素子部品113とが回路基板111上に実装されてなるモジュールが、モールド樹脂120で覆われて構成されている。そして、表示素子部品113が透明樹脂114によって覆われて表示部115が構成されている。
【0006】
このように構成されたカードにおいては、表示素子部品113が透明樹脂114によって覆われていることにより、表示素子部品113を保護しながらも表示素子部品113によって表示された情報が視認可能となっている。
【0007】
以下に、上述したカードの製造方法について説明する。
【0008】
図6は、図5に示したカードの製造方法を示す図である。
【0009】
まず、回路基板111上に、複数の電子回路部品112と、情報を可変表示する表示素子部品113とが実装されてなるモジュールに対して、表示素子部品113が実装された面を天側とした状態で、表示素子部品113上に、表示素子部品113の形状に合わせた注型金型131を取り付け、注型金型131内に透明樹脂114を注入する(図6(a),(b))。
【0010】
注入した透明樹脂114を、常温、非加圧状態で硬化させた後、注入金型131を取り外す。これにより、表示素子部品113が透明樹脂114で覆われてなる表示部115が形成される(図6(c))。
【0011】
次に、表示部115が形成された面側に、モジュール全体を覆うように注型金型132を取り付け、注型金型132内に、不透明材料からなるモールド樹脂120を注入する(図6(d))。なお、回路基板111上に実装された複数の電子回路部品112は、回路基板111上からの高さが互いに異なるものであるため、注型金型132は、高さが最も高い電子回路部品112を覆い、かつ、注入したモールド樹脂120がその後硬化した状態における回路基板111上の高さが表示部115の回路基板111上の高さと同一のものとなるような形状となっている。
【0012】
注入したモールド樹脂120を、常温、非加圧状態で硬化させた後、注入金型132を取り外す。これにより、モジュールの表示部115側の面が、表示部115を除いてモールド樹脂120で覆われた状態となる(図6(e))。
【0013】
次に、モジュールを天地反転させ、回路基板111の表示素子部品113が実装された面を地側とした状態で、表示部115とは反対側の面に、モジュール全体を覆うように注型金型133を取り付け、注型金型133内に、不透明材料からなるモールド樹脂120を注入する(図6(f))。なお、上述したように回路基板111上に実装された複数の電子回路部品112は、回路基板111上からの高さが互いに異なるものであるため、注型金型133は、高さが最も高い電子回路部品112を覆うような形状となっている。
【0014】
注入したモールド樹脂120を、常温、非加圧状態で硬化させた後、注入金型133を取り外す。これにより、モジュール全体が、表示部115を除いてモールド樹脂120で覆われた状態となって、カードが完成する(図6(g))。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2008−129621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ところで、上述したように表示部を有するカード等の情報表示媒体においては、表示部に表示される情報の視認性が良好であることが要求される。
【0017】
しかしながら、上述したカードのように、表示素子部品を樹脂で覆うために、表示素子部品上に注型金型を取り付け、この注型金型内に透明樹脂を注入するものにおいては、透明樹脂中に気泡が混入した場合、気泡を取り除くことが困難であり、表示部に表示される情報の視認性がその気泡によって低下してしまうという問題点がある。
【0018】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、表示部上に樹脂が積層された情報表示媒体において、表示部上に樹脂が積層されることによる視認性低下を回避することができる情報表示媒体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために本発明は、
フレームと、
基板の一方の面に表示部を具備するとともに他方の面に電子部品が実装され、前記フレームに内設されたモジュールと、
前記電子部品に応じた貫通孔を具備し、前記貫通孔に前記電子部品が入り込むようにして前記モジュールの前記他方の面上に載置された緩衝材と、
前記フレーム、前記モジュール及び前記緩衝材を挟持し、少なくとも前記表示部に対向する領域が透明な材料からなる一対の基材と、
前記モジュール及び前記緩衝材と、前記フレームと、前記基材との間にそれぞれ充填された接着用硬化樹脂とを有し、
前記モジュールの比重が前記接着用硬化樹脂の硬化前の比重よりも小さく、前記一対の基材のうち前記モジュールの表示部側の基材と、前記モジュールの前記表示部の表面との間隔が、0よりも大きく25μm以下である。
