特許第6285426号(P6285426)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6285426
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】薬物送達デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/145 20060101AFI20180215BHJP
【FI】
   A61M5/145
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-519236(P2015-519236)
(86)(22)【出願日】2013年7月5日
(65)【公表番号】特表2015-521870(P2015-521870A)
(43)【公表日】2015年8月3日
(86)【国際出願番号】EP2013064293
(87)【国際公開番号】WO2014006197
(87)【国際公開日】20140109
【審査請求日】2016年6月28日
(31)【優先権主張番号】12175388.3
(32)【優先日】2012年7月6日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ナゲル
(72)【発明者】
【氏名】レーネ・リヒター
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト・ヴィット
(72)【発明者】
【氏名】リヒャルト・ギュンター
【審査官】 鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−513031(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/112723(WO,A2)
【文献】 国際公開第2009/119519(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/048144(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0102119(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0062250(US,A1)
【文献】 国際公開第2005/113419(WO,A2)
【文献】 国際公開第03/026726(WO,A1)
【文献】 米国特許第6283953(US,B1)
【文献】 米国特許第3923426(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御ユニット(2)と、駆動ユニット(3)と、加圧液体を含むように配置された加圧媒体容器(4)と、薬物を含むように配置された薬物容器(5)と、放出ノズル(6)とを備え、ここで、駆動ユニット(3)は、制御ユニット(2)によって制御され電圧が加えられたとき加圧液体中に圧力勾配を生成し、それによって圧力を薬物容器(5)に伝え、薬物を薬物容器(5)から放出ノズル(6)を通って少なくとも部分的に変位させるように配置され、駆動ユニット(3)は、電気浸透アクタ(3)として配置され、そしてここで可撓性の膜(7)が薬物と加圧液体を分離するために薬物容器(5)内に配置される、薬物送達デバイス(1)。
【請求項2】
電気浸透アクタ(3)は、少なくとも1本の毛細管を含むソリッドステート本体を備え、該毛細管内の加圧液体の表面に平行に電場がかかるように配置される、請求項1に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項3】
電気浸透アクタ(3)は、横断する細孔を含む膜を備え、該細孔内の加圧液体の表面に平行に電場がかかるように配置される、請求項1に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項4】
加圧液体は、水である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項5】
加圧液体は、蒸留水である、請求項4に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項6】
加圧液体は、液体炭化水素である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項7】
液体炭化水素は、アルコールである、請求項6に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項8】
制御ユニット(2)、電気浸透アクタ(3)および加圧媒体容器(4)は、再利用可能モジュール(1.1)内に配置される、請求項1〜のいずれか1項に記載の薬物送達デ
バイス(1)。
【請求項9】
制御ユニット(2)および電気浸透アクタ(3)は、再利用可能モジュール(1.1)内に配置される、請求項1〜のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項10】
制御ユニット(2)は、再利用可能モジュール(1.1)内に配置され、電気浸透アクタ(3)は、加圧媒体容器(4)内に電気浸透膜として配置され、加圧媒体容器(4)および薬物容器(5)は、共通容器(4、5)内に可撓性の膜(7)によって分離されるコンパートメントとして配置される、請求項3〜のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項11】
制御ユニット(2)、電気浸透アクタ(3)および加圧媒体容器(4)は、再利用可能モジュール(1.1)内に配置され、電気浸透アクタ(3)は、加圧媒体容器(4)内に電気浸透膜として配置される、請求項3〜のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項12】
制御ユニット(2)は、ユーザインターフェースを備える、請求項1〜11のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項13】
放出ノズルは、注射針またはジェットノズルとして配置される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項14】
薬物容器(5)と、加圧媒体容器(4)と、電気浸透アクタ(3)とを備え、ここで、薬物容器(5)は、放出ノズル(6)に取り付けられるように構成され、電気浸透アクタ(3)は、薬物を薬物容器(5)から放出ノズル(6)を通って排出するように加圧液体を加圧媒体容器(4)から変位させるように構成され、そしてここで可撓性の膜(7)が薬物と加圧液体を分離するために薬物容器(5)内に配置される、薬物送達デバイスの使い捨てユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物送達デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
