(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6285436
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】雌性不妊症のための治療標的および診断マーカーとしての無細胞DNA
(51)【国際特許分類】
C12N 9/22 20060101AFI20180215BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20180215BHJP
C12Q 1/68 20180101ALI20180215BHJP
C12Q 1/06 20060101ALI20180215BHJP
A61P 15/08 20060101ALI20180215BHJP
A61K 38/46 20060101ALI20180215BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20180215BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
C12N9/22ZNA
C12N15/00 A
C12Q1/68 A
C12Q1/06
A61P15/08
A61K38/46
A61K48/00
G01N33/53 D
G01N33/53 N
【請求項の数】16
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-524896(P2015-524896)
(86)(22)【出願日】2013年8月1日
(65)【公表番号】特表2015-526079(P2015-526079A)
(43)【公表日】2015年9月10日
(86)【国際出願番号】IB2013056321
(87)【国際公開番号】WO2014020564
(87)【国際公開日】20140206
【審査請求日】2016年7月4日
(31)【優先権主張番号】12179265.9
(32)【優先日】2012年8月3日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】13156626.7
(32)【優先日】2013年2月25日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500297535
【氏名又は名称】フェリング ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100103182
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 真美
(74)【代理人】
【識別番号】100162617
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 沙央里
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】アゾー,アンドレ
【審査官】
福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−506903(JP,A)
【文献】
特表2010−515909(JP,A)
【文献】
NCBI,Pediar Nurs, 1994, vol.20, no.3, p.278-279,[検索日:2017年5月19日],URL,https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8008477
【文献】
Reprod Biomed Online, 2009, vol.18, no.3, p.407-411
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−90
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雌性不妊症の治療剤であって、DNaseを含む、治療剤。
【請求項2】
前記雌性不妊症が、受胎性雌における無細胞DNAのレベルよりも統計的に高い無細胞DNAのレベルと関連する、請求項1に記載の治療剤。
【請求項3】
前記雌性不妊症が、子宮内膜症と関連しない、請求項1または請求項2に記載の治療剤。
【請求項4】
前記DNaseが組換えDNaseである、請求項1〜3のいずれかに記載の治療剤。
【請求項5】
前記DNaseがDNase Iである、請求項1〜4のいずれかに記載の治療剤。
【請求項6】
前記DNaseが静脈内経路または筋肉内経路によって投与される、請求項1〜5のいずれかに記載の治療剤。
【請求項7】
前記DNaseが、黄体期後期の間に不妊性雌に投与される、請求項1〜6のいずれかに記載の治療剤。
【請求項8】
前記雌性不妊症が、ヒト雌性不妊症である、請求項1〜7のいずれかに記載の治療剤。
【請求項9】
少なくとも2500UIのDNase Iが、少なくとも4日間、不妊女性に毎日投与される、請求項8に記載の治療剤。
【請求項10】
2500UIのDNase Iが、黄体期後期の7日間、不妊女性に1日2回投与される、請求項9に記載の治療剤。
【請求項11】
子宮内膜症を有さない哺乳動物の雌において不妊症のin vitroでの診断を補助する方法であって、
