(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6285429
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】誤差修正を有するスイッチング電源のための干渉抑制
(51)【国際特許分類】
H03F 1/02 20060101AFI20180215BHJP
H02M 3/00 20060101ALN20180215BHJP
【FI】
H03F1/02
!H02M3/00 E
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-520967(P2015-520967)
(86)(22)【出願日】2013年7月10日
(65)【公表番号】特表2015-523812(P2015-523812A)
(43)【公表日】2015年8月13日
(86)【国際出願番号】EP2013064540
(87)【国際公開番号】WO2014009399
(87)【国際公開日】20140116
【審査請求日】2016年7月8日
(31)【優先権主張番号】1212214.9
(32)【優先日】2012年7月10日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500480274
【氏名又は名称】スナップトラック・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100085257
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 有
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン、マーティン
【審査官】
▲高▼橋 義昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−029186(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/046668(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0109387(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0191826(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/02
H02M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端子においてスイッチングされた供給電圧(switched supply)を受け取るように配置された第1のインダクタと、 前記第1のインダクタの他方の端子に接続された第1の入力と基準信号に接続された第2の入力を有し、これら第1の入力と第2の入力における信号間の誤差に依存して誤差増幅器出力において修正済のスイッチングされた供給電圧を生成する誤差増幅器と、
前記誤差増幅器の出力と前記誤差増幅器の第1の入力との間に接続されたインピーダンスと、
前記第1のインダクタの他方の端子と前記誤差増幅器の第1の入力との間に接続された抵抗器と、
前記誤差増幅器の第1の入力と誤差増幅器の出力との間に接続された第2のインダクタからなるスイッチング電源。
【請求項2】
前記インピーダンスは1/gmの値を有し、ここでgmは前記誤差増幅器の相互コンダクタンスである、請求項1に記載のスイッチング電源。
【請求項3】
前記インピーダンスはリアクタンス素子を備える、請求項1に記載のスイッチング電源。
【請求項4】
前記インピーダンスは、プリント回路板トラックとして実施される、請求項1に記載のスイッチング電源。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のスイッチング電源を含む、包絡線追跡電源。
【請求項6】
高周波電力増幅器に電源を提供するために請求項1から4のいずれか1項に記載のスイッチング電源を含む、高周波(RF)増幅段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択された電圧の誤差が修正されるスイッチング電源内の不要な周波数の信号の減少に関する。本発明は詳細には、但し限定的にではなく、高周波(RF)増幅に関して使用され得るような包絡線追跡用途のためのスイッチング電源に関する。
【背景技術】
【0002】
周波数分割デュープレックス(frequency domain duplexまたはfrequency division duplex)(FDD)システムは、異なる搬送波周波数で動作する送信機と受信機を有するトランシーバーを含む。そのようなFDDシステムの簡単な例示的アーキテクチャが