体内に様々な薬剤を注射しなければならない。本発明は、特に、経口投与すると失活する(deactivated)、またはそれらの効能が著しく低下する薬剤、たとえば、タンパク質(インスリン、成長ホルモン、インターフェロンなど)、炭水化物(たとえば、ヘパリン)、抗体および大半のワクチンに適用される。そのような薬剤は、主に、シリンジ、薬剤ペンまたは薬剤ポンプによって注射される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、改善された薬物送達デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1による薬物送達デバイスによって達成される。
【0005】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に示されている。
【0006】
本発明によれば、薬物送達デバイスは、制御ユニットと、駆動ユニットと、加圧液体を含むように配置された加圧媒体容器と、薬物を含むように配置された薬物容器と、放出ノズルとを備える。駆動ユニットは、制御ユニットによって制御され電圧が加えられたとき加圧液体中に圧力勾配を生成し、それによって圧力を薬物容器に伝え、薬物を薬物容器から放出ノズルを通って少なくとも部分的に変位させるように配置される。駆動ユニットは、電気浸透アクタ(electro−osmotic actor)として配置される。
【0007】
電気浸透は、電場による表面に平行な液体の動きである。この現象は、液体の内部は電気的に中性である一方でその表面には電気化学的二重層ができることがもとになっている。二重層の厚さは、液体中に溶けているイオンによって決まる。したがって、液体の表面は電気的に中性ではない。電場が表面に平行にかけられると、液体は力を受け、それによって流れが形成される。この効果は、導電体が表面に平行な電場を短絡させるように、電気浸透アクタの電気的絶縁表面だけに働く。
【0008】
従来のメカニカルポンプによって駆動される薬物送達デバイスとは対照的に、本発明による薬物送達デバイスは、空間要件を削減することができる。さらに、本発明による薬物送達デバイスは、特に部品の数が少なく、取り扱いの改善をもたらす。
【0009】
例示的な一実施形態では、電気浸透アクタは、少なくとも1本の毛細管を含むソリッドステート本体(solid state body)を備えることができ、毛細管内の加圧液体の表面に本質的に平行に電場がかかるように配置される。
【0010】
他の例示的な実施形態では、電気浸透アクタは、横断する細孔を含む膜を備えることができ、細孔内の加圧液体の表面に本質的に平行に電場がかかるように配置される。膜は可撓性であってよい。
【0011】
膜は、その厚さに沿って寸法が変わる細孔を含む膜として形作られる伝導手段を含む織物であってよく、したがって、細孔の壁部は、滑らかで、前記織物に垂直に印加される電場に対して傾斜している。織物は、電極と、電気信号が印加され得る多孔質伝導層と、膜と電極の間においてそれらの間の直接的な接触を防ぐ非伝導性の多孔質層とを備えることができる。吸収層が、乾燥側の電極上に配置されてもよい。あるいは、吸収層は省略されてもよく、電極の外側に他の層が加えられてもよい。
【0012】
また、膜は、円筒形の直線的な細孔を含む膜として形作られる伝導手段を含む織物であってもよい。非伝導層は、同じ物理的な膜の一部を構成してもよい。
【0013】
他の例示的な一実施形態では、加圧液体は水であり、特に蒸留水である。
【0014】
他の例示的な実施形態では、加圧液体は、アルコールのような液体炭化水素である。
【0015】
薬物送達デバイスは、再利用可能ユニットおよび使い捨てユニットを備えることができる。再利用可能な部材は、少なくとも制御ユニットを備える。
【0016】
例示的な一実施形態では、薬物送達デバイスの使い捨てユニットは、薬物容器と、加圧媒体容器と、電気浸透アクタとを備える。薬物容器は、放出ノズルに取り付けられるように構成される。電気浸透アクタは、薬物容器から放出ノズルを通して薬物を排出するように加圧媒体容器から加圧液体を変位させるように構成される。
【0017】
例示的な一実施形態では、可撓性の膜が薬物と加圧液体を分離するために薬物容器内に配置され得る。
【0018】
他の例示的な実施形態では、制御ユニット、電気浸透アクタおよび加圧媒体容器は、再利用可能モジュール内に配置され、したがって、使い捨てのものは、薬物容器と放出ノズルだけである。したがって、廃棄物の量およびエコロジカルフットプリントが減少する。
【0019】
さらに他の例示的な実施形態では、制御ユニットおよび電気浸透アクタは、再利用可能モジュール内に配置され、したがって、使い捨てのものは、薬物容器、放出ノズルおよび加圧媒体容器だけである。したがって、廃棄物の量およびエコロジカルフットプリントが減少する。
【0020】
さらに他の例示的な実施形態では、制御ユニットは再利用可能モジュール内に配置され、電気浸透アクタは加圧媒体容器内に電気浸透膜として配置され、加圧媒体容器および薬物容器は、共通容器内に可撓性の膜によって分離されるコンパートメントとして配置される。
【0021】
さらに他の例示的な実施形態では、制御ユニット、電気浸透アクタおよび加圧媒体容器は、再利用可能モジュール内に配置され、電気浸透アクタは、加圧媒体容器内に電気浸透膜として配置され、したがって、使い捨てのものは、薬物容器と放出ノズルだけである。したがって、廃棄物の量およびエコロジカルフットプリントが減少する。
【0022】
例示的な一実施形態では、制御ユニットは、用量および流量などの制御を可能にし、かつ/または使用者のコンプライアンスをモニタするようなユーザインターフェースを備える。
【0023】
例示的な一実施形態では、放出ノズルは、注射針として配置される。
【0024】
他の例示的な実施形態では、放出ノズルは、ジェットノズルとして配置される。
【0025】
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0026】
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0027】
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0028】
