(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6285364
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】二酸化炭素吸着プロセスにおけるニトロアミン生成の防止
(51)【国際特許分類】
B01D 53/34 20060101AFI20180215BHJP
B01D 53/56 20060101ALI20180215BHJP
F23J 15/00 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
B01D53/34
B01D53/56 200
F23J15/00 B
F23J15/00 G
F23J15/00 AZAB
【請求項の数】17
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-543541(P2014-543541)
(86)(22)【出願日】2012年11月20日
(65)【公表番号】特表2015-504367(P2015-504367A)
(43)【公表日】2015年2月12日
(86)【国際出願番号】US2012066092
(87)【国際公開番号】WO2013078221
(87)【国際公開日】20130530
【審査請求日】2015年11月18日
【審判番号】不服2017-9123(P2017-9123/J1)
【審判請求日】2017年6月21日
(31)【優先権主張番号】13/301,625
(32)【優先日】2011年11月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512158354
【氏名又は名称】フルーア・テクノロジーズ・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,デニス・ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】レッディ,サティッシュ
【合議体】
【審判長】
豊永 茂弘
【審判官】
中澤 登
【審判官】
後藤 政博
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−40683(JP,A)
【文献】
特表2010−501343(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/102877(WO,A1)
【文献】
特表2012−520167(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/100801(WO,A1)
【文献】
特表2013−519513(JP,A)
【文献】
特開2008−264770(JP,A)
【文献】
特開2002−95925(JP,A)
【文献】
特開2001−129355(JP,A)
【文献】
特開2001−25635(JP,A)
【文献】
特開昭52−138053(JP,A)
【文献】
特開平11−137959(JP,A)
【文献】
特開2006−263676(JP,A)
【文献】
特開2004−361107(JP,A)
【文献】
特開2001−259370(JP,A)
【文献】
特開2001−137657(JP,A)
【文献】
特開昭61−68126(JP,A)
【文献】
特開2002−239340(JP,A)
【文献】
特開平8−168638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D53/34-53/73,53/74-53/85,53/92,53/96
F23J13/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼ガスが処理される二酸化炭素吸着器からのニトロアミン排出を削減する方法であって、
前記燃焼ガスを直接接触冷却器で冷却する工程であって、冷却された前記燃焼ガスはNOx及びCO2を含む工程、
プレクリーン燃焼ガスを生成するよう構成されたNOxスクラバーを用いて、前記冷却された燃焼ガス中のNOx化合物を所定濃度まで選択的に除去する工程であって、前記NOxスクラバーは吸着処理を行い、冷却された前記燃焼ガスを溶剤に接触させるように構成され、前記溶剤が、マグネシウム、カリウム、アンモニウム又はナトリウムの水酸化物又は炭酸塩を含み、前記プレクリーン燃焼ガス中のNOx化合物の前記所定濃度を0.1ppm以下とする工程、及び、