(i)前記雌由来の体液サンプル中の無細胞DNAのレベルを決定することと、
(ii)前記レベルを所定の閾値と比較することと
を含み、前記所定の閾値を上回る無細胞DNAのレベルが不妊症を示す、方法。
【請求項12】
前記体液サンプルが、血漿、血清、血液または卵胞液のサンプルである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記雌がヒトである、請求項11または請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記体液サンプルが血漿サンプルであり、前記所定の閾値が、50ng/μl〜100ng/μlに含まれる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項11〜14のいずれかに記載の方法を実施するためのキットであって、生物学的サンプル中の無細胞DNAのレベルを測定するための反応体、および生物学的サンプル中の少なくとも1つの他の生理学的パラメータを測定するための反応体を含み、前記生理学的パラメータが、抗ミュラー管ホルモン(AMH)のレベル、テロメラーゼ活性およびホモシステイン濃度からなる群から選択される、キット。
【請求項16】
少なくとも1種のDNA挿入剤およびAMHを認識する抗体を含む、請求項15に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、雌性不妊症の分野に関する。より正確には、本発明は、雌性不妊症の新規マーカー、ならびにそれを必要とする雌性患者の受胎性を増加させるための新規治療に関する。
【0002】
過去数年間、著者らは、20%〜25%もの高さの原因不明不妊症の有病率を報告してきた。不妊症は、少なくとも丸1年間にわたって妊娠しようと試みた後に、カップルが妊娠できないことである。
【0003】
不妊症の診断は、病歴を聴取し身体検査を行うことで始まる。この試験が、1年間の試みにおいて妊娠しない任意のカップルにおける排卵機能の評価、子宮卵管造影図および腹腔鏡検査に限定される場合、多数の不妊症の症例は、原因不明のままである。いくつかのアッセイ(いくつかのホルモンおよびサイトカインのレベルの測定、雌性不妊症に関連する遺伝子中の任意の変異を検出するための遺伝子検査技術)を追加することによる診断試験の拡張は、「原因不明」不妊症をわずかに低減させるにとどまっている。
【0004】
喫煙、過剰なカフェイン摂取またはアルコール使用の有害な影響が公知である。しかし、受胎性に対するそれらの影響は、個体毎に大きく異なり、今日、この影響の定量を可能にする生物学的マーカーは存在しない。したがって、これらの影響は、現在利用可能な試験によっては正確に評価されない。
【0005】
臨床的不妊症の治療の中で、補助生殖医療(ART)は、治療当たりの最も高い生児出生率を有する。ARTは、その開始以来、世界中で百万を超える乳児の妊娠に寄与してきた。しかし、これらの技術の失敗の割合は、なおも顕著であり、試みが失敗した後にARTを続行するまたはART治療を繰り返すというカップルの決断は、治療の肉体的、感情的および経済的コストに起因して、しばしば困難な決断である。
【0006】
体外受精(IVF)および卵細胞質内精子注入法(ICSI)のデータは、最も首尾よいプログラムにおいてでさえ、移植した胚の数と比較して低い着床率を明らかに示している。着床に関する問題を導く欠陥は、おそらく、現在評価されている欠陥よりもかなり一般的であり、原因不明不妊症の別の領域を構成している。
【0007】
インテグリン、LIF、G−CSFまたは他の増殖因子などの着床因子をアッセイすることは、不妊症の他の症例の理解を導き得、したがって、「原因不明不妊症」を有すると分類される患者の百分率を低下させるが、ほとんどの症例では、これは、治療に関する最初の熟慮において助けにならない。フランスでは、ARTの成功率は、卵母細胞回収当たりの生児出生に関して25%〜28%の範囲である。
【0008】
上記のことから、雌性不妊症に関与するいくつかのパラメータは、現在の試験によって完全に無視されているように見える。
【0009】
ヒト血漿中の循環無細胞DNAの存在は、MendelおよびMetais[1]によって1948年に報告されている。無細胞循環DNA(cfDNA)は、炎症性障害、酸化ストレスおよび悪性腫瘍を含む、広範な生理学的状態および病理学的状態において研究されてきた。cfDNAは、30ng/mlの平均で0〜100ng/mlの範囲の血液濃度で、健康な被験体において存在する[2]。正常細胞量のDNA含量を6.6pgと仮定すると、これらの値は、1ml当たり5000ゲノムの平均で、血液1ml当たり0〜15,000ゲノム等量の平均を示す。このDNAのほとんどは二本鎖であり、見たところ核タンパク質複合体の形態である。
【0010】
低百分率のアガロースゲル上でのcfDNAの電気泳動は、DNA断片のサイズ分布においてサンプル毎のバリエーションを伴って、0.18キロベース〜21キロベースの、DNA断片のサイズにおけるバリエーションを示す。大きい準ゲノムサイズのDNA断片を検出することが一般的である。
【0011】