エキセンジン−4は、たとえば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0029】
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
【0030】
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0031】
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0032】
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0033】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0034】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0035】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0036】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(C)と可変領域(V)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0037】
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0038】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0039】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0040】
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0041】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0042】
本発明の適用性のさらなる範囲は、本明細書の以下に示される詳細な説明から明らかになろう。しかし、当業者にはこの詳細な説明から本発明の精神および範囲内で様々な変形および改変が明らかであるので、詳細な説明および具体的な例は、本発明の好ましい実施態様を示すが、例示としてのみ示されると理解されたい。
【0043】
本発明は、例示としてのみ示されしたがって本発明を限定するものではない、本明細書の以下に示される詳細な説明および添付の図面から、より十分に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】薬物送達デバイスの概略図である。
図2】薬物送達デバイスの一実施形態の概略図である。
図3】薬物送達デバイスの他の実施形態の概略図である。
図4】薬物送達デバイスのさらに他の実施形態の概略図である。
図5】薬物送達デバイスのさらに他の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
すべての図面において、対応する部品には同じ参照記号が付いている。
【0046】
図1は、薬物送達デバイス1の概略図である。薬物送達デバイス1は、ユーザインターフェースを含む制御ユニット2と、電気浸透アクタ3と、加圧液体を含む加圧媒体容器4と、薬物を含む薬物容器5と、注射針またはジェットノズルとして配置された放出ノズル6とを備える。加圧媒体容器4は、電気浸透アクタ3を介して薬物容器5と流体連通する。放出ノズル6は、薬物容器5内の薬物と流体連通する。
【0047】
たとえば使用者操作によって生じた要求信号RSを受けたとき、制御ユニット2は、直流電圧VDCを電気浸透アクタ3に印加し、それによって加圧液体中に圧力勾配が生じて加圧液体が加圧媒体容器4から薬物容器5内へとポンプ輸送されるようになる。電気浸透アクタ3の一代替実施形態では、制御ユニット2は、交流電圧、または交流電圧と直流電圧を混合したものを印加する。したがって、特に加圧液体として水を使用する場合、加圧液体の電気分解が防止され得る。薬物容器5は、可撓性の膜7を備える。可撓性の膜7は、加圧液体から薬物を分離するが、加圧液体から薬物に圧力を伝えることができる。したがって、液体薬物は、放出ノズル6を通って患者へと送達される。制御ユニット2は、電気浸透アクタ3を制御しそれに電圧を加える役目を果たす。加圧液体は、たとえば、水、具体的には蒸留水、またはアルコールなどの少なくとも1つの液体炭化水素である、水溶液であってよい。
【0048】
また、制御ユニット2と電気浸透アクタ3の間の電気接続は、たとえば電気浸透アクタ3と共に配置され得るセンサのデータを処理するように、制御ユニット2へのフィードバックを可能にするように構成され、したがって用量および/または流量が閉ループ制御され得るようになる。
【0049】
電気浸透アクタ3は、少なくとも1本の毛細管を含むソリッドステート本体を備え、毛細管中の加圧液体の表面に本質的に平行に電場がかかるように配置される。
【0050】
図2は、再利用可能なモジュール1.1が、制御ユニット2と、電気浸透アクタ3と、加圧媒体容器4とを備え、一方、薬物容器5および放出ノズル6は使い捨てである、薬物送達デバイス1の一実施形態の概略図である。
【0051】
図3は、再利用可能なモジュール1.1が、制御ユニット2と、電気浸透アクタ3とを備え、一方、加圧媒体容器4、薬物容器5および放出ノズル6は使い捨てである、薬物送達デバイス1の一実施形態の概略図である。
【0052】
図4は、再利用可能なモジュール1.1が制御ユニット2を備え、一方、電気浸透アクタ3、加圧媒体容器4、薬物容器5および放出ノズル6は使い捨てである、薬物送達デバイス1の一実施形態の概略図である。電気浸透アクタ3は、加圧媒体容器4内に電気浸透ポンプ膜として配置される。加圧媒体容器4および薬物容器5は、共通の容器4、5内において可撓性の膜7によって分離されるコンパートメントとして配置される。
【0053】
電気浸透アクタ3は、横断する細孔を含む膜を備え、細孔内の加圧液体の表面に本質的に平行に電場がかかるように配置される。
【0054】
図5は、再利用可能なモジュール1.1が、制御ユニット2と、電気浸透アクタ3と、加圧媒体容器4とを備え、一方、薬物容器5および放出ノズル6は使い捨てである、薬物送達デバイス1の一実施形態の概略図である。この場合、電気浸透アクタ3は、加圧媒体容器4内に電気浸透ポンプ膜として配置される。
【符号の説明】
【0055】
1 薬物送達デバイス
1.1 再利用可能モジュール
2 制御ユニット
3 電気浸透アクタ
4 加圧媒体容器
5 薬物容器
6 放出ノズル
7 可撓性の膜
RS 要求信号
DC 直流電圧
図1
図2
図3
図4
図5