アミン溶剤を用いる二酸化炭素吸着器内において前記プレクリーン燃焼ガスから二酸化炭素を除去する工程であって、前記二酸化炭素吸着器からのニトロアミン排出が100ppb以下である工程を含む方法。
【請求項2】
前記燃焼ガスから前記NOx化合物を選択的に除去する工程が、溶剤pH8.0以上で実施される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記燃焼ガスから前記NOx化合物を選択的に除去する工程が、溶剤pH9.0以上で実施される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記燃焼ガスから前記NOx化合物を選択的に除去する工程が、溶剤pH10.0以上で実施される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記燃焼ガスから前記NOx化合物を選択的に除去する工程が、酸化剤を用いて実施される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記NOxスクラバーが、前記直接接触冷却器または排煙脱硫システムの構成部材である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記所定濃度が、前記二酸化炭素吸着器からのニトロアミン排出が1ppb以下になるように設定される請求項1に記載の方法。
【請求項8】
燃焼ガスが処理される二酸化炭素吸着器からのニトロアミン排出を削減する方法において、その改良が、
NOxスクラバーを用いて前記燃焼ガスからNOx化合物を選択的に除去する工程であって、前記燃焼ガスがNOx及びCO2を含み、燃焼ガス中のNOx化合物を所定濃度まで削減してプレクリーン燃焼ガスを生成し、前記NOxスクラバーは吸着処理を行い、前記燃焼ガスを溶剤に接触させるように構成され、前記溶剤が、マグネシウム、カリウム、アンモニウム又はナトリウムの水酸化物又は炭酸塩を含み、前記プレクリーン燃焼ガス中のNOx化合物の前記所定濃度を0.1ppm以下とする工程と、
前記燃焼ガスからNOx化合物を選択的に除去した後、アミン溶剤を用いる二酸化炭素吸着器内の前記プレクリーンガスから二酸化炭素を除去する工程であって、前記所定濃度が、前記二酸化炭素吸着器からのニトロアミン排出を100ppb以下に削減するに十分なものである工程とを含む、方法。
【請求項9】
前記燃焼ガスから前記NOx化合物を選択的に除去する工程が、溶剤pH9.0以上で実施される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記燃焼ガスから前記NOx化合物を選択的に除去する工程が、溶剤pH10.0以上で実施される請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記燃焼ガスから前記NOx化合物を選択的に除去する工程が、酸化剤を用いて実施される請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記所定濃度が、前記二酸化炭素吸着器からのニトロアミン排出を1ppb以下に削減するに十分なものである請求項8に記載の方法。
【請求項13】
NOx化合物と二酸化炭素を含有する燃焼ガスが処理される二酸化炭素吸着器からのニトロアミン排出を削減する装置であって、
前記燃焼ガスをNOxスクラバーに通過させる前に前記燃焼ガスを冷却するように構成され、冷却された前記燃焼ガスはNOx及びCO2を含む直接接触冷却器と、
冷却された前記燃焼ガスから、NOx化合物が所定濃度まで選択的に除去されるように構成された前記NOxスクラバーであって、吸着処理を行い、冷却された前記燃焼ガスを溶剤に接触させるように構成され、前記溶剤が、マグネシウム、カリウム、アンモニウム又はナトリウムの水酸化物又は炭酸塩を含み、その下流のNOx化合物の前記所定濃度を0.1ppm以下とするNOxスクラバーと、
アミン溶剤を用いるよう構成された二酸化炭素吸着器であって、前記燃焼ガスが、前記二酸化炭素吸着器を通過する前に前記NOxスクラバーを通過し、前記所定濃度が、前記二酸化炭素吸着器からのニトロアミン排出を100ppb以下に削減するに十分であるように構成される二酸化炭素吸着器とを備える、装置。