【0020】
上記のように構成された本発明における情報表示媒体を製造する場合は、まず、一対の基材のうちモジュールの表示部側となる第1の基材上に、硬化前の接着用硬化樹脂を塗布し、フレームを載置する。次に、接着用硬化樹脂が塗布された第1の基材上に、モジュールを表示部が第1の基材側となるようにフレームに内設させて載置する。次に、緩衝材の貫通孔に電子部品が入り込むようにモジュール上に緩衝材を載置し、緩衝材及びモジュール上に硬化前の接着用硬化樹脂を塗布する。そして、一対の基材のうちモジュールの表示部とは反対側となる第2の基材を、接着用硬化樹脂が塗布された緩衝材及びモジュール、並びにフレーム上に載置し、第2の基材側から加圧する。これにより、第1の基材と表示部との間の接着用硬化樹脂に気泡が混入していたとしても、気泡は加圧によってモジュールの周囲から外側に押し出される。また、第1の基材上に接着用硬化樹脂を介してモジュール及び緩衝材を載置した後、このモジュール及び緩衝材上に塗布した接着用硬化樹脂を介して緩衝材上に第2の基材を載置して第2の基材側から加圧することにより、第1の基材と表示部との間隔が均一なものとして安定した後に加圧されることになり、加圧によって第1の基材と表示部との間隔が不均一なものとなることが回避される。その後、接着用硬化樹脂を硬化させるために第1の基材が天側となるように設置して養生すると、モジュールの比重が接着用硬化樹脂の硬化前の比重よりも小さいことにより、接着用硬化樹脂が硬化する前の状態においてモジュールが接着用硬化樹脂中を移動したとしても、モジュールは第1の基材側に移動していくことになり、第1の基材と表示部の表面との間隔が広がることはなく、例えば、0よりも大きく25μm以下と狭いものとなる。それにより、第1の基材と表示部との間に接着用硬化樹脂が介在するものの、表示部に表示される情報の視認性が接着用硬化樹脂によって低下してしまうことが回避される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、表示部上に接着用硬化樹脂が積層された情報表示媒体において、第1の基材と表示部との間の接着用硬化樹脂に気泡が混入していたとしても、加圧によって、モジュールの周囲から気泡が外側に押し出され、また、モジュールの比重が接着用硬化樹脂の硬化前の比重よりも小さいことにより、モジュールがフレームに内設されてモジュールの表裏に接着用硬化樹脂が存在する状態で、第1の基材が天側となるように設置して養生すると、硬化する前の接着用硬化樹脂中をモジュールが移動したとしても、モジュールは第1の基材側に移動していくことになり、第1の基材と表示部の表面との間隔が広がることはなく、例えば、0よりも大きく25μm以下と狭いものとなり、それにより、表示部上に樹脂が積層されることによる視認性低下を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の情報表示媒体に用いられるモジュールの実施の一形態を示す図であり、(a)は裏面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は表面から見た図である。
図2】本発明の情報表示媒体の実施の一形態を示す図であり、(a)は裏面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(a)に示した構成から裏面基材及び接着用硬化樹脂を取り除いた状態を示す図、(d)は緩衝材の構成を示す図、(e)は表面から見た図、(f)は(e)に示した構成から表面基材及び接着用硬化樹脂を取り除いた状態を示す図である。
図3図2に示した情報表示媒体の製造方法を説明するためのフローチャートである。
図4図3による製造方法における各工程を示す図である。
図5】情報を可変表示する機能を付加したカードの一例を示す図である。
図6図5に示したカードの製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0024】
まず、本発明の情報表示媒体に用いられるモジュールについて説明する。
【0025】
図1は、本発明の情報表示媒体に用いられるモジュールの実施の一形態を示す図であり、(a)は裏面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は表面から見た図である。
【0026】
本形態におけるモジュールは図1に示すように、電子回路基板11の裏面に複数の電子部品12a〜12fが実装されるとともに、電子回路基板11の表面に表示部13を具備して構成されている。
【0027】
電子回路基板11には、導電性ペーストを用いた印刷等によって配線パターンやランド部(不図示)が形成されており、電子部品12a〜12fは、この配線パターンを介して適宜接続されるようにランド部上に実装されている。
【0028】