図1に示される。トランシーバーは、アンテナ18によって送信されるライン2上の入力信号を受け取る送信機ブロック6を含む。受信機ブロック8は、アンテナ18において検出された信号を受け取り、それらを信号ライン4上に伝送する。送信機6の出力はデュープレックスフィルタ14にライン10上で伝送される。アンテナ18から受け取った信号は、デュープレックスフィルタ14から受信機8にライン12上で伝送される。アンテナ18は、ライン16を介してデュープレックスフィルタ14に接続される。
【0003】
このようなFDDシステムでは、送信機からのエネルギーが受信機をブロックしないことが重要である。送信機の出力上のデュープレックスフィルタは限定された減衰を有するにすぎないため、このブロッキングが生じ得る。送信機からのノイズに起因して送信機の出力上で受信機周波数において存在するノイズは、受信機のブロッキングを生じさせる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の1つの目的は、スイッチング電源によって生成されたノイズを減少させるための改良された技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明により、インダクタの一方の端子においてスイッチングされた供給電圧(switched supply) を提供するように配置され、インダクタの他方の端子は、第2の入力において基準信号を有する誤差増幅器の第1の入力に接続され、誤差増幅器はそれの第1の入力と第2の入力における信号間の誤差に依存して出力において修正済のスイッチングされた供給電圧を生成し、誤差増幅器の出力と誤差増幅器の第1の入力との間にフィードバック回路が設けられ、誤差増幅器のフィードバック回路内のスイッチャ干渉電流を検出しかつ修正済のスイッチングされた供給電圧の出力を調整するための回路をさらに備えて、出力内のスイッチャ干渉電流を減少させる、スイッチング電源が提供される。回路は、誤差増幅器の出力とフィードバック回路との間に結合器を備え得る。回路は好ましくは、誤差増幅器の出力とフィードバック回路との間にインピーダンスを備える。
【0006】
好ましい実施形態では、包絡線追跡電源は、基準信号に依存してスイッチングされた供給電圧の出力を提供するように配置されたスイッチング電源を備える。スイッチング電源の出力は好ましくは、インダクタの第1の端子に接続される。インダクタの第2の端子は、インピーダンスの第1の端子および誤差増幅器の第1の入力に接続される。誤差増幅器の第2の入力は、基準信号に接続される。インピーダンスの第2の端子は、誤差増幅器の出力に接続される。基準信号をより厳密に追跡する、スイッチング電源の出力の修正版が、誤差増幅器の出力において生成される。
【0007】
高周波増幅段は好ましくは、そのような包絡線追跡電源を含む。基準信号は、増幅される入力信号の包絡線に依存して生成される。誤差増幅器の出力において提供される修正済のスイッチングされた供給電圧は、高周波電力増幅器に対する電源を形成し、この高周波電力増幅器はそれの出力において入力電圧に基づいて増幅された出力電圧を生成する。
【0008】
すべての実施形態において、インダクタは追加のフィードバック回路を介して誤差増幅器の入力に接続され得る。これは、例えば、インダクタが接続される誤差増幅器への入力が反転入力であるか非反転入力であるかに依存し得る。
【0009】
誤差増幅器は、g
mの相互コンダクタンスを有する。好ましい実施形態では、インピーダンスは1/g
mの値を有する。干渉によって生じたインダクタ内の増大した電流に起因する誤差増幅器のフィードバック入力における電圧の増大は、したがってインピーダンスの存在により誤差増幅器の出力の電圧が反対に減少することにより相殺される。
【0010】
スイッチング電源はさらに、誤差増幅器の出力と第1の入力との間でフィードバック回路内に接続された抵抗器および、フィードバック回路において誤差増幅器の第1の入力と出力との間に接続されたインダクタをさらに備える。
【0011】
このような配置は、好ましい二次相殺を提供する。
【0012】
インピーダンスは好ましくは、リアクタンス素子を備える。インピーダンスは、プリント回路板トラックとして実施され得る。プリント回路板トラックは、必要なインピーダンスを提供するために特定の長さと幅を有するように配置され得る。
本発明はここで、添付の図面を参照して記述される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】1つの例示的なFDDトランシーバーのフロントエンドを示す。
【
図3】本発明の実施形態による
図2の配置の改良を示す。
【
図6】本発明の実施形態で得られうる典型的な改良を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
下記の記述では、本発明は例示的な実施形態および実施を参照して記述される。本発明は、それの理解の目的で提供された記載されたような任意の配置の特定の詳細に限定されない。