血流中への遊離DNAの放出と関連する正確な機構は不明確なままであるが、これは、アポトーシス、壊死および細胞からの活性な放出の組合せにおそらく由来する。
【0012】
血流からのcfDNAのクリアランスは、迅速に生じる:胎児DNAは、送達後に、16.3分間の半減期で母親の血液から消失する[3]。cfDNAは、血漿ヌクレアーゼ(例えば、DNase I)に対して感受性であるが、腎[4]および肝[5]クリアランス機構もまた、cfDNAの排出に関与することが公知である。
【0013】
これまで、cfDNAの放出が生物学的効果を有するかどうかは知られていなかった。培養された細胞は、培地中に二本鎖DNAを放出することが示されており[6]、cfDNAは、細胞中に取り込まれ得る[7]。これらの知見は、「ゲノメタスタシス」の概念の導入を導いた[8]。しかし、この仮説は未だ証明されていない。
【0014】
循環DNAは、血漿および血清の両方から単離され得るが、血清は、およそ6倍高い濃度の循環DNAを含む。最近、Umetaniらは、6倍高い血清DNAレベルの10%未満が、他の供給源による夾雑(即ち、血清の分離の間の白血球からの放出)に起因することを示している[9]。より高い血清レベルの理由は未知のままであるが、精製手順の間の血漿中のDNAの喪失は排除された[9]。
【0015】
無細胞循環DNAは、潜在的に有用なバイオマーカーである。DNAレベルおよび断片化パターンは、診断および予後判定の目的のために、興味深い可能性を提供する。最近、Bartoovらは、雄性被験体由来の流体サンプル中のcfDNAの測定値に基づいて、前記被験体の受胎性の状態を評価するための方法を記載している(WO2008/047364)。彼らは、低受胎性雄にDNaseを投与することによって、雄性低受胎性を治療するための方法もまた提案している。無細胞DNAは、悪性および良性の増殖ならびに炎症性状態、例えば子宮内膜症の非侵襲性モニタリングのためのバイオマーカーとしても提案されている[10]。
【0016】
ごく最近、Czamanski-Cohenらは、IVF治療を受けている37人の女性のコホートにおいて、血漿cfDNA濃度が、βHCg試験の日に、妊娠した女性と比較して、妊娠しなかった女性において統計的により高かったことを報告している。しかし、著者らによって認識されているように、この研究は、雌性不妊症とcfDNA濃度との間の相関を確立できていないが、これは、この研究に含まれていた全ての女性が、IVF治療の過程にあったからである[11]。
【0017】
本明細書に記載されるように、本発明者は、cfDNAレベルが、受胎性の女性よりも不妊の女性において統計的により高かったことを、ここで実証している。したがって、cfDNAのレベルは、不妊症の診断および予後判定のために有用であり得る。cfDNAのレベルは、子宮内膜症に罹患していない女性における不妊症の診断および予後判定のためにも有用であり得る。cfDNAが侵襲性または有痛性の手順なしに取得できるという事実は、cfDNAを、女性における不妊症の診断における使用に特に適したものにしている。さらに、以下の実験部分において実証されるように、無細胞DNAレベルの低下へと導く治療は、治療された雌性患者の受胎性を顕著に改善する。
【0018】
したがって、本発明の第1の態様は、哺乳動物の雌において不妊症をin vitroで診断する方法であって、
(i)前記雌由来の体液サンプル中の無細胞DNAのレベルを決定することと、
(ii)前記レベルを所定の閾値と比較することと
を含み、前記所定の閾値を上回る無細胞DNAのレベルが不妊症を示す、方法である。
【0019】
この方法は、ヒトまたは動物の雌、好ましくはヒトにおいて、不妊症を診断するために使用され得る。この方法は、カップルの不妊症の理由が調査される場合に行われる第1の試験と一緒に、またはそれらの試験で不妊症の原因を同定できなかった患者においてこれらの試験後に、実施され得る。特に、本発明の方法は、子宮内膜症に罹患していない雌において不妊症をin vitroで診断するために使用され得る。
【0020】
もちろん、上記において、「不妊症を示す」cfDNAレベルを有する雌は、この雌が、所定の閾値を下回るcfDNAを有する雌よりも高い、不妊の可能性を有することを意味している。
【0021】
上記の方法では、体液サンプルは、血漿、血清、血液または卵胞液のサンプルであり得る。
【0022】
以下の実験部分で示されるように、cfDNA濃度を、94人の受胎性女性および96人の不妊女性の血漿中で測定した。このコホートでは、平均cfDNA血漿濃度は、受胎性女性ではおよそ50ng/μlであり、不妊女性ではおよそ109ng/μlであった。したがって、上記方法がヒト雌に関し、体液サンプルが血漿サンプルである場合、閾値は、これら2つの値の間で選択され、好ましくは、約50ng/μl〜約100ng/μlで選択される。もちろん、当業者は、患者のより大きいコホートに対してこのパラメータをさらに調査することによって、これらの値を精緻化および改変することが可能である。より多数の患者に由来するサンプル中のcfDNAレベルを測定することによって、当業者は、対応する不妊症の可能性と共に、cfDNAレベルについての値の尺度も確立する。女性の均質な下位群(その年齢および/または挙動パラメータ、例えば彼女らが喫煙するか否か、および/または生理学的パラメータ、例えば、体重、HbA1cなどに依存する)を含むより大きいコホートにおける測定もまた、異なる状況を反映する異なる閾値の決定を導き得る。この場合、当業者は、他の関連するパラメータを考慮してそのcfDNAレベルを解釈することによって、女性の不妊症の可能性を決定する。