表示部13は、対向する一対の電極層間に、電極層間の電位差に応じてその状態が変化する表示層を有する電子ペーパー等からなり、電子回路基板11よりも一回り小さな形状を有している。それにより、モジュール10を表面から見た場合、表示部13の周囲に電子回路基板11が枠状に見える。なお、電子ペーパーは、メモリ性を有することにより、電源が切断された後でも表示を維持することができる。
【0029】
次に、上記のように構成されたモジュール10を用いた情報表示媒体について説明する。
【0030】
図2は、本発明の情報表示媒体の実施の一形態を示す図であり、(a)は裏面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(a)に示した構成から裏面基材20及び接着用硬化樹脂30を取り除いた状態を示す図、(d)は緩衝材50の構成を示す図、(e)は表面から見た図、(f)は(e)に示した構成から表面基材60及び接着用硬化樹脂30を取り除いた状態を示す図である。
【0031】
本形態における情報表示媒体は図2に示すように、図1に示したモジュール10を用いたものである。
【0032】
モジュール10の電子部品12a〜12fが実装された面上には、緩衝材50が載置されている。緩衝材50は、例えば、自立性を有し加圧時に凹みの少ないシリコーンゴム等からなり、その外形は電子回路基板11よりも一回り小さく、例えば、縦横の長さが電子回路基板11よりも2mmずつ短いものとなっている。また、緩衝材50の厚さは、電子部品12a〜12fのうち電子回路基板11上からの高さが最も高い電子部品12eの高さと略同一となっている。また、緩衝材50は、表裏貫通した貫通孔51a〜51fを有している。貫通孔51a〜51fは、緩衝材50がモジュール10の電子部品12a〜12fが実装された面上に載置された場合に電子部品12a〜12fに対応する位置に、電子部品12a〜12fが入り込むのに十分な大きさを具備してそれぞれ設けられている。
【0033】
緩衝材50が載置されたモジュール10は、フレーム40に内設されている。フレーム40は、例えば、ポリ塩化ビニル等の不透明な樹脂材料からなり、電子回路基板11の外形と同一形状の貫通孔42を有することにより、枠形状となっている。そして、緩衝材50が載置されたモジュール10が、この貫通孔42に入り込むことによりフレーム40に内設されている。なお、貫通孔42は、緩衝材50が載置されたモジュール10が入り込むために十分な大きさであれば、電子回路基板11の外形と同一形状でなくてもよい。また、フレーム40の厚さは、緩衝材50が載置されたモジュール10の厚さよりも若干厚いものとなっている。また、フレーム40には、その2つの角部に位置合わせ用の表裏貫通したピン孔41が形成されている。
【0034】
上記のように配置されたモジュール10、緩衝材50及びフレーム40は、その表裏から一対の基材である表面基材60と裏面基材20とによって挟持されている。
【0035】
裏面基材20は、第2の基材となるものであって、透明または不透明のPET(ポリエチレンテレフタレート)等からなり、フレーム40と同一の外形を有し、モジュール10の緩衝材50が載置された面側に、モジュール10、緩衝材50及びフレーム40に重ね合わされるように配置されている。また、このように配置された際にピン孔41に対向する領域に表裏貫通したピン孔21が形成されている。
【0036】
表面基材60は、第1の基材となるものであって、透明なPET等からなり、フレーム40と同一の外形を有し、モジュール10の表示部13が設けられた面側に、モジュール10及びフレーム40に重ね合わされるように配置されている。また、このように配置された際にピン孔41に対向する領域に表裏貫通したピン孔61が形成されている。表面基材60は、モジュール10及びフレーム40に重ね合わされるように配置された際に表示部13の周囲に対向する領域が、印刷が施されることにより隠蔽部63となっており、モジュール10の表示部13の外周部を外部から視認不可能としている。この隠蔽部63以外の領域は、印刷が施されておらずに透明部62となっており、表面基材60側から表示部13が視認可能となっている。なお、表面基材60は、表示部13に対向する領域が透明部62となっていれば、隠蔽部63は必ずしも設ける必要はない。また、表面基材60と表示部13の表面との間隔が、0よりも大きく25μm以下となっている。
【0037】
また、モジュール10の緩衝材50が載置された面側においては、モジュール10及び緩衝材50とフレーム40と裏面基材20との間に接着用硬化樹脂30が充填されており、この接着用硬化樹脂30によって、モジュール10及び緩衝材50とフレーム40と裏面基材20とが接着されている。
【0038】
また、モジュール10の表示部13が設けられた面側においても、モジュール10とフレーム40と表面基材60との間に接着用硬化樹脂30が充填されており、この接着用硬化樹脂30によって、モジュール10とフレーム40と表面基材60とが接着されている。