【請求項14】
前記NOxスクラバーが溶剤pH8.0以上で作動するよう構成される請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記NOxスクラバーが酸化剤で作動するよう構成される請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記NOxスクラバーが、前記直接接触冷却器または排煙脱硫システムの構成部材である請求項13に記載の装置。
【請求項17】
前記所定濃度が、前記二酸化炭素吸着器からのニトロアミン排出を1ppb以下に削減するに十分なものである請求項13に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2011年11月21日出願のアメリカ特許出願第13/301,625号の優先権を主張し、その開示内容を本願に引用して援用する。
【0002】
本発明の分野は、燃焼ガスの処理であり、特に、プレクリーンガスにするためのNOx除去であり、これにより、下流の二酸化炭素吸着
器からのニトロアミン排出、特にニトロソアミン排出を削減するものである。
【背景技術】
【0003】
ガス処理、特に燃焼ガスの処理はよく知られている。最も一般的なものとしては、吸着
器において燃焼ガスを脱硫及び/または処理し、代表的にはアミン溶剤をもちいて二酸化炭素を除去するものである。このようなシステムの例は、米国特許第7,514,053号明細書(特許文献1)または国際公開第2010/102877号(特許文献2)に記載されている。これらの引用文献、及び本願に記載されるすべての他の外部資料は、その全体を本願に引用して援用する。援用した引用における用語の定義または意味が、本願で用いられる用語の定義と一致しないか、または反する場合は、本願で用いられた当該用語の定義が適用され、その引用における当該用語の定義は適用されないものとする。
【0004】
これらの方法は、特定の目的には十分なものである場合が多いが、二酸化炭素吸着
器中のアミン溶剤が望ましくない反応をすること、特に、ニトロアミン化合物の生成、とりわけ、NO
2を含む燃焼ガスとの接触によるニトロソアミンの生成が望ましくない。化石燃料の燃焼中に生成されたNO及びNO
2化合物は、多段燃焼、選択的触媒還元(SCR)及び選択的非触媒還元(SNCR)などの公知のプロセスにおいて除去される。しかし、排煙脱硫設備の上流で用いられるこれらのプロセスは、排煙中のNOxをすべて除去するにはあまり効果的ではない。よって、残留NOxが排煙脱硫装置及び二酸化炭素吸着
器を通過することになる。これらのことに鑑みて、従来の排煙脱硫システムは、燃焼ガスから窒素化合物を効果的に削減するようには機能しないことが指摘される。その一原因としては、脱硫システムが石灰石などの試薬を用いることが多く、これは非常に酸性であるためにNOやNO
2などの窒素酸化物をガスから除去できないためである。
【0005】
NOx化合物はほとんどの燃焼ガス中に存在し、通常、NOはNO
2よりはるかに高い比率で存在することが一般的に知られている。例えば、石炭の燃焼から発生する典型的なガスはNOxガスを含有し、その95%はNOであり、約5%がNO
2である。この比率は、ガスやオイルなどの他の化石燃料が燃焼する場合において異なる。さらに、NOは不活性であると考えられているので、燃焼ガスからもっと多くのNOx化合物を除去すべきであるということはこれまで認識されていなかった。また、比較的少量の残留NO
2は、最終的には、アミン溶剤と望ましくない反応をすることで、ニトロアミン化合物を生成する可能性があることはこれまで認識されていなかった。これは、おそらく、典型的な燃焼ガスにおけるNO
2濃度が、NO濃度と比較して低いため、酸性ガスとしてのNO
2とアミンとの反応により耐熱アミン塩が生成されることが知られている。
【0006】
従って、当該分野では燃焼ガスの処理プロセスは多く知られているが、依然として、二次反応生成物であるニトロアミン化合物、特にニトロソアミンの生成及び吸着
器からの排出の削減に寄与する燃焼ガス処理に適した方法及び装置を提供する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7,514,053号明細書