【0023】
既に述べたように、この方法は、血漿サンプルとは異なる体液サンプル中のcfDNAレベルを測定することによって実施され得る。もちろん、各体液について、適切な閾値を決定するために、受胎性雌および不妊性雌を含む雌の顕著なコホートにおいて、測定を実施する必要がある。
【0024】
この閾値は、不妊であり得る全てまたはほぼ全ての雌を同定することを目的とした場合、受胎性雌の平均値に近くなるように選択される。この場合、受胎性雌は、不妊である可能性が高いと診断されることもあり得る(偽陽性)。対照的に、不妊である最も高い可能性を有する雌のみを同定することを目的とした場合、この閾値は、不妊性雌の平均値に近くなるように選択される。
【0025】
1つの特定の実施形態では、本発明による方法は、女性由来の血漿サンプル中のcfDNAのレベルを測定することによって、前記女性において不妊症をin vitroで診断するために実施され、60ng/μlを上回るcfDNAの血漿レベルが、不妊症を示す。
【0026】
別の実施形態では、本発明による方法は、女性由来の血漿サンプル中のcfDNAのレベルを測定することによって、前記女性において不妊症をin vitroで診断するために実施され、70ng/μlを上回るcfDNAの血漿レベルが、不妊症を示す。
【0027】
別の実施形態では、本発明による方法は、女性由来の血漿サンプル中のcfDNAのレベルを測定することによって、前記女性において不妊症をin vitroで診断するために実施され、80ng/μlを上回るcfDNAの血漿レベルが、不妊症を示す。ここで、前記所定の閾値を上回る無細胞DNAのレベルは不妊症を示す。
【0028】
別の実施形態では、本発明による方法は、女性由来の血漿サンプル中のcfDNAのレベルを測定することによって、前記女性において不妊症をin vitroで診断するために実施され、90ng/μlを上回るcfDNAの血漿レベルが、不妊症を示す。ここで、前記所定の閾値を上回る無細胞DNAのレベルは不妊症を示す。
【0029】
なお別の実施形態では、本発明による方法は、女性由来の血漿サンプル中のcfDNAのレベルを測定することによって、前記女性において不妊症をin vitroで診断するために実施され、100ng/μlを上回るcfDNAの血漿レベルが、不妊症を示す。
【0030】
別の態様によれば、本発明は、上記方法を実施するためのキットに関する。特に、本発明は、生物学的サンプル中のcfDNAのレベルを測定するための反応体、および生物学的サンプル中の少なくとも1つの他の生理学的パラメータの測定に特異的な反応体を含むキットを対象とし、前記生理学的パラメータは、抗ミュラー管ホルモン(AMH)のレベル、テロメラーゼ活性およびホモシステイン濃度からなる群から選択される。
【0031】
生物学的サンプル中のcfDNAのレベルは、例えば、任意の核酸染色、例えば、挿入因子などであるがこれらに限定されない、当該分野で公知の任意の技術によって測定され得る。cfDNAレベルを測定するために使用され得、本発明によるキット中に含まれるDNA挿入因子の非限定的な例には、ベルベリン、エチジウムブロマイド、プロフラビン、ダウノマイシン、ドキソルビシン、サリドマイド、Sybr(登録商標)Green、Sybr(登録商標)GoldおよびPicoGreen(登録商標)が含まれる。
【0032】
抗ミュラー管ホルモン(AMH)は、MIS(ミュラー管抑制因子)とも呼ばれる。AMHは卵胞によって直接産生されるので、AMHレベルは、卵巣中の胞状卵胞の数と相関する。より低いAMHを有する女性は、より低い胞状卵胞計数を有し、より高いレベルを有する女性と比較して、より低い数の卵母細胞を生成することが実証されている。AMH血液レベルは、残存する卵供給のサイズ、即ち「卵巣予備能」を反映すると考えられる。AMHは、ELISAなどのイムノアッセイによって測定され得る。したがって、本発明によるキットは、抗AMH抗体を含み得る。
【0033】
テロメラーゼは、DNA分解を修復する酵素である。しかし、テロメラーゼは、不十分な濃度で存在する場合には、無効であり得る。加えて、高すぎる濃度で存在する場合、テロメラーゼは、アポトーシス因子を生成する。結果として、テロメラーゼは、受胎性にも関係し、初期胚発生に影響を与える。そのレベルは、イムノアッセイによって測定され得、したがって、本発明によるキットは、テロメラーゼを特異的に認識する抗体を含み得る。
【0034】
ホモシステインは、さらなるメチレン(−CH
