特許第6285395号(P6285395)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6285395液量計測装置、インク供給装置及びインクジェット装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6285395
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】液量計測装置、インク供給装置及びインクジェット装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20180215BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   B41J2/175 307
   B41J2/18
   B41J2/175 121
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-139325(P2015-139325)
(22)【出願日】2015年7月13日
(65)【公開番号】特開2017-19212(P2017-19212A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2017年2月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】特許業務法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 哲哉
【審査官】 島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−229969(JP,A)
【文献】 特開2014−190711(JP,A)
【文献】 特開2005−055181(JP,A)
【文献】 特開2014−059297(JP,A)
【文献】 特開2012−030448(JP,A)
【文献】 特開2013−129176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01−2/215
G01D 5/00−5/252
G01F 23/00−23/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク内の液の液面に合わせて移動するフロートと、
前記フロートに貼り付けられ、前記フロートの移動方向に交差する方向の寸法が前記移動方向に沿って変化する金属プレートと、
前記金属プレートに対向して配置される誘導型センサと、
一端が、前記液面に平行な軸回りに回転可能に支持され、他端が、前記フロートに接続された支持部材と、
を有する液量計測装置。
【請求項2】
前記誘導型センサは、前記タンクの外側に配置される請求項に記載の液量計測装置。
【請求項3】
インクジェットヘッドへ供給されるインクが蓄えられるインクタンクと、
前記インクタンク内の前記インクの量を計測する請求項1または2に記載の液量計測装置と、
前記インクジェットヘッドと前記インクタンクとの間で、前記インクを循環させる循環ポンプと、
前記液量計測装置の計測結果に基づいて、前記循環ポンプによって循環する前記インクの量を調整するための制御装置と、
を備えるインク供給装置。
【請求項4】
前記インクタンクは、主タンクと前記主タンクよりも小型のバッファタンクとを備え、前記液量計測装置は、前記バッファタンク内の前記インクの量を計測する、請求項3に記載のインク供給装置。
【請求項5】
インクジェットヘッドと、
請求項3または4に記載のインク供給装置と、
を備えるインクジェット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液量計測装置、インク供給装置及びインクジェット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットヘッドでのインクの乾燥を防止するための技術が種々提案されている。従来の装置では、インクジェットヘッドとインクタンクとの間でインクを循環させるための循環系が形成されている。このため、インクジェットヘッド内部で長時間インクが滞留することがなく、インクジェットヘッドでのインクの乾燥を防止することができる。
【0003】
上述の循環系では、ヘッドが動作しているときには、インクの圧力が変動する。このため、循環系では、循環するインクの圧力を制御して、出力画像の印字抜けなどを未然に防止するための制御が行われる。この種の制御は、例えばヘッドの上流側と下流側にそれぞれ配置されたインクタンクの圧力の差が一定になるように、それぞれのインクタンクの圧力を調整することにより行われる。そのため、ある程度正確に、インクタンクに貯留するインクの量を検出する必要がある。
【0004】