【0015】
詳細には、本発明は高周波電力増幅器のための包絡線追跡電源におけるスイッチング電源の実施に照らして記述される。しかし本発明は、包絡線追跡電源または高周波電力の実施に限定されない。
【0016】
図2は、FDD送信機で実施され得る包絡線追跡電源を含む1つの例示的な増幅段のアーキテクチャを示す。増幅段の目的は、出力電圧V
OUTとして入力電圧V
INの増幅された電圧を生成することである。基準電圧V
REFは、入力信号V
INの振幅を表し、高周波電力増幅器108を含む負荷への伝送用の供給電圧V
SUPPを生成するために使用される。出力信号V
OUTは、入力電圧V
INの増幅されたレプリカである。
【0017】
包絡線検波器107は、入力電圧V
INを受け取り、入力信号の包絡線を表す基準電圧V
REFを生成する。スイッチング電源102は、基準信号V
REFを受け取り、基準信号V
REFの瞬時値に最も適合するものに依存して、複数の利用可能な供給電圧のうちの1つから出力供給電圧を生成する。選択された供給電圧はインダクタ106の第1の端子に印加され、出力供給電流がインダクタの第2の端子において生成される。
【0018】
スイッチング電源102は、効率的な電源であるが、それの入力において基準信号V
REFを粗く追跡するにすぎない。より厳密な追跡信号を提供するために、誤差増幅器104が設けられて、選択されたスイッチングされた供給電圧内の誤差を除去し、修正済のスイッチングされた供給電圧の出力を提供する。図示された簡単なアーキテクチャでは、誤差増幅器は1つの入力において基準信号V
REFを受け取り、他の入力において誤差増幅器104の出力を受け取る。誤差増幅器104の出力はまた、インダクタ106の第2の端子に接続される。誤差増幅器104は、電流変換増幅器への電圧であり、インダクタ106の第2の端子における信号と基準信号との間の誤差を表す電流をインダクタ106の第2の端子において注入する。
【0019】
インダクタ106の第2の端子におけるこのように調整された(または修正済の)出力電流は、高周波電力増幅器108の電力端子に伝送され、増幅器108の出力において電圧信号V
OUTが生成される。
【0020】
図2は高周波増幅器用の包絡線追跡スイッチング電源の原理を示すための例示的なアーキテクチャを表すものであり、実際の実施には追加の回路が必要なことが理解されるであろう。
【0021】
スイッチング電源102のスイッチは、インダクタ106による効率的な手段により電圧供給信号の包絡線電力のほとんどの伝送を可能にする。誤差増幅器104は、スイッチング電源の出力において細かい制御を提供し、インダクタ106により不要に注入された信号の除去を可能にする。
【0022】
図2に示されたような包絡線追跡システムは、効率の追求のためにスイッチング電源を使用することにより不要なノイズを生成し、これは広域スペクトルにわたってノイズを生成することがあり得る。このノイズが出力電源上に出現する場合には、所与のシステムの出力ノイズの仕様は破られる(breeched)可能性がある。
【0023】
誤差増幅器104の出力インピーダンスは、誤差増幅器の相互コンダクタンス、g
m、の逆数、すなわち1/g
mである。この出力インピーダンスは、不要な電圧が、I
r/g
mである負荷(すなわち電力増幅器108)にわたって生成されるため、不要な干渉の抑制の限界を規定する。ここでI
rは不要な干渉と関連する電流である。
【0024】
この電圧を減少させる1つの方法は、g
mを増大させることであろう。しかし、高周波における十分な安定余裕を維持する必要があるため、g
mを増大させる能力には限界がある。
【0025】
本発明によれば、干渉の影響が相殺されるはずであれば、不必要な干渉によるスイッチング電源102からインダクタ106の第1の端子への電流の増大は、同量の誤差増幅器104への電流フローの増大を必要とすることが認識される。
【0026】
この増大を提供するために、誤差増幅器104へのフィードバック入力端子は、電圧をa/g
m増大させなければならない。ここで、aはインダクタ106の第2の端子から流れる干渉電流である。この電圧は、干渉誤差として供給電圧の出力において現れる。
【0027】
図3を参照すると、本発明により
図2の例示的な配置の修正が示され、誤差増幅器のフィードバック回路内のスイッチャ干渉電流を検出し、かつ修正済のスイッチングされた供給電圧出力を調整するための回路を備えて、出力内のスイッチャ干渉電流を減少させる。この回路は好ましくは、誤差増幅器の出力とフィードバック回路との間に結合器を備える。回路は好ましくは、値Zを有する追加のインピーダンス200である。
【0028】
図3に示されるように、誤差増幅器104へのフィードバック回路は、インダクタ106の第2の端子から取得される。インピーダンス200は、誤差増幅器の出力とインダクタの第2の端子との間に接続される。インピーダンス200はしたがって、誤差増幅器104の出力に接続された第1の端子および、インダクタ106の第2の端子に接続された第2の端子を有する。