2−)基によって異なる、アミノ酸システインの非タンパク質ホモログである。ホモシステインは酸化ストレスのマーカーであり、したがって、個体の受胎性の状態に関する情報を与え得る。ホモシステインレベルは、酵素アッセイによって測定され得る:結合したまたは二量体化したホモシステイン(酸化形態)は、遊離ホモシステインへと還元され、これが次いで、シスタチオニンベータ−シンターゼ(CBS)によって触媒されてセリンと反応し、L−シスタチオニンを形成する。シスタチオニンは、次に、シスタチオニンベータ−リアーゼ(CBL)によって分解されて、ホモシステイン、ピルビン酸およびアンモニアを形成する。ピルビン酸は次いで、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)によって、補酵素としてNADHを用いて乳酸に変換される。NADへのNADHの変換の速度は、ホモシステインの濃度(ΔA340nm)と正比例する。
【0035】
特定の実施形態によれば、本発明によるキットは、少なくとも1種のDNA挿入剤およびAMHを特異的に認識する抗体を含む。
【0036】
以下の実験に記載されるように、成功しなかった数回のIVFを含む数回の治療を既に受けた不妊女性を、デオキシリボヌクレアーゼで治療した。デオキシリボヌクレアーゼによる1ラウンドのみの治療とその後のARTの後、これらの患者のうち50%よりも多くが、妊娠した。したがって、特に、この不妊症が、受胎性女性において統計的に観察される無細胞DNAのレベルよりも高い無細胞DNAのレベルと関連している場合、本発明は、雌性不妊症の治療における使用のための、デオキシリボヌクレアーゼにも関する。
【0037】
デオキシリボヌクレアーゼ(DNase)は、DNA骨格中のホスホジエステル結合の加水分解的切断を触媒する酵素である。デオキシリボヌクレアーゼは、したがって、ヌクレアーゼの1つの型である。広範な種々のデオキシリボヌクレアーゼが公知であり、これらは、その基質特異性、化学的機構および生物学的機能において異なっている。
【0038】
ある種のDNaseは、DNA分子の末端にある残基のみを切断する(エキソデオキシリボヌクレアーゼ、エキソヌクレアーゼの1つの型)。他のDNaseは、鎖に沿ったいずれの場所でも切断する(エンドデオキシリボヌクレアーゼ、リボヌクレアーゼのサブセット)。ある種のDNaseは、制限酵素など、それらが切断するDNA配列について非常に配列特異的であるが、他のDNaseは、かなり無差別である。ある種のDNaseは二本鎖DNAのみを切断するが、他のDNaseは一本鎖分子に特異的であり、他のDNaseは両方に対して作用する。
【0039】
デオキシリボヌクレアーゼIは、ピリミジンヌクレオチドと隣接するホスホジエステル結合においてDNAを優先的に切断して、3’位上に遊離ヒドロキシル基を有する5’5’−リン酸で終わるポリヌクレオチドを生じ、平均してテトラヌクレオチドを生じる。デオキシリボヌクレアーゼIは、一本鎖DNA、dsDNAおよびクロマチンに対して作用する。
【0040】
デオキシリボヌクレアーゼII(酸DNase)は、ネイティブおよび変性したDNA中のデオキシリボヌクレオチド結合を加水分解して、3’−リン酸を有する産物を生じる。名称が示唆する通り、デオキシリボヌクレアーゼIIは、酸性のpHでより効率的である。アルファDNase II(通常、単にDNase IIと呼ばれる)およびDNase IIベータ(DLADまたはDNase II様酸DNaseとも呼ばれる)を含むいくつかの公知のDNase IIが存在する。
【0041】
任意の型のDNaseが本発明において使用され得るが、DNase Iが好ましい。組換えヒトDNase Iは、既に臨床的に使用されている。DNase酵素は、嚢胞性線維症罹患者によって、ネブライザーを使用して吸入され得る。粘液中に蓄積する白血球は、DNAを分解および放出し、このDNAが粘液の「粘着性」を増大させるので、DNase酵素は助けになる。DNaseはDNAを分解し、粘液は、肺からの除去がより容易である。
【0042】
本発明は、雌性不妊症を治療する方法にも関する。特定の実施形態では、本発明は、子宮内膜症に罹患していない雌において雌性不妊症を治療する方法に関する。別の特定の実施形態では、本発明は、受胎性雌において統計的に観察されるものよりも高い無細胞DNAのレベルを示す雌において雌性不妊症を治療する方法に関する。その実施形態のいずれかでは、本発明による方法は、受胎性雌において観察されるレベルと類似のレベルまで、彼女の無細胞DNAレベルを減少させるのに十分な量で、この雌にデオキシリボヌクレアーゼを投与することを含む。上記において、「無細胞DNAのレベル」は、任意の適切な体液、例えば血漿、血清、血液または卵胞液中の無細胞DNAの濃度として理解すべきである。以下において、(受胎性雌と比較して)高いレベルのcfDNAを有する不妊性雌は、本明細書に開示されるような治療を「必要とする」と指定される。本発明は、女性において不妊症を治療するために特に有利である。
【0043】
本発明では、組換えヒトDNaseが、特に女性を治療するために、有利に使用され得る。もちろん、別の種由来の雌が治療される場合、この種由来の組換えDNaseが好ましい。既に言及したように、任意のDNaseが本発明を実施するために使用され得るが、DNase Iが好ましい。
【0044】
循環無細胞DNAの減少を得るのに十分な量のDNaseの送達を導く限り、本発明を実施する場合、任意の投与経路が使用され得る。例えば、DNaseは、静脈内経路または筋肉内経路によって投与され得る。
【0045】