インクの量の検出は、インクの量に応じて変化する静電容量に基づいて液量を検出するセンサや、超音波を用いて液面の高さを検出するセンサなどが、知られている。しかしながら、これらのセンサは、値段が高いため装置の製造コストが増加するという不都合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−313884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、装置に係るコストを削減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本実施形態に係る液量計測装置は、タンク内の液の液面に合わせて移動するフロートと、フロートに貼り付けられ、フロートの移動方向に交差する方向の寸法が移動方向に沿って変化する金属プレートと、金属プレートに対向して配置される誘導型センサと、一端が、液面に平行な軸回りに回転可能に支持され、他端が、フロートに接続された支持部材と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係るインクジェット装置のブロック図である。
図2】タンクユニットの斜視図である。
図3】タンクユニットの断面図である。
図4】フロートの斜視図である。
図5】フロートの動作を説明するための図である。
図6】近接センサの斜視図である。
図7】近接センサのコイルと、フロートのターゲットとの位置関係を示す図である。
図8】近接センサの出力特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態を、図面を用いて説明する。図1は、本実施形態に係るインクジェット装置1を模式的に示すブロック図である。
【0010】
図1に示されるように、インクジェット装置1は、インクジェットヘッド20と、インクジェットヘッド20にインク70を供給するインク供給装置10を備えるモノクロのインクジェット装置である。
【0011】
インクジェットヘッド20は、ピエゾ素子を用いてインク70を射出するピエゾ方式のインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド20は、複数のノズルと、それぞれのノズルにインク70を循環させるための流路を有している。インクジェットヘッド20については、特開2009−202475号公報に、構造や製造方法が詳細に開示されている。
【0012】
インク供給装置10は、上流側タンク11、下流側タンク12、調整タンク13、バッファタンク14,15の5つのインクタンクと、循環ポンプP1、圧力調整ポンプP2の2つのポンプと、演算器51、制御装置52、及びポンプ駆動装置53からなる制御系とを有している。
【0013】
上流側タンク11と下流側タンク12は、管路PL1によって接続されている。またバッファタンク14は、管路PL2を介して上流側タンク11と接続され、管路PL3を介してインクジェットヘッド20と接続されている。バッファタンク15は、管路PL5を介して下流側タンク12と接続され、管路PL4を介してインクジェットヘッド20と接続されている。
【0014】
上流側タンク11と下流側タンク12は、大きさ及び形状が相互に等しく、インクジェットヘッド20に供給されるインク70が貯留されている。上流側タンク11及び下流側タンク12は、インク供給装置10が載置される床面からの高さが等しくなるように支持されている。上流側タンク11と下流側タンク12の内部は、外気に対して負圧になるように圧力が制御される。
【0015】
バッファタンク14,15は、大きさ及び形状が相互に等しく、上流側タンク11及び下流側タンク12よりも容量が小さい。例えば、バッファタンク14,15の容量は、25ml乃至100ml程度である。バッファタンク14,15には、容量の半分程度のインク70が入っている。
【0016】
図2は、バッファタンク14,15を構成するタンクユニット100の斜視図である。図2に示されるように、タンクユニット100は、内部が中空のタンク本体101、タンク本体101に形成された空間を密閉するための蓋102、タンクユニット100に貯えられるインクの量を計測するための近接センサ33A,33Bを有している。
【0017】
図3は、タンクユニット100の断面を示す図である。タンクユニット100のタンク本体101は、例えばプラスチックなどの樹脂からなり、上方が開放された部材である。タンク本体101の内部には2つの空間140,150が形成されている。この空間140,150は、バッファタンク14,15を構成する。
【0018】
タンク本体101には、タンク本体101の上面の外縁に沿って外側へ突出するフランジ部101aが形成されている。また、図3に示されるように、タンク本体101には、空間140に通じる通路が形成された突出部104,105と、空間150に通じる通路が形成された突出部106,107と、が形成されている。
【0019】
突出部105,107は、タンク本体101の下面に形成されている。突出部105,107には、インクジェットヘッド20へ延びる管路PL3,PL4がそれぞれ接続されている。