【0029】
フィードバック回路は、インダクタ106の第2の端子/インピーダンス200の第2の端子と、誤差増幅器104へのフィードバック入力との間に接続される。電力増幅器への供給電圧を提供する出力は、誤差増幅器104の出力/インピーダンス200の第1の端子によって提供される。
【0030】
インピーダンスの値Zは、1/g
mに設定され、ここでg
mは誤差増幅器104の相互コンダクタンスである。
【0031】
インピーダンス200の設置は、増幅器の安定余裕に対して一切妥協することなしに増幅器108への出力供給電圧内にもたらされる不要な干渉の減少を提供する。
【0032】
図3の配置では、誤差増幅器104へのフィードバック入力における電圧は、上述のようにa/g
m増大する。
【0033】
しかし、インピーダンス200の出力側(インピーダンス200の第1の端子)は同時に、a/g
m下回る。
【0034】
これは、(負荷内で)増幅器108に関して生成された出力信号は、スイッチング電源102を介して流れる干渉電流に関係なく一定のままであることを意味する。
【0035】
したがって本発明は、誤差増幅器による不要な干渉を含む信号の生成を停止させることはないが、それを相殺する反対の信号を提供する。
【0036】
誤差増幅器104の相互コンダクタンスg
mは、周波数依存であり得る。したがって、インピーダンス200は好ましくは、周波数上の相互コンダクタンス内のこの変動を追跡し、それの値Zを適切に調整するように適合される。通常単極補償システムに関して、g
mは1オクターブあたり6dBの比率で下降する。これは1オクターブあたり6dBで1/g
m上昇することを意味し、誘導的と考えられる。これによりインピーダンス200は好ましくは、小さくかつ誘導的であるべきである。このときインピーダンスは周波数による変動を効果的に追跡する。例えば、インピーダンスは、周波数による相互コンダクタンスの変動を追跡するためにチップインダクタとして実施され得る。
【0037】
インピーダンス200のこの特性はまた、トラックの長さとしてインピーダンスを実施することにより達成され得る。これが
図4に示されており、ここでインピーダンスは特定の長さおよび幅において実施されたトラック200aの長さとして示される。したがってフィードバックは誤差増幅器から直接取得されるのではなく、誤差増幅器を含む能動回路の1/g
mに相当するインピーダンスを有するトラックの長さから取得される。
【0038】
誤差増幅器が二次補償である場合には、誤差増幅器の出力インピーダンスは、12dB/octaveで上昇し、そのため好ましくはインピーダンス200によって提供される相殺回路を修正することが所望される。
【0039】
図5は、二次相殺が提供される、
図3の配置の別の配置を示す。抵抗器300は、インダクタ106とインピーダンス200の共通の接続部と、誤差増幅器104への入力との間でフィートバック回路内に提供される。
図5においてはインダクタ302であるリアクタンス素子は、誤差増幅器104の入力に接続する抵抗器300の端子と、誤差増幅器104の出力との間に接続される。抵抗器300およびリアクタンス素子302は、
図3の配置により提供される一次相殺に加えて二次相殺を提供する。
【0040】
図6は、本発明により提供される相殺の効果を示す。
図6は、誤差増幅器に提供される信号の周波数に対する誤差増幅器の出力インピーダンスのプロットである。プロット304は、本発明の実施形態による相殺なしの誤差増幅器のインピーダンス軌道を示す。波形306は、
図3の配置による相殺を有する増幅器のインピーダンス軌道を示す。図に示されるように、誤差増幅器の実効出力インピーダンスは、インピーダンス200によって提供される相殺の結果として減少する。
【0041】
本発明は一般に、スイッチング電源、包絡線追跡電源の一部分として、包絡線追跡電源を組み込んだ高周波増幅段として実施され得る。
【0042】
そのような実施は、移動通信システム、詳細には移動(携帯)電話装置において特に活用性を有するが、移動通信インフラにおいても同様である。
【0043】
本発明は、実施形態を参照して例としてここに記述されている。本発明は、記述された実施形態、および実施形態における特定の特徴の組合せに限定されない。本発明の範囲内で実施形態の修正がなされ得る。本発明の範囲は、添付の請求項によって定義される。
【符号の説明】
【0044】
2,4,10,12,16・・・ライン
6・・・送信機ブロック
8・・・受信機ブロック
14・・・デュープレックスフィルタ
18・・・アンテナ
102・・・スイッチング電源
104・・・誤差増幅器
106,302・・・インダクタ
107・・・包絡線検波器
108・・・電力増幅器
200・・・インピーダンス
300・・・抵抗器
304,306・・・インピーダンス軌道