不妊症の治療のために、DNaseは、血液中および/または卵胞液中の無細胞DNAのレベルにおける減少を得るのに十分な量で投与される。例えば、最小2500UIのDNase Iが、少なくとも2日間、好ましくは少なくとも3日間または4日間またはそれ以上の間、不妊性雌に毎日投与され得る。もちろん、個体間の多様性に起因して、異なる応答が観察され得、その結果、投与される用量が無細胞DNAレベルの減少を得るのに十分であるように投薬レジメンが適合され得、そのレベルは、受胎性患者において観察されたレベルと類似するはずである。cfDNAレベルは、その減少をチェックし、不要な治療を回避するために、追跡され得る。
【0046】
cfDNAレベルの減少後および治療を停止した後に、cfDNAレベルは、その以前の値に達するように迅速に増加することはないことが観察されている。少なくとも数日間、cfDNAレベルはおよそ安定のままである。結果として、DNaseは、黄体期後期の間に、それを必要とする不妊性雌に有利に投与され得る。
【0047】
本発明の特定の実施形態によれば、以下の実験の部分に例示されるように、2500UIのDNase Iが、黄体期後期の7日間、それを必要とする不妊性雌に1日2回投与される。
【0048】
もちろん、不妊症の治療の上記方法は、本明細書以下の実験に記載されるように、ARTと組み合わせることができる。
【0049】
本発明は、以下の図面および実施例によってさらに例示される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】73人の受胎性男性および88人の不妊男性ならびに94人の受胎性女性および96人の不妊女性の血液血漿中の平均cfDNA濃度を示す図である。
【
図2】37人の女性由来の血液血漿(黒色四角)および卵胞液(灰色四角)中のcfDNA濃度を示す図である。妊娠したこの群の女性は、その群の全ての女性(妊娠した女性および妊娠しなかった女性を含む)についての平均値よりも低い、血漿中および/または卵胞液中の平均cfDNAレベルを有した。
【実施例】
【0051】
実施例1:患者、材料および方法
精液サンプル
50歳未満の受胎性男性および不妊男性由来の精液サンプルを、3〜6日間の禁欲後の自慰行為によって収集した。精子の計数ならびに運動性、活力および形態の分析を、World Health Organizationのガイドラインに従って実施した。合計161人の男性をこの研究に含めた:73人の受胎性男性および88人の不妊男性。
【0052】
雌由来の血漿および卵胞液サンプル
血漿中の無細胞DNA(cfDNA)量は、37歳未満の94人の受胎性(AMH>2ng/ml)および96人の不妊女性において測定された。ゲノム研究を実施して、特に不妊女性において、このcfDNAの起源を検証した。
【0053】
サンプルが入手可能である場合、cfDNA定量もまた、対応する不妊女性において卵胞液サンプル中で実施した。合計37の卵胞液サンプルをこの研究に含めた。
【0054】
卵巣刺激および卵胞液回収
ほとんどの患者を、組換えFSH(Gonal F(登録商標)(Merck laboratory)もしくはPuregon(登録商標)(Schering Plough laboratory))またはHMG(Menopur(登録商標):Ferring laboratory)を用いた長期アゴニストプロトコルまたはアンタゴニストプロトコルを使用して、ARTについて刺激した。ホルモンおよび超音波検査制御の後、卵巣を組換えまたは尿HCGで誘発し、その36時間後に、周知の技術に従って卵母細胞回収を行った。2つまたは3つの支配的な卵胞液を単離し、貯蔵前に遠心分離した。次いで、cfDNA含量を、血漿/血清中と同じ方法を使用して評価した。
【0055】
cfDNA単離およびPCR増幅
血漿cfDNAを、製造業者の推奨に従って、High Pure PCR鋳型調製キット(Roche)を使用して単離した。溶出緩衝液を、ddH
2Oを使用することによって20%溶液に希釈し、70℃で予め温めた。サンプルを、16,000gで5分間遠心分離し、400μlの血漿を、細胞残骸を回避して、2mlのEppendorfチューブに移した。400μlの結合緩衝液および40μlの再構成されたプロテイナーゼKを、このサンプルに混合した。短時間のボルテックス後、チューブを、70℃で10分間インキュベートした。インキュベーション後、200μlの100%イソプロパノールをこのサンプルに混合し、これを結果として、High Pure PCR鋳型調製キット中に提供されている高純度フィルター収集チューブの上部リザーバーに移した。カラムを、室温で8,000gで1分間遠心分離した。フロースルーおよび収集チューブを廃棄し、フィルターを新たな収集チューブに合わせた。このローディング工程を、全サンプルがフィルター上にロードされるまで反復した。500μlのインヒビター除去緩衝液を上部リザーバーに添加し、室温で8,000gで1分間遠心分離した。フロースルーおよび収集チューブを廃棄し、フィルターを新たな収集チューブと合わせた。これらのチューブを、上部リザーバーに500μlの洗浄緩衝液を添加することによって2回洗浄し、室温で1分間遠心分離した。カラムを、最大速(およそ13,000g)で10秒間遠心分離することによって乾燥させ、新たな1.5mlのEppendorfチューブに移し、インキュベータ中で70℃で5分間温めた。100μlの予め温めた20%溶出緩衝液を、注意深くフィルターに添加した。このチューブおよびフィルターを、70℃のインキュベータ中に配置し、低速(およそ400rpm)で5分間振盪した。DNAサンプルを、8,000gで5分間遠心分離することによってこれらのカラムから溶出させ、引き続いて、使用の前に4℃で貯蔵したか、または長期貯蔵のために−70℃で凍結させた。