【0020】
突出部104,106は、タンク本体101の側面に形成されている。突出部104には、上流側タンク11へ延びる管路PL2が接続されている。また、突出部106には、下流側タンク12へ延びる管路PL5が接続されている。
【0021】
図2に示されるように、蓋102は、長手方向をX軸方向とする長方形板状の部材である。蓋102は、タンク本体101の上面に配置され、例えばボルトやネジなどによって、タンク本体101のフランジ部101aに固定される。蓋102によって、タンク本体101に形成された2つの空間140,150が密閉されている。
【0022】
図3に示されるように、タンク本体101に形成された空間140,150には、フロートユニット200がそれぞれ配置されている。図4は、フロートユニット200の斜視図である。図4に示されるように、フロートユニット200は、フロート202と支持部201の2部分からなる部材である。
【0023】
フロート202は、例えばプラスチックなどの樹脂からなる。フロート202は、長手方向をY軸方向とする5角柱状の中空部材であり、インクに浮かぶ。フロート202は、下方に向かってX軸方向の幅が狭くなるテーパー形状に整形されている。フロート202の−Y側の面には、例えば厚さ0.2mmのステンレス鋼板からなるターゲット203が貼り付けられている。ターゲット203は、フロート202の下端に向かって幅(X軸方法の寸法)が狭くなる二等辺三角形状に整形されている。
【0024】
支持部201は、長手方向をX軸方向とする部材である。支持部201の−X側端部はフロート202に接続されており、+X側端部には、例えば母線がY軸に平行な円筒部204が形成されている。
【0025】
上述のように構成されるフロートユニット200の円筒部204は、図3に示されるように、蓋102の底面から下方に延びる支柱102aによって、Y軸に平行な軸回りに回転可能に支持されている。図5に示されるように、フロートユニット200のフロート202は、円筒部204の中心軸S1を中心とする円CR1に沿って移動する。同様に、フロート202に設けられたターゲット203も、フロート202と一体となって、円CR1に沿って移動する。
【0026】
図5を参照するとわかるように、例えば、フロートユニット200は、タンク本体101にインク70クが入っていない場合には、仮想線で示されるところに位置する。また、インク70の液面が直線LV1で示されるところある場合には、実線で示されるところに位置し、インク70の液面が直線LV2で示されるところにある場合には、破線で示されるところに位置する。タンクユニット100では、空間140,150に貯留するインク70の液面は、通常直線LV1に示される位置近傍にある。この状態のときには、図3に示されるように、インク70の液面は、突出部104,106よりも高いところに位置した状態になっている。
【0027】
近接センサ33A,33Bは、例えば接近した金属材料の距離や大きさに応じた電圧の信号SL1,SL2を出力する誘導型のセンサである。近接センサ33A,33Bは、近接センサ33A,33Bからおおよそ5mm以内の距離にある導体の検出が可能である。
【0028】
図6は、近接センサ33Aの斜視図である。図6に示されるように、近接センサ33Aは、基板331、基板331に実装されたICチップ333とコイル332を有している。ICチップ333は、コイル332を発振させてコイル332の近傍に数100kHz程度の電磁界を発生させる。ICチップ333は、コイル332の電流が減衰したら減衰度合に応じた値の信号を出力する。
【0029】
図7は、近接センサ33Aのコイル332と、フロートユニット200のターゲット203との位置関係を示す図である。図7を参照するとわかるように、近接センサ33Aは、そのコイル332が、円CR1上に位置するように、タンク本体101の外面に取り付けられる。
【0030】
図8に示されるように、例えば、ターゲット203が、図7の矢印Aに示される位置にある場合には、近接センサ33Aから出力される信号SL1の値はV1となる。ターゲット203が、図7の矢印Bに示される位置にある場合には、近接センサ33Aから出力される信号SL1の値はV2となる。また、ターゲット203の矢印Aに示される位置から矢印Bに示される位置までの円CR1上の位置xに対する信号SL1の電圧V(x)は、V1からV2までほぼリニアに変化する。
【0031】
近接センサ33Bも、近接センサ33Aと同様に、基板331、ICチップ333、コイル332を有している。近接センサ33Bは、タンク本体101の空間150に設けられたフロートユニット200に対向するように配置されている。近接センサ33Bのコイル332は、フロートユニット200のターゲット203に対向している。
【0032】