【特許文献2】国際公開第2010/102877号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、アミン溶剤を用いて作動する二酸化炭素吸着
器の上流の燃焼ガスからNOxを除去することにより、吸着
器からのニトロアミン排出を100ppb以下、より典型的には10ppb以下、最も典型的には1ppb以下に削減するための装置、システム、及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の課題の一つの形態によると、NOx化合物及び二酸化炭素を含有する燃焼ガスを処理する方法は、pH8.0以上で作動するNOxスクラバーを用いることによって燃焼ガス中のNOx化合物を所定濃度まで選択的に除去することによりプレクリーン燃焼ガスを生成する工程を含み、さらなる工程では、アミン溶剤を用いる吸着
器内においてプレクリーン燃焼ガスから二酸化炭素を除去する。より好ましくは、前記所定濃度は、吸着
器からのニトロアミン排出が100ppb未満になるように設定される。
【0010】
特に好適な方法では、NOx化合物は、pH9.0超え、より好ましくはpH10超えにおいて、NOxスクラバー内の燃焼ガスから選択的に除去される。本発明の主題を限定するものではないが、NOxは、スクラバー内で除去されることが好ましい。しかし、別の形態において、NOxスクラバーは、直接接触冷却器または排煙脱硫システムにおける構成部材またはセクションであってもよい。さらに、NOxスクラバー(または他の均等の装置)が、プレクリーン燃焼ガス中のNO
2濃度を0.1ppm未満に削減することが好ましい。よって、好適な方法における所定濃度は、吸着
器からのニトロアミン排出を1ppb未満にするものである。そうでないと指示されていない限り、本願に記載されるすべての範囲は、その終点を含むものとして解釈されるものとし、限度を設定していない範囲は、商業的に実際的な値を含むものとして解釈されるものとする。同様に、すべての値の一覧は、そうでないとの記載がない限り、中間値を含むものとして考えられるものとする。
【0011】
本発明の課題の別の形態によると、NOx化合物と二酸化炭素を含有する燃焼ガスは、燃焼ガスからNOx化合物を選択的に除去することによって処理され、二酸化炭素をガスから除去する前に、NOx化合物を所定濃度まで削減する。NOx化合物の所定濃度は、二酸化炭素吸着
器からのニトロアミン排出が100ppb以下、より好ましくは1ppb以下となるよう十分に低いものである。
【0012】
従って、本発明の課題のさらに別の形態によると、NOx化合物及び二酸化炭素を含有する燃焼ガスの処理装置は、燃焼ガスからのNOx化合物の選択的除去を可能にするNOxスクラバーと、アミン溶剤を用いる二酸化炭素吸着
器とを含むものと想定される。当該装置は、燃焼ガスが、二酸化炭素吸着
器を通過する前にNOxスクラバーを通過するよう構成されている。NOxスクラバーは、ガス中のNO
2化合物を、例えば、0.1ppm以下の濃度に削減するよう、二酸化炭素吸着
器からのニトロアミン排出が100ppb、より好ましくは1ppb以下に削減されるよう構成されている。
【0013】
本発明の種々の目的、特徴、形態及び利点は、以下の好適な実施例の詳細な説明、及び、同じ部材には同じ番号を付した添付の図面からより明確になるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明者は、アミン溶剤を用いて作動する二酸化炭素吸着
器の上流の燃焼ガスからNOx化合物(特にNO
2)を除去することにより、吸着
器からのニトロアミン排出を100ppb未満、より典型的には10ppb未満、最も典型的には1ppb未満にすることができることを発見した。NOx化合物は、専用のNOxスクラバーを用いる、及び/またはアミン吸着
器の上流の1つまたは複数の処理と一体化した吸着処理を介する溶剤ベースの処理において除去することが最も好ましい。
【0016】
特に好適な方法においては、NOx化合物及び二酸化炭素を含む燃焼ガスは、pH8.0以上で作動するよう構成されたNOxスクラバーを用いて、燃焼ガスからNOx化合物を選択的に除去することにより処理される。NOxスクラバーは、ガス中のNOx濃度を所定濃度まで下げてプレクリーン燃焼ガスを生成し、そのプレクリーンガスはその後、アミン溶剤を用いる二酸化炭素吸着
器に導入される。NOxスクラバーによって得られるプレクリーンガス中のNOx化合物の所定濃度は、二酸化炭素吸着