【0039】
また、モジュール10の単位体積当たりの重さとなる比重は、接着用硬化樹脂30の比重よりも小さなものとなっている。
【0040】
以下に、上記のように構成された情報表示媒体の製造方法について説明する。
【0041】
図3は、図2に示した情報表示媒体の製造方法を説明するためのフローチャートである。図4は、図3による製造方法における各工程を示す図であり、情報表示媒体の断面図を示す。
【0042】
図2に示した情報表示媒体を製造する場合は、図4(a)に示すように、まず、金属板71上に載置された表面基材60の全面に硬化前の接着用硬化樹脂30を一様になるように塗布し、その上にフレーム40を載置する(ステップ1)。この際、金属板71に位置合わせ用のピン(不図示)を設置し、このピンをピン孔41,61に挿入することにより、表面基材60とフレーム40との位置合わせを容易に行うことができる。これにより、表面基材60とフレーム40との間には、接着用硬化樹脂30が介在することとなり、その後、接着用硬化樹脂30が硬化していくことにより、表面基材60とフレーム40とが接着されることになる。
【0043】
次に、図4(b)に示すように、表示部13が表面基材60側となるようにモジュール10を貫通孔42に合わせてフレーム40に内設させていき、接着用硬化樹脂30が塗布された表面基材60上にモジュール10を載置する(ステップ2)。この際、上述したように貫通孔42が電子回路基板11の外形と同一形状であるため、モジュール10を貫通孔42に合わせてフレーム40に内設させると、位置合わせ用ピンによってフレーム40との位置合わせがされている表面基材60とモジュール10との相対位置が予め決められたものとなり、それにより、モジュール10の表示部13のみが表面基材60の透明部62と対向し、表面基材60側から表示部13が視認可能となり、モジュール10の表示部13以外の部分が隠蔽部63によって視認不可能な状態となる。
【0044】
次に、図4(c)に示すように、緩衝材50の貫通孔51a〜51fに電子部品12a〜12fがそれぞれ入り込むように、モジュール10の電子部品12a〜12fが実装された面上に緩衝材50を載置する(ステップ3)。この際、緩衝材50は上述したように、その外形がフレーム40の貫通孔42と同一形状の電子回路基板11よりも一回り小さいものの、緩衝材50がモジュール10の電子部品12a〜12fが実装された面上に載置された場合に電子部品12a〜12fに対応する位置に貫通孔51a〜51fが設けられており、また、これら貫通孔51a〜51fが、電子部品12a〜12fが入り込むのに十分な大きさを具備しているので、貫通孔51a〜51fに電子部品12a〜12fがそれぞれ入り込むようにモジュール10上に緩衝材50を載置することで、緩衝材50とフレーム40及びモジュール10との相対位置が予め決められたものとなるように、モジュール10上に緩衝材50を容易に載置することができる。
【0045】
次に、図4(d)に示すように、緩衝材50及びモジュール10上に、硬化前の接着用硬化樹脂30を塗布する。この際、上述したように電子部品12a〜12fはその高さが互いに異なるものであるため、接着用硬化樹脂30が貫通孔51a〜51fに入り込み、その状態でさらに緩衝材50の全面に接着用硬化樹脂30が表出するのに十分な量の接着用硬化樹脂30を塗布する。
【0046】
次に、図4(e)に示すように、接着用硬化樹脂30が塗布された緩衝材50及びモジュール10、並びにフレーム40上に裏面基材20を載置し(ステップ4)、裏面基材20側から加圧板80によって加圧する(ステップ5)。この際、裏面基材20には、上述したように、モジュール10、緩衝材50及びフレーム40に重ね合わされるように配置された際にピン孔41に対向する領域に表裏貫通したピン孔21が形成されているので、金属板71に設置され、ピン孔41,61に挿入された位置合わせ用のピンをピン孔21に挿入することにより、表面基材60、モジュール10、緩衝材50及びフレーム40と裏面基材20との位置合わせを容易に行うことができる。
【0047】
裏面基材20側から加圧板80によって加圧すると、図4(f)に示すように、モジュール10の表面基材60側においては、硬化前の接着用硬化樹脂30がモジュール10と表面基材60との間にて薄く均一に延展され、モジュール10を表面基材60上に載置した際に、表面基材60と表示部13との間にて接着用硬化樹脂30に気泡が混入していたとしても、気泡は加圧によってモジュール10の周囲から外側に押し出される。また、表面基材60上に接着用硬化樹脂30を介してモジュール10及び緩衝材50を載置した後、モジュール10及び緩衝材50上に塗布した接着用硬化樹脂30を介して緩衝材50上に裏面基材20を載置して裏面基材20側から加圧板80によって加圧しているため、表面基材60と表示部13との間隔が均一なものとして安定した後に加圧されることになるので、加圧によって表面基材60と表示部13との間隔が不均一なものとなることが回避される。そして、接着用硬化樹脂30が硬化していくことにより、モジュール10とフレーム40と表面基材60とが接着されることになる。