図1に示されるように、インクジェット装置1では、上述した上流側タンク11、下流側タンク12、バッファタンク14,15、及び管路PL1〜PL5によって、循環経路C1が形成されている。管路PL3,PL4は、他の管路PL1,PL2,PL5等と比べて短く、約15cm程度である。一方、管路PL2,PL5は、約65cm程度である。上流側タンク11及び下流側タンク12に比べて、バッファタンク14,15は、インクジェットヘッド20対して近接して配置されている。
【0033】
図1に戻り、管路PL3,PL4には、圧力センサ31,32がそれぞれ設けられている。圧力センサ31,32は、例えば、ダイアフラムを利用したセンサである。圧力センサ31,32は、管路PL3,PL4を流れるインク70の圧力を計測し、計測結果に応じた信号SP1,SP2を演算器51へ出力する。
【0034】
循環経路C1でのインク70の循環は、管路PL1に設けられた循環ポンプP1によって行われる。循環ポンプP1は、ポンプ駆動装置53によって駆動され、循環ポンプP1が駆動されると、循環経路C1のインク70は、上流側タンク11、バッファタンク14、インクジェットヘッド20、バッファタンク15、下流側タンク12の順番に循環する。また、循環経路C1では、インク70が循環することにより、インク70に含まれるパーティクルや気泡などが、管路PL1に設けられたフィルタFLによって取り除かれる。
【0035】
調整タンク13は、循環経路C1を循環するインク70の量を調整するためのタンクである。調整タンク13は、管路PL1から分岐した管路PL6によって、循環経路C1に接続されている。
【0036】
調整タンク13から循環経路C1へのインク70の供給と、循環経路C1から調整タンク13へのインク70の供給は、管路PL4に設けられた圧力調整ポンプP2によって行われる。圧力調整ポンプP2は、ポンプ駆動装置53によって駆動され、圧力調整ポンプP2が正転すると、調整タンク13から循環経路C1へインク70が送り出される。また、圧力調整ポンプP2が逆転すると、循環経路C1から調整タンク13へインク70が送り出される。
【0037】
圧力調整ポンプP2によって、調整タンク13から循環経路C1へインク70が送り出されると、管路PL3,PL4を流れるインクの圧力が上昇する。また、圧力調整ポンプP2によって、循環経路C1から調整タンク13へインク70が送り出されると、管路PL3,PL4を流れるインクの圧力が低下する。したがって、圧力センサ31,32から出力される信号に基づいて圧力調整ポンプP2を運転して、管路PL3,PL4を流れるインクの圧力を制御することにより、インクジェットヘッド20のインクの圧力を調整することができる。
【0038】
ポンプ駆動装置53は、制御装置52の指示に基づいて、上述した循環ポンプP1、圧力調整ポンプP2を駆動する。これによって、循環経路C1でのインク70の循環、上流側タンク11と下流側タンク12の圧力調整が実現する。
【0039】
演算器51は、圧力センサ31からの信号SP1に示される管路PL3を流れるインクの圧力TP1と、圧力センサ32からの信号SP2に示される管路PL4を流れるインクの圧力TP2から、インクジェットヘッド20のノズルにおけるインク70の圧力PNを演算する。圧力PNの演算には以下の式(1)が一例として用いられる。
【0040】
PN=(TP1+TP2)/2…(1)
演算器51は、上記式(1)に基づいてノズルの圧力PNを算出すると、圧力PNの値に応じた信号SPNを、制御装置52へ出力する。
【0041】
また、演算器51は、近接センサ33A,33Bから出力される信号SL1,SL2に基づいて、バッファタンク14,15に貯留するインク70の量を演算する。演算器51は、バッファタンク14,15に貯留するインク70の量を演算すると、バッファタンク14に貯留するインク70の量を示す信号SV1と、バッファタンク15に貯留するインク70の量を示す信号SV2とを、制御装置52へ出力する。
【0042】
制御装置52は、CPU(Central Processing Unit)、CPUの作業領域となる主記憶部、CPUに実行されるプログラムを記憶する補助記憶部を有している。制御装置52は、ポンプ駆動装置53を介して、循環ポンプP1を駆動して、循環経路C1にインク70を循環させる。また、制御装置52は、演算器51から出力される信号SPNに基づいて、適宜圧力調整ポンプP2を用いた圧力調整制御を行う。
【0043】
圧力調整制御は、インクジェットヘッド20のノズルに形成されるインクのメニスカスを最適な状態に維持するための制御である。圧力調整制御では、制御装置52は、インクジェットヘッド20のノズルの圧力PNが、−1.7kPa程度になるように制御を行う。
【0044】
圧力調整制御では、制御装置52は、演算器51からの信号SPNに示されるノズルの圧力PNと、閾値Pth1とを比較する。そして、ノズルの圧力PNが閾値Pth1以上である場合には、制御装置52は、圧力調整ポンプP2を逆転させて、循環経路C1から調整タンク13へ、インク70を送り出す。これにより、ノズルの圧力PNが、閾値Pth1以下になるまで低下する。本実施形態では、閾値Pth1の値は、−1.7kPaから−1.6kPa程度とすることが考えられる。