器からのニトロアミン排出が100ppb以下、より好ましくは10ppb以下、最も好ましくは1ppb以下に削減されるように設定される。
【0017】
その結果、NOx化合物及び二酸化炭素を含有する燃焼ガス処理用の装置及び工場設備装置は、典型的には、燃焼ガスからNOx化合物が所定濃度まで選択的に除去されるように構成されたNOxスクラバー、及び、アミン溶剤を用いるよう構成された二酸化炭素吸着
器を備えることになり、その装置は、燃焼ガスが二酸化炭素吸着
器を通過する前にNOxスクラバーを通過し、所定濃度が、吸着
器からのニトロアミン排出を100ppb以下、より好ましくは1ppb以下に削減するのに十分であるように構成される。
【0018】
例えば、
図1に概略的に示すように、工場設備100は燃焼ガス源110を備えており、ここから排煙が、任意の一次NOx削減システム115、その後、任意の排煙脱硫ユニット120に送られ、続いて、直接接触冷却装置130、そしてNOxスクラバー140へ送られる。当然ながら、節約装置、空気加熱装置、集粒装置、ファン(
図1には示さず)などの構成部材を追加してもよい。使用時の一次NOx削減システムは、典型的には、燃焼制御装置(例えば、多段燃焼SNCR、及び/またはSCR設備)を備えている。排煙脱硫ユニット120は、天然ガスの燃焼から発生するガスなどの二酸化硫黄、塩酸、及び類似の酸性ガスを含有しない燃焼ガスには必要ない。NOxスクラバー140の下流には、アミン溶剤を用いる二酸化炭素吸着
器150が設けられている。吸着
器150が煙突160に送られる浄化された排ガスを生成する一方、濃厚なアミン溶剤が、吸着
器150でさらに二酸化炭素を吸着するための希薄なアミンを生成するアミン再生ユニット170に送られてここで再生される。別の実施例においては、NOxスクラバー140は、直接接触冷却装置130の前に位置している。本願で用いられる場合、そうでないという記載がない限り、「接続される」という用語は、直接接続(互いに接続された2つの部材が互いに接触している)及び間接接続(2つの部材の間に少なくとも1つの別の部材が介在している)の両方を含むことを意図している。従って「〜と接続される」及び「〜に接続される」は同義で用いられる。
【0019】
NOxスクラバー140は複数の反応剤を用いるように構成されていてもよい。特に、マグネシウム、カリウム、アンモニウム、またはナトリウムの水酸化物または炭酸塩、あるいはNOx除去に効果的な他の可溶性の高い強アルカリを用いることができる。カリウムまたはアンモニウムの水酸化物の場合は、肥料生成物、硝酸カリウムまたは硝酸アンモニウムが生成される。NO
2の除去を目的とする場合は、スクラバーを、苛性ソーダまたは過酸化水素または他の酸化剤、あるいはNO
2を吸収したり、結合または反応したりすることで知られている他の反応剤を用いるよう構成することもできる。よって、NOxスクラバーは、典型的には、比較的高いpHで作動するということが理解されるべきである。NOxスクラバーにおける溶剤にとって特に好ましくは、pH8.0以上、より典型的にはpH9.0以上、最も典型的にはpH10.0以上である。当然ながら、NOxスクラバーにおける溶剤は、適宜バッチモードで連続して再生または提供されてもよいことも理解されるべきである。あるいは、NO
2除去は、種々のNO
2吸着剤によって実行され、あるいはこれらを追加してもよいことが理解されるべきであり、特に好適な吸着剤は、黒鉛の酸化物及びその誘導体(例えば、金属有機構造体改質黒鉛)、カーボンナノチューブ、銀エアゾール、アルミノケイ酸ゼオライト、及び/またはナノ細孔分子バスケット吸着剤である。
【0020】
燃焼源に関して、本願が意図する方法及び装置は、多くの燃焼源、実際には、二酸化炭素を含有する燃焼ガスを生成し、その燃焼ガスから二酸化炭素を除去することを必要とするほぼすべての燃焼源で実施することができるということがさらに理解されるべきである。例えば、石炭発電所、天然ガス発電所、石炭ガス化複合発電所、紙パルプ製造、採鉱、精製、鉄鋼産業などは、一般的にNOx化合物及び二酸化炭素を含有する燃焼ガスを生成する。一般的に、発電所や他の燃焼ガス源によって、一日あたり百万標準立方フィート(MMscfd)の数千倍の体積の燃焼ガスが生成される。燃焼は、典型的には窒素含有量の多い空気によって行われるが、これにより、かなりの量のNO、NO