【0056】
PCR増幅
JmJC2遺伝子座およびDXS1285遺伝子座を増幅するために使用したマスターミックスは、200mMの各dNTP、1×Taqポリメラーゼ緩衝液、2μMの各プライマーセット、1.5mMのMgCl
2および0.5UのBiotaq(商標)DNAポリメラーゼ(Bioline)を、15μlの反応容量中に含んでいた。JmJC2(Y染色体のマーカー)およびDXS1285(X染色体のマーカー)を増幅するために使用したプライマーの配列は、60℃のアニーリングで、それぞれ
5’−GAGTATGCGACCAGT−3’(配列番号1)、
5’−TGGCACACCATGGGA−3’(配列番号2)および
5’−CGTGCTTAGGCTTAATCCC−3’(配列番号3)、
5’−GAACTGACTGTAGAGAAGG−3’(配列番号4)である。
【0057】
cfDNA定量
血液サンプルを、EDTA含有バキュテナーチューブ中に収集した。それらを、血漿単離のために遠心分離した(3,400rpmで15分間)。cfDNA定量の前に、血漿および卵胞液サンプルを、3,400rpmで20分間遠心分離した。サンプルは、赤血球なしで透明でなければならない。実際、cfDNA定量は、着色サンプル中では変化し得る。標準DNA溶液を、166μl中で20ng/ml、50ng/ml、100ng/mlおよび500ng/mlに希釈し、標準曲線を描いた。166μlの1N HCLO
4(過塩素酸)および664μlのジフェニルアミンを、各166μlの血漿または卵胞液の上清サンプルに添加した。サンプルを、37℃で20時間インキュベートし、引き続いて、15,000gで10分間遠心分離した。300μlの上清を、96ウェルプレートに移し、600nmで分光光度計(Tecan、Genios)で測定した。
【0058】
DNase治療
患者を、書面によるインフォームドコンセントを得た後に登録した。
【0059】
先行するサイクルの黄体期後期に、非常に高いレベルのcfDNA(>100ng/マイクロリットル)を有する10人の選択された女性を、7日間にわたり、筋肉内経路を介して1日2回、1アンプルのドルナーゼアルファ(Pulmozyme(登録商標))2.5mg(2500IU)で治療した。
【0060】
Pulmozyme(登録商標)(ドルナーゼアルファ)吸入液は、DNAを選択的に切断する組換えヒトデオキシリボヌクレアーゼI(rhDNase)の、無菌の無色透明の高度に精製された溶液である。
【0061】
Pulmozyme(登録商標)は、圧縮空気駆動型のネブライザーシステムによって生成されるエアロゾルミストの吸入によって通常投与される。しかし、rhDNaseの全身レベルは、吸入後に非常に低かったので(最大15%)、静脈内法によってであっても、Pulmozymeの毒性学的研究において副作用が存在しなかったという事実を前提として、DNase濃度を増加させるために、IM注射のためのこの同じ製品を注文することを決断した。
【0062】
統計
両側t検定を使用して、受胎性個体と不妊個体との間のcfDNAレベルにおける差異を評価した。相関係数を、Spearman相関両側検定を使用して計算した。統計的差異を、P<0.05の場合に有意とみなした。
【0063】
実施例2:cfDNAおよび雄性不妊症
この第1の予備研究の目的は、増加したcfDNAにDNA断片化が関与し得るという事実を前提として、雄性不妊症と高レベルのcfDNAとの間の関連の概念を検証することであった。
【0064】
cfDNAの完全性を評価するために、単離されたcfDNAサンプルに対してPCRを実施した。X染色体マーカーを、男性および女性の両方の血漿から単離されたcfDNAを用いて増幅した。Y染色体マーカーを、雌性血漿からではなく、雄性血漿から単離されたcfDNAを用いて増幅した。
【0065】
より高いレベルのcfDNAが、それぞれの受胎性コントロールと比較して、不妊個体由来の血液血漿サンプルにおいて検出された。血漿中のcfDNA量を、73人の受胎性男性(60.7ng/μl±46.9)および88人の不妊男性(83.3ng/μl±64.8)において測定した、p=8.7e
−3(
図1)。
【0066】
実施例3:女性由来の血液血漿中のcfDNA
男性と同様、より高いレベルのcfDNAが、それぞれの受胎性コントロールと比較して、不妊女性由来の血液血漿サンプルにおいて検出された。しかし、受胎性個体と不妊個体との間の差異は、男性においてよりも女性において、より大きかった。
【0067】
実際、94人の受胎性女性由来の血漿中のcfDNA量は、96人の不妊女性(109.4ng/μl±88.1)中よりも、2倍低い(49.2ng/μl±58.0)ことが証明された、p=1.02e
−7(
図1)。
【0068】
実施例4:37人の不妊女性における血液血漿対卵胞液中のcfDNA量