【0045】
また、制御装置52は、演算器51からの信号SPNに示されるノズルの圧力PNと、閾値Pth2とを比較する。そして、ノズルの圧力PNが閾値Pth2以下である場合には、制御装置52は、圧力調整ポンプP2を正転させて、調整タンク13から循環経路C1へインク70を送り出す。これにより、ノズルの圧力PNが、閾値Pth2以上になるまで上昇する。本実施形態では、閾値Pth2の値は、−1.7kPaから−1.8kPa程度とすることが考えられる。上述の圧力調整制御により、インクジェットヘッド20におけるインク70の圧力PNは、一定に維持される。
【0046】
更に、制御装置52は、演算器51からの信号SV1,SV2に示されるインク70の量を監視する。そして、信号SV1,SV2に示されるバッファタンク14,15の量が所定の閾値以下になったと判断したら、圧力調整ポンプP2を正転させて、調整タンク13から循環経路C1へインク70を送り出す。これにより、循環経路C1を循環するインク70の量が一定以上に維持される。その結果、インクジェットヘッド20のノズルの圧力PNの制御が容易になる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態では、インクジェットヘッド20のノズルの圧力PNを精度よく制御することが可能になる。したがって、印字抜け等の発生を防止して、精細な画像を形成することが可能となる。
【0048】
また、本実施形態では、バッファタンク14,15の液量の検出が近接センサ33A,33Bによって行われる。このため、静電容量に基づいて液量を検出するセンサや、超音波を用いて液面の高さを検出するセンサなどの高価なセンサを用いる必要がなく、装置の製造コストやランニングコストを削減することができる。
【0049】
本実施形態に係る近接センサ33A,33Bは、インク70が貯留されるタンクの外部に配置される。このため、タンク内に配線などをする必要がなく、装置の構造をシンプルにすることができる。また、タンク内の密閉性を高めることができる。
【0050】
本実施形態に係るインクジェット装置1は、上流側タンク11及び下流側タンク12とは別に、2つのバッファタンク14,15を有している。したがって、上流側タンク11及び下流側タンク12だけを備える従来のインクジェット装置と比べて、インクジェットヘッド20での圧力低下を短時間に解消することができる。
【0051】
本実施形態では、ターゲット203を備えるフロートユニット200と、近接センサ33A,33Bから液量計測装置が構成されている。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態によって限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、近接センサ33A,33Bを用いて、バッファタンク14,15のインク70の量を検出する場合について説明した。これに限らず、例えば、近接センサを用いて上流側タンク11、下流側タンク12、或いは調整タンク13に貯留されるインク70の量を計測することとしてもよい。この場合にも、高価なセンサを用いる必要がなく、装置の製造コストやランニングコストを削減することができる。
【0053】
上記実施形態では、ターゲット203が二等辺三角形である場合について説明した。これに限らず、ターゲット203は、ターゲット203の移動方向に直交する方向の寸法が移動方向に沿って変化する形状であればよい。具体的には、ターゲット203は、台形や楔形状であれば特定の形状である必要はない。
【0054】
上記実施形態では、ターゲット203がステンレス鋼からなる場合について説明した。これに限らず、ターゲット203は、導体であればよく、ステンレス鋼以外の金属から形成されていてもよい。
【0055】
上記実施形態では、フロートユニット200のフロート202が円CR1に沿って移動する場合について説明した。これに限らず、フロート202が、鉛直方向に移動するようにフロートユニット200を構成してもよい。
【0056】
本実施形態に係る近接センサ33A,33Bの出力特性は、図8に示されるものに限定されるものではない。ターゲットの接近状態に応じた値の信号を出力するセンサであれば、任意の出力特性のセンサを用いることができる。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施しうるものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
1 インクジェット装置
10 インク供給装置
20 インクジェットヘッド
33A,33B 近接センサ(誘導型センサ)
200 フロートユニット
201 支持部(支持部材)
202 フロート
203 ターゲット(金属プレート)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8