2、N
2O
4、硝酸、及び他のNOx種が生成されることになる。種々の燃焼プロセスによって生成されたガスの組成は異なってもよいが、約70〜80%の窒素(N2)量を含有することが多い。典型的なNOx濃度は50〜150ppmとなり、二酸化硫黄などの硫黄化合物は、180〜2000ppmかそれ以上の場合もある。さらに、石炭発電所におけるNOx組成は、一般的に、NOが95%であり、残りの5%のNOx化合物は、ほとんどがNO
2からなり、わずかな量の硝酸、N
2O、N
2O
4などを含有する。
【0021】
燃焼ガスの温度は400℃の高温になり得るため、かなりの冷却が必要となる。従って、直接接触冷却装置(DCC)を設けて、運転可能な温度までガスを冷却して後続の燃焼ガスの清浄化が行えるようにしてもよい。さらに、SO
2やSO
3などの有害な硫黄化合物をガスから除去するために、DCCは単独で用いてもよいし、排煙脱硫システム(FGD)と共に用いてもよい。FGDシステムは燃焼ガスの硫黄含有量を減らすには有益であるが、多くのFGDシステムは、硫黄化合物を標的とするために、石灰石または他の化合物を用いており、わずかに酸性の状態で作動しているため、これらのプロセスのすべてまたはほとんどすべてにおけるpHは、NOやNO
2などのNOx化合物の除去を目標とした場合には効果を持たない。NOx化合物を除去するためには、pH8.0より上などのもっと高いpHが必要である。従って、本発明は、アミン溶剤を用いる二酸化炭素吸着
器に導入される前に燃焼ガスからNOx化合物を容易に除去するために、pH8.0以上、より好ましくは9.0以上、さらに好ましくはpH10.0以上のNOxスクラバーを用いて、吸着
器からのニトロアミン排出を1ppb以下にまで削減する方法及びシステムを提供するものである。本発明の課題を限定するものではないが、一般的に、スクラバー140に導入される燃焼ガスの圧力は200inwg以下、より典型的には5〜50inwgであることが好ましく、スクラバー140がファンやブロアーの上流に設けられる場合などにおいては、圧力はわずかに負圧であってもよい。
【0022】
さらに別の形態においては、NOxスクラバーが、直接接触コンデンサ及び/または排煙脱硫ユニットと機能的に一体化されていてもよいことが理解されるべきである。実施形態に関わらず、アルカリ溶液濃度及び/または溶剤循環率は、NOxが望ましい程度に除去されるよう十分なものであることが指摘される。最も典型的には、濃度及び/または循環率は、アミン吸着
器が100ppb未満、より典型的には10ppb未満、最も典型的には1ppb未満のニトロアミン化合物を排出するよう調節される。さらに、NOxスクラバーが、1つまたは複数のステージを有するように構成されることを意図していてもよく、これは、従来技術で公知の接触装置をさらに備えていてもよいし、備えていなくてもよい。
【0023】
下流の二酸化炭素吸着
器及び溶剤再生装置に関して、二酸化炭素を捕集するためのアミン溶剤を用いていれば、あらゆる公知のシステム及び方法が本願の使用に適切であるとみなされることが理解されるべきである。従って、向流型接触吸着
器は、パッキング部材を備えていても備えていなくても適切と思われる。同様に、溶剤再生カラムは、典型的には再沸器または他の蒸気源を有しているが、ストリップカラム及び/または亜大気圧で作動するカラムが追加されていてもよい。
【0024】
上述したこと以外にも、本願の発明概念から逸脱しない範囲において、さらに多くの改変が可能であることが、当業者には明らかであろう。従って、本願の発明の課題は、添付の請求の範囲における場合を除いて、限定されるものではない。さらに、明細書及び請求の範囲の両方を解釈する際には、すべての用語は、文脈と一致する、可能な限り最も広い意味で解釈されるべきである。特に、「〜含む(comprises、comprising)」という用語は、非制限的に、要素、構成部材、または工程に言及するものであり、言及された要素、構成部材または工程は、明確に引用されていない他の要素、構成部材、または工程とともに存在、または使用、または組み合わせてもよいことを示唆するものとして解釈されるべきである。明細書の請求の範囲が、A、B、C、・・・及びNからなる群から選択される何かの少なくとも1つに言及している場合は、AとN、BとNなどではなく、その群から1つの要素のみを要件とするものとして解釈されるべきである。