血液血漿中のcfDNA濃度を、卵胞液中のcfDNA濃度と比較した。統計的に有意な正の相関が、血液血漿cfDNA濃度と卵胞液との間で見出された(r=0.43、p=6.4e
−3)(
図2)。予備研究では、妊娠女性は、非妊娠女性よりも、卵胞液および血清中の少ないcfDNAを有した(データ示さず)。
【0069】
実施例5:血液血漿cfDNA濃度および受胎性に対するDNase治療の効果
今日まで、4年間より長い間不妊であったおよび/または原因不明で数回のIVF/ICSIの失敗の履歴を有した10人の患者を、次のサイクルの2日目に開始し、GnRHアゴニストまたはアンタゴニストと共に組換えまたは尿FSHを使用する卵巣誘導治療の直前に、以前のサイクルの黄体期後期中の7日間にわたって治療した。全ての患者は、分割された胚を得、患者1人当たり、3日目の1つまたは数個の胚を移植した。
【0070】
各患者について、血液サンプルを、DNase I治療の直前および直後に収集して、血漿中のcfDNAを定量した。
【0071】
これらの患者のうち6人が、1回だけのかかる治療の後に妊娠し、7人の子供の出産が得られた(1人は流産、4人は単胎出産および1人は三つ子出産)。治療された患者と比較したデータを、以下の表1および表2に示す:
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
表2に現れるように、妊娠した全ての患者は、DNase I治療後にcfDNAの減少を有した。唯一の流産は、質の悪い精巣内精子に起因するとみなした。妊娠しなかった特定の患者では、cfDNAの落ち込みは中程度であり、これは、DNase Iの用量が、非常に高レベルのcfDNAを有する特定の場合には、増加されるべきであることを示唆している。
【0075】
考察
その遊離DNAレベルに従った、DNaseによる、IVF/ICSIの前の不妊カップルの女性の短い予防的治療は、症例のうち50%よりも多くにおいて、妊娠を導いた。全ての治療された女性は、4年よりも長い原因不明不妊症、または着床なしの発生の初期段階における多くの胚移植を示した。
【0076】
(参考文献)
本発明は、以下の態様を包含し得る。
[1]
雌性不妊症の治療において使用するための、DNase。
[2]
受胎性雌における無細胞DNAのレベルよりも統計的に高い無細胞DNAのレベルと関連した雌性不妊症の治療において使用するための、上記[1]に記載のDNase。
[3]
前記雌が子宮内膜症を有さない、雌性不妊症の治療において使用するための、上記[1]または上記[2]に記載のDNase。
[4]
前記DNaseが組換えDNaseである、雌性不妊症の治療において使用するための、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のDNase。
[5]
前記DNaseがDNase Iである、雌性不妊症の治療において使用するための、上記[1]〜[4]のいずれかに記載のDNase。
[6]
前記DNaseが静脈内経路または筋肉内経路によって投与される、雌性不妊症の治療において使用するための、上記[1]〜[5]のいずれかに記載のDNase。
[7]
前記DNaseが、黄体期後期の間に不妊性雌に投与される、雌性不妊症の治療において使用するための、上記[1]〜[6]のいずれかに記載のDNase。
[8]
ヒト雌性不妊症の治療において使用するための、上記[1]〜[7]のいずれかに記載のDNase。
[9]
少なくとも2500UIのDNase Iが、少なくとも4日間、不妊女性に毎日投与される、ヒト雌性不妊症の治療において使用するための、上記[1]〜[8]のいずれかに記載のDNase。
[10]
2500UIのDNase Iが、黄体期後期の7日間、不妊女性に1日2回投与される、ヒト雌性不妊症の治療において使用するための、上記[1]〜[9]のいずれかに記載のDNase。
[11]
哺乳動物の雌において不妊症をin vitroで診断する方法であって、
(i)前記雌由来の体液サンプル中の無細胞DNAのレベルを決定することと、
(ii)前記レベルを所定の閾値と比較することと
を含み、前記所定の閾値を上回る無細胞DNAのレベルが不妊症を示す、方法。
[12]
前記雌が子宮内膜症を有さない、上記[11]に記載の方法。
[13]
前記体液サンプルが、血漿、血清、血液または卵胞液のサンプルである、上記[11]または上記[12]に記載の方法。
[14]
前記雌がヒトである、上記[11]〜[13]のいずれかに記載の方法。
[15]
前記体液サンプルが血漿サンプルであり、前記所定の閾値が、50ng/μl〜100ng/μlに含まれる、上記[14]に記載の方法。
[16]
上記[11]〜[15]のいずれかに記載の方法を実施するためのキットであって、生物学的サンプル中の無細胞DNAのレベルの測定に特異的な反応体、および生物学的サンプル中の少なくとも1つの他の生理学的パラメータの測定に特異的な反応体を含み、前記生理学的パラメータが、抗ミュラー管ホルモン(AMH)のレベル、テロメラーゼ活性およびホモシステイン濃度からなる群から選択される、キット。
[17]
少なくとも1種のDNA挿入剤およびAMHを特異的に認識する抗体を含む、上記[16]に記載のキット。