【0048】
また、モジュール10の裏面基材20側においては、図4(f)に示すように、裏面基材20側から加圧板80によって加圧すると、硬化前の接着用硬化樹脂30がモジュール10及び緩衝材50と裏面基材20との間にて薄く均一に延展され、裏面基材20とフレーム40との間にも入り込み、その後、接着用硬化樹脂30が硬化していくことにより、モジュール10及び緩衝材50と裏面基材20とフレーム40とが接着されることになる。
【0049】
このようにして接着用硬化樹脂30が加圧によって延展することにより、情報表示媒体全体の厚さが、フレーム40の厚さを基準として一定のものとなる。
【0050】
その後、接着用硬化樹脂30を硬化させるために養生する(ステップ6)。
【0051】
養生においては、図4(g)に示すように裏面基材20上に金属板72を設置し、金属板72による荷重をかけながら接着用硬化樹脂30を硬化させていくことが考えられる。ところがその場合、上述したようにモジュール10の比重が接着用硬化樹脂30の硬化前の比重よりも小さいことにより、接着用硬化樹脂30が硬化する前の状態においてモジュール10が接着用硬化樹脂30中を裏面基材20側に移動していき、表面基材60と表示部13との間隔が広くなり、表面基材60と表示部13との間に介在する接着用硬化樹脂30の厚さが厚くなる。すると、特に接着用硬化樹脂30が有色のものである場合、表示部13にて表示される情報の視認性がその接着用硬化樹脂30によって低下してしまうことになる。
【0052】
そこで、図4(h)に示すように、情報表示媒体の天地を反転させ、表面基材60が天側となるように設置し、表面基材60上に設置された状態となった金属板71による荷重をかけながら接着用硬化樹脂30を硬化させていく。この際、上述したようにモジュール10の比重が接着用硬化樹脂30の硬化前の比重よりも小さいことにより、接着用硬化樹脂30が硬化する前の状態においてモジュール10が接着用硬化樹脂30中をしたとしても、モジュール10は表面基材60側に移動していくことになり、表面基材60と表示部13の表面との間隔が狭くなる。本形態においては、表面基材60と表示部13の表面との間隔が、0よりも大きく25μm以下と狭いものとなる。なお、接着用硬化樹脂30として、モジュール10よりも比重が小さなものを用いれば、養生のために情報表示媒体の天地を反転させて表面基材60が天側となるように設置する必要はないが、接着用硬化樹脂30として用いられるものとしては、本形態のモジュール10のように表示部を有するものに対してその比重が大きなものが一般的であるため、接着用硬化樹脂30の比重を調整することなく接着用硬化樹脂30を硬化させる際に、表面基材60と表示部13の表面との間隔が広がらないようにするためには、上述したように、情報表示媒体の天地を反転させ、表面基材60が天側となるように設置して養生する必要がある。
【0053】
上記養生によって接着用硬化樹脂30が硬化した後、情報表示媒体の製品のサイズに応じた形状に刃型を用いて断裁加工し、製品を完成させる(ステップ7)。
【0054】
このように、本形態においては、表面基材60と表示部13との間にて接着用硬化樹脂30に気泡が混入していたとしても、加圧によって、モジュール10の周囲から気泡が外側に押し出されることとなり、気泡による視認性低下が回避される。
【0055】
また、モジュール10の比重が接着用硬化樹脂30の硬化前の比重よりも小さいことにより、モジュール10がフレーム40に内設されてモジュール10の表裏に接着用硬化樹脂30が存在する状態で、表面基材60が天側となるように設置して接着用硬化樹脂30を硬化させることで、硬化する前の接着用硬化樹脂30中をモジュール10が移動したとしても、モジュール10は表面基材60側に移動していくことになり、表面基材60と表示部13の表面との間隔が広がることはなく、例えば、0よりも大きく25μm以下と狭いものとなり、それにより、表示部13上に樹脂が積層されることによる視認性低下を回避することができる。そして、その接着用硬化樹脂30が不透明なものであっても、厚さが0よりも大きく25μm以下と極薄いものであるため、表示部13にて表示される情報を視認できなくなってしまうことが回避される。
【符号の説明】
【0056】
10 モジュール
11 電子回路基板
12a〜12f 電子部品
13 表示部
20 裏面基材
21,41,61 ピン孔
30 接着用硬化樹脂
40 フレーム
42,51a〜51f 貫通孔
50 緩衝材
60 表面基材
62 透明部
63 隠蔽部
71,72 金属板
80 加圧板
図1
図2
図3
図4
図5
図6